布津漁港海岸地区(PDF:408KB)

【整理番号40】
事後評価書(完了後の評価)
都道府県名
事業名
長崎県
関係市町村
海岸保全施設整備事業
漁港海岸名
(地区名)
南島原市
高潮対策事業
(
フ ツ
事業主体
南島原市
布津漁港海岸
防護面積
20.5ha
布津漁港海岸
)
Ⅰ 基本事項
1.地区概要
名称
防護人口
地区の特徴
655人
当海岸は、長崎県島原半島有明海沿岸中央部に位置し、南東に面した干満
の差が大きい漁港海岸である。
海岸背後は、漁村集落が形成されており、住宅が密集するとともに、海岸
沿いには地域を横断する市道海岸通り線が隣接し、通勤・通学に欠かせない
国道251号線へ通じる重要なアクセス道となっている。
2.事業概要
事業目的
工種
事業費
当海岸背後地には、漁業集落が形成されているが、台風時や季節風による
激浪時には、海岸保全施設からの越波により、浸水被害を受けていた。当事
業では、背後地の住宅地への浸水を防止するため、離岸堤等を整備し、生
命・財産の防護を図る。
離岸堤L=385m、護岸(新設)L=410m、護岸(改良)L=990m
1,936百万円
事業期間
平成13年度~平成21年度
Ⅱ 点検項目
1.費用対効果分析の算定基礎となった要因の変化
本事業では、平成12年度に事前の評価を実施し、経済効果の妥当性について評価を行っ
た。その際の分析の算定基礎となった事業費が11億円から19億円に変更したことから、費用
便益比率も平成18年の24.85から平成27年の13.22へと減少している。
2.事業効果の発現状況
事業実施以前は、高潮対策による背後への越波防止が不十分であったため、民家や道路に
高潮による浸水被害が生じていたが、本事業による離岸堤、護岸の整備により浸水被害の改
善が図られた。また、現時点での費用対効果分析の結果は、13.22と1.0を上回っており、一
定の効果発現が見られる。
3.事業により整備された施設の管理状況
海岸管理者により、施設の変状について定期的に点検を実施している。
4.事業実施による環境の変化
離岸堤及び護岸の整備に伴い、防護地域の越波被害が減少するなどの防護効果が見られ
る。
5.社会経済情勢の変化
布津漁港のある布津町は、平成18年3月に8つの町が合併して南島原市となっている。背後
集落の人口は、計画当初と比較して減少するなどの変化がみられる。
6.今後の課題
施設の日常的な点検等を継続し、経年劣化に伴うクラック補修等に対しては予防保全の観
点から適切な維持管理を行う必要がある。
7.事業の投資効果が十分見込まれたか
平成12年評価時の
費用便益比B/C
24.85
現時点の
B/C
13.22
※別紙「費用対効果分析
集計表」のとおり
Ⅲ 総合評価
【整理番号40】
本事業は、台風時等における高潮、高波による越波防止を図るため、離岸堤、護岸の整備、護
岸改良により、地域住民の生命・財産の安全を確保することを目的としたものである。貨幣化が
可能な効果について、費用対効果分析を行ったところ、1.0を超えており、経済効果についても
確認されている。さらに、事業効果のうち貨幣化が困難な効果については、家屋等の消失が防護
されることによる住民の精神的苦痛や不安感が緩和されるような効果が認められる。
このように、本事業により、当初想定していた地域住民の生命・財産への被害防止が図られて
いることから、事業の一定効果の発現が認められた。
【整理番号40】
費用対効果分析集計表
1 基本情報
都道府県名
事業名
漁港海岸名
(地区名)
長崎県
海岸保全施設整備事業
(高潮対策事業)
布津漁港海岸
施設の耐用年数
50年
2 評価項目
評価項目
浸水防護便益
便益の評価項
目及び便益額
便益額(現在価値化)
43,890,722
千円
侵食防止便益
千円
海岸環境保全便益・海岸利用便益
千円
その他( )
千円
計(総便益額) B
43,890,722
千円
総費用額(現在価値化) C
3,320,595
千円
費用便益比 B/C
13.22
3 事業効果のうち貨幣化が困難な効果
家屋等の消失が防護されることによる地域住民の精神的苦痛や不安感が緩和されるような効
果。
【整理番号40】
海岸保全施設整備事業
布津漁港海岸
事業概要図
潮入崎地区
新田地区
離岸堤
185m
湯田地区
護岸(改良)
669m
大崎地区
護岸(新設)
410m
護岸(改良)
321m
離岸堤
200m
事業主体:南島原市
主要工事計画:離岸堤 385m
護岸(新設) 410m
護岸(改良) 990m
事業費:1,936百万円
事業期間:平成13年度~平成21年度
【整理番号40】
布津漁港海岸の事業の効用に関する説明資料
1.布津漁港海岸の概要
(1) 地
域:長崎県南島原市布津町
(2) 受
益
面
積:20.5ha
(3)
業
目
的:
事
当海岸背後地には、漁業集落が形成されているが、台風時や季節風に
よる激浪時には、海岸保全施設からの越波により、浸水被害を受けてい
た。当事業では、背後地の住宅地への浸水を防止するため、離岸堤等を
整備し、生命・財産の防護を図る。
(4) 主 要 工 事 計 画: 離岸堤
L=385m
護岸(新設)
L=410m
護岸(改良) L=990m
(5)
事
(6)
工
業
費:1,936百万円
期:平成13年度~平成21年度
2.総費用総便益比の算定
(1)総費用総便益比の総括
区
分
(単位:千円)
算定式
総費用(現在価値化)
①
評価(事業期間+50年)
総便益額(現在価値化)
総費用総便益比
(2)総費用の総括
施設名
離岸堤、護岸(新設)
、護岸(改良)
計
数値
備
3,320,595 (2)総費用の総括 参照
59年
②
③ ②÷①
43,890,722 (3)総便益額の総括 参照
13.22
(単位:千円)
当該事業費
維持管理費
総費用
①
②
③=①+②
2,629,910
690,685
3,320,595
2,629,910
690,685
3,320,595
(3)総便益額の総括
効果項目
浸水防護便益
計
考
年総効果額
効
果
の
要
(単位:千円)
因
43,890,722 高潮、波浪、津波等による浸水から背後地の資産等
を守ることによる便益。
43,890,722
【整理番号40】
(4)費用対効果分析
①総費用・便益算出表
単位:億円
番
号
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
44
45
46
47
48
49
50
51
52
53
54
55
56
57
58
59
西暦 和暦
合計
2001 H13
2002 H14
2003 H15
2004 H16
2005 H17
2006 H18
2007 H19
2008 H20
2009 H21
2010 H22
2011 H23
2012 H24
2013 H25
2014 H26
2015 H27
2016 H28
2017 H29
2018 H30
2019 H31
2020 H32
2021 H33
2022 H34
2023 H35
2024 H36
2025 H37
2026 H38
2027 H39
2028 H40
2029 H41
2030 H42
2031 H43
2032 H44
2033 H45
2034 H46
2035 H47
2036 H48
2037 H49
2038 H50
2039 H51
2040 H52
2041 H53
2042 H54
2043 H55
2044 H56
2045 H57
2046 H58
2047 H59
2048 H60
2049 H61
2050 H62
2051 H63
2052 H64
2053 H65
2054 H66
2055 H67
2056 H68
2057 H69
2058 H70
2059 H71
単年度の費用・便益
費 用 (消費税抜き)
計
事業費 維持管理
1 8.4 38 4.6 08
23.046
1.943
0.000
1.943
3.324
0.010
3.334
2.305
0.026
2.331
1.905
0.038
1.943
1.981
0.047
2.028
2.886
0.057
2.943
2.190
0.072
2.262
1.429
0.083
1.511
0.476
0.090
0.566
0.000
0.092
0.092
0.000
0.092
0.092
0.000
0.092
0.092
0.000
0.092
0.092
0.000
0.092
0.092
0.000
0.092
0.092
0.000
0.092
0.092
0.000
0.092
0.092
0.000
0.092
0.092
0.000
0.092
0.092
0.000
0.092
0.092
0.000
0.092
0.092
0.000
0.092
0.092
0.000
0.092
0.092
0.000
0.092
0.092
0.000
0.092
0.092
0.000
0.092
0.092
0.000
0.092
0.092
0.000
0.092
0.092
0.000
0.092
0.092
0.000
0.092
0.092
0.000
0.092
0.092
0.000
0.092
0.092
0.000
0.092
0.092
0.000
0.092
0.092
0.000
0.092
0.092
0.000
0.092
0.092
0.000
0.092
0.092
0.000
0.092
0.092
0.000
0.092
0.092
0.000
0.092
0.092
0.000
0.092
0.092
0.000
0.092
0.092
0.000
0.092
0.092
0.000
0.092
0.092
0.000
0.092
0.092
0.000
0.092
0.092
0.000
0.092
0.092
0.000
0.092
0.092
0.000
0.092
0.092
0.000
0.092
0.092
0.000
0.092
0.092
0.000
0.082
0.082
0.000
0.066
0.066
0.000
0.054
0.054
0.000
0.045
0.045
0.000
0.035
0.035
0.000
0.020
0.020
0.000
0.009
0.009
0.000
0.002
0.002
便 益
807
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
16.15
16.15
16.15
16.15
16.15
16.15
16.15
16.15
16.15
16.15
16.15
16.15
16.15
16.15
16.15
16.15
16.15
16.15
16.15
16.15
16.15
16.15
16.15
16.15
16.15
16.15
16.15
16.15
16.15
16.15
16.15
16.15
16.15
16.15
16.15
16.15
16.15
16.15
16.15
16.15
16.15
16.15
16.15
16.15
16.15
16.15
16.15
16.15
16.15
16.15
2015年価値換算値
社会的
費用
便益
割引率
(C)
(B)
乗数 割引率
33.20595 438 .90 722
3.67
0.00 -14 1.732
6.12
0.00 -13 1.665
4.09
0.00 -12 1.601
3.25
0.00 -11 1.539
3.23
0.00 -10 1.480
4.45
0.00
-9 1.423
3.22
0.00
-8 1.369
2.01
0.00
-7 1.316
0.74
0.00
-6 1.265
0.12
19.65
-5 1.217
0.11
18.89
-4 1.170
0.11
18.16
-3 1.125
0.10
17.46
-2 1.082
0.10
16.79
-1 1.040
0.09
16.15
0 1.000
0.09
15.53
1 0.962
0.09
14.93
2 0.925
0.08
14.35
3 0.889
0.08
13.80
4 0.855
0.08
13.27
5 0.822
0.07
12.76
6 0.790
0.07
12.27
7 0.760
0.07
11.80
8 0.731
0.06
11.34
9 0.703
0.06
10.91
10 0.676
0.06
10.49
11 0.650
0.06
10.09
12 0.625
0.06
9.70
13 0.601
0.05
9.32
14 0.577
0.05
8.97
15 0.555
0.05
8.62
16 0.534
0.05
8.29
17 0.513
0.05
7.97
18 0.494
0.04
7.66
19 0.475
0.04
7.37
20 0.456
0.04
7.09
21 0.439
0.04
6.81
22 0.422
0.04
6.55
23 0.406
0.04
6.30
24 0.390
0.03
6.06
25 0.375
0.03
5.82
26 0.361
0.03
5.60
27 0.347
0.03
5.38
28 0.333
0.03
5.18
29 0.321
0.03
4.98
30 0.308
0.03
4.79
31 0.296
0.03
4.60
32 0.285
0.03
4.43
33 0.274
0.02
4.26
34 0.264
0.02
4.09
35 0.253
0.02
3.93
36 0.244
0.02
3.78
37 0.234
0.01
3.64
38 0.225
0.01
3.50
39 0.217
0.01
3.36
40 0.208
0.01
3.23
41 0.200
0.00
3.11
42 0.193
0.00
2.99
43 0.185
0.00
2.87
44 0.178
【整理番号40】
3.効果額の算定方法
(1)浸水防護便益
○効果の考え方
浸水が予想される地域内が浸水した場合の家屋等一般資産被害額、公共土木施設被害額、公
益事業等被害額を算定する。
○南島原市の資産数量(市税概要(財政部)、市農業センサス、市漁業センサス)
・家屋棟数
54,911棟
・世帯数
22,023世帯
・床面積
5,099,316㎡
・家屋1棟当たりの床面積
92.9㎡/棟
・家屋1棟当たりの世帯数
0.4世帯/棟
・農漁家数
3,990戸
・事業所数
2,570事業所
○一般資産の資産評価額(H27.2治水経済調査マニュアル(案))
・家屋資産額
162.4千円/㎡
・家庭用品評価額
15,020千円/世帯
・農漁家償却資産評価額
3,134千円/戸
・農漁家在庫資産評価額
215千円/戸
・事業所償却資産評価額
14,599千円/事業所
・事業所在庫資産評価額
10,317千円/事業所
○被害施設数の算出
高潮による一般資産被害率(表-1)を考慮し、浸水高別に一般資産(家屋、家庭用品(世
帯数)、農漁家、事業所)の被害施設数(表-2)を算出。
表-1
高潮による一般資産被害率
浸水深等の規模
床下浸水
50cm 未
50~
満
99cm
家屋
0.045
0.151
0.229
家庭用品
0.021
0.189
0.489
償却資産
0.101
0.278
0.589
事業所
在庫資産
0.056
0.166
0.401
償却資産
0.000
0.187
0.308
農漁家
在庫資産
0.000
0.259
0.555
出典:海岸事業の費用便益分析指針(改訂版)(H16.6)
資産種類等
表-2
床上浸水
100~
200~
300cm 以
199cm
299cm
上
0.480
1.000
1.000
0.889
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
0.416
1.000
1.000
0.859
1.000
1.000
被害施設数
資産項目
10 年
家屋数(棟数)
世帯数(世帯)
農漁家数(戸)
事業所数(事業所)
191
76
14
38
確率年
20 年
191
76
14
38
30 年
191
76
14
38
【整理番号40】
○年間標準便益額の算定
表-3
一般資産の確率外力ごとの被害額
(単位:百万円)
資産項目
10 年
493
302
8
302
1,104
家屋
家庭用品
農漁家
事業所
計
表-4
確率年
20 年
493
302
8
302
1,104
30 年
493
302
8
302
1,104
一般資産の年平均被害軽減額
(単位:百万円)
確率年毎の
対象流量QI
(m3)
0
1,560,018
1,933,046
1,999,790
表-5
確率年
QI~QI+1
の
年平均確率
1
1/10
1/20
1/30
0.90000
0.05000
0.01667
想定被害額
(百万円)
0
1,104
1,104
1,104
QI~Q
I+1 の
平均想定
被害額
552
1,104
1,104
QI~Q
I+1
の年平均
被害額
497
55
18
対象流量まで
の年平均被害
軽減額
497
552
571
年間標準便益額
(単位:百万円)
一般資産被害額
571
公共土木被害額 (一般資産の 1.8)
1,027
公益事業等被害額(一般資産の 0.03)
17
合 計
1,615
※公共土木被害額及び公益事業等被害額の係数は、「海岸事業の費用便益分析指針(改定
版)H16.6」による。
※単位未満の数値を端数処理しているため、各項目の合計値等が一致しない場合がある。