文化財虫菌害・保存環境調査及び燻蒸委託業務仕様書

文化財虫菌害・保存環境調査及び燻蒸委託業務仕様書
この仕様書は和歌山県立博物館(以下「博物館」という。)及び和歌山県立近代美術館(以下
「近代美術館」という。
)の文化財虫菌害・保存環境調査及び燻蒸委託業務を実施するために
必要
な事項を定めるものである。
この仕様書に記載のない事項については、博物館及び近代美術館の館長と受託者が協議して決
定する。
1.
(実施期間)
平成28年4月1日から平成29年3月31日まで。
2.
(実施範囲)
調査の実施範囲は、下記の合計36区画とする。
(1)博物館(15区画)
地階:一般収蔵庫(619.5㎡)・特別収蔵庫1(255.4㎡)・特別収蔵庫2(111.8㎡)・特別収蔵
庫3(63.4㎡)・ならし室(32.1㎡)・収蔵庫前室(120.9㎡)・一時保管室(154.5㎡)・荷解
室(92.6㎡)・搬出入室(258.2㎡)
1階:常設展示室(762.3㎡)・企画展示室(322.9㎡)・展示資材倉庫(235.0㎡)・エントラン
スホール(428.2㎡)
2階:書庫(85.2㎡)・学芸員室(95.3㎡)
(2)近代美術館(21区画)
地階:収蔵庫1(342.5㎡)・収蔵庫2(685.6㎡)・一時保管室(81.0㎡)・作業室(82.0㎡)・荷
解室(130.0㎡)・収蔵庫前室(61.4㎡)・搬出入室(108.4㎡)
1階:展示室A(1,057.0㎡)・展示室B(486.1㎡)・展示資材倉庫(136.2㎡)・ウォールケー
ス開口部・エントランスホール(402.2㎡)・リーディングコーナー(217.2㎡)・ギャラリ
ー(46.9㎡)・事務所(52.2㎡)・受付控室(50㎡)
2階:展示室C(1,038.6㎡)・展示資材倉庫(121.5㎡)・ウォールケース開口部・学芸員室
(123.2㎡)・書庫(113.1㎡)
3.(調査の目的と方法)
調査は、博物館・近代美術館職員と協議の上、以下のような内容で実施する。
(1)害虫調査の目的と方法
・害虫の館内での生育・侵入の状況を明らかにし被害を未然に防ぐあるいは早期に発見し対策
を立てるために実施する。
・上記36区画のうち、指定の215(博物館100、近代美術館115)箇所で3か月ごとに1回、合計
4回実施する。
・更に、36区画のうち特に重要と思われる18(博物館7、近代美術館11)箇所は毎月1回、合計
8回実施する
・粘着性の捕虫トラップを各指定箇所に配置して害虫を捕獲し、1か月後に回収して分析(同
定)する。
(2)空中浮遊菌調査の目的と方法
・空気の清浄度を浮遊菌のコロニー数で明らかにしカビやムシ被害を未然に防ぐ為に実施する。
・上記36区画のうち、1箇所ずつ合計33箇所で1回実施する。
・空中浮遊菌のサンプルにはエアーサンプラーを使用し、各指定箇所において200ℓ以上の空気
を吸引、多孔板衝突法により測定し空気中に含まれる菌数を調査する。
・調査に使用した培地は、専用の孵卵器を用いて25℃~30℃で14日間培養し発育した菌類の
コロニー数について計数し、1㎥当たりの菌数を記すこと。
・使用する培地はポテトデキストロース寒天培地(シャーレ直径9cm)を使用すること。
(3)空気環境測定の目的と方法
・過去に酸性ガス、ホルムアルデヒドが問題となった箇所において現状の濃度を測定し収集資
料に対して影響がどの程度残っているかを把握し、必要な対策を立てるために実施する。
・上記全36区画のうち、博物館では地階の一般収蔵庫・特別収蔵庫1・特別収蔵庫2・特別収
蔵庫3・収蔵庫前室・ならし室・一時保管庫及び1階の企画展示室展示ケース内、
近代美術館で
は地階の収蔵庫1、収蔵庫2、1階の展示室A及び展示ケース内の、合計12区画12箇所で博物館
では1回、近代美術館ではホルムアルデヒド、酸性ガスについて2回実施する。
・ホルムアルデヒドを対象として測定を行う。測定は、ローボリウムエアサンプラーにより室
内空気を採取し、採取した試料の測定は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法により行うこ
と。
(4)カビの同定
・資料に付着したカビの同定及び活性調査を実施する。
4.
(コンサルティングの目的と方法)
施設内外のムシ・カビをはじめとした保存に関する様々な問題点を明らかにし、速やかに解決す
る手法を提案、実施する為、博物館・近代美術館それぞれに対して、調査の内容解析・報告書の作
成及び問題点の改善措置の提案・協議等を電子メール、あるいは度受託者が来館して実施する。
5.
(エキヒュームS燻蒸)
エキヒュームS(酸化エチレンとHFC134aの混合剤)による燻蒸作業を、以下の要領で実施
する。
(1)博物館において、新規搬入資料や虫菌害が認められた資料について、殺虫及び殺菌を目的と
3
して博物館地階の燻蒸庫(11m )で2回の燻蒸作業を実施する。使用する燻蒸剤はエキヒュー
ムSとする。
(2)博物館地階の燻蒸庫の燻蒸設備は、全自動(但し、投薬は手動)、温度調整機能、高濃度測定
機能、ガス漏れ表示警報機能付きである。
(3)近代美術館において、新規搬入資料や虫菌害が認められる資料について、殺虫及び殺菌を目
的として美術館地階の作業室または一時保管室で体積12㎥以上、2回の燻蒸作業を実施する。
使用する燻蒸剤はエキヒュームSとする。
(4)近代美術館には燻蒸庫施設がないため、以下に示す条件を満たす燻蒸車と同等以上の性能を
有する施設を作業室または一時保管室にて用意すること
ア 燻蒸内容積は1回につき12㎥以上とし、間口は幅1.8m、高さ1.8m以上であること。
イ 冬期の作業でも燻蒸空間を20℃以上に保温できる設備を有すること。
(ただし火気を用
いた暖房器具は認めない。
)
ウ 気化器等の投薬装置及び排出装置の設備を有すること。
エ ガス漏洩の危険が無いよう包み込み式であること。
オ 1回の作業について、全行程を一週間以内を目安に協議の上決定する。
(資料を搬入出
する時間を含む。近代美術館が搬入・搬出それぞれ3時間程度をかけて行う。
)
カ 作業は昼間のみ行うものとし、夜間は作業を一時中断し、機械警備とする。
(5)作業に当たっては、あらかじめ工程表・業務仕様書を提出し、承認を受けること。
(6)燻蒸作業は、労働安全衛生法に定める特定化学物質等作業主任者及び文化財虫菌害防除作業
主任者の資格を持つ者が1名以上従事すること。
(有毒な薬品を使用し、安全に作業を遂行する
ため、一般毒物劇物取扱者の有資格者が作業に携わること。
)
(7) 燻蒸後のガス放出については、投薬量の5倍の活性炭により除毒したのち、安全に実施す
ること。
(8) 残留ガス濃度が0ppmになるまで排気を行った後、引き渡しを行うこと。
(9) 燻蒸効果の確認は、財団法人文化財虫害研究所の基準に基づいて実施すること。
(10)燻蒸作業終了後、速やかに燻蒸作業に関わる結果報告書を全て提出すること。
6.
(ブンガノン燻蒸)
ブンガノン及び同等品(ピレスロイド系殺虫剤シフェノトリンを有効成分とする炭酸ガス)によ
る燻蒸を、以下の要領で実施する。
(1)博物館は、上記15区画内のうち、地階の一時保管室・荷解室・搬出入室、1階の常設展示
室・企画展示室・展示資材倉庫、2階の学芸員室・書庫で、燻蒸作業を1回実施する。
(2)近代美術館は、上記21区画のうち、地階の作業室・荷解室・搬出入室、1階の展示室A・
展示室B・資材倉庫・受付控室及び2階の展示室C・展示資材倉庫・学芸員室・書庫で、燻
蒸作業を1回実施する。ただし、地階、1階、2階をそれぞれ別の日に行う。この時、火災用
排煙設備は使用せず、送風機およびダクトによって排気すること。
(3)燻蒸作業を実施する空間内にある展示品及び収蔵品などは、館職員が薬剤のかからない場所
に移動させるので、その他移動が困難なものについてはビニールなどで養生を行った後、作
業を実施すること。
(4)作業に当たっては、あらかじめ工程表・業務仕様書を提出し、承認を受けること。
(5)燻蒸作業は、特定化学物質等作業主任者及び文化財虫菌害防除作業主任者の資格を持つ者が
1名以上従事すること。
(有毒な薬品を使用し、安全に作業を遂行するため、一般毒物劇物取
扱者の有資格者が作業に携わること。
)
(6) 燻蒸後のガス放出については、送風機及びダクトにより安全に実施すること。排気口は各
館職員と協議して決定する。
(7)燻蒸効果の確認は、供試虫の全頭死をもって合格とする。但し、苦悶虫は館職員にて4~5
日間保管し、全頭死を確認の上合格とする。なお、4~5日保管しても全頭死の確認ができな
い場合は再度燻蒸作業を実施すること。
(8)燻蒸作業終了後、速やかに燻蒸作業に関わる結果報告書を全て提出すること。
7.
(活性炭の交換)
博物館において、燻蒸室内および通路を汚さないようビニール等で養生し、燻蒸室内燻蒸庫の使
用済み活性炭を未使用の活性炭(90㎏)に入れ替え、使用済み活性炭を適切に処分すること。
8.
(再委託業務の禁止)
受託者は、委託業務の全部または主たる部分の処理を第三者に委託してはならない。(但し、あ
らかじめ「県」の書面により承諾を得た場合はこの限りではない。
)
9.特記事項
貴重な文化財・美術品を対象とする収蔵庫・展示室内での作業においては、特殊な薬剤を使用す
るなど、作業に当たって様々な人為的危害の恐れがあることから、熟練した作業員が十分留意し、
責任を持って業務にあたること。
契約締結後、速やかに年間スケジュールを提出すること。