更新日:2016/3/31 JOGMEC モスクワ事務所 木原 栄治/井戸 智子 公開可 ロシア情勢(2016年 2 月 モスクワ事務所) 1.政治・経済情勢 (1)国内 ・ 2 月 1 日、プーチン大統領は、原油安により落ち込んだ歳入の穴埋めをするため、国営企業株式の 売却・民営化を検討する会議を開催した。会議には、政府高官および石油会社のロスネフチ、バシ ネフチ、航空会社のアエロフロート、金融の外国貿易銀行(VTB)、ダイヤモンド採掘会社のアルロサ、 造船会社のソフコムフロート、ロシア鉄道の幹部が出席した。この会議で、大統領は国による大手企 業株式売却にかかる一連の条件を提示した。 【条件概要】 株式の購入者をロシア法人に限定 市況を考慮し、経済的妥当性のある価格での売却 戦略的企業の国家コントロール(支配株)維持 株式取得のために国営企業からの借入の禁止 取得する企業の発展戦略の開示、等 これに先立ち、シルアノフ財務相は、売却を通じ 2 年間で 1 兆ルーブル(約 1 兆 5,000 億円)の 調達を目指すと発言していた1。 1 Kremlin.ru,2016/02/01, Vedomosti,2016/02/02 –1– Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ≪上写真出典: Kremlin.ru ・ http://kremlin.ru/events/president/news/51249/photos/43186 ≫ 2 月 18 日に開催された閣議にて、ウリュカエフ経済発展相は、危機対策プラン(安定的社会経済発 展アクションプラン)について説明。関係省庁で更に検討を行い、2 月 25 日までに政府に改定案を 提出することが決まった2。 【概要】 総額8,800 億ルーブル。内、国民福祉基金からの歳出は 398 億ルーブル(輸送機器製造業・ ロシア鉄道支援)、危機対策基金からの歳出は 1,850 億ルーブル 失業対策 100 億ルーブル、住宅、輸出・中小企業・航空機産業支援等に 165 億ルーブル ・ 2 月 18 日付 RBC Daily 紙は、経営難にあるロシア国営大手の対外経済銀行(VEB)のドミトリエフ会 長が職員らに辞職の意向を伝えたと報道。政府関係者もこの情報を認めたが、同社の広報および大 統領府はコメントを拒否。後任はズベルバンク副会長のゴルコフ氏と見られている。同氏が更迭され た場合、要職にあるプーチン大統領の取り巻きの更迭は過去 6 か月で 3 人目となる。これまでにロシ ア鉄道のヤクーニン会長、水力発電のロスギドロのドッド社長が解任されている。 ・ 2 月 19 日付 Vedomosti 紙は、国防省消息筋の話とし、軍事予算の 5%削減が検討されていると報じ た。シェフツォワ国防次官によれば、国防費の削減は、経済危機後初めての措置ではなく、2015 年 2 Government.ru,2016/02/18 –2– Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 にも3.8%削減されていたとのこと。2016年度予算に占める国防費は3.14兆ルーブル(GDPの4%) であり、5%削減された場合、約 1,600 億ルーブルの節約となる見込み。 ウリュカエフ経済発展相は、2015 年の国営企業の配当金を最大 50%に増額する提案について、関 ・ 係省庁の理解を得られたと述べた。これにより 1,100 億ルーブルの追加歳入が期待される。今月初 めに国家資産管理庁は、国営企業のミニマムレベルの配当金を利益の 25%から 50%に引き上げる ことを提案していた。一方、ドボルコビッチ副首相は、19 日、「国営企業の配当を利益の 50%に引き 上げるかどうかは投資計画と長期的な発展プログラムに基づき判断する」と語った3。 Rosneft の取締役会会長を務めるベロウソフ大統領補佐官は、国家保有株式の 19.5%の売却先につ ・ いて、「戦略的投資家に売却することが望ましい。現在の状況下では公開市場での株式売却は困難 であり、戦略的投資家に一括株式売却した場合、政府が受け取るプレミアムを最大限にすることが可 能となる」と述べた。Rosneft の現在の株式 19.5%の時価総額は約 5,770 億ルーブル(現行レートで 約 USD75 億)となる。専門家は、一括売却によるプレミアムの規模は最大で市場価格に対して 20~ 30%に達する可能性があるとした上で、現在の経済状況を考慮すると、投資家の Rosneft の株式取 得意欲は以前と比して低いものになっているとの考えを示した4。 (2)対外関係 ①ウクライナ ・ 2 月 16 日、ウクライナ領内で活動家がロシアナンバーのトラックの通行を妨害していることに対し、ロ シアのペスコフ報道官は、「両国は今年の通行許可(トランジット)発行数を各 35,000 件とする政府間 協定を締結したばかりであり、国際法に違反している」と抗議した。ロシアは対抗措置として、ウクライ ナトラックのロシア領内通行を禁止。25 日、両国はトラックの通行制限を解除5。 ・ 2 月 17 日、ロシア財務省は、ウクライナに USD30 億の債務返済およびロシア側が支払う裁判費用の 補償を求め、ロンドンの高等裁判所に提訴したことを明らかにした。この債務の償還期限は昨年 12 月。債務返済を一時的に停止すると発表したウクライナに対し、ロシアは訴訟の準備を行っていた6。 3 Vedomosti,2016/02/19 他 4 Kommersant,2016/02/26 5 Rossiiskaya Gazeta,2016/2/16,25 6 Sputnik,2016/02/18 –3– Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ②米国 ・ 2 月 25 日付 Bloomberg 紙は、米政府が国内大手銀行に対し、ロシアの国債発行への支援を自粛す るよう要請したと報じた。同 26 日付 Interfax 紙によると、ロシアのシルアノフ財務相は米政府の圧力 はユーロ建て国債発行の障害にはならないとの見方を示したとのこと。起債引受に関する提案を送 付した 28 行の内、約半数が関心を表明している模様7。 ③日本 ・ 2 月 20 日付日本経済新聞は、ドボルコビッチ副首相が、シベリア地域等の国内の大規模な石油・ガ ス開発事業に関し、中国に加えて日本企業にも 50%超の権益取得を容認する考えを示したと報じた。 2.石油ガス産業情勢 (1)原油・石油製品輸出税 ・ 2016 年 2 月、原油輸出税は USD 7.1/bbl に引き下げ、東シベリア及びカスピ海北部の油ガス田等に 対しては、引き続きゼロ課税となった。 ・ 2 月の石油製品輸出税は USD 20.8/t、ガソリンについては USD 36.9/t に設定された。 <参考:原油及び石油製品輸出税の推移> 輸出税 原油(USD/t) 原油(USD/BBL) 減税特典原油(USD/t) 減税特典原油(USD/BBL) 石油製品(USD/t) 内、ガソリン(USD/t) 2012 年 平均 404.3 55.4 199.2 27.3 266.8 363.8 2013 年 平均 392.2 53.7 190.1 26.0 258.8 353.0 (出所:ロシア経済発展省) 2014 年 平均 366.1 50.2 2015 年 平均 120.3 16.5 2016 年 1月 73.3 10.0 2016 年 2月 52.0 7.1 174.9 24.0 242.0 330.0 0 0 57.7 92.7 0 0 29.3 52.0 0 0 20.8 36.9 (2)原油生産・輸出統計8 ・ 2 月、原油、ガス・コンデンセート生産量は 4,306.5 万 t(約 3.14 億 bbl)で、前年同月比 5.73%増。 ・ 2 月、原油輸出量は 1,969.1 万 t(約 1.44 億 bbl)で前年同月比、7.75%増。 7 RBC daily,2016/01/26 8 エネルギー省 website –4– Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 (3)天然ガス生産統計9 ・ 2月、天然ガス生産量は530.4億㎥(約1.91TCF)で、前年同月比0.8%減。 (4)天然ガス輸出統計10 ・ 1~2月、GazpromのCIS以外への天然ガス輸出量は約293億㎥(約1.05TCF)で、前年同時期比40% 増。 (5)生産量関連 ・ 2 月 16 日、エネルギー省の報道官は、ノバク・エネルギー相が、ドーハにおいて OPEC 加入国であ るサウジアラビア、カタールおよびベネズエラのエネルギー大臣と会談し、他の産油国の参加を条 件に、2016年の原油生産を1月の生産水準以内で維持することで合意したと発表した。専門家によ れば、ロシアの 1 月の石油生産水準は高く、それを維持するのは困難である為、凍結決定はロシア 石油会社には特に影響がないとのこと。1月の石油生産水準は日産 1,087 万 8,000bbl(前年同月比 1.5%増。データ:燃料エネルギーコンプレクス中央指令局)、2015 年の平均日産量は 1,072 万 6,000bbl11。 ・ 2 月 17 日に行われた政府直轄の燃料エネルギーコンプレクスに関する委員会の会議において、エ ネルギー省作成の 2035 年までのエネルギー戦略に関するストレス・シナリオが協議された。12。 概要は以下の通り。 【シナリオ想定】 油価:2016~2017 年 USD31~33、2020 年までに USD42 まで上昇、ガス価:2020 年までに USD175 まで上昇。その後は同水準で推移 中国・アジア諸国の経済成長の鈍化、中東の安価なプロジェクトから生産される原油・ガス供 給の増加および米国シェールオイルからの原油供給の増加、産油国の通貨下落により生産 コストが低減した結果としての生産量の増加 9 Interfax,2016/03/02 10 Interfax,2016/03/04 11 Vedomosti,2016/02/17 12 Vedomosti,2016/02/18 –5– Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 【シナリオ結果】 年間石油生産量は 2020~2025 年に年産 4 億 6,000 万トンの水準まで落ち込む。その後、生 産量はわずかに増加するが、対 2015 年比で 14%減の水準にとどまる 累積納税額は石油部門で 60~65%減、ガス部門で 20~25%減(2025 年まで) 開発投資額は石油部門で 10~15%減、ガス部門で 7~10%減 ・ 2 月 20 日、ノバク・エネルギー相は地元テレビで主要産油国による増産凍結案に関し、3 月 1 日まで に結論を出すべきだと発言した。 ・ 2 月 25 日、ベラルーシの首都ミンスク訪問中のノバク・エネルギー相は、OPEC 加盟国と非加盟国の 石油担当相が、3 月中旬に会合を計画していると記者団に述べた13。 (6)その他 ・ 2 月 8 日付 Kommersant 紙は、財務省が石油抽出税の算定公式の変更を提案したと報じた。シルア ノフ財務相は、「現在の油価水準下では、現行の税制は国庫よりも各石油分野に有利になっている」 と語り、抽出税算定公式の控除係数を引き下げることで、抽出税がゼロとなる油価水準を下げること を提案した。財務省の計算では、控除係数を半分にする必要があるとのこと。Kommersant 紙の試算 では、控除係数を 1/2 に引き下げた場合、石油抽出税からの追加歳入は油価 USD50 で 6,500 億ル ーブル、油価 USD30 で約 1 兆ルーブルに達することになる。 石油抽出税算定公式(埋蔵量枯渇係数の考慮を除いた基本税額公式) 基本税額×(石油のバレル当たりの国際価格-15(*控除係数))×ルーブルの対ドルレート÷261 ・ ロシア石油会社各社は、2015 年の確認埋蔵量を発表。 (出所:各社プレスリリース) 確認埋蔵量 Rosneft (SEC 基準) Lukoil (SEC 基準) Gazpromneft (PRMS 基準) Bashneft (PRMS 基準) 13 単位 MMboe 埋蔵量置換率 前年比 33,465 16,558 11,140 2,323.6 124% 193% - 1.4% 5.2% 7% ロイター,2016/02/26 –6– Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 3.ロシア石油ガス会社の主な動き (1)Rosneft ・ 2 月 10 日、ロンドンで開催された International Petroleum Week においてセチン社長は、「産油国と の協調により原油供給量を 100 万 bbl/d 減らせば、油価は適正な水準に戻る可能性がある。しかし、 産油国が積極的にそのような方策をとるかは疑わしい」と発言。同社の政府保有株式の 19.5%の売 却については、「効果的な売却を行うには油価がバレル USD100 まで上がるのを待つべきだが、歳 入増加を狙う政府の事情も考慮する必要がある」と述べた。また、井戸元での生産コストについては、 1 年前のバレル当たり USD4 から USD2.7 に下がったことを発表した。柔軟な税制により、油価低迷 から石油生産会社が守られたこと、およびルーブル安が背景にある。生産水準については、 「Rosneft の資源基盤をもってすれば、大規模な探鉱や資本投資を行わずとも、今後 20~22 年は現 在の生産水準を維持することが可能である。しかしながら、現在政府が財政赤字の穴埋め策として 石油生産会社に対する増税を検討している状況にあり、生産量維持の可能性を保証することは出来 ない」と語った14。 ・ 2月24日付Vedomosti紙は、ベネズエラの国営企業Petroleos de Venezuela(PDVSA)が、Rosneftがベ ネズエラのオリノコ川流域油田プロジェクトにUSD5億を投資する予定と発表したと報じた。双方は先 週、協定を締結し、RosneftはUSD5億でPDVSAから両社の合弁企業Petromonagasの株式の23.33% を買増予定であるとのこと。現在、この合弁企業におけるRosneftの出資比率は16.7%、PDVSAが 83.3%、取引成立後はそれぞれ40%と60%になる。Rosneftの担当者は、投資額についてコメントし ていない。Rosneftによると、Petromonagasはベネズエラで最も活動的な合弁事業の一つであり、2015 年の石油生産量は770万tを上回ったとのこと。Rosneftは、同社の他にもPDVSAとの合弁企業4社に 出資している。ベネズエラにおけるRosneftとPDVSAの合弁企業は、Petrovictoria(Rosneftが40%を 保有)、PetroMiranda(Rosneftが主要株主である国家石油コンソーシアムが40%を保有)、Boquerin (Rosneftが26.67%、OMVが13.3%を保有)、Petroperija(Rosneftが40%を保有)の4社。これらのプロ ジェクトの総埋蔵量は石油205億t以上。 (2)Gazprom ・ 14 2 月 3 日付 Vedomosti 紙は、Gazprombank は Gazprom 社のバルト LNG およびウラジオストク LNG Vedomosti,RBK daily, IOD,2016/02/11 –7– Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 プロジェクトの資金調達を行わないと報じた。西側が発動した同行に対する経済制裁に起因するとの 指摘。2 月 1 日、Gazprom は投資家向けプレゼンテーションにおいて、2018 年に稼働開始予定であ った生産能力 1,000 万トンのバルト LNG プラントの稼働は、3 年後の 2021 年になる可能性があるこ とを明らかにした。アクシュチン執行役員は、Shell との協議は開始されていないが、現在ビジネスモ デルの策定に取り組んでおり、潜在的パートナーとの交渉は近々開始される見込みであると語った。 また、総生産能力 1,000~1,500 万トンのウラジオストク LNG プラントについては、第一系列の稼働を 2018 年に予定していたが、その延期を明らかにした。 ・ 2 月 16 日付 Kommersant 紙は、政府が Gazprom 取締役会における政府代表に対する命令を承認 し、ミレル社長の契約期間が更に 5 年間延長されることが決定されたと報じた。2001 年に Gazprom の 社長に就任して以来、トップであるミレル氏の在職期間は他の国営企業の経営陣をはるかに上回る 20 年となる見込み。Gazprom は取締役会議が開催されるまではコメントを拒否する意向。 ・ Gazprom は、2 月 24 日付プレスリリースで、イタリアの Edison SpA およびギリシャの DEPA SA と黒海 および第 3 国を経由し、ギリシャからイタリアに至るガスパイプライン建設に関する MOU を締結した と発表した。第 3 国がトルコかブルガリアかは明らかにしていない。 Alexy Miller, Chirman of the Gazprom Management Committee, Marc Benayoun, CEO of Edison SpA, and Theodoros Kitsakos, CEO of DEPA SA ≪上写真出典:Gazprpm HP http://www.gazprom.com/press/news/2016/february/article267671/≫ –8– Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ・ 2 月 29 日、ミレル社長はプーチン大統領に 2015 年の事業結果を報告した。概要は以下の通り15。 2015 年のガス生産量は 2014 年の 4,440 億㎥から 4,185 億㎥に減少 2015 年の国内市場へのガス供給量は、2014 年の 2,172 億㎥から 2,050 億㎥に減少 CIS 以外の欧州へのガス輸出量は、前年比で 118 億㎥増の合計 1,594 億㎥。ガス輸出量は 前年比で 8%増。ドイツのロシア産ガスの購入量は前年比 60 億㎥増となる過去最高の 435 億㎥。2016 年はドイツおよびその他の主要な欧州諸国への輸出量がさらに増える見込みで あり、年初より現在まで、前年同期比でドイツ:44%増、イタリア:42%増、フランス:73%・増、 オーストリア:52%増 国内ガス化プログラムの枠内で、2015 年は 1,275km のガス P/L・分配網を敷設。206 の居住 地のガス化を実施。2016 年 1 月 1 日の段階で国内のガス化率は 66.2%となり、同プログラ ムに基づきガス化が開始された 2005 年より 13%増 (4)ルクオイル ・ 2 月 15 日付 Kommersant 紙は、Lukoil が Bashneftの国有株の取得に関心を示していると報じた。ま た、2 月 19 日付 Vedomosti 紙は、複数の企業が取得に関心を示しているが、公式に示したのは Lukoil のみと報じた。アレクペロフ社長は支配株の取得を希望しているとのこと。 現在、国は Bashneft の株式の 75%を保有している(連邦国有資産管理庁:50.08%、バシコルスタン 共和国:25%+1 株)。ウリュカエフ経済発展相によれば、同社は Rosneft や Alrosa と並び今年中に株 式が売却される可能性が高い資産とのこと。現在、政府は 25%、50%もしくは共和国の持ち株と併せ て全 75%を売却するか検討を行っている模様。一方、ハミトフ・バシコルスタン共和国大統領は、同 共和国は株式の売却を検討しておらず、協議も行っていないと発言。Bashneft は欧米の制裁対象で はなく、債務も少なく、また 2015 年の石油生産量の増加率が最も高い優良企業。 (5)NOVATEK ・ 2 月 26 日、NOVATEK は IFRS 基準の 2015 年決算書をプレスリリースした。概要は以下の通り。 売上はルーブル安の効果で前年比 32.9%増の 4,753 億ルーブル、EBITDA は前年比 14.6%増の 1,608 億ルーブル、純利益は前年比 2 倍の 744 億ルーブル 15 Kremlin ru,2016/02/29 –9– Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ガス生産量は、前年比 9.3%増の 679 億 m³、ガス販売量は暖冬が一因となり、前年比7.1減 の 625 億 m³ 液分炭化水素生産量は、Termokarstovoye 鉱床の操業開始や子会社(複)による原油生産量 の増加により前年の 760 万トンから 1,334 万トンに増えた。販売量は前年の 709 万トンから 81.8%増の 1,289 万トン 2016 年の投資額は前年比 30%減の 403 億ルーブル ・ 2 月 29 日、フラモフ副社長は東京にて開催された日露貿易対話において同社の LNG 事業につ いて、2025 年までに LNG を 3,300 万トン生産し、世界の LNG 市場に占めるシェアを7%とする 計画を語り、Yamal LNG の原価は USD0.5/boe で世界でもトップクラスで低コストであることを強 調した。同プラントの 2017 年稼働予定の第一トレーンの建設工事は 56%の進捗。 また、Arctic LNG 事業については、2018 年に掘削を実施し、2023 年の操業開始を目指してお り、日本企業への参加を呼び掛けた。 (6)Surgutneftegaz ・ 2 月 20 日付 Vedomosti 紙は、Surgutneftegaz が世界で最も高収益の石油会社であると報じた。専 門家によれば、同社の成功は USD300 億超の巨額のドル建て内部留保金とのこと。2014 年の同 社の為替差益は 8,460 億ルーブルに達し、国際会計基準準拠の利益が前年の 3 倍の 8,850 億 ルーブルに達した結果、同社の優先株の配当は前年比 3 倍の 632 億ルーブル、普通株も前年 比 8%増の 230 億ルーブルという記録的な配当となった。他のロシアの石油企業の株式の収益 性は国際メジャーと同様にマイナスであり、配当金も含めた株式の収益性は Lukoil がマイナス 27%、Rosneft がマイナス 35%、Gazprom はマイナス 44%とのこと。 4.東シベリア・極東・サハリン情勢 (1)サハリン ・ 2 月 4 日、サハリン2プロジェクトの報道官の発言とし、LNG プラントで 1 月 26 日に発生したガスコン プレッサーの技術的な問題にかかわる補修工事は、2016 年 3 月まで続く可能性があるとロイターが 報じた。報道官によれば、LNG 輸出への影響を最大限に抑えるように努めているとのこと。 ・ 2 月 9 日付 Prime 紙は、2015 年の Gazprom のサハリン 2 プロジェクトからの収益は前年比 13%減の – 10 – Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 USD22.73 億であると報じた。ロシア産 LNG の平均価格は前年比 16%減の USD212/千㎥であった とのこと。 ・ サハリン州における 2016 年 1 月の原油生産量は前年同月比 11.9%増の 160 万トン、ガス生産量は 前年同月と同水準の 26 億㎥とのこと。同州の 2016 年の原油生産量は 1,530 万トン、ガス生産量 (LNG 換算)は 3,040 万トンの見込み16。 5.新規 LNG・P/L 事業 (1)「シベリアの力」ガス P/L ・ 2 月 12 日、Gazprom は、「シベリアの力」ガス P/L の中間区間(975~1,035.7km の 60.7km)の建設 事業に関する入札を開催すると急遽発表した。工期は 2016 年 2 月~2017 年 12 月、建設・設置工事 の上限は 78 億ルーブル。 (2) CPC ・ 2 月 24 日付ロイター通信は、カスピ海パイプライン・コンソーシアム(CPC)のブルニッチ最高経営責 任者(CEO)が、2016 年の CPC のブレンド石油の輸出量を前年比 20%増の 5,120 万トンに増やす 計画を語ったと報じた。同社は、原油安にも関わらず 2016 年に同 P/L の輸送能力を 6,700 万トンに 拡張するという 5 年がかりの計画を進めているとのこと。ブルニッチCEOは、Tengizchevoil が 2016 年のCPC経由の輸送量を 400 万トン増の 3,000 万トンにする計画であると述べている。また、 Kashagan 油田および Lukoil の Filanovsk 油田からの輸送量も拡大する予定であり、2016 年はそれ ぞれ 250 万トン、1,000 万トンを輸送する計画とのこと。 注: CPC パイプライン: カザフスタンのテンギス油田の原油等を黒海沿岸のロシア・ノボロシースク 港まで運搬 以上 16 Interfax,2016/02/29 – 11 – Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
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