「レパーサ ® 皮下注」発売 , 厚労省通知で留意事項

速報版
発行
株式会社ライフ・サイエンス
〒 150-0001
東京都渋谷区神宮前 5-53-67
コスモス青山
家族性高コレステロール血症,高コレステロール血症治療薬
®
「レパーサ 皮下注」発売 , 厚労省通知で留意事項
アステラス・アムジェン・バイオファーマ株
式会社(以下「アステラス・アムジェン・バイオ
ファーマ」
)
とアステラス製薬株式会社
(
「アステラ
ス製薬」) は,PCSK9 阻害薬「レパーサ ® 皮下注
140mg シリンジ」[ 一般名エボロクマブ
(遺伝子組
換え)]( 以下「レパーサ ®」
)について,4 月 21 日,
日本において発売を開始した
(薬価:レパーサ ®
皮下注 140mg シリンジ:22,948 円)
。
中央社会保険医療協議会総会(4 月 13 日)
®
レパーサ は,心血管イベントの発現リスクが
高く,HMG-CoA 還元酵素阻害剤
(スタチン)で効
果不十分な,家族性高コレステロール血症,また
は,高コレステロール血症を効能・効果とした皮
下注射剤である。
レパーサ ® はヒト IgG2 モノクローナル抗体で,
レパーサ皮下注 140mg シリンジ及び同ペン
①本製剤の効能・効果は「家族性高コレステロ
ール血症,高コレステロール血症。
ただし,心血管イベントの発現リスクが高く,
HMG-CoA 還元酵素阻害剤で効果不十分な場合に
PCSK9 に結合し,血中の PCSK9 が低比重リポタ
限る」であることから,心血管イベントの発現リ
ンパク
(LDL)受容体(LDLR)と結合するのを阻害
スクが高く,HMG-CoA 還元酵素阻害剤の最大耐
する。その結果,LDLR の分解が抑制され,肝細
用量を服用しているが,十分な治療効果が得られ
胞表面での LDLR の再利用を可能とする。PCSK9
ていない患者に限り使用すること。
の LDLR との結合を阻害することで,レパーサ ®
また,本製剤の使用上の注意において,
「本剤
は血中 LDL を除去する LDLR 数を増加させ,LDL
投与にあたっては,あらかじめ高コレステロール
コレステロール値を低下させる。
血症治療の基本である食事療法を行い,更に運動
本剤は,4 月 13 日に開催された中央社会保険医
療法,禁煙,他の虚血性心疾患のリスクファクタ
療協議会総会
(写真)において,委員から「家族性
ー( 糖尿病,高血圧症等 ) の軽減等も十分考慮する
高コレステロール血症に限定すること」あるいは
こと」とされているので,患者に対して必要な治
「心血管イベントハイリスク例のみを対象とする
療及び指導を十分に行った上で,本製剤の使用を
ことを通知で明確にすること」が求められた経緯
がある。結果として,家族性高コレステロール血
症に限定されることはなかったが,厚生労働省保
考慮すること。
②本製剤の使用に当たっては,次の事項を診療
報酬明細書の摘要欄に記入すること。
険局医療課長通知(保医発 0419 第 1 号,平成 28
ア 本製剤の使用が必要と判断するに当たって
年 4 月 19 日)
では,以下の留意事項が付された。
参照した LDL- コレステロールの検査値及び当該
2016. 4. 22. 速報版
1
検査の実施年月日。
た理由(冠動脈疾患,非心原性脳梗塞,末梢動脈疾
イ 食事療法を行っている旨,及び患者の状況
患,糖尿病若しくは慢性腎臓病に罹患しているこ
に応じて,運動,喫煙等に関する指導又は糖尿病,
と若しくはそのいずれかの既往歴を有すること,
高血圧症等の虚血性心疾患の危険因子に対する治
又は複数の危険因子が認められること)。
療若しくは指導を行っている旨。
③家族性高コレステロール血症ヘテロ接合体及
ウ 投与中の HMG-CoA 還元酵素阻害剤の成分
び高コレステロール血症の患者における本製剤の
名及び 1 日投与量。なお,1 日投与量が最大用量
使用に当たっては,原則として 140 mg を 2 週間
でない場合は,最大耐用量である旨もあわせて記
に 1 回投与すること。
載すること。
エ 家族性高コレステロール血症以外の患者で
は,心血管イベントの発現リスクが高いと判断し
※レパーサ ® について,詳細は最新の添付文書
をご覧下さい。
ARB,CCB,利尿薬の配合錠が,
3 剤併用の処方実態を問われ継続審議に
「テルミサルタン / アムロジピンベ シル酸塩 /
択肢の 1 つとなっており,その場合の 3 種配合剤
ヒドロクロロチアシドの配 合剤
(販売名 : ミカト
を医療現場に提供することを目的として申請され
リオ配合錠)」が,4 月 20 日,薬事・食品衛生審議
ている。
会医薬 品第一部会において,アンジオテンシン II
受容体拮抗薬
(ARB)
,カルシウム拮抗薬
(CCB)
,
種配合剤はすでにあり,それにもう 1 剤を追加す
利尿薬の 3 剤併用の処方実態を問われ,継続審議
ればよいのではないかという考え方などもある。
となった。
今後は,申請者側が ARB,CCB,利尿薬の 3 剤併
日本高血圧学会による「高血圧治療ガイドライ
ン」では,2 成分で十分な効果が得られない場合,
ARB,CCB,利 尿薬の 3 種類の薬剤の併用が選
2
しかし,ARB と CCB および ARB と利尿薬の 2
速報版 2016. 4. 22.
用の処方実態を明らかにした上で,継続審議され
る。