平 成 28 年 度 事 業 計 画

平 成 28 年 度 事 業 計 画
Ⅰ 事業方針
本協会は、これまで海外日系人協会の役割は「海外日系社会と日本との橋渡
しを果たすこと」との認識のもと、
「海外日系人大会」を協会の中心事業と位置
づけ、併せて JICA 委託事業、厚生労働省委託事業、日本財団助成事業を実施
することにより主として中南米地域を対象とした日系社会の支援・強化に努め
て来た。
しかし、21世紀も15年が経過した今日、日本社会や海外日系社会を取り
巻く環境に変化が生じて来ていることを踏まえ、改めて本協会が果たすべき役
割を再検討しつつ、本協会の事業も「日系社会の支援・強化」のみならず「日
系社会との協力・協働」をも目指すものにして行く必要がある。また「日本に
とっての日系社会の重要性」をより強く日本国民一般に認識してもらうための
更なる努力が必要となって来ている。
このため、本年度は次の諸点を重視して各種事業を実施する。
①中核事業となる海外日系人大会については、これまでの如く海外日系人の要
望や意見をとりまとめる場とすることに加え、新たに日本側が海外日系人と
協力・協働しうる分野や具体的事業を見つけ出す場としても活用する。
また、
同大会を日本国内で海外日系人について広く認識してもらう機会として活用
する。
②本協会の活動や存在意義を周知させるには広報力の強化は欠かせない。WEB
コンテンツは SNS 等により即時性の改善に努めて来ているが、更に発信力
の強化・充実を図る。
「国際日系ネット」については、未だこれに参加してい
ない北米(含ハワイ)及び大洋州地域を含め各地域の日系団体の更なる参加
促進を図る。
③海外日系団体に関する情報収集に努め、本協会の運営や主催事業内容の向上
を図るため、これら日系団体との協力・協働の可能性を探求する。
④主催事業を拡充実施するためには、自己資金の充実が必要となる。そのため
には、賛助会員、寄付金の賛助企業を増やす必要がある。よって、募金業務
に力を入れ併せて事業収入の増加もめざす。同時にこれまで実施して来た事
業でも費用対効果の観点から事業実施の必要性を再検討する。
Ⅱ 事業計画
1.海外日系人大会開催事業
本事業は、年1回、海外在住の日系人および国内における日系人が日本で
一堂に会し、居住国の実情を相互に認識しあい、あわせて国際交流、国際理解、
国際親善を深め、世界の対日理解の促進と強化を図ることを目的としている。
平成28年度においては、第57回海外日系人大会を10月に東京・憲政記念
館を中心に3日間の日程で開催する。
2.内外日系社会広報事業
(1)「ニッケイ・ネットワーク(海外日系人協会だより)」紙発行
日系人に関する情報、当協会実施事業の紹介、国内外日系社会にまつわる
話題、日系人相談センター相談事例のポルトガル語による紹介、在日日系人関
連レポート等を掲載する。配布先は、移住関係機関・団体、企業、官公庁、賛助
会員、寄付金拠出企業、NGO等、幅広く情報を提供する。
平成28年度においては、内容を充実させ年4回各4,000部を発行する。
(2)協会 WEB サイト・国際日系ネット運営
Facebook や Twitter と連動させるなど年々WEB サイトの充実を図っている中
で、季刊「海外日系人」誌等のバックナンバーの電子データ化及び WEB での
公開を行ってきた。今後も順次、協会の事業紹介・各種申込みなどとあわせて、
出版物を WEB 上で紹介し、活動のPR・情報発信を行っていく。さらに、バナー
広告により、収入増を目指す。
また、協会 WEB サイト上で運営している日系国際ネットについては、RSS(更
新情報を簡単にまとめ配信するためのフォーマット)の活用を図り、国際日系ネ
ットに参加する海外日系団体の情報発信を行っているところであるが、平成28
年度においては、WEBサイトの拡充とともに従来の運営事業を継続し、さらに
北米(含ハワイ)及び大洋州地域を含め各地域の日系団体の参加を促進す
る。
(3)海外日系新聞放送協会支援
本事業は、海外の日系新聞・ラジオ21社により組織され、事務局を当協会に
置く「一般社団法人海外日系新聞放送協会」を支援するものである。
平成28年度においては、政府広報等の実施及び海外日系新聞放送協会年
次総会の開催を支援する。
3.在日日系人対応事業
(1)日系人相談センター
本事業は、協会内に設置されている「日系人相談センター」の常設電話窓口
において、主に国内における日系人からの生活相談等に対し、対処方法の指
導、知識・情報の提供、また必要に応じ関係機関・団体への紹介・取り次ぎ等を
日本語、ポルトガル語(スペイン語)により対応するものである。
平成28年度においては、平日の午後1名体制で業務を実施する。
(2)在日日系人のための生活相談員セミナー
各地方自治体や地域の国際交流協会等において、主に国内における日系
人に係る諸々の問題に対処すべく相談窓口が設置され相談業務が実施されて
いるが、相談内容が多岐に亘るとともに専門知識が必要とされるところから、相
談への対応には苦慮しているのが実情である。
本事業は、かかる背景のもと、当協会内に設置している日系人相談センター
の業務を軸として、最新の情報を得ることと共に相談担当者間の連携強化を図
り、情報・知識を共有し、相談対応業務の円滑化を図ることを目的としている。
平成28年度においては、横浜市で年間1回開催する。
4.日系社会との連携強化事業
(1)ブラジル・ビジネスセミナー
本事業は、ブラジル等中南米地域へ進出を検討している、もしくは関心があ
る企業を対象にビジネスセミナーを開催し、それら企業へブラジルはじめ中南
米のビジネス事情、中小企業海外展開事業等について情報提供するものであ
る。
平成28年度においては、ブラジルをはじめとする中南米の動向を注視し、
現地日系団体の協力も得つつ適切な時期を捉え開催を考える。
(2)日系社会視察の旅
本事業は元々、ブラジル、アルゼンチン等で活躍している日系社会青
年・シニアボランテイアをその親族、及びこれらの国に移住した移住者を
日本の親族が訪問し、現地の視察を通じ日系社会ボランテイア事業を含む
移住者・日系人支援事業の理解を深めるとともに移住者・日系人との交流
を促進することを目的として開始した経緯がある。近年本事業への参加希
望者が減少していることも踏まえ、平成28年度においては対象者の範囲
を拡大することとし、前述の親族者に加え中南米地域への進出を検討して
いる、もしくは進出に関心を有する企業関係者を含む中南米日系社会に関
心を持つ者(少なくとも6名以上)を対象に実施する。
5.継承日本語教育事業
本事業は、日系社会において親から子へと世代とともに継承されて行く
べき日本語教育の普及を目的とするものである。当協会内に設置された
「継承日本語教育センター」はこのための教育内容や教育手法の開発に努
めて来ているが、そのノウハウは日系研修の日系継承教育コースプログラ
ム作成に生かされてきている。平成28年度においては、日系人の日本社
会でのより一層の活躍を可能とさせ、かつ日系人と日本社会との連携を強
める。例えば「日本語でのプレゼンテーション技術」のようなより高度な
教育内容や手法の開発を図る。
6.日本財団日系スカラーシップ事業(日本財団)
日本財団は、居住国と日本との間の理解促進や居住国・地域社会の発展に
貢献するための具体的な計画や夢を持つ若い日系人に対し、その実現のため
日本留学の機会を与える事業に対し助成を実施している。
本事業は、留学生の募集・選考・受入準備・奨学金の支給等の業務を実施す
ると共に留学生会、留学生 OB 会への支援も行なうものである。
平成28年度においては、新規に10名を受け入れ、日本滞在留学生は29名
となる。
7.日系研修員研修事業(JICA)
JICAの実施する日系研修員受入事業は、国民参加型の技術協力事業とし
て、民間よりの提案に基づき実施されている。
本事業は、このJICA日系研修員受入事業の受託事業であり、中南米諸国に
おける日系社会において人材の育成が求められている分野につき、その研修
の実施を協会が提案し、JICAの承認を受けて実施される。
平成28年度においては、昨年度の実績及び日系社会のニーズ等を勘案し、
下表のごとく、集団コース9件、個別長期コース4件、個別短期コース7件、合計
20件の研修を実施する。
コー
ス
集
団
人
数
研修
期間
日系継承教育 教師育成Ⅰ
6
3 ヶ月
日系継承教育 教師育成Ⅱ
6
3 ヶ月
日系継承教育 教師育成Ⅲ
6
2 ヶ月
日系日本語学校の経営管理
6
1 ヶ月
日系農協中堅実務者
6
1 ヶ月
幼児教育
6
2 ヶ月
農村婦人リーダー
6
1 ヶ月
日本式経営哲学
6
1 ヶ月
ソーシャルビジネスと日系団体運営管理
6
1 ヶ月
研 修 コ ー ス
小
個別
長期
計
個別
短期
修
内
容
初級前半の日本語及び日本文化活動指
導研修
初級全般の日本語及び日本文化活動指
導研修
中・上級の日本語及び日本文化活動指
導研修
日系日本語学校を運営するための知識、
経営者・管理者としての能力の向上及び
日系継承語教育の知識を習得する研修
農協における中堅職員養成研修
幼児教育者を対象とした理論と実践的な
技術習得を目的とした研修
農村における婦人部の活動に係る各種
研修
日本の企業理念・企業文化等を習得する
研修
団体運営手法に関する知識やコミュニテ
ィビジネス、種々の事業に関する講義及
び活動現場の視察
54
日系医学
4
9 ヶ月
日系歯学
4
9 ヶ月
日系保健福祉
4
9 ヶ月
中小企業連携促進のための日系技術者
4
9 ヶ月
小 計
研
日系医師育成を目的とした長期の研修
日系歯科医師育成を目的とした長期の研
修
保健福祉サービスの最先端技術、知識を
習得する研修
中小企業等が持つ先端技術の習得及び
日本の企業文化や慣習について理解を
する研修
16
日系医学
4
3 ヶ月
日系医師育成を目的とした短期の研修
日系歯学
4
3 ヶ月
日系歯科医師育成を目的とした短期の研
修
日系保健福祉
4
3 ヶ月
保健福祉サービスの最先端技術、知識を
習得する研修
非営利団体の運営管理
4
1 ヶ月
ドミニカ共和国の日系団体において次世
代を担う人材の育成を目的とした研修
移住資料保存・整理技術
1
1 ヶ月
日系資料館などの資料電子化およびデ
ジタル・ミュージアム構築を目的とした研
修
中小企業連携促進のための企業法務
1
2 ヶ月
日本の経済活動及び中小企業の海外進
出に関する法的な知識を習得する研修
中小企業連携促進のための日系技術者
4
3 ヶ月
中小企業等が持つ先端技術の習得及び
日本の企業文化や慣習について理解を
する研修
小 計
計
22
92
8.日系研修導入・実施支援事業(JICA)
(1)日系研修実施支援業務
本事業は、JICAが中南米諸国から受け入れる日系研修員について、①日本
国内における研修や生活の円滑化を図ることを目的に、来日時に3日間の日程
で、日本の歴史、政治、経済、社会、教育等の講義などを含むオリエンテーショ
ンを行う業務、②日系研修員に係る国内移動手配業務(学会参加、視察旅行等
の切符、宿泊手配)、③受入支援業務(受入回答に関する業務、滞在費・宿泊
費調整)等を実施する。
平成28年度においては、昨年度と同等規模の日系研修員、年間約140名に
係る業務を実施する。
(2)日本語研修実施業務
本事業は、日系研修員のうち日本語能力の不十分な者に対し、研修効果を
より高めることを目的とした日本語理解力アップ重視の研修を来日時2日間実
施する。
平成28年度においては、概ね日系研修員100名の研修員に対し日本語研
修を実施する。
9.日系社会次世代育成研修事業(JICA)
本事業は、北中南米諸国等において日本語学校で学んでいる12才から16
才の日系人子弟のうち、成績優秀者を1ヶ月間日本に招へいする。日本人の海
外移住の歴史に関する学習、中学校体験入学、ホームステイ、その他の各種研
修を通じて、自分たちのルーツに対する理解と日本に対する理解を深め、さら
に自らの日系人としてのアイデンティティの強化を図り、日系社会での日系継承
語教育の振興を促し、日系社会の次代を担う人材の育成に寄与することを目標
とし実施している。
平成28年度においては、年間2回、生徒数合計49名の研修を実施する。
10.日系社会ボランティア支援事業(JICA)
JICAは、移住者・日系人社会を通じた技術協力事業並びに移住者・日系人
社会支援事業の一環として、中南米の日系社会の一層の発展を図ることにより、
その社会の属する国や地域全体の発展を図ることを目的として、日系社会の要
望に応じ、優秀な技術と奉仕の精神に富んだ日本の青年及びシニアのボラン
ティアを2ヶ年間派遣する日系社会ボランティア派遣事業を実施している。
本事業は、当該ボランティアの派遣にあたり、派遣前訓練、また日本語教育
関連職種については技術補完研修を実施するものである。なお、技術補完研
修には、現職教員特別参加制度による小学校教諭が含まれている。
平成28年度においては、4月~6月に、本年度派遣の青年ボランティア48名
及びシニアボランティア21名を対象とする派遣前訓練、技術補完研修を実施
する。
また、平成28年度春募集において新たに本年度派遣の青年ボランティア及
びシニアボランティアが決定した場合は、9月~12月に、派遣前訓練、技術補
完研修を実施する。
11.移住者・日系人支援にかかる運営管理事業(JICA)
(1)移住者の団体に対する助成金交付の実施促進業務
JICAは、中南米の日系団体が自主的に行う医療衛生対策、教育文化対策
及び施設等整備等の事業に対して、助成金の交付による援助指導事業を行っ
ている。
本事業は、当該助成金交付に係る実施計画の作成から精算までの一貫した
事務手続に関する業務を実施するものである。
平成28年度においては、助成事業件数36件に係る業務を実施する。
(2)日系社会リーダー育成業務
JICAは、将来の日系社会のリーダーや日本と居住国との架け橋となり得る人
材を養成することを目的に、我が国の大学院に留学する日系人に対し滞在費・
学費等の手当を支給している。本事業は、募集・選考・受入準備・手当の支給
等の業務を実施するものである。
平成28年度においては、新規に7名を受け入れ、日本滞在留学生は16名と
なる。
(3)日系社会次世代育成研修業務(日系大学生招へいプログラム)
JICA は、日本文化の継承や日系人としてのアイデンティティ向上を通じ、日
系社会で活躍する人材を育成するとともに、日本と中南米をつなぐ新たな人材
を創出することを目的とし、日系大学生を招へいする。本事業は、日本の大学
体験入学、研修旅行等プログラム企画・準備・実施関連業務、来日・帰国対応
関連業務、モニタリング及び参加者帰国後のフォローアップ業務等を実施す
る。
平成28度においては、20人の受け入れを予定している。
12.日系人就労環境改善事業(厚生労働省)
本事業は、ブラジルに居住する日系人が我が国における就労にあたり、来日
前に適正な就労経路選択等のための情報の提供等を行うことにより、我が国に
おける適正な就労経路の確保及び日系人が適正に就労できる環境の整備を目
的とするものであり、その目的達成のため、厚生労働省からの委託を受け、伯国
サンパウロ市にある(社)国外就労者情報援護センター(CIATE)に対する支援
を通して次の業務を実施するものである。
1)来日前における日系人に対する情報提供の実施
2)現地相談窓口での日系人の就労経路の適正化に関する業務の実施
3)その他、日系人の就労環境改善に関する業務
平成28年度においては、昨年同等規模の業務を実施する。
13.海外移住資料館管理運営事業(JICA・東急コミュニティー)
JICA横浜国際センターは、我が国の海外移住の歴史及び移住者・日系人の
現在の姿を多くの人々に知っていただくため、センター内に海外移住資料館を
設置している。
本事業は、当該資料館の管理運営に係る常設展示室・収蔵庫の保守、収集・
収蔵資料にかかる学芸業務、特別展示・企画展示、資料館案内、情報展示シス
テム・情報検索システムの運用、ホームページの運用、図書資料室業務、広報
業務、教育プログラム業務などを実施するものである。平成27年度から3年間
の業務について、広報力の強化を目指し、株式会社東急コミュニティーと共同
企業体を組んでいる。
平成28年度においては、昨年度同様の業務を実施する。
以上