資料(抜粋) - 一般社団法人 火力原子力発電技術協会

解説! COP21 パリ協定は
火力発電に何をもたらすのか?
2017年4月16日
一般社団法人 火力原子力発電技術協会
船橋信之
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本日のメニュー
1.COP
1.
COPの経緯とパリ協定
の経緯とパリ協定
経緯とパ 協定
2.パリ協定が火力発電に与えるインパクト
2.
パリ協定が火力発電に与えるインパクト
3.21世紀後半に向け、火力はどうなる?
3.
21世紀後半に向け、火力はどうなる?
4.これからの発電事業は?
4.
これからの発電事業は?
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1-1. COPの経緯
COPの経緯
年
1992
1994
1997
2000
2001
2005
2007
2009
2010
2011
2012
2014
2015
開催地
リオサミット
COP3
COP6
COP7
COP11
COP13
COP15
COP16
COP17
COP18
COP20
COP21
京都
ボ
ボン
マラケシュ
モントリオ ル
モントリオール
バリ
コペンハーゲン
カンクン
ダーバン
ダ
バン
ドーハ
リマ
パリ
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主な成果
気候変動枠組条約採択
気候変動枠組条約発効
京都議定書採択(先進国2008-12削減義務)
米国 京都議定書を離脱
米国、京都議定書を離脱
京都議定書運用ルール合意
京都議定書発効により京都議定書締約国会議と同時開催
「COP15までにpost2012の枠組みを合意」決定
post2012枠組合意失敗
長期目標の交渉を合意、2020年自主目標の決定
「全ての国によるpost2020枠組を2015年までに合意」決定
post2020枠組の作業計画決定
post2020枠組文書案の交渉開始。削減目標の要件決定
「パリ協定」採択
欧米エネ研究会活動報告[13]火力原子力発電N0.713Vol.67
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1-2. COPの経緯
COPの経緯 (トピックス)
1994年 「大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させること」を目指して国際交渉を行
う事を定めた “気候変動枠組条約” が発効
1997年 「共通だが差異のある責任」の考えに基づき、先進国のみが削減義務を負っ
た法的拘束力のある“京都議定書“を採択。
削減目標
・EU -8%
・ロシア ±0%
・日本 -6%
・オーストラリア +8%
2000年 「先進国だけが削減義務を負うことは不公平との理由でアメリカが議定書から
離脱。
京都議定書参加国は、排出量の26%にとどまり、効果は限定的となった。
2009年 全ての国が参加する枠組みを目指すも、先進国と途上国との間の隙間が埋
ま ず、合意
まらず、合意に至らなかった。
な
。
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1-3. パリ協定のポイント
2℃目標、1.5℃努力目標、今世紀後半に排出と吸収を均衡させ実質ゼロを
目指す
全ての国が削減目標を5年ごとに提出・更新し、実施状況を報告しレビュー
を受ける
資金は2025年までに年間1,000億ドルからの上積みを検討(COP21決定)
途上国も自主的に資金を提供
5年毎に世界全体の進捗状況を把握する仕組みを導入
イノベーションの重要性を位置付け
JCMも含めた市場メカニズムの活用を位置付け
(JCM:二国間クレジット制度)
 カ国以上 世界総排出量の
55カ国以上、世界総排出量の55%以上の批准で発効
以上の批准で発効
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1-4. パリ協定
パリ協定4
4条第
条第1
1項
- PARIS AGREEMENT Article 4 1. In order to achieve the long-term temperature goal set out in Article 2, Parties aim to
reach global peaking of greenhouse gas emissions as soon as possible, recognizing
that peaking will take longer for developing country parties,
parties and to undertake rapid
reductions thereafter in accordance with best available science, so as to achieve a
balance between anthropogenic emissions by sources and removals by sinks of
greenhouse gas in the second half of this century
century, on the basis of equity
equity, and in the
context of sustainable development and efforts to eradicate poverty.
- パリ協定
緩和(第4条) -
締約国は、目的に掲げる長期目標を達成するよう、開発途上締約国の排出量が最大に達す
る時期がより長期化することを認識しつつ、世界の温室効果ガスの排出量が最大に達する時
期をできる限り早くするものとし、衡平に基づき、持続可能な開発と貧困を撲滅する努力との
関連において、今世紀後半に人為的な温室効果ガスの排出と吸収源による除去の均衡を
達成するために、最新の科学に従って早期の削減を行うことを目的とする。
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1-8. IPCC AR5 排出シナリオ
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Climate Change 2014 Synthesis Report Summary for Policymakers 1-9. IPCC AR5 排出量(大気
排出量(大気CO
CO2濃度)と気温上昇
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Climate Change 2014 Synthesis Report Summary for Policymakers 1-11. IPCC AR5 長期の排出量削減シナリオの整理
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1-12. COP21の結果は、火力の位置付けを大きく変える
COP21の結果は、火力の位置付けを大きく変える
- パリ協定
緩和(第4条) -
締約国は、目的に掲げる長期目標を達成するよう、・・・・・・・世界の温室効果
ガスの排出力が最大(量)に達する時期をできる限り早くするものと、・・・・・・・
今世紀後半に人為的な温室効果ガスの排出量と吸収源による除去の均衡を
達成するために、最新の科学に従って早期の削減を行う事を目的とする。
気候感度や2℃目標に関わらず、今世紀末に”排出=吸収“を実現することは、発電部門
が脱炭素化を目指すことを意味する。
脱炭素化は、化石燃料を用いた火力発電の
フェードアウトを求める。それでも足りず、ネガティブエミッションまでも求めている。??
化石燃料のフェ ドアウトとネガティブエミッションの台頭?!
化石燃料のフェードアウトとネガティブエミッションの台頭?!
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1-13. ネガティブエミッションとは
1 海洋吸収の促進(光合成の促進)
1.
2. 地質学的CO2 吸収促進
3. 化学的吸収と埋蔵(CCS)
4. 森林による炭素固定の促進
ネガティブエミッションとは、マイナスの排出の意味。
ジオエンジニアリング(地球工学技術)を用いた大気CO2削減技術で、火力発電のCCS
は代表的な技術。
その他にも多様な技術が検討されているが 実施を推進するまでの合意形成はなされ
その他にも多様な技術が検討されているが、実施を推進するまでの合意形成はなされ
ていない。
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