【整理番号39】 事後評価書(完了後の評価) 都道府県名 事業名 静岡県 関係市町村 海岸保全施設整備事業 漁港海岸名 (地区名) シズウラ 沼津市 高潮対策事業 ( 事業主体 静浦漁港海岸 ) 静岡県 Ⅰ 基本事項 1.地区概要 名称 防護人口 地区の特徴 静浦漁港海岸 5.8ha 491人 防護面積 当海岸は、伊豆半島の北西部に位置する駿河湾に面した海岸である。背後 には急峻な山が迫っているため、海岸との間の狭隘な平地に人家が密集し、 主要幹線道路である国道414号が近接している。 2.事業概要 事業目的 工種 事業費 当海岸は堤防等の海岸保全施設がないことから、南海トラフ地震等に伴う 津波による背後集落への浸水被害が危惧されている。当事業では、背後地へ の浸水を防止するため、堤防、胸壁、陸閘を整備し、生命・財産の防護を図 る。 堤防 L=178m、胸壁 L=172m、陸閘 3基 2,257百円 事業期間 平成8年度~平成21年度 Ⅱ 点検項目 1.費用対効果分析の算定基礎となった要因の変化 本事業では、平成17年度に期中の評価を実施し、経済効果の妥当性について評価を行っ た。その際の分析の算定基礎となった家屋数については、高齢化や過疎化の進行により減少 しており、費用便益比率も平成17年の1.23から平成26年の1.02へと減少している。 2.事業効果の発現状況 事業実施以前は、堤防等がなかったため、津波による民家への浸水が懸念されていたが、 本事業による堤防、胸壁等の整備により、浸水被害の懸念が改善された。現時点での費用対 効果分析の結果は、1.02と1.0を上回っており、一定の効果発現が見られる。 3.事業により整備された施設の管理状況 海岸管理者により、施設の変状について定期的に点検を実施している。また、陸閘3基につ いては、沼津市を通じて地元自治会と操作委託契約を締結しており、月1回の操作確認を行っ ており、その際に異常がある場合には海岸管理者へ連絡することとなっている。 4.事業実施による環境の変化 堤防、胸壁等の整備により、浸水等からの防護効果が見られる。また、階段状の親水護岸 や斜路の設置を行ったことにより、自然災害からの防護だけでなく、散策路等としても利用 されている。さらに新たな用地が創出され、災害時の防災緑地としての活用が見込まれると ともに、通常時においては近隣住民の憩いの場所として利用されている。 5.社会経済情勢の変化 多比地区の人口は、平成17年(期中評価時)の845人から平成27年(事後評価時)では491人 と急激な減少が見られる。 6.今後の課題 津波等の災害発生時に備え、施設の日常的な維持管理を行うとともに、津波発生時に水 門・陸閘等を安全かつ確実に閉鎖する体制を整える必要がある。 7.事業の投資効果が十分見込まれたか 平成17年評価時の 費用便益比B/C 1.23 現時点の B/C 1.02 ※別紙「費用対効果分析 集計表」のとおり 【整理番号39】 Ⅲ 総合評価 本事業は、海岸背後地への浸水防止をはかるため、堤防、胸壁等の整備により地域住民の生 命・財産の防護を図ることを目的としたものである。貨幣化が可能な効果について、費用対効果 分析を行ったところ、1.0を超えており、経済効果についても確認されている。さらに、事業効 果のうち貨幣化が困難な効果についても、家屋の浸水が防護されることによる住民の精神的苦痛 や不安感が緩和されるような効果が認められる。 このように、本事業により、当初想定していた浸水被害を防止し、地域住民の財産や道路等の 被害防止が図られていることから、事業の一定効果の発現が認められた。 【整理番号39】 費用対効果分析集計表 1 基本情報 都道府県名 事業名 漁港海岸名 (地区名) 静岡県 海岸保全施設整備事業 (高潮対策事業) 静浦漁港海岸 施設の耐用年数 50年 2 評価項目 評価項目 浸水防護便益 便益の評価項 目及び便益額 便益額(現在価値化) 3,973,000 千円 侵食防止便益 千円 海岸環境保全便益・海岸利用便益 千円 その他( ) 千円 計(総便益額) B 3,973,000 千円 総費用額(現在価値化) C 3,903,000 千円 費用便益比 B/C 1.02 3 事業効果のうち貨幣化が困難な効果 家屋の浸水が防護されることによる住民の精神的苦痛や不安感が緩和されるような効果 【整理番号39】 海岸保全施設整備事業 静浦漁港海岸 事業概要図 多比地区 多比2号陸閘 多比1号陸閘 多比3号陸閘 事業主体:静岡県 主要工事計画: 堤防 :178m 堤 防 胸壁: 172m 陸閘:3基 事業費:2,257百万円 事業期間:平成8年度~21年度 胸 壁 【整理番号39】 静浦漁港海岸の事業の効用に関する説明資料 1.静浦漁港海岸の概要 (1) 地 域:静岡県沼津市多比地区 (2) 受 益 面 積:5.8ha (3) 事 業 目 的: 当海岸は堤防等の海岸保全施設がないことから、南海トラフ地震等に 伴う津波による背後集落への浸水被害が危惧されている。当事業では、 背後地への浸水を防止するため、堤防、胸壁、陸閘を整備し、生命・財 産の防護を図る。 (4) 主 要 工 事 計 画:堤防 L=178m 胸壁 L=172m 陸閘 3基 (5) 事 (6) 工 業 費:2,257百万円 期:平成8年度~平成21年度 2.総費用総便益比の算定 (1)総費用総便益比の総括 区 分 (単位:千円) 算定式 総費用(現在価値化) ① 評価(事業期間+50年) 総便益額(現在価値化) 総費用総便益比 数値 備 考 3,903,000 (2)総費用の総括 参照 64年 ② ③=②÷① 3,973,000 (3)総便益額の総括 参照 1.02 (2)総費用の総括 施設名 (又は工種) 堤防、胸壁、陸閘 (単位:千円) 当該事業費 維持管理費 総費用 ① ② ③=①+② 3,630,000 273,000 3,903,000 (3)総便益額の総括 区 分 年総効果額 効 果 の 要 (単位:千円) 因 効果項目 浸 水 防 護 便 益 侵 食 防 止 便 益 海 岸 利 用 便 益 計 3,973,000 高潮、波浪、津波等による浸水から背後地の資産等を守 ることによる便益。 0 海岸侵食による土地消失や資産被害が防止・軽減される ことによる便益。 0 海水浴やレクレーションなどの海岸利用が促進されるこ となどによる便益。 3,973,000 【整理番号39】 (4)総便益額算出表 (単位:億円) 【整理番号39】 3.効果額の算定方法 (1)浸水防護便益 〇効果の考え方 浸水被害が予想される地域内の恒久的な施設である家屋、公共土木施設及び公益事業等の償却資産を 評価し、浸水高ごとに被害額を勘案して被害軽減額を算定する。 〇沼津市の資産数量(沼津市統計書、静岡県農業センサス、静岡県漁業センサス) ・家屋棟数 77,063 棟 ・世帯数 89,377 世帯 ・床面積 13,820,193 ㎡ ・家屋 1 棟当たりの床面積 179.3 ㎡/棟 ・家屋 1 棟当たりの世帯数 1.16 世帯/棟 ・農漁家数 2,131 軒 ・事業所数 1,632 軒 〇一般資産の資産評価額(H27.2 治水経済調査マニュアル(案)) ・家屋資産額 184.1 千円/㎡ ・家庭用品評価額 14,007 千円/世帯 ・農漁家償却資産評価額 1,931 千円/軒 ・農漁家在庫資産評価額 440 千円/軒 ・事業所償却資産評価額 35,061 千円/軒 ・事業所在庫資産評価額 20,479 千円/軒 ○被害施設数の算出 津波(東海地震第3次想定)による一般資産被害率(表-1)を考慮し、浸水高別に一般資産(家 屋、家庭用品(世帯数) 、農漁家、事業所)の被害施設数(表-2)を算出。 表-1 一般資産被害率一覧表 浸水深等の規模 床上浸水 資産種類等 ~150cm 151cm~ 家屋 0.5 1.000 家庭用品 0.5 1.000 0.5 1.000 事業 償却資産 所 在庫資産 0.5 1.000 0.5 1.000 農漁 償却資産 家 在庫資産 0.5 1.000 「H16.6 海岸事業の費用便益分析指針(改訂版)」 表-2 被害施設数 資産項目 確率年 50 年 家屋数(棟) 家庭用品(世帯) 農漁家数(軒) 177 205 5 事業所数(軒) 24 【整理番号39】 〇年間標準便益額の算定 表-3 一般資産の確率外力ごとの被害額 (単位:百万円) 確率年 資産項目 50 年 家屋 3,753 家庭用品 2,112 農漁家 7 事業所 949 計 6,822 表-4 年間標準便益額 (単位:百万円) 項目 標準年間便益額 一般資産被害額 6,822 公共土木被害額(一般資産の 1.8) 12,279 公益事業等被害額(一般資産の0.03) 205 計 19,305 ※公共土木被害額及び公益事業等被害額の係数は、「海岸事業の費用便益分析指針(改定 版)H16.6」による。 【整理番号39】 ※単位未満の数値を端数処理しているため、各項目の合計値等が一致しない場合がある。
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