理事長式辞 - 日本赤十字看護大学

日本赤十字看護大学 入学式 祝辞
本日、晴れやかに入学の日を迎えられた学部生及び大学院生の皆さん、そしてご
家族の皆様、誠におめでとうございます。
看護の道を志し、希望に燃えて本学に入学された皆さんを、私たち教職員一同は、
すべての在校生と共に心から歓迎いたします。
当学園の設立母体である日本赤十字社は、災害救護活動や国際救援活動を重要
な使命、責務としており、本学から羽ばたいて行った皆さんの先輩方も数多く参加し、
大活躍をされてきました。それは、五年前に発生した東日本大震災の様な大規模災
害はもとより、メディアに取り上げられないような災害であっても、例外ではありません。
私は、こうした被災地における看護職の方々の奮闘ぶり、「看護の力」は誠に大き
なものがあり、そうした皆さんの先輩方に接するたびに心を動かされ、同時に「そこに
苦しんでいる人がいる限り、人道支援に全力を尽くす」という赤十字の考えと看護の
心とは基本を同じくするもの、という思いを強くするのであります。
皆さんはこれから、赤十字の理念を建学の精神とする本学で学ばれるわけであり
ます。是非、そのことの意味を、折に触れて考えて欲しいということをまず、お願いし
ておきたいと思います。
ご承知のように、わが国は、少子高齢化の加速をはじめとする社会構造の激しい
変動のただ中にあり、看護を取り巻く状況もまた、大きく変化しております。日進月歩
の勢いで高度化する医学・科学を背景に、看護の現場においては、高い専門性と豊
かな教養が必要であり、病院や施設だけでなく、地域の人々の健康と生活を支えるこ
とが出来るプロフェッショナルとしての役割と力量が一段と求められています。
日本赤十字社による看護師養成は明治二十三年、千八百九十年にまで遡ること
ができます。以来長きにわたって、国内外で活躍する多くの優れた看護職を社会に送
り出し、医療・看護の発展に大きく寄与してまいりました。
本学は、昭和六十一年に開学し、赤十字による初の四年制看護大学として、大学
院看護学研究科修士課程、博士課程の開設をはじめ、高知県立大学、兵庫県立大
学、東京医科歯科大学、千葉大学と共に我が国初の国公私立大学院共同教育課程
を開設するなど、早くから学術研究機関として充実を図ってきたことにより、日本赤十
字社における看護教育、更にはわが国の看護教育の先駆的、指導的役割を担ってき
たという、誇りと自負を持っております。
本日入学された皆さんには、こうした本学の伝統を受け継ぐと共に、柔軟に時代の
ニーズに応えることができる看護に携わる者としての心構え、そして必要な知識や技
術をしっかりと修得していただくことになります。
それは、決して容易なことではありません。時に壁にぶつかり、或いは挫けそうに
なることも多々あろうかと思います。しかし、本日この日の初心に立ち還ることで、必
ず乗り越えられるものと信じております。皆さんがあらゆる可能性に果敢に挑戦し、そ
れぞれの人生を逞しく切り開いていく姿を楽しみにしています。
同時に、このキャンパスは、生涯を通じる仲間たちとの出会いの場でもあります。
本学園には全国に六つの看護大学と一つの短期大学がありますが、その志を同じく
する学生同士の交流も年々盛んになってきております。ぜひ、ネットワークを大いに
広げ、貴重なキャンパス・ライフを存分に楽しみ、豊かで実りある大学生活を送られる
よう、併せてお願いしておきたいと思います。
私たち教職員も、今日この日に第一歩を踏み出された皆さんが、新しい時代を担う
看護のエキスパートとして羽ばたかれる日まで、全力をあげてお手伝いすることをお
誓いいたします。
ご来賓はじめご臨席の皆様には、新入生と、日本赤十字看護大学につきまして、
引き続き力強いご支援とご協力を賜りますよう、そしてご家族の皆様には、これから
のわが国の看護を担う新入生の皆さんを励まし、その成長を温かく見守っていただき
ますよう切にお願いして、私のご挨拶といたします。
平成二十八年四月一日
学校法人日本赤十字学園
理事長 大 塚 義 治