中国景気の底打ちを 唆する主要経済指標

情報提供⽤資料
経 済 環 境 レ ポ - ト
中国景気の底打ちを⽰唆する主要経済指標
-住宅市場の回復や財政出動が押し上げ要因-
2016年4⽉15⽇
中国国家統計局は、1-3⽉期のGDPをはじめ、3⽉の主要経済指標を4⽉15⽇に発表しました。市場
の注⽬度が⾼い1-3⽉期の実質GDPは、前年同期⽐6.7%増と前期に⽐べて減速し、2009年1-3⽉期
以来の低成⻑となりました。輸出の回復の遅れに加え、消費の伸び悩みが響いたためと⾒られます。
⼀⽅、3⽉の⼩売売上⾼や鉱⼯業⽣産、1-3⽉累計の固定資産投資は、いずれも前⽉に⽐べて前年同
⽉(期)⽐の伸び率を⾼めました。住宅市場の回復や、新規着⼯プロジェクトの増加などの財政出動
が内需を押し上げ始めたと考えられます。
中国景気は、1-3⽉期で底を打った可能性が⾼いと⾒られます。今後、年央にかけて中国景気の持
ち直しが確認されるに伴い、世界経済の減速懸念は後退していくことが予想されます。
ポイント①
(図表1)実質GDP成⻑率の推移
-1-3⽉期は2009年1-3⽉期以来の低成⻑-
1-3⽉期の実質GDPは、前年同期⽐6.7%増と⼩幅
(%)
ながら3期連続で前期に⽐べて伸び率が鈍化しまし
13
た。中国景気の緩やかな減速が続いていることが窺
12
われます(図表1)。
前年同期⽐伸び率、左軸
(前年同期⽐の期間:2008年第1四半期〜2016年第1四半期)
前期⽐伸び率、右軸
(前期⽐の期間:2011年第1四半期〜2015年第4四半期)
(%)
2.5
2.0
11
この背景として、第1に、輸出の回復が遅れてい
10
ることが挙げられます。主⼒輸出先の欧⽶や東南ア
9
ジアの製造業の減速が響いたためと⾒られます。中
8
国は、⽣産基地としてグローバルなサプライチェー
ンの重要な役割を担っており、これら諸国の製造業
6
ます。
5
の国際競争⼒が低下したことも、⼀因と考えられま
す。特に、欧州や東南アジア向けは、このマイナス
1.0
6.7
7
の低迷は中国の輸出減少に直結しやすいと考えられ
また、⼈⺠元⾼・ドル⾼の進⾏によって中国製品
1.5
0.5
4
2008/1
2008年3⽉
れます。実質所得は引き続き⾼めの伸びを維持した
2012/1
2012年3⽉
2014/1
2014年3⽉
0.0
2016/1
2016年3⽉
(年/四半期)
(注)前期⽐(季節調整済)の伸び率は、2011年1-3⽉期より公表
(出所)中国国家統計局資料より岡三アセットマネジメント作成
(図表2)主要経済指標の推移
の影響が強く表れたと⾒られます。
第2に、消費の伸び悩みが⾜かせになったと⾒ら
2010/1
2010年3⽉
(前年⽐、%)
30
固定資産投資
(期間:2012年年初〜2016年3⽉)
⼩売売上⾼
鉱⼯業⽣産
ものの、低調な消費者マインドが響いたためと考え
25
られます。特に、鉄鋼などの過剰設備の解消という
20
供給サイドの構造改⾰の推進に伴う雇⽤不安や、年
15
初からの⾦融市場の不安定な動きが影を落としたと
10
⾒られます。期待された春節商戦が低調な伸びに留
5
まったことは、象徴的な事例と⾔えます。
0
電⼒消費量
▲5
⼀⽅、3⽉の主要経済指標は、⼩売売上⾼をはじ
め、いずれも前⽉に⽐べて前年⽐の伸び率を⾼めま
した(図表2)。中国景気の減速に⻭⽌めがかかり
つつあることを⽰唆していると思われます。
▲ 10
▲ 15
2012年1月
2013年1月
2014年1月
2015年1月
2016年1月
(注)固定資産投資は毎年1⽉からの累計の前年⽐。鉱⼯業⽣産、⼩売売上⾼、固定
資産投資の直近は2016年3⽉、電⼒消費量の直近は2016年2⽉。データの発表がな
い⽉もあります。(出所)Bloombergのデータより岡三アセットマネジメント作成
<本資料に関してご留意いただきたい事項>
■本資料は、投資環境に関する情報提供を⽬的として岡三アセットマネジメント株式会社が作成したものであり、特定のファンドの投資勧誘を⽬的として作成し
たものではありません。■本資料に掲載されている市況⾒通し等は、本資料作成時点での当社の⾒解であり、将来予告なしに変更される場合があります。また、
将来の運⽤成果を保証するものでもありません。■本資料は、当社が信頼できると判断した情報を基に作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するもの
ではありません。■投資信託の取得の申込みに当たっては、投資信託説明書(交付⽬論⾒書)をお渡ししますので必ず内容をご確認のうえ、投資判断はお客
様ご⾃⾝で⾏っていただきますようお願いします。
1
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ポイント②
-住宅市場の回復が不動産投資の持ち直しを牽引-
主要経済指標の改善の理由として、住宅市場の回復
が顕著になってきていることが挙げられます。2014
年秋以降の継続的な利下げや、⼈⺠銀⾏・地⽅政府に
(図表3)主要都市の新築住宅価格の推移
(前年⽐、%)
(期間:2011年1⽉〜2016年2⽉)
25
よる住宅刺激策が効果を上げてきているためと考えら
れます。主要都市の新築の住宅価格を⾒ると、沿岸部
と内陸部で上昇率に格差があるものの、全体として住
宅価格は底上げされていると⾒られます(図表3)。
住宅市場の回復は、不動産開発投資の持ち直しを促
20.6
20
上海
重慶
⻄安
広州
15
11.8
10
していくものと考えられます。1-3⽉累計の不動産販
売⾯積は、前年⽐33.1%増と⼤幅な伸びを記録しまし
た(図表4)。これに伴い、不動産開発投資は下げ⽌
まりから持ち直しの動きを強めていく公算が⼤きいと
⾒られます。不動産開発投資は、固定資産投資の20%
程度を占めており、鉄鋼など関連業界の裾野も広いだ
けに、企業の⽣産や景況感を押し上げていくことが期
待されます。
また、株式市場の低迷が⻑引くなか、住宅価格の上
5
1.3
0.6
0
▲5
▲ 10
2011年1⽉
2012年4⽉
2013年7⽉
2014年10⽉
2016年1⽉
(出所)Bloombergのデータより岡三アセットマネジメント作成
昇は、資産効果の発現を通じて消費を下⽀えするもの
と考えられます。
(図表4)不動産市場の動向
ポイント③ -財政⾯からの景気対策が始動-
財政⾯からの景気対策がスタートしたと⾒られます。
1-3⽉累計の新規着⼯プロジェクトは、前年⽐39.5%
増と⾼い伸びを⾒せました。特に、⽔資源や環境など
の公共事業分野が牽引している模様です。環境問題と
いう中国経済の抱える課題に対処しながら、景気を下
⽀えすることに狙いがあると考えられます。
今後は、2⽉下旬に上海で開催されたG20財務相・
中央銀⾏総裁会議における政策協調の合意(=世界経
済の下振れ回避に向けた機動的な財政運営)に沿って、
鉄道や⾼速道路などのインフラ投資も動き出してくる
と⾒られます。
(期間:2005年1⽉〜2016年3⽉)
(前年⽐、%)
60
不動産販売⾯積
50
不動産開発投資
40
30
20
10
0
▲ 10
中国景気は、1-3⽉期で底を打った可能性が⾼いと
⾒られ、年央にかけて、固定資産投資の持ち直しをテ
コに回復に向かうことが予想されます。中国景気の持
▲ 20
05/1
06/1
07/1
08/1
09/1
10/1
11/1
12/1
13/1
14/1
15/1
16/1
(年/⽉)
(注)毎年1⽉からの累計値の前年⽐
(出所)Bloombergのデータより岡三アセットマネジメント作成
ち直しが確認されるに伴い、世界経済の先⾏き不安は
和らいでいくものと思われます。
以上 (作成:投資情報部)
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変動します。
その他費⽤・⼿数料
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加 ⼊ 協 会:⼀般社団法⼈ 投資信託協会/⼀般社団法⼈ ⽇本投資顧問業協会
上記のリスクや費⽤につきましては、⼀般的な投資信託を想定しております。各費⽤項⽬の料率は、委託会社である岡三アセットマネ
ジメント株式会社が運⽤するすべての公募投資信託のうち、最⾼の料率を記載しております。投資信託のリスクや費⽤は、個別の投
資信託により異なりますので、ご投資をされる際には、事前に、個別の投資信託の「投資信託説明書(交付⽬論⾒書)」の【投資リ
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