平成28年度 入学式 学長式辞 眼下に太田川の碧き流れをみながら

平成28年度 入学式 学長式辞
眼下に太田川の碧き流れをみながら、正門の早くも満開となった美しい桜に出迎えられ、
春の暖かさと優しさを感じる今日の善き日に、ご来賓の皆様方のご臨席を仰ぎ、またご家
族の皆様方のご参列をいただき、平成28年度入学式を挙行し、合計735名の新入生を
比治山大学・比治山大学短期大学部に迎えることができましたことは、私どもにとって誠
に喜ばしいことであります。ご多用のなかご臨席いただきましたご来賓の方々には改めて
厚く御礼申し上げます。
新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。本学の教職員を代表して心より歓迎し
たいと思います。またご家族の皆様のお喜びもひとしおかと拝察し、お祝い申し上げます。
会場の都合で別室にてご参列いただくことになりましたご家族の方もおられるかと思いま
すが、何卒ご容赦ください。
本年は、記念すべき年であります。ご案内のとおり、昭和41年に比治山女子短期大学
がここ牛田の地に開学し、今年は開学50周年を迎えます。比治山大学短期大学部に入学
される方はまさに記念すべきよき年に入学されることになります。
さて本学の建学の精神は、
「悠久不滅の人間の生命の理想に向かって精進する」人間の育
成にあります。これは初代学長國信玉三先生が提唱された理念であり、過去と未来を考え
て現在をよりよく生きることを目指して日々精進することが大切であるという教えでもあ
ります。この建学の精神を踏まえ、本学はすべての学生が、自立すると同時に他の人と共
生でき、豊かな想像力を磨き、新たな創造に挑戦できるそうした基本的汎用的な能力や資
質を獲得すべく、卓越した教育の理想に向かってまい進しております。
ちなみにユネスコが主唱している「学び」の定義を借用すれば、学びには四つの意義あ
るいは目的があるといいます。つまり私たちはなぜ学ぶのか、何のために学ぶのかという
問いへの答えがそれであります。学ぶとは、「知るため」であり、「なにかを為すため」で
あり、
「自らの人生を自分らしく生きるため」であり、そして最後に「共に生きるため」で
あると言っています。学び続けなかえれば、人は無知となり、無為無能となり、自己を見
失い、やがて自尊心さえも喪失することになります。結果、人間の社会は紛争や争いが絶
えない世界となります。皆さんはこうした学びの意義や目的を再確認し、大学においても
真摯に勉学にいそしむとともに、課外活動などにも取り組み、有意義な大学生活を楽しん
でください。そして人間性豊かで、
「有為有能な人」となるべく日々精進してください。
とりわけグローバル化が急激に進展し、技術革新が加速される中で、日本の企業も変わ
りました。企業等は今やどのような知識・技能を獲得しているかを問うのではなく、大学
でどんな学びを行ってきたか、何を体験してきたのか、そして企業等にとってどのような
貢献をしてくれるのかに非常なる関心を示しています。広島の企業人にお聞きした話です
が、今欲しい人は「今の企業が取り組んでいる仕事に興味を持つ人ではなく、将来何をす
べきかを考えてくれる人である」と語ってくれました。人工知能も発達し、第4次産業革
命が起こりつつあると言われていますが、まさに想像力をもって明日に挑戦してくれる人
材が求められているようです。そのためにも図書館やラーニングコモンズなどを活用して
主体的・能動的に学んだり、クラブ活動に熱意をもって取り組んだり、ボランティア活動
や海外研修に積極的に参加したりすることが大切になります。2年間あるいは4年間をど
のように過ごすかは皆さんの責任です。自分を甘やかすご都合主義の大学生活だけは送ら
ないでください。自分を誤魔化さないで、若者らしく真正面から、誠実に学びに挑戦して
ください。
最後になりましたが、ご多用のなか、ご参列いただきましたご家族の皆様には本学の教
育方針に格別の理解とご支援を賜りますようお願い申し上げ、新入生の皆様の一層の頑張
りを期待して、式辞とします。
平成28年(2016年)4月4日
比治山大学・比治山大学短期大学部
学長 二宮 皓