1 - 英語教員の英語力・指導力強化のための調査研究事業

英語教員の英語力・指導力強化のための調査研究事業審査要領
平成28年4月28日
初等中等教育局長決定
1.はじめに
グローバル化が進展する中で求められる英語教育の指導者の資質向上を図るため,小・
中・高等学校を通じた英語の教職課程の改善・充実が必要不可欠である。政府の教育再生
実行会議第三次提言等における英語教育改革の方向性を踏まえ,文部科学省は,「今後の
英語教育の改善・充実方策について~グローバル化に対応した英語教育改革の 5 つの提言
~(報告)」(平成26年9月26日:英語教育の在り方に関する有識者会議)(以下「有
識者会議報告」という。)において,教員の養成・採用・研修の見直しなど,学校におけ
る指導体制の充実に関する方向性が提示された。有識者会議報告では,小学校中学年で外
国語活動を開始するとともに,高学年では英語を教科として行うことや,中・高等学校に
おける英語教育の高度化等が提言されている。小学校段階で英語を教科化するに当たって
は,今後,児童の発達段階に応じて「聞くこと」,「話すこと」,「読むこと」,「書く
こと」の4つの技能にわたるコミュニケーション能力の基礎を養うための指導力を高める
ことが求められる。
また,小・中・高等学校における英語教育の充実等に対応するため,国や自治体による
現職教員の研修も改善が進められているところであるが,各地域における研修の質や,研
修を受ける機会が十分確保されているとは言えない状況にある。このため,現職教員を対
象とした,小学校英語教育の早期化・教科化や,中・高等学校における英語教育の高度化
等に向けた研修プログラムについても,教育委員会のニーズや実施状況を踏まえた改善を
図る必要がある。
さらに,有識者会議報告において提言された,小・中・高等学校を通じて①学びを円滑
に接続させること,②「英語を使って何ができるようになるか」という観点から教育目標
の設定,それらに合わせた指導・評価の改善など今後の英語教育改革の在り方を踏まえた,
小学校教員,及び中・高等学校の英語担当教員の英語力・指導力の向上が求められている。
このため,教職課程が学習指導要領の内容を十分に踏まえ,英語の指導力に関する専門性
を高めた質の高い小学校教員,及び英語担当教員を養成できるよう改善・見直しを図るこ
とが必要である。
本事業においては,27年度の「英語教員の英語力・指導力強化のための調査研究事業」
で得られた成果を活用し,大学,教員委員会,学校等の連携によって,小学校英語教育の
早期化・教科化,小・中学校連携の強化や中・高等学校における高度化に対応した今後の
英語教育改革を踏まえた教員研修のプログラム,小学校教員,及び英語教員を目指す学生
が習得すべき最低限の能力を示す教職課程のコア・カリキュラム等の開発・検証・実証及
び成果の普及を行う。
2.審査体制
小学校教員,及び英語担当教員の英語力・指導力強化のための調査研究事業の審査は,
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別に定める「英語教員の英語力・指導力強化のための調査研究事業企画評価会議設置要
項」に基づき設置される小学校教員,及び英語担当教員の英語力・指導力強化のための
調査研究事業企画評価会議(以下「企画評価会議」という。)において,書面審査を実施
の上,採択を決定する。
3.審査方針
審査は,研究機関等からの申請に基づき,申請された提案が,本事業の目的である
① 小・中・高等学校の現職教員を対象とした教員研修プログラム1の検証・実証・改
善・普及
② 小学校教員,及び中・高等学校英語担当教員の英語力・指導力向上に向けた大学の
教職課程におけるコア・カリキュラム(試案)を含むモデル・プログラム(試案)
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の検証・実証・完成・普及
について,着実かつ効果的な内容であるかどうかを審査する。
4.評価の観点
【事業の実施主体に関する評価】
・事業実施に必要な人員・組織体制が整っているか。
・財務管理を適切に遂行できる体制を有しているか。
・事業実務に精通しているとともに,事業を適切に遂行するための技術力及びノウハウ
を有しているか。
・事業を効果的に遂行するために必要な実績等を有しているか。
【事業の内容に関する評価】
(1)小・中・高等学校の現職教員を対象とした教員研修プログラムの検証・実証・改善・
普及
平成27年度の調査研究で開発したモデル・プログラム(試案)について,研修の実
施による実証と,学会,研究会等へのヒアリングを通じた検証を行い,プログラムを改
善する。実証・検証に当たっては,全国の教育委員会,学校,大学,学会,研究会等の
関係者(以下「関係者」という。)とよく連携すること。
また,モデル・プログラム(試案)について,
「初任者研修」,
「5年経験者研修」,
「1
0年経験者研修」や「免許状更新講習」,「免許法認定講習」での活用促進を図るため,
活用事例集や映像資料を作成し,その普及を図る。
①モデル・プログラム(試案)を活用し,教育委員会,学校,大学等(以下「教育委員
会等」という。)と連携して行う研修の実施による実証と,実証を踏まえた同プログ
ラムの改善
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東京学芸大学「英語教員の英語力・指導力強化のための調査研究事業」http://www.u-gakugei.ac.jp/~estudy/
東京学芸大学「英語教員の英語力・指導力強化のための調査研究事業」http://www.u-gakugei.ac.jp/~estudy/
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②学会,研究会等(以下「学会等」という。)へのヒアリングによる検証と,検証を踏
まえた同プログラムの改善
③ 活用事例集,映像資料等の作成による同プログラムの普及
④「初任者研修」,「5年経験者研修」,「10 年経験者研修」などの研修,「免許状更新講
習」や「免許法認定講習」への活用促進
【評価項目】
・平成27年度の調査研究で開発したモデル・プログラム(試案)について,研修の
実施による実証を行うため,教育委員会等との連携による実証などの具体的な手法
が明確になっており,確実に検証が行える計画になっているか。
・同プログラムについて,ヒアリングによる検証を行うため,学会等との連携などの
具体的な手法が明確になっており,確実に検証が行える計画になっているか。
・検証結果(効果等)を分析するために十分な実施体制(関係者との連携を含む)が
構築されているか。
・関係者と連携し,効果的に普及を行う計画になっているか。
(2)小学校教員及び中・高等学校の英語担当教員の英語力・指導力向上に向けた大学の
教職課程におけるコア・カリキュラム(試案)を含むモデル・プログラム(試案)の検証・
実証・完成・普及
平成27年度の調査研究で開発したコア・カリキュラム(試案)等について,教職課
程プログラムにおける実証と,学会・研究会等へのヒアリングを通じた検証を行い,同
ログラムを改善し,とりまとめる(完成)。実証・検証に当たっては,教育委員会等とよ
く連携すること。
また,同プログラムについて,大学の教職課程での活用促進を図るため,活用事例集
や映像資料を作成し,その普及を図る。
①各大学の小学校教員及び中・高等学校外国語の教職課程のプログラムにおける,コア
カリキュラム(試案)等の教育委員会等との連携による実証と,実証を踏まえたモデ
ル・プログラム(試案)の改善・完成
②学会,研究会等へのヒアリングを通じた検証による,同プログラムの改善・完成
③活用事例集,映像資料等の作成による同プログラムの普及
④大学の教職課程における活用促進
【評価項目】
・平成27年度の調査研究で開発したコアカリキュラム(試案)について,研修の実
施による実証を行うため,教育委員会等との連携などの具体的な手法が明確になっ
ており,確実に検証が行える計画になっているか。
・同プログラムについて,ヒアリングによる検証を行うため,学会等との連携などの
具体的な手法が明確になっており,確実に検証が行える計画になっているか。
・検証結果(効果等)を分析するために十分な実施体制(関係者との連携を含む)が
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構築されているか。
・関係者と連携し,効果的に普及を行う計画になっているか。
(3)その他
・上記(1)~(3)の事業の実施に当たって,事業推進の方法,内容等の効率性
に優れているか。
・最少の予算(経費)で最大の効果が得られるよう,コストを抑えた提案内容とな
っていること。また,妥当な経費が示されているか。
5.採択機関の選定方法
(1)企画評価会議が事業実施計画書を審査し,その結果に基づき,文部科学省が委託先
の研究機関等の選定を行う。なお,企画評価会議及び文部科学省は,研究機関等に対
して,必要に応じて事業実施計画の見直しを求めることができる。
(2)審査は,企画評価会議委員(以下「委員」という。)が,研究機関等から提出された
申請書類等に基づき,上記「4.評価の観点」を反映した選考基準により評価を行う。
委員は,各申請書類等について審査を行い,評価を行う。なお,委員は,審査に必要
な場合,研究機関等に対して追加資料の提出を求めることができる。
(3)委員の遵守事項
A 利害関係者の排除
ア 申請に直接関係する委員は,事務局にその旨を申し出ることとし,当該機関の審
査には加わることができない。ただし,会議に出席し,その議決以外について発言
することは妨げない。
<審査に直接関係する場合の例>
(ⅰ)委員が申請機関の役員,職員,教員等として専任又は兼任で在職(就任予
定を含む。)している場合
(ⅱ)その他委員が中立・公正に審査を行うことが困難であると判断される場合
等
B 秘密保持
ア 委員は,審査の過程で知り得た個人情報及び申請機関の審査内容に係る情報につ
いて,外部に漏らしてはならない。
イ 委員は,委員として取得した情報(申請書類等の各種資料など)は,他の情報と
区別し,善良な管理者の注意義務をもって管理する。
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