河辺俊雄教授のご退職に寄せて 地域政策学部長 佐 藤 公 俊 河辺俊雄教授は京都府のご出身、1975年に京都大学理学部をご卒業の後、東京大学大学院医 学系研究科修士課程に進まれた。その後1984年に東京大学大学院医学系研究科第1種博士課程 を修了され、1986年に保健学博士の学位を取得されている。1984年より文部教官東京大学助手 (医学部・人類生態学教室)を勤められ、1992年4月に本学経済学部助教授に就任された。 1996年4月に地域政策学部設置と同時に経済学部から移籍され、1997年4月に教授に昇任され た。その後学内においては高崎経済大学地域政策学会会長、広報委員長、大学院地域政策研究科 長を歴任された。学外においても日本学術振興会科学研究費委員会専門委員、特別研究員等審査 会専門委員など要職を務められている。 研究者としての先生は、科学研究費補助金等外部資金獲得の実績を拝見するだけでも理解でき る通り、スケールの大きな調査・研究を休むことなく続けてこられた方である。いわゆる自然科 学の領域に分類される先生のご研究を紹介する力量は私にはないが、現在も行っているパプア ニューギニアにおけるギデラ族の人類生態学調査を30年以上も継続されていらっしゃることな どには、圧倒されるばかりである。 先生の特筆すべき業績として、数多くの大学院生を育てあげたということがあげられる。 2000年4月に大学院地域政策研究科が設置されてから16年の間に河辺研究室からは19人の修士 と6人の博士を出したが、本学のように大学院進学者がさほど多くはない大学において、これほ ど多くの学位を出したのは驚くべきことである。 私の目に映る先生は、謹厳寡黙の人、学究の人であるが、同時に好奇心がとどまるところを知 らない人、でもある。先生が常に最先端の技術を採用した、私などには難解で使いこなせない機 器類を常に採用し続けていることはそのことをよく現わしている。先生は2016年3月をもって 本学を定年退職なさるが、定年は大学という組織におけるルールに過ぎない。研究の世界におい て、学究の人に定年はない。その意味において、先生のこれからの研究の発展と結実を願わずに はいられない。 先生のこれまでの学界、本学、そして地域政策学部に対するご貢献に感謝を申し上げるととも に、今後のご健康とご活躍をお祈り申し上げたい。 ( iii )
© Copyright 2024 ExpyDoc