「参院選挙年」は変動率の高い相場展開 - 三菱UFJモルガン・スタンレー証券

藤戸レポート
「参院選挙年」は変動率の高い相場展開
2016 年 4 月 4 日
新年度相場展望
4月桜花の候となり、新年度相場を展望してみたい。まずグローバルの
投資環境としては、依然「リスク・オン・モード」が継続している。最大の要因
は、イエレンFRB(連邦準備制度理事会)の「ハト化」(金融引締めに慎重)
である。ダウ工業株30種平均のチャートを見ると、2/11安値15,503ドルでダ
ブル・ボトムを形成し、そこから2,000ドル以上の上昇波動を描いている(グラ
フ1)。2/11のイエレン議会証言が、第一の「ハト化」宣言であった。続いて
3/29のイエレン議長講演が、第二の「ハト派スタンス維持」宣言となって、ウ
ォールストリートは株高の恩恵を享受している。3/29の講演では、「世界経
済の影響でリスクが高まっているため、FOMC(公開市場委員会)は利上げ
を慎重に進めることが適切だ」と表明した。特に興味深かったのは、利上げ
実施に際して注視すべきファクターを列挙したことだ。
① 海外経済と金融市場の安定が必要。
② ドル高の弊害。さらなるドル高は望ましくない。ドル高となれば、イン
フレ率や輸出を押し下げ、米国の製造業に打撃を与える。
③ コモディティ価格の安定。海外のコモディティ生産国の成長基盤の
改善に繋がることが必要である。
④ コア・インフレ率。インフレには上下双方向のリスクがあり、最近のコ
ア・インフレ上昇に持続性があるか懐疑的。PCE(個人消費支出)コ
ア・デフレーターは、年内にターゲットである2%到達は難しいとの付
言もあった(グラフ2)。
明瞭になったのは、12 月 FOMC や年初に強かった「米国内経済動向を
重視して金融政策を決定する」との基本方針が大変更されたことだ。利上
げ決定に際しては、「海外の経済・金融情勢を重視する」スタンスが極めて
重みを持つことになった。
「ウォールストリートの守護
しかも、イエレン議長は、「中国の減速と原油価格の下落」を二大リスクと
して言及している。この二つの要素が、短期的に好転する可能性は低い。
となれば、必然的に「利上げには慎重」とならざるを得ない。このイエレン講
演を受けて、フェデラルファンド・レート(短期の政策金利)先物を見ると、6
月利上げの確率 20%、12 月利上げが 54%にまで低下した(3/30 時点)(グラ
フ 3)。マーケットは、「利上げがあっても年末に 1 回」との解釈に傾斜してい
る。セントルイス連銀のブラード総裁等が示唆していた 4 月利上げの確率
はゼロ%になった。単純化すれば、12 月利上げを嫌気して、ダウは昨年
11/3 高値 17,977 ドルから今年 1/20 安値 15,450 ドルの下げを演じ、イエ
レン議長の「ハト化」で、そこから 3/30 高値 17,790 ドルまで切り返したこと
になる。エポック・メーキングな「12 月利上げ」を実現した後に、イエレン議
長はバーナンキ前議長と同様、「ウォールストリートの守護神」になった。
神」
巻末に重要な注意事項を記載していますので、ご参照下さい。
2016 年 4 月 4 日
ストラテジー
マーケット分析
(グラフ 1)
NY ダウが
ダブル・ボトム形成
(ドル)
NYダウの推移(2015/7~)
19,500
FRB
年内利上げ
4回⇒2回
(3/16)
19,000
18,500
NYダウ
17977
(11/3)
イエレン議長
「ハト化」宣言
(2/11)
18,000
17,500
17,000
FRB
利上げ開始
(12/16)
16,500
16,000
15,500
15450 15503
(1/20) (2/11)
15,000
(出所)BloombergのデータよりMUMSS作成
14,500
15/7/1
(グラフ 2)
インフレ目標達成に
懐疑的なイエレン FRB 議長
15/8/7
15/9/15
15/10/21
15/11/27
16/1/6
16/2/12
16/3/22
PCE(米個人消費支出)価格指数 の推移
%
5.0
2016/2
総合指数
1.0%
コア指数
1.7%
4.5
PCE価格指数(総合)
4.0
3.5
3.0
PCEコア価格指数
2.5
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
-0.5
※PCE(米個人消費支出)コア価格指数:
変動の大きい食品、エネルギー価格を除いた
ベース。FRBが物価指標として重要視している
-1.0
-1.5
-2.0
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
16
17
(出所)米商務省、BloombergのデータをもとにMUMSS作成
資源・新興国の株価もリバウ
ンド
FRB が利上げに慎重になれば、当然ドル高は是正され、売り込まれてい
た資源・新興国通貨はリバウンドすることになる。したがって、2/11 以降、資
源・新興国の通貨反発、株リバウンドの傾向が続いている。世界主要 93 株
価指数の年初来騰落率ランキングは以下の通りである(ブルームバーグ・デ
ータ。3/30 時点。為替考慮なし)。(表 1)
巻末に重要な注意事項を記載していますので、ご参照下さい。
2
2016 年 4 月 4 日
ストラテジー
マーケット分析
(グラフ 3)
イエレン議長の慎重発言で
利上げ確率が低下
米国の利上げ確率(6月・12月)の推移
(%)
利上げ確率(6月)
110.0
利上げ確率(12月)
(%)
FOMC
(12/15-12/16)
利上げ開始
100.0
イエレン議長
利上げ慎重
発言(3/29)
90.0
80.0
70.0
60.0
54.0%
(3/30)
50.0
40.0
30.0
20.0%
(3/30)
20.0
10.0
(出所)BloombergのデータよりMUMSS作成
0.0
15/8/3
(表 1)
資源・新興国が
上昇率上位に並ぶ
順位
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
15/9/10
15/10/20
株価指数
ペルーS&P/BVL
ブラジル・ボベスパ
カザフスタン証取
トルコ・イスタンブール
コロンビアCOLCAP
ナミビアFTSE
スロバキア
アルゼンチン・メルバル
ブダペスト証取
タイSET
15/11/27
騰落率(%)
22.5
18.2
16.8
15.6
14.3
14.1
11.5
10.2
10.0
9.4
16/1/8
順位
93
92
91
90
89
88
87
86
85
84
16/2/18
16/3/29
株価指数
ウクライナ
モンゴルトップ20
中国上海総合
イタリアMIB
スリランカ・コロンボ
TOPIX
日経平均
ナイジェリア全株
スイスSMI
サウジアラビア・タダウル
騰落率(%)
▲21.1
▲15.4
▲15.2
▲14.2
▲12.3
▲12.3
▲11.3
▲11.2
▲11.0
▲10.0
*出所 ブルームバーグ 3/30時点。為替考慮なし
左のベスト・ランキングを見ても分かるように、コモディティ価格の反発も
加わって、資源・新興国がズラリと並んでいる。ペルーは、銅、鉛、金・銀等
の鉱業が国家の屋台骨を支えている。特に、銀の生産量は、メキシコ、中国
に続いて世界第 3 位をマークしている(USGS 米地質調査所データ・2013
年)。2 位のブラジルは、鉄鉱石を始めとした資源国であることは御存知の
通りだが、国民に不人気のルセフ大統領に弾劾の可能性が台頭したこと
が、株価にも反映しているようだ。3 位のカザフスタンは、日本ではワールド
カップの予選ぐらいでしか聞かないが、カスピ海油田の開発が進む典型的
な資源・エネルギー国である。もちろん、いずれも長期低落の後の反発の
色彩が濃く、ペルーは 2012 年高値 24,163 が今年 1/20 安値 8,813 でよう
やく底入れしたに過ぎない。それが、3/30 には 12,071 まで切り返している
(グラフ 4)。つまり、コモディティ安・通貨安・株安のトレンドが、「FRB のハト
化」によって是正されているのが重要なポイントだ。
巻末に重要な注意事項を記載していますので、ご参照下さい。
3
2016 年 4 月 4 日
ストラテジー
マーケット分析
(グラフ 4)
長期低落から反発に転じた
ペルーの株価指数
(P)
26,000
ペルー主要株価指数の推移(2012/1~)
24163
(4/6)
24,000
22,000
20,000
ペルーS&P/BVL指数
18,000
16,000
14,000
12071
(3/30)
12,000
10,000
8813
(1/20)
8,000
(出所)BloombergのデータよりMUMSS作成
6,000
2012/1
高くなった「利上げのハード
ル」
日本には届かない「リスク・オ
ン」の風
2012/7
2013/1
2013/7
2014/1
2014/7
2015/1
2015/7
2016/1
FRB が世界の経済や金融情勢に与えるインパクトは、かつてなく大きい。
それは、各国中央銀行の超緩和策によって投資マネーが膨張し、国境を
越えて有利な投資先を求めて徘徊しているためだ。約 3 兆ドルのヘッジフ
ァンド・マネーのもたらすインパクトは巨大である。したがって、イエレン議長
の発言が、世界の株価、為替、コモディティ価格を揺り動かすことになる。
「中国の減速」や「原油価格の下落」が一朝一夕で改善しないならば、FRB
が利上げに踏み切るハードルは極めて高いものとなろう。つまり、新年度の
グローバル投資環境は、イエレン議長が利上げを決断したくなるほどの劇
的な好転がなければ、金融相場的な色彩が強くなろう。
問題となるのは、こうした「グローバル・リスク・オン」の恩恵が、日本株に
は今のところ僅かしかもたらされていない点だ。前ページの表の右側、即ち
ワースト・ランキングを見ると、いまだに迫撃砲を撃ち合っている混迷のウク
ライナや中国に続いて、88 位 TOPIX、87 位日経平均の惨状である。イエ
レン講演の前日 3/28 から 3/30 の騰落率を同条件で見ると、ウクライナ▲
2.6%、ナイジェリア▲1.8%に続いて、TOPIX がワースト 3 位の▲1.8%、日経
平均も▲同 5 位の▲1.4%と低迷が続いている。「グローバル・リスク・オン」の
潮流は、日本にはまだ届いていないようだ。明らかに、イエレン議長のハト
化が、為替面で「ドル安=円高」に寄与して、日本株の頭を押さえている。
しかし、短期的には円高で説明できるにしても、世界でワーストにランクされ
るほどのパフォーマンス劣化は異常である。根本要因としては、外国人の日
本株売りが止まらないことにある。東証の投資主体者別売買動向では、外
国人は現物株式だけで見ても、1 月▲1 兆 556 億円、2 月▲1 兆 9,983 億
円の大量売り越しに続いて、3 月も第 4 週までで▲1 兆 9,509 億円の売り
越しだ(表 2)。メジャーSQ(特別清算指数)があった 3 月第 2 週で、いった
ん売りが途切れると見ていたが、その後も延々と売りが続いている。年初来
巻末に重要な注意事項を記載していますので、ご参照下さい。
4
2016 年 4 月 4 日
ストラテジー
マーケット分析
(表 2)
年初から大規模売り(現物)が
続く外国人投資家
外国人投資家の売買動向 (億円)
N225
先物
TOPIX
先物
N225
先物
(ミニ)
TOPIX
先物
(ミニ)
JPX400
先物
先物計
現物先物
合計
年月日
現物
2015/1
-8,932
-926
-3,267
555
-22
-95
-3,754
-12,687
2015/2
2,015
6,576
14,707
2,574
77
106
24,041
26,055
2015/3
5,306
-3,973
18
-1,411
-126
298
-5,195
111
2015/4
19,953
-1,285
1,395
799
119
-39
988
20,942
14,847
2015/5
9,956
982
2,127
2,000
-2
-215
4,891
2015/6
-1,713
-4,922
-1,842
-766
-23
-367
-7,920
-9,633
2015/7
-3,476
-6,308
-3,594
-1,674
20
-338
-11,894
-15,370
2015/8
-11,582
-11,472
-2,296
-982
-11
-527
-15,288
-26,870
2015/9
-25,772
-1,079
-6,690
77
-14
-473
-8,178
-33,950
2015/10
4,630
-1,666
1,795
2,047
11
622
2,809
7,439
2015/11
6,777
4,396
3,870
1,088
39
-2
9,391
16,167
2015/12
330
-4,991
-13,258
-1,292
-34
-625
-20,200
-19,870
2016/1
-10,556
-4,559
-6,956
22
-58
-96
-11,647
-22,203
2016/2
-19,983
1,990
5,229
438
7
-324
7,339
-12,644
2016/3
-19,509
1,134
1,030
425
2
-108
2,483
-17,026
*2016/3は第4週まで
年初から外国人は 5 兆円売り
越し
の売り越しは、実に 5 兆 48 億円に達している。現物株式・株式先物の合計
では 5 兆 1,872 億円の売り越しだが、現物株式比率が 96.4%とほとんどが
実需売りである。異常とも思える現物株比率の高さだ。これでは、GPIF 等
の年金の売買が反映される信託銀行や個人投資家が逆張り姿勢を見せた
としても、株価が抑圧されるのは当然だ。
ブラックロックの方針転換
この巨額の売りは、単にヘッジファンドの短期的な売りではなく、外国人
の日本株に対する根本的な評価が変わったと見ざるを得ない。ブラックロッ
クは、昨年 12 月末で 4.65 兆ドル・邦貨換算で楽に 500 兆円を超える巨大
な総合投資顧問会社だ。アベノミクス相場では、常に日本株に好意的な評
価を与えていた。ところが、そのブラックロックが、足下で米株の評価を上げ
て、日本株を引き下げている。「日銀のマイナス金利決定以降、市場のボラ
ティリティが急激に高まっており、大幅な円高により輸出業者の利益が下振
れるリスクが増大している。マイナス金利幅が一段と拡大すれば、金融株に
対する圧力も増す公算が大きい」と一変しているのだ。このスタンス変化の
重要な点は、日銀の緩和策が既に限界に達しており、金融株安というマイ
ナス金利政策の副作用を看過できないという主張だ。円高による輸出企業
の業績下振れも、方針変更に寄与している。外国人は、アベノミクス全盛期
の 2013 年には、現物株式・株式先物の合計で 15 兆 6,701 億円の記録的
な日本株買いを見せた。ところが、昨年夏の第 1 波と 12 月以降の第 2 波
の合計で、実に 14 兆 2,975 億円が売り転換している(グラフ 5)。
参院選年の景気は悪化
今年7月には参院選がある。自民党の派閥領袖によれば、衆参同時選挙
の可能性が高いとのことだ。今年度の国内景気を考える際に、この参院選
挙年特有のアノマリー(季節的特性)に注目すべきであろう。1992年以降の
過去8回の参院選挙年を平均化すると、景気動向指数DI(先行系列)は、
巻末に重要な注意事項を記載していますので、ご参照下さい。
5
2016 年 4 月 4 日
ストラテジー
マーケット分析
(グラフ 5)
2013 年の大幅買い越しから
売りに転じた外国人投資家
(億円)
60,000
(円)
日経平均と外国人投資家動向
25,000
(出所) AstraManagerのデータをもとにMUMSS作成
20952
(6/24)
50,000
20,000
日経平均(右メモリ)
40,000
16320
(12/30)
15942
(5/23)
30,000
15,000
14865
(2/12)
20,000
10,000
10,000
0
5,000
-10,000
外国人投資家売買動向
(現物+先物・左メモリ)
-20,000
2013/1
2013/7
2014/1
2014/8
2015/2
2015/9
2016/3
0
前年春にピークアウトし、ちょうど参院選に向けて下降を辿り、夏場にボトム
を形成するというパターンがある(グラフ6)。もちろん、政策当局も拱手傍観し
ているわけではなく、補正予算を策定して春にはいったん持ち直す動きも
ある。その後に、夏場に向けてのダイブが始まるわけだ。選挙後には材料
出尽くし感から停滞が続き、本腰を入れた経済対策が秋に発動されて、よう
やく景気は年末・年始に回復する軌跡を辿る。
今回の場合も、昨年 4~6 月が景気のピークで、その後は停滞を余儀なくさ
れている。しかし、補正予算 3.3 兆円や予算の前倒し執行が表明されてい
(グラフ 6) 65
参議院選挙前に
景気が鈍化する傾向 60
100
2015年~
景気動向指数DI(先行系列)
90
(右メモリ)
80
経済対策
補正予算
70
55
参
議
院
選
挙
50
60
50
40
45
30
20
40
参議院選挙年における平均
10
(1992年以降8回分、左メモリ)
35
0
15/1
15/4
15/7
15/10
16/1
16/4
16/7
16/10
17/1
(月)
出所:AstraManagerのデータをもとにMUMSS作成
巻末に重要な注意事項を記載していますので、ご参照下さい。
6
2016 年 4 月 4 日
ストラテジー
マーケット分析
るのに加えて、5/26~27の伊勢志摩サミットに向けては大規模な景気対策
が喧伝されている。内閣府の試算では、昨年10~12月期のGDPギャップ
「景気は気から」で、持ち直しの動きとなるかもしれない。しかし、選挙後の
出尽くし感からの調整は、意外に長引くリスクを背負っているものと思われ
る。特に、安倍総理が、再び憲法改正や安全保障に力点を移せば、停滞
感は長引く恐れもある。過去のアノマリー通りに動くわけでないが、今年も景
気停滞感が強まっていることを考えると、リスク・シナリオとして一段の落ち込
みを警戒しておくべきであろう。
ボラティリティの高い相場展
開
こうしたマクロ動向を反映して、参院選挙年の株式相場も容易ではない
展開となるケースが多い。マクロと同様に、過去8回の参院選挙年を合成し
た日経平均のチャートを見ると、ボラティリティの高い苦闘が続いている(グラ
フ7)。春以降は、幾つかの局面に相場を分解できる。
① 春のリバウンド・・・停滞する景気に対して、補正予算等の対策が講
じられ反騰を演じる。
② 戻りのピーク形成・・・景気対策を株価は先喰いして織り込む。4月か
ら5月ゴールデンウィーク明けの間に戻りのピークを形成する。
③ 急反落・・・ピーク後の反落のスピードは速く、下げ幅も大きい。
④ 再反騰・・・参院選の1ヵ月前あたりに、政府・与党からのリップ・サー
ビスが連発されて、再び切り返しを見せる。
(グラフ7) 104
参議院選挙年における
株式市場のアノマリー 102
20000
日経平均の推移
(4/25)
サ
ミ
ッ
ト
100
(円)
参議院選挙年の平均(左メモリ)
2016年(右メモリ)
(7/13)
補正効果
19000
18000
参議院選挙
98
17000
経済対策
96
16000
(6/13)
94
92
※参議院選挙年は1992年以降8回分。
年初株価を100として指数化。
15000
14000
(11/2)
(8/18)
90
13000
1/4
2/17
3/31
5/18
6/29
8/12
9/27
11/10
12/26
出所:AstraManagerのデータをもとにMUMSS作成
⑤ 選挙後の調整・・・材料出尽くしで、再び急落。
⑥ 不振の夏~秋相場・・・急落後の停滞感が強まる。
⑦ 年末反騰・・・本格的な景気対策で、晩秋から騰勢を強める。
新年度早々の株価急落
今年のパターンを見ると、日経平均は 2/12 安値 14,865 円で底入れし、
3/14 高値 17,291 円までの戻りを見せた。補正予算や、伊勢志摩サミットに
向けての景気対策への期待もサポートしたものと思われる。①局面のセオリ
ー通りのトレンドを形成していたと言えるかもしれない。ただし、4/1 の新年
巻末に重要な注意事項を記載していますので、ご参照下さい。
7
2016 年 4 月 4 日
ストラテジー
マーケット分析
度入りと同時に日経平均が大幅安となったのは、常軌を逸した動きである。
3月・月中平均は日経平均で16,897円、TOPIXで1,358であり、低価法採用
の国内機関投資家が新年度入り早々に損切りするとは思えない。個人の目
先筋の投げは考えられるが、相場を大きく動かすほどのロットはない。とな
れば、4/1も外国人が大幅売り越しを継続したと見ざるを得ない。3/29のイ
エレン講演で円高に振れたのはやむを得ない悪材料だが、それ以上に外
国人の大規模な実需売り継続が最大の誤算だった。新年度初日から、ある
程度の売りが出ることもあるが、日経平均が一時600円以上の急落は想定
外の動きである(グラフ8)。
ファンダメンタルズの劣化
(グラフ8)
2015/3月中平均を
大きく割り込んだ日経平均
ファンダメンタルズ面では、3月日銀短観が各項目で予想を下回ったこと
も大きかった。大企業製造業の業況判断DIは、予想の8に対して6で前回の
12からは悪化が顕著になった。続く先行きも、予想の7に対して3である。大
企業・非製造業は比較的健闘しているが、それでも予想の24に対して22、
先行きも予想20に対して17である(グラフ9)。日銀幹部は、「インバウンド(訪
日外国人)消費の増勢鈍化の影響」と述べている。大企業全産業の設備投
資計画は、前回の前年度比10.8%が▲0.9%に急悪化し、予想の▲0.7%をも
下回った。日銀の黒田総裁は高水準の設備投資計画を、設投堅調の証左
として説明していたが、そのロジックは怪しくなった。
(円)
日経平均(2015/9~)と2015/3月中平均
21,000
20012
(12/1)
20,000
2015/3
月中平均
(16897円)
19,000
18,000
日経平均
17,000
16,000
16113
(4/1)
15,000
14865
(2/12)
(出所)AsatraManagerのデータよりMUMSS作成
14,000
9/1
10/6
11/9
12/10
1/15
2/17
3/18
一方、2016 年度の大企業・製造業の経常利益計画は、前年度比▲1.9%
と減益予想である。法人企業景気予測調査でも、全産業・経常利益ベース
で▲2.4%の減益予想であり、どうも 2016 年度は企業業績に多くを期待でき
ないようだ。また、大企業・製造業の想定為替レートは 1 ドル=117.46 円
で、現行水準からは 5 円ほど円安に振れている(グラフ 10)。「本業の拡大+
為替差益」の構図が、輸出産業中心に好業績の原動力となっていたが、今
後の為替相場によっては「為替差損」も意識しなければならない。まさに投
巻末に重要な注意事項を記載していますので、ご参照下さい。
8
2016 年 4 月 4 日
ストラテジー
マーケット分析
(グラフ9)
予想を下回った日銀短観
(グラフ10)
円高に振れた想定為替レート
(日銀短観・大企業製造業)
想定為替と日経平均
(円)
(円)
1,800
20952
(2016/6)
小泉改革相場
18300
(2007/2)
1,500
20,000
日経平均(右)
1,200
23,000
17,000
900
14,000
600
11,000
アベノミクス相場
300
8,000
予想EPS(左)
130.0
0
5,000
(円/ドル)
円/ドル
110.0
想定為替レート
(119.40円
⇒117.46円)
90.0
想定為替レート(対ドル)
(出所) BloombergのデータをもとにMUMSS作成
70.0
2004
2006
2008
2010
2012
2014
2016
資家が 4 月末からの決算発表に身構えている最中に、パナソニックが下方
修正を発表した。2017/3 期の連結営業利益を今期予想比 9%減益、
2019/3 期売り上げ目標 10 兆円を 8.8 兆円への修正だ。株価へのインパク
トは大きく、パナソニックは 1 割を超える急落となった(グラフ 11)。大手電機
株の中ではアナリストの評価も比較的高い銘柄だけに、他銘柄への波及も
警戒されたようだ。予想外の大ロットで外国人売りが続き、ファンダメンタル
ズの劣化が顕在化する事態となれば、新年度相場の予想は厳しくなる。
巻末に重要な注意事項を記載していますので、ご参照下さい。
9
2016 年 4 月 4 日
ストラテジー
マーケット分析
(グラフ11)
2017/3期減益予想で
パナソニック急落
(億円)
パナソニック(6752)の株価推移
1,200
(円)
1,600
1466
(10/26)
(出所)AstraManagerのデータよりMUMSS作成
1,000
1,400
パナソニック(6752・右)
800
1052
(3/31)
600
1,200
1,000
899.4(4/1)
400
800
売買金額(左)
200
600
0
400
9/1
米国株とのバリュエーション
比較
(グラフ12)
米国株指数より低い
日経平均の予想PER
10/6
11/9
12/10
1/15
2/17
3/18
ただし、②局面のピークを 3/14 高値 17,291 円と解釈するのは時期尚早
だ。新年度早々の日本株急落だが、冒頭に述べたように、グローバルでは
「リスク・オン・モード」である。日本株だけが、「ひたすら下げ続ける」状況
は、海外大手ファンドのリバランスが一巡すれば、終息することになろう。日
経平均が 16,000 円接近、あるいは 15,000 円台突入となれば、国内機関
投 資 家の待 機 資金 も流入 す るはずだ 。バリ ュエー ショ ンを見 ても 、米
S&P500 種指数が 17.4 倍、ナスダック総合指数 20.7 倍(3/31 時点)に対し
て、日経平均の 14 倍台は割安感が台頭してくる(グラフ 12)。今期業績が微
減益だとしても、現行水準から一段の下落となれば、買い向かう投資家も少
なくないだろう。参院選年の春相場の特徴は、ボラティリティの高さと言え
る。下落タイミングは 4 月中旬ではなく、4/1 からとなってしまったが、この新
年度早々の大変動は、買い場探しの局面と思われる
(倍)
日米株価指数の予想PER推移
26.0
日経平均
S&P500
ナスダック総合指数
24.0
22.0
20.0
18.0
16.0
14.0
12.0
(出所)日経平均はAstraManager、他はBloombergのデータをもとにMUMSS作成
10.0
2015/1
2015/3
2015/5
巻末に重要な注意事項を記載していますので、ご参照下さい。
10
2015/7
2015/9
2015/11
2016/1
2016/3
2016 年 4 月 4 日
ストラテジー
マーケット分析
金融政策の見直しと大胆な財
政出動
(グラフ13)
ECBのマイナス金利拡大で
欧州銀行株指数が急落
アベノミクスの最大のサポーターであった外国人が売り転換したことに
は、重要な示唆がある。ブラックロックが指摘しているように、マイナス金利
政策の副作用は大きい。先達である ECB(欧州中銀)は過去 4 回の中銀預
金金利の利下げ(マイナス金利の拡大)を行っているが、そのたびに欧州
銀行株は大きく売られる展開が続いている(グラフ 13)。そして、期間収益も
悪化を辿り、ドイツ銀行の CEO(最高経営責任者)は、昨年のリーマンショッ
ク以来の赤字決算に続いて、「今年も赤字か黒字か分からない」と述べてい
る。クレディ・スイス・グループの CEO は、「非流動性のリスク・アセットが積
み上がっていることを知らなかった」と述べ、1~3 月期も赤字予想との見解
を発表した。業績の悪化が続けば、財務体質の脆弱化に直結してしまう。
BIS(国際決済銀行)が、欧州銀行の経営状況にナーバスになっている事態
を考えると、最早マイナス金利政策は封印すべきであろう。つまり、アベノミ
クスの一翼を担っていた日銀の非伝統的緩和策も、効果と弊害を慎重に見
極めるべき局面に到達している。もし万一、4 月以降の日銀政策決定会合
で、マイナス金利幅の拡大が選択されたならば、「銀行株安=TOPIX 安」と
なるリスクを指摘しておく。日銀の命題は、「デフレからの脱却」であるはず
だ。それがマイナス金利で、「銀行株安=個人株主のマインド悪化=個人
消費抑制」の逆資産効果が顕在化すれば本末転倒になる。一方、財政の
出動による景気刺激策には、思い切った真水(政府が直接負担する財政
支出額)の拡大を期待したい。既述のように、GDP ギャップは 8 兆円であ
る。「真水 8 兆円以上、できれば 10 兆円」の大規模対策が望まれる。どう
も、政策当局の景況判断は遅行性を持っているように思える。タイミングを
逸すれば、疾病の治癒には多大な時間を要することになる。安倍総理の大
胆な決断を待ちたい。
ユーロストックス銀行株指数とECBの政策金利
(%)
1.00
(p)
180.0
(出所)BloombergのデータをもとにMUMSS作成
中銀預金金利
⇒▲0.1%(2014/6/5)
⇒▲0.2%(2014/9/4)
⇒▲0.3%(2015/12/3)
⇒▲0.4%(2016/3/10)
0.80
C
160.0
0.60
140.0
0.40
120.0
0.20
ユーロストックス銀行株指数(右)
100.0
0.00
80.0
-0.20
中銀預金金利(左)
60.0
-0.40
藤戸 則弘
投資情報部長
-0.60
2014/1
40.0
2014/4
2014/8
巻末に重要な注意事項を記載していますので、ご参照下さい。
11
2014/11
2015/3
2015/7
2015/10
2016/2
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