健翔会だより51号が発行されました。

いつまでも健康な体でどこまでも
けん しょう かい
健翔会だより
51
発
行
所
香川県坂出市川津町
号
(〒762-0025)3329-14
医療法人社団 健翔会
堀
2016・4 月 1 日
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口 医 院
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HP
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皆さん!
いつも免疫力を高め、
元気に過ごしましょう。
堀口 裕 先生
免疫力が良いなら、健康で生きられる
私たちが健康を維持したり、病気を確実に治したいと思うとき、免
疫力の存在は不可欠です。90 歳を超えられて、なおもお元気で過
ごしている方の免疫力は、とても丈夫なのです。また糖尿病や腎臓
病を持っているのに、免疫力がしっかりしていると、病状の悪化が
ゆるやかであることを経験します。また、ある種の癌になられた人
は、もともと免疫力が悪いのですが、免疫力をちょっと高めただけ
で病状が安定化し、抗がん剤治療にも耐えやすいのです。この免疫
力の良さとは、正確には免疫機能が良い状態のことであり、それに
は免疫バランスが安定していることが大切です。もうちょっと言え
ば、免疫機能は免疫細胞によってつくられていますので、免疫細胞
の働きが良いこと、これが免疫バランスが安定していることの意味
になります。
免疫力って、何してるの
では、免疫力とは何をするものでしょうか。ひと言で言えば、私た
ちの身体の細胞を護るものです。私たちの身体は、脳も肝臓も骨も
すべて細胞でできています。ですから、もし細胞が元気であり続け
るなら、それは健康で過ごせることを意味します。反対に細胞の具
合が悪くなっていけば、それは病気の方向に向かっていることを意
味します。具体的に免疫力の仕事とは、①感染症を防ぐ、②異物の
排除、③細胞の新陳代謝を高める、④修復困難な病的細胞の排除、
⑤損傷部の修復作業などです。①の感染症の防御については、例え
ば風邪の菌やインフルエンザのウイルスの侵入を防ぐことで、身体
の細胞を護ります。患者さんの中には、ワクチンをせずに何十年も
インフルエンザに罹ったことがないという人もおられます。その点
は、とても丈夫な免疫力と言えます。あるいは麻疹(はしか)のウイ
ルスのように、一度感染した後、再感染しないようにしているのも
免疫力です。②の異物の排除とは、例えば身体の外から入ろうとす
る花粉や粉塵などを排除することで、身体の細胞を護ろうとしま
す。今や大勢の人が花粉症で悩んでいますが、これは花粉を排除す
るための免疫力が働いています。ただし、これは丈夫な免疫力とは
言えません。③の細胞の新陳代謝を高めるとは、例えば骨を作る骨
芽細胞は免疫力の後押しを受けて、その力を存分に発揮していま
す。免疫力が弱いと丈夫な骨も出来にくいのです。これも間接的に
細胞を護っていることになります。④の病的細胞の排除とは、よく
ご存じの癌細胞の排除です。あるいは働けなくなった細胞や外傷で
壊れた細胞も含まれます。病気の細胞を残していると、健康な細胞
も病気になりかねません。⑤の損傷部の修復作業とは、傷ができた
部分を綺麗に清掃し、整地にする作業です。荒地のままにしておく
と、健康な細胞が、病気の細胞に変化しやすくなります。
免疫力を高めるには、どうするの
免疫力を常に丈夫にしておけば、私たちは明らかに病気になり難
いのです。しかし、免疫力が丈夫かどうかは、大ざっぱに言えば、
その半分は持って生まれた性質があります。残り半分は、生まれ
た後の生活事情(ストレスや過労、食事や運動、睡眠や筋肉の凝
り)に依存します。たとえ免疫力が悪いという性質を持っていて
も、日ごろの注意と努力で相当に改善することが可能です。まず、
どのようなことに注意したらよいでしょうか。第一はストレスと
過労を避けることです。過度のストレスと過労が長年月に及ぶ
と、自律神経系のバランスが崩れ、ついには免疫力が破綻します。
第二は睡眠不足を解消することです。疲れた免疫力の回復は、睡
眠中に行われます。それで十分な睡眠を取って下さい。一方、免
疫力を高めるために努力すべきことは、①免疫細胞に必要な栄養
成分を与える、②腸内環境を整える、③筋肉の凝りを解消して血
行を促す、そして④炎症を鎮静化することです。①の免疫細胞の
栄養成分で最も重要な物質はグルタミン(アミノ酸)です。これは
免疫細胞の主食とお考え下さい。その次に亜鉛が重要です。そし
て多糖体(β―グルカン)も免疫細胞の活性化に重要です。②の腸
内環境を整えるとは、腸管免疫を高めることであり、それには乳
酸菌の投与と食物繊維を摂ることが重要です。③についてです
が、筋肉の凝りは重大な血行障害をもたらします。免疫細胞の移
動手段は、主に血液循環ですから、血行障害は身体の免疫力の分
布を不均一にします。さらに筋肉の凝りにかかわる物質に乳酸が
あります。免疫細胞は、乳酸の多い環境では、その力が低下しま
す。その意味でも筋肉の凝りを解消すべきです。入浴やカイロの
貼付、毎日の散歩と体操、マッサージなどが良いと思います。④
の炎症の鎮静化とは、種々の炎症を起こす物質によって免疫力が
悪くなりますから、大きい炎症ほど消火の処置を施すことが重要
です。消炎剤を使うか、軽い炎症では抗酸化物質や漢方薬、カル
シウム、スクアレンなども用います。また私は①~④の目的で、
必ず還元電子治療もおこないます。皆さん、いつも免疫力を高め、
是非健康で過ごしましょう。
抗菌作用も発見されています。餅、パン、ごはんなどは、
いろいろ豆知識
わさびと一緒に密閉容器に入れておけば、カビが生えるこ
となく保存できます。寿司にわさびが使われるのは、抗菌
わ さ び
鼻にツンと抜ける辛みが特徴の「わさび」
。蕎麦や刺身の薬
味として、食卓ではおなじみの食材です。わさびには大きく
分けて「本わさび」と「西洋わさび」がありますが、今回は
日本原産の「本わさび」について紹介します。
日本人とわさびの付き合いは長く、1300 年前の飛鳥時代
作用だけでなく、魚の生臭さも和らげてくれるからです。
香辛料としての食欲増進作用もあり、わさびの香りは私
達の生活に多くの健康をもたらしてくれます。
おいしいわさびの選び方、いただき方
わさびといえば「辛み」が持ち味ですが、実は「香り」
が命なのです。わさびは、そのまま食べても辛くありませ
までさかのぼります。当時は薬草とされ、奈良県では薬草園
ん。
で栽培していたことをうかがわせる書簡が見つかりました。
すりおろしたときに細胞が破壊され、初めて辛み成分が生
平安時代には京の都の近くの国々が税として納めていたとい
まれます。ですから、わさびを選ぶときは、緑の濃いみず
う記述も残っています。
みずしい色や形に加えて、すがすがしい香りのものを探す
食材として使われるようになったのは鎌倉時代で、この頃
は「冷や汁」に入れて食されていました。また、同じ頃から
刺身の薬味としても使われ始めます。江戸時代には栽培も始
とよいでしょう。
★下処理★
まり、わさびが使われる機会はさらに増えていきました。蕎
わさびの茎をていねいに
麦の薬味や、握り寿司の流行から急速に広がっていきました。
むしり、根のコブと外皮の
昭和に入ると、粉わさびや練りわさびなどの加工品わさび
黒いところをあらく削り落
が作られるようになり、現在では、本わさびを使用した生お
とし、タワシでこすり洗い
ろしわさびが主流になっています。手軽に使えることもあっ
する。
て、私たちの食卓に欠かせないものになりました。
★おろす★
解毒、抗酸化作用
長年、薬草・薬味として親しまれながら、その力や成分に
わさびの辛み成分は揮発性
なので食べる直前におろす。
ついて詳しく調べられてこなかったわさび。近年になって研
おろし金に対してわさびを
究が進み、さまざまな成分や作用が科学的に明らかになって
垂直に持ち、円を描くよう
きました。なかでも、根茎に含まれるわさび由来の健康成分
に回してゆっくりとおろす。
「スルフィニル」には多くの機能があることがわかりました。
まず、古来、信じられている解毒作用が科学的に立証され
ました。解毒代謝酵素の力を高め、体内の有害な物質を排出
※できるだけ目の細かいおろし金ですりおろすと香りと辛
みが増し、わさび本来の風味を堪能できます。
しやすくしてくれるのです。有害物質には発がん物質も含ま
れますので、わさびの摂取はがん予防にもつながると言える
でしょう。
わさびの食べ方といえば、蕎麦の薬味、刺身や寿司に…
というのが定番ですが、実は肉との相性も抜群です。焼
続いて、老化を抑制する抗酸化作用が挙げられます。わさ
いた肉と、おろしたてのわさびを合わせていただけば、
びの健康成分には、老化を進める活性酸素の発生を抑える独
肉の甘みが引き立ち、さらには脂のしつこさもおさえて
特の力があります。しかも、その作用は丸 1 日以上保たれる
くれます。
という研究結果も出ており、効果的な老化防止が期待できる
牛、豚、鶏、どの種類の肉にも合うので、ぜひ試してみて
でしょう。
下さい。
そのほかにも、血流改善の作用があり、動脈硬化や心筋梗
また、鰹節とおろしたてわさびを、あたたかいご飯の上
塞の防止、冷え性改善にもよいことがわかりました。また、
にのせ、醤油をかけていただくシンプルなわさび丼もオス
炎症を抑制する働きもあり、膝などの関節痛、花粉症、アト
スメです。大葉や明太子などを使ったパスタの隠し味にも
ピー性皮膚炎などの症状軽減も期待できます。
活躍します。ソースに少量を入れて混ぜると、さわやかな
脂肪吸収を抑え、消化を助ける作用もあるので、脂肪が気
風味が楽しめます。
になる人は積極的に食事に取り入れると良いでしょう。
ただし、わさびの健康成分は、おろしたてのわさびに多く
※わさびの摂取目安は
含まれています。残念ながら、チューブ型の練りわさびから
1日5g(小さじ1杯分程度)
。
はあまり摂取できません。
体によいとはいえ、摂り過ぎに
香りの成分にもさまざまな働き
は注意しましょう。
わさびの独特な香りにも、さまざまな作用や働きがありま
す。たとえば、さわやかな香りの成分には鼻づまりを改善す
る力があることがわかりました。
出典:こまど No.46
2015 年 11 月発行
株式会社