トルコの新内閣と追加利下げについて

楽読
(ラクヨミ)
2016年5月25日
Vol.
1,104
トルコの新内閣と追加利下げについて
トルコでは、運輸海事通信相などを務めてきたユルドゥルム氏が与党AKP(公正発展党)の新党首に選出さ
れ、22日にエルドアン大統領から首相就任および組閣を命じられました。そして、24日に発表された閣僚人事
では、事実上更迭されたダウトオール首相に近い複数の閣僚が退任するなど、全体の半数前後が交代となり
ました。ただし、市場からの信任の厚いシムシェキ副首相が留任となったことから、トルコ・リラの上昇につなが
りました。なお、ユルドゥルム新内閣は、国会での信任投票を経て、月内にも発足する見通しです。
米投資銀行出身のシムシェキ副首相は、エルドアン大統領が景気浮揚に向けての利下げなど、大衆迎合的
な施策を繰り返し要求する中、中央銀行の独立性を訴え続けるなど、経済・金融政策面で盾のような存在とし
て、市場で評価されてきた人物です。しかし、過去約10年に亘るトルコの経済発展を堅実な政策で支えてきた
主要人物が次々と要職から外れただけでなく、首相もユルドゥルム氏に代わり、後ろ盾を無くしたシムシェキ氏
が副首相にとどまっても、その影響力は大きく低下するとの見方もあります。ユルドゥルム次期首相は、エルド
アン大統領の側近中の側近とされ、AKP党首への就任が内定した19日には、「結党の指導者(=エルドアン
氏)と完全な調和をもって働く」と述べ、忠誠を誓っているだけに、政策面で大統領の意向を積極的に受け入れ
るとみられます。つまり、エルドアン氏悲願の実権型大統領制の導入に向けた憲法改正などを視野に、国民か
ら一層の支持を取りつけることを狙い、景気重視の姿勢が一段と強まり、政策が過度に緩む可能性があります。
なお、トルコ中央銀行は24日、3ヵ月連続となる利下げを決定し、3つの主要金利の内、翌日物貸出金利を
10.0%から9.5%に引き下げました。物価上昇率が鈍化傾向となる中、利下げは市場の予想どおりで、しかも、
シムシェキ副首相の留任もあり、同日のトルコ市場では通貨、株式とも上昇しました。ただし、米利上げ観測が
足元で再燃し、新興国通貨に下押し圧力が働き易くなっているとみられることもあり、金融面だけでなく、経済・
財政面も含めたトルコの今後の政策運営が、トルコ・リラに大きな影響を及ぼす可能性に注意が必要です。
主要金利の推移
14
(%)
トルコ・リラおよび物価の推移
(2011年1月初~2016年5月24日)
(円)
55
翌日物貸出金利
(2014年1月初~2016年5月24日*)
52
12
対円(左軸)
46
43
リラ高
翌日物借入金利
6 2
3
全体
リラ安
2.7
3
3.3
*消費者物価指数は月次データ、2016年4月まで
0
0
0
11年
12年
13年
14年
15年
16年 12 14年
15年
11年
12年
13年
14年
15年
16年
9
トルコ中央銀行などの信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成
※上記は過去のものであり、将来を約束するものではありません。
6
3.1
消費者物価指数(前年同月比)
物価目標(±2ポイント)
6
3
2.5
消費者物価指数(前年同月比)
物価目標(±2ポイント)
9
1週間物レポ金利(主要政策金利)
銀行間翌日物金利(市場金利)
物価目標(±2ポイント)
対米ドル(右軸)
(%)
34
12
2.3
2.9
37
6
9
消費者物価指数(前年同月比)
物価目標(±2ポイント)
40
8
1.9
2.1
49
10
12 4
(リラ)
16年
12
9
6
■当資料は、日興アセットマネジメントが市況等についてお伝えすることを目的として作成したものであり、特定ファンドの勧誘
0
3
資料ではありません。また、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料
11年
12年
13年
14年
15年
16年
作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。■投資信託は、値動きのある資産(外貨建
0
資産には為替変動リスクもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことが
11年
12年
13年
14年
15年
16年
あります。投資信託の申込み・保有・換金時には、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付
目論見書)をご覧ください。
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