手形の基礎を学ぶ(PDF

手形の基礎を学ぶ
手形を使うメリットとは・・・
手形(約束手形)の振出人にとってのメリットは、支払が先になるので、必
ずしも取引時に代金相当のお金がなくても構わないという点です。支払のた
めに借入を行う場合に比べて、手形を振り出すことによって無利息で支払
の延期が可能となるともいえます。一方、受取人にとっては、他の支払や急
に現金が必要となった場合に、支払期日到来前の受取手形を現金化するこ
と(手形割引といいます)が出来、有効な資金調達法となっています。
また、中小・零細企業では決済のためだけに折角の資金を寝かせて置く
のは勿体無いと考える傾向があります。そこで少しでも資金を回して商売を
しようと考えますが、そのためには手形は欠かすことの出来ないツールなの
です。更に、数千万を超える取引でも紙一枚で済みますから、決済時に多
額の現金を用意する必要がありません。また、勘定の間違いが無い上に、
そもそも紙幣を数える手間が無く便利です。
手形を利用するには
そもそも手形を利用するためにはどうすればよいのでしょうか。
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まずは取引銀行で当座預金口座を開設し、当座勘定契約を締結するこ
とが必要になります。
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また銀行で統一手形用紙の交付を受ければ、手形を利用する環境は整
います。
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手形は手形法に規定される要件(必要的記載事項)を満たせば法律上
は有効ですが、現実的には信用力の問題から統一手形用紙以外の手
形は銀行で取り扱ってもらえません。数十年前は、その場で適当な紙に
スラスラッと万年筆で手形要件を記載して振り出している方もいたと聞い
たことがありますが、現在ではありえません。
手形の手続
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約束手形は、手形の振出人が受取人(または受取人が指図した人)に対
して支払期日に額面の金額を支払うことを約束するものです。
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受取人が支払期日に約束手形の支払を受ける場合は、手形券面上に
記載された支払場所(○○銀行△△支店)まで赴く必要はありません。
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受取人自身の取引銀行に取立を依頼するのが通常です。
手形の裏書譲渡・割引
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手形は一部の例外を除いて、支払期日到来前であっても第三者に譲渡
することが出来ます。
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この場合、手形所持人(譲渡人)は手形の裏面に住所と社名を記載し押
印の上、手形を譲渡したい相手(被裏書人)の社名を記載します。これで、
手形を裏書譲渡することが出来ます。ここでは裏書譲渡された手形のこ
とを「裏書手形」や「廻し手形」と言います。
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もっとも、支払いに充てるために手形を譲渡することが出来ても、支払期
日が到来するまで現金化出来ないというのも不合理です。そこで、支払
期日到来前でも銀行や金融業者に買い取ってもらい現金化することが
出来ます。これを「手形割引」といい、この場合は支払期日までの利息分
等を差し引いた上で換金することが出来ます。
手形の不渡り
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振出人が支払期日に手形金額を準備することが出
来ない場合、つまり、支払のための呈示を受けた支
払銀行が振出人の当座預金口座から手形金額を引
き落とす際に、たとえ1円であっても当座預金残高
が不足していると、手形の支払は出来ません。これ
を「不渡り」といい、支払銀行は手形に「不渡付箋」
を貼って、取立委任を受けた銀行を経由して所持人
のもとに手形を返却します。
銀行取引停止処分
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この不渡りを6ヶ月間に2回以上出すと銀行取引停
止処分となり、2年間、当座取引及び借入が出来な
くなり、事実上の倒産となります。もっとも、不渡りに
は大きく分けて「第1号不渡り事由」、「第2号不渡り
事由」、「0号不渡り事由」3種類あるとされ、0号不
渡り事由は不渡りになりません。これは、形式不備
の手形や期日未到来の手形などがあたります。
不渡り事由
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「第1号不渡り事由」は主に資金不足(当座預金残
高不足)による場合の不渡り処分。「第2号不渡り事
由」は不渡り処分の対象となりますが、第2号不渡り
事由は、資金はあるものの支払いたくない事情があ
って不渡りとする場合があたります。例えば、手形
が盗難や詐欺に遭った場合などがこれにあたり、手
形金額と同額を支払銀行を通じて手形交換所に提
供すれば、不渡り処分は猶予となります(異議申立
提供金制度)。なお、提供した金銭は最長2年間経
過すると返還されます。
手形ジャンプ
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手形は支払期日に決済されるのが原則ですが、資
金繰りの関係で支払期日に決済することが困難な
場合、振出人が手形所持人に対して手形面上の支
払期日を書き換えて延長することを要請する場合が
あります。これが「手形ジャンプ要請」です。ジャンプ
要請を受け入れる際は、内金だけ入れてもらうとか
保証人を立ててもらうなどの条件を付すのが通常で
す。このジャンプ要請は通常、資金繰り多忙や倒産
の兆候と捉えられています。
所持手形が不渡りとなったら・・・
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手形が不渡りになったからといって、所持人が本来
受けるべき債権が消滅するわけではありません。同
時に、振出人が本来支払うべき債務もまた消滅する
わけではありません。不渡り手形の所持人は振出
人に直接支払請求することも出来る上に、裏書人に
も請求することが出来ます。請求を受けて支払った
裏書人は、その前の裏書人に同様に請求すること
が出来、最終的に振出人が請求されることになりま
す。但し、手形債権は支払期日から3年で時効とな
るため注意が必要となります。
手形を受け取った際のチェック点
金額が訂正されている
 受取人と第一裏書人が一致していない
 支払期日が過去の日付や存在しない日付
 発行者の印が押されていないまたは不鮮明
 振出日の日付が満期日よりも後になっている
 有害的記載事項(記載されているだけで手形が無
効になる)の記述がある→例:支払に条件が付され
ている
上記のような手形には十分注意しなければなりません
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