siRNA医薬STNM01を用いた食道癌内視鏡治療後の瘢痕

平成24年度
新潟大学長
新潟大学プロジェクト推進経費研究経過報告書(中間まとめ)
殿
申 請 者
所 属
代表者氏名
医歯学総合病院
鈴木 健司
本年度、交付を受けたプロジェクト推進経費について、現時点までの研究の進行状況等を報告し
ます。
プロジェクトの種目:発芽研究
プロジェクトの課題:siRNA 医薬 STNM01 を用いた食道癌内視鏡治療後の瘢痕狭窄予防療法の開発
プロジェクトの代表者:所属 医歯学総合病院 職名 講師 氏名 鈴木 健司
分担者
3名
プロジェクトの成果:
【プロジェクトの概要】クローン病の合併症として生じる腸管狭窄症は手術をしても再
発が高頻度であり患者のQOLを著しく損なう。申請者らはこのクローン病腸管狭窄症の
新規治療法として、クローン病線維化原因遺伝子の糖硫酸転移酵素CHST15を特定し、本
酵素に対するsiRNA医薬STNM01による粘膜下注入療法をステリック再生医科学研究所
と開発した。平成24年1月より日本国内で第I相臨床治験を開始した。これまでにSTNM
01が慢性炎症に伴う腸管線維化狭窄と炎症の抑制効果を有し、さらに粘膜再生効果も発
揮することを明らかにした。一方、近年消化器内科臨床において食道癌内視鏡治療後の
瘢痕狭窄に悩む患者が増加していることから、我々が開発した革新技術を応用して食道
癌ESD後の食道瘢痕狭窄予防療法を開発する着想を得た。本プロジェクトではブタ食道
全周ESDモデルを用いた動物実験を行い、食道癌ESD後の瘢痕狭窄治療効果を検証する。
具体的にはミニブタの食道を内視鏡的に全周性ESDを行うと瘢痕狭窄が生じ食物の通過
障害でブタは約1ヶ月で衰弱死する。このモデルに対しSTNM01の内視鏡的粘膜下層・筋
層注入が瘢痕狭窄予防効果を有するか内視鏡観察で評価するとともに、4週後に摘出した
食道組織標本を用いた病理組織学的解析による検討も行い治療効果を解析する。
【プロジェクトの実施計画】
本プロジェクトは以下の実施計画に基づいて行う。
I. ミニブタ食道の全周性 ESD モデルに対する STNM01 局注実験.
1).ミニブタの食道 ESD 処置.
2).ミニブタ食道 ESD 後 STNM01 粘膜下・筋層注入療法.
II. ミニブタ食道 ESD 後 STNM01 粘膜下・筋層注入療法効果判定.
III. 蛍光多重染色法による ESD 後食道潰瘍の治癒過程における線維化関連細胞の動態
解析
(注)報告書は2枚程度とする。別紙による場合も同じ
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【プロジェクトの経過報告】
平成 24 年 12 月 20 日現在、プロジェクトの実施計画の II.まで実施している。
ミニブタ食道の全周性 ESD モデルは確立し、ESD 後食道粘膜下・筋層への STNM01
注入実験をミニブタ2匹に対して実施した。
STNM01 局注群では ESD 後食道潰瘍粘膜の再生治癒傾向が見られたが、食道全周性
の ESD では瘢痕狭窄傾向が強く、対照群との間に狭窄予防効果において内視鏡的有意
差が認められなかった。
現在、ESD を食道全周ではなく、1/4周以下の部分 ESD に変更した実験を準備中で
ある。
プロジェクト成果の発表(論文名,発表者,発表紙等,巻・号,発表年等)
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