メジャーとインディペンデント企業の 2015 年業績と 2016 年投資

更新日:2016/3/31(一部修正)
調査部: 高木路子
メジャーとインディペンデント企業の 2015 年業績と 2016 年投資
(各社の財務諸表及び各種報道等)
・2016 年の世界的な上流投資額は2年連続の減少で、IEAによれば、2014 年比で 2016 年の投資額は4
割減の見通し。地域的には、北米での投資額が大幅に減少しており、中東・ロシアは相対的に堅調とみ
られる。
・メジャーの 2016 年支出計画は、現在の市場環境を反映して、CAPEX、OPEX をさらに削減する取り組
みを継続させる。各社の投資額は ExxonMobil でも前年比 25%減、Chevron でも同 20%以上の減、Total
も同 15%削減の計画。一方で、上流専業のインディペンデント企業はシェールの減損処理が響き、大幅
な赤字であり、メジャー以上に投資削減を迫られ、多くは前年比5割以上の削減を計画している。
・投資削減する一方で、今後数年間、メジャーは開発中案件の生産開始によって増産が見込まれる。イ
ンディペンデント系は、北米シェール投資の減少と資産売却によって 2016 年は生産減少の見通し。
・価格見通しの不透明感が強い中、メジャーの投資戦略として、LNG と大水深の2本柱を打ち出してBG
買収を行った新生 Shell は、2016 年年初、カナダ、ナイジェリアの LNG 案件の最終投資決定を延期する
と発表、厳しい船出となった。Chevron は、大型投資(Gorgon, WheatstoneLNG 案件等)を順次生産移行
させるとともに、当面、大型開発ではなく短期あるいは小規模案件を主軸にした投資選択に軌道修正す
る。他方で、資金豊富な企業は、こうした時期に資産取得に動くことも予想される。
1. 上流投資の概観
世界全体の上流投資額は、国際エネルギー機関IEA(2016 年 2 月下旬)のレポートによれば、2015
年は前年比 24%、2016 年にはさらに 17%削減される見通しで、この2年間で約4割が削減されるとの見
通しを発表した。
OPECと非OPECリグ稼働数(2014年1月-2016年2月)
(基)
1000
非OPEC(北米、ロシア、中国陸上除く)
800
600
400
OPEC中東(イラン除く)
200
0
2014年1月
2014年7月
非OPEC(北米、ロシア、中国陸上除く)
2015年1月
2015年7月
OPECアラブ(イラン除く)
OPEC南米
2016年1月
OPECアフリカ
出所:Baker Hughes
図1.世界のリグ稼働数
–1–
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本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま
れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの
投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責
任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
2016 年1月、原油価格が 20 ドル台までに低下したことで、多くの企業が、2016 年投資計画を再度見直
し、一段と投資先を絞り込んだ。Barclyas Capital によれば、2016 年の上流投資額は、2016 年1月時点で
は前年比 15%減の見通しであったが、3 月時点では同 27%減の見通しに下方修正された。
地域別には、投資変化にばらつきがみられる。まず、各種データより、米国は、短期的に収益を確保
しようとするシェール企業などが大幅に投資計画を縮小していることから、2015 年比では投資額 40-
50%程度の削減、それに対し、南米やアジア地域ではメジャー、地元企業やNOC(国営石油会社)の
投資引き下げが影響し、全体 20-30%程度の減少、中東・ロシア地域は各国石油会社の投資活動が依
然活発であり、顕著な投資削減は見込まれていない。
Baker Hughes の稼働リグ数の変動でも、地域別には米国が 2014 年ピーク時の 1930 基から現在 500
基弱まで減少し 8 割減、カナダも2年前の 520 基の稼働から現在 70 基まで減少し 9 割減、アルゼンチン
も 100 基以上の稼動数が 60 基まで急激な減少がみられる。北米、ロシア、中国陸上を除く非OPEC 加盟
国のリグ稼働数は、2014 年下半期に減少し始め、2016 年2月時点でピークの3割減である(図1)。一方、
OPEC 加盟国のうちサウジアラビア及び UAE は、低収入にも関わらずリグの稼働数を増やす動きがみら
れ、OPEC アラブ諸国全体の稼働数もほぼ横ばいである。UAE は、2018 年初までに 350 万 b/d(現在
300 万 b/d 程度)の原油生産に拡大する目標を掲げており、またサウジアラビアは、現在の生産高水準
において十分な余剰能力を確保するためにも活発な開発活動を維持しているとみられる。
表1.メジャーの業績 (2015、2014 年)
ExxonMobil
2015
2014
売上高
増減%
投資額
増減%
純利益
増減%
(百万ドル)
Shell
2015
2014
BP
2015
2014
Chevron
2015
2014
Total
2015
2014
268,882 411,939 264,960 421,105 222,894 353,568 129,925 200,494 165,357 236,122
-35%
-6%
-37%
-7%
-37%
-7%
-35%
-9%
-30%
-6%
31,051 38,537 28,861 37,339 19,531 23,781 33,979 40,316 28,033 30,509
-19%
-9%
-23%
-19%
-18%
-35%
-16%
-4%
-8%
-11%
16,150 32,520
1,939 14,874
-6,482
3,780
4,587 19,241
5,087
4,244
‐
-50%
0%
-87%
-9%
-84%
-76%
-10%
20%
-62%
出所:各社財務諸表より作成
純利益:米国会計基準
2. メジャーと中堅企業の 2015 年業績結果
メジャーの 2015 年業績は、まず売上高は原油価格の下落に伴って前年比で 30-40%減少(表1)し、
各社純利益は、BP はメキシコ湾流出事故賠償金の確定に伴い 120 億ドルの費用計上し大幅な損失、
–2–
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本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま
れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの
投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責
任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
ExxonMobil は前年比 50%減の減益だったが Shell,Chevron は前年比でそれぞれ同 87%、同 76%の大
幅減益となった。ExxonMobil は大きな減損処理を行っていないが、Shell や Chevron は、2015 年内に北
米のオイルサンド資産やシェール資産等の減損計上を行ったのが響いた。他方で、Total は、2014 年比
の20%増益であった。この背景には、同社は、2014 年に北米のオイルサンド及びシェールガスを含む
71 億ドルの減損処理を行い 2014 年の決算が悪化していた点が指摘できる。
メジャーの上下流別の収益比率は、2014 年と 2015 年で関係が入れ替わり、2014 年までは上流部門が
収益の 8 割を占めたが、2015 年は下流部門が収益の過半であった。このうち Shell、Chevron 及び Total
は、上流事業部門全体で赤字であったが、これを下流部門の利益でカバーし黒字収支となった(図2)。
(%)
上流部門
メジャーの部門別利益比率
下流部門
100%
80%
60%
40%
20%
0%
201520142013
201520142013
201520142013
201520142013
ExxonMobil
Shell*
BP*
Chevron
201520142013
-20%
Total*
-40%
各社財務諸表の部門別利益(上流、下流)額に基づき算出作成
*Shell、BPはCCS基準(価格変化に伴う在庫評価損を考慮せず)に基づき算出された部門別利益を利用。加えてBPは、税引前の部門別利益で、上流部門にはメキ
シコ湾流出事故関連会計20億ドルの費用計上を含まない。Totalは各部門の営業利益。
図2.メジャーの部門間利益構成
メジャーの投資額と純利益 (2013-2015)
(百万ドル)
50,000
投資額(百万ドル)
純利益(百万ドル)
40,000
30,000
20,000
10,000
2015
2014
2013
2015
2014
2013
2015
2014
2013
2015
2014
2013
-10,000
2015
2014
2013
0
ExxonMobil
Shell
BP
Chevron
Total
出所:各社の財務諸表より作成
図3.メジャーの投資額と純利益(2013-2015)
–3–
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本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま
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投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責
任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
メジャーの 2015 年投資額の実績は、2014 年比で 10%-23%の削減。2年前の 2013 年比では BP は
50%近くの大幅な削減であったが、ExxonMobil が3割減、Chevron 及び Total は各2割カットであった(図
3)。
一方、2015 年のメジャーの石油・ガス生産量は、Shell 以外すべて前年比増であった(図4)。メキシコ
湾や西アフリカなどでの大油ガス田の生産増加が寄与した上、原油価格下落に伴い PS 契約上のコスト
回収分の生産取り分が増加した点が影響した。特に、Total は、これ以外にもアブダビ権益取得分が大き
く影響し前年比で 10%増の 225 万 boe/d であった。メジャーの確認埋蔵量(SEC 基準)については、過
去2年間、いずれのメジャーも可採年数(確認埋蔵量/生産量)が減少しており、将来に向けた埋蔵量置
換がうまくいっていない(表2)。
メジャーの石油・ガス生産量
千boe/d換算
4,500
4,000
3,500
3,000
2,500
2,000
1,500
1,000
500
0
2015 2014 2013 2015 2014 2013 2015 2014 2013 2015 2014 2013 2015 2014 2013
ExxonMobil
Shell
BP
石油(千b/d)
Chevron
Total
天然ガス
図4.メジャーの石油・ガス生産量
(百万 bbl あるいは百万 boe)
表2.メジャーの確認埋蔵量(2014 年末、2015 年末)
ExxonMobil
石油
ガス
合計
可採年数
2015
14,724
10,035
24,759
16.6
2014
13,713
11,556
25,269
17.4
Shell
2015
5,303
6,229
11,532
10.9
BP
2014
6,130
6,719
12,849
11.6
2015
9,560
7,366
16,926
14.3
Chevron
2014
9,816
7,449
17,265
15.2
2015
6,262
4,906
11,168
11.7
2014
6,249
4,853
11,102
11.8
Total
2015
5,605
5,368
10,973
13.4
2014
5,303
5,598
10,901
14.6
可採年数=確認埋蔵量/当年度の年間生産量
出所:各社の財務諸表より作成
–4–
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表3.米系インディペンデントの業績・見通し
純利益
(百万ドル)
生産量
(千 boe/d)
投資額実績
(百万ドル)
投資額
2015/2014 比
2016 年
投資計画額
(百万ドル)
2016 年
生産増減見通し
ConocoPhillips
2015
2014
-4,428
6,969
Anadarko
2015
2014
-6,692 -1,750
Occidental
2015
2014
-7,829
616
Apache
2015
2014
-23,119 -5,403
1,589
1,540
843
836
597
668
558
654
10,050
17,144
5,600
8,560
5,612
8,720
3,600
9,100
41%減
34%減
36%減
60%減
6,400
(前年比 37%減)
2,700
(前年比 50%減)
2,800-3,000
(前年比 50%減)
1,400-1,800
(前年比 55%減)
3%減-6%減
-
6%減
7%減-11%減
各社発表内容より作成
インディペンデント系企業の2015年実績は、低価格の影響がメジャーに比べてより深刻である。純利
益はいずれも大幅赤字であり、Anadarko と Apache は2年連続の赤字であった。2015 年の投資額(ほぼ
上流投資)も 2014 年比で Anadarko 及び Occidental が約35%の削減、Aapche は当初計画どおり同60%
投資減となった(表3)。
3. 今後の低油価対応
メジャーの低油価環境への基本的な姿勢は、強固なバランスシートを維持することに加えて、これまで
通り配当を維持する姿勢である。そのため、低油価による収入減少に伴って、さらなる上流投資額及び
操業費を削減していくことで、負債比率の引き上げを最小限に抑えつつキャッシュフローの収支均衡を
図ろうとしている。あわせて Shell, BP 及び Chevron は断続的に人員削減にも取り組んでいる。
当初、投資継続の意向を示していた ExxonMobil も、2016 年の投資額を前年比25%減と大幅な削減
に踏み切る。Chevron は、2016 年 3 月の説明ではサービスコスト等の市況変化に連動しつつも、2016 年
の投資規模を前年比2割程度減の 250-280 億ドル水準とし、2017-2018 年のそれはさらに引き下げ
170-220 億ドル規模とすることを示した。
–5–
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表4.メジャーの 2016 年投資計画額
(2016 年 2 月時点)
投資額
ExxonMobil
Shell
BP
Chevron
Total*
投資額(Capital and exploratory Expenditure)は 232 億ドル、2015 年よりも 25%削減の計画。
現下投資環境において Organic Capex 最大 330 億ドル(BG含む)。探鉱削減。
投資額(買収額含まない)は 170-190 億ドルの下限水準(lower end of the range)を見込む。
なお、2017 年も同水準の 170-190 億ドル。
266 億ドル(うち上流投資額 240 億ドル)計画。ただし、1月 29 日に、さらに 13~18%削減見
通しと説明。
2017 年-2018 年投資額は 170-220 億ドル/年。
Organic CAPEX として 190 億ドルで 2015 年より 15%以上の削減。
参考:Organic CAPEX 実績は、2014 年 264 億ドル、2015 年 230 億ドル。
*Total の Organic CAPEX は財務諸表のキャッシュフロー表 Investment(2015 年 280 億ドル、2014 年305 億ドル)と厳密には一致しない。
いずれのメジャー企業も、開発事業のデザインの最適化を図るとともに、コントラクターとの契約額を一
段と引下げるために再入札を実施するなど CAPEX 及び OPEX のコスト削減努力を強力に推進する意向
を示している。
しかしながら、メジャーの生産目標は、当面はほぼ現状維持から増産である。ExxonMobil は現行水準
の 400-420 万 boe/d を 2020 年まで維持する。Chevron は、今後、豪州の GorgonLNG 生産(2016 年 3
月下旬生産開始)及び WheatstoneLNG生産開始, 米国の Jack/St.Malo(メキシコ湾)油田のランプアッ
プ等により、2019 年末までは低油価でも増産する計画である。Total も 2019 年まで年5%の増産目標で
あることを明らかにした。メジャーは、2010 年代末までは、高油価時の投資決定が順次生産移行するた
め、生産拡大していくと見通し。
他方、ConocoPhillipsやEnCana等のいくつかのインディペンデント企業はすでに配当削減を行って低
油価に対応することを表明している。
2016 年のインディペンデント企業の投資額は、メジャーよりも大幅に削減する傾向がみられる。
Anadarko, ConocoPhillips 及び Apache は 2014 年比で 50%減であり、大幅赤字を続ける Apache は2年
前に比べて投資額を4分の1まで縮小させる。
インディペンデント系は、米国以外の投資を手控え、米国シェール事業はニューメキシコ州/テキサス
州のPermian Basinに投資先を集中させ、抜本的な投資縮減策を講じる。これに伴って、企業はシェール
事業を中心に 3%-10%程度の生産減少が予定されている(表3)。
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表5.主な低価格対応
ExxonMobil ・自社株買いの一時停止(柔軟な対応)
・増配の継続
Shell
・Shell, BG で合せて1万人程度のコントラクター含む人員削減を 2015-2016 年に行う。
・2016 年には UAE のガス事業からの撤退、カナダ LNG とナイジェリアLNGの投資決定
( 2 月 15 の延期。
日、BG 統 ・2016 年に 100 億ドルの資産売却を実施する予定。(BG買収に伴って 300 億ドル資産売
合)
却の一環)
・BG統合に伴って 2018 年には、操業費、探鉱費でシナジー効果は 35 億ドル規模。
・2016 年1 月に上流部門を Upstream, Unconventional Resources, Integrated Gas の3ユニ
ットに改組。その後の同2月、Unconventional Resources を廃止し、シェール事業・アラス
カを上流部門に、オイルサンド事業を下流部門に組み入れる再変更を発表。
BP
・2017 年までに、Brent 価格 60 ドルを基準にキャッシュフローを再バランス化させる。さら
に価格低迷が長期化した際には、60 ドル以下でのバランスポイントに修正。
・2016 年も 30-50 億ドルの資産売却を計画。2017 年から通常レベルの 20-30 億ドル規
模に戻す。
・バランスシート負債比率 Gearing については 2015 年 21.6%を今後も維持する。価格低
迷長期化の場合は 20%超。
・上流部門は、2013 年 3 万人雇用を2万人に減らす計画を実施中で、2016 年は 4000 人
程度減らす予定。
・2016 年末までに第3者発注のうち 40%再入札実施。
・配当継続
Chevron
・2017年までに50~100億ドル規模の資産売却を予定。対象候補としてハワイの製油所、
ニュージーランド及び南アフリカの下流資産、メキシコ湾浅海資産及びカナダガス貯蔵
施設等。
・4000 人規模(2016年)のレイオフを実施。
・株主への増配継続
・上流事業では、作業員の 20%削減、サービスコスト削減、事業の効率化。
Total
・2016 年の資産売却は前年と同規模 40 億ドルを計画。2015-2017 年3年間で 100 億ドル
規模を想定。
・2016 年のOPEXは 24 億ドル削減、2017 年は 30 億ドル以上削減を目標。
出所:各社 2015 年第 4 四半期業績発表、2015 年年次報告書、2月-3月開催の年次報告会
4. メジャーの上流投資戦略の方向性
現在、メジャーはこの低油価環境下において、新規の大型案件投資を先送りしており、投資時期を明
確にできない状態にあるといえる。今後2-3年は開発中案件への投資は引き続き行うものの、それ以外
の投資は厳選し実施していくことになる。従って、現下の市場環境においては、全般的には大型投資の
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決定が手控えられ、短期的な投資あるいは既存油田への追加投資といった短期収益・小規模投資を継
続させ、当面は、投資計画を柔軟に修正できるような慎重な投資態勢を取ると予想される。
Shell は、2015 年4月に、急拡大していた BG(英)を買収することを決め、LNG のインテグレーション事
業(開発及びトレーディング)と大水深開発を2本柱とする明確な上流戦略を早々に打ち出した。2016 年
2 月 15 日に買収手続きを完了させ、BG の LNG 開発及び取引契約、ブラジル大水深資産を取り込むこ
とで、Shell の既存ポートフォリオを充実させた。しかし、同社は、2015 年の大型案件の最終投資決定とし
て上流1件(メキシコ湾大水深)、下流1件(カナダ精製事業)のみであり、2016 年については、カナダ、
ナイジェリアでの LNG 大型案件への投資決定を延期すると既に発表した。油価下落後まもなく、明確な
戦略を打ち出し、初めての大型買収で資産拡充・ポートフォリオ強化に踏み切った新生Shellは、油・ガス
価格の低迷とLNG供給過剰といった厳しい投資環境での船出である。4 月には、統合後初の第1四半
期の業績発表を控えており、新たな投資方針や統合に伴う資産整理などの発表が注目される。
2016 年3月にアナリスト向けに投資計画を発表した Chevron は、大型案件を見合わせ、今後の投資方
針として短期的な投資サイクル向けの投資比率を引き上げる方針を示した(表6)。これまで、メキシコ湾
や西アフリカの大水深油田開発や豪州LNGなどの大型開発が立て込み長期サイクルな投資が優先さ
れていたが、今の投資環境ではカザフスタンの Tengiz 油田拡張事業以外を予定せず、主に、既存フィ
ールドへの追加投資やシェール事業などの小規模あるいは短期収益型の投資が主体になる。Chevron
は、2014 年の投資額 400 億ドルから 2017-2018 年には半減以下の 170-220 億ドル規模まで引き下げて
いく中で、ノンコアな資産の整理を実施しながらポートフォリオの合理化を図りつつ、とりあえず大型油田
開発よりも小回りの利く小規模投資で厳しい状況を乗り切ろうとしている。
2016 年投資額を前年比 25%削減すると表明した ExxonMobil は、2016 年 3 月初めに 120 億ドルの債
権発行を行って大規模な資金調達に動いた。現在の低油価・投資削減に関わらずも、強固なバランスシ
ートを維持するメジャーはこうした資源安局面では将来を見据えた開発資産の取得に動くことも予想され
る。
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本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま
れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの
投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責
任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
表6.ExxonMobil と Chevron の 2016 年投資計画のポイント
ExxonMobil
2016 年3月2日 アナリスト向け年次説明会
・一貫操業を最大限に活用し、業界最大の収益性を確保する
・選択的に、投資ポートフォリオを形成していく
・事業実施と投資効率化の推進を行う
・開発デザインの最適化と経済性の改善を図る
・柔軟な機会形成(opportunity set)を行う
・自社株買いを一時停止(柔軟な対応)する
・配当金引き上げを継続する
上流事業においては、確実な生産操業、効率的な開発、高いクオリティ資源の確保である。
これらを一貫性ビジネスと技術リーダーシップによって実行していく。
説明資料より抜粋
Chevron
2016 年3月 8 日 アナリスト向け年次説明会
今後の投資計画について、コミットしている Tengiz 油田の拡張投資(2016 年半ば)以外、経済性の回復が
ない限り新たな大型投資を予定していない。米国シェールや既存生産での追加掘削などショートサイクル
な小規模案件への投資ウエイトを引き上げていく方針。
説明資料より抜粋
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