いつまでも健康な体でどこまでも けん しょう かい 健翔会だより 51 発 行 所 香川県坂出市川津町 号 (〒762-0025)3329-14 医療法人社団 健翔会 堀 2016・4 月 1 日 ◎本紙に関するご意見、ご質問がありましたら お気軽にどうぞ❢ TEL 口 医 院 0877-45-8686 <担当>高橋,青北 TEL 0877-45-8686 FAX 0877-45-8883 HP http://www.horiguchi-hp.jp 皆さん! いつも免疫力を高め、 元気に過ごしましょう。 堀口 裕 先生 免疫力が良いなら、健康で生きられる 私たちが健康を維持したり、病気を確実に治したいと思うとき、免 疫力の存在は不可欠です。90 歳を超えられて、なおもお元気で過 ごしている方の免疫力は、とても丈夫なのです。また糖尿病や腎臓 病を持っているのに、免疫力がしっかりしていると、病状の悪化が ゆるやかであることを経験します。また、ある種の癌になられた人 は、もともと免疫力が悪いのですが、免疫力をちょっと高めただけ で病状が安定化し、抗がん剤治療にも耐えやすいのです。この免疫 力の良さとは、正確には免疫機能が良い状態のことであり、それに は免疫バランスが安定していることが大切です。もうちょっと言え ば、免疫機能は免疫細胞によってつくられていますので、免疫細胞 の働きが良いこと、これが免疫バランスが安定していることの意味 になります。 免疫力って、何してるの では、免疫力とは何をするものでしょうか。ひと言で言えば、私た ちの身体の細胞を護るものです。私たちの身体は、脳も肝臓も骨も すべて細胞でできています。ですから、もし細胞が元気であり続け るなら、それは健康で過ごせることを意味します。反対に細胞の具 合が悪くなっていけば、それは病気の方向に向かっていることを意 味します。具体的に免疫力の仕事とは、①感染症を防ぐ、②異物の 排除、③細胞の新陳代謝を高める、④修復困難な病的細胞の排除、 ⑤損傷部の修復作業などです。①の感染症の防御については、例え ば風邪の菌やインフルエンザのウイルスの侵入を防ぐことで、身体 の細胞を護ります。患者さんの中には、ワクチンをせずに何十年も インフルエンザに罹ったことがないという人もおられます。その点 は、とても丈夫な免疫力と言えます。あるいは麻疹(はしか)のウイ ルスのように、一度感染した後、再感染しないようにしているのも 免疫力です。②の異物の排除とは、例えば身体の外から入ろうとす る花粉や粉塵などを排除することで、身体の細胞を護ろうとしま す。今や大勢の人が花粉症で悩んでいますが、これは花粉を排除す るための免疫力が働いています。ただし、これは丈夫な免疫力とは 言えません。③の細胞の新陳代謝を高めるとは、例えば骨を作る骨 芽細胞は免疫力の後押しを受けて、その力を存分に発揮していま す。免疫力が弱いと丈夫な骨も出来にくいのです。これも間接的に 細胞を護っていることになります。④の病的細胞の排除とは、よく ご存じの癌細胞の排除です。あるいは働けなくなった細胞や外傷で 壊れた細胞も含まれます。病気の細胞を残していると、健康な細胞 も病気になりかねません。⑤の損傷部の修復作業とは、傷ができた 部分を綺麗に清掃し、整地にする作業です。荒地のままにしておく と、健康な細胞が、病気の細胞に変化しやすくなります。 免疫力を高めるには、どうするの 免疫力を常に丈夫にしておけば、私たちは明らかに病気になり難 いのです。しかし、免疫力が丈夫かどうかは、大ざっぱに言えば、 その半分は持って生まれた性質があります。残り半分は、生まれ た後の生活事情(ストレスや過労、食事や運動、睡眠や筋肉の凝 り)に依存します。たとえ免疫力が悪いという性質を持っていて も、日ごろの注意と努力で相当に改善することが可能です。まず、 どのようなことに注意したらよいでしょうか。第一はストレスと 過労を避けることです。過度のストレスと過労が長年月に及ぶ と、自律神経系のバランスが崩れ、ついには免疫力が破綻します。 第二は睡眠不足を解消することです。疲れた免疫力の回復は、睡 眠中に行われます。それで十分な睡眠を取って下さい。一方、免 疫力を高めるために努力すべきことは、①免疫細胞に必要な栄養 成分を与える、②腸内環境を整える、③筋肉の凝りを解消して血 行を促す、そして④炎症を鎮静化することです。①の免疫細胞の 栄養成分で最も重要な物質はグルタミン(アミノ酸)です。これは 免疫細胞の主食とお考え下さい。その次に亜鉛が重要です。そし て多糖体(β―グルカン)も免疫細胞の活性化に重要です。②の腸 内環境を整えるとは、腸管免疫を高めることであり、それには乳 酸菌の投与と食物繊維を摂ることが重要です。③についてです が、筋肉の凝りは重大な血行障害をもたらします。免疫細胞の移 動手段は、主に血液循環ですから、血行障害は身体の免疫力の分 布を不均一にします。さらに筋肉の凝りにかかわる物質に乳酸が あります。免疫細胞は、乳酸の多い環境では、その力が低下しま す。その意味でも筋肉の凝りを解消すべきです。入浴やカイロの 貼付、毎日の散歩と体操、マッサージなどが良いと思います。④ の炎症の鎮静化とは、種々の炎症を起こす物質によって免疫力が 悪くなりますから、大きい炎症ほど消火の処置を施すことが重要 です。消炎剤を使うか、軽い炎症では抗酸化物質や漢方薬、カル シウム、スクアレンなども用います。また私は①~④の目的で、 必ず還元電子治療もおこないます。皆さん、いつも免疫力を高め、 是非健康で過ごしましょう。 抗菌作用も発見されています。餅、パン、ごはんなどは、 いろいろ豆知識 わさびと一緒に密閉容器に入れておけば、カビが生えるこ となく保存できます。寿司にわさびが使われるのは、抗菌 わ さ び 鼻にツンと抜ける辛みが特徴の「わさび」 。蕎麦や刺身の薬 味として、食卓ではおなじみの食材です。わさびには大きく 分けて「本わさび」と「西洋わさび」がありますが、今回は 日本原産の「本わさび」について紹介します。 日本人とわさびの付き合いは長く、1300 年前の飛鳥時代 作用だけでなく、魚の生臭さも和らげてくれるからです。 香辛料としての食欲増進作用もあり、わさびの香りは私 達の生活に多くの健康をもたらしてくれます。 おいしいわさびの選び方、いただき方 わさびといえば「辛み」が持ち味ですが、実は「香り」 が命なのです。わさびは、そのまま食べても辛くありませ までさかのぼります。当時は薬草とされ、奈良県では薬草園 ん。 で栽培していたことをうかがわせる書簡が見つかりました。 すりおろしたときに細胞が破壊され、初めて辛み成分が生 平安時代には京の都の近くの国々が税として納めていたとい まれます。ですから、わさびを選ぶときは、緑の濃いみず う記述も残っています。 みずしい色や形に加えて、すがすがしい香りのものを探す 食材として使われるようになったのは鎌倉時代で、この頃 は「冷や汁」に入れて食されていました。また、同じ頃から 刺身の薬味としても使われ始めます。江戸時代には栽培も始 とよいでしょう。 ★下処理★ まり、わさびが使われる機会はさらに増えていきました。蕎 わさびの茎をていねいに 麦の薬味や、握り寿司の流行から急速に広がっていきました。 むしり、根のコブと外皮の 昭和に入ると、粉わさびや練りわさびなどの加工品わさび 黒いところをあらく削り落 が作られるようになり、現在では、本わさびを使用した生お とし、タワシでこすり洗い ろしわさびが主流になっています。手軽に使えることもあっ する。 て、私たちの食卓に欠かせないものになりました。 ★おろす★ 解毒、抗酸化作用 長年、薬草・薬味として親しまれながら、その力や成分に わさびの辛み成分は揮発性 なので食べる直前におろす。 ついて詳しく調べられてこなかったわさび。近年になって研 おろし金に対してわさびを 究が進み、さまざまな成分や作用が科学的に明らかになって 垂直に持ち、円を描くよう きました。なかでも、根茎に含まれるわさび由来の健康成分 に回してゆっくりとおろす。 「スルフィニル」には多くの機能があることがわかりました。 まず、古来、信じられている解毒作用が科学的に立証され ました。解毒代謝酵素の力を高め、体内の有害な物質を排出 ※できるだけ目の細かいおろし金ですりおろすと香りと辛 みが増し、わさび本来の風味を堪能できます。 しやすくしてくれるのです。有害物質には発がん物質も含ま れますので、わさびの摂取はがん予防にもつながると言える でしょう。 わさびの食べ方といえば、蕎麦の薬味、刺身や寿司に… というのが定番ですが、実は肉との相性も抜群です。焼 続いて、老化を抑制する抗酸化作用が挙げられます。わさ いた肉と、おろしたてのわさびを合わせていただけば、 びの健康成分には、老化を進める活性酸素の発生を抑える独 肉の甘みが引き立ち、さらには脂のしつこさもおさえて 特の力があります。しかも、その作用は丸 1 日以上保たれる くれます。 という研究結果も出ており、効果的な老化防止が期待できる 牛、豚、鶏、どの種類の肉にも合うので、ぜひ試してみて でしょう。 下さい。 そのほかにも、血流改善の作用があり、動脈硬化や心筋梗 また、鰹節とおろしたてわさびを、あたたかいご飯の上 塞の防止、冷え性改善にもよいことがわかりました。また、 にのせ、醤油をかけていただくシンプルなわさび丼もオス 炎症を抑制する働きもあり、膝などの関節痛、花粉症、アト スメです。大葉や明太子などを使ったパスタの隠し味にも ピー性皮膚炎などの症状軽減も期待できます。 活躍します。ソースに少量を入れて混ぜると、さわやかな 脂肪吸収を抑え、消化を助ける作用もあるので、脂肪が気 風味が楽しめます。 になる人は積極的に食事に取り入れると良いでしょう。 ただし、わさびの健康成分は、おろしたてのわさびに多く ※わさびの摂取目安は 含まれています。残念ながら、チューブ型の練りわさびから 1日5g(小さじ1杯分程度) 。 はあまり摂取できません。 体によいとはいえ、摂り過ぎに 香りの成分にもさまざまな働き は注意しましょう。 わさびの独特な香りにも、さまざまな作用や働きがありま す。たとえば、さわやかな香りの成分には鼻づまりを改善す る力があることがわかりました。 出典:こまど No.46 2015 年 11 月発行 株式会社
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