GKH019704

天理大学学報 1
9
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5
3
5,2
0
01
高校野球選手におけるオフシーズンの トレーニングが
筋パワーと骨強度に与える影響
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に分 かれる。 オフシーズ ンの練 習 は筋力 トレ
Ⅰ. は じ め に
ーニ ングな どの体力づ くりを中心 に,野球 の
高校野球 は,試合が行 われ る 3月下旬 か ら
基礎 的 な技術 習得 の ため に反復 的 トレーニ ン
11月 中旬 までのオ ン (レギュラー) シーズ ン
グが行 われ て い る。一 方 , オ ンシ ーズ ンで
と11月下旬 か ら 3月 中旬 までの オ フシーズ ン
は,試合 に備 えた実践 的 な練習 を中心 に, オ
1)天理大学進路部進路課
2)天理大学体育学部体力学研究室
3)奈良産業大学保健スポーツ科 目研究室
4)大阪教育大学教養学科スポーツ講座
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26
高校野球選手 におけるオフシーズンの トレーニ ングが
筋パワー と骨強度 に与える影響
フシーズ ンで向上 させ た茄パ ワーの維持 をね
いて検討 した。
らい とした トレーニ ングが行 われる。野球競
Ⅰ.方
技 における走,投,打の動作 は,筋 の速 い収
縮 とともに大 きなパ ワー を必要 とすることか
ら,すべての動作で動的筋出力や無酸素パ ワ
ーに優れていることが望 まれる3
)
0
法
Ⅱ- 1.被検者
被検者 は,高校硬式野球部 に所属す る 3年
生部員1
9名の うち,オフシーズ ンの トレーニ
発育 に伴 う筋量の増加 は,筋力 と筋パ ワー
ングが始 まる (
1
2月上 旬) とシーズ ン始 め
を著 しく発達 させ る傾向にあるが,筋の量的
(4月上旬) に測 定 可 能 で あ っ た1
6名 と し
な変化 だけでな く, トレーニ ングによ り,初
たO被検者 には,口更
別こて研究の主 旨,内容
経機能の向上 も筋出力 を高める要因であるこ
及 び手順 につ いて十分 に説 明 して 同意 を得
とが報告 されてい る11
1
. これ まで,オフシー
た。被検者の身体 的特性 を表 1に示 した。
ズ ンにおける トレーニ ングがサ ッカー選手や
ボー ト選手 の無酸素性パ ワーに及ぼす影響 に
表 1 被検者の身体的特性
項
目
つ いて報告7.16)が な されてい るが,高棟 野球
身長
(
c
m)
選手 を対象 とした報告 はみあた らない。
体重
(
kg)
(
%)
筋 パ ワーは,「
力 型」,「
ス ピー ド型」及 び
その 「中間型」 の発揮 様 式 に分 類 され てお
り,井 上 ら4
・
5
)
や 山 本 ら14.
1
5・1
8)は,4
0 cm/
s
ee
と80cm/
s
ecの速度 にお ける脚及 び腕伸展パ
ワーを大学の競技選手 を対象 に種 目別の評価
をお こなっている。それ らの測定では短距離
やハー ドル選手 は,体重 あた りのパ ワー値が
他 の競技者 と比較 して大 きい ものの,野球遵
手の値 は,他の競技者 と比較 として どち らも
平均 的 な値であった。本研究では,それ らと
比べ て よ り 「
力型」 である20 cm/
s
ecの負荷
体 脂肪率
除脂肪体重
(
kg)
胸囲
(
c
m)
上腕 囲利 き側
(
c
m)
(
c
m)
前腕 囲利 き側
(
c
m)
非利 き側
(
c
m)
大腿 囲利 き側
(
c
m)
非利 き側
(
c
m)
下腿 囲利 き側
(
c
m)
非利 き側
(
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5
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7
.
8±2
.
3
Ⅰ-2. トレーニ ング内容
と, よ り 「
ス ピー ド型」 である1
20cm/
s
ee,
本研究の高校野球選手の トレーニ ング内容
「中間型」であ る80cm/
s
ecの 3速度 による
については,選手 と指導者へ の聞 き取 りによ
脚及 び腕伸展パ ワーの評価 をお こなった。 ま
り調査 した。練習 メニューのひとつ として取
た,発育期の トレーニ ングによる骨へ の刺激
り入れ られているウェイ トトレーニ ングにつ
が骨董 の増大 をもた らす可能性が考 え られる
いては,個別の トレーニ ング記録 を もとに種
が,競技 によっては,増大 しない可能性 も考
目,回数,セ ッ ト数 を調査 した。
え られる6
)
O野球競技 は,瞭発 的な動 きや ス
Ⅰ-3.音響的骨強度
ライデ ィングの ように骨 に も多大 な刺激 を与
被検者の骨強度 については,超音波骨評価
える種 目であることか ら,骨強度 に練習の量
装置 (
AOSIOO:アロカ社) を用 いて超音波
や質が関係 して くる もの と思 われる。 これ ま
伝播速度 (
SOS:s
peedo
fs
o
und)と透過指標
での ところ,高校野球選手 を対象 にオフシー
(
TI
:t
r
ans
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s
s
i
oni
ndex)を測定 し,SOS と
TIとの関係 か ら音響 的骨評価値 (
OSI
:os
t
e
o
ズ ンの トレーニ ングが骨強度 に与 える影響 に
ついての報告 はみあた らない。そ こで,本研
究では高校野球選手の オフシーズ ンの トレー
s
onoas
s
es
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nde
x) を求めた。測定 は
ニ ングが筋パ ワー と骨強度 に及 ぼす影響 につ
させ た姿勢で右鍾骨の骨評価 を 2回実施 し,
被検者 を椅子 に座 らせ,膝 関節 を9
0
度 に屈 曲
27
灘本 ほか
その平均値 を用 い た。SOSは珪骨 を通過す
-は, 自転車エルゴメー ター (
パ ワーマ ック
る超 音波 の音速 か ら珪骨 の密度 を示 し,TI
ス Ⅴ:
コ ンビ社) を用 い て評 価 した。測 定
は超音波の透過度合 いが骨量 によって異 なる
は 2分間の休息 をは さんで,異 なる 3種類 の
こ とを利 用 して珪 骨 の骨 量 を反 映 し,OSI
負荷 について各々1
0秒 間全力ペ ダリングを行
(
TIXSOS2) は音 速 と透過指標 の両 方 の要
わせ,各試行 の最大ペ ダリング数 と負荷 を一
素の総合 的な指標 とされている。本装置 によ
の方 法 に よっ て評 価 し
次 回帰 し,宮 下 ら81
る音響 的骨評価値 は,DXA 法 な どに よる Ⅹ
た。
練 を利用 した鍾骨や他 の部位 との測定値 と高
Ⅰ-
い相 関 関係 を示 し, 日動 変動 や 日差 変 動 も
1%未満 とい う結果が報告 されている2・13)。
Ⅱ- 4.笛パ ワーの測定
a.脚伸展パ ワー
5.統計的検定
測定値 はすべ て平均 値 ±標準 偏 差 で示 し
た。 オフシーズ ンの トレーニ ング前後の測定
値 の比較 は,対 応 の あ る t検 定 を用 い た。
有意水準 は 5%未満 とした。
脚 の単発 的 な筋 活動 に よる脚伸 展 パ ワー
は,キ ックフォース
Ⅱ.結
(
TKK31
0
3
C:竹井機器
社) を用いて測定 した。測定 は脚伸展開始時
果
Ⅱ-1
.野球の トレーニング及び ウェイ ト
0
度 になるように,パ ネルス
の膝関節角度が9
トレーニ ングの内容
イ ッチでス ター ト位置 を確認 し,その位置か
オ フシーズ ン期 の一週 間の主 な野球 トレー
ら全力で脚伸展動作 を行 わせ,発揮 された機
ニ ングの内容 を表 2にまとめた。練習 は,午
械 的パ ワーを計測 した。踏み込み板 の移動速
後 4時 にウオー ミングア ップか ら始 ま り, ク
度 は,2
0cm/sec(低速),8
0cI
〟 sec(
中速),
ールダウンが終了す る午後 7時 までお よそ 3
1
2
0cm/see (高速)の 3種類で行 なわせ たO
時間行 っていた。内容 は,少 しずつ変化 させ
0cm/secの速度 で 3-5回の最
被検者 は,8
た守備練習 とティー打撃やマシンを用いた打
0cm/sec,2
0cm/sec,1
2
0
大下運動後 に,8
撃練習 を日替 わ りで行 ったのち,内野手 (
投
c
mノ
sec の順 に各速 度 6回試行 し,各 測 定値
手 と捕手 を含 む) と外野手 の 2グループに別
の最大値 を用いた。
れ, ウェイ トトレーニ ングとランニ ングを隔
b.腕伸展パ ワー
日ご とに繰 り返 した。 また,主 なウェイ トト
腕 の単発 的 な筋 活動 に よる腕伸 展 パ ワー
レーニ ングの メニューは表 3に示 した。各選
(
TKK31
01
C:竹井機
0-1
2回反復可能 な負荷 を用
手 は どの種 目も1
は,チェス トフ ォース
器社) を用 いて測定 したDスター ト時の グ7
)
い, 1種 目 4セ ッ ト程度実施 していた。 トレ
ツプ位置 は,両 グ リップを結ぶ線が乳頭 の位
ーニ ングの対 象 部 位 は,肩 ,上 腕,前 腕,
置 になるようパ ネルスイ ッチでス ター ト位置
胸 ,上背,腰 ,大腿部の大筋群が中心であっ
を確認 し,その姿勢か ら全力で腕伸展動作 を
た。
表 2 一週間の主な練習例 (
月〟金)
行 わせ,発 揮 され た機械 的パ ワー を計 測 し
0cm/see,8
0cm/
た。バ ーの移動 速度 は,2
sec,1
2
0cm/secの 3種類 で行 わせ た。測定
は,8
0cm/secの速度 で 3-5回の最大下運
0cm/see,2
0cm/see,1
2
0cm/see
動後 に,8
の順 に各速度 6回試行 し,各測定値の最大値
を用いた。
C.最大無酸素パ ワー
脚の反復 的な筋活動 による最大無酸素パ ワ
1 ウ オー ミング ア ップ
2
0
分
2 キ ャ ッチ ボ ー ル
2
0分
3
1
0分
トスハ ツテ ィグ
守備練習 (
月,水,金)
4 打撃練習 (
火,木)
投球練習 (
週 2回)
6
0分
5 ウェ イ ト トレーニ ング
6
0分
ラ ンニ ング
6 クー ル ダウ ン
1
0
分
28
高校野球選手 におけるオフシーズンの トレーニ ングが
筋パ ワー と骨強度 に与 える影響
表 3 主なウェイ トトレーニングメニューの例
種 目
回数及びセット数
部 位
肩 部 サイドレイズ
1
0-1
2回
4セット
肩 部 バックプレス
1
0-1
2回
4セット
1
0-1
2回
4セット
胸 部 ベンチプレス
胸 部 プルオーバー
1
0-1
2回
4セット
上腕部 アームカール
1
0-1
2回
4セット
前腕部 リス トカール
1
0-1
2回
4セット
上背部 ローイング
1
0-1
2回
4セット
上背部 シットアップ
3
0回
2セット
腰背部 サイドベント
2
0回
4セット
2
0回
4セット
大腿部 サイドランジ
大腿部 スクワット
1
5回
4セット
パ ワー は, トレー ニ ン グ前 の4
5
8.
0±6
8.
7
wat
tか ら ト レ ー ニ ン グ 後 の4
61
.
2±6
7.
1
wa
t
tへ と有 意 な変化 は なか った。8
0cm/
s
e
e
Ⅱ-2.体重及び除脂肪体重の変化
た。 トレーニ ング前後 の体重 あた りの脚伸展
で の 脚 伸 展 パ ワ ー は, ト レー ニ ン グ前 の
1
1
2
2.
7±1
9
4.
7wat
tか ら トレー ニ ング後 の
1
1
9
9.
7±1
1
8.
3wat
t- とわず か に増 大 す る
2
0
傾 向 を示 したが,有意 な変化 はなか った。1
c
m/
s
e
cでの脚伸展パ ワーは, トレーニ ング
前 の1
4
4
8.
1±1
8
7.
7wat
tか ら トレー ニ ング
4
9
3.
8±1
4
6.
4wat
t- とわず か に増 大
後 の1
す る傾 向 を示 したが,有 意 な変化 は な か っ
体重 は,オ フシーズ ンの トレーニ ング前 が
パ ワーの変化 を2
0cm/
s
e
e
,8
0cm/
s
e
e
,1
2
0
7
0,
1±9.
9kg, トレー ニ ング後 は6
8.
9±9.
4
kgと有意 な減少 が認 め られた。除脂肪体 重
6.
3±5.
9kgか ら ト
は, トレーニ ング前 の5
レーニ ング後 に5
6.
4±5.
8kgと変 化 は なか
c
m/
s
e
cの 各 速 度 で比 較 した結 果 を図 1-a
(
相対値 ) に示 した。2
0cm/
s
e
cでの脚伸 展
.
6±1
.
2wa
t
t
ノ
パ ワーは, トレーニ ング前 の6
c
m/
s
e
cの各 速 度 で比 較 した結 果 を図 1-A
kgか ら トレー ニ ング後 の6.
7±0.
9wat
t
J
kg
- と有意 な変化 はなか った。8
0cm/
s
e
cでの
6.
2±
脚 伸 展 パ ワー は, トレー ニ ング前 の 1
Owa
t
〟kg か ら トレー ニ ン グ後 の 1
7.
6±
3.
t
J
kgへ と 有 意 に 増 大 し た (
P<
1
.
9wat
0.
0
5
)
01
2
0cm/
s
e
cでの脚伸 展 パ ワー は, ト
(
絶対値 ) に示 した02
0cm/
s
e
cでの脚伸展
0.
8±2.
5wat
t
J
kgか ら トレ
レーニ ング前 の2
った。
Ⅱ-3
.筋パ ワーの変化
オ フシーズ ンの トレーニ ング前後 の脚伸展
0cm/
s
e
e
,8
0cm/
s
e
e
,1
2
0
パ ワーの変化 を2
)-ト.V嘩空重
(17 e き
□ トレーニ ング前
1
トレーニ ング後
(∩-16)
20cm/
s
ec
80cm/
s
ec 120cm/s
ec
図 1-A オフシーズン トレーニング前後における脚伸展パワー (
絶対値)の変化
2
9
灘本ほか
8
ト
ー
トレーニ ング前
トレーニ ング後
5
ト
ー
(n= 16)
2
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20c
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c 120cm/
s
e
c
図 1-B オフシーズン トレーニング前後における脚伸展パワー (
相対値)の変化
0
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5
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[
嘩章堪
■
ロ
トレーニング前
トレーニ ング後
(∩-16)
20c
m/
s
e
c 80c
m/
s
e
c 120c
m/
s
e
c
図 2-A オフシーズン トレーニング前後における腕伸展パワー (
絶対値)の変化
30
高校野球選手 におけるオフシーズンの トレーニ ングが
筋パ ワー と骨強度 に与える影響
(
61\}tt2^)-ト.V嘩 E
b
l
堪
■
[
コ トレーニ ング前
トレーニング後
(∩
三16)
20cm/s
ec
80cm/sec 120cm/sec
図 2-B オフシーズン トレーニング前後における腕伸展パワー (
相対値)の変化
一二 ング後 の21
.
8±1.
7wa
t
〟kgへ と有意 に
増大 した (
P<0.
0
5
)
。
オフシーズ ンの トレーニ ング前後での腕伸
展パ ワーの変化 を2
0cI
〟sec,8
0cI
〟sec,1
2
0
0cI
〟sec での腕伸展パ ワーは,
に示 した。2
トレー ニ ング前 の2
.
2±0.
4wat
t
J
kgか ら ト
.
1±0.
2wat
t
J
kgへ とわず
レー ニ ング後 の2
かに低下する傾 向 を示 したが有意 な変化はな
c
I
〟secの各速度 ごとに比較 した結果 を図 2
-A (
絶対 値) に示 した。2
0cm/secで の腕
0cm/secでの腕伸展パ ワーは, ト
か った。8
5
6.
5±
伸 展 パ ワー は, トレー ニ ン グ前 の1
.
8±0.
6wat
t
J
kgへ と有 意 に
ーニ ング後 の6
P<0.
00 1
)0 1
2
0cm/secでの腕伸
増大 した (
4
6.
9wat
tか ら トレー ニ ン グ後 の1
5
0.
0±
2
0.
3wa
t
tとわずかに低下す る傾 向 を示 した
が有意 な変化 はなか った。8
0cm/secでの腕
2
9.
7±
伸 展 パ ワー は, トレー ニ ング前 の4
7
2.
7wat
tか ら トレー ニ ン グ後 の4
6
3.
9±
5
6.
4wa
t
tへ と有意 に増 大 した (
p<0.
01
)。
1
2
0cm/secでの腕伸 展 パ ワー は, トレーニ
6
9.
9±4
9.
3wat
tか ら トレーニ ン
ング前 の4
グ後 の4
8
6.
8±7
8.
5wat
tへ とわず か に増 大
レーニ ング前 の6
.
2±0.
7wa
t
t
J
kgか ら トレ
.
0±0.
8
展 パ ワ ー は, トレー ニ ング前 の7
wa
t
t
J
kgか ら トレ ー ニ ン グ 後 の7
.
1±0.
8
wa
t
仙 gへ と有意な変化 はなかった。
オフシ-ズ ンの トレーニ ング前後 の最大無
酸 素パ ワーの絶対値 の変 化 を図 3-A に示
した。最大無酸素パ ワーは, トレーニ ング前
1
6.
3±1
1
4.
8wat
tか ら トレーニ ング後 の
の8
た。 トレーニ ング前後での体重 あた りの腕伸
8
81
.
8±1
2
9.
6wat
tへ と有意 に増大 を示 した
(
p<0.
01)。 また,体 重 あ た りの最 大 無 酸
素パ ワーの トレーニ ング前後の変化 を図 3-
0cm/see
,8
0cm/see
,1
2
0
展パ ワーの変化 を2
B に示 した。体 重 あ た りの相 対 値 は, トレ
cI
〟sec の各速度 ご とに図 2-B (
相対 値)
ーニ ング前 の1
1
.
7±0.
9wat
仙gか ら トレー
す る傾 向 を示 したが,有 意 な変化 は なか っ
31
灘本ほか
0
0
1
1
0
0
0
⊂
l
0
0
9
0
0
8
)- i.V横溢巌Y哨
(i t e m
(∩-16)
トレーニ ング前
トレーニ ング後
図 3-A オフシーズン トレーニング前後における最大無酸素パワー (
絶対値)の変化
P<0.
001
「
「
)- Li
r
催潜巌Y 哨
(61[ 11e JVL
(n=16)
トレーニング前
トレーニ ング後
図 3-8 オフシーズン トレーニング前後における最大無酸素パワー (
相対値)の変化
32
高校野球選手 におけるオフシーズ ンの トレーニングが
筋パ ワー と骨強度 に与 える影響
2.
8±1
.
1wa
t
t
J
kgへ と有意 に増
ニ ング後 の1
大 した (
P<0.
0
01)。
c
m/
s
e
cにおける体重 あた りでの脚伸展パ ワ
ーは, トレーニ ング後 に有意 に増大 した。 こ
Ⅱ-4.音響的骨強度の変化
オフシーズ ンの トレーニ ング前後 における
の ことは, トレーニ ング後 の除脂肪体重 に変
化が認め られなかった ものの,体重 に有意 な
超音波骨強度の変化 を表 4にまとめた。SOS
減少が認め られたことか ら,筋量 を維持 しつ
は, トレー ニ ン グ前 の1
6
0.
8±1
9.
6m/
s
e
e
つ無駄 な脂 肪 を減少 させ た結 果 と考 え られ
か ら トレー ニ ング後 の1
61
9.
6±2
0.
4m/
s
e
e
る。野球競技 は,瞬間的に無酸素的な運動 を
へ と有 意 に増 大 した (
P<0.
0
01 )。TIは,
多 く要求 され ることか ら守備や走塁 といった
トレーニ ング前 の1
.
2
5±0.
1か ら トレーニ ン
体重移動 に対 しては大 きな筋パ ワー を発揮 で
.
2
7±0.
1
へ と変 化 は なか った。OSI
グ後 の1
2
)
は,筋 パ ワ
きる こ とが望 ま しい3)。高松 ら1
(×106) は、 トレー ニ ング前 の3.
21±0.
32
ーを 「
力型」 と 「ス ピ- ド型」 に分類 し,戟
か ら トレーニ ング後の3.
3
3±0.
3
3へ と有意 に
技種 目によってその発達 に差異があることを
P<0.
0 1)。
増大 した (
報告 している。一般 に走動作 の ように,素早
表 4 超音波骨強度の結果
項 目
トレーニング前 トレーニング後
い筋収縮 を連続的 に行 う身体移動 は,運動初
6
0.
8±1
9
.
6 1
6
1
9
.
6±2
0
.
4
,
.
*
(
SOS,Ⅰ
〟S
∝) 1
透過 指標 (
TI
)
1
.
2
5±0
.
1
1
.
2
7±0
.
1
音響 的骨評 価 値 3
,
2
1
±
0
.
3
2
3
.
3
3
±
0
.
3
3
*'*
(
O
S
I
,
×1
0
6
)
超音 波伝播 速度
Vl
aue
sr
e
p
r
e
s
e
ntme
a
ns
±S
D.
St
a
t
i
s
t
i
c
l s
a
i
g
ni
ic
f
a
nc
e
,*
*
*
P<0
.
(
氾1
Ⅳ.考
察
期の体重移動 に 「
力型」のパ ワー発揮能力が
,「中間型」
必 要 とされ,続 く加速局面 で は
や 「ス ピー ド型」のパ ワー発揮能力が要求 さ
れる0本研究のオフシーズ ンの トレーニ ング
0cm/
s
e
cのパ ワーに改善が な されな
では,2
かった。 これは,野球 の守備練習や走塁が静
止状態か らのス ター トではな く,構 えの状態
か ら散歩助走 (
加速) をつける形でス ター ト
,
一般 的に多 くのスポーツ種 目では,オフシ
力型」 のパ ワー
す るこ とが多 い こ とか ら 「
ーズ ンでの基礎的 トレーニ ングが試合期での
発揮 には大 きな影響 は与 えていなかった もの
競技成績 を左右す ることが明 らかになってい
と思われる。特 に,守備や走塁の練習では,
る。オ ンシーズ ンでは技術 的な練習 に焦点が
小刻みな移動 のあ とに大 きな動作 を行 うこと
置かれることか ら, オフシーズ ンでは筋力 ト
か ら 「中間型」や 「ス ピー ド型」のパ ワー
,
レーニ ングや体力 トレーニ ングに多 くの時間
0cm/
s
e
e
発揮 が改善 され た もの と思 われ,8
が費や される。発育期 の筋力 トレーニ ングに
や1
2
0cm/
s
e
cでの脚伸展 パ ワー値 が有意 に
おける効果 については, これまで筋肥大 によ
増大 した もの と考 え られる。
る筋量の変化や神経系の改善が報告 されてい
80cm/
s
e
e
本研究 における腕伸展パ ワーは,
る11)。 これ まで, オフシーズ ンの トレーニ ン
の速度 においてのみ トレーニ ングによる改善
グ効果 については,サ ッカー選手やボー ト選
が認め られた。腕伸展パ ワーは,投球動作や
手 を対象 に無酸素パ ワーの変化 についての報
バ ッ トス イング時に発揮 され,ボールや打具
告 はみ られ る ものの7・16),高校野球選 手 を対
であるバ ッ トの速度 に影響 を与 えるものであ
象 とした筋パ ワーや骨強度 に及 ぼす影響 につ
る。灘本 ら1
0
)
は,実打撃時の打球速度 と2
0c
m
いては報告 されていない。
s
e
e
,1
2
0cI
〟s
e
cの 3速 度 の 腕
/
s
e
e,80cm/
0cm/
s
e
e
,8
0cm/
s
e
e
,1
2
0
本研究 における2
伸展パ ワー との間に,有意 な正の相関がある
c
m/
s
e
cの 3速度での脚伸展パ ワーは,絶対
ことを報告 している。 オフシーズ ンの野球 ト
値 において トレーニ ング前後で有意 な変化 は
レーニ ングで は,打 撃 時 に8
00-9
0
0gのバ
0cm/
s
e
e,1
2
0
認め られなかったo Lか し,8
ッ トを用 いた練習,守備時 において は1
41.
7
33
灘本ほか
∼1
4
8.
8gのボールを素早 く投 げるパ ワーを
改善する トレーニ ングを繰 り返 し行 うことか
は,野球の技術 的な練習 よりも筋力 トレーニ
ら,「
力型」及 び 「ス ピー ド型」のパ ワー-
向上 をはかることか ら,これ らの トレーニ ン
の影響 は少な く 「中間型」である,8
0cm/
s
e
e
グが骨へ刺激 を与 え,骨密度 を改善 した と考
での腕伸展パ ワーが改善 された もの と思われ
えられる。発育期 における中程度の運動負荷
ングやランニ ング量 を増加 させ,基礎体力の
る。 また, ウェイ トトレーニングで用いた ト
は,成長期の骨肥大 を促進する報告 はあるも
レーニ ング内容は,筋力やスピー ドの養成で
のの,長距離選手の ようにランニ ング量が過
はな くバ ッテ ィングや投球時のパ ワーを改善
大であると骨董や骨密度の低下 を及ぼす とい
することも目的であったことか ら 「中間型」
う報告 もあるg
'
。本研究のオフシーズ ンの ト
のパ ワー発揮の改善 に影響 を与 えたことも考
レーニングその ものの強度や量 については検
えられる。 この点 については,野球の どの ト
討 していないが, トレーニ ング後 に体重の減
レーニ ングが 「中間型」での腕伸展パ ワーに
少が認め られたことか ら,運動エネルギーの
影響 していたのか を詳 しく調べ る必要があろ
消耗 は大 きかったもの と推察 される。 また,
う。
本研究の被検者が成長期後期 にある者 も含 ん
最大無酸素パ ワーは,オフシーズンの トレ
でいるため,骨強度の増大が野球 トレーニ ン
ーニ ング後 に絶対値,相対値 とも有意 に改善
した。最大無酸素パ ワーの増大 は,短時間の
グその ものなのか,成長 によるものなのか,
それ らの複合要因によるものなのかについて
爆発的,瞬発的な運動時 に供給 されるエネル
は本研究の結果か らは不明であった。 これ ら
ギー量の増大 を意味 し,筋パ ワーの発揮 を高
については,今後成長の因子 を除いて詳細 に
速で反復する走能力 との関係が報告17)されて
検討することが必要である と思 われる。
いることか ら,オフシーズ ンの ダッシュや加
速走 などの走 トレーニ ングの量的増大が関係
した もの と思われる。 また,最大無酸素パ ワ
V.ま
と め
本研究 は,高校野球選手 を対象 に して,オ
ーの測定は, 3段 階の負荷 を用いて計測 され
フシーズ ンの トレーニ ング前後の筋パ ワー及
る こ とか ら,1
2
0cm/
s
e
cと8
0cm/
s
e
cの 脚
び音響的骨強度への影響 を明 らかに した。結
伸展パ ワーの増 大 か ら も 「ス ピー ド型」 と
果は,以下の とお りである。
「中間型」の筋収縮の改善がなされ回転速度
1)体重は, トレーニ ング前後で有意 な減少
の向上 をもたらし,最大無酸素パ ワーの増大
が認め られたが,除脂肪体重 には有意 な
に貢献 したのか もしれない。本研究の 自転車
変化 はなかった。
エルゴメー ターによる最大無酸素パ ワーの測
2)2
0c
m/
s
e
e,8
0c
m/
s
e
e,1
2
0c
m/
s
e
cの
定時間は1
0秒であ り,野球競技の走塁 に換算
脚伸展パ ワーの絶対値 は, トレーニ ング
す る と 2塁打 か ら 3塁打 に相 当す る。 しか
前後で有意な変化 は認め られなかった。
し,本研究では,塁間走などの専 門的な走能
8
0cm/
s
e
e,1
2
0cm/
s
e
cの脚伸展パ ワー
力 について検討 していないことか ら,今後 こ
の相対値 は, トレーニ ング後 に有意な増
れ らとの関係 を詳 しく調べ る必要があろう。
大 を示 した。
鐘骨の骨強度 を示す超音波骨評価値 は,オ
3)8
0cm/
s
e
cの腕伸展パ ワーの絶対値及 び
フシーズ ンの トレーニ ング後 に有意 に改善 し
相対値 は, トレーニ ング前後で有意な増
た。 これは,骨量 を示す透過指標 に差が認め
0cm/
s
e
cと1
2
0
大 を示 した。 しか し,2
られず,超音波伝播速度 に増大が認め られた
c
mノ
s
e
cの腕伸展パ ワーの絶対値及 び相
ことか ら,骨密度 に野球 トレーニ ングの影響
対値 は, トレーニ ング後 に有意な変化 を
が貢献 した もの と思われる。オフシーズ ンで
示 さなかった。
3
4
高校野球選手 におけるオフシーズ ンの トレーニ ングが
筋パ ワー と骨強度 に与 える影響
4)最 大 無 酸 素 パ ワー の絶 対 値 及 び相 対 値
は, トレーニ ング後 に有意 な増大 を示 し
た。
選手の ための体力診 断 システム. ソニー
5)超音波法 に よる鍾骨 の骨強度 は, トレー
ニ ング後 に有意 に増大 した。
以上 の結果 よ り,高校野球選手選手の筋 パ
ワー及 び音響的骨 強度 は, オ フシーズ ンの ト
レーニ ングによって改 善す るこ とが明 らか に
なった。
謝
辞
稿 を終 えるにあた り,研 究 にご協 力いただ
きま した天理高校野球部鈴木喜一監督 は じめ
ス タッフ,部員及 び天理大学体育学部体力学
研 究室 の皆様 に感謝いた します。
文
J.Spor
t
sS°
i
.1
5(
1
)
:5
3-5
&
1
9
8
6)一般 人 ・スポー ツ
8)宮下充正編著 (
献
1)Cai
o
z
z
o,V.J.
,e
ta
l(
1
985)Tr
ai
ni
ngi
nduc
e
dal
t
e
r
at
i
o
nso
ft
hei
nvi
vof
わr
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i
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hi
pso
fhuma
nmus
c
l
e.
J.
Appl
.p
hys
i
o
l
.
51
:7
5075
4.
2)呉 堅,深 代 千 之,福 永 哲 夫 ,黒 田善 雄
(
1
9
8
6)超 音 波 骨 評 価 装 置 (
AOS1
0
0)に よる計 測値 の再現性 と骨 密 度 と
の相 関 について.体力科学 4
6:5
7
0.
1
9
87
)野 球 選 手 の 体 力 的 特
3)平 野 裕 一 (
性.J,
∫.Spo
r
t
sSc
i
.6(ll):71
2-7
1
9.
1
9
9
6)スポー ツ選
4)井上菅朗 ,山本正嘉 (
手 の上肢 ,下肢 の筋 パ ワ ー標 準 値 の作
p7
7-8
0.
企業 :p
9)宮永豊 ,向井直樹 (
1
9
9
4)骨 の発育 とメ
J.Spor
t
sS°
i
.1
3
カニ カルス トレス.J.
(
4)
:4
2
3-4
2
8.
1
0)灘本雅一, 中谷敏 昭,新 田泰士 ,三村 寛
2
0
0
0)高校野球選手 にお ける筋パ ワ
一 (
ー とパ フ ォーマ ンス ー レギュラー選手 と
非 レギュ ラー選手 の比較 -. 日本体育学
1
会側走評価専 門分科会サ ーキュー ラー6
(
i
npr
e
s
s
)
.
1
9
9
5)筋力 ・筋パ ワー
l
l
)坂本啓 ,勝 田茂 (
の発達 と トレーニ ングの適時性 .体育 の
5(6):4
5
1-4
5
5.
科学4
1
2)高松 薫,佐藤芳弘 ,宮坂雅 昭,高森秀
蔵 (
1
9
8
9)無気 的パ ワー にお け る力型 と
ス ピー ド型 の タイプか らみ た ラクビ-逮
手の特性 .体育学研 究3
4(1):81-8
8.
1
3)徳丸
久 (
1
9
9
7
)小児 における鍾骨超音
波法 に よる骨評価 の年齢別変動 一腰椎骨
密度 との比較検討 -. 日本小 児科学会雑
誌1
01:1
1
4
2-1
1
4
8.
1
4)山本正義 ,山本利春 ,井上哲朗 ,吉永孝
1
9
9
6)スポー
徳 ,金久博 昭,斉藤雅彦 (
ツ選手 のための新 しい体 力 テス トシス テ
ムの開発 と標準値 の作 成 (1) 一上肢 ,
下肢 の筋パ ワーテス トについて -.武道
成 .武道 ・ス ポー ツ科学研 究所年報第 1
・ス ポー ツ科 学研 究所 年 報 第 1号 :1
1
3
号 :1
21-1
2
5.
-1
1
6.
5)井上哲朗 ,山本 正嘉 (
1
9
9
7
)速度別 にみ
1
5
)山本正嘉 (
1
9
9
6) 自転車エ ル ゴメー ター
た各種 スポー ツ選手 の上肢 ,下肢 パ ワー
に よる下肢 パ ワー測定法 の問題 点 とその
の標準値 ,武道 ・ス ポー ツ科学研 究所年
修 正案 .武道 ・ス ポー ツ科学研 究所年報
報 第 2号 :1
31-1
3
3.
1
9
9
8)青年期 スポー ツ選手 の
6)松 本高明 (
骨密度 一種 日間の相違 I.臨床 スポー ツ
医学 1
5(7):7
2
7-7
31
.
7)宮 城 修 ,瀧 弘 之,石 河 利 寛 ,北 川 薫
(
1
9
9
6)サ ッカー選手の シーズ ン中の身
体組成 と最 大無酸素性パ ワーの変化 .∫.
第 1号 :1
1
7-1
2
0.
1
6)山本意志 ,伊坂忠夫 ,高橋勝美,楼 閣幸
次 (
2
0
(
刀)オ フシーズ ン トレーニ ングが
男子 大学 ボー ト選手 の無酸素パ ワー と筋
厚 に 与 え る 影 響 .体 力 科 学4
9:4
6
9-
4
8
0.
1
9
9
2)
1
7)山本利春 ,山本正嘉 ,金久博 昭 (
灘本 ほか
陸上競技 にお け る一流 お よび二流選手 の
下肢 筋 出力 の比 較 -1
0m 走 ・走 幅跳 ・
三段跳選手 を対象 と して.∫.∫.Spo
r
t
s
Sc
i
.ll(
1
)
:7
2-7
6.
1
8)山本利春, 山本 正嘉 ,吉永孝徳,井上哲
朗 (
1
9
97
)競技特性 か らみたエ リー トス
ポ ー ツ選手 の筋パ ワー.武道 ・スポー ツ
科学研 究所年報第 2号 :1
3
5-1
3
9.
35