第二次千曲市地域福祉計画.

「支え合い、かかわり合い、尊重し合い、
しあわせ・ゆたかさの実感できるまち」
を目指して
私たちを取り巻く社会情勢は、昨年実施された国勢調査の結果、総人口が戦後初めて
減少に転じたことが明らかになる傍ら、高齢化率が25パーセントを超えるなど、超高
齢社会の進度が加速しております。
一方、近年の産業構造や雇用環境の変化などから生じる、貧困や自殺などの社会問題
も多発するようになってきております。
近くに目を向けますと、千曲市も高齢化率30パーセントを超え、地域社会も世帯の
高齢化や人間関係の希薄化などによって、お互いの存在を気遣い、困ったことが有った
らお互いに助け合うという、昔ながらの良き「人と人との繋がりの輪」が、弱くなって
きているように感じております。
様々な福祉や社会問題発生の端緒は、地域の「見守りの気持ち」から発見されたり、
「助
け合い」の中から解決の糸口が見つかったりすることが少なくはありません。
そのため、いま「隣近所の力」をどのようにして取り戻すかが、大きな課題となって
おります。
東日本大震災や近年多発する豪雨災害などにおいて、私たちはボランティアやNPO
などが地域の中に入って、住民や地域の団体と力を合わせて活躍する姿を目のあたりに
しました。ここにも地域再生のヒントがあると思います。
行政だけの力では、もはや多くの福祉課題に立ち向かうことはできません。大切なの
は協働の力です。
第二次千曲市地域福祉計画のキーワードは、まさにこの「協働の推進」だといえます。
市民一人ひとりやボランティア、NPO、社会福祉関係の団体、学校等、社会福祉協
議会そして行政、皆が力を合わせることで地域の力は取り戻せるものと思います。
地域福祉計画は、地域の力を取り戻すために、市民をはじめとして皆がなすべき目標
を定めた協働の計画であり、千曲市総合計画を基本としつつ、
「しなのの里ゴールドプラ
ン 21」などの福祉の個別計画の指針を示す、福祉分野の総合計画でもあります。
第―次千曲市地域福祉計画の支え合いや助け合いなどの理念を継承しつつ、その後の
社会情勢の変化に応じた新たな施策を加え、より時代に即応する計画といたしました。
結びに、本計画の策定にあたり、貴重なご意見ご提言を下さいました「千曲市地域福
祉計画策定委員会」の皆様方をはじめとする市民の皆様に、心より御礼を申し上げます。
平成28年 3月
千曲市長
岡
田
昭
雄
目
次
第1章
第二次地域福祉計画の策定にあたって ............................................................................. 1
1
計画策定の趣旨 ..................................................................................................................... 1
2
本計画の位置づけ .................................................................................................................. 2
3
計画期間 ................................................................................................................................ 2
4
計画の策定体制 ..................................................................................................................... 3
5
計画の進行管理と評価........................................................................................................... 3
第2章
地域福祉の課題と推進の方向性 ........................................................................................ 5
1
千曲市の福祉課題 .................................................................................................................. 5
2
課題を解決するための方向性................................................................................................ 9
第3章
千曲市の地域福祉の政策体系.......................................................................................... 10
1
基本理念 .............................................................................................................................. 10
2
本計画で実現したい目標と推進主体................................................................................... 10
3
基本理念を実現するために達成すべき目標.........................................................................11
4
施策の体系 ........................................................................................................................... 12
第4章
施策の展開 ....................................................................................................................... 14
基本目標1 支え合い・助け合い意識の創造 ........................................................................... 15
基本目標2 ともに支え合う地域社会の再生 ........................................................................... 23
基本目標3 地域で自立した生活をおくるための支援体制の構築........................................... 31
資料編 ............................................................................................................................................. 43
■用語解説...................................................................................................................................... 44
■計画策定の経過 ........................................................................................................................... 46
■千曲市地域福祉計画策定委員会名簿 .......................................................................................... 47
あ
文中の「*」マークを配した言葉は巻末の用語解説で説明しています
第1章
1
第二次地域福祉計画の策定にあたって
計画策定の趣旨
わが国では、世界に類をみない速度で高齢化が進んでおり、高齢者のみの世帯や一人暮らし
の高齢者が急激に増加しています。また、長い経済の低迷後の産業構造や雇用環境の変化によ
って、経済的格差や非正規雇用が増加、生活困窮や子どもの貧困*などの諸問題が顕著となっ
て、生活苦による窃盗や自殺、様々な要因に起因する凶悪事件や幼児虐待など、深刻な社会問
題・福祉問題が目にみえる形で増加しています。
一方、地域へ目を向けると、古くから育まれてきたコミュニティの相互扶助機能は、若年層
人口の減少、世帯の高齢化や個人の価値観の多様化に伴う人間関係の希薄化などによって、弱
体化しつつあります。こうした中、社会的な孤立や生活の困窮を抱えて周囲からの支援を必要
としている人がいるにもかかわらず、みえづらくなっているのが現状です。また、東日本大震
災といった未曾有の災害を経験し、万が一の際にいかに地域で支え合うか、地域の災害に備え
る力が問われています。
現代の福祉課題は、多様化・複雑化しているため、従来の公的サービスや福祉行政が、サー
ビスの分野別に対応するだけでは解決が困難なものが増えています。生活に密着した相互扶助、
対象者や分野にとらわれない柔軟な福祉サービスの再構築などが、
いま私たちに求められてい
るといえます。
こうした認識のもと、隣近所や自治会でできる支え合いの仕組みを、時代の変化にあわせて
改善したり新しくつくること、ボランティアやNPO*がより大きな力を発揮できるように育
てたり参加したりすること、また、行政や事業者による福祉サービスをより使いやすくするこ
となど、千曲市という地域の中でそれぞれの主体が工夫することで、よりよい地域社会をつく
っていくことを目指すのが地域福祉計画の役割です。
本計画は以上の背景を踏まえ、第一次計画(平成 23 年度~平成 27 年度)の評価・検証を
行い、時代の変化に対応して策定するものです。
<これからの地域における福祉のあり方・考え方>
千曲市を取巻く社会状況
少子高齢社会の到来
個人の価値観の多様化
近隣の人間関係の希薄化
長引く経済不況等による生活困窮者*の増加
様々なストレス等による社会問題の深刻化
地域コミュニティの相互扶助機能の低下
ボランティア・NPO活動の拡大
市民等との協働によるまちづくりの推進
福祉問題の多様化・複雑化
災害発生時の支援の必要性の高まり
介護保険料や医療費増による財政のひっ迫 等
地域における福祉のあり方・考え方
「福祉」は、人生の中で誰もが必要とするもの→「お互い様」の気持ちで支え合うもの
いろいろな福祉サービス制度に加え、近隣住民やボランティア、区・自治会等で連携して
きめ細かく支えるもの
「高齢者福祉」「障がい者福祉」「児童福祉」等の縦割り意識を改め、総合的に連携して
対応すべきもの
1
2
本計画の位置づけ
本計画は、社会福祉法*第 107 条に基づく市町村地域福祉計画であり、千曲市総合計画を上
位計画とする保健福祉分野での行政計画です。
本市における福祉課題を踏まえ、市民と関係機関等との協働*によって地域福祉を推進する
ため、地域福祉のあり方や具体的な取組み、役割分担などを定めるものです。
<関連計画間の位置づけ>
<上位計画>
<上位計画>
<保健福祉分野の計画>
<保健福祉分野の計画>
千曲市地域福祉計画の範囲
千曲市地域福祉計画の範囲
千曲市老人福祉計画・
千曲市老人福祉計画・
介護保険事業計画
介護保険事業計画
千千
曲曲
市市
総総
合合
計計
画画
「しなのの里ゴールドプラン21」
「
しなのの里ゴールド
プラン21」
地域で抱える生活
地域で抱える生活
課題について、対
課題について、
対
千曲市障害者計画
千曲市障害者計画
象者や分野を超え
象者や分野を超え
千曲市障害福祉計画
千曲市障害福祉計画
て、
※自助、共助、
て、※自助、互助、
千曲市子ども·子育て
千曲市次世代育成支援
公助の連携によっ
共助、公助の連携
支援事業計画
行動計画
て解決し
ていくため
によって解決して
の取組みを掲載
いくための取組み
千曲市健康づくり計画
千曲市健康づく
り計画
を掲載
「
健康アップ千曲21」
「健康アップ千曲21」
人権と
くらしに関する
人権とくらしに関する
総合計画
総合計画
教育、
交通、建築、防災等
教育、交通、建築、防災等
各分野の計画
各分野の計画
<保健福祉分野以外の関連計画>
<保健福祉分野以外の関連計画>
※本計画における「自助・互助・共助・公助」の定義は以下の通りです。
“
「自助」とは、自分の責任で、自分自身が行うこと”
“
「互助」とは、行政や社協などの公的団体ではなく、近隣住民やボランティア等が主体的に行う相互扶助”
“
「共助」とは、社会保険のような制度化された相互扶助”
“
「公助」とは、個人や周囲、地域あるいは民間の力では解決できないことについて、公共(公的機関)が行うこと”
<地域福祉計画(千曲市)と地域福祉活動計画(千曲市社会福祉協議会)の関係>
千曲市 地域福祉計画
<共通する視点>
千曲市 地域福祉活動計画
(千曲市社会福祉協議会)
地域福祉の考え方、推進の方向性、共通目標の設定
地域の実態・課題の明確化、共有化
関係団体のネットワークづくりの方策
 社会福祉法*に基づき策定する行政計
画
 地域福祉を推進するための基本的指
針となる計画
 地域福祉推進にあたっての基盤整備
(人材、情報、制度、拠点等)を盛
り込む
 個別の福祉計画では対応できない横
断的な取組みを推進する
連携
2
 地区社会福祉協議会をはじめとする
住民組織、地域住民の地域福祉活動
推進のための自発的な行動計画
 地域福祉活動への住民参加の拡充を
目指す計画
 地域の課題に応じた住民の創意によ
る具体的な活動の展開を盛り込む
 実践の中から課題を積み上げ、行政
等に提言する
3
計画期間
本計画は、平成 28 年度から平成 32 年度までの 5 年間を計画期間とします。
なお、計画期間中においても、市民の意識や社会情勢の変化、国の社会保障や社会福祉制度
等の変更が行われた場合には、必要に応じて見直しを行います。
計画名/ 計画期間
関
連
計
画
4
平成2 8 年度 平成2 9 年度 平成 3 0 年度 平 成3 1 年度 平 成3 2 年度
千曲市 総合計画
後期基本計画(~平成28年度)
千曲市地 域福祉計画
第2次(平成28~平成32年度)
千曲 市老人福祉 計画・ 介護保険事 業計画
「 しなのの里 ゴ ー ルド プ ラ ン 2 1 」
第6期計画(平成27~平成29年度)
千曲 市障害者計 画
(平成20~平成29年度)
千曲 市障害福祉 計画
第4期計画(平成27~平成29年度)
千曲 市子ど も ·子 育て支援事業 計画
(平成27~平成31年度)
千曲 市健康づ くり計画
「 健康アップ 千 曲2 1 ( 第二次) 」
(平成25~平成34年度)
第2 次人 権とくら しに関す る 総合計画
(平成26~平成30年度)
計画の策定体制
本計画は、地域の有識者や社会福祉事業者・団体の代表等によって構成される「地域福祉計
画策定委員会」を設置し、千曲市社会福祉協議会の地域福祉活動計画と一体的に審議を行い、
策定します。
また、これと平行して、計画策定幹事会を開催し、庁内横断的な調整を行っています。
5
計画の進行管理と評価
本計画の進行管理は、以下のPDCAサイクルに基づいて実施します。「地域福祉推進委
員会」は、庁内の関係部局がそれぞれの関連計画について実施する評価等の報告を受け、進
捗管理を行い、一定期間ごとに計画の評価検証や見直しを行います。
<PDCAサイクル>
Plan 計画
計画を策定する
Action 改善
Do 実施
評価検証の結果を踏
まえ、見直しを図る
計画に基づいて
事業を実施する
Check
評価検証
実施状況を検証する
3
6
地域福祉を進める上での地域の捉え方
支援が必要な市民の生活を支えるには、小さな地域での支え合いを基本単位とすることが必
要となります。これは、地域で暮らす高齢者や障がい者、子どもなどを日常的に見守り、何
かがあった場合に早期に対応できるのは、近隣で生活する人に他ならないからです。隣近所
で解決できない課題は、より広い地域の中で取り組む課題とし、段階的に共有していける地
域社会の構造をつくることが、私たちの暮らしの安心を築くことにつながっていきます。
本計画では、本市の地域福祉を支える最適な体制を構築するため、以下に示す各地域のそれ
ぞれの役割を明確に設定することによって、それぞれの特性を生かした活動の展開を推進し
ます。
<地域の捉え方>
千曲市全域
●市全域を対象とした総合的な支援
区・自治会
●行政情報の周知
●サロン活動等
常会・分区
(小地域)
●身近な相談 ●見守り
●声かけ 等の活動
4
第2章
1
地域福祉の課題と推進の方向性
千曲市の福祉課題
(1)本市の現状と課題
本市の人口の推移をみると、総人口は平成 12 年をピークに以降は減少傾向が続いていま
す。老年人口*(65 歳以上)は年々増加し、平成 27 年にはその割合(高齢化率*)は総人口
の 31.2%となっています。反対に、生産年齢人口*(15 歳~64 歳)と年少人口*(14 歳以下)
は減少してきています。
世帯数は増加傾向にありますが、1 世帯あたりの人員は減少しており、核家族や単身世帯
が増加しているとみられます。また、高齢の夫婦のみの世帯や高齢の単身世帯は年々増えて
おり、孤独死や老老介護*や認認介護*といった深刻な問題も生まれています。
年齢3区分*人口と高齢化率*の推移
0~14歳
15~64歳
高齢化率
65歳以上
(人)
(%)
70,000
61,947人
60,000
9,844 63,539人
64,523人
64,022人
11,809 13,740 15,284 50,000
40,000
30,000
35.0
61,997人 60,312人
27.4 18,842
17,004 21.3 30.0
31.2 23.9 18.6 20.0
15.9 41,508 40,929 40,958 25.0
39,607 15.0
36,648 33,958
20,000
10.0
10,000
5.0
11,174 10,222 9,825 9,131 8,345 7,512
平成2年
平成7年
平成12年
平成17年
平成22年
平成27年
0
0.0
出典:国勢調査、平成 27 年のみ毎月人口異動調査(平成 27 年 10 月 1 日現在値)
総世帯数と1世帯あたりの人員
一般世帯数
1世帯当たり人員
(世帯)
22,000
21,500
21,000
21,220 21,407 3.29 20,505 20,500
高齢単身世帯
(人)
3.40
4,500
3.30
4,000
3.20
3,500
3,000
3.11 19,000
1,500
18,500
2.84 2.80
17,500
500
2.60
平成7年
平成12年
平成17年
1,463
1,394
1,071
1,000
2.70
18,000
1,833
2,000
2.90
2.97 2,218
2,500
3.00
19,104 高齢者夫婦世帯
(世帯)
3.10
20,000
19,500
高齢者世帯数の推移
685
960
1,264
1,504
平成12年
平成17年
1,876
0
平成22年
平成2年
出典:国勢調査
平成7年
平成22年
出典:国勢調査
※高齢者夫婦世帯=夫、妻ともに 65 歳以上の世帯
5
20 歳未満の子どもがいる一人親世帯は年々増加する傾向にあり、平成 26 年度末時点での
母子家庭は 566 世帯、父子家庭は 89 世帯、あわせて 655 世帯となっています。また、生活
保護を受けている世帯は 200 世帯ほどまで増えましたが、近年は横ばいで推移しています。
こうした何らかの支援を必要とする人が増えていることを背景に、平成 27 年 4 月から生活
困窮者自立支援法*に基づいた生活困窮者の自立支援制度がはじまり、本市においても千曲市
生活就労支援センター(まいさぽ千曲)を設置し、自立に向けた総合的な支援事業を行って
います。
一人親世帯数の推移(母子家庭、父子家庭)
(世帯)
700
母子家庭
650
父子家庭
600
550
84
88
81
528
528
536
93
89
560
566
500
450
400
350
463
497
467
495
493
507
527
300
出典:子育て支援課(事務穂報告書)
※数値は各年度末。父子世帯数の調査は平成 22 年度より開始
生活保護受給世帯数と保護費
250
被保護世帯数
(世帯)
409,859
422,057
200
(千円)
450,000
365,064
365,539
194
195
323,513
400,000
350,000
192
150
保護費総額
195
300,000
250,000
156
200,000
100
150,000
100,000
50
50,000
0
0
平成21年
平成22年
平成23年
平成24年
平成25年
出典:千曲市統計書 2014 年版
6
(2)本市の将来予測
団塊の世代が後期高齢期を迎える平成 37 年の総人口は、約 54,000 人にまで減少すること
が予想されています。65 歳以上人口は平成 32 年をピークに減少傾向に転じますが、75 歳以
上人口は引き続き増加し続ける見込みです。一方、生産年齢人口*(15 歳~64 歳)と年少人
口*(14 歳以下)は減少を続け、平成 37 年の高齢化率*は 35%に達すると予測されています。
地区別にみると、平成 37 年にはすべての地区で人口が減少すると予測され、高齢化率*も
軒並み 3 割を超える予想です。特に上山田地域の人口減少と高齢化率*が深刻であり、現在の
コミュニティをいかに維持していくかが、地域福祉を展開していく上での大きな課題になる
と考えられます。
年齢3区分*人口の将来予測
(人)
65歳以上
15~64歳
0~14歳
70,000
60,000
(%)
高齢化率
80,000
40.0
64,523人
64,022人
13,740 15,284 推計値
61,997人
27.4 31.3 17,004 50,000
57,123人
18,668 21.3 30,000
40,958 35.0
54,248人
30.0
25.0
19,171 23.9 40,000
35.0 33.6 59,685人
19,009 20.0
39,607 15.0
36,648 33,653 31,624 20,000
29,676 10,000
10.0
5.0
9,825 9,131 8,345 平成12年
平成17年
平成22年
7,364 0
平成27年 ※
6,328 5,563 平成32年
平成37年
0.0
出典:平成 22 年まで国勢調査。平成 27 年から国立社会保障・人口問題研究所『日本の地域別将来推計人口』
※P5「年齢 3 区分* 人口と高齢化率* の推移」における、平成 22 年国勢調査から推計した、平成 27 年人口とは相違があります。
地区別人口増減率(平成 22 年⇒平成 37 年)と平成 37 年の高齢化率*の予測
‐8.0 (%)
60.0
(%)
50.0
40.0
西中学校区
30.0
‐12.0
10.0
人口減少
埴生中学校区
戸倉地域
屋代中学校区
‐10.0
20.0
0.0
※人口増減率は、平成
27年人口と 平成37年の
人口予測より算出
‐14.0
%以上
10
上山田地域
‐16.0
高齢化率25% 以上
以上
高齢化率25%
※平成37年の高齢化率
出典:毎月人口異動調査(平成 27 年 10 月 1 日現在値)、
国立社会保障・人口問題研究所『日本の地域別将来推計人口』
7
(3)福祉施策に対する市民の評価(平成 27 年度市民満足度調査)
市政についての満足度調査の結果をみると、「地域福祉」については約 35%の市民が満足
していると評価していますが、
「満足していない」層も同じくらいの割合にのぼり、必ずしも
「地域福祉」施策が十分とはいえない状況にあります。また、
「わからない」と回答した人が
4 人に 1 人以上の割合で、関心や認知の低さがみられます。
その他の福祉に関する施策については、
「健康づくり」分野の施策に対しては満足している
人の割合が高いものの、
「保健・医療」
「高齢者福祉」
「障がい者福祉」
「生活支援」
「人権・平
和」「子育て」といった多くの福祉分野で不満足の割合が満足を上回っている状況です。
また、平成 27 年度と平成 22 年度の結果を比較すると、
「高齢者福祉」
「障がい者福祉」
「子
育て」で満足度が低下しており、特に取組みの強化が求められます。
福祉に関する施策の満足度
満足している
まあ満足している
満足していない
あまり満足していない
わからない
無回答
(n=1017)
0%
1地域福祉
10%
2.2
2.3
5障がい者福祉
3.1
6生活支援
2.8
7人権・平和
2.6
40%
50%
5.0
60%
70%
80%
6.6
18.8
49.4
17.3
29.7
35.6
11.8
25.0
23.5
14.6
22.9
23.1
3.6
12.4
3.2
7.0
3.3
32.9
3.6
33.2
3.4
32.9
9.2
24.0
24.6
3.4
4.0
37.5
9.7
18.2
28.0
100%
26.8
11.8
28.4
27.3
90%
26.1
8.5
26.5
33.4
7.2
4高齢者福祉
19子育て
30%
9.2
2健康づくり
3保健・医療
20%
4.2
出典:平成 27 年度市民満足度調査
満足している人の割合(H27 年度と H22 年度の比較)
0.0
1地域福祉
20.0
40.0
60.0
35.6
7 年度と H22 年度の比較)
31.6
2健康づくり
52.0
3保健・医療
35.5
58.6
42.8
29.6
31.9
4高齢者福祉
26.6
29.5
5障がい者福祉
6生活支援
80.0
(%)
25.9
23.2
30.6
30.8
7人権・平和
29.6
19子育て
36.2
27年度
(N=1,017)
22年度
(N=652)
出典:平成 27 年度市民満足度調査
※数値は「満足している」「まあ満足している」の合計の割合
8
地域の福祉活動の充実度については、
「充実している」と感じている人が 4 割を切っており、
「わからない」とする人がほぼ同じ割合を占めています。すべての市民が地域福祉を他人事でな
く自分のこととして捉え、活動に参加していく姿勢が大切です。
地域の福祉活動は充実していますか?
充実してい
る
4.1%
無回答
2.4%
まあまあ充
実している
33.5%
わからない
36.7%
あまり充実
していない
20.2%
充実していない
3.1%
(n=1017)
出典:平成 27 年度市民満足度調査
2
課題を解決するための方向性
本格的な少子高齢社会に入り、高齢者をはじめ、支援を必要とする人がますます増えていく
とみられています。誰もが住み慣れた地域で安心して暮らすためには、様々な困難を抱えてい
る市民の日常生活を、市民をはじめとして、市や関係機関などの多様な主体が支えていくこと
が重要です。
多様な主体が連携して支え合う地域をつくるには、まず、一人ひとりの福祉に対する意識を
高めていく必要があります。また、他の人への気遣いや日常的会話が自然に行われるような環
境を育み、近隣地域での支え合いの仕組みをつくることによって、緊急時や災害時の要支援者
への援助が円滑に進むなど、地域の福祉力を強化していく必要があります。
また、公的なサービスや制度が複雑化している現状を踏まえ、どこへ行けば相談ができるの
か、どのような福祉サービスの提供があるのか等、利用者の目線に立った情報発信や窓口対応
ができるような工夫が求められます。住み慣れた地域で福祉サービスの総合的な相談や支援を
受けられるよう様々な福祉サービスの拠点を整備し、利用促進を図っていくことが重要です。
9
第3章
1
千曲市の地域福祉の政策体系
基本理念
本市は、誰もが、福祉の担い手であり、受け手でもあるという意識を基本として、市民が支え
合う気持ちを持つことで、誰もが人として尊重され、持てる資質を生かしながら、人の助けとな
り、また他の助けを受けて可能な限り「自立」し、自分の意志のもとに進んでいける「自律」し
た社会を目指します。この基本的な考え方に基づいて、本市の地域福祉の基本理念を「支え合い、
かかわり合い、尊重し合い、しあわせ・ゆたかさの実感できるまち」とします。
2
本計画で実現したい目標と推進主体
本計画では、基本理念の趣旨に基づいて、本計画期間中に目指す「目標」を定めます。
「市民」
、
「事業者・団体」、
「学校等」、
「社協」
、「市」1を、基本理念に基づいた 3 つの基本目標
を達成するために連携する推進主体と位置づけます。
本計画で実現を目指す3つの目標
基本目標1:支え合い・助け合い意識の創造
基本目標2:ともに支え合う地域社会の再生
基本目標3:地域で自立した生活をおくるための支援体制の構築
基本理念
支え合い、かかわり合い、尊重し合い、
しあわせ・ゆたかさの実感できるまち
推進主体
3つの基本目標
市民
基本目標1:
支え合い・助け合い
意識の創造
事業者・
団体
市
基本目標2:
ともに支え合う
地域社会の再生
基本目標3:
地域で自立した
生活をおくるための
支援体制の構築
社協
学校等
1 「市民」は、個人・家族・隣組・区(自治会)のことを、
「事業者・団体」は、社会福祉関連の法人を含むすべての業種の事業所
と、ボランティア組織等の市民活動団体のことを、
「学校等」は小中学校、幼稚園、保育園など教育・保育施設のことを、「社協」
は千曲市社会福祉協議会のことを、
「市」は千曲市を指します。
10
3
基本理念を実現するために達成すべき目標
基本理念を実現するため、以下の 3 つの目標を掲げます。
基本目標1:支え合い・助け合い意識の創造
福祉は、特別な人に対する特別なサービスや活動ではありません。市民生活をおくる上で、誰も
が抱える可能性のある課題です。
この課題を自分自身にも関係する課題として捉えられる意識、課題解決を市や専門機関や一部の
市民のみにすべて任せないで、自分ができることに取り組もうという意識の有無が、地域の福祉力
を大きく左右します。
市民一人ひとりが福祉課題を自分のことと捉えられる「支え合い・助け合い意識」
を創造します。
また、この意識に基づいて、市民、事業者・団体、学校等、社協、市の連携と協働*により、地域
福祉の持続可能な活動体制をつくります。
基本目標2:ともに支え合う地域社会の再生
障がいの有無や年齢に関わらず、自分の住みたい場所で、できる限り自立(自律)した生活をお
くることは、人としての尊厳を守り、一人ひとりが生きる意味を見出す上で重要なことです。誰も
が安心して生活できる地域社会をつくるため、市民自らが地域の課題に気づき、相互に支援し合え
る力や問題解決力を高めていけるような地域社会を構築します。そのために、市民同士の声かけや
見守りの体制づくりなど、日常的な市民の交流を図ります。
また、こうした地域のつながりを基盤とした安心かつ安全な体制づくりに向けて、緊急時・災害
時の支え合い、防犯体制の充実を目指します。
これにあわせて、地域の貴重な福祉の担い手であるボランティアや家族会などの市民活動の活性
化を図り、支援が必要な方の暮らしを支えるための連携を促進します。
基本目標3:地域で自立した生活をおくるための支援体制の構築
高齢や心身の障がい、貧困など様々な要因が重なって、日常生活に支障をきたしたり、孤独や不
安感を抱えたり、社会的に孤立するなどの課題が生じています。こうした課題を抱える個人や家族
が、地域にある様々な福祉サービスや市民活動などを利用したり、社会活動に参加したりすること
で、その人らしく自立(自律)した生活を営めるよう、利用者の立場に立った適切な支援を行うこ
とが求められています。
このため、福祉ニーズに応えられる様々な地域福祉拠点の整備や、福祉ニーズと対応する機関や
解決策をコーディネート(調整)する機能の向上を図り、必要なサービスが必要な人に行き届く支
援体制を構築します。また、福祉サービスだけではなく、まちづくりの発想自体を転換し、福祉課
題を抱える人の目線に立つことにより、誰もが暮らしやすいまちづくりを進めます。
11
4
施策の体系
基本目標
基本理念
推進施策
1-1 福祉のこころの浸透
1
支 え合い・ 助け合い
意識の 創造
1-2 福祉人材の確保・育成
市民、事業者・団体、学
1-3 校等、社協、市とのパー
トナーシップ *の構築
、
支
し
え
あ
合
わ
い
せ
・
か
ゆ
か
た
わ
か
り
さ
合
の
い
実
感
尊
で
重
き
し
る
合
ま
い
ち
2
ともに支 え合う
地域社会 の再生
声かけ・見守り活動の推
進
2-2
安心・安全に暮らすため
の支援体制の整備
2-3
ボランティア組織などの
市民活動の連携と支援
3-1
福祉情報の発信と相談体
制づくり
、
2-1
、
3-2 サービスの質の向上
3
地 域で自立 した生活
をおくる ための
支援体制 の構築
3-3 持続的なサービス提供
3-4 心身の健康づくりの推進
3-5
誰もが暮らしやすいまち
づくり
12
基本施策
取組み
学校における福祉学習の実施
1-1-1 児童・生徒に対する福祉教育の機会の提供
地域における福祉学習の実施
地域における福祉学習の充実
1-1-2 地域における福祉教育・啓発の推進
イベントや交流による啓発
働きやすい環境づくりの推進
1-2-1 専門的人材の確保の促進
多様な人材の確保の促進
地域の福祉の担い手(役員)の養成
1-2-2 地域の福祉の担い手人材の養成
地域福祉等の担い手(有志)の養成と活動の支援
1-3-1 新しいパートナーシップ *の仕組みづくり
1-3-2 地域福祉活動の実践と評価・改善
地域コミュニティの独自性・自主性を生かした推
進体制の構築
地域福祉活動の計画的な進捗と改善の仕組みづく
り
市民間の交流の促進
2-1-1 声をかけあえる関係づくり
区・自治会活動等への加入促進
生きがい・仲間づくり
2-1-2 見守り活動の推進
見守り体制の構築と組織的な実践
災害時支え合いマップづくりの推進と活用
2-2-1 災害に備えた体制づくり
災害に備えた地域体制づくり
2-2-2 防犯体制の充実
犯罪を未然に防ぐための体制づくり
2-2-3 救急医療体制の充実
救急医療体制の充実
ボランティア活動への参加促進
2-3-1 ボランティア活動の活性化
ボランティア組織等の設立・活性化の促進
2-3-2 家族会・当事者団体等の活動の活性化
活動への参加促進とネットワークづくり
3-1-1 福祉サービスに関する情報発信の充実
わかりやすい情報発信
3-1-2 相談支援体制の充実
相談支援の提供
3-1-3 福祉サービス拠点の整備と運営
福祉サービス拠点の運営
3-2-1 複雑化する福祉課題に対応できる人材の育成
各種研修の実施
評価制度の導入と情報公開
3-2-2 福祉サービス事業所のサービス水準の確保
サービス水準確保のための監督指導
利用者の要望・苦情を受け止める体制の充実
調査による福祉ニーズの把握
3-3-1 福祉ニーズの把握とサービス提供体制の整備
福祉サービス提供体制の計画的な整備
健康づくり意識の醸成
3-4-1 健康づくり意識の醸成と自主活動の推進
自主的な健康づくり活動の推進
3-4-2 こころの健康づくり
こころの健康についての啓発
公共施設、大型施設のバリアフリー化 *・耐震化
3-5-1 施設・住宅のバリアフリー化 *と耐震化
住宅のバリアフリー化 *・耐震化
公共交通、道路などのバリアフリー化 *
3-5-2 安心して自由に移動できる交通環境の整備
公共交通の充実
高齢者・障がい者の移動手段の確保
13
第4章
施策の展開
基本目標1:支え合い・助け合い意識の創造
基本目標2:ともに支え合う地域社会の再生
基本目標3:地域で自立した生活をおくるための支援体制の構築
14
基本目標1
基本目標1 支え合い・助け合い意識の創造
支え合い・助け合い意識の創造
福祉は、特別な人に対する特別なサービスや活動ではありません。市民生活をおくる
上で、誰もが抱える可能性のある課題です。
この課題を自分自身にも関係する課題として捉えられる意識、課題解決を市や専門機
関や一部の市民のみにすべて任せないで、自分ができることに取り組もうという意識の
有無が、地域の福祉力を大きく左右します。
市民一人ひとりが福祉課題を自分のことと捉えられる「支え合い・助け合い意識」を
創造します。また、この意識に基づいて、市民、事業者・団体、学校等、社協、市の連
携と協働*により、地域福祉の持続可能な活動体制をつくります。
15
基本目標1:支え合い・助け合い意識の創造
推進施策1-1:福祉のこころの浸透
▼現状と課題
高齢者、障がい者、子育てをしている家庭などが安心して暮らしていくためには、市民の理解と協
力が必要です。市民同士が“福祉”を特別なものや無関係のものとしてではなく、お互い様の気持ち
をもって受け入れ、自然な関係の中で協力していくことで、誰もが安心して暮らせる地域をつくるこ
とができます。
このため、一人でも多くの市民が人権や福祉に対する理解を深め、身近な地域の福祉を支えていけ
るような“福祉のこころ”を醸成していくことが必要です。
アンケートの結果をみると、地域の福祉活動が充実していると感じている人の割合は、若い年代で
低いことがわかります。また、
「わからない」という人が大半を占めており、若者における地域福祉
活動そのものへの関心の低さや活動のみえづらさが課題といえます。
あらゆる場と機会を通じて、多様な教育・学習の機会や広報・啓発に努め、若いうちから福祉を自
分のこととして捉え、自分の暮らす地域の福祉活動においてどのような役割を果たせるのかを、地域
住民一人ひとりが考えられる環境づくりが必要です。
▼基本方針
 福祉のこころを浸透させ、支え合える地域をつくるため、家庭・学校・地域などの
場で福祉教育に積極的に取り組みます
地域の福祉活動は充実していますか?(年代別)
0%
10%
18・19歳(10)
20.0
20~29歳(75) 2.7
30%
21.9
27.8
60~69歳(258) 4.3
60%
70%
4.0
15.1
27.1
50~59歳(162) 3.1
50%
90%
53.3
3.4
100%
36.0
41.3
3.1
22.9
47.0
1.3
47.1
4.5
21.6
7.8
80%
60.0
20.0
31.9
40~49歳(155) 1.9
40%
20.0
18.7
30~39歳(119) 2.5
70歳以上(230)
20%
3.2
44.4
2.7
17.8
31.8
1.7
23.0
充実している
まあまあ充実している
あまり充実していない
充実していない
わからない
無回答
2.3
2.6
出典:平成 27 年度市民満足度調査
≪市民満足度調査のご意見より≫

提案
地域の中で活動している方が偏っている。いろいろな活動を知らない人たちも多いので、声
かけが大事だと思う。
16
基本施策 1-1-1:児童・生徒に対する福祉教育の機会の提供
人格形成期において、互いの違いを認めながらともに生きていくことや、他人を思いやるこころを
持つことなど、福祉のこころを育んでいくことは極めて重要です。地域の関係者が連携し、地域の教
育資源を活用した福祉学習の機会をつくる必要があります。
取組み
1
学校における福祉学習の実施
主体ごとの主な役割
市民
・児童・生徒は、学校の授業や児童会、生徒会の活動を
通じて、人権・福祉に関する理解を深め、学校生活や日
常生活の中で実践に移します。
事業者・
団体
・学校の依頼に応じて、施設見学の機会を設けます。ま
た、福祉の現状についての説明に努めます。
・福祉教育担当者会議を開催し、学校での福祉教育を
支援します。また、外部講師の紹介や講師の派遣を行
います。
・教育活動を通じて福祉への関心が高まるよう指導計画
を学校へ提案します。
・児童・生徒は、校外の福祉ボランティア活動に積極的
に参加します。
・家庭では、子どもに介護などの体験をさせ、福祉につ
いて考え話し合う機会をつくります。
社協
市
市民
2
地域における福祉学習の実施
事業者・
団体
・児童・生徒のボランティア活動の受け入れに努めます。
・障がい者などとふれあうイベントや、長期休暇を活用し
たボランティア活動の企画・調整を行います。
・校外ボランティア等の情報を提供し、参加を促します。
社協
市
基本施策 1-1-2:地域における福祉教育・啓発の推進
地域において、互いに支え合うこころと活動を育む環境づくりを進めるため、市民、事業者・団体、
社会福祉協議会、市などが一体となって、福祉のこころや相互扶助の重要性を確認していく必要があ
ります。地域の様々な活動やネットワークが連携することで、多様な学びの場をつくっていくことが
重要です。
取組み
主体ごとの主な役割
市民
1
地域における福祉学習の充実
事業者・
団体
社協
市
市民
事業者・
団体
2
イベントや交流による啓発
社協
市
17
・公民館等における福祉講座や福祉学習プログラムなど
に積極的に参加します。
・社会福祉法人等は、地域の教育資源として学習活動
に協力するように努めます。
・市民活動団体は、公民館等における福祉講座の増設
や福祉学習プログラムの充実を図ります。
・地域の状況に応じた学習方法の提案、講師の紹介、派
遣等を行います。
・地区公民館等で行われる人権啓発活動を支援します。
また、出前講座など福祉学習の機会を提供します。
・イベントや交流の機会に積極的に参加し、理解を深め
ます。
・福祉関係のイベントの実施に対して情報提供や開催支
援に努めます。
・毎月発行する広報誌による情報提供と啓発、「社会福
祉大会」の開催による啓発を行います。
・公開討論会の開催や広報により、市民に問題提起や
啓発を行います。また、様々な福祉学習情報を提供しま
す。
基本目標1:支え合い・助け合い意識の創造
推進施策1-2:福祉人材の確保・育成
▼現状と課題
市民が安心できる福祉の基盤をつくるためには、福祉サービスを提供する専門的人材の安定的な確
保に加えて、地域の福祉の担い手となる人材を育てることが必要となります。
福祉サービスを提供する人材には、高度な専門性や幅広い知識、さらには高い人権意識を備えてい
ることが求められます。今後、ますます福祉需要の増大が予測されています。しかし、福祉関係の仕
事の給与水準が他産業に比べて低いことなどから、本市の福祉事業所においても就職希望者の減少、
離職率の高さといった問題に直面しています。今後の必要とされるサービスの増大を見据えて、事業
者の自助努力を支援するため、関係機関との連携を図りながら、必要な人材の確保と福祉職場への就
業促進を図っていく必要があります。
また、こうした専門的サービスとは別に、市民自らが地域福祉の知識と実践力とを高めることがで
きるよう、新たな地域福祉の担い手を育てていくことが必要です。すでに活動を実践している人には、
より知識や技術を高め、地域のリーダーとして活躍することが期待されます。特に、社会の一線を退
いた様々な経験者の、福祉活動をはじめとする地域活動への参画が期待されています。
▼基本方針
 今後増大する福祉需要を見据え、福祉事業の専門的人材と地域での福祉の担い手の
確保・育成に取り組みます
≪市民満足度調査のご意見より≫

意見
地域の民生委員さんは頑張っていると思うが、今後は民生委員さんの力だけでは不足すると
思う。人材育成が重要。
提案

子育ての場面など、元気な高齢者の活躍の場を考えて欲しい。

提案
高齢化やアパート住まいで区に加入しない方も多く、活動の負担が一部の方に偏っている。
区や班の分け方を見直すなどして、負担が偏らないようにすべき。
悩み

若い人たちがアイディアを出し合う場が少ない。
18
基本施策 1-2-1:専門的人材の確保の促進
福祉関係の職場は、労働環境が比較的厳しいにもかかわらず賃金水準が相対的に低く、就業者の定
着率が低くなっています。その一方で、複雑化・多様化する福祉需要に対応するため、福祉の現場で
求められる知識や技術はますます高度になっています。事業者が行う人材の確保や定着にかかる取組
みを地域として支援していく必要があります。
取組み
主体ごとの主な役割
事業者・
団体
社協
1
働きやすい環境づくりの推進
市
2
多様な人材の確保の促進
事業者・
団体
社協
・福祉事業の健全経営に努め、経営資源の中核と
なる人材が働きやすい職場となるように努めます。
・地域福祉活動の健全な運営に努め、従事者・職
員が働きやすい職場になるよう努めます。
・介護従事者の処遇改善を目指す法律や医療介
護総合確保推進法等に基づき、国や県の支援事
業の事業者への情報提供や導入に向けた支援を
行います。
・教育機関の学生や教員に対して、福祉関係事業
所の仕事の魅力を紹介するよう努めます。
また、職場体験の機会の提供に努めます。
・長期休暇を利用した中学生の職場体験やボラン
ティア活動をコーディネートします。
基本施策 1-2-2:地域の福祉の担い手人材の養成
一人ひとりの市民や区・自治会などの市民活動団体には、地域福祉の担い手となることが期待され
ています。実際に、福祉活動を実践する際には、
難しい判断や専門知識を求められる場面があります。
このため、担い手の問題解決力を高めるための学習の機会を提供することが重要です。
取組み
主体ごとの主な役割
市民
1
地域の福祉の担い手(役員)の養成
社協
市
市民
2
地域福祉等の担い手(有志)の養成と活動
の支援
社協
市
・担い手へ負担が偏りすぎないように、できるだけ
地域で必要な役を分担します。
・支部社協の核となる人材の育成や資質向上のた
め、合同研修を開催します。
・複雑化する地域課題についての理解を共有する
ため、民生児童委員等に対する研修を行います。
・広い意味での福祉活動に関心を持ち、学習した
ことを生かして、より充実した活動を展開します。
・いきいきサロン*リーダー、助っ人会員*の養成を
行います。
・養成講座の希望者を募集し、学習後の自主的な
活動を支援します。
・認知症サポーター*
・介護予防・健康づくり応援団* 等
19
基本目標1:支え合い・助け合い意識の創造
推進施策1-3:市民、事業者・団体、学校等、社協、市とのパートナー
シップの構築
▼現状と課題
本市では、これまでにも、市や社協と区・自治会が連携して、地域福祉を推進する体制をつくって
きました。今後、高齢者の増加等を背景に福祉ニーズがさらに増大していく中で、各地域の実情にあ
った活動体制を整えていく必要があります。
誰もが安心して生活できる地域をつくるためには、市民、事業者・団体、学校等、社協、市などの
各主体が互いの役割を認識し、パートナーとしてそれぞれの特長を生かして協力し合う関係を構築す
る必要があります。
また、地域福祉を推進させていくための羅針盤の役割を果たす本計画を着実に進捗させるために、
計画策定後、参画した各主体と“協働*による進捗管理”の体制をつくるとともに、毎年度、計画の
進行管理を行っていく必要があります。
▼基本方針
 市民、関係団体、市とのパートナーシップ*による地域福祉の推進体制の構築と
協働*による進捗管理を行います
20
基本施策 1-3-1:新しいパートナーシップ*の仕組みづくり
超高齢社会*の到来、福祉や自治活動の担い手の高齢化などの課題の解消へ向けて、市内の地域社
会における福祉の位置づけや、市民、事業者・団体、学校等、社協、市の役割分担を明確に定め、そ
れぞれの地域の特性にあわせて、自らの地域の福祉を高めるために協働* できる体制をつくります。
また、団塊の世代が 75 歳以上を迎える平成 37 年を見据えた「地域包括ケアシステム*」の構築に
向けて、新たな取組みがはじまっています。医療、介護、介護予防、生活支援などの各種サービスを
一体的に提供できるよう、地域ケア会議*などを通じ、地域内での協力体制を構築するための意識共
有を図る必要があります。
取組み
主体ごとの主な役割
市民
事業者・
団体
1
地域コミュニティの独自
性・自主性を生かした推
進体制の構築
学校等
社協
市
・地域包括ケア*を担う一員として、地域の福祉活動などを進める
上での課題を整理し、より好ましい福祉活動の体制づくりを進めま
す。
・区長・自治会長は市や社協と連携して、対処すべき問題の発見と
情報の共有に取り組みます。
・地域社会の一員として、地域福祉活動への参加や地域の高齢者
や子どもの見守りなど、直接または間接的に地域福祉活動へ貢
献することが期待されます。
・介護事業者や医療関係機関は、地域ケア会議*に参加するなど
職種を超えて介護等の技術や情報の共有を図ります。
・小中学校、保育園、幼稚園等も地域福祉の担い手として、日頃の
教育・保育活動を通じて、家庭や子どもの問題の発見に努め、他主
体と協力や連携できる体制をつくります。
・支部活動やサロン活動などを区・自治会や市の各種事業と連携し
ながら展開します。また、地域ケア会議*等を通じ、福祉ニーズに対
応した新しい支援体制を検討し実践します。
・各地区の特性を踏まえた、最適な地域福祉の推進体制をつくるた
め、既存の機関や制度についての見直しを随時行い、最適な支
援体制を構築します。
・個別地域ケア会議*を主催し、要支援者をサポートするとともに、
そこで確認された解決策や課題をより広い関係者間で共有します。
基本施策 1-3-2:地域福祉活動の実践と評価・改善
地域福祉を着実に進めるためには、地域福祉計画を定期的に評価し、取組みを継続的に改善してい
くことが必要です。多様な主体が参画でき、客観的に評価ができる体制を整える必要があります。
取組み
主体ごとの主な役割
市民
1
地域福祉活動の計画的
な進捗と改善の仕組み
づくり
事業者・
団体
社協
市
・地域福祉活動を実践し、実践した効果や課題を整理して、活動を
改善できるような体制を市・社協等と連携してつくります。
・地域の福祉サービスの担い手として、市民や行政、社協等の地域
福祉活動に対する評価に参画するととともに、福祉事業者や団体自
身の活動を評価改善するよう努めます。
・地域福祉計画及び地域福祉活動計画により、事業活動の進捗と
成果及び改善点を把握しながら、計画的な事業活動を展開します。
・地域福祉計画の進捗を管理するための体制をつくり、地域福祉活
動の状況を把握しながら、事業を展開します。
21
22
基本目標2
基本目標2 ともに支え合う地域社会の再生
ともに支え合う地域社会の再生
障がいの有無や年齢に関わらず、自分の住みたい場所で、できる限り自立(自律)し
た生活をおくることは、人としての尊厳を守り、一人ひとりが生きる意味を見出す上で
重要なことです。誰もが安心して生活できる地域社会をつくるため、市民自らが地域の
課題に気づき、相互に支援し合える力や問題解決力を高めていけるような地域社会を構
築します。そのために、市民同士の声かけや見守りの体制づくりなど、日常的な市民の
交流を図ります。
また、こうした地域のつながりを基盤とした安心かつ安全な体制づくりに向けて、緊
急時・災害時の支え合い、防犯体制の充実を目指します。
これにあわせて、地域の貴重な福祉の担い手であるボランティアや家族会などの市民
活動の活性化を図り、支援が必要な方の暮らしを支えるための連携を促進します。
23
基本目標2:ともに支え合う地域社会の再生
推進施策2-1:声かけ・見守り活動の推進
▼現状と課題
わが国には、集落の構成員全員が協力して地域の様々な問題解決のために協力する伝統があります
が、経済成長に伴う人の移動の活発化や、個人の価値観の多様化に伴って、近隣での協力関係が弱ま
る傾向が続いています。
本市は、区・自治会への加入率が高く、地域で支え合う体制は整っているといえます。しかし、近
年、若い世代だけではなく、長年暮らしている市民も地域活動への参加率が低くなっています。
支え合うことのできる人間関係や地域の相互扶助の関係は、長い年月をかけて培ってきた地域の財
産です。この貴重な財産の価値を理解し、なくならないように協力の輪を広げていく必要があります。
高齢者・障がい者・子どもに対しては、民生児童委員や社協支部などが組織的に声かけや見守り活
動を行っていますが、近隣の市民にも、高齢者世帯などへの声かけや見守りを行うことが期待されま
す。市や社協には、こうした地域の見守り活動が広がるよう、市民主体の取組みを支援することが求
められます。
▼基本方針
 安心して暮らせる地域をつくるため、身の回りの問題を自分たちの問題として捉え、
手助けが必要な人や孤立しがちな人を近隣で支えます
安心して暮らせる地域になっていますか?
無回答
2.9%
[充実していないと回答した人]その理由(複数回答)
0
充実している
2.9%
50
100
充実していない
5.6%
84
高齢者、障がい者等への
理解がないから
地域や福祉に関する情報
が余りないから
まあまあ充
実している
44.1%
160
地域の活動へ参加する機
会がないから
あまり充実
していない
26.3%
67
60
その他
無回答
(n=1017)
200 (人)
97
近所つきあいがないから
わからない
18.4%
150
13
(n=324)
出典:平成 27 年度市民満足度調査
≪市民満足度調査のご意見より≫
悩み

高齢化が進み、地区役員のなり手がいない上に、若者が出てこない。

意見
同じ地域に住んでいても顔をみたこともない人が多い。近所の人たちと交流の持てる社会に
なると良い。
24
基本施策 2-1-1:声をかけあえる関係づくり
伝統的な相互扶助の仕組みである区・自治会活動をはじめ、サロンやクラブ活動がありますが、普
段からの挨拶などを通じて、基本的な近隣関係や人間関係を深めていくことで、年齢や個々の生活様
態に関わらず、必要なときの手助けや声をかけあえる関係づくりを推進していきます。近年、支援が
必要な人が増えているため、声かけや仲間づくりを重点的に行う必要があります。
取組み
1
市民間の交流の促進
主体ごとの主な役割
市民
市民
事業者・
団体
2
区・自治会活動等への加
入促進
学校等
社協
市
市民
3
生きがい・仲間づくり
・近隣関係での日常的な挨拶や会話などを通じて、世代や生活様態
に関係なく、困ったときに相談したり、手助けしたりし合える関係をつく
ります。
・地域社会の一員として、地域の問題の解決や地域文化の継承など
の取組みに協力します。
・地域社会の一員として、地域の問題の解決や地域文化の継承など
の取組みに協力するよう努めます。
・生徒・児童が地域交流や自治会活動に積極的参加するよう、地域と
生徒・児童をつなぐ窓口としての役割を担います。
・地域福祉活動を推進する社会福祉協議会への市民の参加を促進し
ます。
・転入者に対して、区・自治会の地域活動の実態や意義を周知する
ことによって、加入を促進します。
・生きがいや仲間を持って生活していくように努めます。また、周囲に
孤立している人がいれば気遣うように努めます。
社協
・いきいきサロン*、子育てサロンなどの運営を通じて市民の仲間づく
りやグループ活動を支援します。
市
・老人クラブ活動、いきいきサロン*などの地域に密着したグループ活
動の運営支援や活動参加を促すためのきっかけづくりを行います。
基本施策 2-1-2:見守り活動の推進
何か異変があった場合には、近隣の市民がいち早く気がついて、手助けをしたり、専門機関などに
連絡を入れたりすることが、地域のセーフティネット*となり、安心して生活できる地域づくりにつ
ながります。市民同士で見守りができる体制づくりを一層強化していく必要があります。
取組み
主体ごとの主な役割
市民
事業者・
団体
学校等
社協
1
見守り体制の構築と組織
的な実践
市
・「向こう三軒両隣」の精神で、緊密な近隣関係をつくり、互いに見守
り、手助けを行います。
・児童・生徒の校外活動時の見守りに協力します。
・見守りが必要なサービス利用者の存在を、市に伝えます。
・小中学校、保育園、幼稚園等は教育・保育活動を通じて、見守りが
必要な家庭や子どもの発見に努めます。
・小地域ネットワーク事業や社協支部活動などを通じて、地域での見
守り体制の構築と実践を支援します。
・民生児童委員への研修、配食サービス事業、災害時支え合いマッ
プづくり等を通じて、地域での見守り体制の充実と実践を支援します。
・児童生徒の校外活動時の市民による見守りを支援します。
・高齢者、障がい者及びその家族を支援する「認知症見守り、虐待防
止、孤独死防止」等の地域ネットワークを構築します。
・緊急通報システム、安心コールなどの連絡システムによる見守りを行
います。
・民生児童委員による高齢者、障がい者等への見守り活動を支援しま
す。
・児童相談所や関係機関等と連携を図りながら、子どもの貧困*の早
期発見と相談支援等を進めます。
25
基本目標2:ともに支え合う地域社会の再生
推進施策2-2:安心・安全に暮らすための支援体制の整備
▼現状と課題
自然災害の件数や被害の規模が、近年、拡大しており、市民の自然災害への危機感が高まっていま
す。本市では、区・自治会が中心となって防災訓練の実施や防災組織の設置などを行ってきましたが、
高齢者や障がい者の参加率が高まらない状況にあります。
本市では、災害に備えて、高齢者や障がい者など支援を必要とする人の避難等を図るため、
「災害
時支え合いマップ」を全地区で作成しましたが、市民への周知が足りないなど、実際の活用に対する
課題があります。
平成 25 年 6 月には、災害対策基本法の一部改正により、高齢者、障がい者、乳幼児・妊産婦など
防災施策に配慮を要する方(要配慮者)のうち、災害発生時に特に避難支援を要する方(避難行動要
支援者。以後「要支援者2」という)の名簿(避難行動要支援者名簿)の作成が義務づけられました。
要支援者のうち、区、自治会、自主防災組織等へ名簿情報の提供に同意をいただいた方に、個人情報
の保護に留意しながら、災害時地域で必要な支援が受けられるよう個別支援計画を作成するなど、支
援体制の構築を進めております。
また、近年、高齢者を狙った悪質な詐欺や子どもが巻き込まれる犯罪などが社会全体で増加してい
ます。本市の詐欺被害は深刻なペースで増えており、県内でもワースト上位の状況です。こうした犯
罪は、日頃の声かけや見守り活動など、地域のつながりや働きかけによって未然に防ぐことができる
ものも多くあります。地域の無関心が犯罪の温床をつくり出さないよう、地域の防犯力を取り戻すこ
とが重要です。
救急医療については、長野エリア(二次保健医療圏)
、北信エリア(三次保健医療圏)の広域連携
体制の中で提供されています。限られた医療資源を前提に、保健医療サービスを適切に提供するため
には、医療機関が機能を分担し、相互に連携する必要があります。また、高齢化や市民意識の変化な
どによって増加しつつある救急医療について、市民の適正な利用を図るための取組みも求められてい
ます。
▼基本方針
 “万一”の事態に対応できる緊急時・災害時の支援体制を構築します
 犯罪を未然に防ぐための、地域の見守り・声かけ体制を強化します
≪市民満足度調査のご意見より≫
 地域によっては消防団員の高齢化や人員不足が問題になっている。地域に人材が不足してい
提案
るなら、その地区の企業から参加させるなど、新たなルールをつくらないとまともに活動で
きない。
2
要支援者:災害基本法の改正に伴う「避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組指針」に示された表記で、今までは、一般的
に「要援護者」といわれてきました。
26
基本施策 2-2-1:災害に備えた体制づくり
災害はいつ起きるかわからないため、万一の事態に備えた普段からの取組みや体制づくりが重要に
なります。大きな災害の際には、地域で迅速かつ自主的に動ける体制、“災害弱者*”をつくらない
体制をつくる必要があります。
取組み
主体ごとの主な役割
市民
1
災害時支え合いマッ
プづくりの推進と活
用
社協
市
市民
2
災害に備えた地域体
制づくり
事業者・
団体
学校等
社協
市
・区長・自治会長を中心に民生児童委員などが協力し、災害時の要支援者の
把握と地域で要支援者を援助する人の選定を行い、災害時に備えます。
・個人情報の保護*に配慮しながら、要支援者の情報を適性に保管します。
・区・自治会、自主防災組織が中心となって、個別支援計画を作成します。
・マップを活用しながら、小地域ネットワーク事業により見守り体制の推進を図り
ます。
・マップづくり活動の拡大と要支援者と援助する人の異動の更新を支援します。
・要支援者の情報を市民と共有できるよう、内部の体制を構築します。
・避難行動要支援者名簿などを作成・更新し、個人情報保護*に留意します。
・万一に備えた防災組織の設置と訓練等の活動を継続して行います。
・高齢者や障がい者の防災訓練への参加を促進します。
・消防団に加入し、災害時に備えます。
・災害時ボランティアに登録し、万一に備えます。
・地域住民の協力を得て、避難訓練を実施します。
・災害時の避難場所等の拠点として機能するよう備えます。
・避難訓練や生徒・児童への災害教育を実施します。
・災害時のボランティアの事前登録の啓発と推進に努めるともに、災害時には災
害ボランティア事務局として連絡調整を行います。
・消防団・自主防災組織の訓練活動等を促進します。
基本施策 2-2-2:防犯体制の充実
高齢者や子どもを狙った犯罪の抑止には、地域の監視の目が重要な役割を果たします。地域で見守
り、高齢者や子どもを一人にしないことが、地域の防犯力を高めていくことにつながります。
取組み
主体ごとの主な役割
市民
学校等
1
犯罪を未然に防ぐた
めの体制づくり
社協
市
・日頃から周囲の高齢者や子どもに声かけをし、トラブルや虐待等の問題がな
いか見守ります。
・トラブルや虐待等の情報を市に通報します。
・不審者情報を集約し、各家庭に周知するとともに、市に通報します。
・地区ごとの見守り活動、パトロール活動を支援し、犯罪の早期発見と未然防
止を図ります。
・警察署等と連携し、詐欺や悪質商法等、消費者トラブルに関する情報を発
信し、市民が通報や相談のできる窓口の充実を図ります。
・出前講座等の啓発活動を行います。
・事業者との見守り協定の締結により、見守り体制を強化します。
基本施策 2-2-3:救急医療体制の充実
市民が安心して暮らせる地域をつくるため、市は、昼夜を問わず発生する急病や事故等の緊急時に
対応できる救急医療体制の充実を図っていく必要があります。一方、市民は、救急医療が必要かどう
か適切に判断して医療機関を利用する必要があります。
取組み
主体ごとの主な役割
市民
1
救急医療体制の充
実
市
・救急医療体制についての理解を深め、適切に利用します。
・AED(自動体外式除細動機)の操作や救急法などの講習会を受講し、救護
の知識を深めます。
・休日当番医、夜間初期救急医療機関、二次救急医療機関等の確保のため
の調整を図ります。
・休日や夜間救急の受診方法、救急電話相談の利用方法などについての啓
発を行います。
27
基本目標2:ともに支え合う地域社会の再生
推進施策2-3:ボランティア組織などの市民活動の連携と支援
▼現状と課題
近年、ボランティアやNPO*などの市民活動団体の活動が注目されています。自分にあった活動
内容や時間でできるものがあれば、参加してもよいと考えている市民は少なくありませんが、実際に
ボランティア活動を行っているのは一部の市民にとどまっているのが現状です。ボランティア活動を
活発にするためには、正確でタイムリーな情報提供、個別の要望に対応できる調整能力の向上、ボラ
ンティア活動等に対する学習機会の充実などに努める必要があります。
また、現在活動中のボランティア団体においても、近年、メンバーの固定化・高齢化が進んでいる
ため、新しい人材の加入や他団体との連携を促進し、活動の活性化を目指す必要があります。
今後、地域包括ケアシステム*を構築していく中で、地域において家事支援や外出支援など様々な
生活支援サービスが提供され、有償ボランティア*といった新しい概念による地域福祉活動も含めて、
幅広く検討していく時代に入っています。こうしたボランティア体制づくりにあたっては、これまで
以上に市民をはじめ各主体同士の連携が重要になります。
▼基本方針
 誰かの役に立ちたい気持ちを行動につなげるボランティアコーディネートと活動団
体の育成を行います
 当事者グループの参加メンバーの拡大と他団体等とのネットワーク化を進めます
≪市民満足度調査のご意見より≫
意見

現在、見守りやサロン等のボランティア活動を盛んにしている年代は限られている。30~
50 代の人たちの生活観が個人主義になっていないだろうか。
28
基本施策 2-3-1:ボランティア活動の活性化
福祉分野を含めた幅広い活動情報の収集や情報提供、様々なボランティア団体が連携するための交
流の場づくり、また課題の解決のためのネットワークづくりなどの支援を行うことで、地域でのボラ
ンティアなどの市民活動を活性化することが求められます。また、有償ボランティア*など新しい形
の活動により、地域で安定的に生活支援サービスを提供できる体制を構築することが必要です。
取組み
主体ごとの主な役割
市民
事業者・
団体
1
ボランティア活動への参加促進
社協
市
市民
事業者・
団体
2
ボランティア組織等の設立・活性化の促進
社協
市
・ボランティア活動に個人として参加することで、買
い物やゴミ出しといった日常のちょっとした手助け
や、地域の様々な問題の解決に協力します。
・社員のボランティア活動への参加を通じて、企業
としての社会貢献の実施に努めます。
・ボランティアセンターの運営を通して、個人ボラン
ティアへの参加の促進に努めます。
・交流や情報の提供によって、ボランティア団体の
活動のサポートに努めます。
・変化する地域課題や社会情勢に対応した新しい
福祉サービスの創設に努めます。
・社会情勢に対応した新しい分野(認知症サポー
ター*など)や不足している分野(聴覚障がい者支
援ボランティアなど)でのボランティアの育成を支
援します。
・ボランティア組織等の設立や活動に携わること
で、地域の様々な問題の解決に協力します。
・寄附等を通じて、企業としての社会貢献の実施に
努めます。
・ボランティアセンターに登録されている団体の活
動の活性化のための支援に努めます。
・食生活改善推進協議会*等、市が事務局を務め
ている保健福祉団体の自主活動への支援をしま
す。
基本施策 2-3-2:家族会・当事者団体等の活動の活性化
高齢者、障がい者、子育て中の親なども、福祉サービスを受けるだけでなく、地域福祉活動の担い
手となり、様々な福祉課題の解決に主体的に取り組むこともできます。家族会や当事者団体が活発に
活動できるよう、活動への参加促進とネットワークづくりを支援します。
取組み
主体ごとの主な役割
市民
1
活動への参加促進とネットワークづくり
事業者・
団体
社協
市
29
・PTA、保護者会、育成会活動など当事者として地
域活動に参加するよう努めます。
・障がいの有無や年齢に関わらず、同じ境遇や問
題意識を持つ人とともに連携し、状況の改善に努
めます。
・企業の社会貢献として、家族会や当事者団体の
支援に努めます。
・家族介護者の交流事業や子育てサロンの開催に
より、同じ境遇や問題意識を持つ市民のグループ
活動の促進に努めます。
・福祉課題を抱えて孤立してしまいがちな市民が
交流できる機会をつくります。
・老人クラブ、障がい者団体などの当事者団体の
主体的な活動を支援します。
30
基本目標3
基本目標3 地域で自立した生活をおくるための支援体制の構築
地域で自立した生活をおくるための支援体制の構築
高齢や心身の障がい、貧困など様々な要因が重なって、日常生活に支障をきたしたり、
孤独や不安感を抱えたり、社会的に孤立するなどの課題が生じています。こうした課題
を抱える個人や家族が、地域にある様々な福祉サービスや市民活動などを利用したり、
社会活動に参加したりすることで、その人らしく自立(自律)した生活を営めるよう、
利用者の立場に立った適切な支援を行うことが求められています。
このため、福祉ニーズに応えられる地域福祉拠点の整備や、福祉ニーズと対応する機
関や解決策をコーディネート(調整)する機能の向上を図り、必要なサービスが必要な
人に行き届く支援体制を構築します。また、福祉サービスだけではなく、まちづくりの
発想自体を転換し、福祉課題を抱える人の目線に立つことにより、誰もが暮らしやすい
まちづくりを進めます。
31
基本目標3:地域で自立した生活をおくるための支援体制の構築
推進施策3-1:福祉情報の発信と相談体制づくり
▼現状と課題
公的福祉サービスは、以前は市等が措置として行ってきましたが、現在は、利用者が自ら選択し契
約することにより利用する仕組みになっています。福祉サービスには、複雑な利用条件が設定されて
いるため、選択するには十分な情報を得なければなりません。
公的福祉サービスの利用以外にも、生活上の困りごとがあった場合に、適切な助言を得られる相談
先があることは大変心強いことであり、気軽に利用できる身近な相談窓口の周知と展開が期待されて
います。また、福祉ニーズは、複雑化かつ多様化しており、相談に対応する側には、高い専門性と共
に、幅広い分野の知識を兼ね備えた総合力が求められています。
これらのことから、身近な場所で専門的総合的に質の高い相談ができる拠点の展開により、相談体
制の充実を図るとともに、地域住民の身近な相談相手である民生児童委員の活動の充実にも取り組む
ことが求められています。
▼基本方針
 福祉サービスを納得して選択し、利用できるよう情報提供の充実を図ります
 福祉ニーズの複雑化・多様化に対応した相談支援体制の充実に努めます
≪市民満足度調査のご意見より≫
提案
困ったことがあったときに、どこに、どう助けを求めたり、話を聞いてもらえばいいかがと
てもわかりにくい。もっとわかりやすく、聞きやすいと安心して相談に行ける気がします。
32
基本施策 3-1-1:福祉サービスに関する情報発信の充実
市民が各々の状況に適したサービスを選択するには、必要なサービスを行っている機関や窓口、サ
ービス内容や利用料金などを的確に把握できる体制が必要となります。このため、誰がみてもわかり
やすい情報が公開されていることが求められます。
取組み
主体ごとの主な役割
市民
事業者・
団体
1
わかりやすい情報発信
社協
市
・福祉サービスや団体に関する情報を積極的に入
手し、理解し、適切に利用します。
・市民が適切にサービスを選択し利用できるよう、
ホームページやパンフレット等を通じた情報発信
に努めます。
・ホームページを改善し、よりわかりやすい情報発
信に努めます。また、社協だより・支部社協だよりを
発行し、地域福祉に関する情報の発信に努めま
す。
・市報やホームページ、各種説明資料等による福
祉サービスについての総合的でわかりやすい情報
を提供し、市民のサービス選択を支援します。
基本施策 3-1-2:相談支援体制の充実
福祉の制度や利用できるサービスの内容は複雑さを増しており、独力で理解し使いこなすことが難
しい状況にあります。市民が身近な場所で、福祉に関する相談ができて、課題や不安が早期に解消さ
れるような体制を整える必要があります。
取組み
主体ごとの主な役割
市民
事業者・
団体
社協
1
相談支援の提供
市
・社協・市などが開設する相談窓口を利用して制
度やサービスを理解します。
・介護相談など、福祉サービスを利用する際に参
考となる相談の機会を設けるように努めます。
・心配ごと相談、行政書士相談、結婚相談などの
個別相談事業の実施、充実に努めます。
・社協支部活動の充実により、様々な形で市民の
心配ごとを受け止めて対応を行います。
・日常生活自立支援事業*についての学習の機会
を設け、普及に努めます。
・成年後見制度*の利用促進に努めます。
・市民からのあらゆる相談を受け止め、対応できる
部署や機関に的確につなぎます。
・保健、福祉、介護、医療に関わる様々な専門相
談の窓口を設けます。
・民生児童委員が地域の窓口として様々な相談に
応えられるように支援します。
・日常生活自立支援事業*や成年後見制度*など
の広報啓発を通して、正しい理解や適切な利用の
促進に努めます。
・「千曲市生活就労支援センター(まいさぽ千曲)」
の支援内容を周知し、利用を促進します。
33
基本施策 3-1-3:福祉サービス拠点の整備と運営
高齢者、障がい者、子育てなどそれぞれの福祉分野で支援が必要な人を支えるためには、子育て支
援センターやふれあい福祉センターなど、専門的な相談窓口やサービス提供の機能を備えるとともに、
市民のボランティア活動や交流の場となる身近な拠点が必要です。
取組み
主体ごとの主な役割
市民
事業者・
団体
1
福祉サービス拠点の運営
社協
市
34
・ファミリー・サポート・センターなど、拠点が提供す
る福祉サービスに登録し、運営に協力します。
・サービスを直接提供するだけでなく、参加者との
交流を促すような拠点となるよう努めます。
・ふれあい福祉センターを適切に管理・運営しま
す。
・利用促進のため、ホームページや広報等による
広報を行います。
・福祉サービス拠点について検討します。
・管理者を選定し、適切なサービス拠点が運営さ
れるよう努めます。
基本目標3:地域で自立した生活をおくるための支援体制の構築
推進施策3-2:サービスの質の向上
▼現状と課題
福祉サービスを必要とする人にとって、質の高いサービスを求めることは必然のことであり、事業
者はその要望に応えるため、サービスの質の維持・向上に向けた取組みを継続的に行っていくことが
必要です。
このため、
福祉サービス事業者は、福祉サービスを担う人材が最新の理論や技術を習得できるよう、
各種研修の実施やスタッフの外部研修への参加を促進することが求められます。あわせて外部評価に
よってサービス水準を客観的に評価し、その結果を公表することも必要となっています。
一方、県や市には、福祉サービス事業者が、少なくとも経営やサービス提供の最低基準を確保し、
適性に経営しているかを監査・指導する義務があり、基準以下の場合には適切な指導を行い、一定の
サービス水準を確保する必要があります。
また、利用者の要望や苦情を受け止める仕組みの充実を図る必要があります。
▼基本方針
 市民が質の高い福祉サービスを受けられるよう、専門性を持った福祉人材の育成を
支援するとともに、事業者が水準を満たしたサービスを提供するよう市が監督・指
導します
[参考]第三者評価と最低基準及び監査との関係
35
基本施策 3-2-1:複雑化する福祉課題に対応できる人材の育成
福祉サービスの最低基準の遵守と適正な運営に向けた社会福祉法人・社会福祉施設等に対する指導
監査等を充実させるとともに、サービスの担い手となる従事者の交流と技能・知識の向上を目指して、
従事者研修等の充実を図ります。
取組み
主体ごとの主な役割
事業者・
団体
社協
1
各種研修の実施
市
・従事者研修会や交流会等に参加し、新しい制度
やサービスに対応できる人材の育成に努めます。
・職員研修を開催し、新しい制度に対応できる人
材の育成に努めます。
・市職員の専門性を高めるため、各種研修会に参
加し、また新たな制度改正などの知識を習得す
る機会を確保します。
・市内の福祉事業者が参加できる技能講習会・研
修会等の開催に努めます。
基本施策 3-2-2:福祉サービス事業所のサービス水準の確保
事業者が継続的に福祉サービスの質を高め、市民ニーズに対応したサービスが提供できるように、
自らのサービスを評価・検証できる評価制度の導入と、結果の情報公開を進める必要があります。ま
た、サービス利用者が提供者と対等な立場で安心してサービスを利用できるよう、利用者の要望や苦
情を受け止める体制を確保していく必要があります。
取組み
主体ごとの主な役割
市民
事業者・
団体
1
評価制度の導入と情報公開
社協
市
2
サービス水準確保のための監督指導
市
3
利用者の要望・苦情を受け止める体制の充
実
市
36
・サービスに対するアンケート調査などに協力し、
福祉サービスに対する評価を行います。
・自己評価や福祉サービス第三者評価事業等を
活用し、サービス水準の確保・向上に努めます。
・自己評価や福祉サービス第三者評価事業等を
活用し、サービス水準の確保・向上に努めます。
・情報提供とサービスの質向上、市民参画の一形
態としても期待される「福祉サービス第三者評価体
制」の充実に向け、支援をしていきます。
・社会福祉法人等指導監査を実施し、法人におけ
る適正かつ円滑な運営の確保を図ります。
・サービス利用者のための苦情相談窓口の充実を
図ります。
・第三者委員による苦情の原因の調査、苦情の解
決の体制の充実を図ります。
基本目標3:地域で自立した生活をおくるための支援体制の構築
推進施策3-3:持続的なサービス提供
▼現状と課題
本市では、市民の福祉ニーズの内容や量を踏まえた公的福祉サービスの整備を行ってきましたが、
近年、福祉課題が増大し、複雑化する中で、福祉ニーズの内容や量は常に変化し、正確な予測が難し
くなってきています。
しかしながら、将来的にサービスの過不足や財政への過度な負担が生じないよう、的確な事業計画
を立て、地域包括ケアシステム*をはじめとする、各種の福祉サービスを提供できる体制を構築して
いく必要があります。
このため、高齢者・障がい者・子育て等の分野別の正確な福祉ニーズの把握に努めるとともに、分
野を横断する問題や少数の課題についても状況の把握に努めます。また必要に応じて既存の事業を補
完できる新たな独自事業を検討します。
▼基本方針
 新しいニーズへの対応や解決が難しい課題を解決するために、必要に応じて調査を
行います
 継続的に、必要なサービスが提供され、利用できる体制を地域の中で構築します
37
基本施策 3-3-1:福祉ニーズの把握とサービス提供体制の整備
福祉ニーズの内容や量は常に変化しています。今後見込まれる福祉ニーズを把握し、サービスの過
不足ができるだけ生じないような事業体制を構築することが必要です。また、ニーズを把握すること
で、市民が必要とする新たな福祉サービスを把握し、開発することも求められます。
取組み
主体ごとの主な役割
事業者・
団体
1
調査による福祉ニーズの把握
社協
市
事業者・
団体
社協
2
福祉サービス提供体制の計画的な整備
市
38
・事業者及びボランティア組織等は、サービスの質
を向上させるため、利用者の声を定期的に聞く機
会を設けるように努めます。
・支部活動を通じた地域福祉の課題を把握し、事
業に役立てます。
・施設利用者やイベント参加者へ定期的にアンケ
ート調査を実施します。
・高齢者実態調査等、保健福祉の個別計画の策
定・見直しにあわせて市民のニーズを把握し、事
業へ反映させます。
・健全な経営に努め、必要な福祉サービスの確実
な提供に努めます。
・健全な運営に努め、必要な福祉サービスの確実
な提供に努めます。
・人口推計、事業量の実績などから将来必要とな
るサービス量を提供できる体制をつくるよう、民間
に働きかけるとともに設置・運営の支援を行いま
す。
基本目標3:地域で自立した生活をおくるための支援体制の構築
推進施策3-4:心身の健康づくりの推進
▼現状と課題
住み慣れた地域で自分らしく暮らしていくためには、心身の健康が非常に重要です。
本市では、平成 25 年度から 10 ヵ年を期間とする健康づくり計画「健康アップ千曲 21(第二次)」
を策定しました。この計画により、ライフステージ別に市民が取り組むべき健康づくりの実践内容を
整理し、健康づくりのための取組みを推進しています。
健康づくりに関する情報には、様々な場面で触れることができますが、実際に、身体によいことを
継続的して実践することは簡単ではありません。市民が健康への意識を高め、生活習慣病予防や食生
活の改善など、自主的に実践活動を継続できるような支援を行っていく必要があります。
また、近年、厳しい経済情勢や雇用環境を背景として、ストレスによる睡眠障がいやうつ病、自殺
の増加などが社会問題となっています。休養の必要性やうつ病などのこころの病気についての知識の
啓発・普及等より、自分や周囲の人たちのこころの健康を気遣い、自分にあったストレス解消法をみ
つけたり、不健康状態になったときに相談や医療機関を受診したりするなど、適切な対応ができるよ
うな市民を増やしていく必要があります。
▼基本方針
 市民が自らの健康課題を把握し、自分の健康に自覚と責任を持って、生活習慣病予
防など健康づくりを実践できるような体制づくりを行います
 休養の必要性やうつ病などのこころの病気についての知識の啓発・普及に努めます
39
基本施策 3-4-1:健康づくり意識の醸成と自主活動の推進
市民一人ひとりが「自らの健康は自らが守る」という意識を持って、こころと身体の健康を保つた
めに健康づくり活動を日常的に実践することが重要です。市や社協では、健康づくりに意欲的に取り
組む市民を支援します。
取組み
主体ごとの主な役割
市民
1
健康づくり意識の醸成
市
市民
社協
2
自主的な健康づくり活動の推進
市
・健康に関する幅広い知識の習得に努めます。
・こころと身体の健康増進の実践に取り組み、健康
づくり意識を高めるように努めます。
・広報、ホームページ等を使い健康づくり意識向上
のための情報提供を行います。
・健康づくりに関する講話等を開催します。
・こころの健康講座を開催します。
・健康に対する意識を高め、各種検診を受診し、
自分の健康状態を確認するとともに、食生活をは
じめ、正しい生活習慣、身体によい活動を継続し
て取り組みます。
・健康づくりの視点を取り入れて、各種福祉事業を
展開します。
・健康づくり計画の進捗確認によって市民の健康
課題を把握し、市民へ情報提供します。
・生活習慣病予防のためのライフステージにあわ
せた保健対策を促進します。
・食生活改善推進協議会*等健康を考えるグルー
プの自主活動を支援します。
基本施策 3-4-2:こころの健康づくり
過労や過度のストレスにより、こころの健康を崩してしまう人が増加しています。このため、休養
の必要性やうつ病などについての知識の普及・啓発を行い、こころの病気の未然防止・悪化防止を推
進する必要があります。
取組み
1
主体ごとの主な役割
市民
・こころの健康やストレスの解消方法について学
び、自分自身を守り、周囲の人を気遣います。
事業者・
団体
・従業員へのストレスチェックの実施に努めます。
こころの健康についての啓発
市
40
・講演会や広報等を活用して、休養や睡眠の必要
性、うつ病などのこころの病気、自殺の現状、ストレ
ス解消等についての知識普及を図ります。
・悩みを抱えこみすぎないよう、相談体制の充実と
PR を行います。
基本目標3:地域で自立した生活をおくるための支援体制の構築
推進施策3-5:誰もが暮らしやすいまちづくり
▼現状と課題
高齢者、障がい者、子育てをしている家庭など、誰もが快適に日常生活をおくるためには、生活し
やすい社会基盤が整備されている必要があります。
本市では、ハートビル法*に基づいて、公共施設のバリアフリー化*を推進し、誰もが使いやすい
施設づくりを推進してきました。こうした取組みを民間施設にも広めていくとともに、不便を感じる
人の声を生かした施設や設備の整備を図っていくことが求められます。
こうした考えから、交通環境の整備により、交通弱者の移動を支援していくことも求められていま
す。今後も、不便を感じている市民の目線に立って、暮らしやすいまちづくりのため、あらゆる分野
の施策展開を図っていく必要があります。
▼基本方針
 公共施設等のバリアフリー化*を促進します
 安心で住みやすい住宅環境の整備を行います
 安心して使えて移動しやすい交通環境の整備を行います
41
基本施策 3-5-1:施設・住宅のバリアフリー化と耐震化
誰もが日常生活の中で利用する公共施設や病院・駅・大型商業施設など、市民の集まる施設のバリ
アフリー化*と耐震化を進め、安心で住みやすいまちづくりに努めます。
取組み
主体ごとの主な役割
市民
1
公共施設、大型施設のバリアフリー化*・
耐震化
事業者・
団体
市
2
住宅のバリアフリー化*・耐震化
市
・公共施設等の建設計画や設計過程に参画するなど、
誰もが使いやすく安全な施設・設備の充実に向けた提
言を行います。
・多くの人が利用する大型施設や福祉施設では、公共
施設と同等のバリアフリー化*・耐震化に努めます。
・新規公共施設については、バリアフリー*・耐震を前提
として建設を進めるとともに、既存施設の改修時にもバリ
アフリー化*・耐震化に努めます。
・高齢者、障がい者家庭のバリアフリー化*・耐震化等、
住宅環境の改修の支援を行います。
・市営住宅の建て替えにあたっては、バリアフリー化*・
耐震化を実施します。
基本施策 3-5-2:安心して自由に移動できる交通環境の整備
道路環境や公共交通の整備、その他の交通手段の確保を通じて、誰もが使いやすい交通環境の整備、
移動しやすいまちづくりに努めます。
取組み
1
公共交通、道路などのバリアフリー化*
主体ごとの主な役割
市
市民
2
公共交通の充実
市
社協
3
高齢者・障がい者の移動手段の確保
市
42
・歩道の設置と段差解消に努めます。
・歩行者と自転車の通行帯区分の分離を行います。
・市道のバリアフリー化*に努めます。
・健康や環境への影響に配慮し、公共交通機関の利用
に努めます。
・路線の定期的な見直し等を行い、循環バス等の運行の
充実を図ります。
・市民の公共交通の利用を促進します。
・身体的、年齢的に公共交通の利用が困難な市民を対
象に、福祉自動車の貸出を行います。
・障がい者を対象に、タクシー利用料金の割引等の助成
を行います。
・高齢者・障がい者を対象に、循環バス利用料金の割引
を行います。
資料編
43
■用語解説
用語
いきいきサロン
解説
ひとり暮らしや家の中で過ごしがちな高齢者等が集い、ふれあい
を通して生きがいづくり・仲間づくりの輪を広げる場です。地域住
民が自主的にボランティアで運営し、社会福祉協議会が支援して
います。
ページ
19、25
NPO とは、Non Profit Organization の頭文字です。日本語では民
NPO
間非営利組織と訳します。ボランティアが「個人」を指すのに対し
て、NPO は「組織」を指します。
介護予防・
健康づくり応援団
元気な高齢者が活動の中心になって、主に軽運動を中心に介護
予防に取り組むボランティアの団体です。
1、28
19
協働
同じ目的のために対等の立場で協力し、働くことです。
2、11、
15、20、
21
高齢化率
65 歳以上の高齢者人口が総人口に占める割合です。
5、7
個人情報保護
氏名や住所、電話番号など、個人を識別できる情報の不適切な取
り扱いによる、個人の権利利益の侵害を防ぐことです。
27
平均的な所得の半分を下回る世帯で暮らす 18 歳未満の子どもの
子どもの貧困
割合を「子どもの貧困率」といい、1985 年の 10.9%から 2012 年に
は 16.3%となり、過去最悪を記録しました。ひとり親世帯や非正規
1、25
雇用の増加が背景にあるとみられています。
災害弱者
社会福祉法
災害時の情報収集や避難行動においてハンディキャップを持ち、
自力での避難が困難な人をいいます。
社会福祉の目的や理念や原則に関する、福祉サービスに共通す
る基本的事項等を定めている法律です。
27
2
食生活改善を中心とした健康づくりの普及や啓発を行っているボ
食生活改善推進協議会
ランティア組織です。「ヘルシークッキング」、「男性のための料理
29、40
教室」など、市民への啓発事業として行っています。
仕事や収入、住まいがないなど、生活に困りごとや不安を抱えて
いる生活困窮者を支援する「生活困窮者自立支援制度」が平成
生活困窮者自立支援法
27 年 4 月から始まりました。相談窓口を設け、専門の支援員が他
の専門機関と連携して解決に向けた支援を行います。
本市では「千曲市生活就労支援センター(まいさぽ千曲)」を設置
6
しています。
セーフティーネット
地域包括ケアシステム
「健康で文化的な最低限度の生活」を保障する制度や対策を網目
のように張ることで、安全や安心を提供する仕組みです。
介護が必要になった高齢者も、住み慣れた自宅や地域で暮らし
続けられるように、「医療・介護・介護予防・生活支援・住まい」のサ
ービスを、一体的に受けられる支援体制のことです。
44
25
21、28、
37
用語
解説
ページ
高齢者個人に対する支援の充実と、それを支える社会基盤の整
備を同時に進めていく、地域包括ケアシステムの実現に向けた手
地域ケア会議
法です。地域包括支援センター等が主催し、個別ケースの課題解
21
決やケアマネジメントの支援、地域課題の発見、地域に必要な資
源開発や地域づくり、政策形成などの役割が期待されています。
65歳以上の高齢者の占める割合が全人口の 21%を超えた社会
超高齢社会
をいいます。また全人口の 7%を超えた社会を「高齢化社会」、
21
14%を超えた社会を「高齢社会」といいます。
一人暮らし高齢者などの暮らしのちょっとした困りごとを、ご近所付
助っ人会員
き合いの延長で解決していく社協の地域支え合い事業『つなぐ』
に登録された手助けする側の会員をいいます。買い物やゴミ捨て
などの手助けをすると、お礼として地域通貨が支払われます。
19
認知症の高齢者や知的障がい者など、判断能力が十分ではない
成年後見制度
成年者が不利益を被らないよう、権利の擁護、金銭・財産の管理・
33
保全など、後見人が本人の支援を行う制度です。
認知症サポーター
認認介護
年齢 3 区分人口
(年少人口・生産年齢
人口・老年人口)
認知症についての正しい知識をもち、認知症の人やその家族を応
援し、だれもが暮らしやすい地域をつくるためのボランティアです。
認知症の家族の介護をしている人もまた認知症を患っている状態
をいいます。老老介護とともに増加しています。
19、29
5
14 歳以下を年少人口、15 歳~64 歳を生産年齢人口、65 歳以上
を老年人口といいます。年少人口と老年人口を合計したものを従
5、7
属人口といいます。
高齢者や身体障がい者等が円滑に利用できる建築物の建築の促
進を図ることを目的として、平成 6 年に制定された「高齢者、身体
ハートビル法
障がい者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関す
る法律」の略称です。この法律は、多数の者が利用する建築物等
41
を建築する者に対し、障がい者等が円滑に建築物を利用できる措
置を講ずることを、義務あるいは努力義務として課すものです。
よりよい公共サービスを実現するために、市民・NPO・企業・行政
パートナーシップ
など、立場の異なる組織や人同士が、明確な目的のもとに連携・
協力をすることです。
高齢者も障がい者も全ての人が同じ社会の一員として、他の人々
バリアフリー化
と変わらない生活を送ることができるよう、生活の支障となる物理
20、21
13、41、
42
的・精神的な障壁を取り除くことです。
認知症や障がい等により、日常生活を営むのに支障がある方に対
日常生活自立支援事業
し、福祉サービスの利用に関する相談・助言や手続き、金銭の支
払い等の援助を行うことです。サービスを利用するためには、社会
福祉協議会との契約が必要になります。
33
交通費や実費だけが支払われる無償ボランティアと異なり、活動
有償ボランティア
老老介護
の謝礼や対価としての金銭の支払いを受けるボランティア活動を
いいます。
高齢者の介護を高齢者が行っている状態です。核家族化と世帯
の高齢化が進み、老老介護を行っている世帯が増加しています。
45
28、29
5
■計画策定の経過
千曲市地域福祉計画策定に係る会議等の開催状況
会議等
期
日
内
容
H27. 8.31
・第一次計画の評価
・第二次計画立案の趣旨説明
・小委員会設置による検討について
・計画策定の日程について
H27.11.10
・千曲市の現状分析
・千曲市の将来予測
・第二次計画の方向性
・策定の骨子確認(課題、体系、目標等)
H27.12.17
・計画素案の検討
(策定の趣旨、計画の位置づけ、福祉課題、推進
の方向性、目標と推進主体、施策の展開等)
地域福祉推
進幹事会
H28. 1.15
・計画素案の検討
(策定の趣旨、計画の位置づけ、福祉課題、推進
の方向性、目標と推進主体、施策の展開等)
・法令や制度改正等の反映について
第3回
策定
小委員会
H28. 1.28
・計画原案の検討
・計画策定完了までの行程について
第2回
策定委員会
H28. 2. 4
・計画原案の検討
・計画原案の決定
・計画策定完了までの行程について
パブリック
コメント
H28. 2. 8
~ 3. 9
・パブリックコメントの実施
第3回
策定委員会
H28. 3.17
・パブリックコメントの反映
・第二次地域福祉計画立案完了
第1回
策定委員会
第1回
策定
小委員会
第2回
策定
小委員会
46
■千曲市地域福祉計画策定委員会名簿
区
分
要綱第3条(1)
識見を有する者
要綱第3条(2)
社会福祉団体の代表者
要綱第3条(3)
社 会 福 祉 を目的とする事
業を経営する者
要綱第3条(4)
市長が必要と認める者
氏
名
所
中村
眞一
区長会連合会
髙橋
百合子
区長会連合会
清水
隆四郎
千曲市社会福祉協議会
○飯島
誠
※
千曲市社会福祉協議会
◎大島
剛
※
千曲市民生児童委員協議会
湯本
康幸
宮下
静雄
千曲市老人クラブ連合会
湯原
明雄
千曲・坂城地域自立支援協議会
笠井
雪子
千曲市女性団体連絡協議会
松坂
千鶴
ボランティア団体
桑原
悦子
中村
美江
介護保険サービス事業者連絡会
宮川
光男
戸倉上山田商工会
岡村
和枝
今別府
◎ 会長
○ 副会長
属
※
※
千曲市身体障害者福祉協会
ボランティア団体
※
公
募
里美
公
募
※小委員会委員
(敬称略)
47
■千曲市地域福祉計画策定委員会要綱
平成 21 年 2 月 27 日
告示第 7 号
(設置)
第1条 地域住民が共に支え助け合う地域福祉の実現を目指し、社会福祉法(昭和 26
年法律第 45 号)第 107 条の規定により、千曲市地域福祉計画(以下「地域福祉計画」
という。) を策定するため、千曲市地域福祉計画策定委員会 (以下「委員会」という。)
を設置する。
(所掌事務)
第2条 委員会は、次に掲げる事務を所掌する。
(1)地域福祉計画の策定に関すること。
(2)前号に掲げるもののほか、市長が必要と認める事項
(組織)
第3条 委員会は、委員 15 人以内をもって組織し、次に掲げる者のうちから、市長が
委嘱する。
(1)識見を有する者
(2)社会福祉団体の代表者
(3)社会福祉を目的とする事業を経営する者
(4)前 3 号に掲げるもののほか、市長が必要と認める者
(任期)
第4条 委員の任期は、地域福祉計画の策定が終了するまでの間とする。ただし、欠員
が生じた場合の補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
(会長及び副会長)
第5条 委員会に会長、副会長それぞれ 1 名を置き、委員が互選する。
2 会長は、委員会を代表し、会務を総理する。
3 副会長は、会長を補佐し、会長に事故あるときは、その職務を代理する。
(会議)
第6条 委員会の会議は、会長が招集し、会長が議長となる。
2 委員会の会議は、委員の過半数が出席しなければ開くことができない。
3 委員会の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するとこ
ろによる。
(庶務)
第7条 委員会の庶務は、健康福祉部福祉課において処理する。
(補則)
第8条 この要綱に定めるもののほか、必要な事項は、市長が別に定める。
附 則
この要綱は、平成 21 年 4 月 1 日から施行する。
48
■千曲市地域福祉推進幹事会要領
(設置)
第1条 千曲市地域福祉推進のため、関係部・課、及び社会福祉団体相互の連携を図り、
効果的な推進をするため、千曲市地域福祉推進幹事会(以下「幹事会」という。
)を設
置する。
(構成)
第2条 幹事会は、別表に掲げる関係部・課、及び連携する社会福祉団体で組織し、座
長は、健康福祉部長をもって充てる。
(会議)
第3条 会議は、座長が招集する。
2 座長は、必要と認めるときは、関係職員等の参加を求めることができる。
(庶務)
第4条 会議の庶務は、健康福祉部福祉課において処理する。
(委任)
第5条 この要領に定めるもののほか、会議の運営に関し必要事項は、座長が定める。
附 則
この要領は、平成 27 年 5 月 18 日から施行する。
別表(第2条関係)
健康福祉部長、福祉課長、高齢福祉課長、健康推進課長、人権政策課長、危機管理防災
課長、総合政策課長、生活安全課長、地域活力創造課長、こども未来課長、建設課長、
都市計画課長、教育総務課長、生涯学習課長、福祉課庶務係長、千曲市社会福祉協議会
事務局長、地域福祉課長、地域福祉課係長
49
第二次千曲市地域福祉計画
平成 28 年 3 月発行
千曲市
――――――編集・発行――――――
千曲市健康福祉部福祉課
〒389-0892 長野県千曲市大字戸倉 2388
TEL:026-273-1111 / FAX:026-275-0238