奈良県立医科大学新キャンパスおよび附属病院周辺における再生可能

平成26年度地産地消型再生可能エネルギー面的利用等推進事業費補助金 構想普及支援事業(Ⅰ事業化可能性調査)
成果報告書要約版
奈良県立医科大学新キャンパスおよび附属病院周辺における再生可能エネルギー面的利用構想
事業者名:○株式会社富士通総研 ◎関西電力株式会社
対象地域:奈良県橿原市の奈良県立医科大学および附属病院周辺
実施期間:平成27年6月∼平成28年2月
1.事業の背景・目的
奈良県立医科大学および附属病院においては、奈良県農業研究開発センター跡地に
、平成33年新キャンパス整備の計画が公表されており、施設の再編や、周辺施設整備
を含む新しいまちづくりが検討されている。
また、地方創生の枠組みの中で医学を基礎とするまちづくりを検討するために、奈良
県、橿原市、医大が中心となり、民間企業の参加を募ってまちづくり準備会合が立ち上
げられている。今後、自治体と進出事業者等が連携してまちづくりが進められる予定で
ある。(平成26年5月内閣府地域活性化モデルケースに選定、平成27年3月地域再生
計画に認定)
こうした背景の下、本事業は、新医大キャンパス周辺と既設病院周辺、既設病院周辺
に隣接したまちづくりゾーンの3つのエリアを対象に、環境性、防災性、経済性等を高め
るための地産地消型再生可能エネルギー面的利用システムや市全域を対象として検
討中のICTプラットフォームとエリアEMSとの連携によるスマートコミュニティモデルを構
想し、その事業性を検討することを目的とする。
3.調査の結果
事業化の可否の結論: 可
検討項目
①EMSの構成
②EMSの効果
④事業実施体制・事業
スキーム・スケジュー
ル
2.補助事業の概要
① 地域におけるエネルギー需給に関するデータ収集および想定
a. 新医大キャンパス、新病院周辺エリアを対象として、エネルギー需要量、各施設
の建物諸元、設備機器構成等について把握及び想定する。
b. エネルギーマネジメントの観点よりエリアEMS導入に向け検討する。
② 地産地消型再生可能エネルギー面的利用システムに関する調査
a. 再生可能エネルギー面的利用
b. 既設エネルギーセンターの最適システム検討
c. 対象エリア内の自己託送等による非常時供給
③ 新医大キャンパス周辺と既設病院周辺のスマートコミュニティモデルの検討
a. 面的エネルギーシステム最適運用の検討
b. EV充放電システムDRの仕組み検討
⑤事業採算性評価
⑥他地域への展開
⑦今後の展望・課題・
対策
事業化予定時期: 平成33年
実施方法
検討結果
移転前の敷地には大学と病院があり、移転後は、その跡地全体が新病院に、移
転先に新大学ができる。新病院に隣接して、近鉄新駅を含む、まちづくりゾーンが
想定される。まちづくりゾーンには、サービス付高齢者向け住宅、通院者向け短
期滞在施設、地域包括ケアシステム関連施設などの医療・福祉施設が想定され
る。
a. まちづくりゾーン⇔新病院間の熱の面的利用による、新病院およびまちづくり
ゾーンの給湯負荷の充足
b. 新大学における太陽光発電による、新大学の系統電力の使用抑制
c. 新大学⇔新病院間の電力の面的利用による、新大学・新病院のピークカット
d. 新病院における井水熱活用による、新病院の空調負荷の一部賄い
e. エリアEMS機能による、新病院、新大学、まちづくりゾーンの関連施設の電力
需要の省エネ
f. エリアEMS機能による、新病院における災害時・電力ひっ迫時の、優先度の
高い電源の優先確保
【事業スキーム】
【実施体制】
MBT構想の推進母体となる 現時点では、エリアEMSを活用したエネルギーマネ
MBTコンソーシアムが事業 ジメントとして以下を想定。
化コンソーシアムに進化し、 a. 再生可能エネルギー(熱)の面的利用
参画している主体が事業会 b. 再生可能エネルギー(電力)の面的利用
社を設立することを想定。 c. EV配置・運行
d. エリア内デマンドレスポンス(DR)
導入が必要な各EMS機能シ エリア熱融通システム、エリアEMS機能としての電
ステムおよび電源・熱源シス 力需要の省エネ制御システム、太陽光発電、太陽
テムへの初期投資額を試算。熱集熱、下水熱ヒートポンプ、井水熱ヒートポンプ、
それらによる年間経済メリッ 蓄電池、帯水層蓄熱に対する全体初期投資額、ラ
トを試算。それらにより回収 ンニングコストメリットをそれぞれ見積もり、回収期間
を試算、一定の事業採算性があると評価。
期間を評価した。
スマートコミュニティモデルと 「商業施設で、電力ピーク時間帯に、消費者が商業
して、エリアEMSを、周辺地 施設を訪れて、自宅の消費電力を抑えるピークカッ
域へ展開させ、医大の特徴 ト協力に対し、インセンティブ(エコポイント、クーポン
を生かしたサービスを充実さ 等)を提供することによる集客」「サービス付高齢者
せていくというアプローチで 向け住宅において、健康によい温湿度等の住居環
境管理(熱中症予防、温度差による循環器疾患へ
検討。
の悪影響防止 等)」などのサービスを検討。
事業性(ニーズの高さ、サー 総合評価を行い、優先的に取り組むべきサービス、
ビス提供主体の明確さ、独 事業の方向性として以下を抽出した。
自性)、環境性(CO2削減、 a. 比較的導入がし易く、他の地域でも実施できる
かもしれないが、実現性の高いスマートコミュニ
省資源)、防災性(被災時の
ティモデルのサービス
活用、事故や健康被害防止
への活用)、課題(研究段階 b. 独自性があり、チャレンジングではあるが、尖っ
たスマートコミュニティモデルのサービス
か実用段階か、プライバ
シー保護)を評価。
4.地産地消型エネルギーシステムの概要
まちづくりゾーンで太陽熱を集熱し、まちづくりゾーンの給湯負荷に対して使うとともに、余
剰分を新病院に熱融通する。新病院側の給湯負荷のうち、熱融通をしても不足する分を
下水熱ヒートポンプで補う。新病院の空調負荷を一部井水熱で賄う。新大学においては、
帯水層蓄熱によって、新大学の暖房負荷を充足し、冷房負荷を一部賄う。太陽光発電を
新大学で自家消費することで系統電力の使用を抑制、ピーク時には、蓄電池で需給調整
を図り、新大学のピークカットをするとともに、自己託送により、新病院におけるピークカッ
トも行う。
■電⼒・熱の⾯的利⽤と
再生可能エネルギー導入イメージ
:熱の流れ
:電⼒の流れ
エリアEMSの機能として、以下を想定する。
・エリア内の機器稼働状態や人感、ID・入退管理、環境情報等を用いて、省エネ、ピーク
カット、熱利用最適化制御を行う。
・エネルギーデータの蓄積により需給量の予測・シミュレートを行う。
・研究部門、附属病院、サービス施設等の特性別最適モデルの作成を目指す。
・第三者による継続的なコミッショニング(性能評価)を実施する。
井水
上水
:再生可能エネルギー導入
井水
HP
給湯
空調
ボイラ
新病院
自己
託送
熱融通
帯水層
井水
HP
太陽熱
集熱器
太陽光
発電
下水熱
HP
ボイラ
電気
空調
新大学
蓄電池
電⼒融通
給湯
まちづくり
ゾーン
給水
【エネルギーマネジメントシステムの構成】
アイテム
導入予定時期
(既設or新設)
新病院、新大学、まちづくりゾーン(サービス付高齢者向け住宅、通院者向け短期滞在施設、地域包括ケアシステム関連施設 等)の電力、
冷房、暖房、給湯の負荷を対象として想定し、以下の構成のEMSシステム、電源・熱源等を活用してマネジメント
平成33年(新設)、但し、新病
院は、新設と既設とからなる
まちづくりゾーン⇔新病院間の熱の面的利用、新大学⇔新病院間の電力の面的利用、エリアEMS機能としての電力需要の省エネ制御
平成33年(新設)
太陽光
新大学の屋根面積の50%に太陽光パネルを設置、新大学の20%弱の系統電力を抑制
平成33年(新設)
太陽熱
まちづくりゾーンに新設される施設の屋上60%に太陽熱集熱器を設置、まちづくりゾーンと新病院の給湯負荷の50%程度を賄う
平成33年(新設)
下水熱
新病院に下水熱ヒートポンプを10台程度設置、新病院の残りの給湯負荷を賄う
平成33年(新設)
井水熱
新病院の既設井戸に井水熱ヒートポンプを設置、温度差5℃で1日12時間運転、新病院の空調負荷の数%であるが年中利用可能
平成33年(新設)
新大学に設置、自己託送により新病院のピーク電力の10%弱を調整
平成33年(新設)
新大学に井水熱ヒートポンプを数台設置し、敷地の帯水層に蓄熱、新大学の暖房負荷を全て賄う
平成33年(新設)
対象需要
EMSシステム
電源・
熱源
設備概要(出力、容量、用途、台数等)
蓄電池
帯水層蓄熱