見る/開く - Kagoshima University Repository

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付着性微粉粒子の流動化特性
甲斐, 敬美; 井元, 和弘; 高橋, 武重
鹿児島大学工学部研究報告, 32: 113-117
1990-09-29
http://hdl.handle.net/10232/12439
http://ir.kagoshima-u.ac.jp
付着‘性微粉粒子の流動化特‘性
甲斐敬美・井元和弘・高橋武重
FLUmIzATIONBEHAVIOROFCOHESIVEFINEPOWDERS
TakamiKAI,KazuhirolMOTO
andTakeshigeTAKAHASHI
ThepowdersusedinafluidizedbedhavebeenclassifiedintofourgroupsbyGeldart、Thegroup
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perimentswerealumina,aluminumhydrateandsodiumcarbonate,andtheaveragediameterofthem
wasbelowl5ノum・Itwasfoundfromtherelationshipbetweengasvelocityandfluidizationbehavior
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c
oftheCpowderwasdominant・TheboundarybetweenthegroupCandApowderswasestimatedfrom
themaximumpointofthebedexpansion.
緒 言
1.実験装置および方法
流動層に使用される粒子はその平均粒子径および粒
実験装置の概略を図1に示す。流動層本体は内径
子密度を基にしてGeldart4)によってA,B,C,D
54mm,分散板から拡大部までの高さが1200m,の透明ア
クリル樹脂製である。分散板には銅製の多孔質焼結板
の4つのグループに分類されている。これらの粒子で
cグループに属する粒子は付着性が強く,良好な流動
を使用した。塔頂部から飛出す粒子は外部サイクロン
化状態が得られないため,その研究も少ない。しかし
によって捕集した。
近年,流動層の応用分野が広がるにともない,c粒子
A粒子については最小流動化速度および最小気泡化
の流動化現象についても注目されるようになっ
速度の測定を行った。これらは流動化ガス速度と圧力
た2,3,5,6,9,10)。本研究においては,C粒子の流動化状
損失および層高の測定からそれぞれ求めた。C粒子に
態について調べ,Geldartのマップ4)におけるA粒子
ついては流動化ガス速度を変化させて,流動化状態を
との境界について考察を行った。そのため,A粒子に
写真撮影などにより観察した。
ついて最小流動化速度と最小気泡化速度との間におい
実験に使用したC粒子の物性を表1に示す。またA
て層圧力損失,層高さ,層空隙率を測定し,c粒子に
粒子は図2のGeldartのマップの(○)で示されるよ
ついては流動化状態の流動化ガス速度による変化を調
うに粒子径が30∼80鰹、,粒子密度が600∼2400k9m−3
べた。次にA粒子とC粒子の混合粒子について同様に
の範囲にある粒子を使用した。またこの図において一
層膨脹特性を調べた。
部のC粒子は(●)で示している。
鹿児島大学工学部研究報告第32号(1990)
114
ここで,Emf,Lmfは最小流動化速度における空隙率
2.実験結果および考察
と層高であり,Lmbは最小気泡化速度における層高で
ある。
2.1A粒子の膨張特性
図3はAグループに属するAL−1粒子についての
気泡流動化域にある層のエマルション相膨張率につ
ガス速度と層高の関係を示す。この粒子の径は55ノum
いては膨張率の差Ee−Emfが次式で示すパラメータ
で密度は770k9m一3である。ガス速度が最小流動化速
Nによって整理できることが報告されている7)。そこ
度を越えると層は膨張を始める。層高はあるガス速度
でEmbについてもEmb−EmfとパラメータNとの関
において極大値となり,このあたりのガス速度で気泡
係を図4に示す。
が発生し始める。この時のガス速度を最小気泡化速度
N
=
、
/
工
宅
(
,
o
p
,
。
)
/
鰹
Umbとした')。また層高が極大となったときのエマル
(
2
)
ション相の空隙率embを次式によって求めた。
図からわかるようにEmb−Emfは1/Nとほぼ比例関
‘銅。=1-鵠(!−冨卿‘)u’
馬
係にある。しかし100/Nの値が3のあたり,つまりN
=30付近では直線から予測される値よりもかなり小さ
な値となる。この粒子は粒子径が36ノαm,粒子密度が
920k9m-3とAグループの中では粒子径および密度の
比較的小さい粒子であり,その性質はかなりcグルー
プの粒子に近いと考えられる。
表1C粒子の物性
粒子dpい、]job[k9m 3]
76
543
1.
0・
9
アルミナAM−21
ⅡnK
アルミナAM−27
アルミナAM−28
lト
】IQ↑rIhllTr
水酸化アルミニウム
炭酸カルシゥム
890
510
850
280
650
0.65
図1実験装置の概略図
L
m
b
5000
−06
−
−
−
手
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・
・
.
.
。
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F〕.
ー
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星
、
一
J
1000
Q55
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Q
5
0
0
Q
5
dpIUml
図2
粒子径と粒子密度による粒子の分類
図3
A粒子の層膨張特性
1j
2
Ufx103
l
0
rl
51050100
l
U
m
b
o4応
1
0
0
・
卜
甲斐・井元・高橋:付着性微粉粒子の流動化特性
115
a)と水酸化アルミニウムが当てはまる。第二のタイ
0.15
プはガス速度を上げると層上部よりクラックが生じて
層全体にチャンネリングを起こす。さらにガス速度を
上げると層の上部が急激に流動化する。このタイプに
はAM−21とAM−28(図5−b)が相当する。
流動化の状態が二つのタイプに分れる原因は明かで
010
ー
ないが,表1の粒子物性を参考すると,粒子径はあま
り関係なく,粒子かさ密度が影響していることがわか
ー
る。つまり,かさ密度が小さいと凝集を起こしやすく,
←
E
u
J
,
b
2
u
j
O
O
5
大きくなるとチャンネリングを起こしやすくなると思
われる。図6は炭酸カルシウムの流動化状態を表した
J、C
ものであるが,先に述べた二つの流動化状態の中間的
な挙動を示す。このことから炭酸カルシウムのかさ密
度650k9m一3あたりが二つの流動化状態の境界と考え
られる。
0
0
二つの流動化状態は流動化部および未流動化部の高
さを測定することからも判別できる。図7には凝集し
1 2 3 4
やすいAM−27,図8にはチャンネリングを起こしや
100/N(−1
図4
すいAM−28の層高の変化を示す。凝集しやすい粒
空隙率の差とパラメータNとの関係
子の場合には流動化部は徐々に下方へ広がっていく
が,チャンネリングを起こしやすい粒子の場合には流
2.2C粒子の流動化状態
c粒子を流動化させるとその流動化状態が大きく二
つに分けられることがわかった。図5にはその様子を
示す。第一のタイプでは粒子が凝集を起こしやすく,
層下部に大きく凝集した粒子が存在し,上方になるに
したがって凝集体の大きさは小さくなる。凝集体の大
動化部が層上部に突然出現する。またチャンネリング
を起こしやすい粒子の場合には未流動化部および流動
化部の高さが大きく変動している。これはチャンネリ
ングを起こしたり,流動化したり変動しているためで
ある。
きさは大きなもので5∼8mmで,小さなものでも1∼
2mmである。ガス速度を上げていくと層上部より徐々
2.3A−Cグループの境界
に流動化していく。このタイプにはAM−27(図5−
図9はA粒子にC粒子を混合した粒子の最大膨張率
l
X
D
FluIdiz叩別
1W
ingZon
F
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I
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9
Zone
A9glomer−
《
Crock
otion
Chonneling
一
−
U
f
(o)AM27
f
U
(b)AM28
図5C粒子(アルミナ) の流動化状態のガス速度にともなう遷移
鹿児島大学工学部研究報告第32号(1990)
116
牌
。
鐘
:
。
純
蝿
弧
0
.
6
ー
BubbIe
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OOOOOOoOoc
△△
←
J
O
4
Chonnel
Ag9Iomer−
otion
02
0 0 . 2 0 . 4
UfIms−11
図6C粒子(炭酸カルシウム)の流動化状態
アルミナAM27の流動層高のガス速度による変化
図7
一
×
2
己
1
.
2
︵1︶z、○○↑
0.4
←
ー」
4
へ﹄﹃と
E
一
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/︲
1
.
3
一
/弐
・萩。//r
一〆
0.8
1
0
0 0 . 2 0 . 4
Uf[ms−11
図8
アルミナAM28の流動層高のガス速度による変化
1
.
1
0
0 0 . 2 0 . 4
ContentofCPoⅣder{−1
αmaxとパラメータ100/Nに対するC粒子の混合割合
を表したものである。αmaxは次式で求めた。
αmax=Lmb/Lmf
(
3
)
図9A,C混合粒子の最大膨張率とC粒子含有
割合との関係
スを空気とした場合に,Geldartのマップ4)に加えた。
図2の破線がその境界である。Geldartによって経験
ここではA粒子としてAL-1,C粒子としてAM−28
的に引かれた境界(図2の実線)とほぼ一致している
を用いた。この図が示すようにC粒子の含有量が10か
ことがわかる。
ら15%にかけてamaxは極大値をとり,それ以上では
C粒子の含有量が増えるに従ってamaxは小さくな
3.結言
る。これは図2が示す結果と本質的には同じ結果であ
Geldart4)のCグループに相当する粒子の流動化状
る。この図から100/Nの値として2.5がAグループと
態は粒子かさ密度によって二つに分類されることがわ
Cグループの境界と考えると式(2)より
かった。かさ密度が小さな粒子は凝集を起こしやすく,
かさ密度が大きな粒子ではチャンネリングを起こしや
、
/
司
亮
(
p
p
p
)
/
鰹
=
4
0
(
4
)
すい。
A,C粒子の混合粒子の層膨張特性からA,Cグルー
の関係が得られる。この関係を常温,常圧で流動化ガ
プの境界を求め,次式で表すことができた。
甲斐・井元・高橋:付着性微粉粒子の流動化特性
、
/
零
面
(
p
p
p
)
/
似
=
4
0
(
4
)
引用文献
1)Abrahamsen,A・RandDGeldart:PowderTech-
使用記号
dp=Harmonicdiameterofparticle
9=Accererationduetogravity
Lf=Heightoffluidizedbed
1
1
7
I
m
}
ImS-21
Iml
Lmb=BedheightatminimumbubblingvelOcityIml
Lmf=BedheightatminimumfluidizatiOnvelOcity
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m
}
5)Geldart,D・andAC.Y、Wong:Chem、Eng、Sci.,39,
αmax=Lmb/Lmf
I
−
l
Emb=BedvoidageatminimumbubblingvelocityI−l
Emb=BedvoidageatminimumfluidizatiOnvelOcity
{
−
1
解=Viscosityoffluidizinggas
ID=Densityoffluidizinggas
pb=Bulkdensityofbed
lop=Apparentdensityofparticle
{
P
a
s
}
{
k
9
m
−
3
1
I
k
9
m
−
3
}
I
k
9
m
−
3
1
1
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6)Iyer,S・RandL.T,Drzal:PowderTecno1.,57,
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