業務委託調達仕様書 (想定)

業務委託調達仕様書
(想定)
目次
業務委託調達仕様書 (想定) ............................................... 1
1
件名 .................................................................. 1
2
業務概要 .............................................................. 1
3
税務総合情報システムの現状と課題 ...................................... 1
(1) 税務事務機械化のあゆみ .............................................. 1
(2) 税務総合情報システムの現状 .......................................... 5
4
システム再構築の基本方針 .............................................. 8
(1) オープンな標準的技術の採用 .......................................... 8
(2) 高いセキュリティレベルの確保 ........................................ 8
(3) 旧システムから新システムへの円滑な移行の実現 ........................ 8
5
新システムのシステムイメージとスケジュール ............................ 9
(1) 新システムのシステムイメージ ........................................ 9
(2) スケジュール ....................................................... 12
1
件名
税務総合情報システムの再構築
2
業務概要
本件は、現在名古屋市において、市税事務所、出張所そして収納管理・特別徴収
事務センターにおいて一般に大型汎用機又はメインフレームと言われている大型
電子計算機(以下、
「ホストコンピュータ」という。
)において構築・運用されてい
る市税の賦課・徴収システム(以下「税務総合情報システム」という。)に関して、
再構築を実施する。
3
税務総合情報システムの現状と課題
(1) 税務事務機械化のあゆみ
ア PCS(パンチカードシステム)の時代
昭和29年度~昭和40年度
税務事務の機械化の歴史は昭和29年度まで遡る。昭和29年度には、本市に名
古屋市税務計算事務所が設置され、市県民税(普通徴収)及び固定資産税の税額
計算事務に関して、厚手の紙に穴をあけたパンチカードを、物理的な結線を行
うことで四則演算をプログラムできる専用の機械(タビュレーティングマシン)
を通すことにより分類集計を可能とするパンチカードシステム(PCS)を利
用して機械化された。
イ
バッチ処理(電子計算機処理)の始まり
昭和41年度~昭和58年度
昭和41年度本市に電子計算機が導入され、市県民税(普通徴収)及び固定資産
税事務の計算事務はパンチカードシステムを利用した機械化から電子計算機を
利用したバッチ処理(一括処理)に移行した。
パンチカードシステムを利用した業務の機械化は、新たな事務を機械化する
場合、プラグボードという専用の部品に四則演算を行うための物理的な結線を
施す作業を実施する必要があった。このため、パンチカードシステムを利用し
た機械化は、大規模の事務改善でないと採算が取れず機械化の対象範囲が広が
らなかった。
これに対し電子計算機を利用した事務改善は、パンチカードシステムと異な
り物理的な配線の変更を必要とせず、新たにプログラムを作成することで実現
可能となった。この結果、昭和52年度には市税収納事務が、翌53年度には軽自
動車税事務がそして昭和58年度には市県民税(特別徴収)の賦課収納事務が電算
化された。
1
ウ
バッチ処理の円熟期
昭和59年度~平成9年度
この昭和58年度に実施された市県民税(特別徴収)の電算化で、税額の計算
事務等の合理化を目的とした税目単体の電算化は完了し、これ以降の電算化は
電子計算機の性能向上と相まって、業務の質の改善・向上を目的としたシステ
ム化へと質的転換期を迎えたものと考えられる。
昭和61年度には、各税目の収納情報を、あて名情報をキーにして名寄せする
ことで税目間を共通して滞納情報の管理を可能とする市税滞納管理業務が電算
化され徴収事務の効率化が図られた。これは、従来の職員の事務作業をそのま
ま機械化する合理化から電算処理技術の向上に伴う新しい事務処理の創造の側
面を持つものと言える。いままでの職員による手作業では事務処理に要する作
業量がかかりすぎるため実現できなかった税目を横断したあて名情報の名寄せ
に関して、電子計算機を利用することで可能とし、納税者単位に滞納情報をリ
ストアップすることで、税務事務の合理化・効率化を実現したものである。
また、平成元年度には、従来カナ文字で管理されていた納税者のあて名情報
が漢字化され、納税者への通知書類、各種台帳が漢字化され、税務事務におけ
る市民サービスの一層の向上が図られた。
平成2年度には住民基本台帳事務がオンラインシステム化され、住民異動情報
が税のあて名情報にシステム連携されることとなった。このことにより職員が
手作業で実施していた住基異動に伴うあて名の異動更新作業が電算化され、事
務の効率化が進んだ。
さらに平成3年度には、市民税業務の電算処理に関して抜本的見直しが行われ
再構築された。
これら電算処理の対象の拡大による処理業務の増大化、運用時間の長時間化、
オンライン処理、データベース処理等のシステム技術の高度化そして電算シス
テムを構築し維持するための技術を有する要員の養成・確保等の電算処理を取
り巻く課題を踏まえ、従来本市職員が維持管理してきた税務事務の電算処理の
運用・保守、改善業務に関して、平成5年度より外部の専門業者に業務委託され
ることとなった。
エ
バッチ処理からオンライン処理へ
平成5年度~平成13年度
税務総合情報システムは平成5年度、6年度2年間をかけてシステム要件等
の調査を実施した後、平成7年度より平成13年度までの7年間をかけて第1次から
3次までの3つの区分に分けてシステム開発が行われた。
システム開発は計画通り実施され、第1次開発分として平成10年10月にあて
名、市民税業務が、平成11年4月に収納整理、滞納管理業務が稼働を開始し、第
2
2次開発分として平成12年10月に固定資産税(土地、家屋)が稼働を開始し、第3
次開発分として平成13年9月に軽自動車税、同年10月に固定資産税(償却資産)、
法人市民税、事業所税、平成14年3月に特別土地保有税、同年4月に市たばこ税
が稼働を開始した。
■表3-1
平成7年
システム開発スケジュールと業務別稼働時期■
平成8年
平成9年
第1次 開発
平成10年
平成11年
平成12年
▲
▲
04 収納整理
10 あて名
10 個人市民税 04 滞納管理
▲
10 固定資産税
(土地・家屋)
第2次 開発
第 3次開発
オ
平成13年
平成14年
09 軽自動車税
10 固定資産税
(償却)
10 法人市民税
10 事業所税
▼
▲
03 特別土地保有税
04 市たばこ税
オンラインシステムの運用期
平成14年度~
税務総合情報システムは、平成10年10月のあて名業務、個人市民税業務がオ
ンラインシステム化されたのを嚆矢に、平成14年4月の市たばこ税の運用開始を
もって、すべての業務についてオンラインリアルタイムシステムによる運用が
開始された。
また、平成18年1月より、それまで2台のホストコンピュータで実施されてい
た本市の基幹業務システムに関して、1台のホストコンピュータと2組のサー
バ群にシステム分割され運用されることとなった。
税務総合情報システムに関しては、従来のホストコンピュータよりダウンサ
イズされたホストコンピュータとバックアップ用のUNIXサーバによる運用が開
始された。
カ
市税電子申告業務
平成17年度~
新しいIT国家基盤として電子政府の実現等を重点政策とするIT基本戦略
に基づき地方税における手続きをインターネット経由で電子的に行うことで納
税者の利便性の向上と税務行政の高度化・効率化を図る目的で、都道府県と指
定都市等で組織した地方税電子化協議会が主体となり、地方税ポータルシステ
3
ム・eLTAX(エルタックス)の開発が行われ、平成17年1月より運用が開始さ
れた。
本市は、平成18年1月より、法人市民税、固定資産税(償却資産)において申告
業務を開始した。以降地方税電子化協議会のサービス拡充に合わせて、対象税
目の拡充を行い、平成20年1月に個人市民税、事業所税を市税電子申告の対象と
し、現在4つの税目で電子申告を実施している。
キ
税務事務の集約化
平成22年度~
平成22年4月より16区5支所で実施されていた市税の賦課徴収業務が3市税事
務所3出張所に集約化された。
税務総合情報システムに関しては、平成20年度、21年度に集約化のシステム
改修を実施している。
なお、税務事務の集約化に合わせて、税務総合情報システムのシステム端末
に関して、税務情報の重要性を鑑み、システム端末に情報を保有しないシンク
ライアントシステムの導入を実施している。
ク
マイナンバー制度対応
平成27年度~
平成26年度、27年度の2年度にわたり税務総合情報システムに対してマイナン
バー制度に対応するためのシステム改修を実施し、平成28年1月より税務総合情
報システムにおけるマイナンバーの利用を開始した。
このマイナンバー利用開始時期に合わせて、システム端末の更新を実施した。
平成22年度から利用しているシンクライアントシステムに加えて顔認証システ
ムを利用してシステム操作者の常時監視を行う常時監視機能やICカードを利用
してプリント認証を行うことで印刷物の誤配布を防ぐセキュアプリント機能等
を導入することで、税務総合情報システムのセキュリティ機能の充実・強化を
図っている。
4
(2) 税務総合情報システムの現状
ア システムの概要
税務総合情報システムは、① 税務証明の即時発行、② 証明窓口の広域化
等の住民サービスの向上、③ 事務処理の迅速化・正確性の向上等の事務の効
率化そして ④ 税務調査事務の充実を目的として構築されたホストコンピュ
ータを利用したオンラインリアルタイム方式の情報システムである。
処理形態としては、ホストコンピュータ搭載のプログラム群とシステム端末
(WindowsPC)搭載のプログラム群が庁内LANを通じて情報交換することで処理を
実施するホストコンピュータをサーバとしたサーバクライアントシステムとし
て構築されている。
税務総合情報システムは、税務事務の中核業務を行う基幹システムと基幹シ
ステムの負荷分散を図る目的でサーバを用いて構築されたサブシステムからな
る。
イ
システムの規模
システムの規模としては、栄、ささしま及び金山市税事務所における各課・
室・出張所を中心に1,155台のシステム端末を配備し、約31,000本のプログラム、
約1,300の帳票、約1,200の画面を要する極めて大規模な情報システムとなって
いる。
また、オンラインリアルタイムの運用に付加して、日次、週次、月次、年次
そして随時の処理として約1,700の処理をスケジューリングして運用を行って
いる。
利用部署は、栄、ささしま及び金山市税事務所における各課・室(各市税事
務所出張所及び各区・支所税務窓口を含む。)、税務部税制課、市民税課、固定
資産税課、収納対策課及び収納管理・特別徴収事務センターである。
主要機器の概要は表3-2のとおりである。そして、システムの規模は、表3-3
から3-5のとおりである。
また、平成13年度以降の税務総合情報システムが利用している機器の導入状
況は表3-6のとおりである。なお、平成30年1月以降に始期を向かえる線表は平
成34年1月より新システムに移行することを前提とした場合の予定であり、変更
となる可能性があるものである。
5
■表3-2
主要機器■
機器
台数 (台)
ホストコンピュータ
1
ホスト関連サーバ(Windows)
8
ホスト関連サーバ(LINUX)
1
22
保守用端末
1
証明バックアップサーバ(UNIX)
54
1,155
1,248(1,135)
(仮想端末1,042)
端末管理用サーバ(Windows)
同時利用可能端末機
端末機(うちシンクライアント端末機)
※予備用・開発用を含む。
■表3-3
プログラム資産の規模■
ホストコンピュータ
システム端末
8,570
3,310
プログラム数
ステップ数
ステップ数/
プログラム数
サーバ
他
計
18,901
30,781
5,403,878 2,156,741 2,098,580 2,003,373 11,662,572
630.56
651.58
111.03
378.89
(平成28年1月時点)
■表3-4
画面数・帳票数■
帳票数
1,291
画面数
バッチ処理
1,183
オンライン処理
796
495
(平成28年1月時点)
■表3-5
バッチ処理の状況■
日次
週次
月次
年次
随時
計
ホスト
87
39
170
1,046
237
1,579
サーバ
13
25
25
46
1
110
計
100
64
195
1,092
238
1,689
(平成28年1月時点)
6
■表 3-6
平成 13 年度以降のシステム機器の導入状況(予定も含む。)■
7
4
システム再構築の基本方針
税務総合情報システムの再構築を実施する上での基本方針を以下に示す。
(1) オープンな標準的技術の採用
IT ベンダ独自の技術を採用せず、できる限り国際規格・日本工業規格等のオー
プンな標準に基づく技術を採用したシステムとする。
本システムの要件に適合する場合にはオープンソース製品、パッケージソフト
ウェアの活用も可とする。
このことを実現するため、コンピュータメーカ独自のアーキテクチャで構築さ
れているホストコンピュータを利用したシステム再構築は実施できない。
また、ホストコンピュータ上のプログラム、データ等の資産に対して変換ツー
ル等を使用して何ら業務見直しをすることなく、すべての機能を一律にオープン
システムへ移行するリホストの手法は、採用しない。
(2) 高いセキュリティレベルの確保
わが国における情報システムを取り巻くセキュリティインシデントや再構築後
のシステム(以下、
「新システム」という。)に適用される ICT 技術のセキュリティ
上の脆弱性等の情報を採取し、現行の税務総合情報システム(以下、
「旧システム」
という。)が実現しているセキュリティレベルと同等以上のセキュリティレベルを
確保できるシステム構築を行うこと。
(3) 旧システムから新システムへの円滑な移行の実現
市税の賦課徴収事務は本市が市民に対して実施している行政サービスを実施し
ていく上で必要となる基礎的業務であり、旧システムから新システムへのシステ
ム移行の遅滞、遅延は決して許されない。
また、この税務総合情報システムで管理している税務情報は市民からお預かり
している極めて重要な財産であり、旧システムから新システムの移行の過程にお
いて、税務情報の毀損やプログラムミスによる流出等の処理誤りも決して許され
ないものである。
これらのことから、税務総合情報システムの再構築を進めていく過程において
は、最優先に配慮されるべき事項として、旧システムから新システムへの円滑な
業務移行を担保する必要がある。
そのためシステム再構築作業計画を策定するに際しては、テスト計画を立案し、
そのテスト計画に応じたシステムの移行計画を立案した後に、再構築に向けた全
体スケジュールを計画していくことで旧システムから新システムへの円滑なシス
テム及びデータの移行を実現すること。
8
5 新システムのシステムイメージとスケジュール
(1) 新システムのシステムイメージ
新システムの概念図(案)及びシステムイメージは、図5-1、図5-2のとおりであ
る。新システムは税目・機能単位に個別に作られた業務システムを共通基盤シス
テムで連携することで構築することを想定している。
この共通基盤システムは、新システムにおいて、既存システムにおける通信制
御機能やデータベース管理機能を代替する目的で導入されるものである。
■図 5-1
新システムのシステム概念図(案)■
新システムには既存システムには有していない2つのシステム機能が追加されるこ
9
■図 5-2
新システムのシステムイメージ■
10
ア 共通基盤システム
税目単位、機能単位に独立して実行できる形式で構築されるサブシステムの
税目間の情報連携、処理の連携を実現するために新たに構築される情報連携、
システム資産の共同運用を実現する基盤システムである。
共通基盤システムを、地域情報プラットフォーム等の地方公共団体に標準的
に利用されているよりオープンな共通規格に準拠して開発することにより、よ
り競争原理の働くシステム調達が可能となる。
現在想定している新システム上の共通基盤システムに必要となる機能は下記
のとおりである。
・あて名情報、賦課情報等の共通情報のサブシステム間の即時連携機能
・データベースサーバ機能
・WEB サーバ機能
・ロードバランサー(負荷分散)機能
・運用管理機能
・職員認証、権限管理機能
・統合バッチ処理機能
・大量帳票出力機能
・外部とのデータ交換機能
なお、パッケージシステム等を利用したシステム提案がされる場合において
は、共通基盤機能としてオープンな規格でデータ連携等が実現されれば、必ず
しも共通基盤システムとして別建てのシステムが必要となるものではない。
イ
証明・照会システム
証明・照会システムは、各税目共通に発生する証明・照会業務を統合し別建
てで証明・照会機能に特化した専用システムである。この証明・照会システム
においては、税務事務における証明・照会業務に対応する他、コンビニ交付や
統合窓口を可能とする機能の提供を実施できるシステムとして構築する。
現在想定しているシステムイメージは、図5-3のとおりである。
11
■図 5-3
証明・照会システムのシステムイメージ■
(2) スケジュール
ア 新システムの稼働時期
旧システムが動作しているホストコンピュータのリース終期は平成29年12月
であるため、再度ホストコンピュータのリース更新を行い、このリース期間内
にシステム構築を実施するものとする。
システム端末のリース終期は平成32年12月であるため、システム端末に関し
ては、再構築期間に現行機器をリース更新することなく再リースで対応するこ
ととする。
現時点においては、次期ホストコンピュータのリース期間に関しては、最低4
年間は必要と想定しており、新システムの稼働時期は平成34年1月からを予定
している。
またシステム端末に関しては、ハードウェアの保守の課題から再リース期間
は2年間が限界であるため、平成35年1月までに実施する必要があるものと想定
している。
なお、現時点でマイクロソフト社が公表しているWindows 8.1及びWindows
Server 2012のサポート期間が平成35年1月10日までとされていることから、平
成35年1月10日以降に現行のシステム端末を利用する計画を立案する場合には
個別延長サポートの採用等セキュリティに配慮した再構築計画の策定が必要と
なる。
イ
再構築スケジュール
現時点で想定しているシステム再構築に向けた開発スケジュールは、図5-4
のとおりである。旧システムの証明バックアップシステムに関する機器を2年間
再リースすることで新システムを動作させる機器を平成32年1月と平成34年1
12
月の2段階に分割してシステムを稼働させる機器を調達する計画案である。
この機器調達に合わせて、新システムの開発を証明・照会システム、共通基
盤システム、1次開発システムと2次開発システムの2期に分けての構築作業を行
うことを予定している。
13
■図5-4
全体スケジュール■
14