S18.1 有機金属反応剤に対する銅塩の効果 α,β-不飽和化合物に対する有機金属反応剤の付加において直接付加と共役 付加の割合は,金属の硬さ・軟らかさ(ウェブノート 6.1)と関係している.カ ルボニル炭素よりもβ炭素の方が軟らかい.金属の硬さは Li > Mg > Cu の順で, Cu は軟らかいと考えられる.それに対応して, RLi は直接カルボニル付加,RCuX は共役付加を優先的に起こす.RMgX は両者を競争的に起こすことが多い. Grignard 反応においては触媒量の銅塩を加えると共役付加が優先的に起こる ようになるのに対して,アルキルリチウムの反応には当量の銅塩を必要とする. RMgX の反応性は低く,低温で銅塩を加えるとアルキル銅反応剤となって共役 付加を起こす.アルキルリチウムは反応性が高く低温でも直接付加を起こす. したがって,予め当量の銅塩を加えて RLi を RCuX に変換しておいてからカル ボニル化合物と反応させる必要がある.
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