非鉄金属市況と需給動向 - 金属資源情報

非鉄金属市況と需給動向
 非鉄金属市況(銅、亜鉛、ニッケル、金・白金)
平成28年4月12日
非鉄金属市況(2016.3/7~2016.4/8)
ベースメタル
3月初旬は堅調に推移していたものの、中旬にかけては中国の低調な貿易統計や株安を受けて同国経済に対する減
速懸念が高まり、またそれに伴う原油安の影響を受けて軟調に推移。その後は、米FRBの想定利上げペースが年2回
に引き下げられたことを受けて急速にドル安が進行したことを好感して急伸する場面もあったものの、下旬にはドル高
に振れたことが下方圧力となって下落した。4月に入ってからは、堅調な米国経済が上昇材料となる一方で中国経済に
対する先行き懸念が再燃し、足元軟調に推移。
貴金属
3月上旬は、ドル高に振れたことなどが下方圧力となり緩やかに下落。金は、米FOMCの声明発表において6月利上げ
が示唆されるのではないかとの警戒感が広がり、中旬に当該期間最安値を付けた。その後はドル安に振れたことを好
感して一時上昇する場面もあったものの、下旬にかけて、米利上げ観測が再燃したことに伴うドル高を背景に再び下落
し、足元は概ね横ばい推移。
米国経済
3月の製造業PMIは51.5。 労働省発表の3月非農業部門雇用者数は前月比+21.5万人(前月:+24.2万人)と市場予想の+20.5万人を
大きく上回った。失業率は5.0%(前月:4.9%)と引き続き低水準を維持。
中国経済
3月製造業PMIは、国家統計局発表が50.2(前月:48.0)、同HSBC発表3月速報値では49.7(前月:48.0)と上昇。
欧州経済
3月製造業PMIは51.6(前月:51.2)と小幅に上昇。
9.00
鉛
8.00
銅
7.00
金
6.00
亜鉛
ニッケル
5.00
4.00
アルミニウ
ム
3.00
2.00
1.00
Jun-03
Oct-03
Feb-04
Jun-04
Oct-04
Feb-05
Jun-05
Oct-05
Feb-06
Jun-06
Oct-06
Feb-07
Jun-07
Oct-07
Feb-08
Jun-08
Oct-08
Feb-09
Jun-09
Oct-09
Feb-10
Jun-10
Oct-10
Feb-11
Jun-11
Oct-11
Feb-12
Jun-12
Oct-12
Feb-13
Jun-13
Oct-13
Feb-14
Jun-14
Oct-14
Feb-15
Jun-15
Oct-15
Feb-16
0.00
主要非鉄金属価格推移(2003年5月=1) (JOGMEC作成)
欧米中の製造業購買担当者景況指数(PMI)
1
非鉄金属市況(2016.3/7~2016.4/8)
本報告期
期初
直近
最高値
2016年
(当年)
ニッケル
LME現物
(US$/t)
LME現物
(US$/t)
LME現物
(US$/t)
金
プラチナ
パラジウム
平均
1,834.0
1,744.0
1,860.0
3月22日
1,738.5
3月16日
1,798.5
9,375.0
8,405.0
9,375.0
3月7日
8,275.0
4月4日
8,605.2
1,267.8
1,237.3
1,270.6
3月8日
1,217.4
4月4日
1,241.4
999.5
956.5
1,003.5
3月8日
946.5
3月29日
969.3
565.0
539.5
601.0
3月22日
537.0
4月7日
569.2
3か月
4,635.5
1,757.0
8,450.0
-
-
-
12か月
24か月
4,635.0
4,635.0
4,645.0
4,654.0
5,103.0
3月18日
4,310.5
1月15日
4,680.1
6,309.0
4,702.0
6,448.0
5月12日
4,515.5
11月23日
5,493.6
1,772.0
1,760.0
1,600.0
1,744.0
1,860.0
3月22日
1,453.5
1月12日
1,688.9
2,183.5
1,600.0
2,405.0
5月6日
1,487.0
11月19日
1,927.9
8,685.0
8,795.0
8,515.0
8,405.0
9,375.0
3月7日
7,710.0
2月11日
8,488.4
14,880.0
8,665.0
15,455.0
1月7日
8,160.0
11月23日
11,806.4
-
-
1,077.5
1,237.3
1,274.5
3月4日
1,077.5
1月4日
1,185.6
1,193.6
1,062.3
1,294.1
1月23日
1,053
12月3日
1,159.2
-
-
885.5
956.5
1,003.5
3月8日
815.5
1月21日
918.3
1,108.0
872.0
1,283.0
1月21日
830
11月30日
1,052.1
-
-
550.0
539.5
601.0
3月22日
467.5
1月12日
526.0
775
547.0
829.0
3月5日
528
12月3日
690.1
期初
直近
最高値
最安値
2015年
(前年)
亜鉛
5,000.0
4,654.0
5,103.0
3月18日
4,654.0
4月8日
4,923.1
最安値
先物
(4月8日)
銅
平均
期初
期末
最高値
最安値
平均
銅市況と需給動向(2016.3/7~2016.4/8)
■LME価格:3月初旬に4か月ぶりの5,000US$/t台をつけた銅は、中国2月貿易統計での輸出入急減や、これを受けた原油価格の軟化を
きっかけに世界経済の先行き不透明感が意識され、同中旬まで4,900US$/t台を軟調に推移。その後、米FRBの想定利上げペースが緩やか
になるとの発表に伴いドル安に振れたことを好感し、3/18には一時上昇して当該期間最高値となる5,103US$/tを付けたものの、その後は、
原油価格の下落などが下方圧力となり下落傾向に転じ、下旬は再びドル高基調となったことや世界経済の成長見通しに不安感が広がり
4,855.5US$/tまで値を落とし3月を終えた。4月に入ってからも中国経済の先行き懸念が広がり下落を続け足元4,654US$/t(4/8) 。
■需給動向:LME在庫は12月末以降緩やかに増加したが1月末より減少傾向、足元で14.6万 t(約2.3日分)。当該期間で4.0万tの減少。
✍ 国際銅研究会(ICSG)による2015年累計の需給バランスは、 5.7万 tの供給不足。2015年12月単月は4.7万 tの供給不足となった。また、
ICSG2016年春季大会の予測によると、 2015年は 5.7万 t の供給不足、2016年は5.6万tの供給不足。
✍ 主要鉱山操業状況:Glencore・ザンビアMopani鉱山、DRコンゴKatanga鉱山(総年間生産量:28万t)18か月間の操業停止(9/7)。Anglo
American、Glencore・チリCollahuasi銅鉱山で約3万tの削減計画を発表(9/29)。カナダ・Huckleberry銅鉱山、2016年8月末までケアアン
ドメンテナンス状態(2/11)。チリ・Andina銅鉱山、精鉱流出事故で輸送を停止(2/26)。
LME在庫
COMEX在庫
SHFE在庫
需給バランス
2016/1
4,946
10
4,595
2016年3月
7
4,463
2016年2月
-400
4
2016年1月
0
10
4,629
2015/1
4,808
2015年12月
-200
7
2015年11月
2,000
4
5,223
2014/1
2015年10月
0
10
5,208
7
2015年9月
4,000
4
5,089
2013/1
2015年8月
200
10
5,457
7
2015年7月
400
6,000
4
5,834
2012/1
2015年6月
10
6.301
7
2015年5月
600
8,000
4
6,027
10
2015年4月
800
10,000
2011/1
5,494
7
2015年
4
6,862
2010/1
2014年
7
7,321
10
2013年
需給バランス /
LME在庫(千t)
1,000
銅地金の需給バランスと価格動向
価格(US$/t)
12,000
4
US$/t
2009/1
銅平均価格
LME価格(Cash settlement)
3
亜鉛市況と需給動向(2016.3/7~2016.4/8)
■LME価格:1,834US$/tでスタートした亜鉛は、3月上旬、世界経済の先行き懸念の高まりを受けて軟調に推移。同中旬には中国固定資産投資
の成長率が予想を上回ったことを好感して一時上昇する場面があったものの、米FOMC開催の発表を控えてドル高に振れたことを嫌気して16日
には当該期間最安値となる1,738.5US$/tを付けた。その後は米利上げ観測の後退に伴い進行したドル安を好感して急伸し、22日には当該期間最
高値である1,860US$/tを付け、同水準で横ばいに推移していたが、24日には原油価格の下落等を嫌気して前日比4%以上の大幅な下落を見せ、
そのままほぼ横ばいに推移して3月を終えた。4月に入ってからは堅調な米経済状況を好感して再び1,800US$/t台まで回復したが、中国需要の先
行き懸念が下方圧力となって再び下落傾向を辿り、足元1,744US$/t(4/8)。
■需給動向:LME在庫は9月中旬以降緩やかに減少、2月中旬約4万t増加したのち再び減少傾向となり、足元は43.2万 t(11.5日分)。
✍ 国際鉛亜鉛研究会(ILZSG) による2015年累計の需給バランスは、 12.3万 tの供給過剰。2016年1月単月は1千tの供給不足となった。また、
ILZSG 2015年秋季大会の予測によると、2015年は 8.8万tの供給過剰、2016年は15.2万tの供給不足。
✍ 主要鉱山操業状況:MMG・豪州Century鉱山資源量枯渇により7月末採掘停止、11月選鉱場停止(年間生産量48万t)。Glencore豪・Lady
Loretta鉱山とペルー・Iscaycruz鉱山の生産停止により年間50万tの削減を発表(10/9)。中国亜鉛生産者10社が価格低迷の状況を考慮し合
計55万tの協調減産発表(11/20)。Nyrstar社、経営改善のため米・Middle Tennessee亜鉛3鉱山の操業停止、同社減産はこれで計55万t
(12/7)。
亜鉛平均価格
US$/t
2014年
2,164
2015年
1,928
2015年4月
2,202
2015年5月
2,290
2015年6月
2,087
2015年7月
2,002
2015年8月
1,810
2015年9月
1,719
2015年10月
1,728
2015年11月
1,582
2015年12月
1,522
2016年1月
1,512
2016年2月
1,711
2016年3月
1,801
4
ニッケル市況と需給動向(2016.3/7~2016.4/8)
■LME価格:3月初旬から堅調に推移し当該期間9,375US$/tでスタートしたニッケルは、8日に中国2月貿易統計が発表されたことを
きっかけに広がった世界経済への先行き懸念から、同中旬まで下落傾向を辿り、原油安やドル高がさらなる下方圧力となって16日
には8,460US$/tまで値を下げた。その後は米利上げ観測後退に伴うドル安を好感して小幅に上昇し、下旬まで8,600US$/t前後でほ
ぼ横ばいに推移していたが、3月下旬には、米イエレン議長の追加利上げに慎重な発言を受けて世界経済の成長見通しに不安感が
広がったことからさらに下落して8,280US$/tで3月を終えた。4月に入ってからは堅調な米国経済指標に下値を支えられたものの、4
日には当該期間最安値となる8,275US$/tまで値を落とすなど安値水準でほぼ横ばいに推移し、足元価格は8,405US$/t(4/8)。
■需給動向:LME在庫は12月に大幅増加した後、小幅に増減しつつ緩やかに減少し、足元は42.9万t(92.3日分)。
✍ 国際ニッケル研究会(INSG) による2015年累計の需給バランスは8.07万 tの供給過剰。2016年1月単月は 8.1千tの供給不足と
なった。また、INSG 2015年秋季大会予測によると、2015年は 4.9万tの供給過剰、2016年は2.3万tの供給不足。
✍ 主要鉱山操業状況:KGHM社・カナダMc Creedy West鉱山(年産生産量17千t)10/1~操業停止(9/20)。中国主要ニッケル生産
者8社、12月~合計10万tの減産実施の見込み(11/26)。中国フェロニッケル11社、2016年20%減産提議(12/15)。
LME在庫
SHFE在庫
需給バランス
LME価格(Cash settlement)
2016/1
10
7
4
2015/1
8,704
10
8,310
2016年3月
(50)
7
2016年2月
0
4
8,483
50
2014/1
8,692
2016年1月
5,000
10
9,232
2015年12月
150
7
2015年11月
10,000
4
10,344
2013/1
9,898
2015年10月
250
10
2015年9月
15,000
7
10,342
4
2015年8月
2012/1
11,386
350
10
2015年7月
20,000
7
12,780
4
2015年6月
2011/1
13,509
450
10
2015年5月
25,000
7
12,783
550
4
2015年4月
需給バランス /
LME在庫(千t)
30,000
2010/1
11,806
10
2015年
一次ニッケルの需給バランスと価動向
価格(US$/t)
7
16,867
4
US$/t
2014年
2009/1
ニッケル平均価格
5
金・プラチナ・パラジウム市況(2016.3/7~2016.4/8)
■金市況:当該期間1,267.8US$/ozでスタートした金は、ドル高に振れたことなどが下方圧力となり3月上旬は緩やかに下落。同
中旬は、米FOMCの声明発表において6月利上げが示唆されるのではないかとの警戒感が広がり、16日には1,230.8US$/ozの
安値を付けた。その後はドル安に振れたことを好感して一時上昇する場面もあったものの、下旬にかけて米利上げ観測が再燃
したことでさらに下落、その後はほぼ横ばいに推移し、足元価格は1,237.3US$/oz(4/8)。
■プラチナ・パラジウム市況: 3月初旬の欧米株高を好感して当該期間999.5US$/ozでスタートしたプラチナは、8日には
1,003.5US$/ozの高値を付けたが、その後はドル高などが下方圧力となり中旬まで下落傾向を辿った。15日に954US$/ozの安
値を付けた後はドル安の進行を好感して回復したものの、下旬に再びドル高に振れたことを嫌気して29日には946.5US$/ozと
なった。その後小幅に回復した後は軟調に推移し、足元956.5US$/oz(4/8)。3月上旬、560-573US$/ozのレンジで推移していた
パラジウムは、同中旬にはドル安の進行を好感して上伸し22日に601US$/ozの高値を付けた。しかしその後は、中国経済への
先行き懸念やドル高が下方圧力となって下落傾向を辿り、足元539.5US$/oz(4/8)。
金・プラチナ
平均価格
金
US$/oz
プラチナ
US$/oz
パラジウム
US$/oz
2014年
1,244
1,423
734
2015年
1,159
1,052
690
2015年4月
1,195
1,147
744
2015年5月
1,198
1,146
787
2015年6月
1,182
1,090
728
2015年7月
1,131
1,014
643
2015年8月
1,118
984
595
2015年9月
1,125
967
607
2015年10月
1,157
976
690
2015年11月
1,087
886
576
2015年12月
1,068
860
551
2016年1月
1,097
854
499
2016年2月
1,197
919
505
2016年3月
1,246
968
566
6