2016 年 3 月 29 日 ミネラルウォーター市場に関する調査結果 2015 ~大幅増に転じたミネラルウォーター、堅調に推移する宅配水~ 【調査要綱】 矢野経済研究所では、次の調査要綱にて国内のミネラルウォーター市場及び宅配水市場の調査を実施した。 1.調査期間:2015 年 12 月~2016 年 2 月 2.調査対象:飲料メーカー、宅配水製造企業等 3.調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話によるヒアリング、ならびにアンケート調査併用 <ミネラルウォーター市場、宅配水市場とは> 本調査におけるミネラルウォーターとは主に地下水などを源泉とし、ペットボトルやビンなどの容器で市販用・業 務用に販売されるものを指す。また、宅配水とはサーバーとセットで供給されるミネラルウォーターで、家庭や事業 所などに宅配されるものを指す。なお、サーバーを利用しないタイプやペットボトルの宅配などを除く。 【調査結果サマリー】 ◆ 2014 年度のミネラルウォーター市場規模は前年度比 101.8%の 2,668 億円と成長維持、 2015 年度も同 107.2%の 2,860 億円と大幅増を見込む 2014 年度のミネラルウォーター市場規模(メーカー出荷金額ベース)は前年度比 101.8%の 2,668 億円 となり、2015 年度は同 107.2%の 2,860 億円の見込みで、好調な推移を見せている。 東日本大震災以降、生活水として日々の生活に入り込んだことに加え、健康志向の高まりの中で、ミネ ラルウォーター本来のナチュラルで健康的なイメージが消費者に支持されていることも拡大要因の一つと なっている。近年は、フレーバーウォーターの伸長が市場拡大に寄与している。 ◆ 2014 年度の宅配水市場規模は前年度比 105.3%の 1,086 億円と拡大が続く、 2015 年度も同 104.5%の 1,135 億円と引き続きの成長を見込む 2014 年度の宅配水市場規模(エンドユーザー販売金額ベース)は前年度比 105.3%の 1,086 億円で、 2015 年度は同 104.5%の 1,135 億円の見込みと、拡大を維持している。一方で、伸長率は鈍化しており、 一時に比べ勢いは見られなくなっている。宅配水に最も関心が高く、且つ購入しやすい都市部のファミリ ー層はすでにサービスを利用しているため、新規顧客獲得ペースが鈍化していることや、夏場の天候が 安定しなかったことで、平均購入本数が下がっていることなどが成長鈍化の要因となっている。 ◆ 資料体裁 資料名:「ミネラルウォーター市場の現状と将来展望 2016 年版」 発刊日:2016 年 3 月 4 日 体 裁:A4 判 550 頁 定 価:110,000 円(税別) 株式会社 矢野経済研究所 所在地:東京都中野区本町2-46-2 代表取締役社長:水越 孝 設 立:1958年3月 年間レポート発刊:約250タイトル URL: http://www.yano.co.jp/ 本件に関するお問合せ先(当社 HP からも承っております http://www.yano.co.jp/) ㈱矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム TEL:03-5371-6912 E-mail:[email protected] 本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。 本資料内容を転載引用等されるにあたっては、上記広報チーム迄お問合せ下さい。 Copyright © 2016 Yano Research Institute Ltd. 2016 年 3 月 29 日 【 調査結果の概要 】 1. ミネラルウォーター市場 1-1. 市場概況 2014 年度のミネラルウォーター市場規模(メーカー出荷金額ベース)は前年度比 101.8%の 2,668 億円 となり、2015 年度は同 107.2%の 2,860 億円の見込みで、好調な推移を見せている。 2011 年度以降、5 年連続で拡大するミネラルウォーター市場だが、近年の拡大はフレーバーウォータ ーなど派生商品が大きく寄与し、ノンフレーバーのミネラルウォーターのみでは市場はほぼ横ばいとみら れる。上位メーカーの国産ブランドを中心に売り上げを大きく伸ばしたことで、ミネラルウォーターにおける 上位寡占はますます進んでいる。上位ブランドのフレーバーウォーターの新商品がヒットしたことで、さら に市場が活性化している。 国産・輸入別では、国産ブランドは小型容器の品揃えに注力することで、フレーバーウォーターやスパ ークリングウォーターも含め拡大を牽引しており、従来の主力であった大型容器についても、生活水とし ての利用が根付いてきたことで、安定した需要を獲得している。 輸入ブランドは、一時の硬水ブームは去り、国産ブランドに押されている現状ではあるものの、美容や 健康に関心の高い層からの支持は高く、インターネット通販や輸入雑貨店など特定のチャネルでは指名 買いやリピート需要も旺盛で根強い人気となっている。 1-2. 課題と今後の方向性 ミネラルウォーター市場には、「低価格販売」と「差別化の難しさ」という大きな問題が現在も継続して存 在する。ミネラルウォーターは、価格訴求が消費者の購買意欲を最も喚起するといった側面が強く出る傾 向にあり、価格是正に向けた動きは見られるものの、本格的な是正には至っていない。 基本的に無味無臭な「水」に特徴付けを行うために、環境面を訴求する動きが目立つが、各社横並び となってきている。近年はミネラルウォーターの「自然」、「健康」イメージに味覚的特長をつけるべく、フレ ーバーウォーターやスパークリングウォーターの販売が増えている。 当該市場は、震災をきっかけに「水」の持つ本質的な価値が再認識され、一番身近な「水」という商材 は生活の根底にあるものとして、今後も底固い需要に支えられるものと考える。また、成長を牽引したフレ ーバーウォーター、スパークリングウォーターについては、先行企業の成功事例を見て、各社とも検討材 料の一つとして捉えているとみられ、新商品の上市は増えるものと考える。 図 1. ミネラルウォーター市場規模推移 (百万円) 注 1. メーカー出荷金額ベース 注 2. (見込)は見込値 矢野経済研究所推計 Copyright © 2016 Yano Research Institute Ltd. 2016 年 3 月 29 日 2. 宅配水市場 2-1. 市場概況 2014 年度の宅配水市場規模(エンドユーザー販売金額ベース)は前年度比 105.3%の 1,086 億円で、 2015 年度は同 104.5%の 1,135 億円の見込みと、拡大を維持している。一方で、新規顧客獲得ペースが 減少していることで伸長率は鈍化しており、以前ほどの勢いは見られなくなっている。これまでは参入企 業各社が概ね順調に顧客件数、販売本数を増やしていたものの、企業によっては横ばい又は微減で推 移しているところもある。 2014 年~2015 年にかけて、燃油費の上昇や為替変動、加えて、ワンウェイ方式の企業においては宅 配事業者による宅配料金の大幅な引き上げによって従前の価格を維持できなくなり、多くの企業が値上 げに踏み切った。また、配送費用についても、以前は一部地域を除き無料が一般的であったが、配送エ リアに応じて配送料を別途徴収する企業が増えてきている。 2-2. 配送方式別の動向と今後の方向性 宅配水市場ではボトルを回収しリユースするリターナブル方式を採用する企業と、一回使い切りボトル を使用するワンウェイ方式を採用する企業がある。 リターナブル方式を採用する企業では、全国配送のしやすさや配送エリア内での販売の機会損失をな くすため、ワンウェイ方式との併用が近年主流となりつつあり、2015 年度も複数の企業が併用を始めてい る。また、大手企業では、生産能力を高めた大規模生産工場を建設することで、より効率的な配送体制へ の再構築が行われている。 ワンウェイ方式を採用する企業では、上位企業を中心に堅調であるが、競争環境が激化していることも あり、新規顧客を獲得するための一件当たりのコストは上昇傾向にある。また近年は特徴の異なる様々な 水質の水を提供する意味合いに加え、リスクヘッジや配送コスト削減の観点から複数の採水地の商品を 取り扱う企業が増えてきている。 2~3 年前までは宅配水市場参入企業の大部分で顧客数、販売本数を伸ばしていたが、足元では企 業による好不調が顕在化し、上位企業を中心に寡占化が進みつつある。震災後は新規参入が多く見ら れたが、2014 年度以降、目立った参入は少なくなっており、撤退する企業が出てきている。 今後も企業業績に明暗が分かれるものとみられ、撤退・淘汰される企業は増えてくるものと考える。その 中で、上位企業を中心に M&A を行うことで他ブランドの顧客を獲得し、自社ブランドに組み込んでいくこ とで顧客数を増やしていく動きが活発になってくるものと思われる。 図 2. 宅配水市場規模推移 (百万円) 矢野経済研究所推計 注 3. エンドユーザー販売金額ベース 注 4. 宅配水とはサーバーとセットで供給されるミネラルウォーターをさすが、市場規模はサーバーに関連した費用を除く 注 5. (見込)は見込値 Copyright © 2016 Yano Research Institute Ltd.
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