平成 28 年 3 月 22 日 懲戒処分の公表について 公益社団法人 日本不動産鑑定士協会連合会 会 長 熊 倉 隆 治 公益社団法人日本不動産鑑定士協会連合会は、平成 28 年 3 月 22 日付にて、定款 第 13 条に基づき、処分の対象者となった不動産鑑定士甲に対する懲戒処分を決定 したので、情報公開規程第 7 条の規定に基づき、下記のとおり公表する。 (1) 懲戒処分の内容 (2) 懲戒処分の理由 戒告 懲戒被処分者甲が、有限会社 A を依頼人として作成に関与した不動産鑑定評 価書(以下、「鑑定評価書」という。)は、近隣地域の標準的使用及び対象不動 産の最有効使用の分析並びに産業廃棄物最終処分場跡地の宅地開発の調査分析 が不十分で専門職業家としての説明責任を十分果たしていないほか、宅地開発 を想定し開発法を適用しているものの、想定が行政機関の開発指導要綱に満た ず、実現可能な想定となっていない等、不動産鑑定評価基準を遵守した評価と は言い切れず、不動産鑑定士として相当な注意を欠いている鑑定評価書と認め られる。 よって、被処分者は本会会員に課せられた倫理規程遵守義務に違反するもの と判断した。 なお、有責と認められる事項については以下のとおり。 ① 画地の約半分は傾斜地を含む全体規模 8 万㎡を超える対象不動産の近隣地 域について、価格水準が異なる小規模な宅地も含むエリアとする等、近隣地 域の特性を把握したものとは言えず、近隣地域の標準的使用と対象不動産の 最有効使用の分析が曖昧で不十分である。 ② 産業廃棄物最終処分場跡地である対象不動産の市場分析、宅地開発への調 査分析が不十分で、対象不動産の市場価値を的確に説明した鑑定評価書とな っておらず、専門職業家としての説明責任を十分果たしているとは認められ ない。 ③ 全体地のうち比較的緩傾斜の土地について、宅地開発を想定し開発法を適 -1- 用しているが、取り付け道路幅員、公園、ゴミ置き場等の想定計画が行政機 関の開発指導要綱を満たさず、実現可能な想定となっていない。自ら当該想 定計画は社内用の試算用であり一般的ではないと認めている。小規模な宅地 開発は可能と主張し、全体地の開発の実現性については分析を行っていない。 また、宅地造成工事費の積算根拠が曖昧で低い数値を用いており現実的では ない。販売費及び一般管理費も少なく計上し、開発スケジュールとして短期 期間を想定し、さらに産業廃棄物最終処分場跡地のスティグマの要 因分析が ない等、杜撰な手法による開発法を適用して求めた価格を中心として鑑定評 価額を決定している。 鑑定評価額の決定に重要な手法である開発法の想定計画について、自らその 実現性の曖昧さを認める等、専門職業家として説明責任及び倫理が欠如して いる。 ④ 取引事例比較法の適用にあたって、有効宅地化率・造成の難易・産業廃棄 物最終処分場跡地の特性等の要因(地域要因・個別的要因)比較が曖昧で、 不動産の価格形成要因の比較が不十分である。 以 -2- 上
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