メタルコアのパイオニア キルスウィッチ・エンゲイジ 待望の

、
メタルコアのパイオニアの
キルスウィッチ・エンゲイジ
待望のニューアルバム
!!
を世界同時発売する
新作「METAL RESISTANCE」
BABYMETALの最新独占インタヴュー!!
の核心に迫る
『インカーネイト』
★
BABYMETAL DEFTONES AMON AMARTH LOKA
Xmas Eileen Equal SHREDDY KRUEGER クリープハイプ
G-FREAK FACTORY HEY-SMITH CONCEPTION COMPLEX
110-FEET
10-FEE
ET HEY-SMITH SECRET7LINE
SECRET 7 LINE SiM
i SUMMERSONIC
SUMMER SONIC
I 2016
201
06
♦
♦
♦
♦
♦
♦
♦
♦
♦
♦
♦
KILLSWITCH ENGAGE DEFTONES AMON AMARTH LOKA
Xmas Eileen Equal SHREDDY KRUEGER クリープハイプ
G-FREAK FACTORY HEY-SMITH CONCEPTION COMPLEX 10-FEET
HEY-SMITH SECRET 7 LINE SiM SUMMER SONIC 2016
★
★
★
★
★
♦
Vol.95 April - May 2016
Vol.95 April - May 2016
特別両面表紙
特別両面表紙
★
★
★
★
★
★
CONTENTS
GrindHouse Magazine
April - May 2016
グラインドハウス・マガジン Vol.95
www.grindhouse.jp
Latest News
10 ......... SUMMER
SONIC 2016
Latest Interviews
12 ......... DEFTONES
14 ......... AMON
AMARTH
16 ......... LOKA
18 ......... Xmas
Eileen
20 ......... Equal
Pick-up Artists
22 ......... SHREDDY
KRUEGER
23 ......... クリープハイプ
24 ......... G-FREAK
04
BABYMETAL
FACTORY
25 ......... HEY-SMITH
26 ......... CONCEPTION
COMPLEX
Special Columns
27 ......... TAKUMA (10-FEET)
......... 猪狩秀平 (HEY-SMITH)
GrindHouse Disc Reviews
28 ......... 国内盤・輸入盤レヴュー
07
KILLSWITCH ENGAGE
What is GrindHouse!?
Vol.
NEXT
2000年の創刊以来、US、UK、日本を中心としたシーン最前線のロックアーティストを紹介してきた「グラインド
96
June - July 2016 Issue
Issue of
ハウス・マガジン」。情報提供のスピードアップと、誰でも自由に無料でアクセスできる手軽さを重視し、2012年
フリーペーパー
2016年5月31日発行予定
夏にウェブマガジン&フリーペーパーとしてリニューアル! ウェブマガジンwww.grindhouse.jpには、アー
ウェブマガジン
www.grindhouse.jpにて随時更新
ティストのインタヴュー、ライヴレポート、ディスクレヴューなど、最新情報を随時アップ。このフリーペーパーでは、
注目アーティストのロングインタヴューとカラーグラビアを厳選してお届けします。「グラインドハウス・マガジン」
フリーペーパーは毎奇数月末の発行。次号Vol.96は2016年5月31日発行予定です!
グラインドハウス・マガジン編集部
〒153-0052
東京都目黒区祐天寺1-20-8-301
有限会社 グラインドハウス
TEL: 03-3794-6405 FAX: 03-3794-6406
[email protected]
発行人:有島博志/Publisher: Hiro Arishima
編集:権田アスカ/Editor: Aska Gonda
スタッフ:松本美和、望月裕介
Staff: Miwa Matsumoto, Yusuke Mochizuki
デザイン:一乃瀬光太郎 印刷:株式会社 八紘美術
2016年 3月31日発行
※本誌掲載の記事、写真等の無断複写、複製、転載を固く禁じます ©GrindHouse magazine
Where to Get? [ 配布場所 ]
全国のタワーレコード、ディスクユニオン、HMVの店舗ほか、アパ
レルショップ、バー、ライヴやイベント会場にて、無料で配布中!
フリーペーパーの設置や配布にご協力いただける店舗も、随時募集
しております。配布場所、広告、記事に関するお問い合わせやご要望
は、[email protected]までメールでお願いいたします。
どうぞお気軽にご連絡ください!!
April - May 2016
03
がいるのが心強かった。お客さんの顔が後ろの方までしっ
ということもわかって。一緒に演奏していこう、一緒に見
言っていたように名刺代わりとしてあの作品を引っ提げて
かり見られたのもスゴくうれしかったし、歌いながらだん
せていこうと。私たちがはけてバンドソロになるときも、
回っていたんですよ。新作はBABYMETALと知っても
だん方向が変わっていくんですけど、顔を向けた瞬間に
任せてという表情で私たちのことを見ていて、スゴく任せ
らった上での新しい挑戦というか。じゃあカワイイメタルっ
ファンの人たちが一斉に手を振ってくださる感じとか、そ
られる存在だなって思います」
て一体なんなんだろう? いろんなメタルのジャンルがあ
れがとてもうれしくて、愛されているんだなと」
̶つまり神バンドとの呼吸もバッチリ、と?
るなかで私たちができるメタルってなんだろう? と考え
YUIMETAL「たしかに落ちたら怖いなというのはあったんで
SU-METAL「はい。一緒にツアーを回っていくなかで、特に
たときに、いろんなジャンルの、全然違うタイプの曲調ば
̶「BABYMETAL WORLD TOUR in JAPAN」の
すけど、3人で高い所にのぼるのは初めてだったので、いま
海外にいっていろんな環境のなかでいろんな苦難を一緒に
かりだと思うので、新作は私たちの新たな挑戦だと思いま
ファイナル、横浜アリーナ公演2日目を観ましたけど、早く
まではひとりだったから心細かったけど3人だから大丈夫だ
乗り越えていく上で生まれたチームワークというのが一番
すね」
も新曲を演ってましたね。アンコールで披露した“THE
なって思っていました。お客さんと近くなったときスゴく
大きいと思いますね」
YUIMETAL「正直新作が発売されるっていう実感があんまり
ONE”は『BABYMETAL』では聴けなかったロッカバラー
うれしそうな笑顔で手を振ってくれたんですよ。それがと
̶その横浜アリーナでたくさんやった新曲が聴ける新作
ないんですよ。たぶん発売してCDショップに置かれるまで
ドです。あの曲の最中、ゴンドラに乗りアリーナ席上を一
てもうれしくて」
がいよいよ発売を迎えますね。
『BABYMETAL』からもう2年
実感が沸かないと思うんですけど。
『BABYMETAL』の1曲
周するパフォーマンスがありましたけど、怖くなかったで
̶ファンとの一体感という発言をよくしますけど、その
強経ちます。今の心境は?
1曲にはスゴく私たちの思い入れが詰まっているので、そん
すか?
前に神バンドとの一体感もないとライヴでものスゴい大勢の
MOAMETAL「
『BABYMETAL』は名刺代わりって呼んでいて、
なにいい形に仕上がった作品を新作が越えられるのかって
MOAMETAL「怖くなかったですよ(笑)。アリーナクラスの
お客さんと一体化するのってむずかしいって思うんです。
BABYMETALらしさがたくさん詰まった作品だと思って
いう不安もあるんですけど、今までBABYMETALは乗り
会場になると後ろの方のお客さんが遠くなっちゃうじゃない
だけど最近、ライヴを観るたびに神バンドとの距離が縮まっ
います。そして、新作ではいろんなことを試してみたって
越えられるのかという課題でもみんなで団結して乗り越え
ですか。だからああいうふうに回って少しでもたくさんの
てきているのを見ると、神バンドとのチームワーク、絆も
いう感じがします。2年間ツアーを回ってきてずっと温めて
てきたので、新作も前作をさらに越えた、ファンに楽しん
方を見られたことがスゴくうれしかったんですけど、下を
最初のころに比べスゴくタイトになってきているのでは?
きた曲たちなので、待ってもらっていたぶん、楽しんでいた
でもらえる、期待に応えられるような作品に仕上がってい
向いたら絶対に涙こぼれるなと思うぐらい感動しました。
SU-METAL「そうですね。3人の意識のなかでも、今までは3人
だけるんじゃないかなって思う反面、すごく緊張もします。
るんじゃないかなって思います。今回は世界同時発売なの
初めて聴いた曲のハズなのにたくさんの方が一緒に歌って
でがんばろうという感覚に近かったんですよ。最初は生バ
どういう反応が返ってくるのかとか期待どおりのものを届け
で、本当にたくさんの方に聴いていただけるんだなと思う
くれていることが本当にうれしくて。愛されているんだな
ンドという形ではなかったので3人で見せていかなきゃって
られるのかとか。そういうのもあるんですけど、今は楽しみ
と今からとてもワクワクします」
と実感できました」
思っていたんですけど、ステージに上がっているのは3人だ
な気持ちでいっぱいDEATH!」
̶前作になかった新しいことをいっぱいやったというの
SU-METAL「ああいうタイプのゴンドラって初めてだったので
けじゃないし、ステージに上がっているからってそれがす
SU-METAL「前回『BABYMETAL』でツアーを回っていく
が、新作の曲調にハッキリ表れていますね。
“ヤバッ!”に
最初はけっこう怖かったんですよ。揺れたら3人一緒に落ち
べてじゃないんだなということにツアーをやっていくなか
なかでの私たちの目標として“道なき道を切り開いていく”
はスカっぽいビートが入っているし、
“META!メタ太郎”
の
るよねって2人がさりげなく脅かしてくるんで(笑)。だけど
で気づいた。バンドさんたちと話したりする機会も増えて
というのがあった。とりあえずBABYMETALのことをいろ
メタ太郎って誰だ? とか、
“Sis. Anger”は歌詞がスゴく
3人だから大丈夫だなっていうのもあって、背中越しに2人
いくなかで、私たちのことを考えてくださっているんだな
んな人に知ってもらおうと思って、さっきMOAMETALが
おっかない(笑)。BABYMETALらしさはブレずも枠を広げ
BABYMETAL、2枚目のニューアルバム『METAL RESISTANCE』を語る!
あのBABYMETALが、世界が待ち望んだ渾身の力作で
あるニューアルバム『METAL RESISTANCE』を発売。
前作『BABYMETAL』発売から2年間の活動については、
www.grindhouse.jpに掲載されているインタヴューを
読んでいただきたい。今号では新作の話を主題に置いた。
SU-METAL、YUIMETAL、MOAMETALがそれぞれ
時折自信のほどを覗わせつつ、真っ直ぐに語ってくれた。
text by Hiro Arishima
live photography by Taku Fujii
04
April - May 2016
April - May 2016
05
つついろんな方向にベクトルを向けているな、との印象を受
挑戦している作風だなって思います。
『BABYMETAL』は
初めてレコーディングした曲もいろいろあったから、その
いろいろあったから、その
けました。前作を越えるものにするための新しい挑戦という
聴いて“なんじゃこりゃ?”ってなる衝撃が強かった作品
初めてレコーディングした曲は本当に不安で。だけど何度
本当に不安で。だけど何度
のはアーティストであるなら当然のことですけど、そうした
かなと思っていて、新作の曲にもたしかに今までの
も何度もレコーディングしていくうちに理解してきた。
いくうちに理解してきた。
新しい挑戦に立ち向かい全力投球している今現在の
BABYMETALとは違うという衝撃があると思うんですけど、
やっぱり新作発売となると急に曲が増えるじゃないですか。
曲が増えるじゃないですか。
BABYMETALが真空パックのようにギュッと詰まったの
今回は1曲1曲に遊び心があるのにプラス歌詞がスゴくまっ
私たちライヴでもそんなに曲数をやらないので、いつも同じ
をやらないので、いつも同じ
が、この新作じゃないかと?
すぐだなと思っています。BLACK BABYMETALの曲も
曲をやることになっていたんですけど、新作を発売するこ
すけど、新作を発売するこ
SU-METAL「BABYMETALって基本的に1曲を作るのにス
歌詞がおっかないけど、聴いたら身が引き締まるような歌
とによって突然曲が増えるので、お客さんにとっても聴き
お客さんにとっても聴き
ゴく時間がかかるんですよ。曲によってでき上がるスピー
詞じゃないですか。曲の雰囲気とはリンクしていなくても
どころがたくさん増えるし、ライヴでの見どころなんて
ライヴでの見どころなんて
ドは全然違うんですけど、一番時間がかかっている曲でた
歌詞が深いことを言っている。今まではカワイイとかビッ
もっと増えると思うので、楽しみにしていただけたらうれ
みにしていただけたらうれ
ぶん3年ぐらいかけて作っているんですね(笑)。やっぱり
クリを届けていたと思うけど、新作では歌詞の深い意味ま
しいDEATH!」
それぐらいスゴくこだわりが強いというか。メタルとカワ
で届けられるようになったらいいなと思います。
̶『BABYMETAL』では“4の歌”が好きです。あと
4の歌”が好きです。あと
イイの中間のラインをいこうとしていて、もちろんカワイ
BABYMETALって振りつけとかも面白くて観ていて楽し
いね!”も。
“Catch me if you can”と“いいね!”
イ寄りの曲もメタル寄りの曲もあるんですけど、そのいい
いというのが魅力だなと思うんですけど、新作はちゃんと
全員「わあ」
とこどりをしているので(笑)。いつもレコーディングをし
歌詞にも意味があるのでそれを届けられるようなパフォー
̶新作を聴いて思ったんですけど、数字が好きですよ
すけど、数字が好きですよ
ながら曲を作っていく形なんですが、作業中に歌詞やフ
マンスができたらいいなとも思います」
う言ってません?
ね。1、2、3、4ってしょっちゅう言ってません?
レーズがどんどん変わっていく。そういうこだわりを持っ
MOAMETAL「新作を発売するって聞いたのがみなさんと同
全員「アハハハハ」
て作った曲たちで、温めて温めて温めた曲たちなので、だ
じ、横浜アリーナ公演のタイミングだったんですよ」
̶タイトルはライヴ時に使われる映像にもよく登場す
われる映像にもよく登場す
からこそ面白いと思ってもらえる1枚になったと思うし、そ
̶ホントに?
深い意味ってあります?
る言葉ですね。そのタイトルに深い意味ってあります?
れぐらい大切にしている曲たちなんDEATH!」
MOAMETAL「だからよく期限に間に合ったなって思います
SU-METAL「私たちはもともとメタルっていうものを全然知
タルっていうものを全然知
YUIMETAL「
『BABYMETAL』もそうだと思うんですけど、
ね(笑)
。間に合うのかっていう焦りとか、曲が温められて
らない状態からBABYMETALを始め、BABYMETALの
を始め、BABYMETALの
新作も1曲1曲の世界観が全然違っていて、いろんなことに
いることは知っているものの新作が発売されることによって
活動をしていくなかでメタルってスゴく面白いんだなっ
ってスゴく面白いんだなっ
苦難を乗り越えて制作された
キルスウィッチ・エンゲイジの次章が幕を開ける!!
キルスウィッチ・エンゲイジは、やはりメタルコアの最高
キルスウィッチ・エンゲイジは、やはりメタルコアの
はりメタルコアの最
りメタルコアの最高
アの
̶先日、マサチューセッツ州で吹雪があったそうです
̶
先日、マサチューセッツ州で吹
で吹雪があったそうです
本当にありがとう! 君の意見はとても素晴らしいよ! 峰だ。それを雄弁に物語る新
峰
新作『インカーネイ
ーネイト
ト』が
、つい
峰だ。それを雄弁に物語る新作
『インカーネイト』
が、つい
が、だいじょうぶでしたか?
なんというか、今作はこれまでのアルバムとは違ったもの
に発売された。ポジティヴなメッセージを湛え
なメッセ ジを
を湛え
えた本作
本作 が
本作だが、
に発売された。ポジティヴなメッセージを湛えた本作だが、
実は俺は今、南カリフォルニアに住んでいるんだ。今日も
実は俺は今、南カリフォルニアに住んでいるん
アに住んでいるんだ。今日
んだ。今日も
になったと思う。今までになかったようなタイプのサウン
様々な苦難を乗り越えて制作された作品だとのこと。過去
気温が26度くらいあるし、こっちはかなり快適だよ! 冬
ドを詰め込んだし、すごくメランコリックでスローな曲も
を過ごすにはもってこいだ(笑)。この前、強風と大雨が
入っている。ジェシーは作詞において素晴らしい仕事をし
あったけどね。
てくれたしね。これまでの作品の中でも、もっともダイナ
̶それじゃあ今、キルスウィッチ・エンゲイジのメン
ミックなアルバムなんじゃないかって思うよ。
バーはバラバラの州に住んでいるんですね。
̶どの曲も粒ぞろいで、ベストチューンがどれかも選
そう。ほかにドラマーのジャスティン(・フォリー)はフロ
べないほどです。バンドが新たな黄金期に入ったと、あな
リダ、マイク(・ダントニオ/b)とジョエル(・ストロー
た自身も思っているのではないですか?
ゼル/g)は今もマサチューセッツに残っているよ。そして
ほんとに!? 本当にうれしいよ。君は俺たちに最大の敬意を
作品を踏まえつつ新たな挑戦へと向かう本作はもちろん、
完成までの苦難の道と、作品への自信、メンバーへの
信頼を、リーダーであるアダム・デュトキエヴィッチ
06
(g,vo)が語った。
て、魂で歌うんだな、カッコいいなってメタルの魅力にハ
ライヴってディープ・パープルとかレジェンドばかりです。
思っているんですけど、ここまでこられたのってやっぱり
マっていって。だけど自分たちがメタルをやるとなったら
5月からアメリカツアーも始まりますし、抱負を聞かせてく
運もよかったなって正直思うんですよ。いい波に乗ってこ
どうなるんだろうということを、活動をしながら考えてい
ださい。
られたなとも思うし。それをただ運がいいチームだねとは
くうちに、無理矢理メタルという形にはめなくても
SU-METAL「まずウェンブリーアリーナについてなんですけど、
思われたくないので、このBABYMETALが世界にいって
ジェシー(・リーチ/vo)はニューヨークに住んでいるって
払ってくれているんだね!
BABYMETALらしいメタルをすればいいんだなってこと
イギリスっていうとSonisphere Festivalなどでやったラ
通用するんだってみなさんに認めてもらえるようなグルー
感じさ。アメリカのあちこちに散らばっているんだ。まだ
̶ジェシーがバンドに復帰し、前作を制作したあとの
に気がついて、だったらそのBABYMETALというものを
イヴなど、私たちにとってターニングポイントになってい
プになるために、ウェンブリーアリーナは絶対に成功させ
こっちに越してきて、そんなに時間は経ってないけどね。
日本ツアーでも、キルスウィッチ・エンゲイジらしい素晴
広めていこうという考えになったんですね。実際、メタ
るところなんですね。海外ツアーを回るきっかけになった
なきゃなって今は思います」
̶なるほど。じゃあアルバム制作やツアーのために、
らしいライヴを見せてくれましたね。激しくダイナミック
ルっていう音楽をあんまり聴いたことがなかったけど
り新曲を披露するきっかけになったりとか。そういう意味
YUIMETAL「ウェンブリーアリーナのことになっちゃうんで
バンド全員が一堂に会する…という感じなんですね。新作
でありつつ、観客を楽しませるサービス精神も忘れない。
BABYMETALをメタルっていうんだという声を聞いた
ではウェンブリーアリーナのような大きな場所でやるって
すけど、今の話を聞いていて本当にBABYMETALがウェ
『インカーネイト』ですが、今回も素晴らしい内容に仕上
ただジェシーは、ハワードとのヴォーカリストとしてのタ
り、ファンレターを読むと自分たちと同世代の子たちがメ
本当にすごいことだなって。実際ウェンブリーアリーナに
ンブリーアリーナに立つんだっていう実感がスゴく沸いて
がりましたね。もちろん前作『ディスアーム・ザ・ディセ
イプの違いや、再びバンドに復帰することによるハードル
タルに対して興味をもってくださったり。あと海外に行って
ライヴを観にいったんですけど、“本当にここでやるん
きました(笑)
。しかも日本人で初めてのアーティストで。
ント』もかなりの力作でしたが、前作はどちらかという
にも苦労しただろうなと思います。実際、復帰直後のライ
日本語で歌詞を歌っていくなかで、日本語だから通じない
だ!?”っていう感覚に近いですね。私たちにとってイギリスっ
本当にBABYMETALじゃなかったらできないことをやる
と、バンドとファンがいっしょになってジェシーの復帰を
ヴでは歌うのがツラそうだ…という意見も出ていました。
ハズなのに“イジメ、ダメ、ゼッタイ”を聴いて、今まで
て第二の故郷みたいな場所だなって思っていて。それぐらい
んだなと思うとプレッシャーを感じて不安な気持ちもある
祝うような作品だったように思います。今回はハードコア
ハワードの声を生かした過去の曲を歌うのは、だれでも難
引きこもっていたけどこの曲に救われてもっと前に出よう
私たちにとって新たなものを与えてくれる場所、そして新
んですけど、だけど今までの経験が背中を押してくれるの
やメタルのアグレッシヴな要素と、メロディックな要素が
しいでしょうし。ジェシーはまさに全身全霊のパフォーマ
という勇気を持ちましたという声をいただいたり。本当に
たな道へ進む背中を押してくれる場所だなと思っているので、
かなと思って。どんなときもまわりにSU-METALと
絶妙なバランスのもとで成り立っているように感じまし
ンスを投げかけるタイプですから、スタミナ的にもきつい
言葉の壁を越え、ジャンルの壁も越え、常識をもぶち破って。
イギリスのライヴはもちろんスゴいところでやるんだなっ
MOAMETALがいて、神バンドさんがいて、スタッフさん
た。同時に、これまでのキルスウィッチ・エンゲイジの歴
ものがあったのではないかなと。新作はそのハードルを乗
私たちは去年から道なき道を突き進むと言っているんです
ていう感覚もあるんですけど、どうなるんだろうっていう
がいて、ひとりじゃない環境なので。ウェンブリーアリー
史をひとまとめにしたようにも思います。その上で、バン
り越えたジェシーと、バンドの初期からハワード在籍時の
けど、私たちが道を切り開くんだなという意識に変わって
楽しみ、期待の方が大きいですね」
ナはとても大きなステージだけど、そのぶんお客さんもた
ドとして次のレベルに到達するための挑戦も散りばめられ
作品まで網羅しつつ、次のレベルを見据えている。このレ
きて、それが“METAL RESISTANCE”だと思っている
MOAMETAL「今年は精神一到っていう目標を3人で掲げている
くさんいて、パワーになる源がたくさんあるんじゃないか
ていますね。
ベルまで到達するのには時間がかかったのではないでしょ
んですね。だからこれからもきっと私たちにしかできない
んDEATH! 精神一到にはひとつになって目標に向かっ
なって思うので、緊張も逆にそれをパワーにしていきたい
うか?
こと、私たちだからこそできることっていうのがあると思
てがんばっていこうっていう意味があるんですけど、
ですね。今までの2年間で吸収してきたものを全部出せるよ
そうなんだよ。今回は本当に時間をかけたんだ。恐らく…
うので、そういう意味も込めてこのタイトルなんじゃない
BABYMETALというものを絶対に変えたくないと思って
うなステージにしたいし、集大成みたいなライヴにもした
トータルで1年位かな。というのも、アルバムの制作中に
かって」
いて。どの場所にいってもずっとBABYMETALであり続
いし、だけどこれからまたツアーが続くのでこれからの
ジェシーが思い悩んで、じっくりと考える時間を必要とす
̶新作発売のタイミングで、ロンドンのウェンブリーア
けたい。そのBABYMETAL道を心にして、このメンバー
BABYMETALも楽しみに期待したいと思ってもらえるよう
リーナでライヴをやるじゃないですか。ボクがあそこで観た
ならできないことはないって突き進んでいきたいなって
な新しいスタートみたいなライヴにもしたいなと思います」
April - May 2016
text by Aya Miyahara & Yusuke Mochizuki
April - May 2016
07
オレは、ジェシーの書く、社会のネガティヴな部分に触れ
いやぁ、オレは一番好きなバンドはどれかだなんて選べな
た歌詞が特に好きなんだ。他人のネガティヴな部分や過去
いなぁ。オレは音楽が好きだから、好きなバンドがいすぎ
にとらわれず、自分なりにポジティヴにやっていこうって
るんだ。いくらでもいるって言えるくらいだし、そこから
いう感じのね。新作には本当に素晴らしい歌詞がたくさん
ナンバーワンを選ぶだなんて、無理だよ。
る瞬間が何度もあったからなんだ。ジェシーが曲なり歌詞
詰まっているんだけど… 特に“ヘイト・バイ・デザイン”
̶それじゃあ、もしアダムがほかの誰かだったとして、
のアイディアを持ちこむんだけど、しばらくすると「い
は、アルバムのなかでもオレは気に入っているし、恐らく
キルスウィッチ・エンゲイジのライヴを観にいったとしたら、
や、やっぱりダメだ。これは使えない」ってひるがえし
ジェシー本人もかなり自信を持っているんじゃないかと思
どうすると思います? モッシュピットに入って暴れる?
て、ボツにすることが何度もあったよ。自分で作った歌詞
う。この曲には、ほかのメタルバンドがあまり書かないタ
それともオレもあんなギターが弾きたい!! と思ったりとか。
や曲に、なかなか納得できないみたいだった。俺たちはそ
イプのポジティヴなメッセージが詰まっている。ほら、サ
どちらでもないだろうな。バーに座って、ビール飲みながら
の都度、制作を白紙に戻してやり直さなければならなかっ
ウンドとの相性がいいからといって、ネガティヴなことや
観ているんじゃないかと思うよ。ライヴはそうやって見る
たよ。結果的には、歌詞に特に時間がかかったね。でも、
ダークなことを書くメタルバンドって、多いだろ? でも
方が好きだからさ。飲むたびに気分がよくなって、なんだか
俺たちにとって歌詞というものは、曲と同じくらい重要な
ジェシーは、歌詞にたくさんのポジティヴなメッセージや
どんどんカッコよく聴こえてきちゃったりしてさ(爆笑)
!
ものだからさ。大部分のリスナーにとって、歌詞を読み込
精神を託している。俺はあいつのそういうところが好きな
オレがとるのはそんな行動じゃないかな。
んで深く味わったり、ライヴでいっしょに歌ったりすると
んだ。典型的なメタルバンドが書く歌詞とは、まったく対
̶新作に収録されている曲を早くライヴで味わいたい
いう体験は大事なことだ。だから、俺たちはジェシー自身
照的な歌詞が書ける。これは、キルスウィッチ・エンゲイ
のですが、次の日本公演の予定は決まっていますか?
が満足いくものができあがるまで、あえて待ち続けること
ジとしてとても素晴らしいことだと思うね。
申しわけないことに、まだなにも決まってないんだ。でも
にした。「自分自身が100%の誇りを持てる歌詞を書いて
̶新作アートワークでは、2匹の蛇と不死鳥が融合して
日本でショウをするのは本当に好きだし、ぜひまた行きた
くれ。時間はかかってもかまわない」と伝えたよ。ジェ
いますね。たとえば鳥をバンド、2匹の蛇がアダムとジェ
いね! 人々はとてもナイスだし、オレは日本食が本当に
シーが情熱を注いで歌詞を書けるかどうかということは、
シー…なんて見方もできるのではと思ったのですが。
大好きなんだから。それと、前回日本に行ったとき、野球の
そのままリスナーがアルバムに入り込めるかどうかに影響
俺とジェシーがあの蛇だって(爆笑)!? あのアートワーク
試合を観に行ったんだよね。めちゃくちゃ楽しかったんだ。
すると思ったんだ。
はジェシーのアイディアで、歌詞から着想を得たものなん
多分次回はもっと観に行くかも(笑)。
̶バンドメンバー全員がジェシーを信じていた…とい
だ。鳥や蛇は、人生におけるメタファー。蛇が進むかのよ
̶どのチームの試合を観にいったんですか?
うことですね。
うに曲がりくねった環境から、自分自身を解放しようとい
広島カープ! 球場もすごく良かったんだよ。ドームじゃ
そう。ジェシーとオレは本当にいい関係を長年続けているし、
う思いを鳥に託しているんだ。こっちのほうが、なんだか
なくて野外でさ、ちょっと雨が降っていたんだけど、それで
信頼し合っている。ツアー中、いろんな問題に直面し、
意味ありげに聞えない?
もいい感じのところで気に入ったよ。またぜひ行きたいね。
それを解決しながら一緒にアルバムも制作した。オレたち
̶たしかに(笑)。そのアートワークのアイディアも含
̶じゃあ、日本のファンへメッセージをいただけますか?
はともにクリエイティヴで、自分たちの仕事に熱心なんだ。
めて、アルバム全体を通してのテーマやコンセプトはどん
もちろんさ! まぁ、これは日本に限らず、すべてのファン
̶もともと、ジェシーの歌詞は聖書のようだと言われ
なものなのか教えてもらえますか?
へ伝えていることではあるけれど、俺たちのファンでいて
るくらい、高い評価を得ていますよね。今回も自分が体験
いや、アルバム全体としては、特にコンセプトはないね。
くれてありがとう。キルスウィッチ・エンゲイジは、曲を
してきた悩みや苦しみが垣間見られるようです。多くの人
さっきも言った通り、アルバム全体では一般的に人々が感
聴いて、ライヴを観て、応援してくれているみんながいる
が自分を重ねて、共感するのではと思います。
じたり、今まさに直面したりしている困難や課題から自分
からこそ存在し続けていられるんだからね。
ジェシーは、そういったたくさんの思いを歌詞に詰め込ん
自身を解き放つことを歌っている。だけど、それってほか
̶バンド結成から、2016年で17年になるんですよね。
でいるよ。加えて、リスナーにも同じような思いや経験を
のたくさんのアルバムにも詰め込まれていることだよね。
次のアルバムを出すころにはもう20周年を迎えるころじゃ
重ねている人もいると思うんだ。悩みを抱えていたり、どう
今作にはそれだけじゃなくて、ジェシーが抱く、現代の政
ないかと思いますが、アニバーサリー的なことは考えてい
やって克服していいのか分からなかったり、人生において
治や社会、人々に対するメッセージ、意思表明も込められ
ますか?
とても困難な時を迎えていたり。そういった人たちにも、
ているんだ。いろいろなタイプのことを語っているんだけ
17年かぁ…いや、でも20周年まで続けられるかどうか自体
世代を問わずに共感してもらえるんじゃないかな。人生っ
ど、全体としては“自分自身の力”に関して語っているん
が想像できないよ(笑)!
ていうのはチャレンジの連続で、ひとつ乗り越えたと思っ
じゃないかな。
̶そんなことありませんって(笑)。
たら、また次のチャレンジが待っている。それをいくつも
̶アルバムタイトルの『インカーネイト』とは、なにか
アハハハ、そうだなぁ。もし続いていたとしたら、キミの
乗り越えていくことで、より良い人間になれるんだ。でも、
に肉体を与える、実現する、化けるといったような意味の
言うとおり、なにかしらスペシャルなことをするべきだ
選択は人それぞれ。他人からなにかを奪ったり、争ったり
言葉ですよね。あなたはステージ上でスーパーマンのマン
ね。たとえばそれぞれのアルバムから全曲披露とか、そう
するのではなく、自分のできる限り、思いつく限りの最善
トを羽織りますし、先日はアメリカの音楽雑誌の企画で、
いうことだね。オレにとって20周年はかなり大きな節目だ
を尽くして、より良い人間になる努力をすることが必要な
メンバー全員が『スター・ウォーズ』のコスプレをしてい
よ。バンドを始めたころは5年続くかどうかですら想像でき
んだっていうことを、若い世代のリスナーにも歌詞から感
ました。もし、なんでもインカーネイトできる(=化ける)
なかったんだから。17年だって、俺にとっては相当クレイ
じ取ってもらいたいね。
とするならば、どういったことをしたいと思いますか?
ジーなことだよ。
̶さきほども言ったように、ジェシーの歌詞はとても
これは難しい質問だなぁ(笑)。それって、誰かをもう一度
̶20周年はもちろんですが、30周年、40周年も視野
高く評価されています。あなたが今回、ジェシーの歌詞を
この世に生き返らせるってことでもいいんだよね? そう
に入れておかないとですね(笑)。
待ち続けたのも、彼が素晴らしい詞を書くとわかっている
だなぁ…だったら、昔のレッド・ツェッペリンを復活させる
30周年だって!? 無理だよ! そのころにはオレはこの世に
からこそだと思うんです。その待ち続けた新作のなかから、
(笑)
! 昔のツェッペリンのショウを観たいんだよね。それ
いないか、車椅子にでも乗っているんじゃない(爆笑)?そ
特にお気に入りの曲を選んで、なぜその曲が気に入ってい
ができたら、クールだと思わない?
のころには歳を取りすぎているよ。でも、みんなが望む限
るのか理由を教えてもらえますか?
̶レッド・ツェッペリンとは意外ですね。もしかして、
りこれからもプレイし続けることは約束するよ。
一番好きなバンドなんですか?
08
April - May 2016
April - May 2016
09
Text by Tsunetoshi Kodama
2016年は8月20日(土)、21日(日)
ナーに、BABYMETAL、マリリン・マン
ホワイトステージへと山を登らざるを
ともに、知的でストイックな高揚感の
また、新人として台風の目になりそう
に開催されるサマーソニック。今年も
ソン、オール・タイム・ロウ、マニッ
えなかった。
レディオヘッドに対し、知的で開放的
なのが、まだあどけなさの残る20歳の
東京公演は千葉・QVCマリンフィールド
ク・ストリート・プリーチャーズ、ディア
そしてアット・ザ・ドライヴインを観
な高揚感なのがアンダーワールドと
気鋭、ラット・ボーイ。ロックとヒップ
&幕張メッセ、大阪は舞洲サマーソ
ンジェロ&ザ・ヴァンガード、オリー・
たのだが、オマー・ロドリゲス(g)と
いったところか。とにかく当日は真夏
ホップを融合させたスタイルは、UK
ニック大阪特設会場で行われ、1日目
マーズ、MAN WITH A MISSION、ミュー、
他の4人の間には明らかな温度差があ
の野外という開放的な空間の雰囲気も
のインディロック少年が無邪気な感覚
と2日目で東京と大阪の出演者が入れ
Fear, and Loathing in Las Vegasらが
り、パフォーマンスも精彩を欠いてい
相まり、会場が巨大なダンスフロアと
でハイブリッドな音世界を作り上げた
替わるのも例年どおり。
出演。ザックリとだが、R&B系及びエレ
たと言わざるをえない。正直、冷めた
化すことは必至だ。まあ、ここで言う
かのよう。誤解を恐れずに言うならば、
なお、夏フェスの先駆として20回目
クトロ・ダンス系アーティストの出演が
表情で淡々とギターを弾くオマーから
のもちょっと強引なのだが、夏フェス
オタクなひとりビースティ・ボーイズ
を迎えるフジロックフェスティバルは、
目立だった年だったような気がする。
はまったくやる気が感じられず、
ライヴ自
の鉄則として小まめな水分補給と自分
といった印象もある。リリースはまだ
サマソニに先立って7月22日
(金)
∼24日
そんな中、筆者が最も印象的だった
体も持ち時間より早く終わった記憶があ
のペースを忘れずに、当日は瞬間瞬間
ミックステープと数枚のシングルしか
(日)に開催。レッド・ホット・チリ・
のは、東京公演初日の深夜にホステス・
る。となればレディオヘッドがまだま
の高揚を心と体で味わいたい。
ないが、2016年2月に発表された英誌
ペッパーズ、ベック、シガー・ロスを
エンタテインメント所属アーティスト
だライヴ中のグリーンステージへと、
10thアルバム『ウィーザー』のリリー
ニュー・ミュージカル・エクスプレスの
各日のヘッドライナーに、バトルス、
によって行われた、ホステス・クラブ・
筆者がダッシュで戻ったことは言うま
スを4月1日に控えるウィーザーは、
NMEアワーズではベスト・ニュー・
ジェイク・バグ、クーラ・シェイ
オールナイターでのF.F.S。彼らは50年
でもない。その道すがら木々の隙間から
2005年以来のサマソニ。彼らはこれま
アーティストに選出。今後のブレイクは
カー、リー“スクラッチ”ペリー、ロ
近くにわたってひねくれポップを指向
は、カラフルなライティングが高揚感
でにも、3枚のセルフタイトル・アルバ
間違いないので、まずは彼が忍者に追わ
バート・グラスパー・エクスペリメント
するスパークスと、2000年代以降の
に包まれたグリーンステージを浮かび上
ムをリリース。それぞれのジャケットの
れるクレイアニメのクリップが楽しい
らが出演。伝説の第1回で1日目のトリ
英ポップロック界を代表するフランツ・
がらせる光景が見え、それこそ崇高な
色味から『ブルー・アルバム』
『グリー
最新シングル“MOVE”をチェック。
だったレッチリ(このときギターは、
フェルディナンドの合体バンド。もと
ン∼』『レッド∼』の通称で呼ばれ、
もちろんライヴメンバーとのバンドス
ジェーンズ・アディクションのデイヴ・
からアメリカ人にしてイギリス人ばり
ナヴァロ)、そして中止になった2日目
のクセを持ったスパークスは好きだっ
に出演するはずだったベックがトリを
たが、そこに影響下にあるフランツ・
務めるあたりは、20年前を意識しての
フェルディナンドの今日的なダイナミ
ことと思う。
ズムが加わることで改めて思わずニヤリ。
くれることだろう。もちろんステージ
ズ”はすでに全米チャートを席巻。
“L.A.
ピンクをテーマにした2ndアルバム
自分も第1回フジロックには行って
最高だった。
演出も楽しみ。さらには、6月にスペ
ガールズ”も、中心人物のリヴァース・
『君が寝てる姿が好きなんだ。なぜなら
いるが、初めての本格的な野外フェス、
ちなみに、ホステス・クラブ・オール
インで開催されるロック・フェス、プ
クオモ(vo,g)を彷彿させる眼鏡少年が
君はとても美しいのにそれにまったく
さらには不幸にも台風が直撃したあの
ナイターにはレディオヘッドの中心人
リマヴェーラ・サウンドで新作の楽曲
登場するクリップが話題となっている。
気がついていないから』も好評のTHE
日の山梨県富士天神山スキー場地区は
物としておなじみのトム・ヨークも、
を披露するとの噂もあり、新作に対す
心を優しくかき鳴らすポップチューン
1975、2010年代に懐かしくも新鮮な
凄まじすぎた。今でこそ「俺、あの中
ソロとしてトム・ヨーク・トゥモローズ・
る期待が高まる中、サマソニでのライ
は、夕暮れ時の野外が似合いそう。それ
サイケデリック・ロックを奏でるブ
で観たレイジ(・アゲインスト・ザ・
モダン・ボクシーズ名義で登場。DJ
ヴも観逃すことはできない。
こそドラマティックに変化していく空の
ロッサムズも、個人的にはオススメ。
ド
マシーン)が生涯のベスト・ライヴ!」
セットでのステージだったが、ギター
そしてヘッドライナーのもう片翼を務め
下、甘く切ない“L.A.∼”がプレイされ
ラマティックなロックサウンドで鮮烈な
などと自慢もできるが、八寒地獄をこ
を弾いたり踊ったりしながら、ミニマ
るアンダーワールドは、2011年にソニマ
たとしたら、忘れかけた青き日の胸の傷
日本デビューを飾った昨年のサマソニ
の世にいながら体験するのはもう勘弁!!
ルにして幽寂閑雅なエレクトロ世界を
ニへの出演はあるものの、サマソニへは初
が疼くかも…。
に引き続いてのナッシング・バット・
逆にあの日から日本のフェス文化が
パフォーマンスとして躍動的に昇華。
登場となる。彼らは、3月16日に6年ぶり
パニック!アット・ザ・ディスコは、
シーヴス、そして5月18日に日本での
今日のように根付いて育ってきたこと
場内を熱狂の渦に叩き込んだこともこ
となる7thアルバム『バーバラ・バーバ
ブレンドン・ユーリーのソロ・プロ
1stアルバム『シュミレイションズ』
を考えると、感慨深いのも正直なと
こに記しておきたい。
ラ・ウィ・フェイス・ア・シャイニング・
ジェクトとなっての最新アルバム『ある
をリリースするザ・ミラー・トラップ
ころだ。
さて、ここからは2016年のライ
フューチャー』をリリース。プロモーショ
独身男の死』
(2016年1月)が良かっ
のメランコリックかつエモーショナル
そんなフジロックに対し、今年のサ
ナップを見ていくことにしよう。なん
ン来日中だった同11日には、テレビ朝日系
ただけに、今年のサマソニで最も観た
なサウンドをライヴで体験できるのも
マソニも注目アーティストが目白押し
と言っても今年の目玉は、レディオ
『ミュージックステーション』に出演。
い出演者だ。今作はブレンドンが敬愛
楽しみなところだ。
である。この原稿を書いている3月前
ヘッドだろう。バンドのサマソニ出演は、
AKB48やKAT-TUN、いきものがかりら
するフランク・シナトラにインスパイ
今後も出演者が続々と増え、ステージ
半の段階で出演アーティストは第2弾
2003年に続いて2回目。近年では
と共演したこともまだ記憶に新しい。
アされたとのことで、ハイブリッドで
割りや今年のサマソニの全体像は徐々に
まで発表。レディオヘッド、アンダー
2012年のフジロックに登場し、この
2014年には名作『ダブノーベース
ダンサブルなポップパンク/エモの
明らかになっていくことと思う。そう
ワールドを各日のヘッドライナーに
ときのライヴは個人的にもいろいろな
ウィズマイヘッドマン』
(94年)のリ
フィルターを通したスタンダード作を
いった意味では、最新情報を見逃さな
ファーギー、ウィーザー、パニック!
思い出がある。というのも、メインの
リース20周年を記念した完全再現ライ
目指した側面が。そんなアルバムの世
い ためにもサマソニ公式サイト
アット・ザ・ディスコ、スウェード、
グリーンステージでレディオヘッドが
ヴをロンドンで行うなど、すでに30年
界観をライヴにどう具現化するのか注
www.summersonic.com/2016はマメに
トゥー・ドア・シネマ・クラブ、ア
パフォーマンスを行う一方、2番目に
のキャリアがあり、長きにわたってエ
目される。加えてパニック!アット・
チェックしておきたい。個人的には、
レッソ、チャーリー・プース、エル・
大きなホワイトステージには再結成した
レクトロ・ミュージック界を牽引して
ザ・ディスコは、ウィーザーとのダブル・
スラッシュ(g)やダフ・マッケイガン
キング、ジェイムス・ベイ、カシミア・
アット・ザ・ドライヴインのライヴも
きた彼ら。ニュー・アルバムでも攻めの
ヘッドライナーで今夏の全米をツアー
(b)が正式復帰したガンズ・アンド・
キャット、ムー、ポップ・エトセトラ、
控えていた。レディオヘッドは四方を
姿勢を見せ、エレクトロ・ミュージック
予定。リヴァースはパニック!アット・
ローゼズが出演することをまだ諦めて
日本勢はサカナクション、[Alexandros]、
自然が囲むシチュエーションの中、劇的
のさらなる可能性を追求。Mステで披
ザ・ディスコの最新シングル“ビク
いない。それこそ朝起きたら、電撃発
水曜日のカンパネラなどの出演が公に
な音世界に映像と照明を巧みに使った
露した“If Rah”をはじめ、混沌とした
トーリアス”の作曲にも関わっており、
表みたいなことにならない…かなぁ。
なっている。
演出で、スペクタクルなパフォーマン
時代にポジティヴなヴァイブを生む楽
スケジューリングによってはお互いの
昨年はファレル・ウィリアムス、ケミ
スを展開。近未来を描いたSF映画を観
曲群を聴かせている。
ステージに飛び入りすることも十分に
カル・ブラザースを各日のヘッドライ
るようだったが、筆者は冒頭の数曲で
あえて言うならばジャンルの違いと
考えられる。
10
April - May 2016
WEEZER
ヘッドライナーは
レディオヘッド、
アンダーワールド。
2016年の
サマソニを
徹底解剖する!
ものに触れた感覚すらあった。
THE 1975
UNDERWORLD
PANIC! AT THE DISCO
TWO DOOR CINEMA CLUB
SUEDE
ALESSO
THE MIRROR TRAP
タイルによる初来日も観逃し厳禁だ。
あれから4年。ロケーションは山中
“ウィーザーのカラー・アルバムにハズレ
から都会に変わるが、彼らはロックと
なし”の定説があるだけに、
今回の『ホワイ
その他にも1月に再結成後2枚目の
はなんなのかを自問自答し続けた牽引
ト∼』にも期待がかかる。実際、1stシン
『夜の瞑想』で改めてダークで耽美的な
者としての姿をまざまざと見せつけて
グル“サンク・ゴッド・フォー・ガール
世界を創造したスウェード、80年代と
April - May 2016
11
に届く日が来てほしいものだが、バンドが世に出そうと思える日を待ちたいと思う。
ビューだ。それだけ時代がよかったということであると同時に、こういった音楽への
そして新作『ゴア』が、ついにリリースを迎えることとなった。プロデュースは過去
期待も大きかったことの現れだろう。もちろんさまざまなバンドのサポートやドサ廻
数作を手がけたニック・ラスキュリネッツではなく、過去にスレイヤーやサム41等を
りといった下積みを経験していただろうが、ほかのロックバンドが踏んできた定石を
てがけた経験のあるマット・ハイドが担当。フラミンゴの群れが空を翔るアートワーク
踏まずに登場した存在なのだ。今ではどちらも世界的にも影響力が強い重要アーティ
も目を引く。最初に公開された“Prayers/Triangles”を聴いたとき、おそらく前作
ストなのは言うまでもないが、超ビッグネームとしてさまざまなフェスでヘッドライ
『KOI NO YOKAN』と、
『サタデイ・ナイト・リスト』の流れを強く汲んだ作風になる
ナーを務めるまでになったKORNに対し、デフトーンズはアーティストやアンダーグ
のかと予想した。たしかに1曲ずつ聴き進めていくと、重量感はたっぷりながら、メタ
ラウンドなシーンから絶大な評価を得ているという違いも面白い。いろいろな意味で、
リックなサウンドよりもふわふわとした浮遊感や、とろけるようなメロディが主張して
KORNとデフトーンズの関係は、メタリカとスレイヤーにそのまま置き換えることが
おり、
『KOI NO YOKAN』の発展形と言えるような作風だ。
“Prayers/Triangles”に
できるようなものだ。
続いて、いきなりヘヴィリフを叩きつける“Acid Hologram”と“Doomed User”
、不穏
メタルばかり聴いていたというステファン・カーペンター(g)と、ヒップホップや
なノイズとアルペジオ、それにメロディが絡みあっていく“Hearts/Wires”や“(L)
ニューウェイヴに青春を捧げたチノ・モレノ(vo)をはじめとするメンバー全員の間の
MIRL”、初期を思い起こさせるアグレッションを見せる“Gore”と、これまでの各要
化学反応が肝のデフトーンズ。どんなバンドでも、活動を始めたばかりのころは衝動
素をまとめた集大成的な側面を持ちつつ、エレクトロニクスやサンプラーもふんだん
が先走っているものだ。チノも「歌い方がわからないから叫んでばかりいた」とのこ
に用いることで、まさに彼らにしか成し得ない独特の空気感を作りだしている。
それに
とだが、それが後世のポストハードコアやスクリーモのスタンダードな歌唱法に直結
しても、フランクはあくまで全体を包み込む雰囲気を司ってはいるものの、EDMやダブ
しているのだから、世の中分からないとしか言いようがない。彼らの作品は新作『ゴア』
ステップのように、サンプラーを攻撃的なサウンドに転化しない手法には恐れ入る。
を含めて8枚を数えるが、彼らならではの空気感は、それこそ『アドレナリン』のころ
昨今のエレクトロ・ミュージックの波を知らないはずはないが、デフトーンズの楽曲
から不変だ。
にはこの使い方が最適なのだと、彼ら自身もわかっているのだろう。まさに重鎮の貫
鋭角的でありつつも和音の響きが豊かなギター、シンプルに曲の骨を支えることに
録と安定感をアピールしつつ、マンネリには陥らないさすがの作品だ。
徹するベース、スネアの数とタイミングが特異な、引き算の美学を持つドラム、空間
しかし“Prayers/Triangles”を公開したあと、ステファンが本国でのインタヴューで、
を染め上げるサンプリングとキーボード、そして血を吐くような叫び声となまめかし
不穏な言葉を口にする。
「このアルバムでギターを弾けたことを誇りに思えるほど、弾き
いメロディを行き来するヴォーカル。やっていることは同じなのに、一枚も同じ作品
たいと思えなかった」
「ほかのメンバーが出してきたアイディアが思っていたものとは
がないのだ。強いてあげるとすれば、
『アドレナリン』や『アラウンド・ザ・ファー』
違い、興味を持つことができなかった」
「メンバーはみんな同じ方向を見ているけど、
(1997年)では今以上にヒップホップやハードコアの影響が強く、格段に直情的でアグ
俺だけが違うところを見ている」…といったところだ。新作と、現在のバンドのあり
レッシヴ。しかし単細胞なモッシュ発生装置に終わることなく、全体を包む薄暗い、
霧
かたそのものを否定するかのような発言ばかり。
「自分が始めたバンドを辞めるつもり
がかかったような雰囲気は後に通じている。
『アラウンド・ザ・ファー』のレコーディ
はない」とは言っているものの、今後どうなるかわからないと締めている。これまで
ングからゲストとしてフランク(・デルガド/key, sampler)が参加、そのままツアー
になかった事態に、ファンがざわつかないはずがない。さらに数日後、今度はチノが
サポートを経て最後のピースとしてバンドに加入したことで、サウンドはさらにアトモ
別のメディアからのインタヴューにて、ステファンの件に言及。こちらは大元の記事
スフェリックになっていく。その集大成が、グラミー賞にもノミネートされた『ホワ
が見つからず、ニュースサイトによる断片的な記事しかないのだが「ステファンは毎日
イト・ポニー』
(2000年)だ。初期2作品の要素を残しつつ、レディオヘッド等とも並
スタジオに来ていた」
「俺はステファンのことが好きだし、バンドにおいて彼はとても
び称されるほどの実験性を、ポピュラリティと見事に融合させている。以降のデフ
重要な存在だ」
「アルバム制作に気持ちが入るまで、時間がかかったというだけのこと」
トーンズの作品は、
『ホワイト・ポニー』が基準になっていると言っていいだろう。そ
という趣旨の発言をしている。前述の通り、これまで不和によるメンバーチェンジを
してステファンが7弦ギターを導入した『デフトーンズ』
(2003年)、いつになくポッ
経験していなかった彼らだけに、ステファンの発言からくる不安が杞憂であってくれ
プでありつつ、ポストロック的なアプローチもふんだんに取り入れた『サタデイ・ナ
るといいのだが…。
イト・リスト』
(2006年)、再びアグレッシヴなサウンドに回帰するとともに、8弦ギ
とりあえず、ツアーは順調のようだ。すでに6月のフェスティバル出演まで予定が組
ターでメシュガー以降のジェントを意識した(しかしモロ出しじゃないところが、
またニ
まれており、彼らのヘッドライン公演ではソールドアウトとなっているものも少なく
クい)
『ダイアモンド・アイズ』
(2010年)、過去最高に抑揚のある大仰なメロディを
ない。5月にはペンシルヴァニア州出身のハードコア・バンドであるコード・オレンジ
聴かせる『KOI NO YOKAN』
(2012年)まで、作品ごとに違った要素を取り入れ、変
がサポートとして帯同することになっている。デフトーンズは1998年に初来日して以
バンドやアーティストには、大きく分けて二種類いると思う。ひとつは、キャリアや
わったアプローチを試しつつも、全体を一本の芯が貫いている。時代の空気を読むこ
降、2006年のサマーソニック出演および単独公演が実現するまでに長い時間がかかっ
作品を重ねるごとにスタイルを大きく変化させていくタイプ。時期によってファンが
とに長けていつつ、決して流されない彼らのバランス感覚とセンスの賜物だ。
たが、その後は2007年、2011年の東京公演、2013年のオズフェスト…と、しっか
違うものの、突然世界的な大ブレイクを手にすることがある。古くはビートルズに
以前チノは「すごく微妙なサウンドの揺らぎだったり、複雑に重ねたテクスチャー
りとアルバムをリリースするごとに日本に来てくれている。今回もぜひとも期待して
レッド・ツェッペリンから、メタリカやKORN、リンキン・パーク等がいい例だろう。
だったりで、的確な言葉が見つからない感情を音楽で表現しようと意識している」
おきたい。夏フェスでも、単独でも、はたまた別の形でも、とにかくまた日本に来
もうひとつは、基本的な大枠は崩さないまま、作風を変化させるのではなく、広げて
と、インタヴューで語ったことがある。強靭なグルーヴの奥底に感じさせる儚さこそ
て、あのライヴを見せつけてほしいところだ。
いくタイプ。いきなり売れるようなことはなくとも、熱い支持層によって足元が固め
が、デフトーンズ最大の特徴と言えるだろう。チノがTEAM SLEEPやCrosses、パー
ところで2005年前後にはかなり大きな体になっていたものの、2011年ごろにはト
られていくことが多い。これにはスレイヤーやキルスウィッチ・エンゲイジといった
ムズといった別プロジェクトで、ポストロックやニューウェイヴ、トリップホップ等
レーニングで激やせしたチノ。昨年のフェス等でのライヴ映像を見てみると、また再
含めて、デフトーンズというバンドを今一度分析し、振りかえって
バンドがあげられる。どちらがいいとか悪いとかではなく、単純にバンドや作曲者の
を追及しているのも、大きいのかもしれない。
び巨大化の様子が見て取れた(笑)。今年に入ってからの映像や写真では、まぁ多少は
みることにしよう。なぜ彼らがこんなにも支持されているのか、
スタイル、考え方による違いだろう(モーターヘッドやラモーンズ、AC/DCのように、
2008年の秋、ベーシストのチ・チェンが交通事故によって危篤状態に陥ってしまい、
やせたかな…という感じだが、油断はできない。日本に来る際には、ぜひまたシャー
じっくりと考えてまとめてみた。
頑なにスタイルを変えないままのバンドも例外的に存在するが)。デフトーンズはと
クイックサンドのセルジオ・ヴェガがサポートを務めた。盟友たちによるベネフィット・
プなチノの姿を見せてほしいと思う。
いうと、間違いなく後者だ。
ショウやコラボ曲“A Song For Chi”、そして多くのファンによる寄付や祈りもむな
カリフォルニア州はサクラメント出身のデフトーンズ。デビューは『アドレナリン』
しく。チは2013年4月にこの世を去ってしまった。そしてセルジオがそのまま正式
で1995年と、KORNよりも1年遅いが、ほぼ同世代だ。面白いのが、KORNにしても
加入するに至ったが、彼らが経験したメンバーチェンジは、この1回のみ。それも、
デフトーンズにしても、初めてのアルバムがいきなりメジャーからのリリースだとい
バンドの人間関係や音楽的なこととはまったく別の理由でだ。こういったところにも、
うこと。普通ならインディーズで何枚かEPやアルバムを出して知名度や実績をあげて
バンド内の絶妙なバランスが見えてくるかのようだ。ちなみに、チが生前最後に参加
から、満を持してメジャーへ…となるところが、KORNはEpic(日本ではソニー)から、
したアルバム『EROS』は、いまだに陽の目を見る様子がない。いつかファンの手と耳
DEFTONES
text by Yusuke Mochizuki
photography by Frank Maddocks
ヘヴィロック界の重鎮デフトーンズが 、
集大成的な新作をリリース!!
ついに8作目の新作『ゴア』を世界同時リリースするデフトーンズ。
叩き潰すかのようなヘヴィネスと、水を漂うかのような浮遊感、妖艶
なメロディをさらに増幅させた、バンドの集大成的な作風だ。残念
ながらインタヴューがどうしても間に合わなかったので、
『ゴア』を
12
デフトーンズはあのマドンナが主宰していたMaverick(日本ではワーナー)からのデ
April - May 2016
April - May 2016
13
無骨かつ叙情的なヴァイキング/メロデスの雄が 放つ、初のコンセプト・アルバム!!
AMON AMARTH
text by Yusuke Mochizuki / translation by Sachiko Yasue / photography by Ester Segarra
ひとりの若い男が主人公のストーリーを書き下ろしたんだ。ある既婚の女と恋に落ちた
2010年にようやく日本でラウドパーク
男が、彼女と駆け落ちをしようとする。しかし追手に捕まってしまい、その際に男は
に出ることができた。それまでもチャ
人を殺してしまう。そして国を追われることになった男が、ヨムスヴァイキングと接
ンスはいっぱいあったけど、最終的に
触し、一員になる…というのがシンプルなあらすじだね。
はなぜかみんな頓挫してしまってね。
̶新作は通算10枚目のアルバムになりますがこのタイミングでコンセプト作に挑ん
だからようやく日本行きが決まったと
だのは、バンドの成熟と、高まってきている人気を受けての挑戦といったところで
きは本当にうれしかったよ。その後の
しょうか?
単独公演やノットフェスも最高だった。
メンバー全員の意見を代弁することはできないけど、俺自身としては、これが10作目
すごくクールな経験だったし、観客も
だって意識がまるでなかった。次のアルバムをどうしようって話になったときも、い
素晴らしかったよ。
つもとほぼ同じだったよ。
「前のテーマはこれだから、今度はそれを一歩発展させてみ
̶アモン・アマースはメロディック・
ようか」なんて話をしていた。実は俺が書いたストーリーは、個人的なプロジェクト
デスメタルと同時に、ヴァイキング・
に使うつもりだったんだ。でもメンバーに見せてみたらすごく気に入ってくれてさ。
メタルともよく言われています。どっ
これをもとにアルバム制作に取り組むことになった。だから「よし、これは10枚目の
しりと勇壮な楽曲と、ヴァイキングを
アルバムだから、新しいものを作ろうぜ」なんて、みんなでじっくり話し合ったわけ
テーマにしていることがその理由だと
じゃない。前のアルバムとは違うものを作るにはどうしたらいいのかと考えての結果
思いますが、ヴァイキングをテーマに
なんだ。でも、こういうことをやるには、アート的にもミュージシャン的にも、自分
することにした理由は? また自分たち
自身に対して自信がないといけないと思う。そういう意味では、今回は挑戦するには
がヴァイキング・メタルといわれている
ぴったりのタイミングだったんだろうな。
ことについてはどう思っていますか?
̶とはいえ、音楽性に大きな変化があったようには感じませんでした。武骨で勇壮、
ヴァイキング・メタルと呼ばれること
熱くてアンセミックなアモン・アマースです。やはり自分たちがやるべきこと、求め
については気にならないけど、すごく
られていること、やりたいことはしっかりと自覚している…といったところですか?
不思議な感じがするよ。俺はバンドの
まぁ、俺たちはいつだってアモン・アマースだし、いつだって書きたいものを書いて
音楽性を歌詞に基づいて説明するのは
いるからね(笑)。ただ、新しいアイディアに取り組んでみたり、自分たちの音楽をそれ
変だと思っている。それだったらアイ
まで試したことのなかった新しい角度から見たりするための自信とインスピレーション
アン・メイデンだってブラック・サバス
はあったと思う。
だって、ヴァイキング・メタルになって
̶コンセプト作はバンドによって制作進行がさまざまですが、今回はどのように?
しまう。音楽と歌詞は別物なんだから。
コンセプト作とは意識せずに曲を作るバンドもいれば、こういった場面を表現するた
と言いつつ…俺は若いころ、ヴァイキ
めの曲がほしい。という形で進めていくバンドもいますが…。
ングについてすごく興味を持っていてね。
今回は、音楽がストーリーを反映しているものでなければならなかった。だからそれ
最初はほかの題材で歌詞を書いていた
自体、今までとはちょっと違ったアプローチになったね。今回のストーリーはすごく
んだけど、あるときヴァイキングを取り
壮大で、映画の脚本にすると140ページくらいあるんだ(笑)。そこから曲にしたくな
̶アモン・アマースのライヴはこれまでに何度か見ていますが、こうしてインタヴューをするのは初めてなので、いくつか基本的
上げた内容の歌詞を1曲書いた。そうしたら、メンバーがヴァイキングはアモン・ア
るような場面を抜き取って、それに合う曲を書いたんだ。全体的に、すごく意識的な
すでに20年以上のキャリア
なことを質問させてください。バンドは1988年に、前身となるSCUMというバンドを結成し、ヨハンの加入後、1992年にアモン・
マースの音楽にぴったりだって言ってくれたんだ。それで、その手のトピックを題材
プロセスだったよ。コンセプト・ストーリーだし、そのストーリーを強調する音楽を
を持ち、ヴァイキング・メ
アマースと改名したそうですね。SCUMではグラインドコアやデスメタルをやっていたとのことですが、バンド名と音楽性を変更し
に歌詞を書くようになって、いつのまにかすべてがヴァイキングになっていた(笑)。
書きたかったからね。
タル、そしてメロディッ
た理由はなんだったんでしょうか?
将来的にはほかのこともまた取り上げるかも知れないけど、ヴァイキングの神話には
̶“ザ・ウェイ・オブ・ヴァイキングズ”という曲がありますが、あなたたち自身も、
ク・デスメタルの大御所と
そうだね。SCUMではグラインドコアというよりは、もっとスウェーデンのトラディショナルなデスメタルをやっていたんだ。1991年
クールなネタがすごくたくさんあるんだ。無限なくらいにね。
ヨムスヴァイキングをコンセプトに据えることで、ヴァイキングとはなんなのか、また
に、オラヴィ(・ミッコネン/g)以外のメンバーがほとんど総とっかえになった。そのころに俺とベースのテッド(・ランドスト
̶マンガやアニメ等の物語で、ヴァイキングというものはなんとなくイメージは
自分たちがテーマとする意味を見直すことになったのではないでしょうか?
ローム)が加入したのさ。新しい音楽ではそれまでと違った要素を取り入れるようになったし、メンバーもガラリと変わったから、
持っています。ただ、やはりどこか誇張や間違った認識があると思うんですね。改めて、
それもあると思うけど、ストーリーそのものというか、俺が歌詞で表現したかったス
それならバンド名も変えようか、と言う話になったんだ。アモン・アマースは俺たち全員にとって、新しいスタートを切った感じ
スウェーデン人であるあなたから、ヴァイキングとはどういったものなのか、そして
トーリーが、ひとりの男が本格的なヴァイキングの戦士になるまでを描いたものだっ
だった。
スカンジナビアの人にとって、ヴァイキングとはどういった存在なのかを教えてもら
たからね。ヴァイキングがどれだけハードな訓練をするか、それにどれだけ真正面か
̶当時のスウェーデンを含むスカンジナビアでは、いわゆるメロディック・デスメタルが生まれた時期ですよね。しかし2000年代
えますか?
ら取り組むか。忠誠心、友情、戦うための訓練…そういうものを歌詞の中で表現しよ
めてコンセプト・アルバム
に入ると、多くのバンドがエレクトロニクスを取り入れたりと、アメリカのシーンを意識したような音楽性へと変化していきます。
ワイルドで勇敢なものだというイメージを持っている人は多いんじゃないかな。ヴァイ
うとしたんだ。ストーリーの中でもね。ひとりの男が戦士に成長していくストーリー
に挑んだ意欲作だ。その熱
そんななかでアモン・アマースはかたくなにスカンジナビアのメロディック・デスメタルを守り続けた印象です。
キングというのは、今は鉄器時代(西暦800年∼1050年頃)のスカンジナビア半島人
なんだ。主人公の、若くて向こう見ずで頑固で不屈で、ときにはものすごくバカな男
いサウンド、そしてバンド
スウェーデンのバンドとして意識していたというわけじゃないけど、自分らしい音楽を作ろうという思いはずっとあったね。もちろん、
と同義語みたいになっているね。ただ、いわゆる海賊という意味でヴァイキングと呼
には、俺自身が少し入っていると思うよ(笑)。俺もバカの域に達するくらい頑固なと
の歴史について、ヨハン・
ほかのバンドが自分らしくないって意味じゃない。俺たちは自分のやり方に強く固執しているんだろうな(笑)。俺たちはアモン・ア
ばれた人たちは、名誉や態度、忠誠心といったものについて厳格な掟のもとに暮らし
きがあるからね。
ヘッグ(vo)に話を聞い
マースのあるべき姿にこだわって、それに向かって努力してきたような気がする。それから、長年の間にメンバーが安定していった
ていたんだ。日本の侍に通じるものがあると思う。同時に、ヴァイキングは探検家と
̶最後に、日本のファンへのメッセージを一言お願いできますか?
た。写真の通りの強面の外
のも大きかったと思う。継続的にひとつのことに取り組むことができたからね。もちろん俺たちの音楽もアルバムごとに少しは変化
して世界中を旅する中で、たくさんの人たちと貿易を行い、優れた政治家や外交官の
少し恥ずかしいね(笑)。日本にまた行ける機会ができることを、本当に楽しみにして
見とは裏腹に、とても穏や
があったけど、俺たちが音楽で達成したいことの核はいつも同じだった。
役割も果たしていた。クリストファー・コロンブスよりも前に、アメリカ大陸でネイ
いるんだ。このアルバムを引っさげて、何公演もプレイできるといいね。みんながこ
して支持されるアモン・ア
マース。通算10作目となる
新作『ヨムスヴァイキン
グ』では、キャリア史上初
かかつ丁寧な口調が印象的
な取材となった。
14
道だったよ。何年もかけて努力を重ねて、
April - May 2016
̶初めての日本公演は2010年のラウドパークと、少々時間がかかった印象ですが、その後2012年にヘッドライン公演を実施し、
ティヴ・アメリカンと交易をしていたくらいさ。加えて、優れた兵士でもあったん
のアルバムを心から楽しんでくれることを願っているよ。自信作だからね。現時点で
2014年にノットフェス・ジャパンで日本に来ていますね。キャリアとともに、より広いフィールドにバンドが受け入れられ始めてい
だ。そう言う意味でとても魅力的な人々だと思う。
はまだなにも決まっていないけど、もちろん日本に行くことは視野に入れている。ツ
ることの表れだと思います。
̶新作『ヨムスヴァイキング』ですが、バンドにとって初めてのコンセプト作だそう
アーで会おう!
今は世界中のどこにでも行けるようになったし、俺たちはいい立場にいると思うよ。最近は音楽で生計を立てることができるように
ですね。10世紀頃に活躍したとされるヨムスヴァイキングをテーマに、ヨハンが書き
なったしね。日本でもそうであることを願っているよ。日本に行くのは大好きだ。行くたびに本当に楽しい時間を過ごしているよ。人も
下ろしたオリジナルのストーリーを表現したコンセプト作だと聞いています。どんな
素晴らしいし、毎回プレイするのが楽しい。素晴らしい国だと思うし、ぜひまた日本でプレイしたい。でも正直、ここまでは苦難の
ストーリーなのでしょうか?
April - May 2016
15
自ら殻を打ち破って、
打ち出した新たなLOKAのオリジナル!
LOKA
text by Tomoo Yamaguchi
メタルはほとんど聴いていましたね」
3曲目の“CALLING”だろうと決まっ
KEN'ICHI「でももともとの入りは、SINは横浜銀蠅なんです
(笑)」
ていたので、それを主軸にハードな曲
SIN「よく覚えているね! も欲しいね、エモーショナルな曲も欲
1回しか話したことないよ。びっくりした(笑)」
僕が小学生のとき、初めて買ったCDが銀蠅なんです(笑)。
しいねというふうに選んでいったんです」
KEN'ICHI「そういう僕はもともと、親の影響で演歌が好きだったんですよ
(笑)。そこか
SIN「1枚通してストーリーがあるものに
らX JAPANを聴くようになって、中学時代からは洋楽。それこそキッスとかジューダ
したかったんですよ」
スとかスレイヤーとか。でも、高校生のときに宇多田ヒカルっていいな。ステイ
̶その結果、曲ごとに変化をつけな
シー・オリコって超いいなってR&Bも聴くようになって、そこからメタルはメタルで
がら、あれこれと幅を広げずにダイナ
もエモーショナルなやつ。たとえばエヴァネッセンスとかリンキン・パークとかブレ
ミックにバンドのイメージをアピール
イキング・ベンジャミンとかにハマりましたね」
する作品になりましたね。ところで、
SIN「メタル以外はバラバラだよね。僕はメタルの後はずっと高中正義さんをはじめ、
今回、ベーシストがMiroさんに代わり
日本のフュージョンを聴いていました。演歌もおばあちゃんっ子だったんで春日八郎
ましたが、前作とその後のツアーで残
さんは今でもたまに聴きますね(笑)」
した成果をステップに新作をリリース
KEN'ICHI「たとえば、今回の“GOD
して、さらに活動を進めていこうとい
素がメインで、ちょっとメタルの要素が入っている曲なんですけど、そこにファン
うときにメンバーが抜けてしまったこ
クっぽいギターを加えるっておもしろい。それはフュージョンを聴いてきたからこそ
とは痛かったんじゃないですか?
ですよね」
KEN'ICHI「大事件ですよ!
SIN「なにか違うこととか変なこととかしたくなっちゃうんですよね
(笑)」
新作の制作が
GONE TO VEGAS”って曲は4つ打ちのEDMの要
7、8割終わっていたので、このまま進
̶リリースを待たずに3月21日の下北沢GARDENを皮切りに「THE ORIGINS
むのか一旦止まるのか悩みましたね。
TOUR」と題したツアーが始まりますね。 「THE ORIGINS」という言葉にはどんな意
でも、作っているものはリリースしたい。
味が込められているんですか?
じゃあリリースしようって決めたんで
KEN'ICHI「新作から新しい体制のLOKAなんですけど、これがやっとオリジナルだよっ
すけど、とりあえずスケジュールを一度
ていう。もちろん、今までもオリジナルではあったんですけど、やっとこれでLOKA
白紙に戻したうえで、新しいベースを
になれたと実感したとき、kihiroの中からその言葉が出てきたんですよ」
入れるのか入れないのか話し合ってい
̶ツアーでは新曲もやるんでしょうか?
たタイミングで、Miro君からやってみ
SIN「もちろん。全曲やりたいですね。いや、やるでしょうね」
たいという話をもらって」
KEN'ICHI「うん、やります。Miro君は前のベースとはタイプが違うんですよ。新作では
SIN「もともと、僕の知り合いだったん
前のベースが弾いている曲もあるんですけど、それをライヴでMiro君がプレイするこ
ですよ」
とで、Miro君の個性が反映され、CDとはまた雰囲気も変わると思うんですよ。その意
̶前作の『QUATTRO』とその後のツアーを経て、タイトルにも表れているように今回の『EVO:ERA』でバンドは新たな局面を迎
KEN'ICHI「それで、彼がやっているバンドのライヴを、kihiroと僕で見にいって、ライヴ
EDM=Electric Dance
えたようですね。
の後、楽屋で話をしたら、ライヴを見た印象も大事なんですけど、話した印象とか、
なかった人にはこういうのもあるんだぜって提示したいし、常に進化している状態は
Metalを掲げ、国内に止まら
KEN'ICHI「このバンドを始めて4年ぐらいになるんですけど、LOKAを最初に始めたkihiro(vo)と僕がSIN(g)、前のベースと出会っ
こういうバンドが好きなんですよとか、ライヴからは見えないようなバックグラウン
見せていきたいですね」
ない活動を展開している4人
て、その4人で出した作品が『QUATTRO』ってアルバムなんです。そこからメンバーみんなそれぞれに曲作りをするようになったん
ドが見えてきて、おもしろいかもしれない。じゃあ、やってみる? って最初はサ
SIN「だからって、まるっきり変わってしまったわけではない。ORIGINという言葉には
組、LOKAが3作目のアル
ですけど、前作は4人のキャラクターを出していこうという意識の下、曲作りをしました。その後、海外も含め、ツアーもしながら、
ポートで入ってもらって、そしたらMiro君からも正式にメンバーとしてやりたいって
変わらないものという意味もあるんです。新作のタイトルには進化期という意味があ
バンドのチームワークを強くしていこうって活動してきたんです。新作はその延長線上ではあるんですけど、そこにプラスαしたい
言ってくれたんで」
るんですけど、今までの良さもちゃんと残っているし、それも含め、研ぎ澄まされた
よねって話になって、今回、fade(無期限活動休止中)のruiさんにプロデューサーとして入ってもらいました。僕ら4人とプロ
SIN「そういう巡り合わせだったのかな」
自分たちを見てほしいですね」
デューサーで1枚の作品を作ろうということで、やりたいのはこういう音楽という僕らの世界観も引き継ぎつつ、ruiさんのアイディア
KEN'ICHI「LOKAはそういうのが多い」
KEN'ICHI「海外ツアーも今、企画しているところなんですよ」
も入っているんです」
SIN「僕が入った経緯もそんな感じだったんですよ。前にやっていたバンドの活動が止
̶前回、ヨーロッパに行ったときはマクドナルドばかり食べていたそうですね
̶プラスαを加える必要があると、どこかの時点で感じたんですか?
まってしまって、どうしよう? ってそのバンドのレコーディングエンジニアさんに
(笑)?
KEN'ICHI「4人の意見だけでやっていても考え方が広がらないというか、もちろん成長はしていくと思うんですけど、さらに広げていき
相談したら、ちょうどLOKAがギターを探しているから会ってくればって。そういう
KEN'ICHI「向こうの食事が口に合わないことが多かったんですよ。そういうときマック
づける。今回はバンドを代
たかったんです。ruiさんとは以前から付き合いがあって、LOKAってライヴはメチャメチャかっこいいんだけど、楽曲が惜しいんだ
人の縁がつながるバンドなんですよ」
だったらはずれはないですからね」
表して、KEN'ICHI(ds)と
よねって言われていたんですよ(笑)。その惜しい部分ってなんだろうってところを、今回は掘り下げていきました」
KEN'ICHI「最初はkihiroと僕にサポートメンバーを加えてやっていたんですけど、バンド
SIN「それにライヴが終わったあとだと、お店が閉まっている。唯一開いているのが
SIN(g)のふたりが新作に
SIN「でも、プラスαを求める危機感みたいなものはバンドをやるうえで、常に持ってないといけないと思うんですよ」
にしたかったからメンバーはずっと探していたんです。でも、こっちからガツガツ探
マックなんです。マックってどこでもがんばっているんだなって思いましたよ」
バム『EVO:ERA』をリ
リース。E、D、Mそれぞれ
の要素を追求しながらより
一層、バンド然としてきた
サウンドがその進化を印象
味では、今まで見てきてくれた人には今のLOKAを見てほしいし、今までLOKAを知ら
ついてのみならず、メン
̶具体的にはどんなことからやっていったんですか?
しに行くより、自然と巡り合わせのタイミングを待つのもいいんじゃないか、気楽に
KEN'ICHI「なに食べたい? ってフランス人のスタッフに聞かれて、おにぎりが食べた
バー交代、意外なバックグ
KEN'ICHI「まずは曲作りでしたね」
考えてみないかって話をしていた矢先にSINと巡り合って。Miro君もそうでしたね」
いってずっと言っていたんですよ。そしたら、わかるよ、わかるけど、でも、おにぎ
SIN「LOKAのことは前から知っているけど、一人ひとりのことは知らないから、とにかく曲を作ってこい、と。そこからそれぞれの
̶Miroさんの意外なバックグラウンドっていうのは?
りはないんだよって(苦笑)」
得意としていることやルーツを見つけて、さらにそこを伸ばすような曲作りをしていったんです。そこに前作との違いがはっきり出
KEN'ICHI「そのときやっていたのが、ポップ寄りのロックだったんですよ。でも、話し
SIN「なにがつらいってお米が食べられないこと。日本に帰ってきて、すぐにコンビニ
ました。僕は前作から参加したせいか、前回はバンドに対するイメージを勝手に作って、そこに寄せる曲作りをしていたところが
てみたらジューダス・プリーストとかアイアン・メイデンとかって名前が出てきて、
の弁当を食べましたもん。なんでもいい、米を食わせてくれって(笑)」
あったんですよね。でも、今回、曲の作り方ががらっと変わりました。それは全員に言えることかもしれないですけど」
本当はKORNとかリンプ・ビズキットとかそういう音楽が大好きなんですって(笑)。
KEN'ICHI「向こうに行って、本当に困ったらこれを食べようって、カップ麺を持って
KEN'ICHI「得意なのはこういう曲かもしれないけど、今まで作ったことがないような曲を、来週までに何曲か書いてきてよとか、ひと
でも、今までできる場所がなかった。LOKAならそういう音楽ができるからやりたい
いったんですよ。食事が口に合わないストレスが続いている中で、お腹すいたねって、
り今月中に10曲作ってきてよとかって言われたこともありました。その時期はめっちゃ曲を作ったよね」
ですって」
深夜にお湯を沸かしてどん兵衛を食べたときは、どん兵衛ってこんなうまいんだって
SIN「うん、ひとり30曲ずつぐらい」
̶KEN'ICHIさんもSINさんもそのへんがバックボーンとしてあるわけですね。
めっちゃ感動しました(笑)。いや、そんな思いをしてでも行きたいぐらい海外ツアー
KEN'ICHI「その中からレコーディングしたのは10曲なんですけど、最後にその10曲を並べて、アルバムとしてのまとまりを考えながら最
KEN'ICHI「LOKAの中でも僕らふたりはメタル育ちですね」
は楽しいので、今回もぜひ実現させたいんですよ」
終的に7曲に絞りました。10曲入れてもよかったんですけど、無理に曲数を増やすよりは、アルバムとしてまとまりがあったほうがいい
SIN「僕はもともと、いわゆるジャパメタが好きで、そこからルーツを辿って、80'sの
ラウンド、そして新作リ
リース後の活動について
語ってくれた。
16
と考えて、
『QUATTRO』の次に出すなら
April - May 2016
April - May 2016
17
していた人間の色は消したくないし、
その人たちに、家族や友だちと本気でライヴを楽しんでもらえるバンドでいなきゃダメ
ラウドなバンドをやっていたメンバー
なんじゃないか」と話し合ったんです。たとえば最低でも2階席があって、椅子に座って
の持ち味も残したい。みんなを生かす
観る人もいれば、下のフロアではモッシュやダイヴをする人たちもいるとか。きれい
ことができる音楽というものをすごく
ごとかもしれないですけど、そういうバンドになりたいよなっていう気持ちだけは、
考えています。全員がこの音楽をやり
みんな明確に持っていました。そのためにはどういう風にしたらいいかを考えながら
たい、この方向性でいこうと言って動
作っていくと、こういう音楽になったかなという感じですね。自分たちが持ってきた
き出したバンドではなかったので、逆
ものと自分たちが向かうべきもの、このバンドが始まって教えてもらったこととかを
にみんなの味を消さないようにするた
かみ砕いていくと…今後もっと曲が増えてフルアルバムをリリースして、ワンマン
めの音楽を考えながらやっていくと、
ライヴをやることになったら、20曲以上をやるわけじゃないですか。そうなったとき
メタリックなリフとラップが一緒に
に、頭から最後までずっと激しい曲というのはどうなんだろう、と。その辺を考えて
なったりとか。そういうのも別にいい
いくと、けっこう曲も自由にできるようになってきたかなと。
だろって感じになっていきました。メン
̶新しいミニアルバムを前作と聴き比べてみたときに、今回はより洗練されて、音
バーそれぞれ好きな音楽も全然違いま
が研ぎ澄まされていると思いました。たとえば“Walk the Talk”ではヘヴィなギター
すけど、同時に「こんなことはやりた
リフがありつつ、四つ打ちのリズムにいきなり移行したりする。結成から2年と少し経ち、
くない」っていうような人たちではない
作曲やツアーを重ねることで、Xmas Eileenとしていろんなことがやりやすくなった
ですし、すごく僕を信頼して任せてくれ
感覚があるのではないでしょうか?
ているので、それを裏切らないように
逆に昔の方が難しく考えていたかもしれないですね。今は、言い方は悪いですがシャレっ
考えながらやっていますね。最初のこ
ていうか…今話に出た“Walk the Talk”では、2番のサビが終わってCメロに移るときに、
ろは本当に難しかったですけど(笑)。
すごくメタリックなギターのリフでブレイクしていくところがあるんです。あれなん
̶プロデュースやアレンジをするメ
かも「とことんメタリックにしたれや!」という感じでやったんですよ(笑)。これは
ンバーとは別に、ギタリストやドラ
どう収拾つけるんだとアレンジャーの人と話していたときも、最後はなんとかなるか
マーからアイディアが出てくることは
らと(笑)。そんな感じで楽しみながら作りました。
ありますか?
̶そうなると、作業の流れが変わったりもしたのでは?
もちろんあります。歌を乗せるときに
前作とはレコーディングの環境を変えたので、サウンド面は格段に良くなっています。
しても、もっとここはこうしたほうが
音の作り方という部分では、みんな新しい機材を買ったりとかして徹底してやりました。
いいんじゃないかとか、そういった意見は
アレンジャーも言っていましたけど、バイオリンやチェロの音をひとつ入れるにしても、
みんな言ってくれています。よくまとま
映画製作に使われているぐらいにクオリティの高い機材を導入したりとか。音の作り
るねって言われることが多いんですけ
込み方に関してはかなりこだわりましたね。
ど、
不思議とまとまるんですよね(笑)。
̶全体的に曲が短いですよね。加えて、フェイドアウトもなくスパっと終わる曲
衝突することもないですし。
が多い。
̶たとえば、映像やグラフィック担
たぶん、どれも4分あるかないかぐらいですね。でも1曲ごとの情報量が多いので、
̶2013年のクリスマスにバンドがスタートしたとのことですが、どんな経緯だったんでしょうか?
当のメンバーから「こんな映像のアイディアがあるんだけど、これに合わせた曲は作
今回のミニアルバムの5曲まとめて聴いても「もう終わるの? もっと聴きたかったの
メンバーは全員、白いマスク
もともと、僕がバンドと、ヒップホップのグループとでふたつの音楽をやっていたんですね。両方で僕がリーダーだったんですけど、
れない?」なんて提案があったりはしませんか?
に!」という気持ちを残させたいというのがあるんで、それが反映されているかも
とトレンチコートに身を包み、
どちらもほぼ同時期に活動停止することになって。そのときに、僕も一旦音楽そのものを辞めようかとも思ったんですけど、バンド
いや、映像やデザインなんかも僕が指示を出しているんです。僕がラフや絵コンテを
しれないですね。曲はなるべく早く終わるようにしようというのは心掛けています。
各人の名前だけでなく、プロ
とヒップホップユニットそれぞれのメンバーに、
「まだ僕と音楽をやりたいと思ってくれているのなら、この日のこの時間に集まって
書いて、それを映像チームなりデザインチームが具現化するので、僕がどうしたいの
長くなるのはいやだから、省くところも多い。曲を作っていく度にみんな引き算がう
デューサーやヴィジュアル
くれ」とメールを入れたんですね。そのときに集まったメンバーが、今のチームなんです。
かをみんなが拾ってくれている形ですね。同時に僕が出したものに対して、考えつか
まくなってきていますね。
̶なんだか少年漫画みたいですね(笑)。
なかったような色付けもしてくれますし「あのアイディアがこうなるんだ」って驚く
̶どの曲にもお客さんみんなで一緒に歌えるシンガロングパートを意図的に仕込ん
そうですよね(笑)。それで、僕を含め前にラップをいっしょにやっていたメンバーがフロントに立って、バンドはバックのサウンド
こともあります。音にしてもグラフィックにしても映像にしても、細かい部分で僕が
でいる感じがします。これも、最初に触れた「みんなが楽しめる音楽を作る」という
を担当することになりました。でもドラムは、以前のバンドではもともとギターを弾いていたんですよ。Xmas Eileenをやるにあたって
考えていたものとは若干違うものがあがってくることも、ときどきあるんですよ。でも
ことに直結していますよね。歌えるパートがあれば、2階席で観ている体力的にモッ
ドラムを始めたので、歴としてはまだ2年も経っていない。最初ドラムがいなかったんですけど、彼が「これで最後のバンドだと思っ
意図を聞いて、なるほどと思ったらそれを採用します。
シュができない人たちも参加できますから、一体感を生むという意味ですごく大事な
て一緒にやりたいから、ゼロから探して気心の知れない人を入れるくらいだったら、自分がやる」と言って、猛練習をしていまし
̶特に刺激や影響を受けたバンドや音楽ってどんなものですか?
ことですよね。
続く新ミニアルバム
『WORLD
た。ベースだけがどうしてもいなかったんでサポートをお願いしていますけど、彼も前から知っている人ですし。で、前のバンドで
ジャンルというよりも、ひとつひとつのアーティストを深く聴いたり、分析するような
そうですね。みんなで歌える場所を用意しようというのはすごく意識してやっています。
COUNTDOWN』の発売を
ギターやベースをやっていた人たちは、
「自分たちはプロデューサーやアレンジャーとして裏方に徹した方がスムーズに物事が動くと
感じでしたね。たとえばレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンが大好きなんですけど、
̶ミニアルバムのリリース後、4月にザ・ケミスツの来日公演をサポートして、5月
控えた彼らに初インタヴュー、
思うから、俺たちは一緒に楽曲を制作する側に回る」という話になって。プロフィールにクリエイター集団と書いているのは、メン
同時にMr.Childrenも好きですし、ほかにも秦基博さんもいいと思います。レイジの
からツアーが始まります。ツアーの日程はファイナルまで発表されていますが、どんな
すべてを司る「ヴォーカル
バーやプロデューサーのほか、映像制作やデザインの担当もそっくりそのまま残ってくれたうえで新しく動き出したからなんです。
本気の暴れっぷりも好きだけど、ミスチルの熱い日本語で音楽やることも尊敬する。
ツアーにしたいですか?
右」に話を聞いた。どんな策士
̶映像やアートワークも作品の一部…と言うアーティストは多いですから、理にかなっていますよね。ただ、メンバーの顔やチー
そんな感じですね。なんであれ、いいものはいいという感覚で聴いてきました。
さっきも言った、いろんな人たちが楽しめるということ、その部分がさらに強化され
かと思いきや、むしろまっす
ムの人数も秘密とのことですけど、それはどういった意図で?
̶もうすぐ新しいミニアルバム『WORLD COUNTDOWN』をリリースしますね。
たなと自分たちもお客さん側も思えるようなものにしたいですね。ツアーファイナルを
ぐに音楽を追求する生粋の
今までやってきた音楽が、自分たちのなかで貯金みたいな感じになっていたんです。だから、もし新しいバンドをゼロから始めようと
デビュー作からほぼ1年ぶりになります。ただでさえ情報量が多い楽曲だし、作るのも
やる大阪の梅田クアトロは2階席もあるし、そういうところで自分たちがワンマンを
なっても“元○○”みたいな言葉がついてしまいますよね。でもどうせやるなら、本当にゼロからやりたいと思ったんです。それこそ
大変なのに、よく新しい作品を1年でリリースできるなと思いました(笑)。制作にあ
できるのがすごくうれしいし、前よりもよりたくさんの人を楽しませられるように
Xmas Eileenを始めたばかりのころは、お客さんも5人とかしかいなかったんですけど、そこからやっていかないと意味がないと思って。
たって、どんな青写真を描いていたんでしょうか?
なったなと、終わったときに思えるようなツアーにしたいですね。
̶楽曲は「みんなが楽しめるものを追求した」とのことですけど、聴いてみるとたしかに最大公約数と言えるようなサウンドだと
全体を通してこういう音楽にしたいとか、楽曲的な部分では本当になにも意識してい
思います。でも、いろんな要素を混ぜるのって難しいですよね。絵具なんかも、混ぜすぎるととんでもない色になったりしますし(笑)。
ませんでした。ただ最近、僕たちのライヴに足の不自由な方とか、身体の弱い方が来て
各要素の割合には神経を使うと思うんですけど、どうやって作っているんですか?
くれることがあったんですね。狭いライヴハウスに、車いすに乗ってきてくれる人たち
基盤となるものは僕が作るんですね。そこにアレンジャーやプロデューサーのふたりが入ってくる感じです。曲を作るときは、ラップを
を見て、
「自分たちがアンダーグラウンドだ、ストリートだとカッコつけることよりも、
話題を呼ぶ謎の覆面集団Xmas Eileenが 、
最新作のミニアルバムでさらなる快進撃を始める!!
XMAS EILEEN
text by Yusuke Mochizuki
担当まで含めたチームとして
の全体像も秘密と、謎めいた
Xmas Eileen。デビュー作
『SORRY WHO AM I?』に
職人という印象を受けた。
18
April - May 2016
April - May 2016
19
結成から1年。
Equalが
1stアルバムに、
そもそも自分たちが
何なのかを刻みつけた!!
Equal
曲をやっていきたい。ライヴにこんな
かも(笑)
」
曲があったらいいな。加えては、自分
RYOTA「自分だってそう(笑)。僕の中の新しいものというか、あまり触れずに来たと
たちの勢いのある部分を積極的に前に
ころが出た気がします。逆に言えば、164と一緒にやる中で出すことができた部分な
出すことができたとも。だからこそあ
のかも」
れこれやってみようという1枚になっ
164「ちょっと僕の作る曲っぽいもんね」
たし、
『REASON』を作ったことで、
RYOTA「そうなんですよ(笑)。ずっとダークなイメージで来ているのに、サビでパッ
またいろんなことがライヴでできると
と明るくメジャーコードになるところが。そこは164から吸収したというか、彼から
思います」
種子みたいなものが飛んで来ていたんでしょうね(笑)
」
164「アルバムには1st、2ndとシング
̶̶なるほど(笑)。
ルの曲も入っているんですけど、今作
164「僕について言えば、このアルバムで初めてEqualでギターソロを弾きました。
ではホントはこうなんだぜ! って部分
もともとソロを弾くことは大好きなんですけど、それまでのEqualではラウドロック
をバーンと塊で出せた気がします。既発
的なものを意識する分、ドロップ・チューニングでミュートを絡めたリフを中心に曲
曲もミックスをやり直し、未熟な部分
作りをしてました。その一方、自分のプレイヤーとしての根っこは、レスポールを
をそのまま残すんじゃなく、今の
持ったときに圧倒的にカリスマ性を感じられるギタリストで。ジミー・ペイジ(レッ
Equalの形で収録していますし。確かに
ド・ツェッペリン)をはじめ、B'zの松本孝弘さんやゲイリー・ムーア(シン・リジー
ラウドロックを意識していたという意
やソロで活躍)、ザック・ワイルド(オジー・オズボーン、ブラック・レーベル・ソサ
味では、シングルでは一本芯の通った
イアティ)にスラッシュ(ガンズ・アンド・ローゼズ)なんです。それで今回ソロを
ことをやれていたのかもしれません。
弾いてみて、Equalでも全然大丈夫、むしろ自分らしくなったと実感できたんですよ」
とはいえ、Equal以前とはまったく違
RYOTA「実は僕自身も、これまでの曲に164のギターソロがないことが引っかかって
うことをやっている訳で、変わらずに
いました。逆にそういった部分をどんどん出してくれることがうれしかったし、彼が
ついてきてくれた人もいるし、新しく
デモを作ってきた段階で“あ、ここにギターソロが入るな”ってことが分かるごとに
好きになってくれた人も、離れていっ
自分のテンションも上がっていきました。今作を引っさげたツアーも楽しみ。彼が横
た人もいるはず。僕には全部がファン
でがっちりソロを弾くのも、2014年12月31日のカウントダウン・イベントに出演
として大事な人たちなんですけどね。
して以来のことになるんで。それこそソロ同士でステージに立っていた時代、お互い
text by Tsunetoshi Kodama
̶̶まずは結成の経緯を。
そういった意味で『REASON』で伝えたかったのも、Equalで変わったんじゃなく
にヴォーカルとギターソロでガチンコバトルを繰り広げていた時期があって、そうい
RYOTA(vo)と、ギタリス
RYOTA「結成は約1年前の4月12日。それまでは個々に活動していたんですけど、そんな中も164が曲を作って僕が歌うという機会
できることが増えたんだってこと。ラウド系の曲が多いのは確かなんですけど、ロッ
うライヴって自分が奮い立っているなって思うんです」
トとして、またボカロPとし
が多かったんです。それでこのサウンドで新しいことをやっていけたらなとEqualを結成。僕のソロ活動が終了するというライヴ
ク系や、どバラードが収録されているのもまた今作なんで」
164「そのガチンコバトルもYouTubeの“青”で観ることができますんで(笑)
」
ても活躍する164(g)によ
でのお披露目となりました」
̶̶温かい歌声が響く“時間”なんかは、壮大なバラードとしてアルバムのアクセン
̶̶いろいろな意味で“青”がポイントの楽曲になっているんですね。
るEqual。彼らは2015年
̶̶RYOTAさんが、歌い手のりょーくんとして行った“LAST LIVE TOUR 2015 -Re:set-”最終日でのことですよね。そのとき
トになっていますもんね。
RYOTA「あのころのライヴの感じを、一周回った今だから改めて出してみたいです
はダブル・アンコールでEqualでの活動がアナウンスされ、それ以上の説明もないまま2人で1曲披露。オーディエンスが呆気にと
164「曲調自体が全体から浮いていますから(笑)。だから“置き場所も真ん中しか
ね。当時は僕はギターに負けたくなかったし、彼は彼でギターでヴォーカルを食っ
られる中、ライヴが終了してしまったんだとか。
ないよね”と6曲目で満場一致でした」
ちゃわなきゃと思っていたはず(笑)。どうやって奇襲を仕掛けようかお互いにやり
2人「アハハハハ」
RYOTA「それで今はライヴでの置き場を探し、あれこれ考えている最中なんです(笑)
」
合いになっていましたから。それこそイントロからいきなりソロを弾き始めた日は完
̶̶お互いに相手と一緒にやろうと思ったポイントはなんだったんですか。
164「逆にりょーくん時代を知っている人にとっては涙ものの曲なんじゃないかな。
敗でした(笑)
」
164「僕自身はいろんなタイプの曲を書くんですけど、その中でもメインはロック系。そんなロック系楽曲のサビを歌って相性の
自分もそういうことを意図して書いていますし」
̶̶ますます4月の“Equal LIVE TOUR 2016 -REASON-”が楽しみになってきま
ヴォーカルと卓越した楽曲
いいヴォーカルが、この男だったというわけなんです。他にもあれこれ楽曲提供を行う中、確かに技術的にうまいヴォーカリスト
RYOTA「実際、
“時間”みたいなことを忘れてないし、やれないってわけでもないんで」
したよ。
センスによって新進気鋭の
はたくさんいます。でも、曲に対する理解はもちろんのこと、ヴォーカリゼーションを理論的に理解しつつ、それを感覚的に出せ
̶̶そういった意味では、それまでの活動の上に現在のEqualがあることをよく表し
164「そもそもEqualの始まりが、ヴォーカル、ギター、ベース、ドラムというバン
ラウド・ユニットとして強烈
るヴォーカルって彼以外にいないですね」
た楽曲が“時間”だといった見方もできます。
ド・スタイルでライヴがやりたいということだったんで。Equalは2人組のユニット
な印象を残してきた。そして
̶̶このアルバムでもヴォーカリストとしてのポテンシャルの高さを遺憾なく発揮していますもんね。
RYOTA「それは言えますね」
なんですけど、僕自身はサポートのベースとドラムもバンドのメンバーだと思ってい
4月6日発売の1stアルバム
164「ここでベタ褒めするのも気持ち悪いんですけど(笑)
」
̶̶確か、デビュー曲“SCAPE”制作の際、RYOTAさんは歌詞の一部に関わった
ます。実際、彼らはレコーディングにも参加していて、プリプロ用の簡単なデモは僕
RYOTA「ヨイショ大会みたいで、恥ずかしいですね(笑)
」
ぐらいで曲作りにはほとんどタッチしていなかったとか。そこらへん、現在はどうな
が作るんですけど、フレージングそのものは2人に任せているぐらい。ひどいときに
̶̶じゃあ、次はRYOTAさんに164さんを褒めちぎってもらいましょうか。
んでしょう。
はベースも入れず、ギターと基本のドラムパターンしか入っていない音源を持って行
RYOTA「そうですね(笑)。僕らは曲を作る人、そして歌う人として出会ったわけじゃないですか。164の歌って、歌いながら陶酔
164「もちろん曲作りにも関わっていますし、自分でアイディアを持ってきた曲は歌
きますから(笑)
」
できるんですよ。それこそヴォーカリストが気持ちよくなるタイミングを、彼自身が分かりながら曲を作っているんじゃないかと
詞も書いています」
RYOTA「そうですね。自分としてはライヴバンドとしてやっていこうとする中、だん
思うくらいに。そこらへんの感覚がマッチしたんでしょうね。それが“青”って楽曲を通してガッチリ結ばれた感があります。その
RYOTA「(クレジットは全部Equalの作詞、作曲になっていますけど、自分が書いた
だんと曲の説得力を上げるための構成やMCがちゃんとできるようになってきた気が
曲はYouTubeに動画もアップされているので良かったらぜひ(笑)
」
曲は)分かると思いますよ(笑)
」
します。そのフィードバックも今回、アルバムに出すことができて、ひとつ壁を乗り
164「164
̶̶ちなみに、今作だとどの曲ですか。
越えてバンドとしても大きくなったんじゃないかと。それにライヴに来る人って、な
̶̶“青”がEqualの原点なんですね。
RYOTA「“up
にかしら心に思っていることがあったり、生活の中でなにか足りないものがあるから
RYOTA「実際、その曲が結成のいちばんのきっかけだと言えますね」
164「確かにRYOTAらしい曲だと思います」
こそ会場にまで足を運ぶんだと思うんです。そして僕としてはお客さんと同じ空間で
の4月に結成され、2枚のシ
ングルでブルータルな咆哮
から情感的なクリーン・
トーンまで歌いこなす
『REASON』では、改めて
各ソロ時代から現在までの
連続性とともに、さらなる
可能性を示したと言える。
20
April - May 2016
feat.りょーくん名義なんですけど、完全にEqualなんで」
to you”
“migratory”
“take me out”がそうですね」
̶̶ラウドロックをやるユニットといった立ち位置なのかと思ったら、歌で繋がっているというのはちょっと意外でした。
̶̶各曲にはそれぞれヴォーカルの感情の変化が劇的、荒野を疾走するイメージ、小
なにかを共有したいという気持ちがどんどん強くなっていて、最近はフロアに“一緒
164「確かにりょーくんがRYOTAとして新たに活動していく中、僕に求められているのはラウドロック的なものであり、Equalも
気味好くハードでストレートといった印象がありますが、具体的にどこらへんが
にライヴしよう!”と言ったりもしているんです。それこそ今回のアルバムにはいろ
そういう方針でやらなくちゃいけないと思っていた時期もありました。昨年ツアーをする中でラウドロックを研究し、対バンから
RYOTAさんらしい曲調なんでしょう。
いろな思いが詰まっているんで、そういった気持ちをみんなとまたライヴハウスで共
も吸収しなくちゃと思いながらまわっていたんですよ。でも、打ちのめされました(笑)。結局は自分たちがどういうバンドなの
164「端的に言えば、コード進行ですね。遊びで僕のギターを弾いていたりすると
有できたらなと思いますね」
かってことを定めなくちゃいけないって実感させられたんです」
“やっぱりそう行くよねぇ”っていうのが分かるんですけど、この3曲に関してもそう。
RYOTA「そういった意味では、ツアーを通して自分たちがこうあろうと思った姿がこのアルバムには表れている気がします。こういう
とはいえ、
“migratory”だけはサビがキャッチーで壮大。それはイメージ外だった
April - May 2016
21
月に 2枚目の新作﹃ディー
パー・ダーカー﹄を
昨年
GrindHouse
などの映像の色合いやタッチ、そして
度となく繰り返していくうちに、PV
が思いも寄らなかった内容の反応が、
関係者の元にも届くようになると、自分
タントにかけた。 号が店頭に並び、
そしてそこに描かれ、そこから放たれる
ある意味発掘/検証にも似た作業を何
独特の世界観にヤラれてしまったのだ。
インドハウスにクリープハイプが載っ
あちこちから多数寄せられた。﹁グラ
ながら尾崎世界観︵ /g ︶が書く歌詞、
昔から彼らのことを知っていたか、と
年代のアングラカルチャーにあるこ
歌詞の根幹にあるルーツが、上述した
クリープハイプが好きだ。とは言え、
いうと全然そんなことはない。むしろ
自分がかつて実体験した 年代のアン
て知った。
カルチャーを知ってんだ?﹂だった︵笑︶。
より若いのに、なぜゆえにあのときの
な印象は﹁メンバーはみんな断然自分
たからかもしれない。そのときの率直
面白かった。
ル、歌詞に堂々と使われる言葉遊びも
には刺さった。そして作品や曲タイト
とがわかった。この点がとにかく自分
なが思い描く本誌のイメージからする
うとそうじゃないかもしれない。みん
確かに音楽的にはどストライクかと言
半を占めた。
島さんが担当だし︵笑︶﹂というのが大
ているなんて意外ですね。しかも、有
グラカルチャーのそれにかなり近かっ
もちろん、その前からバンド名ぐらい
シングル﹃百八円の恋﹄
︵2014年︶
DEAD POP
は聞いていたけど、音源も聴いたこと
それをきっかけに彼らの音楽的、そし
と、彼らの音楽は若干線が細いのかも
に出演しライヴを観
FESTiVAL 2014
なく、ライヴもそのときが初見
が発売された直後、こんなことがあっ
楽的にどストライクなアーティストば
て映像的キャリアを徐々に、がしかし
かりを紹介してきたわけじゃないし、
だった。ライヴを観ていて、もう目か
連呼するパートがBGMで流れていた。
これまでにも我々が自信を持って紹介
しれない。だけど本誌は創刊時から音
まだ買い物も済ませていないのに、なに
してきたなかには変化球と思しきアー
た。近くのコンビニの店内に入った途
もしてないのに思わず﹁どうしよう?﹂
端、あの﹁痛い痛い痛い∼﹂を何度も
と焦燥感を覚えた。それだけ、この
意図することは、ひとえに﹁より多く
ティストたちもけっこういた。それが
着実に振り返っていった。そうした、
パートには、強烈なインパクトがあった。
プにさらに魅かれていった。この世に
売タイミングでついに尾崎世界観への
で、前シングル﹃リバーシブルー﹄発
クリープハイプはまさにその最たる例
もらえれば﹂ということだ。
邦洋問わず星の数ほどロックバンドは
対面取材が実現し、 号に掲載した。
の人たちに知ってもらい、気に入って
存在する。だけど今現在のシーン最前
て、まさにこのときが初めてだった。
線に立ち活躍するバンドのなかで、自
こうした経緯で、自分はクリープハイ
コンビニでこんな思いを味わうなん
らウロコ状態。その音楽性もさること
の SiM
が音頭取りをした
もろに後ノリで、2014年1月開催
87
大きかったかを改めて教えてくれるバ
戻し、その体験が自分にとっていかに
分を過去の実体験へと瞬時にして引き
そして、待ちに待った新シングル﹃破
話を聞くことができた、ということで。
味わった。切望する人にようやく直接
正直言うと、このとき小さい達成感を
花﹄が発売された。3曲入りで︵初回
ンドはそうはいない。
そして自分は彼らの原稿を初めて執筆
限定盤は表題曲のPVなどが楽しめる
取材は叶わなかったけれど、尾崎世界
詞、音楽、どこをどう切ってもクリー
で彼ららしくワクワクするけど、歌
DVD付︶、そのタイトルを見ただけ
し、本誌 号に掲載した。当時彼らは
観からこちらの質問に対するコメント
プハイプ以外の何物でもないものだ。
超多忙だったことから、希望した対面
をいただけたので、それをもとに原稿
引き続きお勧めしたいバンドだ。
所属で、
﹃グレート・
& Nail Records
レーベルとして一世を風靡した Tooth
きる。新作はとても完成度が高く、特
ジュアルや音源に直接触れることがで
してもらった方が早いし、彼らのヴィ
が四の五の言うより、これらを観聴き
︵有島博志︶
を構成した。当然、記事掲載に合わせて、
ホワイト・ホエール﹄
︵2008年︶で
で彼らの曲もコンス
GrindHouse fm
再デビューした。ラウドパーク 参戦
ツアー︵後に再結成︶にサポートバン
スティル・リメインズのフェアウェル
彼らのライヴをロサンゼルスで観ている。
で初来日するのだけど、実はその前に
セージをお届けしよう。
だ。最後にデイヴィッドからのメッ
がないだけに、5月の初来日が楽しみ
自分はまだ、SKのライヴは観たこと
いる。
に激しさと美しさの融合感が突出して
の4人のメンバーとの間に深い溝がで
姿を消すなど、キッズが血眼になって
作し、初リリースしたのがEP
に専念している。この4人の布陣で制
へと発展していく、ということを真っ
ト&ウィスパーが活動を停止し、SK
をしていた。前身バンド、シークレッ
にもロンドンで再会し、情報交換など
/日本盤未発売︶などの初期作品は当時
自主発売した﹃ HOLLOW
﹄
︵2000年
バンドだった。デモ音源をCD化し、
00年代初頭、シーンに一石を投じた
ハードコアがまだ黎明期にあった20
はスクリーモ/ポスト
STUTTERFLY
b︶とライアン・ローク︵ ︶の主導・
だったジョーダン・チェイス︵
07年に解散した。そんな中、構成員
も、なかなか活動が軌道に乗らず20
/ 日 本 盤 未 発 売 ︶ な ど 2作 品 を 出 す
﹃ BROKEN IN PIECES
﹄
︵2002年
その後、メジャーの Maverick
に移籍し、
﹃ディーパー・ダーカー﹄発売を迎えた
収 録 ︶。 そ し て 、 2 枚 目 の 新 作
日本盤にボーナストラックとして追加
︵2013年︶が続いた︵EP収録曲は
わけだ。
www.grindhouse.jp/recordings/Dee
で2曲のPVが観られ、
perDarker.php
5曲試聴できる。音楽性のことを自分
しみで仕方ないんだ﹂
︵有島博志︶
から日本でライヴをやるのが今から楽
﹁長くライヴ活動をしてきたからね。だ
ドのひとつとして帯同していたのだ。
かく日本でライヴをやりたいんだよ﹂
と繰り返していた。ラウドパーク
参戦でその思いは成就するのだけど、
その後、チャールズ・フィン︵ ︶とほか
﹄
き、2枚目﹃ TEENAGE FANTASY
をすることなく、バンドは自然消滅し
︵2010年︶を出すも、表立った活動
た。同作の日本盤化も見送られた。そ
こから、SK誕生となる。
先のジョーダンとライアンの2人にデ
イヴィッド・エッカー︵g ︶が行動を
ともにし、トリスタン・ラットリンク
そのCDを探し回ったというエピソー
ジョーダンはベースを置き、シンガー
︵ b ︶を 迎 え た 4人 組 だ 。 こ の 機 会 に
か?﹂という相談をもらったときは、
先に教えてくれたのも彼だった。なに
の同シーンにおいて力作の一枚に数え
先導で次に結成されたのが、シーク
売 ︶で 、 次 に﹃ ザ ・ グ リ ー ヴ ィ ン グ ﹄
の
よりも前々身バンド STUTTERFLY
られた。ただ、流通が悪く、日本には
レット&ウィスパーだ。クリスチャン
﹄
︵2012年/日本盤未発
﹃ CURSES
ころから、そして、続くシークレット
なかなか入ってこなかった。CD
ドも残っている。
&ウィスパーのころからずっと興味を
ショップに入荷してもすぐに店頭から
/
持っていたバンドであることから、彼
vo
92
そのときからメンバーは口々に﹁とに
08
より発売したカナダ出身の
recordings
スクリーモ/ポストハードコアバン
ド、シュレディ・クルーガー︵SK︶の
87
よ り ﹁ S Kの 作 品 を 日 本 で 出 さ な い
ds
08
初来日が決まった。グラインドハウス
主催のライヴイベント﹁ good evening
で
KINGSX TOKYO
﹂に参戦する形での初来日で、
with...
5月 日に池 袋
ワンオフのライヴを敢行する。同イベ
ントはヘルメット、フューネラル・
フォー・ア・フレンド、キャンサー・
バッツに続き、第4弾となる。新作の
評価が著しく高く、ジワリジワリとロ
ングセラーを続けているだけに、まさ
に絶好のタイミングでの来日となる。
がSKと契約
GrindHouse recordings
を交わし、彼らの作品を日本で発売す
るきっかけとなったのは、まずはイギ
リス人マネージャー氏と懇意の仲にあ
るということが大きい。彼はかつてブ
レスト・バイ・ア・ブロークン・ハー
ト、スティル・リメインズのマネージ
メントをやっていたことから仕事上の
70
70
なにも迷う理由などなかった。
つき合いは長く、彼がバンドとともに
vo
来日したときにはちょこちょこ会って
クリープハイプ
いたし、自分がイギリスを訪れたとき
SHREDDY KRUEGER
23
April - May 2016
April - May 2016
22
vo
12
21
確 か 第 1 回 目 か 第 2回 目 の
TRIPLE
のときだったと思う。会場
AXE TOUR
の渋谷 club asia
の楽屋裏でのこと。開
演前に突然、こう言われてCDを3枚
手渡された。どの作品だったかは、正
直覚えてない︵笑︶。
﹁ HEY-SMITH
の猪狩です。よかったら
ボクたちの音源聴いてください!﹂
そう、それが猪狩秀平︵ /g ︶との
初の対面だった。それまではバンド名
は知っている程度の認識だった。音源
を聴いたこともなかったし、彼らが
大阪のバンドだということも知らな
かった。きちんと挨拶しにきてくれた
わけだから当然、その夜ちゃんとラ
イヴを見せてもらった。とても楽し
かった。やや下ネタ絡みのMCを臆面
もなく言い放つというのも、いかにも
大阪のバンドって感じで笑かせても
らったし、猪狩が明らかにメタルの影響
下にあることも彼の愛器エクスプロー
ラー型ギターや、歌いながらギターを
弾くその姿勢から即座に窺えた。音源
を聴 く よ り 先 に ラ イ ヴ を 観 た わ け だ
け ど 、いろんな意味で HEY-SMITH
か
ら好印象を得た。
そ れ が 自 分 と 猪 狩 、 そ し て
との出会いだった。その
HEY-SMITH
後イベント出演なども含め、ちょく
ちょくライヴを観るようになった。メ
タルフレイバーをときにまぶし、また
ときに刷り込んだサウンドに心地よく
ブハブハ言わす管楽器隊が絡むスタイ
ヴ中まるで会場内、客席内をお祭り騒
ぎ状態にするパフォーマンスもほかに
www.grindhouse.jp/interview/HeyS
にある取材記事を読ん
mith2015.php
は明らかに異なるタイプだ。2枚目の
した coldrain
、 SiM
ら、ほかの布陣と
れるけど、2015年7月5日、京都
ことがその記事からハッキリと読み取
か否かすらも猪狩が真剣に考えていた
をその後も存続させるの
HEY-SMITH
でもらいたい。
フル作﹃ Free Your Mind
﹄
︵2011年︶
大作戦2015∼いっ祭 がっ祭 感じな
例を見なかった。 TRIPLE AXE
に参戦
発売タイミングで、担当は自分ではな
狩、そして HEY-SMITH
は復活するの
祭!∼2日目の源氏ノ舞台でついに猪
だ。復活パフォーマンスもさることな
号に掲載した。
かったけれど、初めて彼らに取材し、
こ の 2枚 目 が 彼 ら に と っ て の 弾 け 作
その記事を本誌
で、オリコンチャートで最高位 位を
100位台後半だったことを見ると、
100位台前半、デビューミニ作
﹄︵ 20 1 0年 ︶ は 同
﹃ 14-Fourteen
マークした。それ以前のフル作1枚目
つつ全国各地で復活の狼煙を上げ、昨年
もないだろう、お披露目ツアーをやり
だった。その後はあえて説明するまで
しく、多くの人たちの心を打つもの
がら、このときの猪狩のMCもすばら
で
Y U︵
J Ib /
︶、イ イ カ ワ ケ ン
を行った。その過程
FESTIVAL 2015
末には大阪と東京で HAZIKETEMAZARE
﹄
︵2009年︶は同
﹃ Proud and Loud
かなりの飛躍だ。
今ではすっかりおなじみになった自主
加し最新布陣も固まり、新音源制作に
︶
、
かなす︵ trombone
︶が参
︵ trumpet
イベント OSAKA HAZIKETEMAZARE
をやるようになったのは、
FESTIVAL
意味するということだ。間違いなく、
ことは、つまり彼らの新章スタートを
が新音源を出す、という
HEY-SMITH
取りかかっている。
らに頭角を現し、誰もが彼らを NEXT
という人、洋ロックファンでまだ知ら
邦ロックファンでまだ聴いたことない
彼らは今回さらなる飛翔をとげる!
る存在となった。
ないという人は、絶対にチェックして
が故郷群馬で
G-FREAK FACTORY
ンスタントにライヴ活動は続けていた
さらに、8年間音源発売なしでも、コ
持つ男との印象を得て、興味を持った。
茂木洋晃
︵ ︶が腹になにか強いものを
日に渋谷 CLUB QUATTRO
で催した
大円団となったのが、2014年5月
ルスをマークした。そのハイライト、
知名度・人気度を高め、CDも好セー
︵有島博志︶
が、しかし、同作の発売に伴う活動の
日の両日、泉大津フェニックスで開
催した OSAKA HAZIKETEMAZARE
をもってメンバー2人
FESTIVAL 2014
が脱退、しばらくの間活動停止を余儀
なくされてしまう。その間の猪狩がど
ういう思いを抱いていたか。葛藤・不
安とどう対峙していたかの話は、グラ
結成され、活動を始めてから早くも約
という事実は、自分にとっちゃ衝撃的
インドハウスのホームページ
てメジャーレーベルに所属し、作品を
ですらあった。ロックバンドたるもの
開催も主導・先導で行うことで、さらに
出していたことも知っているし、その
∼
Sound Of Survival
だった。このときの模様は後に発売さ
∼
ENCORE
“S.O.S” TOUR 2013-2014 FINAL
たち自身をプロモートしていく、って
Sound
観たこともある。確かそれぞれ、 BAT
∼
S.O.S
れ た ラ イ ヴ D V D﹃
経ってからのこと。改めて言うまでも
﹄︵ 2 0 1 2 年 ︶発 売 後 少 し
EVEN
り の 音 源 と な っ た 2曲 入 り シ ン グ ル
したのは、バンドにとって実に8年ぶ
取材などの仕事をするようになったり
が、しかし、実際に彼らと話したり、
とのイメージもある。
いに等しかった。茂木に原田季征
加えて、その間メンバーチェンジはな
どころとしているんだろうと思った。
以外に、彼らはいったいなにを心の拠り
立ち、パフォーマンスするということ
売る音源がなかったのだ。ステージに
いた。ライヴをやっても会場の物販で
きた作品群がすべて絶版扱いとなって
しかも彼らの場合、それまでに残して
響くのだ。昨年は開催が見送られたけ
強いフックのメロディがとにかくよく
ジーフリ節まさに全開で、深い歌詞と
発売する。これが実にイイんである。
﹃ Too oLD To KNoW
﹄を4月 日に
9カ月ぶりとなる3曲入りの新シングル
ニ 作﹃
そんな
﹄︵ 2 0 1 4 年 ︶か ら 1 年
fact
が前ミ
G-FREAK FACTORY
満喫できる。
﹄
︵2014年︶で大いに
Of Survival
ないのだけど、日本のロックシーンは
ど、 GUNMA ROCK FESTIVAL
が名
定説、基本だからだ。
小さい。それでいて、実はデッカいと
〟伸之︵b︶、家坂
︵g ︶、吉橋〝 yossie
称も新たに山人音楽祭2016として
彼らだ。互いに避けていたわけでもな
然出会わない。後者の典型的な例が、
会わないバンドにはいつになっても全
出会うバンドには出会い、まったく出
らとは長年同じシーンにいた。だけど
強いと思い、ますます興味を持った。
になってきた。相当メンバー間の絆は
しくない。それでも4人が常々ひとつ
境に疲れ、離脱者が出ても決しておか
ントにライヴ活動なんていう状況、環
た。新音源発売なしで8年間コンスタ
清太郎︵
にも大いに期待
G-FREAK FACTORY
で開催されることも決まった。今年の
観て、終演後に楽屋で初めて挨拶した。
彼らのライヴをものスゴく久しぶりに
つがある。
ん取材記事を掲載したけど、
のタイミングだった。本誌にももちろ
﹄
︵2013年︶
は、前フル作﹃ S.O.S
自分が初めて彼らを対面取材したの
﹃
前々から互いに名前だけは知っていた
彼らは週末しか稼働できないというハ
﹄発売後、
う別冊も発行した。
﹃ S.O.S
﹄とい
G-FREAK FACTORY special
﹃ GrindHouse magazine Extra Issue
けど、初めて会い、話をするというの
公演だった。
eggman
﹄発売に伴うツアーの一環で
EVEN
は、なかなか不思議な感覚を味わうも
ンデをものともせずあちこちでライヴ
行われた渋谷
のだ。挨拶や立ち話をしたのは、そん
をやり、 GUNMA ROCK FESTIVAL
したい。
︵有島博志︶
9月 日にヤマダグリーンドーム前橋
んでもないのに。ここに、ちっちゃい
﹃
感じさせられることがたまにある。彼
︶の 4人は不動、不変だっ
ドは同期、同じ時代を戦ってきた朋友
いうのがこの世界のならわしであり、
系イベントや、新宿
年の歳月が流れている。彼らがかつ
昔川崎クラブチッタで催されたヘヴィ
ほしい!
締めくくりとした2014年9月 日、
より多くの人たちに愛され、支持され
と見て、ヘイスミの愛称で
BIG THING
﹄
︵2013年︶発売で彼らはさ
Album
だった。そして、フル作3枚目﹃ Now
2枚目のフル作を出したあとから
vo
日本のロックシーンの七不思議のひと
13
ルはほかにいなかった。彼らは俗に言
36
13
なに長い時間じゃなかった。それでも
24
うスカパンク/スカコアバンドじゃな
66
新音源を出し、全国ツアーを行い、自分
HEY-SMITH
でライヴを
LOFT
G-FREAK FACTORY
と一緒だったことから、両バン
CAVE
vo
ds
い。そこに彼らの音楽的独自性や魅力
を見出していたし、それを持ってライ
14
25
April - May 2016
April - May 2016
24
17
20
vo
ななかでいろいろなジャンルの音楽がちょっとずつ門を砕いてく
高校ぐらいのときメタルにハマったころ、友だちはメタルよりサ
れたと感じる時期だった。違うジャンル云々を越えたメロディの
ブライムやジャック・ジョンソンやった。まず、なによりあの音
よさだけじゃなく、
“Basket Case”のPVが1曲で映画1本観た
楽は嫌いになりようがないし、海に行ったら聴きたいのはメタル
ぐらいの衝撃だった。ジャンルわけという言葉さえも越えるポ
よりサブライムやジャック・ジョンソンだったんです。普段はメ
ピュラリティというか。スゴく簡単なことをやっているのに聴い
タルを聴きたいんですけど、海に行ったりドライヴするときは
たこともない響きで、ギターの音もいい感じに歪んでいて。ギ
LBDAなどの方が好きだった。コーラはメタルでビールはサブラ
ターの弾き方も本当にかきむしるような感じで、ケガするんじゃ
イムみたいな(笑)。パンテラなどが大好きで、彼らの音楽と
ないかと思うぐらい思いっきりのいいストロークも印象的でした。
LBDAのそれは確かに違いますけど、抵抗感などはまったくな
なんかもう全部が全部、衝撃でしたね。
かった。ギターを弾いていて楽しいのがパンテラで、歌って楽し
最初は“Basket Case”が入っているからって買ったんですけど、
いのがLBDAやったかもしれない。サブライムよりLBDAの方が
その曲が聴きたくて作品を流すなか、聴けば聴くほどそのほかの
好きなんです。サブライムも大好きですけど、LBDAの方が、単
曲も力があるなと。当時のグリーン・デイがどういう音楽をやっ
純に曲が好き。ポップな感じが好き。この作品はもう3回ぐらい
ているかということを端から端まで網羅してる作品やなと、今思
買っているんじゃないですかね。聴きすぎて(笑)
。CDの盤面に
えば。キャッチーな部分と、そうじゃなくてちょっとオルタナ
傷とかつけちゃうじゃないですか。そうすると買って。友だちが
ティヴロック寄りのコード進行による中間色の表現。めっちゃ
めっちゃいいじゃんって気に入ってくれれば買ってあげる。それ
ハッピーでキャッチーでもないんやけど、マイナーというほど
ぐらいこの作品は大好きですね。ちょっとおしゃれ感があるとこ
悲しくもない、独特な表現のなかでちゃんと原色的なハッキリと
ろも響きました。気候の問題なのかな、音楽に性格が出ていると
したメロディを残す力があり、そういう曲も多い。勢いだけじゃ
いうか。ユルいし、ドラムなんか曲によってはクッタクタですか
なく、テンポ感やビートがそんなに速くない曲でも印象に残る。
ら(笑)
。テンポとかぐちゃぐちゃなんですけど、そこがまた気持
捨て曲がない。美味しくないコード進行でもキャッチーなサビな
ちいいっスね。
どで印象に残すセンスはスゴいなと思いましたね。
このユルさに一番インスパイアされたんじゃないですかね。力の
ライヴで“SHE”や“Basket Case”をやり、『Re: 6-feat』には
抜き加減。オレ、ヌルいのは嫌いなんですけどユルいのは大好きで。
た の は 、 2 0 1 2年 の
月末のこと
の日本での初ライ
だった。 Cyclamen
ヴで、対バンとして出演していたのを
覚えている。そのときは2曲ほどしか
観ることができなかったのだけれど、
ヴォーカルのメロディが際立ったラウ
ドロックという印象を受けた。終演後
に知り合いがメンバーを紹介してく
れ、音源を手渡してくれた。後日改め
て聴いてみた際もライヴと同じような
や
感想で﹁ Pay money To my Pain
なんかと同系統のバンドなの
coldrain
かな﹂と思った。今振り返ってみる
と、随分と失礼な話である。何しろ、
MZK︵ ︶は GUNDOG
の元メンバー
P︶結成前にK︵ ︶が在籍していたバ
は、 Pay money To my Pain
︵PT
どのくらいいるだろうか。 GUNDOG
知っている、もしくは覚えている人は
人たちのなかで、 GUNDOG
の名前を
ドロック系のバンドをよく聴いている
現在 coldrain
や SiM
を筆頭としたラウ
だったのだから。
vo
ビューし、インミーやマリリン・マン
この人たちは最高にユルくてカッコいい。ライヴを観ていても、
前身バンドでコピーバンドをやっていたときに“Longview”も
ヌルい人とユルい人って全然違って。ピースフルでユルいっていう
“Burn Out”も“Welcome to Paradise”もやっていた。一通り全
のはいいんです、ヌルくて締まらないっていうのとは次元が違う。
部やったなかで、パッと思い出してすぐやれるのがその2曲。今の
もしかすると、LBDAをサザン・オールスターズにある部分近いか
若い子らは“Basket Case”以外たぶん知らんやろなと思うんで
もって言うとわかりやすいし、伝わりやすいかもしれないですね。
すけど、ボクたちが出会ったときのようないい出会いをこの
絶対に気持ちいいし。サザンを嫌いな人っていないと思うん
07年のミニアルバム﹃ FACE YOUR
﹄をリ
にフルアルバム﹃ Triple Dealer
﹄を筆頭に、シングルを6枚
ENEMY
持ち、当時海外進出に乗り出し、評価
の
SiM
も、彼らの
MAH
動を継続。2015年には結成 周年
知られる田浦楽をサポートに迎え、活
や HONE YOUR SENSE
での活躍でも
ンドを離脱したものの、 Crystal Lake
がバ
2014年にドラムの Hiroyoshi
13年には台湾ツアーも行っている。
もいい。そのサウンドが評価され、20
エモーショナルかつ甘めのヴォーカル
味付けも感じさせるものだ。MZKの
メタルやスクリーモ/メタルコア的な
なメロディを対比させ、端々に往年の
ぐるような重低音と明るくポジティヴ
除。代わりに7弦ギターを用いた、え
プホップ的要素やダークな空気感を排
ルの匂いを残しつつ、ラップ等のヒッ
が展開していたニューメタ
GUNDOG
リースしている。そのサウンドは、
いた 。 実 際 、
〝 Imaginary High
〟のPVを観て﹁日
本にこんなバンドがいたのか﹂と衝撃
を受けた旨を、ライヴのMCで語った
ことがある。もし彼らがいなかった
ら、現在の日本の音楽シーンはまた
違ったものになっていたに違いない。
てギターを弾いていたのがMZKだっ
その GUNDOG
で、ガスマスクを被っ
た。残念ながら GUNDOG
としてのリ
リースはシングル﹃ Chair
﹄とアルバム
活動を停止。Kは渡米しPTPを結成
﹃ Humanity
﹄に留まり、2004年に
する。その後の彼の目覚しい活躍と、
2012年の年の瀬、不幸にもこの世
を去ってしまったことはご存知の通
り。その一方で、MZKがガスマスク
を脱ぎ捨て、ギターをマイクに持ち替
えて 2005年に結成したのが、
だ。前述の、
CONCEPTION COMPLEX
僕が CONCEPTION COMPLEX
の音源
を初めて聴いたときの感想が失礼と書
いた理由はここにある。彼らは昨今の
ラウドロックの隆盛とともにポっと出
てきたバンドではなく、シーンの勃興
と隆盛に貢献したメンバーによるバン
ドだったのだ。 GUNDOG
時代のヴィ
ジュアルのせいでMZKの素顔を知ら
なかったとはいえ、己の不勉強を恥じ
るばかりだ。
改めて、 2005年に結成された
〟を
elegy
曲の配信と自主企画を重ねつつ、次の
が増えてきているとのことで、今後新
て終えているはずだ。すでに新曲も数
、 Nothing To Declare
等を迎え
ORBit
と題したレコ発企画を OVERWHELM
、
︼ vol.2
配信にてリリースし、
︻ from zerø
よそ4年ぶりとなる新曲〝
だが 今
…号が発行されるころには、お
だレコーディングが終わっていないの
稿を書いている3月初旬の時点で、ま
なる作品へと動き始めた。実はこの原
ていた彼らが、2016年、ついに次
﹄止まりとなっ
12年の﹃ Triple Dealer
てきたものの、音源のリリースは20
止まることを知らずに精力的に活動し
を記念し、ワンマンライヴも実施した。
10
に続く存在とも目されて
MARKETS
を得始めていた THE MAD CAPSULE
ソンの来日公演をサポートした経験を
“Basket Case”のカヴァーを入れている。というのも10-FEETの
は、20
CONCEPTION COMPLEX
ると、人によっては「意外だなぁ」と言われることがあります。
ンドである。2003年にメジャーデ
このロング・ビーチ・ダブ・オールスターズ(LBDA)の話をす
このときもわりとメタル真っ盛りの時代やったんですけど、そん
を初めて観
CONCEPTION COMPLEX
グリーン・デイの作品で最初に聴いたのが『ドゥーキー』で。
vo
LONG BEACH DUB ALLSTARS
『RIGHT BACK』
(1999年)
〟や過去
elegy
︵望月裕介︶
がら、心の準備をしておいてほしい。
作品、そして GUNDOG
の音源を聴きな
まったばかりの新曲〝
バーの気合いは充分。まずは配信が始
も空いてしまったが、そのぶんメン
面白い。結果的に音源のリリースが4年
ライヴごとに違うフェイスペイントも
舞いもたしかなもの。 Tyra
︵g ︶の、
て、演奏力やステージでの立ち居振る
ぞれがキャリアを積んできただけあっ
エーションも豊かだし、メンバーそれ
取っているのだ。ギターリフのヴァリ
ンドの名のもとで整合性とバランスを
と CONCEPTION COMPLEX
というバ
音楽的な引き出しは多いが、しっかり
としたバラードも歌い上げてみせる。
に疾走したかと思えば、次はしっとり
えたメロディを両立させ、メタリック
角的なヘヴィネスと強いフックをたた
﹁対比﹂にあると思う。ソリッドかつ鋭
先にも書いたとおり、彼らの強みは
ていくそうだ。
まとまった音源に向けての準備を進め
GREEN DAY
『DOOKIE』
(1994年)
思います。
気っ風がいい作品ですから。
で、LBDAを嫌いな人もいないと
『ドゥーキー』でしてほしいですね。
27
April - May 2016
April - May 2016
26
猪狩秀平 (HEY-SMITH)
CONCEPTION COMPLEX
TAKUMA (10-FEET)
11
Vol.
Special
Columns
2
OUT
4.1
OUT
OUT NOW
4.8
OUT NOW
BABYMETAL
デフトーンズ
『METAL RESISTANCE』
OUT NOW
OUT
OUT NOW
4.6
キルスウィッチ・エンゲイジ
『ゴア』
『インカーネイト』
世界が渇望した待望の新作だ。BABYMETAL節
アンダーグラウンドとオーバーグラウンドをつ
初代シンガーのジェシー復帰という衝撃のニュー
は不動、不変。より磨きがかかり、よさ、魅力が
なぐヘヴィロックの至宝、デフトーンズの8作目。
スとともに届けられた前作から約3年、ツアーを
アモン・アマース
ANTHEM
クリープハイプ
Equal
さらに膨らんでいる。ヴォーカルラインの振り幅、
『サタデイ・ナイト・リスト』
(2006年)や『KOI
サビの響き方、起伏の激しい展開、卓越したギター
NO YOKAN』
(2012年)、それにチノ・モレノ
あろうKsEの新作。先行シングルの“Strength Of
ソロ、ピアノの美しい調べはメタル特有の様式美
のサイドプロジェクトで顕著なポストロックや
The Mind”を聴いた時点で感じたのがジェシーの
一昨年のノットフェス・ジャパンでの熱演で日本
結成30周年を迎えたANTHEMが昨年行った記念
ねじれるような、うねるような演奏に加え、受験
ネット界で歌い手として活躍したRYOTA(vo)
に沿っているものだけど、そこで完結せず、聴く
シューゲイザーの要素を色濃く残しつつも、8弦
ヴォーカルの進化だ。力強さを増した歌声はスク
でも一層評価を上げた、スウェーデン出身のヴァ
ツアーを収めたDVD。バンドの聖地である川崎
生を応援するべき代ゼミのCMソングで「疑うこと
と、ボカロPとしても知られる164(g)のラウド
者を踊らせる観点からときにうっすらと、また
ギターによる大ナタを振り下ろすかのごときヘ
リームでもクリーントーンでの歌い上げにおいて
イキングメタルバンドの3年振り、通算10作目と
クラブチッタ公演を丸ごと収録。衰えるどころか、
で何か始まる」と歌う表題曲他、クリープハイプ
ユニットとしての可能性を見せつけた2枚のシン
ときに激しくダンスビートを噛ます。これぞ
ヴィネスも充分。その間を漂うかのようなメロ
も説得力を持ってリスナーの心に突き刺さる。当然
なる新作。伝説的傭兵団「ヨムスヴァイキング」を
さらにたぎるばかりの灼熱メタル魂を堪能できる。
節を堪能できる計3曲を収めたシングル。エロ
グルを踏まえ、この1stアルバムに結成理由と改
BABYMETAL節で、今までのメタルの解釈には
ディとぬめりとした歌声には、どこまでも深く
それはアルバム全体を通して聴いても感じられ、
題材にしたコンセプトアルバムである今作におい
ほかメンバーへのインタヴュー、旧メンバーや
チックな暗喩がいかにもな“サウジアラビア”も
めての野心を表した。情感的で劇的なサウンドの
スッポリ納まらず、かと言ってメタルとはまた違
陶酔できる。実験的な要素とポピュラリティを
“Hate By Design”での咆哮、
“Alone I Stand”で
ても、アンセミックなメロディックデスメタルサウ
親交の深いライターを迎えた対談などで、バンド
含め、どの曲も聴く者の気持ちをかきむしるよう
随所にキャッチーさも。そして多面的な歌声が
うストイックさを誇るアイドル的要素もあるが、
絶妙なバランスで釣り合わせるセンスはさすがの
のメロディパートなど、何度もハッとさせられた。
OUT
ンドは健在だ。
の歴史を深く掘り下げる映像作品。
にギターが鳴っている。
心に揺さぶりをかける。
完全にそれとは言い難い、ある意味そのふたつの
一言。これだけサウンドのレイヤーを重ねつつ、
サウンドは前作を正当進化させたかのような、ドラマ
DATE
分野をまたいだとこから産声を上げた。
最終的にコンパクトにまとめている手腕にも
ティックに展開するメタルコアサウンドだが、
BABYMETALのライヴを初めて観たとき「新しい
脱帽だ。20年に渡って培ってきた自分たちのサウ
進化したヴォーカルと一体となりその攻撃性は
エンタメの息吹きかも」と思った理由も、まさに
ンドの根幹をしっかりとキープしつつ、これまで
倍増。前々作での若干行き詰まった感じが嘘の
そこにある。先日の取材時にSU-METALは前作を
のキャリアを総括した作風は、新規ファンの入り
ような振り切ったサウンドで攻めきった前作も完成
「名刺代わり」と言った。そうなら今作がまさに正真
口としても機能すると思う。同期の大物である
度の高い1作だったが、今作は更に上をいく充実
正銘のデビュー作だ。前作にはなかった新しいこと
KORNの影に、どうしても隠れがちなバンドで
ぶりで、KsEの真の実力をまざまざと見せつけら
に果敢に挑戦し、
“聴かせどこ”
“泣かせどこ”
を
あることは否定しない。しかしシーンを問わず
れたかのようだ。
後半に置いている。巧みに計算された実に完成度
絶大な支持を受け続けるオリジネイターのひとつ
の高い作品だ。
である矜持を存分に示した1枚だ。
(有島博志)
トイズファクトリー:初回生産限定盤(CD+DVD)TFCC-86545
通してバンドとしてのケミストリーを高めたで
IMPORTED
『ヨムスヴァイキング』
『30+』
『破花』
(松並慎一郎)
ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル:SICP-4754
Virgin Music Delicious Deli Records:UIXN-1002
(松並慎一郎)
ワーナーミュージック・ジャパン:WPCR-17105
NOW
Printing
(兒玉常利)
ユニバーサルミュージック:初回限定盤(CD+DVD)UMCK-9814
EXIT TUNES:
通常盤(CD)UMCK-5594
限定盤(CD+DVD)Equal-0001、通常盤(CD)Equal-0002
OUT NOW
4.20
『REASON』
(山口智男)
(望月裕介)
OUT
(望月裕介)
ワーナーミュージック・ジャパン:WPCR-17145
OUT NOW
OUT
OUT NOW
4.6
NOW
Printing
通常盤(CD)TFCC-86546
ヒールフリップ
SHADOWS
『I DON'T KNOW MY WAY』
OUT
OUT NOW
4.6
SECRET 7 LINE
『EVO:ERA』
『THE SOUND OF US』
スカ+カオスのスカオティック・バンドを自認
元FACTのヴォーカルとギターふたりが結成し
アンビエントなサウンドメイキングやダンスビート
前から気になっていた大阪出身バンドの新ミニ
4.6
する5人組のメジャー第1弾。ポジティヴなヴァ
た新バンドによる5曲入りのEP。東京近郊の倉
の導入をはじめ、タイトル通りの挑戦がバンドの
作5曲入り。ロック、メタル、ヒップホップ、
イブが攻撃的かつポップに息づき、あるときは
庫でライブレコーディングを敢行し、抜き身の
飛躍をアピールする2年半ぶりの新作。かつての
EDMなどを縦横無尽に混ぜ合わせつつ、ダンス
おもちゃ箱をひっくり返したかのようで、また
メタルコアサウンドとともに再スタートをア
ポップパンク/エモバンドは、もうここにはいない。
ビートをロックアングルでかき鳴らし、聴く者
あるときはジェットコースターに飛び乗ったか
ピール。キャッチーな魅力を持った曲が揃った
紅一点シンガーを擁するオーストラリアの5人組
を踊らせる。そしてメロディのフックが強く、
のよう。名刺代わりに融通無碍な佳曲、好曲の
印象だが、プログレッシブな展開も。これは挨
ロックバンドは、ここからさらに大きな舞台を目
サビも立っており、聴く者を歌わせること必至。
躍動感を体現した痛快作だ。
拶状。まだすべては明かしてはいないはず。
指す。
要注目だ。実にわかりやすいのも◎。
『THE BEAUTiFUL PEOPLE』
昨年8月、事故によりSHINJI(vo,b)を失ったシク
kihiro(vo)とKEN'ICHI(ds)のふたりでスター
セブことSECRET 7 LINEが、レコーディング半ば
で残っていた楽曲を、盟友たちの力を借りて完成
(2015年)発売に伴う活動サイクル、そして
作品だった前作『QUATTRO』は、ヘヴィさを
させた新作。GOOD 4 NOTHING、AIR SWELL、
DEAD POP FESTiVAL 2015を野外フェス形式
残しつつ、kihiroの巧みな歌唱力を前面に出した
HOTSQUALL、LAST ALLIANCE、UZMKとそう
へと持っていき開催した実績、武道館という名
アルバムだった。今回はスピード感を押さえるこ
そうたるメンツが集まったこともあり、正直シク
の檜舞台に立った“華”などをひっくるめて凝縮
とで、さらにメロディの響きを際立たせた作品に
セブらしさをどこまでキープできるのかという不安
したこれまでの集大成作であり、SiM新章を綴る
なっている。プロデューサーとしてfadeのruiを
もあったし、まぁ企画盤として捉えるべきかなと
ことを宣言した力作だ。パンクロック×メタル
起用したことで、それぞれの得意な部分を成長さ
最初は思った。しかしふたを開けてみれば、これ
×レゲエ×ハードコア的な音楽的生命線は微動
せるとともに、これまでになかった手法にもアプ
ぞシクセブと言うしかない、弾けるようなメロ
だにせず。相変わらず攻めているし、これまでに
ローチしたことが、相当自信と成長につながった
ディックパンクがギュっと詰まっているのだ。
なかった要素もあって、聴いているとワクワク
ようだ。それは、前作では一部分にとどまっていた
ゲストも自分の存在を主張するのではなく、シク
するし、感極まることも1度や2度じゃない。結成
日本語詞をさらに増やしたことからも感じられる。
セブとSHINJIを強く、温かく支えることに徹して
から10年強̶。決して短いキャリアじゃない。
サウンドもより整理されているので、情報量は
おり、とにかく胸と目頭を熱くさせるアルバムと
むしろ長いとすら言える。その間紆余曲折を経験
多いが耳になじみやすい。たしかに以前に比べる
なった。タイトルの通り、まさにUs(俺たち)が
するも、そのたびに必ずや乗り切り、そして
と激しさや派手さ、ケバケバしさはかなり後退した
作り上げた作品だという自負が伝わってくる。ほか、
それらを完全に肥やしにして屈強体になったこと
けれど、ロックだ、メタルだ、EDMだといった
DISC 2として、リミックスとリマスタリングを施
からの自信、余裕も随所で強く感じる。押しと
次元を超えて、純粋にいい曲が集まった作品だと
した旧曲をまとめたベスト盤も付属。シクセブが、
引きと抜きのバランス感、そしてそのコントラ
言いたい。6弦ベースを操る新メンバー、Miroと
そしてSHINJIがいかに愛されていたのかを示し、
ストが実に美しい作風だ。これまで応援してきた
洋楽フリークも聴くべし!
(有島博志)
(望月裕介)
インペリアルレコード:TECI-1499
maximum10:MXMM-10052
IMPORTED
DIE KRUPPS
H2O
『V - METAL MACHINE MUSIC』
April - May 2016
PRIVATE SMILE:NCS-10113
IMPORTED
MINISTRY
PRONG
『TORONTO 1986』
『USE YOUR VOICE』
IMPORTED
『X - NO ABSOLUTES』
90年代中盤、インダストリアルメタルが欧米で
マッチョでタフなイメージが強いニューヨーク・
86年のライヴ。インダストリアルメタルへと
通算13枚目。正直、再結成後の彼らはあまり
盛り上がった際、中堅どころの立ち位置で人気を
ハードコアにおいて、随一のポップさを示す
変貌をとげる前、まだシンセポップ、ニューウェ
好きじゃない。作品ごとに新領域に足を踏み入れ、
得た独産5人組の10枚目の新作で2枚組。EBM
H2Oの7作目。ポップと書いたが決してナヨナヨ
イヴ、EBM色を打ち出していたころのライヴ
斬新な手法を表現していたオリジナル活動期が
からインダストリアルメタルへとミニストリー
しているのではない。筋肉質かつしなやかだから
音源が正式に発売されるのは今作が初めてゆえ、
スゴすぎたんだろう、あの時代の彼らはまさに
と同じ音楽的系譜をたどり、サビはキャッチー
こそ、甘さ控えめのポップさが生きるのだ。正直
非常に貴重だ。全編とおしてダークながらそれで
モダンロックの象徴だった。再結成後は普遍な
ながら基本は金属的な冷たさを持つサウンドだ。
目新しいサウンドではないが、重鎮ならではの安定
いてユルいヴァイブが漂い、実は緊張感もあると
メタルをやるようになったけど、今作は以前の香り
歌詞は英語と独語半々。
感でパリっとまとめている。
いう特殊な空間が楽しめる。
を少し感じさせてくれる。
(望月裕介)
(有島博志)
(有島博志)
EMI Records:UPCH-27007
OBLIVION:SPV 268932 2CD
28
ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル:SICP-4749
IMPORTED
(有島博志)
Kick Rock MUSIC:EKRM-1323
(有島博志)
DEViLS』(2015年)、前シングル『CROWS』
熱心なファンは当然、SiMを未体験の邦楽ファン、
語り継いでいくに違いない作品だ。
AFD's Music Entertainment:CTLR-1013
(山口智男)
(山口智男)
4枚目の新フル作。前々シングル『ANGELS and
トした初期を経て、バンド形態になって初めての
(望月裕介)
『WORLD COUNTDOWN』
SiM
「Electric Dance Metal」を掲げるLOKAの新作。
ともに回るツアーも楽しみだ。
Xmas Eileen
『リミットレス』
OUT
(兒玉常利)
LOKA
トゥナイト・アライヴ
『Extrance』
BRIDGE NINE RECORDS:B9R230
CLEOPATRA RECORDS:CLP-2314-2
STEAMHAMMER:SPV 268180 CD
April - May 2016
29