海外安全対策情報(ポルトガル・2016 年4月) 1 治安情勢及び邦人被害の状況 (1)治安情勢 ア 一般犯罪情勢 政府による暫定発表によれば、当国における 2015 年の犯罪認知件数は、前年 (343,768 件)よりも 1.5%程度増加する反面、凶悪犯罪は同年(19,061 件)よ りも 0.5%程度減少が見込まれている。 近年、犯罪件数は減少傾向であったところ、この度認知件数が増加に転じた 理由として、治安の悪化というより、むしろ警察による警戒検挙活動の強化の ほか、法改正に伴い、動物虐待行為等新たな犯罪の事件化等が挙げられている。 イ スリ犯罪の増加 昨年中、ポルトガルにおけるスリ犯の増加(認知件数は、一昨年対比2倍程 度が見込まれる)に伴い、警察では犯罪抑止対策とともに検挙活動を強力に推 進しており、人々が賑わう繁華街及び路面電車さらには大型ショッピングセン ターにおける注意喚起を呼びかけている。 ウ 空港近辺のタクシー運賃不正請求 昨年中、高額のタクシー運賃を請求したとして警察では 54 人のタクシー運転 手の身柄を拘束した。警察では、タクシーに示されたメーター(参考:荷物の 大きさにより、運賃に別途加算される(1個あたり 1.6 ユーロと規定。))をよ く確認するよう、観光客等に注意喚起をしている。 ※ 報道よれば、本年3月1日に検挙されたタクシー運転手は、8ユーロの 運賃を 21 ユーロとして請求。 (2)最近の邦人関連被害例 1~3月の間、大使館に届けられた邦人の犯罪被害件数は15件。 一般的傾向として、市電(28番)乗降時のスリ被害が急増しており、警察 官による巡回が実施されている。 ア 犯罪手口 すり 9件 置き引き 3件 車上狙い 1件 手口不明 2件 イ 犯行時間帯 ウ 発生曜日 0~6時 1件 月曜日 2件 6~9時 1件 火曜日 1件 9~12 時 0件 水曜日 2件 12~15 時 2件 木曜日 3件 15~18 時 3件 金曜日 5件 18~21 時 4件 土曜日 1件 21~24 時 1件 日曜日 1件 不明 3件 エ 発生場所 リ ス ボ ン 場所 件数 リベルダーデ通り 0件 バイシャ・シアード・アルファマ地区 5件 ベレン地区 0件 市電(28番) 3件 その他交通機関 1件 ホテル内 2件 上記以外 0件 ポルト 3件 オビドス 1件 オ 被害例・対策 ○ リスボン市バイシャ地区を観光していたところ、背負っていたバッグが開 けられており、中から財布等が盗まれていた。 ⇒貴重品を入れたバッグ等は必ず目の届く所(正面)に所持して下さい。 ○ リスボン市内にてリュックサックを背負い、市電28番に乗車した。降車 後、バッグを確認したところ、リュックサックが開いており、中から財布等 が盗まれていた。 ⇒犯人グループは混雑する市電内(特に乗降時)で犯行の機会を狙ってい ます。バッグはしっかり正面に持ってください。特に乗降時の押し合うタイ ミングが危険です。 ○ ホテルのロビー又はレストランでバッグから目を離した隙に、バッグごと 盗まれていた。 ⇒所持品は必ず自分の目が届く範囲で管理をして下さい。 2 報道による凶悪犯罪等の事例(日付は 2016 年) ・武器(拳銃・刃物)を所携のうえ、脅迫する手口が多く認められた。 ・2014 年中、現金輸送車を狙った強盗事件として 17 件が認知されており、近年 減少傾向であったところ、本年は2月のみで4件認知されている。 【リスボン地方】 ○ 1月 20 日午後、リスボン市レステロ地区にあるマンションに拳銃を所持し た男が侵入し、住人の女性を脅してキャッシュカードを奪ったうえ暗証番号 を教えるよう強要した。 ○ 1月 27 日午前、オエイラス市リンダ・ア・ヴェーリャ地区で拳銃を所持し た男が運転中の女性を襲い、キャッシュカードを奪ったうえ暗証番号を教え るよう強要した。 ○ 2月8日未明、リスボン市バイロ・アルト地区で若者集団が通行していた 20 歳代の男性を次々と襲撃し、金品を奪う事件が発生した。 ○ 2月 28 日 14 時ころ、シントラ市ロウレル地区のスーパーにて武装した6 ~7人組が現金輸送車を襲撃して現金を奪った。逃走中の高速道路上にて車 両が運行不能となったため、他の車両を奪うべく同所を通行する車両に対し て発砲、被弾した男性が死亡した。警察ではカスカイス市及びリスボン市に て発生している強盗事件との関連を視野にいれ捜査中。 【北部】 ○ 3月2日、ブラガ市ラマカインス地区にある銀行内のATMで拳銃を所持 した2人組が女性を脅し、400 ユーロの現金引き出しを強要した。 【中部】 ○ 1月4日 12 時 30 分ころ、サンタレン県ゴレガン市内の銀行に拳銃を持っ た男が押し入り、窓口の行員を脅して現金を奪って逃走。同日 15 時 30 分こ ろ、同一とみられる男がレイリア市内の銀行に現れ、現金8千ユーロを強奪。 ○ 2月 22 日3時ころ、アルコバッサ市ベネディッタ地区にある 24 時間営業 カフェに拳銃を持った5人組が押し入り、店内ATMを爆破のうえ現金を奪 った。 3 テロ・爆弾事件発生状況 期間中、ポルトガルにおけるテロ関連動向は把握されなかった。 なお、爆発物容疑の不審物件として警察に通報され、事件性なし(爆発物に あらず)と判明したケースはあった。 4 誘拐事件発生状況 3月 11 日、午後8時ころブラガ市内にて2人組により男性が連れ去られる 事案が発生。債権者とのトラブルに起因するものと見られる。 5 対日感情 良好。 6 日本企業の安全に関する諸問題 期間中、外国籍(日本資本を含む)企業が、脅迫や何らかの事件に巻き込ま れたという事案の発生は報告されていない。
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