Weekly Outlook

投資情報部
2016 年 4 月 14 日(木)
Weekly Outlook
週刊投資情報
CONTENTS
1. 日本株見通しとポイント~有望な投資テーマの内需関連に注目 ..........................2
2. 米国株見通しとポイント~決算を踏まえ上昇も上値は限定 ..................................3
3. 円相場見通しとポイント~短期チャートはドル円一旦の底打ちを示唆だが .............4
4. 国内経済動向~引き続き弱含みの消費マインド ..................................................6
5. 新興国市場・経済動向 ........................................................................................7
6. 医療機器業界 .................................................................................................. 11
7. 仮想世界に拡がる現実 .....................................................................................12
8. 円高環境下ではデフレ関連が物色対象に .........................................................13
9. 今週末に産油国会合が開催 .............................................................................14
10. ブラジル~大統領弾劾案を巡る政局はいよいよヤマ場へ ..................................15
11. トルコ~中銀新総裁に副総裁の昇格が内定し市場の懸念は後退 ......................16
12. 国内政治・政策動向~重要政策の決定は 5 月末に集中する見通し ..................17
13. 主な国内株価指数とテクニカル指標の推移 .......................................................20
14. 来週・再来週の主なスケジュール ......................................................................21
1
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
No.250
2016 年 4 月 14 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.250
1.日本株見通しとポイント~有望な投資テーマの内需関連に注目
日本株担当: 西尾 浩一郎
日本株市場は円高一服などを好感し日経平均は16,000円台を回復。今後の注目点は、懸念の高まる新年
度の会社側業績計画にあり、4月下旬以降本格化する決算発表をこなしていく中で悪材料出尽くし感が広が
るか否か。日米欧の金融政策決定会合を控えていることもあり、当面為替動向に振らされる展開を想定し、
物色面では割り切って国内に地盤を置く内需銘柄、中でもホテル、建設・消費、ITサービスなどに注目する。
 円高一服などで買い戻しが優勢に
図表1. 様子見姿勢を強める日本株市場
先週末以降の日本株市場は、足元の下げ過ぎの反
動や円高一服などを理由に買い戻される展開となった。
内外で注目度が高いイベントが多く控えることなどから、
商いは低調で様子見姿勢が強まっている(図表1)。
22,000
(円)
(兆円)
3.8
21,000
3.6
日経平均(左軸)
20,000
3.4
19,000
3.2
18,000
 決算発表で悪材料出尽くしとなるか
アベノミクス相場が始まって以降、企業業績は円安と
いう追い風に乗ってきたが、その勢いは弱まりつつある。
日銀短観によると、16年度通期想定為替レート(大企
業・製造業)は1ドル=117.46円。現状の為替水準とのか
い離は大きく外需関連を中心に先行きへの懸念が高ま
っている(図表2)。4月下旬から本格化する16/3期決算
で公表される新年度の会社計画は弱めの数字となろう。
会社計画が低調な年の日本株は、5月以降下値を固め
て年後半に向けて上昇する傾向があるが、一段の円安
を見込みづらい環境下、今年についてはハードルが高
い可能性がある。年初以降、日本株の売り手となってい
る海外投資家が、決算通過で“Buy my Abenomics(ア
ベノミクスは買い)”と捉えるか、“Bye-Bye Abenomics”と
捉えるか、業績見通しの悪化度合いが注目される。
2.8
16,000
2.6
15,000
2.4
14,000
東証1部売買代金
(25日平均、右軸)
13,000
2.2
12,000
2.0
15/4
15/6
15/8
15/10
15/12
16/2
16/4
(年/月)
出所: QUICKよりSMBC日興証券作成
図表2. 円高進行で業績の先行き懸念高まる
125
(円)
120
115
110
135
事業計画の前提となって
いる想定為替レート
(大企業・製造業)(左軸)
125
115
ドル円(左軸)
105
105
100
95
95
90
 有望な投資テーマの内需関連に注目
85
85
今月末にかけて日米欧の金融政策決定会合を控え、
日本株市場は為替動向を睨みながら一喜一憂する展
開となりそうだ。なお、PBRでみた割安感などから大きく
下げるとは想定していない。また、自社株買い(自己株
式取得)が株価の下支え役になると考えている。これは、
6月の株主総会を前に企業が株主還元に取り組んでい
る姿勢を強調する手段として、決算発表と同時に自社
株買いを発表する可能性があるため。企業の株主還元
の姿勢は強まる傾向にある(図表3)。
80
75
12ヵ月先予想EPS(右軸)
75
13/1
13/7
14/1
14/7
15/1
15/7
16/1
65
(年/月)
注:3・6月調査は上期、9・12月調査は下期の想定レートを使用。予想は
IBES予想
出所: Bloomberg、日銀短観、DatastreamよりSMBC日興証券作成
図表3. 自社株買いは増加傾向、今年は前年を上回るペース
10
9
(兆円)
(件数)
1,200
自己株式取得枠設定金額(左軸)
延べ件数(右軸)
8
7
1,000
800
6
物色面では、為替動向に目をつぶり割り切って内需
関連銘柄に注目したい。具体的には、訪日外国人増加
による需給ひっ迫で宿泊単価上昇⇒業績拡大を容易
に想像できるホテル関連、政府の景気対策期待から建
設・消費関連、年金・税システムなど政府・金融機関向
けのIT投資案件が豊富なITサービス関連、などが有望
な投資テーマと考えている。
5
600
4
400
3
2
200
1
0
0
00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 (年)
注:対象はTOPIX採用銘柄。2016年は4月13日時点
出所: QUICKよりSMBC日興証券作成
2
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
3.0
17,000
2016 年 4 月 14 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.250
2.米国株見通しとポイント~決算を踏まえ上昇も上値は限定
米国株担当: 河田 剛
4月7日以降の米国株は、当初は下落したものの、その後は原油高などを背景に上昇した。2016年1-3月期
のS&P500予想EPSは下方修正が続いており、実績が予想を上回る可能性は高いものと考えられる。企業
業績に対する懸念が後退すれば株価の押し上げ材料となろう。ただし、S&P500の12ヵ月先予想PERはリ
ーマンショック後の最高値に近づいており、上値は限定的となろう。
 先週、今週のレビュー~原油高等で上昇
ついては、3月分の販売台数が年率換算1,646万台と事
前予想の1,750万台を下回るなど陰りが出てきており、
今後の動向に注意が必要となろう。
4月7日の米国株市場は、4月2日終了週の新規失業
保険申請件数が事前予想を下回ったものの、原油価格
が下落したことや、長期金利低下にともなう金融株の売
りなどから、ダウ工業株指数(NYダウ)は前日比▲174ド
ルとなった。4月8日は、1-3月期決算発表の本格化を翌
週に控えて様子見姿勢が強かったものの、掘削リグ数
の減少を背景に原油価格が大幅に上昇したことや、ド
ル安などからNYダウは、+35ドルとなった。週明け11日
は、17日の産油国会合で生産調整に関して何らかの合
意が成立するとの報道で原油価格が上昇したことや、ド
ル安がさらに進んだことなどから買いが先行したものの、
1-3月期決算に対する懸念などによりNYダウは▲20ドル
となった。12日は、3月のNFIB(全米独立事業連盟)中
小企業楽観度指数が事前予想を下回ったものの、ロシ
アの大統領府報道官がイランの姿勢にかかわらず産油
国が生産量抑制で合意する可能性があるとの見方を示
したことから、NYダウは+164ドルとなった。13日は、3月
の小売売上高が事前予想を下回ったものの、中国の3
月の輸出が事前予想を上回ったことや、JPモルガン・チ
ェースの1-3月期決算が事前予想を上回ったことなどか
ら、NYダウは+187ドルとなった。
 当面の見通し~決算を踏まえ上昇も上値は限定
経済指標では15日発表予定の4月のニューヨーク連
銀製造業景況指数(事前予想:2.00)、19日発表予定の
3月の住宅着工件数(事前予想:前月比▲0.7%)、20日
発表予定の3月の中古住宅販売件数(事前予想:前月
比+3.7%)などが注目される。また、17日にドーハで開催
予定の産油国の会合で生産抑制について合意が成立
するかどうかがエネルギー株を中心に株式市場の変動
要因となろう。合意が成立すれば、目先は上昇するもの
と考えられる。1-3月期決算発表については、19日まで
の大手金融のほか、21日までにインテル、ジョンソン・エ
ンド・ジョンソン、アルファベット、マイクロソフト、アマゾ
ン・ドット・コムなどの発表が予定されている。2016年1-3
月期のS&P500予想1株当たり利益(EPS)は下方修正
が続いており(図表1)、実績が保守的な予想を上回る
可能性は高いものと考えられる。企業業績に対する懸
念が後退すれば株価の押し上げ材料となろう。ただし、
S&P500の12ヵ月先予想PER(IBES集計)は13日時点で
16.8倍とリーマンショック後の最高値(2015年3月2日、
17.4倍)に近づいており、上値は限定的となろう。本格
的な上昇には1-3月期決算を受けて4-6月期以降の業
績予想が上方修正に転じることが必要となろう。
 3月の小売売上高
4月13日に発表された3月の小売売上高は、前月比
▲0.3%となり、事前予想(+0.1%)を下回った。2月分は
▲ 0.1% か ら +0.0% に 上 方 修 正 さ れ た が 、 1 月 分 が ▲
0.4%だったため、1-3月期の消費は低調だったとみられ
る。3月分の業種別では建設資材が+1.4%、ヘルス&パ
ーソナルケアが+1.0%と増加したものの、自動車・部品
が▲2.1%、衣服・装飾品が▲0.9%、無店舗販売が▲
0.1%と減少した。ガソリンスタンドは▲0.9%となった。自
動車・部品を除く小売売上高については、+0.2%と事前
予想(+0.4%)を下回った。1-3月期の小売売上高の減
少については金融市場の混乱も影響しているものとみ
られる。一方、消費者センチメントについては、4月1日
に発表された2月のミシガン大学消費者信頼感指数(確
定値)は91.0と事前予想(90.5)を上回り、高水準を維持
しているが、消費のけん引役となってきた自動車販売に
事前予想は Bloomberg、2016 年 4 月 14 日 10 時時点のもの
図表1. S&P500 四半期予想EPS(前年同期比)の推移
(%)
10
5
2016年7-9月期
0
2016年4-6月期
-5
-10
2016年1-3月期
-15
15/11
15/12
16/1
16/2
出所: BloombergよりSMBC日興証券作成
3
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
16/3
16/4 (年/月)
2016 年 4 月 14 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.250
3.円相場見通しとポイント~短期チャートはドル円一旦の底打ちを示唆だが
欧米・為替担当: 本間 英至
ドル円は今週初に2014年10月以来の安値まで下落したが、その後は戻り歩調を辿っている。短期のチャー
ト分析的には110円の大台回復が視野に入ってきた。ただ、市場心理の好転とドルの値固めに向けては、
110円台乗せのみならず、110円台後半処のチャートポイントもしっかりと超えられるかが大きな焦点となろう。
目先的には、今週末にかけてのG20財務相・中央銀行総裁会議と産油国会合が注目される。
 この1週間(4/7~)のレビュー
(図表3)。特に、円買いポジションに関しては、
ドル円は7日に109円台後半でスタート後、それまでの Bloombergで遡れる1992年10月以降で最大規模にまで
ドル安円高の流れが継続して同日中に107円台後半ま 積み増している。足元でポジションをやや解消した可能
で下落。翌8日には一旦反発したものの、週明け11日に 性もあるが、ドル安円高を見込んだ円買いポジションは
再びドル売りが進み、一時107.63円をつけた。ただ、そ 依然として相当な規模を維持しているものと推測される。
の後は、内外株の上昇や麻生財務相のやや強めの円 この先ドルが伸び悩むようだと、改めてドル売り円買いを
高牽制発言などを材料にドルは戻り歩調となり、14日に 仕掛けてくる可能性があり、市場心理の好転とドル値固
は109.55円まで回復した。オセアニア通貨は、7日に円 めに向けては、上述した110円の大台回復および110円
が全面高となる中で豪ドル円が80円台後半、NZドル円 台後半処のチャートポイントをしっかりと超えられるかが
が72円台後半まで一時下落したものの、週明け以降は、 大きな焦点となろう。
リスク選好色の回復からいずれも堅調に推移した。一方、
図表1. ドル円30分バーチャートの推移
ユーロ円は7日に122円台半ば近くまで下落した後も反
(円/ドル)
(円/ドル)
発力に乏しく、123円台半ばを挟んでのレンジ推移にと
111.5
111.5
どまった。(東京時間4/14正午時点)
111.0
111.0
110.5
 ドル円相場の見通しと来週にかけての注目材料
110.5
110.0
短期チャートはドル円一旦の底打ちを示唆
ドル円は4月に入って以降ドル売り円買いが止まらず、
11日には一時107.63円と2014年10月以来の水準まで
売られた。ただ、その後足元にかけて戻り歩調にあり、ド
ル円を巡る市場心理に変化の兆しも窺える。
そこで、やや短期の話となるが30分チャートをみると、
7日(107.67円)と11日(107.63円)に安値をつけ、その間
の戻り高値である109.10円を上に突破。いわゆる「ダブ
ルボトム」を形成しており、ドルは一旦の底打ちから一段
の上昇が期待できる形となっている(図表1)。チャート上、
110円の大台回復が視野に入ったといえよう。さらに、そ
の先のターゲットは3/17安値の110.67円。この水準は、
3/29高値(113.80円)から4/11安値(107.63円)の値幅の
半値戻し(110.71円)の水準でもある(図表2)。
110.0
109.10円
109.5
109.5
109.0
109.0
108.5
108.5
108.0
108.0
107.5
107.5
107.0
107.0
4/5
2016年
4/6
4/7
4/8
4/11
4/12
4/13
(月/日)
出所:BloombergよりSMBC日興証券作成
図表2. ドル円日次ローソク足の推移
122
(円/米ドル)
(円/米ドル)
6.17円幅
・0.382倍戻し=109.98円
・半値戻し
=110.71円
120
118
116
122
120
118
113.80円
116
市場心理好転には一段のチャートポイント突破が必要
114
114
投機筋は、短期チャートがドル底打ちを示唆したこと
等を受けてドル売りを一旦控え、一部は買い戻しに動い
ているとみられるが、依然としてドル戻り売りを基本スタ
ンスとしている模様だ。CFTC(米商品先物取引委員会)
によると、投機筋は4月5日時点でドル売り円買いポジシ
ョン(ネットベース)を3週連続で積み増し、2008年3月以
来の高水準を記録した3月8日以来の規模にまで拡大
112
112
110
108
106
2/1
2/11
2016年
2/23
3/4
3/16
出所:BloombergよりSMBC日興証券作成
4
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
110
110.67円(3/17安値)
110.00円(大台)
108
107.63円
3/28
106
4/7
(月/日)
2016 年 4 月 14 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.250
来月初めにかけての日本の政策対応が大きな焦点に
海外投資家の対内株式投資(2012年1月以降の累積
額)とドル円を重ねると、両者はほぼ同じ動きを辿ってき
たことが確認される(図表4)。海外からの国内株式投資
が拡大しても円高となっていないのは、海外投資家が
安倍政権によるデフレ脱却と日本経済の好循環入りを
目指した「アベノミクス」シナリオに乗り、日本株の上昇と
円安を見込んだ「アベトレード」ポジションを積み増した
ことが背景と推測される。しかし、昨年央に対内株式投
資がピークアウトすると、ドル円はこうした動きと並行して
ドル安円高に転換。一向に回復しない日本経済や十分
に上昇しないインフレ動向をみた海外投資家が「アベノ
ミクス」シナリオに疑念を強め、「アベトレード」の巻き戻し、
つまり日本株の売却とドル買い円売りポジションの解消
に動いたと考えられる。こうした経緯を踏まえると、海外
投資家の日本株買い及び円売りを促すには、上述した
日本の政策当局の取り組みに対する信認の回復が大き
なカギを握っているといえよう。
今月27~28日には日銀金融政策決定会合が開催さ
れ、5月伊勢志摩サミット後にも政府による景気対策の
発表が見込まれている。これらの内容次第では、投機
筋のドル戻り売り姿勢の転換、歴史的高水準にある円
買いポジションの解消を促すことも期待され、要注目で
ある。
こうした中、本日(4/14)から2日間に亘りG20財務相・
中央銀行総裁会議が開催される。為替市場も主要議題
の一つとみられ、前回の2月G20に続いて「過度な変動
や無秩序な動きは経済および金融の安定に悪影響を
与えうる」との文言が共同声明に盛り込まれる見込みだ
が、関係者の発言には留意しておく必要があろう。
また、17日にはドーハで産油国会合が開かれる。足
元では、各国がイランを特別扱いした上で産油量の1月
水準維持に向けて合意するとの期待から原油価格が上
昇。市場のリスクオン材料となっているが、合意に至るか
不透明感も燻っており、会合結果が注目される。
米国では、3月鉱工業生産や住宅着工件数といった
ハードデータの他、4月各地区連銀製造業景況指数の
発表が予定されている。「4月会合後」の米金融政策の
行方を占う上で注目されよう。
図表3. 投機筋の円ポジション(対米ドル)とドル円
100
80
60
40
20
0
-20
-40
-60
-80
-100
-120
-140
良好な米国景気動向は先行きドルをサポートへ
一方、米国景気に関しては、経済指標は強弱まちま
ちながらも、ベージュブック(地区連銀経済報告)では景
気好調が続いていることが再確認されている。前回3月
の報告では一部の地区からあった小幅減速との指摘は
なく、12地区中11地区からは賃金が上昇、さらに幾つか
の地区では上昇圧力が強まっている兆しがあるとの報
告もなされている。ドル円は、4月26~27日のFOMC(連
邦公開市場委員会)での利上げ見送りを意識し、今回
の報告内容をほぼ無視したが、「4月会合後」が視野に
入ってくれば、米国景気の好調を背景とした6月利上げ
期待の高まりがドル円をサポートするものと考えている。
(千枚)
(円/ドル)
投機筋の円ポジション
(円買い残-円売り残、左軸)
105
110
115
120
125
ドル円(右逆軸)
(1枚=1,250万円)
15/1
15/4
15/7
15/10
16/1
130
16/4
(年/月)
出所:CFTC、BloombergよりSMBC日興証券作成
図表4. 対内株式投資とドル円相場の推移
(円/ドル)
(兆円)
130
対内株式投資(2012年以降の累積額、右軸)
30
25
120
20
来週にかけての注目イベント
110
15
足元では、ドル円は内外株の上昇にも反応するなど、
一時期のドル売り一辺倒モードから脱し、材料の良し悪
しに反応する値動きをみせ始めている。既述した短期
チャートの好転に加えて、安倍首相の発言を受けて後
退した政府・日銀のドル買い円売り介入観測が、麻生
財務相の「一方的な動きに対応する場合はG20の合意
内容から逸脱しない」との発言を機にやや復活したこと
も影響したとみられる。
5
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
100
10
90
ドル円(左軸)
80
5
0
70
12/1
12/7
13/1
13/7
14/1
14/7
15/1
出所:財務省、BloombergよりSMBC日興証券作成
15/7
-5
16/1
(年/月)
2016 年 4 月 14 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.250
4.国内経済動向~引き続き弱含みの消費マインド
日本経済・金利担当: 野村 真司
3月の消費マインド(景気ウォッチャー調査)は現状が小幅改善、先行きは悪化見通し。季節調整値は現状、
先行き共に悪化しており、総じてみれば「横ばい圏」というより「弱含み」との判断が妥当であろう。足元の円
高・株安も加わり、4月の消費マインドは再び悪化が見込まれる。また、設備投資の先行指標である機械受
注からは、GDPベースの設備投資が1-3月、4-6月と減少が続く可能性が指摘されよう。
 3月消費マインド:現状は小幅改善、先行きは悪化
ヵ月ぶりの減少となった。製造業が同▲30.6%と、比較
可能な2005年度以降では最大の減少幅となったことが
主因。1月に同+928.5%と大型案件で急増した鉄鋼業
が反動で同▲92.7%と大幅減少に転じたほか、電気機
械や情報通信機械で引き続き引き合いが減少した。一
方、非製造業(船舶・電力を除く)は同+10.2%と、3ヵ月
連続の増加で堅調な動きとなった。運輸業・郵便業から
鉄道車両、情報サービス業から電子計算機等の受注が
増加した。内閣府は2月の受注動向を巡り、1月の鉄鋼
業からの大型案件の影響を除いて比べれば「底堅さを
保っている」との見方で、機械受注の基調判断を「持ち
直しの動きがみられる」に据え置いた。
3月の景気ウォッチャー調査(調査期間3月25~31日)
では、足元の景況感を示す現状判断DIが前月比+0.8
ポイントの45.4と3ヵ月ぶりの上昇ながら、横ばいを示す
50は8ヵ月連続で下回った(図表1)。家計関連ではマイ
ナス金利政策導入に伴うローン金利低下等が追い風と
なり住宅関連、サービス中心に上昇(3ヵ月ぶり)。企業
関連では製造業、非製造業共に上昇した(3ヵ月ぶり)。
一方、雇用関連は3ヵ月連続で低下したものの、50超は
15ヵ月連続でキープしている。地域別では気温上昇に
よる東北の改善が目立った。季節調整値は前月比▲
3.0ポイントの41.6と3ヵ月連続の低下。内閣府は基調判
断を「弱さがみられる」として据え置いている。2~3ヵ月先
の景気に対する先行き判断DIは、前月比▲1.5ポイント
の46.7と2ヵ月連続の低下、節目の50を8ヵ月連続で下
回った。先行きについては観光需要や公共事業前倒し
への期待等があるものの、引き続き世界経済の先行き
不透明感や変動の激しい金融市場の動向への警戒感
が上回 った。季 節 調整 値 でも前 月比▲0.4ポイントの
45.3と4ヵ月連続で低下している。
また、内閣府がメーカーからの聞き取り調査をもとに
試算した1-3月見通し(調査時点:昨年12月下旬)は同
+6.4%と、2四半期連続のプラス見通し。前月比で3月が
+4.6%以上であれば達成可能となる。足元のボラタイル
な動きからすれば達成できないとは言えない。但し、機
械受注を設備投資の先行指標とみる場合は、鉄鋼業を
除いた上で評価する必要がある。なぜならGDP統計で
は、大型案件は工程の進捗に応じて繰り延べ計上され
また、3月の消費者態度指数(一般世帯・季節調整値、 るからだ。弊社では鉄鋼業を除いた1-3月機械受注は
調査基準日:3月15日)は、年初来の金融市場の混乱 前期比▲1%程度とみている。円高・株安による投資マ
が収束に向かい円高・株安が一服したこと等が影響し インド低下に伴う設備投資の先送りも加わり、GDPベー
前月比+1.6ポイントの41.7と3ヵ月ぶりに上昇(図表1)。 スの設備投資は1-3月、4-6月と減少が続く可能性があ
但し、過去平均(1982年6月~2016年3月)の42.1をやや ろう。
下回った。内訳項目の「暮らし向き」、「収入の増え方」、
「雇用環境」、「耐久消費財の買い時判断」の4指標す
図表1. 景気ウォッチャーと消費者態度指数の推移
(DI)
べてが上昇(昨年10月以来)。内閣府は消費者心理の
60
基調判断を「足踏みがみられる」に据え置いた。
55
以上から季節調整値を含めた消費マインドを総括す
ると「横ばい圏」というよりは「弱含み」との判断が妥当で
あろう。3月には一服していた円高・株安が4月入り以降、
政府・日銀の政策対応を試すかのように再開。現状で
は4月の消費マインドは再び悪化が見込まれる。
 2月機械受注:当面設備投資が減少する可能性
50
45
40
35
30
25
景気ウォッチャー調査:現状判断DI
景気ウォッチャー調査:先行き判断DI
20
消費者態度指数(訪問留置法による)
15
消費者態度指数(郵送法による)
(シャドウ部分は景気後退期)
10
2月の機械受注統計によれば、民間設備投資の先行
指標である船舶・電力を除く民需は、前月比▲9.2%と3
2007
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
(年)
出所:内閣府「景気ウォッチャー調査」、
「消費動向調査」よりSMBC日興証券作成
6
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
2008
2016 年 4 月 14 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.250
5.新興国市場・経済動向
新興国担当: 山本 正樹 / 白岩 千幸 / 武田 泰典 / 前田 佑太
先週後半以降の新興国株式市場は、原油価格の上昇等を背景に概ね堅調に推移したところが多くなってい
る。新興国通貨は、対ドルでは概ね堅調となった一方で、先週末にかけて対円では総じて下落したが、週明
け以降は値を戻す展開となっている。目先は産油国会合(17日)の結果次第で新興国資産が一旦利益確定
売りに押される可能性もあろう。個別ではブラジルの大統領弾劾採決やトルコの金融政策等が注目される。
 最近の新興国市場の動向
先週後半以降の新興国株式市場は、原油価格の上
昇等を背景に概ね堅調に推移したところが多くなってい
る。中国の3月貿易統計(13日発表)で輸出が大幅に増
加したことも支援材料となった。過去1週間の株価騰落
率(図表1、13日時点)では、ブラジル株(+10.5%)が大
幅高。大手新聞社によるアンケート調査で弾劾支持派
の議員が増加していることや、与党第2党の進歩党が連
立を離脱したこと(12日)等を受けて、ルセフ大統領に
対する弾劾案が可決されるとの見方が強まった。この他、
鉄鉱石等の資源価格上昇も支援材料となった。また、イ
ンド株(+2.9%)はモンスーン(雨季)の雨量が今年は平
年を上回るとの予測等(後述)が買い材料となった。
新興国通貨は、全般的なドル安や商品市況の上昇
等を背景に対ドルでは概ね堅調となった。一方で、先
週末にかけては、円高ドル安が急速に進み、新興国通
貨は対円では総じて下落した。ただ、週明け以降は円
が反落し、新興国通貨は対円で値を戻す展開となって
いる。過去1週間の通貨対円騰落率(図表1、13日時点)
をみると 、ブラジルレアル( +3.6% ) 、南 アフリカラン ド
(+3.4%)、ロシアルーブル(+1.8%)などの資源国通貨
が騰落率上位となった。ブラジルレアルは株式と同様に
大統領弾劾を巡る動きが手掛かりとなった。南アフリカラ
ンドは国内の良好な経済指標等も買い材料となった。
(前田)
図表1. 主な新興国市場の動向
直近値
騰 落 率 (% )
4月 13日
2016年 初 来 2015年 年 間 過 去 1週 間 過 去 30日 間 過 去 90日 間 過 去 1年 間
株価指数
中国
インド
韓 国
インドネシア
タイ
マレーシア
フィリピン
ロシア
トルコ
南アフリカ
ブラジル
メキシコ
為替
上海総合指数
香港ハンセン指数
SENSEX30種指数
韓国総合指数
ジャカルタ総合指数
SET指数
FBM KLCI総合指数
フィリピン総合指数
MICEX指数
イスタンブール100種指数
JSE全株指数
ボベスパ指数
ボルサ指数
3,066.63
21,158.71
25,626.75
1,981.32
4,853.00
1,385.42
1,723.11
7,341.00
1,932.80
85,696.67
52,938.24
53,149.84
45,411.30
▲13.4
▲3.4
▲1.9
1.0
5.7
7.6
1.8
5.6
9.7
19.5
4.4
22.6
5.7
9.4
▲7.2
▲5.0
2.4
▲12.1
▲14.0
▲3.9
▲3.9
26.1
▲16.3
1.9
▲13.3
▲0.4
0.5
4.7
2.9
0.5
▲0.3
0.9
0.4
2.2
3.9
5.1
3.4
10.5
0.3
7.2
3.5
3.3
0.5
▲0.5
▲0.6
1.3
3.2
3.6
7.0
0.9
8.8
1.6
2.0
6.8
3.4
4.3
7.5
9.7
5.5
14.5
15.0
19.1
11.0
34.6
9.8
▲25.8
▲23.2
▲11.8
▲6.2
▲10.4
▲10.5
▲6.3
▲8.9
17.3
4.1
▲0.7
▲1.5
0.9
▲8.9
▲9.7
▲6.7
▲4.7
▲6.5
0.6
▲7.7
0.2
▲6.7
▲3.1
2.9
▲10.3
▲4.0
▲4.2
▲6.6
▲9.7
▲8.3
▲18.0
▲4.0
▲20.1
▲19.7
▲24.9
▲32.6
▲13.8
▲0.6
▲0.4
0.4
0.2
0.1
0.1
▲0.6
1.8
▲0.6
3.4
3.6
0.8
▲3.6
▲3.2
▲0.3
▲4.7
▲3.8
1.9
▲2.9
1.5
▲3.1
2.7
0.5
▲2.2
▲5.8
▲6.5
▲2.4
▲2.1
▲3.9
5.1
▲4.0
6.4
▲1.5
4.8
5.9
▲5.0
▲12.2
▲14.2
▲12.8
▲9.7
▲15.1
▲12.9
▲11.8
▲29.5
▲13.5
▲24.3
▲19.8
▲19.8
※プラスは外貨高・円安、マイナスは外貨安・円高
中 国
インド
韓 国
インドネシア
タイ
マレーシア
フィリピン
ロシア
トルコ
南アフリカ
ブラジル
メキシコ
円/人民元
円/インドルピー
円/韓国ウォン(x100)
円/ルピア(x100)
円/バーツ
円/リンギ
円/フィリピンペソ
円/ルーブル
円/トルコリラ
円/ランド
円/レアル
円/メキシコペソ
16.87
1.64
9.53
0.83
3.11
28.19
2.36
1.65
38.40
7.52
31.25
6.27
注: 「直近値」については、当該日付が休場となっている場合は、その前営業日の値を掲載
出所: BloombergよりSMBC日興証券作成
7
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
2016 年 4 月 14 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.250
 新興国市場関連トピック
中国~生産者物価指数は2年半ぶりに前月比で上昇
図表3. 中国の貿易統計
11日に発表された3月の消費者物価指数は2月と同
様に前年比+2.3%と、2014年7月以来の高い上昇率と
なった。豚肉や生鮮野菜の価格が高騰し、食品価格が
+7.6%(2月+7.3%)と大幅に上昇して指数全体を押し上
げた。一方、生産者物価指数(PPI)は前年比▲4.3%(2
月▲4.9%)と3ヵ月連続でマイナス幅が縮小。前月比で
は+0.5%と2013年9月以来のプラスに転じた。資源価格
の上昇や金融緩和等の効果により、デフレ圧力は和ら
ぎつつあるといえよう。(白岩)
(前年比、%)
貿易収支(右軸)
70
60,000
50
50,000
輸出(左軸)
40
40,000
30
30,000
20
20,000
10
10,000
0
0
-10
-10,000
-20
-20,000
輸入(左軸)
-30
(前月比、%)
13/1
生産財
(うち掘削業)
2
70,000
60
図表2. 生産者物価指数(前月比)
3
(100万ドル)
13/7
14/1
14/7
15/1
-30,000
15/7
16/1
(年/月)
出所: CEIC、通関統計よりSMBC日興証券作成
全体
1
インド~今年のモンスーン雨量は平年を上回る見通し
消費財
0
インド気象庁(IMD)は12日、2016年モンスーン(雨季)
期間(6~9月)中の雨量が平年比106% (注) になるとの予
測を発表した。モンスーン期の雨量は農業生産を大きく
左右し、結果的に食品価格や人口の過半が居住する
農村部の個人消費など経済に大きな影響を及ぼす。昨
年のモンスーン雨量は2年連続で平年を下回り、食品価
格を押し上げるとともに、農村部の個人消費を下押しす
る要因となった。インド準備銀行は、4月5日に約6ヵ月ぶ
りとなる利下げを実施したが、声明文では追加利下げに
含みを残しつつ、インフレ上振れリスクをもたらす要因と
してモンスーンの動向を挙げている。実際にモンスーン
雨量が平年を上回れば、追加利下げを後押しする有力
な材料の1つとなろう。(山本)
-1
-2
生産財
-3
-4
-5
13/1
13/7
14/1
14/7
15/1
15/7
16/1(年/月)
出所: CEIC、中国国家統計局よりSMBC日興証券作成
中国~3月は輸出が好調となり貿易黒字が拡大
13日に発表された3月の貿易統計では、輸出が前年
比+11.5%(2月▲25.4%)と、9ヵ月ぶりに前年比で増加
に転じた。相手先別では、主要な国・地域向けでいず
れも改善し、EU向けやアセアン向け等が二桁の増加と
なった。輸入も前年比のマイナス幅が縮小した(2月▲
13.8%⇒3月▲7.6%)。品目別では、工作機械や電子部
品等の増加が目立った。なお、1-3月の香港からの輸入
は前年比でほぼ倍増しており、実需を装った米ドル調
達を目的に偽装輸入が増加した可能性も窺える。ただ
し、香港を除いた輸入額も3月▲8.2%(2月▲14.2%)と
マイナス幅は縮小した。一方、貿易収支は輸出の急回
復を主因に+299億ドルと前年比11.7倍となった。
注:1951~2000年のモンスーン期平均雨量=100%とした場合
インド~2月鉱工業生産は4ヵ月ぶりに前年比プラス
12日に発表された2月の鉱工業生産は前年比+2.0%
(1月 :▲1.5%)と4ヵ月 ぶりにプラスに転 じ、市場 予 想
(Bloomberg、+0.8%)も上回った。主な財別では、資本
財が▲9.8%と引き続き足を引っ張ったものの、▲20%前
後となった11~1月に比べるとマイナス幅は縮小した。耐
久消費財は+9.7%と堅調に推移したが、非耐久消費財
は▲4.2%と4ヵ月連続でマイナスとなった。
3月の輸出が前年比で大幅増となった背景には、春
節のタイミングのずれによって、昨年3月に輸出が不振
製造業の景況感は年明け以降急回復しており、生産
であった反動(ベース効果)による面が大きいとみられる。
は引き続き持ち直しが予想される。なお、財別の生産動
海外景気の持ち直しは依然として緩慢であり、中国の
向は、民間設備投資や農村部消費の低調を反映した
輸出は緩やかな回復にとどまろう。(白岩)
格好となっている。前者については堅調な海外からの
直接投資(FDI)や金融緩和等が、後者については今
8
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
2016 年 4 月 14 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.250
 来週にかけてのスケジュールと見通し
年度予算での農村振興策や予想される良好なモンスー
ン(前述)等が回復を後押しするとみている。(山本)
世界の金融市場では、目先は原油増産凍結を協議
する産油国による会合(4月17日)が大きな焦点となって
いる。足元ではこの会合の結果を巡って、観測報道が
相次いでいるが、総じて楽観的な見方が大勢となり、原
油価格は概ね堅調に推移している。このため、実際の
会合結果が期待外れと受け止められ、原油価格が急反
落するリスクも見ておく必要があろう。新興国株式や通
貨は前月以来の堅調な地合いが続いているだけに、一
旦は利益確定の売りに押される展開も予想される。もっ
とも、最近の新興国市場の動きは、新興国側のファンダ
メンタルズ改善も手掛かりになっているとみられ、全般的
なリスクオフ局面で下値を拾う戦略が引き続き有効と考
えている。
図表4. インドの鉱工業生産
50
(%)
総合
資本財
耐久消費財
非耐久消費財
40
30
20
10
0
-10
-20
-30
-40
14/1
14/7
15/1
15/7
16/1
(年/月)
出所: CEIC、インド中央統計局よりSMBC日興証券作成
一方、各主要新興国の注目ポイントは以下の通り。
中国では、15日に鉱工業生産など3月分の主要経済
指標および1-3月の実質GDP成長率が発表される。1-3
3月消費者物価指数(CPI)の前年比は+4.83%と2月 月実質GDP成長率は10-12月の前年比+6.8%を下回る
の+5.26%及び市場予想の+5.00%を下回った。食品や との見方が多いものの、3月のPMIや輸出が急回復して
燃料価格の他、広範な項目で上昇率が2月を下回った。 いることから、予想外に堅調な結果になることも考えられ
天候要因による食品価格の上昇等を背景に昨年下期 る。15日発表の経済指標が景気持ち直しを示す結果と
にはインフレ圧力が若干高まっていたが、12月以降は なれば、株価のサポート要因となろう。もっとも、足元の
CPIの食品価格が前月比でマイナスに転じるなど、イン 短期市場金利上昇が重石となり、上値の重い展開も予
フレ圧力は鎮静化しつつある。
想される。
インド~3月消費者物価指数は2ヵ月連続で鈍化
インド経済は+7%台の堅調な成長を続けているが、
過熱感に乏しく、需要面からのインフレ圧力は引き続き
限定的となろう。また。通貨や原油価格の安定もあり、
引き続きCPI前年比は+5%前後とターゲット(+4%±2%)
内で推移するとみている。インフレ鈍化は前述したモン
スーンの予測と相まって、追加利下げを後押しするとみ
られ、株式市場等のサポート要因となろう。(山本)
インドネシアでは、21日に金融政策が決定される。イ
ンドネシア銀行(中央銀行、BI)はインフレ鈍化や通貨
ルピアの持ち直しを背景に3月まで3ヵ月連続で利下げ
を実施したが、3月の利下げ決定時の声明文では当面
の追加利下げに慎重なスタンスが示された。このため、4
月はひとまず政策金利を据え置き、金融緩和効果を見
極める姿勢を示すとみられ、その場合は市場への影響
は限定的となろう。なお、12日の報道によると、近く主要
な政策金利が現行のBIレートから7日物リバースレポレ
ートに変更される見通し。
図表5. インドの消費者物価指数
14
(前年比、%)
総合
被服
燃料
12
食品・飲料
住居
その他
インドでは、18日に3月の卸売物価指数(WPI)が発
表される。インド準備銀行がターゲットの対象としている
消費者物価指数は3月分が既に発表済みであり、WPI
に対する市場の反応は限定的となろう。この他、来週に
かけて3月分の貿易統計も発表される(発表日未定)。
昨年来、輸出入ともに概ね前年比2ケタの大幅なマイナ
ス が 続 い てき た が 、 2 月 は 輸 出 が ▲ 5.7% 、輸 入 が ▲
5.0%といずれもマイナス幅が縮小している。内外景気の
緩やかな持ち直しを背景に3月も同様の傾向となるのか
が注目される。
10
8
6
4
2
0
14/1
14/4
14/7
14/10
15/1
15/4
15/7
15/10
16/1
(年/月)
出所: CEIC、インド中央統計局よりSMBC日興証券作成
9
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
2016 年 4 月 14 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.250
トルコでは、20日に金融政策委員会が予定されてい
る。20日の会合では、新総裁に就任するチェティンカヤ
氏が初めて議長を務めることから、新総裁の政策スタン
スを見極める上で市場の注目度も高い。チェティンカヤ
氏は中銀の従来の金融政策スタンスを引き継ぎ「金融
政策の簡素化」を進めるとみており、これに伴って翌日
物貸出金利を0.25~0.50%pt引き下げると予想している。
トルコのインフレ率は足元で大きく低下しており、小幅な
利下げにとどまれば、為替市場への影響は限定的とな
ろう。
ブラジルでは、ルセフ大統領に対する弾劾案の下院
採決が17日に実施される見通しとなっており、大統領弾
劾を巡る政局は間もなく大きなヤマ場を迎える。先週前
半には親大統領派による巻き返しの動きもあり、弾劾成
立の可能性がやや後退したともみられたが、後半以降
は再び高まっている。ルセフ大統領に対する市場の根
強い不信感を背景に、株式や通貨は弾劾成立への期
待から、1月下旬以降大きく値を切り上げている。このた
め、弾劾案が否決された場合は急反落が予想されるが、
可決された場合は目先一段高となろう。
(山本、白岩、武田、前田)
10
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
2016 年 4 月 14 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.250
6.医療機器業界
日本株担当: 母良田 剛
今年3月、キヤノンが東芝メディカルシステムズを約6,655億円で買収しており、医療機器業界は世界的に
成長産業とみなされている。先進国では高齢化の進展による医療需要の拡大と、それに伴う医療費抑制の
ニーズが高まっている。新興国では人口増加とともに、所得水準の向上で、より高度な医療サービスの普及
が望まれている。日本ではニッチ系が多いものの、海外での評価の高い企業も存在する。
 東芝メディカルは高値で売却
図表1. 世界の医療機器市場の将来見通し
今年3月、キヤノンが東芝メディカルシステムズを約
6,655億円で買収した。同社の買収には富士フイルムな
ども関心を示していたと報じられている。医療機器業界
については、2012年に業界大手のオリンパスが不祥事
をきっかけに業績が悪化した際にも、複数の大手メーカ
ーが資本提携に名乗りを挙げ、ソニーが約11%を出資
した。
(億ドル)
5,000
その他
アジア(日本除く)
日本
欧州
米国
4,500
4,000
3,500
3,000
2,500
2,000
1,500
1,000
 先進国、新興国それぞれの理由でともに成長
500
医療機器は、大きくは治療系と診断系に分けられ、
治療系ではカテーテルが代表例だ。狭心症や心筋梗
塞など、心臓の血管(冠動脈)がコレステロールなどによ
って詰まったり、狭くなることで起きる疾患に対して、カテ
ーテルと呼ばれる細い管を血管内に挿入し、狭くなった
血管を広げて治療を行う。一方で、診断系とは治療を
行う前に様々な診断や測定を行うためのもので、内視
鏡や画像診断システムなどが挙げられる。
0
2009年
2013年
2018年(予想)
出所: 経済産業省「経済産業省における医療機器産業政策について」
よりSMBC日興証券作成
図表2. 世界の医療機器メーカーの売上高順位
順位
経済産業省資料によれば、医療機器は、世界の市場
規模が2009年実績で約2,450億ドル、2018年は約4,500
億ドルと推定されている(図表1)。この9年間で日米欧
市場は約1.6倍に成長するのに対して、新興国は約3倍
に拡大する予想となっている。医療機器業界が成長し
ている理由は、まず先進国では高齢化の進展による医
療需要の拡大が挙げられる。またそれに伴い、医療費
抑制のニーズが高まっている。新興国では人口増加とと
もに、所得水準の向上で、より高度な医療サービスの普
及が望まれている。
国
売上高
順位
企業名
国
売上高
1
ジョンソン&ジョンソン
企業名
米
275.0
13
ボストン・サイエンティフィック
米
73.8
2
GEヘルスケア
米
182.9
14
エシロール
仏
68.9
3
メドトロニック
米
170.0
15
アルコン
スイス
66.2
4
バクスター
米
166.7
16
B・ブラウン
独
65.9
5
シーメンス
独
157.7
17
フレゼニウス
独
59.5
6
フィリップス
蘭
111.7
18
セントジュード
米
56.2
7
カーディナル
米
110.0
19
3M
米
55.7
8
コヴィディエン
米
106.6
20
オリンパス
日
47.9
9
アボット
米
101.1
21
ジンマー
米
46.7
10
ストライカー
米
96.6
22
スミス・ネフュー
英
46.2
11
ダナハー
米
93.8
23
ホスピーラ
米
45.0
12
べクトン・ディッキンソン
米
84.5
24
テルモ
日
40.9
注:売上高の単位は億ドル。2014年度
出所: 経済産業省「経済産業省における医療機器産業政策について」
よりSMBC日興証券作成
図表3. 主な医療機器銘柄
コード
日本企業は、欧米に比べるとニッチだが(図表2)、オ
リンパスの内視鏡シェアは世界で約7割(同社調べ)を
占める。また、シスメックスの海外売上高比率は8割前後
(15/3期)となっており海外で評価されている企業もある。
医療産業はアベノミクスの成長戦略の一つに位置づけ
られているなど、投資テーマとしても有望であるといえる。
図表3に日本の代表 的な医療機器 メーカーを掲載 し
た。
銘柄
株価(円)
内容
4543
テルモ
4,060.0
ディスポーザブル注射器、カテーテルシステム、血液
システムなどが主力事業。
6849
日本光電工業
2,765.0
患者の心電図、呼吸、血圧、体温などを計測する生
体情報モニターは、国内シェア首位。
6869
シスメックス
6,980.0 器メーカー。
6960
フクダ電子
5,780.0 循環器系に強みを持つ医用電子機器メーカー。
7733
オリンパス
4,150.0 黒柱。
7747
朝日インテック
5,510.0 カテーテル治療用の医療機器が主力。
8086
ニプロ
1,058.0 は人工透析に使うダイヤライザーが大黒柱。
臨床検査機器と検査用試薬で高シェアを誇る医療機
世界シェア約7割を握る医療向け消化器内視鏡が大
注射器などディスポーザブル医療器具に強く、近年
注: 株価は4月13日現在
出所: 東洋経済、企業HPよりSMBC日興証券作成
11
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2016 年 4 月 14 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.250
7.仮想世界に拡がる現実
日本株担当: 石田 卓也
昨今、話題に上ることの多いAR/VR技術。AR(拡張現実)はスマートフォンアプリで使用されるなど身近にな
りつつあり、場所を問わず利用できるという点で用途は広がる。VR(仮想現実)はゲームや映画などのエン
ターテインメント分野での汎用性が高く、産業分野でも注目されている。これらの技術は将来的には様々な
分野で応用されるとみられ、市場規模の拡大が期待される。
 2016年はVR元年
図表1. VRで現実世界から仮想世界へ
ソニー(6758)が今年の10月に「プレイステーションVR」
を発売すると発表し注目を集めている。VRとはバーチャ
ルリアリティの略で仮想現実とも呼ばれる。ゴーグル型
のディスプレイを装着すると、目の前に仮想世界が広が
り、あたかも自分がその中に入り込んだかのような体験
ができるというものだ。VRはゲームや映画などのエンタ
ーテインメント分野での汎用性の高さの他、建築物を再
現し設計の確認や内覧に利用するなど産業分野でも注
目されている。
出所: ソニー・インタラクティブエンタテインメント
 もう1つの注目技術AR
図表2. 主なAR/VR関連銘柄
VRと並び期待されているのは、AR(=拡張現実)技術
である。こちらはVRと違い現実世界の光景にCGを組み
合わせて表示することができる。この技術は既にスマー
トフォンのアプリに使用されるなど身近になりつつある。
他にもパイオニア(6773)が開発したARナビゲーション
では、ディスプレイに表示された情報と実際の風景を連
動させる。また、ARは場所を問わず使用できるという利
点もある。
 AR/VR技術のポテンシャル
AR/VR技術は将来的には様々な分野に応用可能と
みられており市場規模の拡大が期待される。どちらの技
術も発展していく過程でデバイスの普及が必須だと思
われる。これらは特に視覚に訴えかける面が大きいため
高品質のディスプレイが要求されるほか、イメージセン
サーなどのセンサー類や小型で容量の大きい電池など
が必要となってくるであろう。また、「プレイステーション
VR」の発売に向けてゲームなどのコンテンツが充実して
くると思われる。
銘柄略称
4月13日
終値(円)
2438
アスカネット
1,427.0
2768
双 日
3635
コーエーテクモ
3668
コロプラ
2,497.0
VR関連に積極的に投資。プレイステーションVRに
も参入を表明
3698(※) CRI・MW
2,996.0
6月にプレイステーションVR対応のソフトウェア開発
キットをリリース予定
3907(※) シリコンスタシオ
3,975.0 リアルタイムCG技術を応用しVRへの取組を本格化
4312(*) サイバネット
直近ではカドカワ(9468)が開校した通信制高校の入
学式でVRが使用されるなど、話題を呼んでいる。図表2
で主なAR/VR関連として期待される銘柄をとりあげた。
当面の収益への影響度は限定的とみられるが、期待先
行で物色される場面もあろう。投資の際の参考にされた
い。
内容
空中表示技術に関する特許権を保有し、エアリアル
イメージング事業を展開
226.0 VR機器販売へ参入。2017年に発売予定
1,694.0 プレイステーションVRへの参入を表明
791.0 AR開発者向けサービス「cybARnet」の提供
「AceReal(エースリアル)」(AR技術を応用した企
業向けの業務効率化システム)の開発に着手
6736
(※、*)
サン電子
1,049.0
6750
エレコム
2,231.0 VRヘッドセット「ボッツニューLite」を4月上旬に発売
6758
ソニー
3,020.0 10月にプレイステーションVRを発売予定
7832
バンナムHD
2,466.0 VR体験プロジェクト「Project i Can」始動
9684
スクエニHD
2,972.0 プレイステーションVRへの参入を表明
9697
カプコン
2,740.0 プレイステーションVRへの参入を表明
9766
コナミ HD
3,515.0 プレイステーションVRへの参入を表明
注:本レポート作成時点において、(※)金融商品取引所による信用取引
残高の日々公表銘柄に、(*)日本証券金融の注意喚起銘柄に指定
されている
出所: QUICKなどよりSMBC日興証券作成
12
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銘柄
コード
2016 年 4 月 14 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.250
8.円高環境下ではデフレ関連が物色対象に
日本株担当: 母良田 剛
一般的には円高が続くと、輸入物価が下がり、デフレにつながると言われている。また、円高局面では株価
が下落することが多いため、消費マインドは落ち込み、低価格商品が好まれる。円高がデフレに直結するわ
けではないが、株式市場ではデフレ関連銘柄が先んじて物色されることが少なくない。低価格・ディスカウン
ト・リサイクル(中古)などが関連するテーマになろう。
 円高が続くとデフレモードに
図表1. 消費者物価指数(総合)とドル円レート
ドル円は約1年半ぶりの円高水準となっている。一般
的には円高が続くと、輸入物価が下がり、デフレにつな
がると言われている(図表1)。また、円高局面では株価
が下落することが多いため、消費マインドは落ち込み、
低価格商品が好まれる。あるいは、円高によって外需系
企業の業績が落ち込むと、ベースアップが抑制されたり、
ボーナス支給額への悲観的な見通しが台頭することも
世の中のデフレ感を煽ることになる。
(円)
(%)
ドル円(左軸)
150
4
消費者物価指数(前年比)(右軸)
140
3
130
2
120
1
110
0
100
-1
90
-2
80
実際に、デフレモードは拡がりつつある。吉野家が牛
丼より50~80円安い豚丼を約4年半ぶりに復活させた。
また、ケンタッキーフライドチキンやスターバックスが、お
酒を提供する「ちょい飲み」店舗を出店するなど、実体
経済においても低価格商品・業態を選好する動きが出
始めている。
70
96/4
-3
98/4
00/4
02/4
04/4
06/4
08/4
10/4
12/4
14/4
(年/月)
出所: BloombergよりSMBC日興証券作成
図表2. 主なデフレ関連銘柄
コード
銘柄略称
NEEDS業種名
-小分類・主業種
株価
(円)
時価総額
(億円)
2371 カカクコム
専門情報サイト
2,064
4,532
2695 くらコーポ
寿司店・持ち帰り寿司
5,170
1,070
円高がデフレに直結するわけではないが、上述のよう
なパターンにより、株式市場ではデフレ関連・ディスカウ
ント関連銘柄が先んじて物色されることが少なくない。
2698 キャンドゥ
100円ショップ
1,548
260
2780 コメ兵
リサイクルショップ
1,396
157
2782 セリア
100円ショップ
6,630
2,514
典型的なデフレ関連企業と言えば、100円ショップで
あろう。商品の多くは新興国から仕入れるため、実際の
業績面でも円高メリットがある。また、外食関連では低価
格戦略のチェーンが多い。レジャーでは、ディズニー・リ
ゾートやUSJではなく、近場のボーリング場やカラオケ店
で気分を発散させる、という節約志向になりやすい。高
額商品についても、乗用車を我慢して諸経費や維持費
の安い軽自動車を購入したり、家を建てる場合にも低価
格メーカーを選択するケースが増えてこよう。消費一般
では中古品を取り扱うリサイクルショップの人気も高まろ
う。
2791 大黒天
スーパーマーケット
4,655
671
3038 神戸物産
食品卸(総合)
2,411
825
3291 飯田GHD
戸建住宅開発・分譲
2,072
6,101
3313 ブックオフ
古書・中古ソフト販売
868
196
4680 ラウンドワン
アミューズメント施設
654
624
4732 ユー・エス・エス
自動車販売(中古車)
1,720
5,388
7262 ダイハツ
自動車(乗用車)
1,444
6,168
7458 第一興商
カラオケ
4,560
2,628
7532 ドンキホーテH
ディスカウントストア
3,650
5,771
7550 ゼンショーHD
ファミリーレストラン
1,376
2,059
7581 サイゼリヤ
ファミリーレストラン
2,248
1,175
7616 コロワイド
居酒屋
1,681
1,266
8227 しまむら
衣料店(カジュアル)
13,910
5,135
9832 オートバクス
カー用品店
1,818
1,581
9843 ニトリHD
家具・インテリア店
10,380
11,879
9861 吉野家HD
丼物・そば・うどん店
1,409
918
 関連銘柄は低価格・ディスカウント・リサイクル
図表2では、主なデフレ関連銘柄を掲載した。投資の
参考にされたい。
注: 株価、時価総額は4月12日終値
出所: BloombergよりSMBC日興証券作成
13
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
2016 年 4 月 14 日(木) 投資情報部
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9.今週末に産油国会合が開催
日本株担当: 母良田 剛
4月17日に主要産油国がカタールの首都ドーハにて、原油増産凍結のための会合を開く予定である。合意
に至らない場合には、原油価格は一時的に急落する可能性もあろう。しかしながら、テクニカル面では今年
1~2月に底打ちのサインとなる“ダブルボトム”をつけており、6月のOPEC定例総会に向けて再び期待感が
回復する可能性がある。米国株式市場ではエネルギーセクターのアウトパフォームが始まっている。
 17日に主要産油国会合が開催
図表2. S&P500とエネルギーセクター
4月17日に主要産油国がカタールの首都ドーハにて、
原油増産凍結のための会合を開く予定である。すでに
一部では、「サウジアラビアやロシアが生産据え置きに
前向きな考え」と報じられており、WTI先物原油価格は
12日に、2014年7月以来の200日移動平均線を突破し
た(図表1)。合意に至らない場合には、原油価格は一
時的に急落する可能性もあろう。しかしながら、テクニカ
ル面では今年1~2月に底打ちのサインとなる“ダブルボト
ム”をつけており、6月のOPEC(石油輸出国機構)定例
総会に向けて再び期待感が回復する可能性がある。
150
2016年1月11日を100とする
140
アンダーパフォーム
130
アウトパフォーム
120
110
S&P500 エネルギー
100
S&P 500種
90
ファンダメンタルズ面では、米国では原油生産の掘削
リグ稼働数は減少が続いている。米国で毎週発表され
る原油在庫統計において、足元では、在庫増となった
場合には原油価格の下落は限定的である一方、在庫
減になった場合の反応(=価格上昇)は強い傾向にあ
る。株式投資面では米国のS&P500エネルギーセクター
は、1月半ば以降、S&P500をアウトパフォームし始めて
おり、ネガティブなニュースへの反応が鈍くなりつつある
(図表2)。日本の関連株についても弱い実績・見通しが
予想されるであろう決算業績発表に注意しつつ、押し目
買いの機会を探っていきたい。
15/4
15/5
15/6
15/7
15/8
コード
名称
1605 国際石油開発帝石
移動平均 (75日)
移動平均 (200日)
80
70
60
50
40
W
20
14/4 14/6 14/8 14/10 14/12 15/2 15/4 15/6 15/8 15/10 15/12 16/2(年/月)
出所: BloombergよりSMBC日興証券作成
14
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
株価
(円)
時価総額
(億円)
決算発表
予定日
876.4
12,816 5月12日
2,538.0
1,451 5月12日
1963 日揮
1,825.0
4,728 5月12日
5002 昭和シェル石油
1,047.0
3,946 5月12日
5019 出光興産
2,040.0
3,264 5月10日
459.2
11,459 5月11日
858.0
2,234
未定
8031 三井物産
1,345.0
24,163 5月10日
8058 三菱商事
1,994.5
31,714
未定
注:株価、時価総額は4月14日終値ベース。決算発表予定日は、4月14日
15時時点のQUICK情報を基にしており、変更される場合がある
出所:QUICKよりSMBC日興証券作成
WTI
30
(年/月)
1662 石油資源開発
5020 JXホールディングス
(ドル/バレル)
90
16/3
図表3. 主な原油関連銘柄
図表1. WTI原油先物価格 (2年)
100
16/2
出所: BloombergよりSMBC日興証券作成
6366 千代田化工建設
110
15/9 15/10 15/11 15/12 16/1
2016 年 4 月 14 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.250
10.ブラジル~大統領弾劾案を巡る政局はいよいよヤマ場へ
武田 泰典
大統領弾劾案の下院採決は4月17日に実施される見通しとなり、その成否は依然予断を許さないものの、
成立の可能性は高まっている。否決された場合は株価や通貨の急反落が予想されるが、可決された場合
は一段高となろう。同案は上院で審議が開始されると、その時点で暫定的に大統領が失職し、副大統領が
昇格する。暫定政権の誕生後は、議会の幅広い支持を得て改革を推進できるかが焦点となろう。
 弾劾案の下院採決は17日に実施される見通し
う。現時点では、野党第2党のブラジル社会民主党が暫
定政権を支持する方針を示している模様である一方、
副大統領に対しても弾劾案が下院に提出されるなど、
副大統領に対する反感も強まっている。株式・通貨はそ
れまでの大幅上昇の反動もあり、材料出尽くしや暫定
政権に対する不透明感から一旦利益確定売りに押され
る場面も想定される。もっとも、副大統領が議会で幅広
い支持を得て政権を維持し、財政再建や供給面の強化
につながる構造改革を推進することができれば、株式・
通貨ともに再度上昇に転じよう。
ルセフ大統領に対する弾劾案を巡る政局は間もなく
大きなヤマ場を迎える。下院の特別委員会は4月11日、
本会議における弾劾案採決の実施を決定し、弾劾案の
下院本会議採決は17日に実施される見通しとなった。
 弾劾成立の可能性は高まっている
弾劾の成否はなお予断を許さないものの、総じてみ
ると、弾劾が成立する可能性は高まっている。ルセフ大
統領(労働者党)の与党内での求心力は足元で一段と
低下しており、3月16日にブラジル共和党(離脱時点で
与党第6党)、29日にブラジル民主運動党(同第1党)、4
月12日に進歩党(同第2党)が連立を離脱した。他の連
立与党でも弾劾案の採決について自主投票としている
ところが複数あり、採決では与党議員のうち相当数が賛
成票を投じるとみられる。大手新聞社エスタード紙が毎
日実施している下院議員(計513人)を対象としたアンケ
ート調査によれば、弾劾を支持すると回答した議員が12
日は306人と、5日の234人から大幅に増加しており、足
元で大統領弾劾への支持が高まっていることが示され
た。12日の調査結果では、反対が125人、未定・未回答
が82人となっており、未定・未回答から36人が賛成に回
れば、可決ラインの342人(全体の3分の2)に達する計
算となる。市場の不信感が強いルセフ大統領に対する
弾劾成立の可能性が高まる中、株価や通貨レアルの対
ドル相場は1月下旬以降上昇基調となっている。このた
め、弾劾案が仮に否決された場合は株価や通貨レアル
は急反落を余儀なくされようが、可決された場合は目先
一段高となろう。
図表1. レアルの対ドル相場およびボベスパ指数
60,000
2.5
2.7
55,000
2.9
ボベスパ指数
(左軸)
50,000
3.1
3.3
45,000
3.5
40,000
3.7
レ
ア
ル
高
35,000
30,000
15/1
15/3
3.9
米ドル・レアル
(右、逆軸)
15/5
15/7
15/9
4.1
15/11
16/1
4.3
(年/月)
16/3
出所: BloombergよりSMBC日興証券作成
図表2. 弾劾案賛否に関する下院議員の回答結果
400
(人)
可決ライン(342票)
350
 暫定政権誕生後はその政策が注目点となろう
300
弾劾案は下院で可決されると、上院に送られ、上院
で審議開始の是非を問う採決(5月前半頃か)が実施さ
れる。この採決は過半数の賛成で決定されるためハー
ドルは低く、上院での審議開始が決まる可能性は高い
とみられる。上院で審議が開始された場合、その時点で
暫定的にルセフ大統領が失職し、代わりにテメル副大
統領(ブラジル民主運動党)が昇格することになる。副
大統領による暫定政権の誕生後は、暫定政権が議会
で幅広い支持を得られるか否かが市場の注目点となろ
250
賛成 306
200
否決ライン(172票)
150
反対
125
100
未定・未回答
50
82
0
4月5日
6日
7日
8日
9日
10日
11日
12日
出所: エスタード紙のアンケート調査結果よりSMBC日興証券作成
15
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
(レアル/ドル)
(ポイント)
2016 年 4 月 14 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.250
11.トルコ~中銀新総裁に副総裁の昇格が内定し市場の懸念は後退
トルコ担当: 前田 佑太
トルコ政府は11日、中銀新総裁にチェティンカヤ副総裁を登用すると明らかにした。市場では大統領に近い
人物が就任するとの警戒感もあっただけに、ひとまず安心感が広がっている。同氏が初の議長を務める20
日の金融政策委員会では、3月会合に続き翌日物貸出金利の小幅な引き下げが決定されると予想している。
一方、インフレ率は足元で大きく改善しており、小幅な利下であれば、市場への影響は限定的とみている。
 中銀新総裁は現副総裁のチェティンカヤ氏に内定
昨年8月、金利コリドー(市中金利の誘導目標範囲)を
トルコ政府は11日、4月19日に任期満了になるバシュ 「1週間物レポ金利を中心に上下対称にし、かつその幅
チュ中銀総裁の後任にチェティンカヤ現副総裁 (注 1 ) を を縮小させる」ことで「金融政策の簡素化」を図る方針を
登用することを明らかにした。関係者によると、ダウトオ 示 し 、 3 月 24 日 の 前 回 会 合 で 、 翌 日 物 貸 出 金 利 を
ール首相とエルドアン大統領はチェティンカヤ副総裁の 0.25%pt引き下げることで金融政策の簡素化に着手した。
昇格ですでに合意しており、大統領の正式な承認の後、 中銀は今後も翌日物貸出金利を段階的に引き下げる
同氏の就任が決定する。新総裁は任期である5年にわ 可能性を示唆しており、3月のインフレ率(消費者物価
たってトルコの金融政策の舵取りを担うこととなるため、 指数の前年比)が大幅に下振れしたことも考慮すると、4
月会合でも翌日物貸出金利を小幅に引き下げるとみら
市場でも重要イベントとして注目が集まっていた。
れる。もっとも、中銀は「慎重なステップ」で簡素化を行う
注 1: 中銀のホームページによると、チェティンカヤ氏は 1976
方針も踏襲するとみられ、インフレ率の大幅な低下によ
年生まれ。イスタンブールのボアズィチ大学で政治学、国際金
り実質金利が上昇している (注 2)ことも踏まえると、金融政
融、国際経済学を学び、同大学での博士号取得後、イスラム
金融を行うアルバラカ銀行に入行。国営ハルクバンク等を経て、 策の簡素化を行う過程で、リラが大幅に下落する可能
2012 年 6 月に中銀副総裁に就任した。
性は以前に比べて低下したと考えている。
 市場では安心感が広がる
注 2: 実質金利は「翌日物貸出金利-消費者物価指数の前
年比」で計算。2016 年 1 月末の 1.17%をボトムに、3 月末には
3.04%に上昇している。
中銀総裁の後任人事を巡っては、エルドアン大統領
とダウトオール首相との間に大きな意見の対立があると
以前から報じられていた。大統領は自身が求める大幅
な利下げに前向きな人物を後任に据えたい一方、首相
は投資家の信頼感を担保することを重視して、バシュチ
ュ総裁の留任やチェティンカヤ副総裁ら中銀内部から
の登用を望んでいるとみられていた。過去を振り返ると、
2006年3月には、AKP(公正発展党)が中銀総裁に指
名した人物を、セゼル大統領(当時)が承認しなかった
ケースもある。このため市場では、最終的にエルドアン
大統領に近い人物が総裁に就任し、積極的な金融緩
和に舵を切るとの警戒感も燻っていた。
一方、エルドアン大統領は中銀総裁人事でこそ譲歩
したものの、今後も中銀に対し利下げ圧力をかける可能
性があろう。大統領からの圧力をかわしながら、チェティ
ンカヤ氏が適切な金融政策運営を行えるか否か、引き
続き注視する必要があろう。
図表1. トルコの政策金利と市中金利
11日の市場では、ひとまずチェティンカヤ氏の新総裁
内 定 に 安 心 感 が 広 が り、通 貨 リ ラは対 ドルで前 日 比
0.6%上昇、2年国債利回 りは0.22%pt低下(価格は上
昇)、代表的な株価指数であるイスタンブール100種指
数は+1.8%とトリプル高となった。
14
13
12
11
10
9
8
7
6
5
4
3
2
1
0
 従来の金融政策スタンスを踏襲すると予想
チェティンカヤ新総裁は、4月20日の金融政策委員
会で初めて議長を務める。チェティンカヤ氏個人のスタ
ンスは明らかになっていないものの、中銀内部、その中
でも副総裁からの登用ということもあり、今後も従来の中
銀の金融政策スタンスは継続されるとみられる。中銀は
1週間物レポ金利
市中金利(翌日物銀行間金利)
金利コリドー(グレー部分):市中金利の誘導目標範囲
(上限が翌日物貸出金利・下限が翌日物借入金利)
12/1
12/7
13/1
13/7
14/1
14/7
出所: BloombergよりSMBC日興証券作成
16
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
(%)
15/1
15/7
16/1
(年/月)
2016 年 4 月 14 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.250
12.国内政治・政策動向~重要政策の決定は5月末に集中する見通し
日本政治・政策担当: 司
淳
日本の個人消費の現状は、すでにリーマン・ショック並みの事態と言えなくもない。「世界経済の大幅な収縮」
と合わせて、5月下旬にも安倍総理は消費増税の先送り問題を政治決断しよう。参院選への配慮もあって
重要政策の決定時期は5月末に集中させる方針のようだ。G20(4/14~15)で各国は一段の成長底上げ策を
求められる。市場の政策期待は少なくとも5月いっぱいは続きそうである。
 リーマン・ショック並みの事態と言えなくもない
このように、直接的なインパクトという意味でのショック
度合いはリーマン・ショックの方が大きいものの、駆け込
み需要の反動減が長引き、個人消費が低迷状態から
抜け出せない期間が長いという点でリーマン・ショック並
みか、それ以上の事態になっていると言えよう。
2016年4月2日、米ワシントンで安倍総理は消費税増
税について「市場や国際社会からの信認維持のため、
リーマン・ショックや東日本大震災のような重大な事態が
発生しない限り、予定通り引き上げる。重大な事態があ
れば、引き上げ延期は専門的見地からの分析も踏まえ、
また、安倍総理は、増税延期の条件として、「世界経
その時の政治判断で決定すべきだ。延期には法改正が 済の大幅な収縮」も挙げており、総合的な判断が求めら
必要だが、適時適切に判断する」と述べた。
れる。
先送りする気がないのであれば、先送りの際の手段ま
で言及する必要はないはずだとして、安倍総理が内心
では増税先送りを決断したとの見方が有力視された。
図表2. 重大なショックからの回復比較
(ショック時=100)
108
図表1. 個人消費の推移と重大なショック
106
(兆円)
300
104
290
280
%
⇒
270
東
日
本
大
震
災
消
(
五費
%増
税
八
%
)
リーマンショック
102
東日本大震災
250
消費増税(5%⇒8%)
100
五
%
)
260
消費増税(3%⇒5%)
⇒
リ
ー
マ
ン
・
シ
ョ
ッ
ク
消
費
増
税
(
三
98
96
240
94
230
-2
220
個人消費の長期トレンド線
-1
0
1
2
3
4
5
6
(経過四半期)
注:持ち家の帰属家賃を除く家計最終消費支出
出所: 内閣府「国民所得統計」よりSMBC日興証券作成
210
200
1994
99
2004
2009
2014 (年)
 政策決定を5月末に集中させる方針
注:持ち家の帰属家賃を除く家計最終消費支出
出所: 内閣府「国民所得統計」よりSMBC日興証券作成
報道によると、政府は、「ニッポン一億総活躍プラン」、
成長戦略「日本再興戦略2016」、「経済財政運営と改革
の基本方針(骨太の方針)」の決定時期を変更し、G7・
主要国首脳会議(伊勢志摩サミット:5月26~27日)直後
の5月末に集中させる方針を固めた。
個人消費の現状を見ると、すでにリーマン・ショックや
東日本大震災並みの事態と言えなくもない。ショックを
受けた時の落ち込み度合いは、リーマン・ショック時が
最も大きく、消費水準がリーマン・ショック前に戻ったの
は発生して5四半期経過後であった。一方、2014年の
消費増税(5%⇒8%)時は、直前の駆け込み需要があま
りに大きかったこともあって、その後は1年半(6四半期)
経過後もなお低迷状態から抜け出せていない。過去の
ショック時と比較すると、少なくとも現在の消費が悪影響
を受けた期間が最も長いと言えよう。
当初、「ニッポン一億総活躍プラン」は5月中旬頃まで
の決定が想定されていたが、サミット終了後に他の重要
政策と同時に一挙に決定することとしたようだ。成長戦
略と骨太の方針は従来、6月末に閣議決定するもので
あったが、約1ヵ月前倒しすることになる。参院選の与党
公約づくりに間に合わせる狙いもありそうだ。6月1日の
通常国会会期末を過ぎれば、事実上、参院選がスター
17
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
2016 年 4 月 14 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.250
トするため、成長戦略などの重要政策を掲げてアピール
するには都合がよいだろう。
そ う し た 中 で 、 中 国 の 成 長 率 が 2016 年 は +6.5% 、
2017年は+6.2%と、緩やかな減速基調が続く見通しは
変わっていないが、1月時点から上方修正された。習近
平政権が最低ラインと見込む+6.5%を2017年は下回る
見込みではあるが、これまでの財政金融政策の累積的
な効果が波及してきたことがあろう。中長期的には、人
口減少や構造改革の必要性などを背景に、減速基調
そのものは変わらないとしても、短期的には適切なマク
ロ政策を実施することによって、経済が安定化しつつあ
ることが示されたと言えよう。
一方、これら3つの重要政策は、2017年4月の消費増
税(8%⇒10%)によって得られる税収を前提に作成が進
んでいる。そのため、消費増税を先送りする場合は、政
策の内容を修正するか、修正しないのであれば、何らか
の財源(4兆円超)を手当てする必要がある。
図表3. 参院選までに想定される経済対策への動き
4月上旬
4月24日
•2016年度予算成立を受けて予算の執行前倒しを指示(4月5日)
•教育や社会保障見直しなど参院選公約策定作業を加速(自民党は4月にとり
まとめ)
日本は、個人消費の低迷などにより2016年は+0.5%
の成長にとどまり、2017年は消費増税に踏み切れば▲
0.1%と、先進国では唯一のマイナス成長に落ち込む見
通しとなっている。G20は米ワシントンで14~15日に財務
相・中央銀行総裁会議を開くが、財政支出や構造改革
など一段の成長底上げ策が求められる。中国を例に、
適切なマクロ政策が多くの国でとられれば、世界経済が
安定化していくとの見通しが広がっていくことが期待さ
れる。
•衆院北海道5区、京都3区補選(参院選の前哨戦。野党間の選挙協力の試金
石に)
•G7伊勢志摩サミット(外交で成果出せば内閣支持率に好材料)
5月26~ •同サミット前後で消費増税の是非や衆院解散を判断(発表はG7後か)
27日
5月内
5月末
夏
•公職選挙法改正案などが成立(「1票の格差」是正の道筋がつき、衆院解散
の環境整う)
•【新成長戦略「日本再興戦略2016」】個人消費の喚起、技術革新の後押し、T
PP対策の農産物輸出促進、観光振興策など
•【ニッポン 一億総活躍プラン 】非正規雇用の待遇改善、高齢者雇用の促進、
長時間労働是正など(緊急性が高いものは経済対策として打ち出す見通し)
•【経済財政運営の基本方針(骨太の方針)】・・・緊急経済対策は秋の臨時国
会に2016年度補正予算案として提出見込み
中国の次は日本の出番ということになりそうであり、市
場の政策期待は少なくとも5月いっぱい続きそうだ。
•参院選(衆院選とダブル選となる可能性、来年の消費再増税の再延期や憲
法改正が焦点か)
(以上)
出所: 各種報道よりSMBC日興証券作成
 日本は先進国で唯一マイナス成長のIMF予想
IMF(国際通貨基金)によると、世界経済成長率は
2016年が+3.2%、17年が+3.5%の見通し。1月に比べて、
0.1~0.2%ポイント下方修正されたが、回復基調をなんと
か維持する格好だ。
下方修正の主因は、原油価格の低迷などによる新興
国の景気減速で世界的に貿易や投資が鈍化したことが
ある。2017年に向けて、ごく緩やかな回復を見込むもの
の、緩慢な成長が長期化したことが潜在成長率を低下
させ、長期的な景気停滞に落ち込むリスクがあると警告
している。
前提条件となる原油価格は下方修正された(ブレント、
ドバイ、WTIの単純平均:2016年:34.75ドル/バレル(d/b)
←41.97d/b、2017年:40.99d/b←48.21d/b)。このため多
くの新興国・資源国の成長見通しも下方修正された。最
近の原油価格が40d/b前後に持ち直していることに比べ
て、やや慎重な前提である。先行き原油価格の持ち直
し基調が続けば、見通しの下方修正にも下げ止まり感
が出てこよう。
18
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
2016 年 4 月 14 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.250
図表4. IMF世界経済見通し
(2016年4月時点)
国・地域名
(年)
世界全体 ( 購買力平価ベー ス)
先進国全体
米国
ユーロ圏 (注1)
ドイツ
フランス
イタリア
スペイン
日本
イギリス
カナダ
その他先進国(注2)
新興市場及び途上国・地域
CIS
ロシア
新興アジア
中国
(注3)
インド
ASEAN5 (注4)
ブラジル
中東・北アフリカ (注5)
南アフリカ
世界貿易量(財・サービス)
(実績値)
(実績値)
2014
3.4
1.8
2.4
0.9
1.6
0.2
▲0.3
1.4
0.0
2.9
2.5
2.8
4.6
1.1
0.7
6.8
7.3
7.2
4.6
0.1
2.8
1.5
3.5
2015
3.1
1.9
2.4
1.6
1.5
1.1
0.8
3.2
0.5
2.2
1.2
2.0
4.0
▲2.8
▲3.7
6.6
6.9
7.3
4.7
▲3.8
2.5
1.3
2.8
【前提条件】原油価格(ブレント・ドバイ ・
WTIの単純平均)
2015年 50.79ドル/バレル(前年比 ▲47.2%)
2016年 34.75ドル/バレル( 同
▲31.6%)
2017年 40.99ドル/バレル( 同
+17.9%)
注1: 2015年1月にユーロ圏に加わったリトアニアを含む
注2: その他先進国:G7とユーロ圏以外の先進国
注3: インドについては年度ベース(4月~翌3月)
注4: ASEAN5:インドネシア、マレーシア、タイ、フィリピン、ベトナムの5ヵ国
注5: アフガニスタンとパキスタンを含む
出所: IMF「世界経済見通し2016年4月」よりSMBC日興証券作成
19
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
(→見通し)
2016
3.2
1.9
2.4
1.5
1.5
1.1
1.0
2.6
0.5
1.9
1.5
2.1
4.1
▲1.1
▲1.8
6.4
6.5
7.5
4.8
▲3.8
3.1
0.6
3.1
(2016年1月からの修正)
(%pt)
(%)
2017
3.5
2.0
2.5
1.6
1.6
1.3
1.1
2.3
▲0.1
2.2
1.9
2.4
4.6
1.3
0.8
6.3
6.2
7.5
5.1
0.0
3.5
1.2
3.8
2016
2017
▲ 0.2
▲ 0.1
▲0.2
▲0.1
▲0.2
▲0.1
▲0.2
▲0.1
▲0.2
▲0.2
▲0.3
▲0.1
▲0.1
▲0.2
▲0.1
0.0
▲0.5
▲0.4
▲0.3
0.0
▲0.2
▲0.2
▲0.3
▲0.4
▲0.2
▲0.1
▲1.1
▲0.4
▲0.8
▲0.2
0.1
0.1
0.2
0.2
0.0
0.0
0.0
0.0
▲0.3
0.0
▲0.5
▲0.1
▲0.3
▲0.1
▲0.6
▲0.3
2016 年 4 月 14 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.250
13.主な国内株価指数とテクニカル指標の推移
日本株担当: 溝渕 彩乃
日経平均は足元で上昇を続けている。背景としては、原油価格の上昇や為替介入への思惑などから円高
進行が一服したことなどが挙げられる。日経平均は14日に25日移動平均を上抜き、チャート的には、上昇ト
レンドに転じたといえよう。しかし、14~15日開催のG20、週末以降の産油国会合、16/3期決算発表の本格
化、日銀会合など、重要イベントが相次ぐ。引き続き、日本株は変動の大きい展開が続こう。
図表1. 主な国内株価指数とテクニカル指標の推移
【国内主要株価指数】
150
140
130
【東証REIT指数と日本10年物国債利回り】
(pt)
1,950
(150日前を100として指数化)
日経平均
東証マザーズ指数
日経JASDAQ指数
1,900
(%)
0.6
日本10年物国債利回り(右軸)
1,850
0.7
0.5
1,800
0.4
1,750
0.3
1,700
0.2
1,650
0.1
90
1,600
0
80
1,550
70
1,500
120
110
100
9/1
10/1
10/31 11/30 12/30
2015年
1/29
2/28
9/1
2016年
(円)
10/1 10/31 11/30 12/30 1/29
2015年
【日経平均と25日移動平均・乖離率】
25日移動平均(左軸)
日経平均株価(左軸)
22,000
3/29 (月/日)
-0.1
東証REIT指数(左軸)
(%)
15
10
20,000
(円)
20
22,000
2/28
-0.2
3/29 (月/日)
2016年
【日経平均と100日移動平均・乖離率】
(%)
15
日経平均株価(左軸)
10
100日移動平均(左軸)
20,000
5
5
18,000
0
-5
16,000
25日移動平均乖離率
(右軸)
9/1
10/1 10/31 11/30 12/30 1/29
2015年
(円)
2/28
-5
16,000
-15
10/1 10/31 11/30 12/30 1/29
2015年
【日経平均と東証一部25日騰落レシオ】
(円)
300
2/28
-20
3/29(月/日)
2016年
【日経平均 ストキャスティクス(9日)】
300
日経平均株価(左軸)
%D(右軸)
Slow %D(右軸)
22,000
250
20,000
250
20,000
200
18,000
16,000
-10
100日移動平均乖離率
(右軸)
-15 14,000
3/29 (月/日)
9/1
2016年
日経平均株価(左軸)
東証一部25日騰落レシオ(右軸)
22,000
0
18,000
-10
14,000
(%)
150
120%ライン
14,000
2015年
150
(%)
16,000
100
80%ライン
50
20%ライン
12,000
9/1
200
18,000
100 14,000
70%ライン
10/1 10/31 11/30 12/30 1/29
2016年
2/28
20
50
12,000
3/29 (月/日)
9/1
2015年
10/1 10/31 11/30 12/30 1/29
2016年
2/28
0
3/29 (月/日)
注: データは2016年4月13日まで
出所: 各図表ともQUICKよりSMBC日興証券作成
テクニカル指標の見方
 騰落レシオ(25 日):過去 25 日間の値下がり銘柄数に対する値上がり銘柄数の割合。一般的に、120%以上で買
われ過ぎを、70%以下で売られ過ぎを表す。
 ストキャスティクス(9 日):直近の終値が過去のレンジで相対的にどのレベルに位置するのかを見るための指標。
%D=(直近終値と直近 9 日間の安値の乖離の 3 日移動平均)÷(直近 9 日間の高値と安値の乖離の 3 日移動平均)
Slow%D は%D の 3 日移動平均。一般的に%D が 80%以上で買われ過ぎ、20%以下で売られ過ぎを表す。
20
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
2016 年 4 月 14 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.250
14.来週・再来週の主なスケジュール
<来週のスケジュール>
発表日
4月 18日 (月 )
国・ 地域
米国
NZ
インド
日本
米国
4月 19日 (火 )
独
韓国
ロシア
トルコ
日本
4月 20日 (水 )
米国
英国
マレーシア
トルコ
南ア
日本
米国
4月 21日 (木 )
ユーロ圏
4月 22日 (金 )
インドネシア
-
-
米国
ユーロ圏
4月 23日 (土 )
4月 24日 (日 )
-
-
市場予想 前月・ 前期・ 前年
1-3月期
1-3月期
3月
3月
3月
3月
3月
3月
1-3月期
4月
-
3月
-
3月
3月
3月
3月
3月
3月
1-3月期
3月
12-2月
3月
3月
-
3月
3月
2月
4月
1-3月期
-
-
-
-
-
1-3月期
4月
4月
-
-
モルガン・スタンレー決算
消費者物価指数(前期比)
卸売物価指数(前年比)
全国百貨店売上高(前年比)
住宅着工許可件数( 前月比)
住宅着工許可件数(年率換算)
住宅着工件数( 前月比)
住宅着工件数(年率換算)
ゴールドマン・サックス、インテル、フィリップ モリス インターナショナル決算
ZEW景気期待指数
政策金利
実質小売売上高(前年比)
バシュチェ中央銀行総裁の任期満了
全国コンビニエンスストア売上高(前年比)
JNTO訪日外客数
貿易収支( 季調済)
貿易収支
輸出( 前年比)
輸入( 前年比)
U・S・バンコープ決算
中古住宅販売件数( 前月比)
ILO失業率
失業保険申請件数
消費者物価指数(前年比)
政策金利
消費者物価指数(前年比)
全国スーパー売上高(前年比)
FHFA住宅価格指数(前月比)
フィラデルフィア連銀製造業景況指数
アルファベット、マイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、スターバックス決算
ECB(欧州中央銀行)理事会
政策金利
政策金利
G7首脳会議の関連行事「ジュニアサミット」(三重県桑名市ほか、~28日)
地球温暖化対策の新たな国際枠組み「パリ協定」の署名式典(ニューヨーク)
ゼネラル・エレクトリック、キャタピラー決算
製造業PMI(速報)
サービス業PMI(速報)
G7農相会合(新潟市、~24日)
衆院補選投開票( 北海道5区、 京都3区)
-
0.1%
▲0.74%
-
2.4%
120.5万戸
▲0.7%
117.0万戸
-
-
-
▲5.3%
-
-
-
3,830億 円
7,400億 円
▲4.2%
▲16.7%
-
3.7%
-
-
-
7.50%
-
-
0.4%
6.0
-
-
-
6.75%
-
-
-
-
-
-
-
-
▲0.5%
▲0.91%
0.2%
▲2.2%
117.7万戸
5.2%
117.8万戸
-
4.3
1.50%
▲5.9%
-
1.6%
189.1万人
1,661億 円
2,422億 円
▲4.0%
▲14.2%
-
▲7.1%
5.1%
▲18,000人
4.2%
7.50%
7.0%
3.4%
0.5%
12.4
-
-
0.00%
6.75%
-
-
-
51.6
53.1
-
-
注: 発表日は現地時間。市場予想と実績は2016年4月14日12時時点のBloombergの値を表示。スケジュールは予告なしに変更されることがあります
出所: Bloombergおよび各種報道などよりSMBC日興証券作成
21
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
2016 年 4 月 14 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.250
<再来週のスケジュール>
発表日
国・ 地域
日本
4月 25日 (月 )
米国
独
4月 26日 (火 )
米国
韓国
日本
米国
4月 27日 (水 )
ユーロ圏
英国
豪州
NZ
ブラジル
日本
4月 28日 (木 )
米国
ユーロ圏
英国
NZ
-
日本
4月 29日 (金 )
米国
ユーロ圏
メキシコ
市場予想 前月・ 前期・ 前年
1-3月期
日電産決算
3月
1-3月期
4月
-
2月
3月
3月
4月
1-3月期
-
1-3月期
3月
-
1-3月期
3月
1-3月期
1-3月期
3月
-
3月
3月
3月
3月
3月
3月
4月
1-3月期
1-3月期
4月
4月
-
-
-
-
3月
3月
新築住宅販売件数(前月比)
ア ッ プル決算
IFO景況指数
FOMC( 連邦公開市場委員会、 ~ 27日)
S&P/ケースシラー住宅価格指数(前年比)
耐久財受注( 前月比)
耐久財受注( 除輸送用機器、 前月比)
コンファレンスボード消費者信頼感指数
実質GDP(前期比、速報)
日銀金融政策決定会合( ~28日、 展望レポート公表)
富士フイルム、JR東日本、OLC決算
中古住宅販売成約指数(前月比)
政策金利
フェイスブック決算
マネーサプライM3(前年比)
実質GDP(前期比、速報)
消費者物価指数(前期比)
貿易収支
政策金利
全国消費者物価指数( 生鮮食品除く 、 前年比)
鉱工業生産( 前月比)
小売業販売額(前年比)
家計調査-実質消費支出(前年比)
有効求人倍率
失業率
都区部消費者物価指数(生鮮食品除く、前年比)
JAL、東武、デンソー、新日鉄住、三菱電決算
実質GDP( 前期比年率、 速報)
経済信頼感指数
全国住宅価格(前年比、発表日未定、~3日)
政策金利
G7香川・高松情報通信相会合(~30日)
東京市場休場(昭和の日)
安倍総理訪欧(~5月5日)
個人所得(前月比)
個人支出(前月比)
PCEコア ・ デフレータ
( 食品・ エ ネルギ ーを除く 個人消費デフレータ、 前年比)
シカゴ購買部協会景況指数
実質GDP( 前期比、 速報)
失業率
消費者物価指数( 速報、 前年比)
実質GDP(前期比)
3月
4月
1-3月期
3月
4月
1-3月期
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
0.25~0.50%
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
2.25%
-
-
-
-
-
2.0%
-
106.7
-
5.75%
▲3.0%
▲1.3%
96.2
0.7%
-
-
3.5%
0.25~0.50%
-
5.0%
0.6%
0.4%
3.39億NZドル
14.25%
0.0%
▲6.2%
0.4%
1.2%
1.28倍
3.3%
▲0.3%
-
1.4%
103.0
5.7%
2.25%
-
-
-
0.2%
0.1%
-
1.7%
-
-
-
-
-
53.6
0.3%
10.3%
-
0.5%
-
-
-
-
53.8
50.2
4月 30日 (土 )
-
5月 1日 (日 )
中国
-
4月
4月
G7北九州エネルギー大臣会合(~2日)
非製造業PMI
製造業PMI
注: 発表日は現地時間。市場予想と実績は2016年4月14日12時時点のBloombergの値を表示。スケジュールは予告なしに変更されることがあります
出所: Bloombergおよび各種報道などよりSMBC日興証券作成
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2016 年 4 月 14 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.250
投資情報部作成最新レポートのご紹介
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2016/04/13
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2016/04/12
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2016/04/08
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2016/04/05
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2016/03/18
豪ドル
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2016/01/18
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2016/04/11
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2016/04/06
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2016/03/31
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2016/03/25
国内消費関連データ集(更新版)
<プレゼン資料ほか>
2016/04/14
TOPIX の予想 EPS から日経平均の水準を探る
2016/04/13
投資部門別売買動向(ETF・REIT)
2016/04/01
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2016/04/01
日銀の金融緩和策(ETF・REIT)
2016/04/01
海外・個人投資家・事業法人売買動向
2016/03/23
日本株式は依然として割安ゾーン
2016/03/23
米国ストラテジー・セレクション『ナイキ』
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2016 年 4 月 14 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.250
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加入協会 日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人第二種金融商
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(2015/04/09 版)
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