Economic Trends マクロ経済分析レポート

Economic Trends
マクロ経済分析レポート
テーマ:アベノミクスにおける喫緊の課題
2016年4月11日(月)
~機動的な財政政策と労働市場改革の重要性~
第一生命経済研究所 経済調査部
首席エコノミスト 永濱 利廣(03-5221-4531)
(要旨)
● 年明け以降の株下落は 2000 年以降のITバブル崩壊を凌ぐ落ち込み。1年前の日経平均株価は
1万 8000 円台から1万 9000 円台へと上昇基調にあったのと真逆の動き。チャイナショックを
発端としたマーケットの去夏以降の混乱が大きく影響している。経済成長率と鉱工業生産の関
係に基づけば、今年1-3月期の経済成長率が2期連続でマイナス成長となる可能性もある。
17 年ぶりの水準まで賃上げ率が上がった去年でも、毎勤ベースの名目賃金上昇率が+0.1%であ
り、今年の名目賃金は前年比マイナスの可能性。
● 2015 年度の補正予算は今年度の経済成長率を+0.3%程度押し上げるにとどまり力不足。建設労
働者の不足感は解消してきており、マイナス金利の面でも安倍政権始まって以来、最も機動的
な財政政策の効果が出やすい時期。介護施設や保育所増設の増額や国内の空港整備や港湾イン
フラといった日本全体の国際競争力を増す公共投資、老朽化インフラ等のメニューを上手く取
捨選択したワイズスペンディングが必要。
● 去年の 10-12 月期時点で年換算 8.6 兆円のデフレギャップが存在するため、昨年の補正を加味
すれば最低5兆円規模は必要。デフレ脱却を重視するのであれば、次の消費増税を織り込むと
デフレ脱却は 2017 年度一杯までは厳しい。財源も、税収の上振れやマイナス金利に伴う利払い
費減、円安に伴う外為特会の膨張分など様々な選択肢がある。財政関連指標はアベノミクス後、
軒並み予想以上の改善で早期の財政危機のリスクは殆ど考えられない。財政再建を考えるうえ
でも経済成長重視の政策を進めるべき。
● 一方、足下で就業希望の非労働力人口が 400 万人以上存在するため、出産、育児や介護等の対
応が喫緊の課題。女性、高齢者、外国人の就業を阻害している最大の要因が日本特有の雇用慣
行であり、同じ会社に長く勤めれば勤めるほど、恩恵が受けやすい就業構造を変えていくこと
が必要。喫緊の課題が、正社員の解雇ルールの明確化やホワイトカラー・エグゼンプションな
ど労働市場の流動化を促し労働生産性を上げる政策。外国人の活躍については、外国人留学生
を増やすことで地方創生に結びつく。我が国もオーストラリア等の政策を見習い外国人留学生
の増加に力を入れるべき。
(注)本稿は経済財政諮問会議の平成 28 年第一回政策コメンテーター委員会(3 月 3 日)における
筆者の発言内容を基にまとめたもの。
●ITバブル崩壊を上回る株価下落
足下の経済動向について、筆者は非常に危機感を抱いている。背景には、年明け以降の株価の下
落速度が歴史的に見ても非常に大きかったことがある。実際、過去2か月間のピークからボトムまで
どの程度株が下がったかを下落速度が大きい順に並べ替えると、過去最速の下落速度を記録したの
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が
信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがありま
す。また、記載された内容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
がリーマン・ショックであり、その次がバブル崩壊となっている。実にその次が今回の年明け以降
の株下落であり、2000年以降のITバブル崩壊を凌ぐ落ち込みという意味でも、非常に大きなマー
ケットの調整が起こったことがわかる。
さらに1年前との比較で見ても、1年前の日経平均株価は、1万8,000円台から1万9,000円台へ
と、上昇基調にあった状況に対して、逆に今回は下がっているということで、真逆の動きになって
いる。
2か月間の日経平均下落率(ワースト5)
~年明け以降の下落速度は3番目~
日経平均株価
~前年同期とは雲泥の差~
( %)
-20
20000
19000
( 円)
-15
21000
00/4~5(ITバブル崩壊)
-10
16/01~16/2(今回)
-5
2008/10~11(リーマンショック)
2008/9~10(リーマンショック)
1990/10~11(バブル崩壊)
0
18000
-20
17000
-21
-25
月末値
-24
16000
-30
-40
2016/04
2016/03
2016/02
2016/01
2015/12
2015/11
2015/10
2015/09
2015/08
2015/07
2015/06
2015/05
2015/04
2015/03
2015/01
-34
2015/02
15000
-32
-35
( 出所)日本経済新聞社 ( 出所)日本経済新聞社
●テクニカルリセッションの可能性
こうした状況は、既に実体経済にも影響が出ている。事実、街角景気指数とされる景気ウォッチ
ャー調査を見ると、現状・先行き判断DIとも8カ月連続で好不調の分かれ目となる50割れとなっ
ている。時期的に見ても、チャイナショックを発端としたマーケットの去年の夏以降の混乱という
のが大きく影響していることが推察される。
景気ウォッチャー調査
~8か月連続50割れ~
56
15.0
54
10.0
経済成長率と連動する鉱工業生産
~2期連続マイナス成長の可能性~
実質GDP(前期比年率)
鉱工業生産(前期比)
5.0
50
( %)
( %)
52
48
0.0
46
現状
先行き
分岐点
44
-5.0
42
( 出所)内閣府
-10.0
2010/03
2010/06
2010/09
2010/12
2011/03
2011/06
2011/09
2011/12
2012/03
2012/06
2012/09
2012/12
2013/03
2013/06
2013/09
2013/12
2014/03
2014/06
2014/09
2014/12
2015/03
2015/06
2015/09
2015/12
2016/03
2016/03
2016/02
2016/01
2015/12
2015/11
2015/10
2015/09
2015/08
2015/07
2015/06
2015/05
2015/04
2015/03
2015/02
2015/01
40
( 出所)内閣府、経済産業省、生産の直近は予測指数
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が
信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがありま
す。また、記載された内容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
また、経済成長率を見ても2015年10-12月期はマイナス成長となっている。更に、経済成長率は
鉱工業生産の変化率と関係が深く、これを見ると生産計画ベースで1-3月期の鉱工業生産が前期
比マイナスになっていることからすると、場合によっては経済成長率が2期連続でマイナス成長と
なる可能性もあり、非常に厳しい状況といえる。
●名目賃金もマイナスの可能性
さらに厳しい状況としては、アベノミクスの根幹はいかに好循環で賃金を上げるかというところ
だが、そこに赤信号が灯っている。
春闘の賃上げ率の先行指標として、労務行政研究所が2月初旬に公表した賃上げ率を見ると、去
年よりも下がる予測になっているが、これは調査期間が去年12月から年明けの1月前半までだった
ことからすれば、恐らく実際の賃上げ率は更に下がる可能性が高いと考えられる。17年ぶりの水準
まで賃上げ率が上がった去年でも、毎月勤労統計ベースの名目賃金上昇率が+0.1%だった。それよ
りも賃上げ率が今年下がるということは、今年の名目賃金はマイナスの可能性が高い。つまり、こ
のまま放置しておくと、今年の日本経済は相当厳しいことになることが想定される。
賃上げ率(%)の見通しと実績
~賃上げ率低下は不可避~
賃上げ率と所定内給与の関係(91~2014年度)
~来年度の名目賃金はマイナスの可能性~
5.0
賃上げ見通し
4.0
2.4
2.2
2.1
2.2 2.2
2.1
2.1
2.1
2.0 2.0
2.0
2.0
2.0
1.9 1.9
1.9
1.8 1.8 1.8
1.8
1.7
1.7
1.6
1.7
1.8 1.8
所定内給与前年比%
賃上げ率
y = 1.2868x - 2.8915
R² = 0.9051
3.0
2.0
1.0
1.7
1.7
1.7
1.6
1.6
1.7 1.6
1.6
0.0
0
1.5
1
2
3
4
賃上げ率%
5
6
( 出所)労務行政研究所、厚生労働省
2016
2015
2014
2013
2012
2011
2010
2009
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
-1.0
-2.0
●求められる機動的な財政政策
以上を勘案すると、年前半に取り組むべき課題としては、需要刺激策が非常に重要だと考えられ
る。先般のG20でも、国際協調によりこの世界経済の難局を乗り切るために、全ての政策手段を用い
るという政策協調がされたこともあり、日本もこれにある程度追従すべきだと考えられる。
既に今年度の補正予算という形で下図のような政策がまとめられており、このメニューについて
全般的な方向性は一定の評価ができる。ただ、事業総額を見ると3.5兆円にとどまっており、これは
内閣府の試算によれば来年度のGDPを+0.4%程度押し上げるということになっているが、当研究所
の計算によれば同+0.3%程度であり、非常に力不足である。このため、方向性としては、これをさ
らに拡充するという方向が良いのではないかと考えられる。
一方、公共事業について、よく建設現場で人手不足ということを言われてきたが、建設労働者の
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が
信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがありま
す。また、記載された内容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
労働需給判断DIを見ると、不足感は解消してきており、マイナス金利の面でも、今、安倍政権始
まって以来、最も機動的な財政政策の効果が出やすい時期になっていると考えられる。
このため、公共事業も一定割合は増やす必要があろう。具体的には、特に介護施設や保育所の増
設の部分については昨年度の補正予算では不十分であるため、そうした方向性の増額も考えられる
だろう。また、国内の空港整備や港湾インフラといった日本全体の国際競争力が増すような公共投
資であれば、国民にも理解される可能性が高いと考えられる。
さらには、
数年前にトンネルが崩落した事故もあったように老朽化インフラの整備も重要である。
日本のインフラは50年以上前に建っているものが多くを占めるため、老朽化インフラ整備について
は、本気で取り組めば甚大な需要が存在する。こうしたメニューを上手く取捨選択して、いかにワ
イズスペンディングという形ができるかが重要であろう。
建設技能労働者過不足率
(%)
4
3
不足
0.10
0.09
0.05 2
0.05
0.08
1
0.03
0.02
0.30 0
0.04
0.10
0.50 -1
0.80
過剰
2016
2015
2014
2013
2012
2011
2010
2009
2008
2007
-2
0.02
0.03
0.01 -3
0.01
3.50
2006
1億総活躍社会の実現
低所得者の高齢者に対する給付金
(一人当たり三万円)
地方創生交付金
介護施設整備
介護人材確保
保育所整備
保育士の確保
一人親家庭の支援
三世代同居の推進
TPP対策
中小企業の海外展開支援
農業インフラ
災害対策
復興の加速
その他
軽減税率導入支援
マイナンバーカードの早期交付
テロ対策
観光復興(民博の支援)
事業総額
(出所)各種報道資料
金額
(兆円)
1.20
0.34
2005
2015年度補正予算の見込み
項目
(出所)国土交通省
●デフレギャップ解消に必要な財政規模は最低5兆円
さらに、具体的に必要な規模については、1つ目安となるのは足下の需要不足である。去年の10
-12月期時点で年換算8.6兆円となっているため、昨年の補正予算の規模も加味すれば最低でも5兆
円規模は必要と考えられる。さらに、ESPフォーキャスト調査に基づくエコノミストの予測の平均成
長率が実現した場合、今後の日本のGDPギャップがどうなるかを予測すると、消費増税が織り込まれ
ているため一旦は駆け込み需要で縮小するも、その後は反動減でマイナス7兆円のデフレギャップ
に逆戻りすることになる。デフレ脱却を重視するのであれば、次の消費増税も織り込んだ形で日本
経済を考えると、デフレ脱却は2017年度一杯までは厳しいことになる。逆にデフレ脱却よりも財政
再建ということを前向きに打ち出すのであれば、消費増税という選択肢もあるため、ここはどちら
を重視するかによって重要な決断になってくるのかと思われる。
また財源についても、これまでの内閣府のプライマリーバランスの試算の変遷を見れば、税収も
相当上振れしてきている。さらにはマイナス金利で、長期金利の低下を通じた利払い費も減る可能
性が高く、円安に伴う外為特会の膨張分もあるため、そういった意味では、財源は様々な選択肢が
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が
信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがありま
す。また、記載された内容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
あると考えられる。
(兆円)
5.0
GDPギャップの推移
~昨年度末時点で9兆円以上の需要不足~
内閣府の基礎的財政収支資産の変遷
~消費増税なくてもPB改善~
2
0
0.0
-2
(GDP比・%)
-5.0
-7.2
-8.6
-10.0
-15.0
2016.1
2015.7
2015.2
-6
予測
-12.7
-4
2014.7
-12.8
2014.1
-8
2013.8
実績
2024
2022
2020
2018
2016
2014
2012
2010
2008
2006
2004
2002
2000
1998
1996
2018
-10
1994
(出所)内閣府、予測はESPフォーキャスト(3月)
に基づく
2017
2016
2015
2014
2013
2012
2011
-20.0
(出所)内閣府
●国債格付けは経済成長も重視
なお、補正の規模としては、消費増税を実際に行うのであれば駆け込み需要が出てくるため、消
費増税の前に財政の規模はそこまで大きくしなくても良いとする向きもある。ただ、消費増税後に
は、それなりの財政をやらなければならなくなるだろう。ただ、足下の状況で景気対策を十分行わ
なければ経済成長は厳しいと予想され、そもそも消費増税を上げる決断をするに当たって相当ハー
ドルが高くなるような経済状況になる可能性もある。このため、消費税率を上げるにしても上げな
いにしても、それなりの景気対策が必要だと思われる。
ちなみに、財政は大丈夫なのかという意見もあるが、財政の関連指標はアベノミクス後、軒並み
予想以上の改善を示しているというところからすると、早期の財政危機のリスクは殆ど考えられな
い。懸念されるのは、格付機関の国債の格下げである。しかし、例えば最近の格下げのタイミング
を見れば、去年の9月にスタンダード・アンド・プアーズが格下げしたが、きっかけがその前に公
表された2015年4-6月期の成長率がマイナスになったことであり、アベノミクスに伴う経済成長
が期待できなくなったことが理由とされている。こうした事例を考えると、財政再建を考えるうえ
でも経済成長重視の政策を進めていくべきと考えられる。
●重要な労働市場改革
一方、短期的な政策だけではなくサプライサイドの政策も重要である。日本の人口動態を考える
と、特に2020年代後半以降は、このままいくと人口減少は相当厳しく、経済成長率も非常に厳しく
なることからすると、一億総活躍社会の打ち出しは理に適っている。
実際に足下で、本当は働きたいが何がしかの理由で求職活動をしていないいわゆる就業希望の非
労働力人口が400万人以上存在しており、これを考えると、出産、育児や介護等の対応が喫緊の課
題になっている。
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が
信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがありま
す。また、記載された内容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
就業希望の非労働力人口(2015年10-12月期)
人口動態に左右される潜在成長率
6.00
100
3
90
潜在成長率
5.00
2
生産年齢人口
人口ボーナス指数(右)
4.00
95
85
80
70
1
60
予測
2.00
-1
万人
0
前年差: 倍
前年比: %
3.00
50
50
41
40
32
31
1.00
26
30
-2
0.00
16
20
10
-1.00
-3
-2.00
-4
0
4
0
1981
1982
1983
1984
1985
1986
1987
1988
1989
1990
1991
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
2017
2018
2019
2020
2021
2022
2023
2024
2025
2026
2027
2028
2029
2030
男
( 出所)国立社会保障人口問題研究所、内閣府、潜在成長
率予測は第一生命経済研究所
女
適当な仕事がありそうにない
出産・育児のため
介護・看護のため
健康上の理由のため
その他
( 出所)厚生労働省
一億総活躍社会の鍵は女性と高齢者の活躍が鍵となるが、個人的には外国人も重要と考えられる。
そういう意味では、女性、高齢者、外国人の就業を阻害している最大の要因が日本特有の雇用慣行
であり、同じ会社に長く勤めれば勤めるほど、恩恵が受けやすい就業構造を変えていくことが必要
である。これが変わらない限り、なかなか女性、高齢者、外国人就業は厳しい状況だと思われる。
象徴なのが、正社員の賃金構造が年功序列となっていることであり、これを打破すべく一刻も早
く踏み込みが必要な政策が、産業の六重苦の一角を担う厳しい労働規制の中でも、正社員の解雇ル
ールの明確化やホワイトカラー・エグゼンプションのような労働市場の流動化を促し労働生産性を
上げる政策である。
実際にOECD諸国で、労働市場の流動化と経済成長の関係を見ても明確な関係があり、ここは成
長戦略の中でも最も踏み込みが期待される部分である。
正社員の賃金構造(2014年)
600
OECD諸国の労働市場の流動化と経済成長
(2012年)
8.0
6.0
計
500
大企業
日本
2.0
経済成長率%
千円/月
4.0
小企業
400
300
0.0
200
-2.0
100
イタリア
y = -24.75x + 10.195
R² = 0.5221
-4.0
ポルトガル
-6.0
( 出所)厚生労働省
65~69
60~64
55~59
50~54
45~49
40~44
35~39
30~34
25~29
20~24歳
0
ギリシャ
-8.0
20%
30%
40%
50%
勤続年数10年以上の男性従業員割合%
60%
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が
信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがありま
す。また、記載された内容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
また、外国人の活躍については、全国各地の大学が外国人留学生を増やすことで地方創生に結び
つくと考えられる。
諸外国との比較で見ても、日本が受け入れる外国人留学生はそこまで多くない。
実際にオーストラリアは相当多く、オーストラリアの財・サービスの輸出品目リストの4位に入っ
ている。日本では留学生30万人計画という目標があるが、オーストラリアはそこまでいっていなく
ても2014年の輸出額で170億オーストラリアドル、日本円で換算して1.4兆円程度ある。日本のイン
バウンドの消費だけで去年3.4兆円程度であることからすれば、
我が国もオーストラリアの政策を見
習って、もっと外国人留学生の増加に力を入れるべきなのではないかと考えられる。
オーストラリアの財・サービス輸出上位10品目(2014年)
単位:豪ドル
順位
品目
輸出額
200,000 400,000 600,000 800,000 1,000,000
1位
鉄鉱石
660億
外国人留学生受入数(2013年)
~留学生30万人計画にはほど遠い~
0
アメリカ
784,427
イギリス
416,693
オーストラリア
249,868
フランス
228,639
ドイツ
ロシア
196,619
石炭
380億
3位
天然ガス
178億
4位
外国人留学生の留学費用(教育・生活費等)
170億
5位
個人旅行サービス(教員関連除く)
142億
6位
金
135億
7位
原油
106億
8位
牛肉
78億
9位
アルミニウム鉱(アルミナ含む)
63億
小麦
59億
138,496
日本
135,803
カナダ
135,187
中国
2位
96,409
イタリア
82,450
オーストリア
70,852
オランダ
68,943
サウジアラビア
62,143
スペイン
56,361
韓国
55,536
トルコ
54,387
10位
( 出所)OECD
(出所)Australian Government Department of Foreign Affairs and
Trade
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が
信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがありま
す。また、記載された内容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。