製造販売業者が今後出荷される医療機器 GS1-128 バーコード表示変更時の留意点 一般社団法人日本医療機器学会 米国 FDA は 2013 年 9 月に医療機器の個別表示に関する UDI ルール(Unique Device Identification System)を法制化しました。この動向は、欧州でも 2016 年には医療機器の トレーサビリティ確保のため、UDI 指令が通知される方向にあり、これが実現すると世界 規模で医療機器にバーコード本体直接表示(一部、包装表示を含む)およびグローバル UDI データベース(GUDID:Global Unique Device Identification Database)登録の義務化が 急速に推進することが予想されます。 わが国における医療機器バーコード表示は、厚生労働省が物流の効率化・高度化、医療事 務の効率化、トレーサビリティの確保や医療事故防止の観点から「医療機器等への標準コー ド付与(バーコード表示)の実施要項」 (平成 20 年 3 月 28 日付医政経発第 0328001 号) を製造販売業者に通知し、販売(包装)単位、個装(最小包装)単位での GS1-128 バーコ ード表示の推奨したことで、今日では医療機器の9割前後の貼付率となりました。 しかし、そのバーコード表示に使われている製品識別情報 GTIN(Global Trade Item Number)の国コードは、(一財)医療情報システム開発センターの医療機器データベース の登録データを分析すると、全体製品の約 85%が国内流通目的で取得した JAN(Japan Article Number)であり、海外製品であってもわが国の国コード(45 または 49)で法定表 示ラベルとして GS1-128 バーコードを貼付されていることがわかりました1)。 米国 UDI 法制化に伴い、今後、海外製造元が医療機器の本体や包装上に貼付された GS1128 バーコードをトレーサビリティの強化のために、海外製造元がわが国の製造販売業者に 海外製造元の GS1-128 をわが国の流通でそのまま利用することが求められる可能性があり、 わが国の業界流通のみならず医療機関の院内物流さらには電子カルテシステムの使用履歴 にまで影響することが予想されます。 日本医療機器学会医療機器 UDI 標準化委員会は、 国内における流通の混乱をなくすため、 製造販売業者に対して今後出荷される医療機器の GS1-128 バーコード表示の変更について、 以下のことを要望します。 ・既に出荷している製品については、わが国の製造販売業者が従来から使用している製品 識別情報 GTIN のまま GS1-128 バーコードを貼付する。 ・ (一財)医療情報システム開発センターの医療機器データベースに既に登録している製品 情報は抹消せず、新規 GTIN 登録が必要な場合は海外製造元の EAN コードで登録する。 ・UDI 法制化された国からの新製品を出荷する際には、海外製造元の GTIN を採用し、医 療機器 DB の新規追加登録をおこなう。 (平成 28 年 4 月 21 日) 参考文献 1)酒井順哉、多湖由加利(2014):米国 UDI 法制化によるわが国の医療機器 GS1-128 バーコードの表示動向予測、医療情報学、Vol.34、Suppl., pp.724-727.
© Copyright 2024 ExpyDoc