仁寿苑だより

林先生のひとこと
平成24年 冬号
仁寿苑医師 林 隆則
仁寿苑だより
介護老人保健施設 仁寿苑
「前立腺癌」の話
あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
前々回の仁寿苑便りで前立腺肥大症についてお話ししましたので、今回はもう一つの前立
腺の代表的疾患で、近年増加してきている癌の一つである「前立腺癌」の話です。
前立腺癌の初期には、自覚症状はありません。癌の病巣が時間をかけて大きくなり尿道を
圧迫することにより、初めて「尿が出にくい、回数が多い」などの症状が出てきます。従っ
て症状が出た時点ではかなり進行している場合も少なくありません。健康診断の際に受けた
方もいらっしゃると思いますが、早期発見のためにはPSA(前立腺特異抗原)の血液検査を行い
ます。この値が高い場合に前立腺癌が疑われ、更に詳しい検査を行うことになります。主に
CTやMRIといった画像検査が行われ、更に確定検査として前立腺の一部を採取し組織検査が
行われます。この結果、初めて前立腺癌の確定診断が得られることになります。前立腺癌は
日の短き2012年の冬真っ只中
癌が全て前立腺の中に留まっている状態の早期癌、前立腺の皮膜の外側に出てきた中期癌、
他の臓器に転移を起こしている進行癌に分類されます。主な治療は手術療法、放射線療法、
抗癌剤による化学療法、ホルモン療法あるいはこれらの治療を組み合わせた治療方法があり
ますが、進行度や年齢、全身状態に応じて適切な治療法が選択されます。
早期に発見することにより、完治することも可能な癌ですので、50歳を過ぎたら1 ∼ 2年毎
の定期検査を受けることをお勧めします。
仁寿苑施設長 加藤節司
大寒も過ぎ、いよいよ立春へと向かいつつも、冬
さて、仁寿苑では今年も、利用される方々の尊厳
の厳しさが身に染みるさなか、皆さまにおかれまし
を保持しつつ質の高いケアを提供するため様々な取
てもおかわりなくお過ごしのことと存じます。いつ
り組みを行って参ります。そのための志として、今
も仁寿苑を愛していただきありがとうございます。
年一年の年頭に当たり皆さまに対してお誓い申し上
この時期を、水沢腹堅(さわみず こおりつめる) げたいのは、「私たちの得意な分野をやりぬく」と
広報誌に関する 通所リハビリテーション
お問い合わせ 短期入所療養介護・介護老人保健施設
※写真の掲載は本人さま、ご家族さまより承諾を得ております。
0855-72-3111
0855-72-3250
担当:長原愛
担当:櫻尾香奈子
と呼ぶのは、古代中国による七十二候(しちじゅう
いうことです。私たちの得意な分野とは、在宅療養
にこう)です。日本では、江戸時代に入り、暦学者
の支援に尽きます。それは、常に家庭、そして故郷
によって日本の気候風土に合うように改訂され「本
を意識していただきながら住み慣れた環境で療養す
朝七十二候」として幾たびかの変遷を経て、現代ま
ることの素晴らしさを通じて、関わるもの皆が心豊
で受け継がれています。その名称は、気象の自然変
かになるサービスです。
動や動植物の変化を表現する短文になっています。
そしてそのサービスを提供させていただく仁寿苑
私たちにとって、季節を豊かに表す言葉が古くか
はこの地に新築移転していよいよ今年で十周年を迎
らこうして残されていることはありがたい限りで
えます。その節目の年に新たな足跡を残すべく、利
す。そのおかげで、私たちの祖先が感じていたよう
用者さま中心のサービスを提供するため、スタッフ
に日本の四季の移ろいを実感し、その感覚を、世代
全員で日々のケアの改善や重要な施策の遂行に取り
を超えて共有できるからです。雪はもう懲り懲りと
組んで参ります。介護保険における在宅への復帰支
思いながらも、大寒の朝の水は一年中新鮮であると
援を私たちの使命として、この改善をすすめます。
され、保管されてきたように、季節の変化は、あな
十年目の今年もまた皆さまの温かい眼差しのもと笑
がち悪いことばかりでもありません。自然への畏敬
顔の絶えない仁寿苑でありたいと思っています。今
を育み、生命の尊厳へも思いを馳せることもできる
後ともご指導をいただきますようよろしくお願いい
からです。
たします。
課
設
施 の紹介
施設課では、1月18日(水曜日)に小正月のお祝
いを行いました。
今回の内容は、お正月ということもあり、昔、お
正月に行っていた「書き初め大会」、「福笑い」、「羽
子板大会」を利用者さまに楽しんでいただきました。
「書き初め」では、利用者さま、思い思いの言葉
を半紙に書かれていました。半紙には、平成23年
の世相を漢字一字で表す「今年の漢字」である「絆」
を書かれた利用者さまもおられました。また、
「希望」
や「元気」といった意欲的な文字を半紙いっぱいに
書かれている利用者さまもあらわれました。
「福笑い」では、唇がおでこにあったり、目が頬にあったりと、とてもユニークなお多福さ
んができました。「羽子板大会」では、勝負ということもあり、勝負師の顔つきで羽根を落と
さないように一生懸命行っておられました。
最近では、あまりお正月に「書き初め」や「福笑い」、「羽子板」、「凧揚げ」といった、昔は
お正月によくしていた事始め・遊びをしなくなったように思います。こういった昔からある遊
びなどを、これからも当苑の行事に取り入れ大切にしたいと思います。
“リハビリ”は…
餅 “餅屋”
は
なら
通所リハビリテーション(デイケア)とデイサービスの違いは何、と聞かれる事がよくあります。
大きな違いとして、通所リハビリテーションではリハビリ専門職によるリハビリを受けることが
できます。当苑の通所リハビリテーションにも専門職である理学療法士が常時勤務しており、利
用者さまへの『個別リハビリ』を提供しています。
「足の力が弱くなって歩きにくくなった」、「入浴やお手洗いなど、身の回りのことが上手く出来
なくなった」、「膝や腰などが痛い」など普段の生活で困っている事はありませんか?『個別リハ
ビリ』では、理学療法士が評価を行い、その方に適した適切なリハビリを実施させて頂きます。
具体的な内容としては、体の弱った部分を改善させるための運動、上手く動作を行なうためのア
ドバイス、適切な福祉用具などの選定、痛みを和らげるための各種物理療法(温熱療法や空気圧
を使用したマッサージ機器等)などの幅広いサービスを提供しています。その他にも、理学療法
士が自宅に訪問し、実際の生活場面での問題点を確認して、生活する上での注意点や、住宅改修
などのアドバイスを行うサービスもあります。
リハビリに興味がある方は、ぜひ一度ご相談下さい。
通所課 理学療法士 松浦 真一
∼年はじめのおせち料理∼
当苑で新しい年を迎えられる利
用者さまに、毎年おせち料理をご
1/1日
用意いたしております。おせち料
【朝食】
【昼食】
理の定番である「かずのこ」
、「黒
豆」、「生酢」や「きんとん」をは
じめ、「エビ」や「ぶりの照焼き」
などをお重に盛り込みました。
家庭的な雰囲気とお正月気分を
【ソフト食】
少しでも味わっていただけたで
しょうか。
栄養科では、お正月料理に始ま
り一年を通じて行事食を楽しみな
1/2日
【朝食】
【昼食】
がら、苑内でも料理を通して四季
を感じて頂きたいと考えています。
栄養科 管理栄養士 市富 由喜子
【ソフト食】