L-トリプトファン L-Tryptophan 表 1 メーカー・生産量(2008 年) (単位:トン) 1.概 要 メーカー 工場 生産量 協和発酵バイオ 防府 100 合計 100 (シーエムシー出版推定) 2.メーカー動向 〈一般物性〉 国内メーカーの海外生産化により,国産してい 性状:白~帯黄白色の結晶または結晶性粉末, わずかな臭気にわずかな苦味を有する。 融点:290℃(分解) 溶解性:冷水,エタノール,クロロホルムに難 溶であるが,熱水には融けやすい。 溶解度:(水 100ml に対する) 0.82g(0 ℃),11.4g(25℃),1.71g(50 ℃),4.99g(100℃) るのは協和発酵バイオ 1 社とみられる。2008 年 の国内生産量は 100~200 トンと推定される。 味の素は九州工場で生産していたが,2001 年 から生産拠点をフランスに移転,これにより飼料 用アミノ酸すべての製品を海外生産に切り替え, 国内生産がなくなった。 3.市場動向 生物の体内では L-トリプトファンからセロト 輸入品が多く,国内需要は約 300 トンと推定さ ニンなどのホルモンや色素アルカロイド,補酵素 れる。かつては輸出向けが需要の多くを占めてい (ニ コ チ ン ア ミ ド ア デ ニ ン ジ ヌ ク レ オ チ ド, たが,現在は海外生産によってほとんどないもの NAD)植物ホルモンなど多数の生理活性物質が 作られる。 とみられる。 国内需要は輸液用・医薬用,飼料添加物,食品 〈毒性〉 添加物などが主な用途になっている。2004 年ご 急性毒性:ラット,LD50 8 mmol/kg(L-体) ろ,アミノサプリがブームになったことから需要 LD50 21mmol/kg(D-体) が増加,600 トン超の国内需要があったとみられ LD50 8 mmol/kg(DL-体) るが,2005 年になるとブームがやや下火になっ 一般にアミノ酸の毒性は低いが,L-Trp は,必 須アミノ酸の中では毒性の強いほうに属する (L-体のラット腹腔内投与 LD50:1.6g/kg)。 〈製法〉 た。 4.価 格 価格:1 万 3,000 円/kg(医薬品用) 現在は糖を原料とした発酵法が主流。 Vol.27 No.1 2010 83
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