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Ⅲ
就業規則の内容
Ⅲ 就業規則の内容
退 職 し た ら 、会 社 で や っ て い る よ う な 商 売 を 自 分 で も 始 め て み
よ う か な 。会 社 で 身 に つ け た ノ ウ ハ ウ や 人 脈 を 使 っ た ら 、何 か で
きるかも。
ラ イ バ ル 会 社 を 増 や さ れ る の は 困 る よ 。何 か 事 前 に 対 策 を し て
おけないかな。
退 職 後 の 秘 密 の 保 持 や 、使 用 者 と 競 合 す る 業 務 を 行 う こ と の 制
限 に つ い て 、就 業 規 則 や 労 働 契 約 で ル ー ル を 定 め て お く 方 法 が あ
り ま す ね 。た だ 、労 働 者 に は 職 業 選 択 の 自 由 が あ る の で 無 条 件 で
制限できるわけではないんですよ。
労働者は働いている間、労働契約上の付随義務として、秘密保持義務(使用者
の営業上の秘密を保持すべき義務)及び競業避止義務(使用者と競合する業務を
営まない義務)を負っています。しかし、退職後についてまでこうした義務が当
然に認められるわけではありませんので労働契約や就業規則でルールを定めてお
く必要があります。
◆
秘密保持義務
退職後における秘密の保持については、不正競争防止法においても、営業秘密
侵害行為に対して差止請求・損害賠償請求等の救済が用意されていますが、不正
競争防止法では「営業秘密」の範囲が厳格に定められています。この範囲に含ま
れない企業秘密についても秘密保持を求めるためには、就業規則において退職後
の秘密保持業務を規定しておくことが必要です。なお、秘密保持業務の内容を明
確化するために秘密保持規程を整備したり、個別に秘密保持誓約書を取得するこ
とも考えられます。
◆
競業避止義務
退職後における競業避止義務の規定は、労働者の職業選択の自由を考慮してそ
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Ⅲ 就業規則の内容
Ⅲ 就業規則の内容
の有効性が、厳格に判断されています。競業避止条項の有効性は画一的に判断す
ることはできませんが、競業避止義務の期間を限定すること、競業が禁止される
業務や地域の範囲を限定すること、代償措置を講じることなどの条件を満たすこ
とが必要です。
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