源河川における多自然川づくり・環境整備内容の検討

3. 河川整備内容の検討
3.1
源河川における多自然川づくり・環境整備内容の検討
源河川について、多自然川づくり・環境整備イメージを整理して説明資料を作成するとともに、
名護市においてワークショップを開催し、地域住民の意見を反映させた整備内容を検討する。
3.1.1 多自然川づくり・整備のイメージ整理
(1) 源河川の現状の把握
源河川の現状について把握し、整備の方向性について検討を行う。
1) 源河川の流域の概要
源河川は、名護市北部にある一ッ岳の北東に広がる大湿帯付近に発し、蛇行しながらお
おむね北西から北へ流れ、中流にある「源河節の碑」付近で北東に向きを変えて下流部で
桃原川、福地川を合流し源河集落を抜けて東シナ海に注ぐ、流域面積 19.96km2、延長
9.42km の2級河川である。
東シナ海
福
源河節の碑
桃
原
地
川
川
【位置図】
河
源
川
おーしったい
おーしったい
大湿帯
一ツ岳
図 3.1.1 源河川流域図
近傍の名護気象台の観測データより整理すると、年間の降水量は 2018.9mm で全国平均
の約 1.2 倍、7 月は少雨傾向となっている。また、年間の平均気温は 22.6℃で温暖な気候
となっている。
35
雨量(mm/月)
500
400
降雨量
30
平均気温
25
20
300
15
200
10
100
5
0
0
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
図 3.1.2 名護気象台平均降雨量、平均気温
11月
12月
平均気温(℃)
600
2) 植生
源河川の植生は、海岸部にはリュウキュウマツの二次林が広がっており、中流部にはホ
ルトノキ低地林、上流部にはやんばる特有のイタジイ山地林がみられる。
図 3.1.3 源河川の植生
3) 河道・流域の変遷
源河川の河道・流域の変遷について確認するため、過去(昭和 19 年)から現在までの
航空写真を整理した。
航空写真をみると、蛇行を繰り返しながら流下している河道の状況は現在まで大きな変
化は見られない。また、流域の一部で昭和 40 年代以降開発が見られる。
なお、源河川を含む沖縄本島に生息していたリュウキュウアユは、開発の進んだ 1980
年頃には絶滅したと言われている。
表 3.1.1(1) 源河川の河道・流域の変遷
昭和19年9月
下流に農地が広がっている
昭和39年12月
大きな変化はみられない
昭和46年5月
河道に大きな変化は無いが、流域内の山地
部で開発が行われている
表 3.1.1(2) 源河川の河道・流域の変遷
昭和55年12月
平成元年3月
平成5年10月
開発
開発
山地部の開発が進んでいる。
大きな変化はみられない
大きな変化はみられない。
このころリュウキュウアユは絶滅したと言 昭和61年3月28日、「源河川にアユを呼 このころ、リュウキュウアユの遡上を促す
われている
び戻す会」が設立されている
ため、取水堰、砂防堰堤に魚道を設置
4) 河川状況
源河川の河川状況について整理した。
感潮区間
上流部
源河地区会館
田原橋
走川橋
河口
取水堰
下流部
砂防堰堤
源河節の碑
中流部
図 3.1.4 源河川の分類
○下流部(河口~取水堰)
この区間は潮の影響を受ける感潮区間であり、沿川には源河集落が広がっており、主な
土地利用としては畑作等に利用されている。
河道も急な護岸で覆われた直線的な河道となっており、河道内には土砂の堆積も著しく、
親水性に乏しい区間となっている。
○中流部(源河節(ジンガブシ)の碑~砂防堰堤)
取水堰より源河節の碑の中流区間は、河川の蛇行が激しく、瀬・淵が連続している区間
であり、魚巣ブロックやアユの産卵床、石積み落差工があり生態系にやさしい区間となっ
ている。
源河節の碑から砂防堰堤の区間についても、河川の蛇行が激しく、瀬や淵が連続してる。
また、平常時の流量に対して河床幅が広いため、短い直線部での水深は比較的浅い傾向と
なっている。
○上流部(砂防堰堤~)
上流部はやんばる特有の森林が広がっている状況となっている。また、深い谷底を流下
しているため、川に近づくことはできない。
図 3.1.5 下流部の河川状況
図 3.1.6 中流部(取水堰~源河節の碑)の河川状況
図 3.1.7 中流部(源河節の碑~砂防堰堤)の河川状況
図 3.1.8 中流部(源河節の碑~砂防堰堤)の河川状況