第2回つくばベンチャー大賞

第 2 回つくばベンチャー大賞
主催:NPO法人つむぎつくば
後援:茨城県
財団法人茨城県中小企業振興公社
つくば市
つくば市商工会
筑波大学産学連携会
つくばベンチャー協会
140社を超え、つくばが科学技術
とともに新産業創出の場としても大きく期待されるようになっ
ています。また、昨年のつくばエクスプレス開業により、沿線
この度、「NPO法人つむぎつくば」は、『第2回つくばベンチャー
『つくばベンチャー大賞』は、つくばの地に起業家精神を醸成し、
つくば発ベンチャー企業の輩出を応援するという目的で、昨年
つくばの研究機関の研究成果を事業化した会社等を対象として、
つくばらしい高い技術力、知性、感性を活かした事業を展開し、
となって、つくば発のベンチャーが振興し、この地のクラスター
に寄与
することができれば、本懐これに過ぎるものはありません。
大賞記念品
中山 庄太郎作「暁」
ご協賛いただいた企業・個人(順不同)
菊本 虔
つくばインターナショナル
新谷 由紀子
ナーサリースクール
高木 英明
株式会社イセブ
沼尻産業株式会社
鈴木 孝之
滝本 徹
日立製作所 茨城支店
株式会社カスミ
有限会社筑波物質情報研究所
野村證券株式会社 土浦支店
監査法人トーマツ
日立化成工業株式会社
株式会社スカイスター
財団法人国際科学振興財団
ファイナンシャルマネジメント
関彰商事株式会社
株式会社アイ・ティ・エイチ
株式会社つくば研究支援センター
野村證券株式会社 水戸支店
実行委員会委員長 沼尻 博(つくば市商工会会長)
選考委員会委員長 高木 英明(N PO法人つむぎつくば代表)
選考委員会委員(五十音順)
石塚 真理 (株)つくば研究支援センター インキュベーションマネジャー
猪瀬 忠彦 監査法人トーマツ 代表社員(公認会計士)
大竹 美喜 (財)国際科学振興財団 会長
菊本 虔 筑波大学産学リエゾン共同研究センター 教授
高木 英明 NPO法人つむぎつくば 代表
滝本 徹 経済産業省中小企業庁経営支援課長
竹下 明文 株式会社ジャフコ 第三投資本部産学連携投資部 部長
田村真理子 日本ベンチャー学会 事務局長
西谷 隆義 (学)筑波研究学園 理事長
西野虎之介 常陽銀行 経営顧問
平井 寿敏 産業技術総合研究所 産学官連携推進部門連携企画室長
平尾 敏 野村證券(株)公共・公益法人サポート部 課長
藤木 良規 物質・材料研究機構 名誉顧問
藤沼 良夫 茨城県工業技術センター長
前野 拓道 前野研究所 代表
美濃部侑三 (株)植物ゲノムセンター 代表取締役社長
山中 唯義 (株)スカイスター・ファイナンシャルマネジメント 代表取締役
選考結果について
選考委員長 高木 英明
昨年創設された『つくばベンチャー大賞』の2回目は「NPO法人つむ
ぎつくば」の単独主催となり、沼尻博つくば市商工会会長を実行委員長
に擁して、6月29日の「つくばベンチャーの夕べ」において募集の発表
を行なった。日程の都合で昨年の1回目より応募期間を1ヶ月短縮した
にもかかわらず、8月31日までの2ヶ月の間に34社からご応募をいた
だいた(1回目の応募は37社)。このような賞は2回目以降に応募数が
激減することが多いが、
今回も多数の応募を得たことで、
つくば発ベンチャー
の隆盛をひしひしと感じた。
選考委員として、
「民が民を讃える賞」
と位置づけた
『つくばベンチャー
大賞』を選考するに相応しい、つくばの発展を願う各界の有識者17名に
お願いした。
各委員には、
全応募企業の資料を送付し、
独立に1件の
『大賞』
候補と数件の『特別賞』候補を、理由を付けて推薦していただいた。それ
ぞれ重責を担い超多忙の中を無報酬で選考に当ってくださった委員各
位には、心底より感謝したい。今回は、つむぎつくばの会員による投票は
行なわなかった。
10月13日に開いた選考委員会(11人が出席)において、
『大賞』1社と
『特別賞』5社を決定した。選考の規準は、①事業・技術の新規性・卓越性、
つくばベンチャー大賞
ディナベック株式会社
2003年9月設立、本社・つくば市観音台、
長谷川護(はせがわまもる)代表取締役社長。
遺伝子治療関連技術開発を目的として1995年
から9年間に渡り官民連携国家プロジェクト
を運営した株式会社ディナベック研究所で開
発された「センダイウイルスベクター」技術
を基礎として、その終了後に、経営陣と国内製薬会社4社の共同出
資で設立された。センダイウイルスベクターは、1953年に東北大
学で発見された野生のセンダイウイルスの弱毒株を元に、不要な遺
伝子を取り除き、ヒトに投与できるように改良したベクター(治療
遺伝子を特定の臓器・組織に運搬し、標的細胞内に導入する働きを
持つ物質)で、「細胞質型RNAベクター」と呼ばれ、従来の細胞
核内部で遺伝子発現を行うDNA型とは異なるものである。遺伝子
を細胞内へ送り込む効率が高く、核内の染色体を改変するリスクが
原理上存在しないので、安全性にも優れているとされ、幅広い疾病
への応用可能性がある。我が国の独自技術で、基礎から製造まで
65件の特許を主要国に申請している。本年7月から九州大学病院
において臨床研究が開始された。このベクター技術をプラットフォー
ムとして、遺伝子治療薬、遺伝子ワクチン、遺伝子・蛋白質機能解
析、組換え蛋白質製造のバイオ事業を展開する。
②つくばのシーズ・資源の活用度、③地域・社会・産業の振興、または個人
のQuality of Life向上への貢献、④経営状態
(成長性、
将来性)
及びビジ
ネスプランとした。第1回のときと比べ研究開発型ベンチャーにおける
技術開発と事業展開の進展が感じられ、多業種に渡るレベルの高い競争
で、
難しい選考となった。
『大賞』
を受賞したディナベック株式会社は、
つくばで実施されたナショ
ナル・プロジェクトの研究成果を継承して設立され、我が国独自の技術
の特許を押さえながら、
効率と安全性の高い遺伝子治療のプラットフォー
ム技術の上に幅広いバイオ事業を展開しようとしている。
『特別賞』とし
ては、産総研発の㈱SIJテクノロジが超微細インクジェット技術の開
発、筑波大学教員の研究成果を基にしたメディアスティック㈱がヒトに
優しく安全なIT、同じく㈱MCBIがバイオマーカーと質量分析によ
る疾患診断技術、筑波大学学生ベンチャーのソフトイーサ㈱が基本ネッ
トワーク・ソフトの開発、そして、地元企業の㈱シロクが独自のカメラ方
式タッチパネルという、いずれもつくばに根差した独創的技術と実績の
ある企業を選ぶことができた。
健康・スポーツ志向の企業、つくばの豊かな自然やユニークな物産に
関連する企業の応募も多かったが、残念ながら受賞には至らなかった。
また、
つくば発ベンチャーの株式上場は、次回に期待することとなった。
つくば・ハイテク賞
つくば・IT賞
株式会社SIJテクノロジ
メディアスティック株式会社
2005年4月設立、本社・つくば市東、
小山賢秀(おやまけんしゅう)代表取締
役社長。基板上に回路線幅1ミクロンの
配線などを描画できる超微細インクジェッ
ト(スーパーインクジェット)技術に基
づき、微細加工の受託、応用製品の製造
販売、研究開発、装置の開発販売を行う。
超微細インクジェットは、1フェムト(1
千兆分の1)リットルという従来のイン
クジェットの1000分の1以下の微小液滴
体積を実現する技術で、つくばの産業技
術総合研究所ナノテクノロジー研究部門
が開発し、それに用いる金属超微粒子ペー
ストの導電性インクは、つくば研究コン
ソーシアムにあるハリマ化成株式会社筑
波研究所と株式会社アルバックで開発さ
れた。
2000年6月設立、本社・東京都渋谷
区広尾、宮内淑子(みやうちよしこ)代
表取締役社長。筑波大学大学院システム
情報工学研究科の北川高嗣教授の研究成
果を基に、「MSコード」と呼ぶ2次元
バーコードを用いた事業を展開する。例
えば、雑誌やテレビに表示されたコード
を携帯電話で読み取り、資料請求、買い
物、懸賞応募、予約などをする。個人情
報は一度登録すればサーバーに蓄積され
るので、次回に媒体を変えて応募すると
きも再入力不要という、便利さと安全性
が特徴。生命体である人間にIT(情報
技術)ストレスのかからない「生命体的
情報環境」を実現することを企業理念と
し、セキュリティ対策には特に力を入れ
ている。
つくば・ものづくり賞
つくば・アントレプレナー賞
つくば・チャレンジ賞
株式会社シロク
ソフトイーサ株式会社
株式会社MCBI
2001年2月設立、本社・つくば市千現、小川
保二(おがわやすじ)代表取締役。カメラ方式
のタッチセンサーを開発し、当初は大手企業に
センサー部のOEM供給と大型特殊タッチパネ
ルの受注生産をしていたが、2005年4月から自
社ブランド製品「シロク−タッチ」の一般ユー
ザ向けネット販売を始めた。モニター画面にア
クリル樹脂製パネルをかぶせ、外枠から赤外線
で照らす。指を動かすことでさえぎられる赤外
線の変化を小型カメラで撮影することにより指
の位置関係を捉えて画面に反映させる方式。「シ
ロク−タッチ」の組み立ては社会福祉法人自立
奉仕会茨城福祉工場に委託している。社名は、
筑波山のふもとに生息するとされる「四六のガマ」
から採った。
2004年4月設立、本社・つくば市吾妻、登大
遊(のぼりだいゆう)代表取締役会長。主力製
品であるPaketiX VPN 2.0は、インターネット
に接続されたパソコン間でLAN(構内通信網)
上のイーサネットのような通信を実現する仮想
プライベート・ネットワークを提供する。ファ
イアウォールに絡むセキュリティ問題もクリア
した。登大遊さんは、筑波大学情報学類の4年生。
1年生のときに、情報処理推進機構の未踏ソフ
トウェア創造事業に「ソフトイーサ1.0」で応募し、
「天才プログラマー/スーパークリエータ」と
認定された。ネットワークの低レイヤ基本ソフ
トで独自技術を開発し、世界に挑戦する。
2003年1月設立、本社・つくば市二の宮、内
田和彦(うちだかずひこ)代表取締役。筑波大
学大学院人間総合科学研究科の内田助教授が研
究してきた血液内蛋白質の質量分析と疾患バイ
オマーカーの技術を組み合わせた「イムノマス
定量法」を基に、計測技術開発の山武が装置を
製造して、低価格の肝臓疾患の診断キットと診
断システムを開発する。このシステムでは、磁
気ビーズの表面に固定した抗体(診断薬)の上
に患者の血液を流し、抗体と結び付いた血中の
抗原の質量を分析することにより、蛋白質の状
態から肝癌などに陥る病態を診断する。蛋白質
の測定が医療現場で簡単にできるようになれば、
生活習慣病の早期診断・治療など地域医療への
貢献が期待できる。