2016 年 3 月 31 日 ビッグデータ市場に関する調査結果 2016 -国内でのビッグデータ関連への投資額は 535 億円- 【調査要綱】 矢野経済研究所では、次の調査要綱にて国内民間企業のビッグデータに関連した IT 投資実態と今後の展望に ついて調査を実施した。 1.調査期間:2015 年 12 月~2016 年 2 月 2.調査対象:国内の企業、団体、公的機関等 3.調査方法:各種文献調査、民間企業、および公的団体・機関等に対する郵送アンケート <本調査におけるビッグデータ市場> 本調査では国内のビッグデータ市場規模について、民間企業等に対する「ビッグデータに関する法人アンケート 調査※1」を実施し、その結果を基に経済産業省の経済センサス等を活用して拡大推計を行い、国内のビッグデータ 関連投資額を算出している。なお、本調査ではビッグデータの定義を規定せず、ユーザー企業自身がビッグデータ として取り組んでいるものを対象としている。 ※1. 調査期間:2015 年 8 月~10 月、調査対象:国内民間企業、および公的団体・機関 546 件、調査方法:郵送に よるアンケート調査 【調査結果サマリー】 2015 年度の国内のビッグデータ関連投資規模は 535 億円と推計 本調査では国内の民間企業、公的団体などにビッグデータに関する法人アンケート調査※1 を実施し、 その調査結果をもとにビッグデータ関連投資規模を推計した。2015 年度の国内のユーザー企業における ビッグデータ関連投資額は 535 億円であった。また同アンケート調査において、ユーザー企業のビッグデ ータへの取り組み状況を調べたところ、「業務に取り込み済み(2.4%)」、「試験的に運用中(1.7%)」と回 答した企業は合計で 4.1%に留まっている。 ビッグデータは IoT、AI などの進展とともに急速に発展 現在注目されている「IoT(モノのインターネット)」、「AI(人工知能)」といった新たな領域は、ビッグデー タの活用そのものであり、大量のデータがこれらの技術の進展に寄与している。今後もビッグデータは IoT、 AI の技術基盤という位置付けで進展していくと予想する。 具体的な展望として、今後サービス基盤が低廉化することで IoT の活用機会が向上する。新たな技術 の実用化が進むことで AI の応用分野が広がり、AI 技術の産業適用はさらなる広がりをみせるものと推測 する。 ◆ 資料体裁 資料名:「ビッグデータ市場動向 2016」 発刊日:2016 年 3 月 9 日 体 裁:A4 判 202 頁 定 価:180,000 円(税別) 株式会社 矢野経済研究所 所在地:東京都中野区本町2-46-2 代表取締役社長:水越 孝 設 立:1958年3月 年間レポート発刊:約250タイトル URL: http://www.yano.co.jp/ 本件に関するお問合せ先(当社 HP からも承っております http://www.yano.co.jp/) ㈱矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム TEL:03-5371-6912 E-mail:[email protected] 本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。 本資料内容を転載引用等されるにあたっては、上記広報チーム迄お問合せ下さい。 Copyright © 2016 Yano Research Institute Ltd. 2016 年 3 月 31 日 【 調査結果の概要 】 1. 市場概況 本調査では国内の民間企業、公的団体などにビッグデータに関する法人アンケート調査※1 を実施し、 その調査結果をもとにビッグデータ関連投資規模を推計した。その結果、2015 年度の国内のユーザー企 業におけるビッグデータ関連投資額は 535 億円であった。この場合のビッグデータ関連投資額とはユー ザー企業が想定するビッグデータに対する投資の合計額であり、特定のソフトウェア基盤の市場を指すも のではない。また、ユーザー企業は国内企業を対象としている。 同アンケート調査において、ユーザー企業のビッグデータへの取り組み状況を調べたところ、「業務に 取り込み済み(2.4%)」、「試験的に運用中(1.7%)」と回答した企業は合計で 4.1%に留まっている。現時 点でビッグデータへの取り組みを進めているのは大企業が中心であり、国内全体でみると限定的な取り 組みであるものと考える。 一方で、一時期のビッグデータブームは沈静化したが、一部の企業ではより具体的、かつ本格的なデ ータ活用が進んでいる。現在注目されている「IoT(Internet of Things; モノのインターネット)」、「AI (Artificial Intelligence; 人工知能)」といった新たな領域はビッグデータの活用そのものであり、大量のデ ータがこれらの技術の進展に寄与している。今後、ビッグデータは IoT、AI によるデータ駆動型経済※2 を 実現するための技術基盤という位置付けへと進展していくことが予想される。 ※1. 調査期間:2015 年 8 月~10 月、調査対象:国内民間企業、および公的団体・機関 546 件、調査方法:郵送によるア ンケート調査 ※2. データ駆動型経済とは IoT によるモノのデジタル化・ネットワーク化によって様々な産業社会に適用され、デジタル化 されたデータが、インテリジェンスへと変換されて現実世界に適用されることによって、データが付加価値を獲得して現実世 界を動かす社会をさす(出典:経済産業省産業構造審議会「中間取りまとめ(案)」平成 27 年 4 月) 図 1. 国内ユーザー企業におけるビッグデータへの取り組み状況 (n=540) 矢野経済研究所調査・作成 注1. 調査期間:2015 年 8 月~10 月、調査対象:国内民間企業、および公的団体・機関 540 件、調査方法:郵送によるアン ケート、単数回答 Copyright © 2016 Yano Research Institute Ltd. 2016 年 3 月 31 日 2. 今後の展望 2-1. サービス基盤の低廉化(2016~2017年ごろ) IoT プラットフォームとして汎用クラウドが拡大し、格安 MVNO(Mobile Virtual Network Operator; 仮 想通信事業者)が普及する。これにより、IoT サービス基盤の低廉化、及び利便性向上が進み、大企 業だけでなく中堅企業等においても IoT 活用機会の環境が整いつつあるものとみる。 AI 技術は主に金融分野を中心に進展し、本格普及の基盤を構築するものと考える。 2-2. 新たな技術の実用化(2018~2020 年ごろ) ビッグデータ解析の課題としてリアルタイムでの膨大なデータ処理が挙げられる。こうした課題に対し て、次世代のメモリ、低消費電力ネットワーク、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)センサー の実用化が期待され、技術的な目途が立ち始めるものとみる。 AI は画像や音声、センサーといったマルチメディア情報により複合的に事象を認識でき、こうした技 術が実用化されると見込む。 2-3. 応用分野の広がり(2020~2025 年ごろ) AI によって、医療分野では遺伝子情報を活用した先制医療が期待される。また自動車分野におい ては自動運転走行の実用化が挙げられる。日本政府が 2020 年の東京オリンピック・パラリンピックま でに実用化を実現させる方針を打ち出していることから、2020 年は自動運転走行技術のデモンスト レーションとしてひとつの契機になるものと考える。 2-4. 産業適用のさらなる進展(2025~2030 年ごろ) ハードの側面ではセンサーシステムの普及が加速するものとみられる。また AI 技術は、自動車分野 における自動運転走行、製造業のスマートファクトリー(産業ロボットの活用などによる工場の自動 化)、高度な自動翻訳などを実現させると予想する。 さらに AI の知的作業における範囲が大きく広がり、社会基盤の一つとして更なる進展をするものと考 える。AI の応用分野が広がるなかで、AI 技術の産業適用がさらなる広がりをみせるものと推測する。 Copyright © 2016 Yano Research Institute Ltd.
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