予想外の利下げを行なったトルコ中央銀行 ~注目される追加利下げと

楽読
(ラクヨミ)
2016年3月28日
Vol.
1,081
予想外の利下げを行なったトルコ中央銀行
~注目される追加利下げと中銀人事~
トルコ中央銀行は3月24日の金融政策委員会で、1週間物レポ金利および翌日物借入金利を据え置いたもの
の、翌日物貸出金利を0.25ポイント引き下げ、10.5%としました。市場では三つの金利全て据え置きとの予想が
大勢を占めていましたが、トルコ・リラにひとまず大きな変化は見られませんでした。
中央銀行は声明で、世界的な金融市場の変動が幾分緩和したことを受け、金融政策の簡素化開始を決定した
としています。この簡素化は、米国での利上げ開始を視野に、昨年8月に打ち出された方針で、政策手段となっ
ている三つの金利の事実上の一本化を目指すものです。具体的には、翌日物借入金利(下限)と翌日物貸出金
利(上限)に挟まれた金利コリドーと呼ばれる市中金利の許容変動幅を、1週間物レポ金利を中心に上下対称と
し、かつ、縮小させるとしています。こうした方針が示されたことを受け、市場では、軟調なトルコ・リラや目標水準
を上回って推移するインフレ率などの状況から、米国での利上げに続いて、翌日物借入金利および1週間物レ
ポ金利の引き上げという形で簡素化が進められるとの見方が優勢となっていました。ただし、昨年12月に米国で
利上げが行なわれたものの、世界的な金融市場の変動を理由に簡素化の開始は見送られてきました。それが
今回、翌日物貸出金利の引き下げという市場の大方の予想を裏切る形で開始に至った背景には、金融市場の
変動の緩和という世界的な事情だけでなく、景気を重視するエルドアン大統領からの金融緩和圧力への配慮も
あったと推測され、今後も翌日物貸出金利の引き下げが簡素化の中心になることが想定されます。
なお、中央銀行の金融政策委員会メンバー7人のうち、5人が11月までに任期満了となります。その一人がバ
シュチュ総裁で、次の金融政策委員会が開かれる前日の4月19日に任期を終えます。後任は政府が任命し、大
統領の承認が必要なことから、大統領寄りの人物が就く可能性があり、その場合、翌日物貸出金利の引き下げ
が加速するとの見方が拡がったり、中央銀行に対する市場の信認が揺らぎ、トルコ・リラ安につながる可能性も
考えられます。また、総裁以外の4人の金融政策委員会メンバーの後任人事も含め、中央銀行の独立性につい
て懸念が一段と高まるような場合には、トルコの格付見直しにつながる可能性もあるだけに、注意が必要です。
主要金利の推移
14
(%)
(2011年1月初~2016年3月25日)
トルコ・リラおよび消費者物価指数の推移
60
(円)
(2011年1月初~2016年3月25日*)
翌日物貸出金利
対円(左軸)
55
12
(リラ)
1.4
50
10
1.8
消費者物価指数(前年同月比)
45
リラ高
物価目標(±2ポイント)
40
8
35
12 4
9
30
12
3
全体
3.4
消費者物価指数(前年同月比)
物価目標(±2ポイント)
6
1週間物レポ金利(主要政策金利)
銀行間翌日物金利(市場金利)
物価目標(±2ポイント)
3
*消費者物価指数は月次データ、2016年2月まで
0
0
0
12
11年
12年
13年
14年
15年
16年
11年
12年
13年
14年
11年
12年
13年
14年
15年
16年
9
トルコ中央銀行などの信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成
12
6
※上記は過去のものであり、将来を約束するものではありません。
9
3
3.0
対米ドル(右軸)
消費者物価指数(前年同月比)
物価目標(±2ポイント)
9
翌日物借入金利
6 2
リラ安
2.2
2.6
(%)
6
1.0
6
15年
16年
■当資料は、日興アセットマネジメントが市況等についてお伝えすることを目的として作成したものであり、特定ファンドの勧誘
0
3
資料ではありません。また、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料
11年
12年
13年
14年
15年
16年
0
作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。■投資信託は、値動きのある資産(外貨建
11年
12年
13年
14年
15年
16年
資産には為替変動リスクもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことが
あります。投資信託の申込み・保有・換金時には、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付
目論見書)をご覧ください。
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