2016年4月号 Vol.32 (2016年4月5日発行) 2016年度 スタートしました~ 昨年度は済生会学会、厚生局適時調査など大きな行事がありました。今年度はそれらの結果を受け、さらにより良い感 染管理に繋げられるよう、感染対策チーム一同努力していきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします!! 医師 安井良則(臨床教育部)、田中敬雄(腎臓内科)、寺西敬(呼吸器内科)、 太田健介(血液内科)、長谷川吉則(呼吸器内科)、大和謙二(小児科)、 藤谷洋太郎(血液内科)、熊谷雄介(小児科) オブザーバー:戸田常紀(看護学校) 看護師 堀越敦子(感染管理室)、上田るみ子(外来)、西紋悠子(中9階病棟) 【NEW FACE】川口尚子(手術室) 薬剤師 岡千恵、三木芳晃、長岡裕二、濱田裕輝、塚本啓介 【NEW FACE】梅林良英、横谷奈美、松川実矢、坂井円香 臨床検査技師 稲村真由美、児島涼子、香西真莉 <2016年度 ICT年間活動予定> ○教育 全職員最低1回以上の参加を目標に立案予定です。 ○インフルエンザワクチン集団接種 今年度も集団接種+ミニレクチャーを行います。 ○針刺し防止への取り組み強化 感染性廃棄物の適切な取り扱いにむけて活動を 強化します。 ○ICTラウンドの見直し 適時調査の指摘事項を踏まえ、 「各現場で適切な対策が行われる」を目標に ラウンド方法を全面的に見直します。 平成28年度 診療報酬改定 感染管理関連 今年の診療報酬改定。感染に関する項目は大きな変更はありません でしたが、疑義解釈として以下の内容が公式に追加されました! ① ICT4職種(医師・看護師・薬剤師・検査技師)にて週1回ラウンドを 行う こと ② 各病棟(全ての病棟)を毎回巡回すること。 ③ 病棟以外の各部署についても少なくとも月1回は巡回すること ・・・ということは、全ての部署に、これからICTとしてお邪魔させていただ くことになるということです!! 各部署お忙しいと思いますが、せっかくの機会ですので、共に前向き に感染対策の推進について進めていければと思っております。 図. ご理解ご協力のほどよろしくお願いいたします。 2016年度のテーマ「抗菌薬適正使用」の実践と強化について 2016年度が始まりました。新年度最初のICTニュースとして、 今年度の大きなテーマである「抗菌薬適正使用」の実践と強化 について述べていきたいと思います。 私共済生会中津病院ICT(Infection Control Team)は、病院内 の感染対策をコントロールすべく日夜活動しています。では、 院内感染対策の3本柱とは何でしょうか?以下に記載します。 ①院内感染事例、院内感染発生率に関するサーベイランス ②院内の感染防止対策の実施状況の把握・評価・指導 ③抗菌薬適正使用の推進 これら3本柱のうち、①と②については、中津病院は看護師さ ん達の頑張りによってレベルが保たれています。一方で③抗 菌薬適正使用の推進については、残念ながら進んでおらず、 当院はカルバペネム系抗菌薬を中心とした広域スペクトラムな 抗菌薬や抗MRSA薬の使用割合が周辺地域の同規模の病院 と比較してもかなり高くなってしまっています。現状のままでは、 表中のCRE、MDRP、MDRA等が病院内に侵入した場合に、蔓 延しやすい環境であると言わざるを得ません。 AMR(Antimicrobial Resistance:抗菌薬耐 性)という言葉をご存知でしょうか? 2015 年にWHOはAMRに関する世界行動計画を 採択し、日本では昨年12月に内閣官房に AMR検討調整会議が設置され、もう間もな く国を上げた取り組みが始まります。 医療機関における薬剤耐性菌対策で最も重要であ るのは「抗菌薬の適正使用」であり、その目的は①不 要な抗菌薬の選択圧による耐性菌の出現や菌交代を 含む、抗菌薬使用による副作用を最小限に抑えること、 ②無駄な抗菌薬の使用を削減し、医療コストを抑える ことの2点です。 中津病院ICTでは、各診療科の感染症治療の際の抗 菌薬の適正使用を推進していくことを目的として、医師 や薬剤師等からなる支援チームを2016年度より結成 することとしました。まずは「科学的根拠に基づいた適 切な抗菌薬の選択」と「経験的治療後の抗菌薬のDeescalation」の推進に取り組んでいきます。ご協力のほ どよろしくお願いします。(感染管理室 安井良則) 保健所への届出対象 No. 耐性菌名 1 感染発症者 死体 保菌者 カルバペネム耐性腸内細菌 科細菌(CRE)感染症 ○ ○ ☓ 2 薬剤耐性アシネトバクター (MDRA)感染症 ○ ○ ☓ 3 バンコマイシン耐性黄色ブド ウ球菌(VRSA)感染症 ○ ○ ☓ 4 バンコマイシン耐性腸球 菌(VRE)感染症 ○ ○ ☓ 5 メチシリン耐性黄色ブドウ球 菌(MRSA)感染症 ○ ○ ☓ 6 薬剤耐性緑膿菌(MDRP)感 染症 ○ ○ ☓ 7 ペニシリン耐性肺炎球菌 (PRSP)感染症 ○ ○ ☓ 届出医療 機関 届出事項 年齢、性別、症 状、診断方法、 初診年月日、診 全ての医 断年月日、推定 療機関 感染時期、感染 原因・経路、感 染地域等 診断後の 届出時期 7日以内 基幹定点 年齢、性別、 病院のみ 翌月の初 疾病名、検体 (全国約 日 採取部位 500箇所) 表.感染症法上5類感染症に分類されている薬剤耐性菌一覧
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