第1章 計画策定にあたって 第二次計画を振り返って 第3章 具体的な計画と推進 第4章 用語解説・関連計画等 8 第2章 第二次計画を振り返って 2章 第 1 第二次計画を振り返って ここでは「第二次計画」の期間における取組みの成果と課題を、施策の柱ごとにまとめて示します。 各項の「成果」「課題」は、 本計画の策定会議の皆さんの意見に基づいたものです。 基本目標1 特別支援教育を充実させる人材の育成 施策目標1 特別支援教育のための校内委員会の強化 【成果】 ① 特別支援教育コーディネーターの専門性の向上 ■ 各校のコーディネーターの人数 : 1名…63校 2名…30校 3名…13校 4名… 2校 ■ 特別支援教育コーディネーターの研修実績(H26年度):2回 ② 校内委員会の強化 H26年度の特別支援教育に関する研修の実施校数 : 56校(小 : 48校 中 : 8校) 個別の教育支援計画に関する各校への指導・研修等(H27年度実施分): 2回 【課題】 ・ 特別支援教育コーディネーターの専門性や具体的対応力の向上が必要 ・ 校内委員会では生徒の実態把握の他に、 具体的にどんなことを検討・情報交換するのかを明確に しておくことが重要である。 ・ 一人一人の教員の意識をあげていくためには、 研修だけでなく、 校内委員会の効果的な活用が 今後さらに必要である。 ・ 各校の人数について、 在籍児童・生徒の実数や実態に応じていくと不足だと考える。 ・ 研修の実施校数が、 コーディネーター設置校数の約半分にとどまっている。 施策目標2 教員や学校サポーター等の研修の充実 【成果】 ① 特別支援教育の専門性の向上を図る教員研修の充実 指導課主催の特別支援教育に関する研修のH26年度実績 ■ 初任者研修 : 1回(発達障害の理解) ■ 2年次研修(生活指導、 特別支援教育) ■ 難聴・言語障害学級担当者研修会 : 4回 ■ 知的障害学級担当者研修会 : 3回 ■ 情緒障害等通級指導学級担当者研修会 : 3回 ■ 管理職研修における特別支援教育の研修実績 : 1回 9 年度 開催対象市域 実施回数 延参加者数 通算認証数(人) 25 1 初級 6 回 328 人 10 人 26 3 初級 10 回(2 回ずつ) 332 人 36 人 27 市内全域 初級 6 回・中級 3 回 ― 52 人(12 月現在) 第1章 計画策定にあたって ②学校サポーターの支援力を高める育成プログラムの作成と実施 【課題】 ・ 特別支援学校と連携した教員研修として、 特別支援学級担任の資質向上を目的に、 特別支援学級 研修を実施したい。 ・ 管理職対象の研修を充実したい。 特別支援学級の設置校、 未設置校を問わず、 就学相談の現状や 課題、 アフターケア等に関わる研修等。 また、 インクルーシブ教育システムの構築に関わる課題や 基礎的環境整備及び合理的配慮に関わる課題、 交流及び共同学習推進のための方策等に触れる 機会が増えると良い。 第2章 第二次計画を振り返って 担任と特別支援学校担任が、 相互に行き来し、 一日単位で現場研修や情報交換を行うような実践的 ・ 経験年数等により課題が異なるため、 その段階に応じた研修内容を組み立てることが必要。 ・ 特別支援教育についての意識を向上させるための研修会。 施策目標3 特別な支援を必要とする児童・生徒への体制整備 【成果】 ① 特別支援学級の実態に応じた指導補助員の配置 配置校数(小) 配置校数(中) 25 21 校 / 78 人 14 校 / 57 人 26 21 校 / 48 人 14 校 / 32 人 27 21校/46 人(12 月現在) 14 校/28 人(12 月現在) ② 学校サポーターの配置の充実 年度 学校サポーター 特別支援ボランティア 25 375 人 171 人 26 518 人 195 人 27 416 人(12 月現在) 139 人(12 月現在) 10 A:それは違います。 指導補助員は26年度から教員免許を 必須条件にしたため、 それ以前と比較し 人数の減少が見られましたが、 一人あた りの配置時間数は増えているので、 活 用時数に大きな変化はありませんでし た。 なお、 教員免許のない方にも学校サ ポーターとして引き続き活動していただ いています。 27年度の学校サポーター、 特別支援 ボランティアは、 人数は昨年より少なく なっていますが、 一人あたりの活動時間 や活動日数は増えており、 総体的に見る と、 学校で支援者を活用している時間数 は昨年度より増加しています。 第4章 用語解説・関連計画等 年度 Q:人 数 が 減 っ て い る 年 は 支 援 そ の も の が 少なかったということなので しょうか? 第3章 具体的な計画と推進 ・ 研究授業を基にした実践的な研修の実施が必要。 【課題】 ・ 指導補助員、 学校サポーターの質、 量両面での充実は継続したい。 人がいれば解決する、 という 単純な問題ではないが、 教育的なニーズ及び合理的配慮に応じた指導や支援の充実を考えれば、 基礎的な環境整備として人的な配置は重要事項となる。 ・ 児童・生徒の状況に応じて指導補助員や学校サポーターを適切に配置しているので、 児童・生徒へ の指導上有効である。 指導方法等についての研修を義務化して、 より効果的な指導を推進してい けたらと思う。 ・ 学校サポーターの配置は、 地域の教育資源を活用する目的の他に、 地域社会に対して特別支援 教育への理解・充実を促すことが期待できるので、 今後はサポーター制度についてさらなる周知を 図りたい。 ・ 第二次計画後の実施数は明らかに増加し、サポーターや指導補助員による支援が充実したと思う。 地域の力を借りるということは、 身近な支援者が増える、 というメリットがある。 一方で、 知り得た 情報に対する守秘義務の徹底や、 保護者に対しての立場を越えたアプローチでのトラブルが増え ている。 この基本的な重要課題は早急に対応すべき課題だと思う。 11 施策目標1 特別支援学級の設置の推進 【成果】 ① 特別支援学級の計画的設置(年度当初の開設学級数と在籍児童・生徒数) 設置小学校数/児童数 設置中学校数/児童数 知的障害固定級 情緒障害等通級 知的障害固定級 情緒障害等通級 25 21(331) 11(365) 14(223) 6( 93 ) 26 21(318) 14(427) 14(228) 7(110) 27 21(329) 16(642) 14(230) 9(144) 28 23( − ) 15( − ) 9( − ) 特別支援教室に移行開始 【課題】 ・ 知的障害固定学級の設置については、 地域性を考慮するとともに、 適切な集団指導が展開できる 第2章 第二次計画を振り返って 年度 第1章 計画策定にあたって 基本目標2 誰もが楽しく学べる環境の整備 ような固定学級となるような視点も必要である。 ・ 通級指導が巡回指導による特別支援教室になるが、 拠点校となる学級を適切に設置・整備していく ことも必要である。 性等を加味しながら設置を検討していく必要がある。 ・ 固定制の自閉症・情緒障害学級については、 各区市町村で課題も大きいようだが、 教育課程の 開発や読み書きに関する指導方法の開発、 人材の育成と配置等の課題が大きく、 その動向と併せて 検討していく必要がある。 第3章 具体的な計画と推進 第二次計画では、 5校に1校程度となっているが、 有効な巡回指導を展開するために八王子の地域 ・ 設置上の課題とは離れますが、 知的障害学級の教育内容のより良い在り方や、 市としての基本的な 指針、 その意義、 良さのアピールなどを進められると良い。 固定学級への否定的な見方、 捉え方や イメージが保護者の中に見られる現状がある。 いる。 特別支援学級の設置と同時に、 個別の対応や指導内容の更なる充実を期待する。 ・ 設置に関しては、 全市バランスの取れた配置になってきたと思う。 12 第4章 用語解説・関連計画等 ・ 都立特別支援学校を選択する児童・生徒の中にも、 地域の特別支援学級でも通えそうな子どもが 施策目標2 特別支援教室の整備と展開 【成果】 ①特別支援教室の整備と検討 ・ 特別支援教室については、 東京都教育委員会はH24~ 26年度でモデル事業を実施し、H27年度 ガイドライン周知、H28 ~30年度で完全実施を計画している。 本市はH25年度より検討開始、H26年 度市費による3か年の予算化で備品等整備を開始、H27年度よりペア校による巡回訪問指導のモデ ル実施を開始。 また、 都補助事業により小学校全校を対象とした3か年の教室環境整備を計画し、 H28年度より順次導入していく予定。 H27年度 2学期巡回訪問指導開始校 小学校通級指導学級 8校 中学校通級指導学級 3校 【課題】 ・ 巡回システムの構築とそのための体制整備が必要。 実務的な課題を洗い出しながら、 担当教員も 支援を受ける児童も、 在籍校職員も過度な負担なく、 有効な巡回ができるよう随時協議検討して いく。 ・ 特別支援教室の環境整備及び教材教具等の充実。 基本的な環境づくりだけでなく、ICT機器等の 有効利用ができる環境がほしい。 また、 巡回校それぞれに必要な教材や教具等を備えておける 状況を作りたい。 ・ 巡回担当者の専門性向上を図る取組み。 配置教員は経験や専門性に当然差がある。 特にこれから は経験の浅い教員が配置されることもある。 巡回指導と拠点校での小集団指導、 加えて就学相談 や教育相談、 その他のオーダー等が入る可能性もある。 その中で担当教員の専門性を高め得る 研修の在り方を検討したい。 ・ 特別支援教室については、 まだ現場の先生や保護者に充分伝わっていないように感じる。 ・ この取組みで大きな役割を担うのは、 学級担任であると思う。 巡回指導の先生、 サポーターと 連携する時間の余裕があるのか、 日々の学級経営に支援の必要な子どもをどう受け入れて授業が 進むのか、 授業から取り出されるだけの指導になるのではないかと危惧する。 13 施策目標1 八王子市教育委員会における支援体制の充実 【成果】 ① 特別支援教育を推進するための新たな課の設置 H25年8月の組織改正により学事課の学事担当、 指導課の支援教育担当、 教育センターの教育相談 第1章 計画策定にあたって 基本目標 3 子どもが安心して教育を受けられる連携体制の構築 (適応指導教室を含む)を統合して、児童・生徒一人一人の支援ニーズに対応する「教育支援課」を設置。 ② 保護者や地域への啓発活動の推進 内容 25 特別支援教育シンポジウム 1 回、地域講座 1 回、その他出前講座も実施 26 地域講座 2 回、その他出前講座も実施 27 地域講座 2 回(予定)、その他出前講座も実施 第2章 第二次計画を振り返って 年度 【課題】 ・ 「教育支援課」の設置によって八王子市の特別支援教育が大きく前進し、 学校・保護者等からの要望 も継続を図ることが必要。 ・ 広い八王子市で、 相談・対応機能が一か所では、 難しい面もあるのかもしれない。 同程度の相談的 機能を有する部署、 窓口ができると良いと思うこともある。 第3章 具体的な計画と推進 等について迅速に対応できていると考える。 保護者や地域に向けた地域講座は有益なので今後 施策目標2 巡回相談システムの見直しと充実 【成果】 ① 巡回相談の見直しと充実 談、 登校支援を担当する相談員の連携が取りやすいよう、 情報共有ができる体制づくりを行った。 また、 これまで保護者の承諾が取れないと訪問できなかった児童・生徒への個別の巡回相談のほ かに、 支援の対象となる児童・生徒が在籍する学級での行動観察やアドバイスを行う「学級支援」を 開始した。 巡回相談の件数 H25…519 件 → H26…588 件 14 第4章 用語解説・関連計画等 H26年度以降、 巡回相談を含む相談担当全体の体制を見直し、 総合教育相談、 巡回相談、 就学相 ② 保育園・幼稚園や関係機関の巡回相談との連携強化 H25年から保育幼稚園課の巡回相談員と年 1 回情報交換を実施。 【課題】 ・ 利用回数の増加から見ても、 巡回相談システムは各学校で定着してきたように感じる。 保護者の認 知度も高まったが、 一方で、 巡回を受けた学校が具体的な支援につなぎきれていないこと、 巡回の 対象学級、対象児童以外に応用することができていない学校がある。 ・ 今年度で特別支援学校による固定学級への巡回相談が一巡するが、 特別支援学級の指導体制の 課題は多く、 通常の学級の状況に対する学校の課題がある。 形式的なものではなく、 特別支援学 校の先生方の専門性が有効に活かされる方法を考えることが必要ではないか。 施策目標 3 巡回指導・相談の拠点校としての通級指導学級の機能強化 【成果】 ① 通級指導学級教員の専門性の向上 指導課主催の通級指導学級教員研修のH26年度実績 ・情緒障害等通級指導学級担当者研修会 3 回 ②通級指導学級による通常の学級への支援・指導体制の検討と実施 ・ 特別支援教室のデータ参照 ・ 通級教員の指導力を向上するために教育支援課で勉強会を開催。 H25年度より5回実施。 【課題】 ・ 巡回校における巡回指導担当の有する機能の発揮と成果検証が必要。 ・ 児童・生徒の様子や指導について、 通級指導学級から通常の学級への情報は参考になるが、 直接 会って指導についてさらに深く話す機会が増えればさらに効果的だと考える。 ・ 内発的動機付けによる巡回活動の実施と巡回前と巡回後での改善の状況が明確になる仕組みづく りが必要。 15 【成果】 ①就学前から小学校につなげるための連携強化 就学支援シートH27年度入学児童分 361件 ※1年生の数=4,598人 7.85% ②中学校へつなげるための支援シートの作成と実施 第1章 計画策定にあたって 施策目標 4 保育園・幼稚園と小学校及び中学校との連携強化 学校生活支援シートの経過について ・ H26年度特別支援教育推進委員会にて、 就学支援シートを活かした学校生活支援シートのフォー マットを協議・作成。 【課題】 ・ 引き続き、 就学支援シートや個別指導計画、 個別の教育支援計画(学校生活支援シート)を有効活用 しながら、 教育的なニーズの引継ぎや、 必要に応じて連携した支援を進めて行くことが必要。 ・ 中学校または特別支援学校高等部卒業後のつなぎが必要。 社会参加にあたり、 就労が難しい生徒 第2章 第二次計画を振り返って 就学支援シートが提出された児童に対しては、必ず「学校生活支援シート」を作成することを進める。 に、 複数年職能訓練や生活自立訓練ができるなど、 よりスムーズな社会参加につながると良い。 福祉就労の場も飽和状態であり、企業就職も難しい現状なので、 自立に向けた取組みにつなげられ ・ 中学校としては小学校からの情報は大変参考になる。 一方で児童についての支援の情報量が学校 により異なっているので、 就学支援シートや学校生活支援シートを活用した確実な連携・支援を 推進していきたい。 ・ 就学前児童の施設は、 特別な支援を要する児童の保育・教育に関して個別支援計画を立てることが 推奨されており、 八王子市では昨年度、 「保・幼・小連携の日」を設定するなど、 小学校と就学前児童 第3章 具体的な計画と推進 ると良い。 の施設との連携強化も図っているので、 今後、 個別支援計画のすり合わせ等ができるとよい。 ・ 就学支援シートの利用が保護者・園に定着し、 スムーズな入学と学校生活のスタートにつながる ケースが増えた。 今後はさらに園と学校の顔の見える関係が深まることが大切。 中学校へのつな 活用を合わせることでより充実した支援につながる。 16 第4章 用語解説・関連計画等 ぎも、 小学校からの申し送りが保護者抜きのケースがまだ多いと感じる。 学校生活支援シートの 施策目標 5 都立特別支援学校センター校との連携の充実 【成果】 ①特別支援学校連絡会を中心とした協力体制の強化 ・ 「特別支援学校との連絡会」…八王子特別支援学校(知的)、 八王子東特別支援学校(肢体不自 由)、 多摩桜の丘学園(知的・肢体不自由)、 八王子盲学校、 立川ろう学校 ・副籍事業の利用数の推移 年度 小学校 中学校 合計(人) 25 125 82 207 26 137 81 218 27 149 79 243 ②センター校と連携した巡回指導の実施 特別支援学校の協力による巡回相談のH26年度実績 : 小、 中学校の特別支援学級(知的固定)に対し て、 都立特別支援学校のセンター的機能を活用した巡回相談を14校で実施。 【課題】 ・ 教員の専門性向上に資する連携や協力ができると良い。 ・ 副籍事業の充実。 ・ 都立特別支援学校の教諭に巡回相談を実施していただき情報交換と研究協議会を実施したが、 生徒の指導を行う上で大変参考になった。 特別支援学級は大いに活用すべき。 ・ 副籍事業の推進は地域指定校の教員にとって、 都立特別支援学校の児童・生徒との交流は障害 理解に大変有効なので、 今後も直接交流を充実させたい。 ・ 都立特別支援学校の指導方法や技術を地域の特別支援学級にも広め、 一定の基準を担保する ことで、 より多くの児童・生徒が居住地域の特別支援学級で安心して学べると思う。 17
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