月次県内経済 月次県内経済 概 況 横這い圏内ながら持ち直しの動き 〈2月〉生産面では大手・中堅造船は既往受注により概ね高めの操業を維持、重電機械も堅 調、電子部品は弱めの動きも。需要面では、公共工事請負金額が減少傾向、新設住宅着工戸 数は持ち直し一服。個人消費では大型小売店販売額が前年を上回り、乗用車(登録車)販売 台数はマイナス。観光面は世界遺産やクルーズ寄港増もあって主要施設の入場者数・宿泊者 数とも堅調。雇用面では有効求人倍率が1.0倍台で上昇傾向続き、県内企業では人手不足の 状況。企業倒産件数は引き続き低水準。3月入り後も生産、消費等底堅く、観光消費面は追 い風続く。 造 船 大手・中堅、地場中小とも高めの操業を維持 大手・中堅造船では、新造需要は市況を反映 して低調。生産面では客船やガス運搬船、省エ ネ船など高付加価値船を中心に受注残を確保し ていることもあり、高めの操業を維持している。 地場中小造船でも、既往の受注を背景に高め の操業を続けているほか、更新需要もあって貨 物船や漁船、官庁船などの受注を確保している。 機 械 重電機械は堅調、電子部品は弱めの動きも 重電機械では、原動機(タービン、ボイラー、 エネルギー関連等)は新興国の需要を背景とし た海外プラント関連に加え、国内でも一定の受 注を確保。電動機(大型、中小型モーター) 、 列車空調装置は受注持ち直しの傾向。 電子部品では、海外との競争など厳しい環境 のなか、一部最終製品需要の動向から、やや弱 めの動きもみられる。 ながさき経済 2016.5 37 小売商況 概ね横這い圏内の動き 小売商況をみると、2月の県内大型小売店販売額は前年を上回る一方、乗用車販売は前年割れ が続き、サービス消費面の旅行取扱高も前年を下回った。なお、3月度の大型店売上げについて は一部弱めの動きも比較的堅調。 2月の大型小売店販売額(百貨店・スーパー36店、九州経済産業局調べ)は82億円、前年同月 比2.5%増(同一店舗比較)と2カ月連続のプラス。閏年で日数増もプラス要因。品目別では、 飲食料品が5.1%増、雑貨・家庭用品等が5.2%増となり、衣料品の不振(6.6%減)を補う形となっ た。衣料品では、主力の婦人服等が4.4%減となったほか、紳士服洋品7.9%減、身回り品14.9%減。 このうち百貨店は、食料品や雑貨、家庭用品が堅調だったが、衣料品が婦人、紳士ものともに振 るわず、身回り品も低調。催事等は堅調。一方、スーパー・大型店等では食料品が堅調ながら、 衣料品等の動きが鈍く低調。なお、3月度は、百貨店・大型店等で一部弱めの動きもみられるが、 比較的堅調に推移。 乗用車販売では、2月の新規登録台数は1,806台、前年同月比9.5%減とマイナス幅がやや拡大。 このうち普通車は865台、1.5%減と再びマイナスに。小型車は941台、15.8%減と5カ月連続の2 桁減。一方、軽乗用車は1,803台、22.2%減(3 月、19.8%減)と大幅減が続く。また、軽を含 む総販売台数では3,609台、16.3%減となり、引 き続き2桁減。 サービス消費面では、2月の県内主要旅行業 者の旅行取扱高が7.8%減と、2カ月連続の前 年割れ。国内旅行は0.1%増となったものの、 海外がテロ事件等もあって35.8%減となった。 38 ながさき経済 2016.5 月次県内経済 水 産 取扱量が増加、金額は減少 2月の県内3魚市と県漁連の取扱い状況をみると、取扱量は2.1万トン、前年同月比6.5%増加 したものの、取扱金額は57億円、同4.3%減少 した。 また、魚種別の水揚げ(日本遠洋旋網漁業協 同組合調べ)をみると、アジは数量が前年同月 比約4.2倍となり、単価が51.1%減と大きく下落 したものの、金額は約2.1倍となった。一方、 サバは数量が20.0%増加し、単価も3.8%上昇、 金額は24.6%増加した。 観 光 主要施設の入場者数、宿泊客数ともに増加 2月の県内観光をみると、主要観光施設の入場者数、主要宿泊施設の宿泊客数ともに増加した。 主要観光施設等(13施設)の入場者は461千人、前年同月比7.8%増加した。地区別にみると、 県南地区の長崎市では、グラバー園(29.4%増)と長崎原爆資料館(10.4%増)が増加したものの、 長崎歴史文化博物館(2.5%減)は減少した。また、島原半島では今年で12回目となる「島原城 下ひなめぐり」が開催された島原城(20.4%増)と雲仙岳災害記念館(5.9%増)が増加、雲仙仁 田道(2.0%減)は減少した。一方、県北地区をみると、 「光の王国」に加え、恒例の「チューリッ プ祭」がスタート、世界花火師競技会等も開催されたハウステンボスが前年並みとなり、九十九 島パールシーリゾート(6.2%減)は減少した。なお、平戸城(耐震工事のため、前年同時期全 館休館)は、一昨年比40.9%の大幅増となっている。離島地区では万松院(27.7%増)が増加し たものの、堂崎天主堂(15.5%減)と一支国博物館(10.6%減)はともに減少した。 県内主要宿泊施設(43社、日本銀行長崎支店調べ)の宿泊客数は前年同月比6.5%増加した。 このうち、県南地区は世界遺産と夜景観光の好 調に加え、先月に引き続き客船建造従事者増か ら16.5%増加したものの、県北地区は3.5%減と なった。また、雲仙・小浜の各観光協会の調べ によると雲仙地区の宿泊客数は27千人、25.1% 増加したものの、小浜地区は9千人、3.5%減 少した。 ながさき経済 2016.5 39 公共工事 件数、請負金額とも減少 2月の県内公共工事(西日本建設業保証取扱分)をみると、請負件数は251件、前年同月比3.1% 減と3カ月連続のマイナス、請負金額は58億円、同39.7%減と3カ月連続で前年を下回った。 主要発注者別の請負金額では、「国」 (9億円、18.8%増)が前年を上回ったものの、 「県」 (28 億円、22.8%減)と「市町」(20億円、48.1%減)は前年割れとなった。 また、地区別の請負金額をみると、前年を上回ったのは、諫早地区(14億円、2.0倍増) 、対馬 地区(9億円、69.3%増)など4地区。一方、県北地区(11億円、66.4%減) 、長崎地区(9億円、 65.6%減) 、田平地区(5億円、47.5%)など6 地区では前年を下回った。 なお、同月の1億円以上の主な大型工事は、 国道382号道路改良工事(美止々トンネル)(4 億円)の1件。 住宅建設 持ち直しの動き、足踏み 2月の新設住宅着工戸数は412戸、前年同月比11.0%減と5カ月振りに前年を下回った。 利用区分別にみると、分譲(71戸<うちマンションは51>、3.7倍増)は前年を上回ったものの、 持家(228戸、9.2%減)と貸家(112戸、41.7% 減)が前年を割り込んだ。 主な市郡別(県建築課調べ)では、佐世保市 (110戸、50.7%増)、大村市(41戸、46.4%増) などでは前年を大幅に上回ったが、長崎市(156 戸、9.8%減)、西彼杵郡(29戸、46.3%減)な どでは減少した。 40 ながさき経済 2016.5 月次県内経済 雇 用 緩やかな改善傾向続く 2月の県内の有効求人倍率(季節調整済)は前月を0.02ポイント上回る1.06倍。また、全国の 有効求人倍率は前月と同水準の1.28倍となった。 新規求人数は10.9千人、前年同月比11.0%増となり、15カ月連続のプラスとなった。形態別では、 一般求人が6.1%増と10カ月連続のプラス、パート求人は17.8%増となり、2カ月連続の増加。主 な業種別にみると、卸売・小売業(39.0%増)、飲食店・宿泊業(29.8%増)、製造業(18.7%増)、 サービス業(15.7%増)がいずれも2桁増となったが、教育・学習支援業(25.4%減)、建設業 (8.7%減)などは前年を下回った。一方、新規求職者数は7.7千人、前年同月比2.7%増と3カ月 振りの増加。形態別では、一般求職者が2.3%増、パート求職者が3.7%増となった。 また、有効求人数は27.5千人、前年同月比7.9%増と14カ月連続のプラス、有効求職者数は24.4 千人、前年同月比7.8%減と30カ月連続の減少。 就職件数については、2.5千件、前年同月比 0.2%減と10カ月連続の減少。また、雇用保険受 給者実人員は4.9千人、前年同月比7.0%減とな り37カ月連続で減少した。 県内の雇用データをみると、緩やかな改善傾 向が続いている。 企業倒産 低水準続く 3月の県内の企業倒産件数(東京商工リサー チ調べ)は2件、前年同月比では1件の減少。 一方、負債総額は前年同月比81.5%減の0.4億円 となり、前年を大幅に下回った。 倒産件数を業種別にみると、小売業とサービ ス業がそれぞれ1件。また、倒産原因は「既往 のシワ寄せ」と「販売不振」 がそれぞれ1件。 ながさき経済 2016.5 41
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