投資環境マンスリー - 三菱UFJ投信

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情報提供資料
投資環境マンスリー 2016年4月号
投資環境マンスリー
2016年4月号
経 済 調 査 部
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Ⅰ. 主要国の投資環境見通し
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
①米国
製造業の業況に明るさがみられ景気は良好
②ユーロ圏
③日本
④オーストラリア
⑤中国
⑥為替
ECBのTLTROⅡ – 成功の鍵は銀行が収益拡大ステージに移行できるか
GDP成長率は2期連続マイナスの可能性、安倍政権は財政改革を実現できるか
良好な景気と資源安一服で通貨が底打ち
金融市場安定化に向け、まずは広範な景気回復の動きが確認できるかが鍵
年初からの急速な円高ドル安こそ一服も、円安ドル高方向への戻りは目先限定的か
Ⅱ. 国際金融市場の動向
Contents
①株式
・・・ 13
②金利
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・ 14
③為替
p.1-12
1-2
3-4
5-6
7-8
9-10
11-12
p.13-15
・・・ 15
Ⅲ. 金融・商品市場のパフォーマンス
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
p.16
Ⅳ. 2016年4月の主要な政治・経済日程
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
p.17
巻末の留意事項等を必ずご覧ください。
0
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投資環境マンスリー 2016年4月号
Ⅰ. 主要国の投資環境見通し ①米国: 製造業の業況に明るさがみられ景気は良好
 景気は個人消費が底堅く推移する中、製造業の業況も改善
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2015年10-12月期の実質GDP確定値は前期比年率+1.4%、暖冬の影響で個人
消費が減速したものの、底堅い成長が続きました(図1左)。2月までの個人
消費も、ガソリン安などの効果で自動車販売台数が高水準で、好調を保って
います(図1右)。今後も個人消費が景気をけん引する見込みです。家計は所
得増加に加え、ガソリン安の恩恵を受けている模様です(図2左)。またこれ
までの株高や住宅価格上昇等で家計資産が高水準であるため、年初に生じた
世界的な金融市場の混乱の中でも、家計の景況感は良好な状態を保っていま
す(図2右)。また、米ドル高や資源安の一服で、3月の製造業景況感が著し
く改善(図3左)、新規受注の増加が背景とみられます。米国景気は回復に広
がりがみられ、2%程度の成長がしばらく続くとみています。
 米国株は原油安の一服とFOMCの慎重な利上げで堅調
米国株は2月中旬以降、堅調に推移しています。資源関連以外の業種で増益
見通しが続く中(図3右)、原油価格上昇と緩やかなペースでの利上げ観測が
相場を支えているようです(図4)。原油市場は、今年に入ってからの米国の
減産や4月17日の産油国による増産凍結協議によって、需給改善期待が高まっ
ている模様です。また3月15-16日のFOMC(連邦公開市場委員会)では、世
界景気の不透明感や米国金融市場の不安定さを背景に、2016年の利上げペー
スを1%から0.5%に引き下げています。エネルギー企業を中心とした社債利回
りの上昇に配慮したと思われます(図5左)。エネルギー企業の業績は、
シェールオイルの生産コストが概ね1バレル40-60ドルとみられることもあり、
悪化がしばらく続きそうです。足元では社債のデフォルト率は、低位で金融
機関の信用不安も高まっていませんが(図5右)、しばらく注視が必要です。
足元の為替相場は、米利上げペース引き下げなどで米ドル安に推移してい
ます。しかし、米国景気は、マイナス金利と量的緩和を続ける日本やユーロ
圏に比べて明らかに良好です。また、各種証券の利回り面でも米国は投資先
として魅力的です(図6左)。長期債への投資は、金利上昇リスクがあるもの
の、前回の利上げ局面を振り返ると、他国の国債利回り差の影響で、利上げ
当初の金利上昇は限定的でした(図6右)。米利上げペースの居所が固まるに
つれて、米ドル安は止まる可能性がありそうです。(石井)
巻末の留意事項等を必ずご覧ください。
【図1】 2月までの個人消費は底堅く増加
米国 個人消費と自動車販売台数
米国 実質GDP(前期比年率)
(%)
8
設備投資 住宅投資
6
4
(%)
8
2015年
10-12月期
+1.4%
(確報値)
(万台)
6
<市場予想>
2
実質個人消費支出
(左軸、前期比年率)
4
0
個人消費
-2
政府支出
実質GDP
在庫投資
-4
2012
2016年
1-2月期
1,745万台
1,500
2016年
1-2月期
+2.0 %
1,000
2
500
純輸出
(輸出-輸入)
-6
2010
2,000
自動車販売台数
(右軸、年換算)
2014
2016
0
(年)
2010
2012
2014
(年)
0
2016
注)市場予想は2016年1-3月期~同年10-12月期。Bloomberg調査で2016年3月29日時点。右図は月次データ
の四半期平均値を利用。
出所)米商務省、Bloombergより当社経済調査部作成
【図2】 所得拡大、ガソリン安、純資産増加が個人消費の支え
8
(%)
6
米国 所得とガソリン価格
(前年比)
実質可処分所得
(左軸)
4
米国 家計の資産と景況感
(%)
80
2016年
2月
60
+1.9%
40
200
(1985年
=100)
(%)
7
コンファレンスボード
消費者信頼感指数(左軸)
150
6
100
2
20
50
0
5
0
-2
0
-20
-4
-6
-8
2006
ガソリン価格
(右軸)
2011
4
▲27.1% -40
2016
(年)
家計の純資産
(GDP比、右軸)
-60
1970
1980
1990
2000
2010
(年)
3
注)右図の直近値は家計の純資産が2015年10-12月期、消費者信頼感指数が2016年3月。
出所)米商務省、コンファレンスボード、FRB、Bloombergより当社経済調査部作成
1
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投資環境マンスリー 2016年4月号
【図4】 原油価格の上昇や利上げペースの鈍化で株価反転
【図3】 製造業の業況改善、幅広い業種で増益の見通し
米国 地域別の製造業景況感
M
(%)
50
ニューヨーク
25
フィラデルフィア
13.7 12.7
(米ドル/1バレル)
0
S&P500株価指数
(右軸)
8.6 7.1
3.7 3.5 2.9 1.6
0.8
1,800
2016年
2月11日
1,829.08
0.6
40
0.4
WTI原油先物
(左軸)
▲ 62.5
-75
ダラス
2014
2015
ヘ
ル
ス
ケ
ア
(年)
2016
注)左図の直近値は2016年3月。EPSは2016年3月29日時点で
過去1年の実績と当期予想の変化。
一
般
消
費
財
情
報
技
術
電
気
通
信
サ
ー
ビ
ス
S
&
P
5
0
0
資
本
財
金
融
公
益
事
業
生
活
必
需
品
素
材
エ
ネ
ル
ギ
ー
20
米国 社債利回り(3年BBB格相当)
出所)各地区連銀、Bloombergより当社経済調査部作成
400
エネルギーセクター
5
300
4
200
(%)
米金融機関の
CDSの保証料率
(左軸)
悪化
↑
信用力
↓
改善
投機的格付企業
デフォルト率
(右軸)
93.0bp
2016年
2月
2.4%
全体
1
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
(年)
0
2000
2010
2015
注)左図の直近値は2016年3月25日。右図のCDSはドル建て3年。金融機関のCDSは、JPモルガン・チェース、
CITIグループ、バンク・オブ・アメリカ、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、ウエルス・ファーゴ
の単純平均。
出所)JPモルガン証券、Bloombergより当社経済調査部作成
巻末の留意事項等を必ずご覧ください。
(年)
FF金利先物
の織り込み
2016年
3月29日
0.205%
0.2
1,200 0.0
2016/01
(年/月)
2016/02
2016/03
2016/04
注)WTI原油先物は期近物、FF金利先物は2016年12月限。FOMCの想定はメンバー予測の中央値。
左図の直近値は2016年3月29日。
出所)FRB、Bloombergより当社経済調査部作成
日米10年国債利回りと米政策金利
(%)
6
日本10年国債
▲ 0.08
5
米国10年国債
1.82
米S&P500 (予想配当)
2.25
9
国際機関債 (米ドル、10年)
2.32
6
米S&P500・公益 (予想配当)
3.51
3
米国リート (予想配当)
4.48
18
(%)
利上げ局面→
米国10年国債利回り
4
3
2
1
0
2020
(年)
2005
2016
15
2016年
3月
100
2016/2/11
26.21
日米各種利回り
12
3
2
2016年
3月29日
0.5%
【図6】 低位の日本国債利回りが米国債利回りの上昇を抑制
米国 債務不履行と銀行の信用
(bp)
1,400
2015
【図5】 社債利回り、デフォルト率、銀行信用力が注目材料
(%)
FOMCの想定
1.0
-50
-40
(%)
1,600
-20
6
米国 2016年の利上げ幅予想
2,200 1.2
60
▲ 0.8
-25
↓
悪化
(1941-1943年
=100)
2,000
0
改善
↑
カンザスシティ
80
32.4
リッチモンド
20
米国 株価と原油価格
米国 一株当り利益(EPS、前年比)
40
0
米ドルリスクのヘッジコスト
▲ 0.64
日本10年国債利回り
FF目標金利
-1
2003
2006
2009
2012
2015
(年)
注)直近値は左右いずれも2016年3月29日。
左表はリートがS&P US REIT指数で市場予想値、ヘッジコストが3ヵ月Liborから算出。
出所)Bloombergより当社経済調査部作成
2
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投資環境マンスリー 2016年4月号
②ユーロ圏: ECBのTLTROⅡ – 成功の鍵は銀行が収益拡大ステージに移行できるか
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 ECB(欧州中銀)は予想を上回る金融緩和策を断行
【図1】 ECBは大胆な金融緩和策を講じる
3月10日ECB理事会 追加金融緩和策
3月10日、ECBは大方の予想を上回る規模で追加金融緩和策を講じました(図
1)。1月のECB理事会で金融政策の再評価を次回理事会で実施すると表明してい
ましたので、追加金融緩和の実施自体には驚きは有りませんでしたが、その内容
に市場関係者は驚きました。ドラギECB総裁は、事実上の物価目標(消費者物価
上昇率2.0%(前年比)近傍)に向け、大胆な政策を打って勝負に出た格好です。
もっとも、ECB理事会後のドラギ総裁の記者会見にて、総裁は一段の政策金利
の引き下げ、特に今回マイナス▲0.4%とした中銀預金金利の一段の引き下げには
消極的な姿勢を示し、当面は▲0.4%が下限との見方を示唆しました。この発言を
嫌気し、市場は一旦株安、金利上昇、通貨ユーロの上昇で反応しましたが、今回
の緩和措置の重大さを理解するにつれ、株高、金利低下、ユーロ下落へと転じて
います。今回の措置で特に重要とみられるのは、TLTROⅡ(貸出条件付長期資
金供給:期間4年。初回は2016年6月)です。TLTROⅡは、(条件付ながら)中
銀が金利を付けて銀行に貸出を行う、他に類を見ない史上初の金融緩和策です。
 TLTROⅡ – 壮大な実験
2011年暮れ、欧州債務問題の煽りを受け流動性不足に陥った欧州金融機関(以
下、銀行)を救うため、ECBは翌年3月の2回にかけ総額約€1兆余(ECB総資産の
約40%)もの無条件長期資金供給(LTRO)を実施、危機対応を講じました。
政策
内容
1
政策金利引き下げ
レポ金利を0.0%
(←0.05%)に
2
預金金利引き下げ
預金下限金利(▲0.3%)
金融機関の貸出増加へ期待
引き下げ(▲0.4%)
金融機関コスト増。自国通貨安
政策として国際的批判も
3
貸出金利引き下げ
貸出上限金利(+0.3%)
金融機関の貸出増加へ期待
引き下げ(+0.25%)
銀行のモラルハザード助長も
4
QE月間買入額増額
月€600億の
国債等買取拡大
(月€800億)
5
QE社債等買取
購入対象に
社債等追加
6
TLTROⅡ導入
条件付
長期資金供給
7
QE銘柄購入制限緩和
そして今回、TLTROの貸出条件を緩和(早期償還無)した上、銀行の貸出増
加額に応じより多くの資金をマイナス金利で供給(ECBが金利を支払う)する
TLTROⅡの導入に踏み切りました。TLTROⅡは、銀行の担保提供は残るもマイ
ナス金利での調達を可能とし、TLTROの既借入残高を借り換えできます。銀行
の調達意欲を格段に上げる、ECBにとっても壮大な実験といえる金融緩和策です。
巻末の留意事項等を必ずご覧ください。
デメリット
政策金利は下限か。利下げ断
行は中銀信認失うリスク
長期金利が一段と低下。
期待インフレ上昇
国債の需給逼迫で、入札方式
に移行させる必要性も
社債市場の需給、直間金融比
率の改善も
ECB(各国中銀)はクレジットリス
クを取ることに
マイナス金利での貸出も。銀行 借入れに伴う担保供与で、資産
の貸出インセンティブ強まる
の質が劣化も。
一部銘柄
中銀が購入できる債券の量が
購入限度額
増える
(発行額の50%)を拡大
中央銀行が発行体へ介入
注)TLTROⅡは「Targeted Longer-Term Refinance OperationsⅡ」の略で、金融機関の貸出状況に応じ金利が
決まる条件付長期資金供給を指す。貸出期間は4年で2016年6月より四半期に1度、4回実施。
出所)ECBより当社経済調査部作成
【図2】 TLTROⅡ(マイナス金利で資金供給を受ける)仕組み
過去1年の融資増加ケース(ドイツ)(左)と同融資減少ケース(スペイン)(右)
110.0
(2015年1月=100)
102.5
TLTROⅡ
金利判断基準点
2018年1月
融資増加相当額
(ベンチマーク+2.5%超)
▲0.4%
中銀預金金利を受取
107.5
2014年、ECBは物価目標の達成を目指し新型の資金供給TLTROを導入、延べ
約€4千億を銀行に供給(6回合計。3月24日に第7回、6月に最終回実施)しました。
しかし、このTLTROは低利調達が可能な一方、銀行は貸出増加を強いられる他、
貸出増加が未達となると早期償還する必要があるため、調達に消極的でした。
メリット
アナウンスメント効果
融資額の伸び
(想定)
105.0
100.0
(2015年1月=100)
TLTROⅡ
金利判断基準点
融資額伸び
2018年1月
(実績)
97.5
ベンチマーク
+2.5%
102.5
100.0
融資増加相当額
(ベンチマーク+2.5%超)
▲0.4%
中銀預金金利を受取
ベンチマーク
+2.5%
95.0
ベンチマーク
2016年1月残高
融資額の伸び
(実績)
ベンチマーク相当額
ベンチマーク
2016年1月まで
過去1年の融資
減少率
92.5
0.0%
リファイナンス金利
97.5
ベンチマーク相当額
0.0%
リファイナンス金利
90.0
2015
2016
2017
2018
2019
2020 (年)
2015
2016
2017
2018
2019
2020 (年)
注)上図は国別数字で示したが、実際は個別行で同様の計算が行われる。
出所)ECB、各種資料より当社経済調査部作成
3
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投資環境マンスリー 2016年4月号
【図3】 TLTROⅡは周縁国の金利低下を促す可能性
 ユーロ圏銀行はECBから資金調達し金利を受取ることが可能に
ユーロ圏主要国 融資金利
特に今回の追加金融緩和策で目を引くTLTROⅡ、その最大の目玉は銀行がマ
イナス金利で資金調達できる可能性がある、つまり民間銀行が金利を受取って資
金調達することができる点です。世界の他の中銀を見渡しても、こうした資金供
給オペレーションはみられず、ECBは未踏の領域へ踏み込んだといえましょう。
M
スペイン
(%)
30
6
20
5
イタリア
4
10
イタリア
ドイツ
3
0
フランス
ドイツ
2
フランス
-10
1
スペイン
0
2004
2007
2010
2013
2016
(年)
-20
2004
2007
2010
2013
2016
(年)
注)融資金利はリボルビングローン等を除いた1-5年新規融資。
融資残高は民間部門(除く住宅ローン)の前年比伸び。いずれも直近値は2016年1月。
出所)ECBより当社経済調査部作成
 TLTROⅡのポテンシャルは高いが、銀行は慎重姿勢
【図4】 欧州系銀行は資産再拡大ステージに移行できるか
欧州系 G-SIBs総資産とROEの変化
(2010年から2015年の変化)
10
(縦軸)単位%
ROE
5 【収益性強化】
英RBS
0
米系 G-SIBs総資産とROEの変化
(2010年から2015年の変化)
10
スウェーデン
ノルディア
伊ウニ
仏クレディ
クレディット
アグリコール
(縦軸)単位%
バンクオブ
アメリカ
6
仏ソシエテ
ジェネラル
仏BNP
英バークレーズ
仏BPCE
スイス 西サンタ
英HSBC
UBS ンデール
-5
-10
ドイツ銀行
-20
(横軸)単位億ドル
-10,000
2
米系
G-SIBs8行
平均
BONY
シティ
モルガン
スタンレー
-2
ウェールズ
ファーゴ
ステート JPモルガン
ストリート チェース
ゴールドマン
サックス
英スタンダード
チャータード
-4
0
-6
-4,000
(横軸)単位億ドル
総資産【健全性強化】
総資産【健全性強化】
-25
-15,000
4
0
欧州系
G-SIBs15行
平均
スイス
クレディスイス
※一部米銀は収益
・資産再拡大ステージへ
ROE
8 【収益性強化】
蘭ING
-15
もっとも、TLTROⅡがECBの目論見通り、融資が伸びマネーサプライが増大
することで物価目標を達成できるかは依然不透明です。銀行は民間非金融部門
の資金調達意欲はそれほど大きくないとの見方が強いためです。銀行は規制強
化に伴う規模縮小や事業再構築の真っ只中(図4)で、2016年の収益は低調とな
る見込みです。依然金融政策成否の鍵は銀行にありといえましょう。(徳岡)
40
7
TLTROⅡの仕組みはやや複雑です。まず、今年1月の融資残高を基準として、
各銀行の過去一年の融資額が伸びているか、減少しているかでTLTROⅡの金利
決定方法は2分されます。今年1月までの過去一年の融資残高が増加した銀行は、
今年1月の融資残高をベンチマークとして、以降2018年1月までにベンチマーク
+2.5%以上に残高を伸ばすことで、TLTROⅡで調達した資金の金利を中銀預金金
利、マイナス(現在は▲0.4%)とすることが可能です。一方、過去一年の融資
残高が減少した銀行は、その減少率を割り引いた融資残高をベンチマークとし、
これに+2.5%の融資残高積み上げで調達金利をマイナスとすることができます。
いずれのケースにおいても、融資増加額がベンチマーク+2.5%未満となれば、リ
ファイナンス金利と中銀預金金利の線形補完により金利が決定されます(図2)。
2010年以降本格化した欧州債務問題はユーロ圏各国の信用力格差を浮き彫り
にしました。この格差が民間部門の資金調達金利に色濃く反映し、融資金利が
ユーロ圏各国で大きく異なりました(図3左)。一方で金融政策として物価目標
達成のために金利を操作するのは既にECBに一本化されています。このため、
金融政策と民間融資活動が分断され金融政策の有効性に疑問が生じました(図
3)。現在はこの分断もかなり解消され、各国間の融資金利格差も縮小してきま
したが、今回のTLTROⅡはこの分断を一段と解消させる可能性もありましょう。
相対的に貸出金利が高く、かつTLTROの資金調達額が少ないとみられるイタリ
ア、スペイン等の周縁国の融資活動が活発化する可能性があるためです。
ユーロ圏主要国 融資残高(前年比)
(%)
8
-5,000
5,000
-2,000
0
2,000
4,000
6,000
注) G-SIBs(Global Systemically Important Banks)は、金融システム上、重要な銀行(世界30行。
上記以外は中国4行、日本3行)。右図のBONYは、バンクオブニューヨークメロンの略。
出所)SNL Financialより当社経済調査部作成
巻末の留意事項等を必ずご覧ください。
4
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投資環境マンスリー 2016年4月号
③日本: GDP成長率は2期連続マイナスの可能性、安倍政権は財政改革を実現できるか
M
 足元悪化する日本経済、2期連続マイナス成長の懸念も
【図1】 景気は足踏み、1-3月期は2期連続のマイナス成長も
昨年10-12月期の実質GDP2次速報は前期比年率で▲1.1%となり、景気は足
踏み状態にあります(図1)。しかも、足元の景気は弱さが目立ちます。1-3
月期の生産は大幅減の見込みであり、個人消費にも勢いがみられません(図
2)。2014年4月の消費増税(5%→8%)以降は、需要先食いの反動から個人
消費は低迷しています。小売販売が好調なのは、訪日外国人客の旺盛な消費
が押し上げている事もあり、家計に景気の牽引力はみられません。
今年の春闘による賃金交渉は不発に終わり、安倍政権の目指す企業から家
計への景気の好循環は期待し難くなっています。ここで景気が腰折れすると
基礎的財政収支の黒字化という公約が実現不可となり、7月の参院選へマイ
ナスに響いてくると考えられます(図3)。5月の伊勢志摩サミットに照準を
合わせ、政府は2016年度補正予算で大型経済対策を実施し日銀は追加緩和で
景気を刺激する公算が高まっています。日本株は政策実施を素直に好感する
とみられますが、今回は経済再生により焦点があたると考えられます。
 円安頼みの景気押し上げは限界、需要創出策に期待したい
円安、金融緩和による経済成長や消費増税もあり、財政赤字は一時期より
縮小しました(図4)。一方で高齢化により社会保障費は増加の一途を辿り、
財政改革は先送りの状態です。景気状況を勘案すれば、来年4月の消費増税
実施は難しくなっています。政府は消費増税延期へ舵を切ろうとしています
が、社会保障制度の見直しを先送りし国際的に依然低いと言える消費税率引
き上げまでも先送りすれば、財政再建の遅れは致命的になるでしょう。
量的金融緩和による円安・株高でデフレを脱却し、GDPを拡大するという
経路は限界にきています。先月のG20声明からも財政政策による需要拡大に
重点は移っています。日本の潜在成長率は内閣府推計では0.4%程度まで低
下しています(図5)。主因は労働投入要因のマイナスであり、人口が減少
するなか長期に渡って労働投入が潜在成長率を押し下げる可能性があります。
一方で、日本はサービス業を中心に雇用不足が深刻なのも現実であり、女性
と高齢者の雇用活性化は最優先課題であると言えます(図6)。(向吉)
巻末の留意事項等を必ずご覧ください。
日本 実質GDP(需要項目別寄与度、前期比年率)
(%)
15
(予想)
純輸出
公的需要
実質GDP
10
5
0
-5
在庫投資
2015年10-12月期
実質GDP▲1.1%
(2次速報値)
個人消費
-10
民間住宅投資
-15
民間設備投資
-20
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
(年)
注) 2016年1-3月期から2016年10-12月期までが当社経済調査部の予想値。
出所)内閣府より当社経済調査部作成
【図2】 1-3月期生産は前期比減の公算、個人消費は低迷
(%)
日本 実質GDPと鉱工業生産
日本 小売業販売と個人消費
(
(2010年=100)
35
114
30
112
25
110
小売業販売額
(商業販売)
108
20
15
実質GDP
鉱工業生産
106
104
10
102
5
100
0
98
-5
96
-10
2016年1-3月期予想
-15
消費水準指数
(家計調査)
94
92
-20
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
(年)
注)直近実績値は2015年10-12月期。2016年1-3月期生産は
1・2月実績、3月製造工業生産予測に予測修正率、実
現率を加味した伸び率により算出。
出所)内閣府、経済産業省
90
2012
2013
2014
2015
2016
(年)
注)直近値は2016年1月。グラフは季節調整値。
出所)総務省、経済産業省
5
M
投資環境マンスリー 2016年4月号
【図4】 閉じ始めた一般会計の「ワニの口」、財政改革は必至
【図3】 基礎的財政収支の黒字化は困難、経済再生は可能か?
M
4
2
(%)
日本 基礎的財政収支(名目GDP比)
財政公約①
2015年度までに2010年度
の赤字を半減(▲3.3%)
0
-2
財政公約②
2020年度までに黒字化
2020年度
▲ 1.1%
2015年度
▲ 3.3%
▲ 3.3%
経済再生
ケース
ベースライン
ケース
2020年度
▲ 2.3%
-4
-10
【中長期の経済成長率の想定】
110
2016年 1月 通常国会開催
3月 春闘、企業決算
100
3月 財政健全化目標の達成期限(赤字半減)
90
4月27-28日 日銀金融政策決定会合(展望レポート)
5月18日 2016年1-3月期GDP(1次速報)
80
5月26-27日 伊勢志摩サミット
70
6月5日 沖縄県議会議員選挙
2017年度前半 日銀による物価目標の達成予想
50
2017年 4月 消費税増税(8%→10%)
40
1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025
(年度)
注)2016年1月21日「中長期の経済財政に関する試算」
を利用。国と地方の収支。経済成長率の想定は2015
年度~2020年度平均値。
出所)財務省、内閣府
全要素生産性寄与度
4
3
2
潜在GDP成長率
資本投入寄与度
1
0
労働投入寄与度
-1
(年)
1981-1990 1991-2000 2001-2010
2011注)直近は2015年。
推計および要因分解は内閣府による。
出所)内閣府
巻末の留意事項等を必ずご覧ください。
歳出
16
17 17
15
42.5%
社会保障費
33.1%
8.875
57.6兆円
税収
10
10 10
8.375
34.4
兆円
1990年度
60.1兆円
8
7
5
5
5
0
国債発行額
米
国
日
本
(年度)
ス
ペ
イ
ン
ド
イ
ツ
中
国
韓
国
ポ シ
ー ン
ル ガ
注)日本は2015年9月時点。それ以外は2014年
1月時点。米国の消費税率はニューヨーク
の小売売上税率。 出所) KPMG、財務省
(%)
日本 就業率(15~64歳)
(%)
▲ 60
注)2015年12月日銀短観調査。対象は全規模全産業。
出所)日本銀行
日本 年齢別就業率
(%)
70 74
82
68 72
80
66 70
31
78
64 68
29
76
62 66
27
74
60 64
25
72
58 62
23
70
56 60
21
男性(左軸)
64
1980
35
15~64歳男女(左軸)
33
54 58
女性(右軸)
66
(%ポイント)
(%)
84
68
▲ 40
16
24.4%
【図6】 女性と高齢者の雇用活性化で労働需給逼迫を解消へ
雇用
「不足超」
▲ 20
19
20
注)一般会計ベース。2014年度までは決算、2015年度
は補正後、2016年度は当初予算による。
出所) 財務省
▲ 19
0
2006年
2014年
21
96.7兆円
国債費
1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015
出所)各種報道より当社経済調査部作成
宿泊・飲食サービス
運輸・郵便
建設
対事業所サービス
情報通信
不動産・物品賃貸
食料品
全産業
卸・小売
輸送用機械
木材・木製品
石油・石炭製品
鉄鋼
化学
紙・パルプ
電気・ガス
電気機械
繊維
金属製品
非鉄金属
窯業・土石製品
2016年度
予算
0
2020年 7月24日~8月9日 東京五輪開催
2021年 3月 財政健全化目標の達成期限(黒字化)
日本 雇用人員判断「過剰」-「不足」
日本 潜在成長率(年平均)
5
地方交付税
交付金・
公共事業等
10
2018年 9月 自民党総裁選挙
(自民党の現規定では安倍首相は続投不可)
【図5】 日本の潜在成長率は年々低下、労働者不足が一因
(%)
2016年度予算歳出内訳
20
2018年 4月 黒田日銀総裁の任期満了
-12
主要国の消費税率
(%)
25
30
2018年 3月 岩田・中曽日銀副総裁の任期満了
(点線は内閣府による試算)
日本 歳出・税収・国債発行額
60
※2014年4月の増税と違い、実施を景気次第とする条項は付与されていない。
2014年4月の増税は、2013年10月1日に正式に閣議決定。
2010年度
▲ 6.6%
・経済再生ケース
実質1.7%、名目3.2%
・ベースラインケース
実質1.0%、名目1.9%
120
7月25日 参議院任期満了(2010年当選議員)
-6
-8
(兆円)
日本 主なスケジュール
1990
2000
52 56
2010
(年)
50 54
1980
19
65歳以上男女(右軸)
17
15
1990
2000
2010
(年)
注)直近値は2016年1月。就業率は15歳以上の人口に占める就業者の割合。データは12ヵ月移動平均。
出所)総務省
6
M
投資環境マンスリー 2016年4月号
④オーストラリア: 良好な景気と資源安一服で通貨が底打ち
M
オーストラリア経済は相対的に高成長
2015年10-12月期の実質GDPは前期比年率+2.6%、資源関連の設備投資が減
少する中でも、個人消費や住宅投資をけん引役として、他の先進国に比べて
高めの成長が続いています(図1)。雇用環境は、資源安で鉱業が冴えない一
方で、医療、外食、小売などの非製造業の雇用が増加しています(図2左)。
人口が増加が続く中でも良好な雇用環境が保たれているため、自動車販売や
小売売上高など消費が堅調に推移しています(図2右)。
輸出は、金額でみると資源安で鈍化傾向ですが、数量でみると中国向けを
中心に増加しています。足元に注目すると、主要輸出品目である鉄鉱石の価
格が反転上昇しています(図3左)。ただし、今後の持続性を考えると、主要
輸出先である中国の鉄生産が冴えないため、更なる価格上昇は期待しにくい
と予想されます(図3右)。オーストラリアの景気は、輸出金額に著しい改善
は望めないものの、個人消費、住宅投資、輸出数量の増加に支えられて、先
進国の中では高めの成長が続きそうです。
 オーストラリアドルは景気や利回りの面からの魅力が継続
足元のオーストラリアドルは堅調です(図4左)。相対的な景気の強さや資
源価格の底打ちが背景とみられます。また、市場の追加利下げ観測が後退し
ており、金融政策の面でも通貨安が生じにくい状況になっています(図4右)。
ただし利上げが実施され、通貨が独歩高になる状況には時間を要する見込み
です。消費者物価は、景気や雇用環境が良い中でも賃金上昇圧力は弱く、イ
ンフレ目標の下限で推移しているためです(図5)。仮に雇用環境の改善が強
まり失業率が5%程度に近づけば、賃金上昇が強まる可能性があり、利上げ観
測が予想外に早まる可能性が考えられます。
シドニーなど中心部での住宅価格の高騰は、沈静化の兆しがみられます。
一時、シドニーの住宅価格は前年比+20%程度まで著しく上昇しました(図
6)。これに対して、政府は投資目的の住宅投資を抑制するために、銀行の窓
口規制を強化しました。その結果、住宅ローンは、居住目的の増加が続く一
方、投資目的が減少に転じ、住宅価格の上昇も一服しました。過度に上昇し
た住宅価格の沈静化は、景気の安定要因となりそうです。(石井)
巻末の留意事項等を必ずご覧ください。
【図1】 オーストラリアの実質GDPは、他の先進国対比で良好
オーストラリア 実質GDP (前期比年率)
15 (%)
10
6
2015年10-12月期
実質GDP
民間設備投資
+2.6%
公的需要
実質GDP (前年比)
(%)
オーストラリア
4
純輸出 実質GDP
2
5
0
先進資源国
(カナダ、ノルウェー、
ニュージーランド)
-2
0
-4
-5
個人消費
民間住宅投資 在庫投資
-10
2010
2011
2012
2013
2014
(年)
2015
主要先進国
(米国、日本、ドイツ、英国、
イタリア、フランス)
-6
-8
(年)
2009
2011
2013
2015
注)オーストラリア以外は対象国の平均値。直近値は2015年10-12月期。
出所)Bloombergより当社経済調査部作成
【図2】 雇用はサービス業中心に改善、消費も底堅い動き
オーストラリア 業種別雇用者数
(前年差)
10
オーストラリア 新車販売と小売売上
(万人)
+4
+0
+1
+5
+5
40
(%)
(%)
15
新車販売台数
(左軸)
+6
2016年
2月
+2.3%
20
+2
12
9
0
▲2 ▲1 ▲0
0
2016年
1月
+4.0%
2016年2月
オーストラリア
の雇用増加
+24.0万人
6
-20
-10
3
製
造
業
教
育
・
文
化
公
益
農
林
水
産
鉱
業
金
融
・
保
険
建
設
輸
送
外
食
・
小
売
医
療
小売売上高
(右軸)
-40
2010
2011
2012
2013
2014
2015
(年)
0
2016
注)左図は2016年2月時点。
出所)オーストラリア統計局より当社経済調査部作成
7
M
投資環境マンスリー 2016年4月号
【図4】 資源価格の上昇でオーストラリアドルが堅調に推移
【図3】 資源安の悪影響を資源やサービスの輸出数量増が緩和
(米ドル/トン)
(億豪ドル)
350
M
350
オーストラリアドル
中国 粗鋼生産と景気先行指数
オーストラリア 輸出金額と鉄鉱石価格
50
(1996年=100)
(%)
107
120
(円/
オーストラリアドル)
オーストラリア 国債利回りと政策金利
(米ドル/
オーストラリアドル)
1.1
8
1.0
7
(%)
↑オーストラリアドル高
輸出金額
(左軸)
300
300
250
200
鉄鉱石価格
(右軸)
150
40
250
30
200
20
150
50
-10
0
-20
2008
2011
(年)
2014
100
5
4
0.7
3
90
0.6
2
85
97
対円(左軸)
80
(年)
2016年
3月30日
2.5%
0.8
95
中国・粗鋼生産
(前年比、左軸)
10年国債利回り
6
0.9
2016年
3月30日
0.7671
105
99
0
50
2005
103
10
100
対米ドル(右軸)
↓米ドル高↓円高
110
101
100
0
115
105
中国景気
先行指数
(右軸)
0.5
政策金利
1
86.245
95
75
2005 2006 2008 2009 2011 2012 2014 2015
(年)
2013
注)鉄鉱石価格は中国・青島の輸入価格、2008年4月以前は、オーストラリア中銀の商品価格指数を用いて当社経済調査部
が試算。直近値は、左図の鉄鉱石価格が2016年3月29日、右図の粗鋼生産が同年2月、景気先行指数が2015年12月。
2014
2015
0.4
0
2016
2006
オーストラリア 失業率と賃金
8
(%)
2016年
2月
5.8%
失業率
(左軸)
7
10
5
(%)
4
6
(万ユニット)
2015年
10-12月期
+15.2%
4
2015年
10-12月
+2.2%
3
5
インフレ目標
+2~3%
10
0
-10
1.0
2006
2009
2012
2015
20
2.0
1
2003
居住用
1.5
2
(年) 0
(%)
3.5
2.5
0
2
0
2000
60
40
3
1
(年)
3
4
2
2016
3.0
6
賃金上昇率
(右軸、前年比)
4.0
20
7
5
2014
オーストラリア 住宅ローン承認額
(前年比)
オーストラリア 住宅許可件数と価格
(%)
シドニーの住宅価格
(左軸、前年比)
2015年10-12月期
総合物価 +1.7%
コア物価 +2.1%
8
2012
【図6】 住宅価格の高騰は投資用ローンの抑制で沈静化の動き
30
9
2010
出所)Bloombergより当社経済調査部作成
オーストラリア 消費者物価(前年比)
(%)
2008
注)市場予想は先物市場の織り込みで2016年3月30日時点。
出所)オーストラリア統計局、オーストラリア中銀、中国国家統計局より当社経済調査部作成
【図5】 雇用改善も賃金上昇は弱く、物価上昇圧力は抑制気味
2.0%
政策金利の市場予想
2016年12月 2.08%
-20
投資用
民間住宅・建設許可件数(右軸)
1
2003
2005
2007
2009
2011
2013
(年)
2015
-20
1990
(年)
1995
2000
2005
2010
0.5
2015
-40
2005
2007
2009
2011
2013
2015
(年)
注)直近値は左図の建設許可件数と右図が2016年1月。
出所)オーストラリア中銀、オーストラリア統計局より当社経済調査部作成
巻末の留意事項等を必ずご覧ください。
出所)オーストラリア統計局より当社経済調査部作成
8
M
投資環境マンスリー 2016年4月号
⑤中国: 金融市場安定化に向け、まずは広範な景気回復の動きが確認できるかが鍵
M
 中国金融市場は安定化の兆し、ただし期待先行の感は否めず
人民元相場は昨年11月以降の急速な元安が一服(対米ドル安値を付けた1
月8日から直近3月30日にかけ2.0%上昇)、上海総合指数は1月28日の底値か
ら13.0%上昇と、中国金融市場が落ち着きを取り戻しつつある様子がうかが
えます。米国の利上げペースが和らぐとの見方に加え、中国当局が機動的な
金融・財政政策で景気下支えを図るとの期待感が背景にあると考えられます。
とはいえ、春節休暇が明け、2ヵ月ぶりに公表された中国の主要指標は失
望を誘う内容でした。直近1-2月の鉱工業生産は海外景気低迷もあり製造業
の不振を示唆(図1)、個人消費は小型車取得税減税の効果がみられる自動
車や住宅市場底入れが追い風となった家電・家具などは底堅さを保つ一方、
ここに来て食品高が重石となるなど先行きを楽観視しづらい状況です(図2
左・図3)。一方、1-2月の固定資産投資は、相次ぐ金融緩和や住宅頭金比率
引き下げなどが奏功、住宅中心に底打ちの兆しを見せました(図2右・図4)。
【図1】 製造業底打ちはいまだ確認できず、外需低迷も重石か
中国 米ドル建て輸出額
(12ヵ月累計、前年比)
中国 製造業PMIと鉱工業生産
(ポイント)
業況
拡大
業況
縮小
56
55
54
53
52
51
50
49
48
47
46
(%)
24
22
20
18
16
14
12
49.0
10
8
+5.4%
6
4
(年)
2016
製造業PMI
(国家統計局、左軸)
鉱工業生産
(前年比、右軸)
2010
2012
2014
(%)
35
30
25
20
15
10
5
0
-5
-10
-15
-20
全体<100>
アジア<50>
米国<18>
▲7.3%
EU<16>
2010
2012
2014
2016
(年)
注)左図:鉱工業生産の毎年2月値は1-2月累計ベース。直近値は2016年2月時点。
右図:<>内の値は輸出額全体を100としたときのシェア(2015年)。直近値は2016年2月時点。
出所) 中国国家統計局、中国海関総署より当社経済調査部作成
 不動産市場で見られ始めた景気回復の芽は広がりを見せるか
3月16日に閉幕した全人代(全国人民代表大会)では、2016年の政府目標
を発表、実質GDP(前年比)は+6.5~7.0%と昨年実績の+6.9%程度、また財
政赤字(対GDP比)を昨年▲2.3%から▲3.0%に設定、当局は追加の財政出
動で景気底固めを図る姿勢を見せました。最近の金融市場安定は、当局の政
策が景気浮揚につながるとの期待に支えられた面は否めません。逆に言えば、
今後、景気統計で広範な回復の動きが確認されない場合、当局の政策手腕へ
の疑念や景気先行き不安が再燃、再び市場が不安定化する懸念があります。
国際収支統計では対外負債側の資金流出、特にその他投資(預金・貸出な
ど、借り手の中国側が積極的に米ドルなど外貨建て債務返済に動いた可能性
も)が顕著です(図5)。放置すれば外貨準備減少や元安につながる懸念が
あります(図6)。経済構造改革を進めつつ短期的な景気悪化も回避し資本
流出を食い止められるか、予断を許さない状況が続く見込みです。(瀧澤)
【図2】 勢い欠く個人消費、固定資産投資は底固めの兆しも
(%)
中国 社会消費品小売総額
(前年比)
24
22
20
18
16
14
12
10
8
6
4
(%)
名目
+10.2%
実質
2010
2012
2014
+7.9%
2016
(年)
中国 都市部固定資産投資
(年初来累計、前年比)
40
35
30
25
20
15
10
5
0
-5
うちインフラ関連
全体
+15.7%
+10.2%
うち
インフラ関連除く
2010
2012
2014
+8.7%
2016
(年)
注)左図:毎年2月値は1-2月累計ベース。実質値は消費者物価(総合)で実質化。直近値は2016年2月時点。
右図:インフラ関連は公益・水利・公共施設・交通運輸の合計とした。直近値は2016年2月時点。
出所)中国国家統計局より当社経済調査部作成
巻末の留意事項等を必ずご覧ください。
9
M
投資環境マンスリー 2016年4月号
【図3】 耐久財販売は底堅い、食品高が購買意欲抑制の一因か
M
40
(%)
中国 社会消費品小売総額
(品目別、前年比、3ヵ月移動平均)
30
家電
25
(%)
(%)
16
40
14
35
12
30
8
15
6
10
4
0
2010
+7.3%
2012
2014
2016
全体
20
10
5
総合
+2.3%
0
(年)
(%)
15
2
自動車
25
うち食品
10
20
5
中国 不動産開発投資額
(年初来累計、前年比)
中国 消費者物価(前年比)
家具
35
【図4】 不動産市場の中心を担う住宅市場好転の動きは好材料
2010
2012
2014
2016
(年)
注)左図の実質値は消費者物価で実質化。
直近値は左図が2016年1-2月、右図が2016年2月時点。
+3.0%
うち住宅
0
+1.8%
-5
2010
2012
2014
2016
(年)
中国 住宅販売・新規着工面積
(年初来累計、前年比)
70
60
50
40
30
20
10
0
-10
-20
-30
-40
販売面積
+30.4%
+9.7%
新規着工面積
2010
【図5】 対外負債側では証券・その他投資での資金流出が加速
中国 金融収支
(うち対外資産)
1,000
1,500
1,000
直接投資
資金流入
500
0
-500
-500
資金流出
-1,000
その他投資
-1,500
2004
2007
2010
2013
(年)
2016
(年)
直接投資
2,000
資金流入
資金流出
1,500
証券投資
2004
2007
2010
2013
中国 国際収支
(一部項目は省略)
直接投資
(年)
2016
出所)中国国家外為管理局より当社経済調査部作成
中国 外貨準備高と為替相場
(億米ドル)
3,000
証券投資
2,500
資金流入
2,000
1,000
1,500
500
1,000
0
500
-500
0
-1,000
-500
資金流出
-1,500
その他投資
-1,500
【図6】 外貨準備減少幅は2月に鈍化も、先行きは予断を許さず
2,500
注)金融派生商品・外貨準備項目は省略。
直近値はすべて2015年7-9月期(直接投資のみ同年10-12月期)時点。
巻末の留意事項等を必ずご覧ください。
2016
出所)中国国家統計局より当社経済調査部作成
(億米ドル)
500
証券投資
0
-1,000
中国 金融収支
(うち対外負債)
(億米ドル)
1,500
2014
注)直近値は2016年1-2月時点。
出所)中国国家統計局より当社経済調査部作成
(億米ドル)
2012
経常収支
-1,000
その他投資
-2,000
2004
2007
2010
2013
(年)
2016
-1,500
2004
(元/米ドル)
6
元高
元安
人民元相場
(対米ドル、右軸)
7
8
9
外貨準備高
(前月差、左軸)
2007
2010
10
2013
(年)
2016
注)左図:簡便化のため金融派生商品・外貨準備・誤差脱漏を省略。
直近値は経常収支・直接投資が2015年10-12月期、それ以外が同年7-9月期時点。
右図:直近値は外貨準備高が2016年2月、人民元相場が同年3月時点。
出所)中国国家外為管理局、Bloombergより当社経済調査部作成
10
M
投資環境マンスリー 2016年4月号
⑥為替: 年初からの急速な円高ドル安こそ一服も、円安ドル高方向への戻りは目先限定的か
M
 ドル円相場は一時110円台に、背景にある米ドル高の一服
ドル円相場は、3月17日に一時1米ドル=110円67銭を付けるなど、円高ド
ル安基調にあります(図1)。世界経済低迷が米国にも波及、原油安に伴う
物価押し下げ圧力も重なり、米国の利上げが当初想定よりも緩慢になるとの
思惑が強まったことを受け、米ドル独歩高が一服したことが背景にあります。
他方、米ドル高のスピード調整は同国製造業には朗報といえます。米ドル
高ピッチ減速が顕著となった1月頃を境に製造業景況感の底打ちが確認され
ます(原油価格反発を受け、シェール開発地域の生産動向を表すとされるカ
ンザスシティ・ダラス連銀指数も底固めの兆し)(図2)。2014年半ばから
の米ドル急騰で強まった在庫調整圧力が和らいでいる様子も見られ(図3)、
一時浮上した米国景気への行き過ぎた悲観論は修正されつつあるようです。
足元の世界的株価反発や米ドル指数下げ止まりの動き(ドル円相場は113円
台を回復)などは、米国主導のリスク選好相場回復の兆しとも捉えられます。
 米国利上げ期待回復は容易でなく、120円台回帰は目先困難
近年のドル円相場は、①国際的なリスク選好度(図4左)、②米国の金利
先高観(図4右)の変化に左右されやすい環境にあると思います。しかしな
がら、2月半ば以降は米国株反発にもかかわらず、円安ドル高への動きが鈍
い印象を受けます。FOMC(連邦公開市場委員会)で金利見通し下方修正が
続いているように、②の利上げ期待が萎んでいることが響いている模様です。
もちろん米国景気が再加速すれば、利上げ見通しも上方修正されますが
ハードルは高そうです。2009年半ばに始まった今般の景気拡大、特にFOMC
が重視する雇用の拡大期間はすでに過去平均を大幅に上回り、循環的にペー
スが鈍る局面に移行しても不思議はありません(図5)。実際、一部では雇
用拡大ペースが鈍るとの調査結果もあります(図6)。米国が低迷する世界
経済を支えている現状、FOMCは利上げに慎重にならざるを得ないため、ド
ル円相場の120円台(昨年平均は121円)回帰は目先困難とみます。(瀧澤)
【図1】 2016年1月下旬をピークに米ドル上昇が一服
米ドル指数とドル円相場
(2013年初=100)
135
130
125
120
115
110
105
100
95
90
85
(円/米ドル)
150
2016年1月22日 127.03
(直近高値)
米ドル指数(左軸)
140
米ドル高
130
3月17日
119.94
米ドル安
3月17日 110円67銭
(2016年ザラバ円高値)
ドル円相場(右軸)
2013
2014
2015
120
110
100
90
(年)
2016
80
注)米ドル指数はブルームバーグ・ドル・スポット・インデックス(対主要10通貨)。
指数化は当社経済調査部。直近値は2016年3月29日時点。
出所) Bloombergより当社経済調査部作成
【図2】 年末年始を底に、米国製造業の業況改善の動きも
主要な米国製造業景気指数(公表機関別)
2015年
4月
ニューヨーク連銀
(3月15日)
フィラデルフィア連銀
(3月17日)
マークイットPMI
(3月22日)
リッチモンド連銀
(3月22日)
カンザスシティ連銀
(3月24日)
ダラス連銀
(3月28日)
シカゴ購買部協会
(3月31日)
ISM
(4月1日)
0.57
2016年
5月
6月
2.22 ▲2.05
7月
8月
9月
10月
11月
2月
3月
0.94 ▲12.79 ▲12.86 ▲11.41 ▲10.06 ▲6.21 ▲19.37 ▲16.64
0.62
10.8
8.1
8.1
0.7
3.4
▲3.6
▲5.9
54.1
54.0
53.6
53.8
53.0
53.1
54.1
52.8
▲1
3
7
13
0
▲5
▲1
▲6
▲ 11
▲8
▲7
▲8
▲8
▲3
▲16.0 ▲20.9
▲7.3
▲4.9 ▲16.3 ▲10.3 ▲13.8
12月
▲5.7 ▲10.2
1月
▲3.5
▲2.8
12.4
51.2
52.4
51.3
51.4
▲3
6
2
▲4
22
▲1
▲9
▲9
▲ 12
▲6
▲5.4 ▲21.6 ▲34.6 ▲31.8 ▲13.6
53.4
48.7
49.2
53.7
52.9
47.8
52.6
47.7
42.9
55.6
47.6
---
51.6
53.1
53.1
51.9
51.0
50.0
49.4
48.4
48.0
48.2
49.5
---
注)カッコ内日付は2016年3月値公表(または予定)日。■は上記期間内の最低値。---は未発表。
業況拡大・縮小の境目はマークイットPMI・シカゴ購買部協会・ISMの指数が50、それ以外が0。
出所)米ISM、各地区連銀、シカゴ購買部協会、マークイットより当社経済調査部作成
巻末の留意事項等を必ずご覧ください。
11
M
投資環境マンスリー 2016年4月号
【図3】 米国製造業の在庫調整圧力は足元にかけ緩和
【図4】 米国利上げ期待後退もあり円安ドル高への戻りは鈍い
米国製造業の出荷・在庫バランスと米ドル相場
M
米国株式とドル円相場
(%)
(%)
30
-15
米ドル名目実効相場
(前年比、逆目盛、右軸)
25
20
19,000
-10 米ドル安
0
17,000
5
16,000
5
10 米ドル高
0
15
15,000
-5
20
14,000
米国製造業の出荷・在庫バランス
<=出荷(前年比)-在庫(前年比)>
(左軸)
-10
-15
(年)
35
100
1
No.
A.実質GDP(前期比年率)
2 3
4
5
6 7
(万人)
8
9
10
11
B.非農業部門雇用者数(前月差)
50
0
過去平均
-50
-100
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
1
1950
2 3
1960
4
5
1970
6 7
1980
8
9
1990
10
2000
11
2010
(年)
11
(円/米ドル)
130
ドル円相場(右軸)
125
120
3.0
115
2.5
115
110
ドル円相場(右軸)
2015
2016
(年)
110
2.0
105
1.5
FOMCにおける
2016年末のFF金利見通し
(参加者の中央値、左軸) 0.875%
105
1.0
100
0.5
2014
2015
2016
(年)
100
95
90
注)直近値はNYダウ・ドル円相場が2016年3月29日時点、
FF金利見通しは同年3月15・16日FOMC(連邦公開市場委員会)時点の値。
A.景気拡大期間
45
39
24
106
36
58
12
92
120
73
61
80
ヵ月
ヵ月
ヵ月
ヵ月
ヵ月
ヵ月
ヵ月
ヵ月
ヵ月
ヵ月
ヵ月
ヵ月
2009年7月
~2016年2月
出所)FRB、Bloombergより当社経済調査部作成
【図6】 一部では今後の雇用拡大ピッチ鈍化を示唆する調査も
(雇用増加-減少、%)
B.雇用拡大期間
41
32
22
109
44
57
12
90
117
53
58
72
ヵ月
25
ヵ月
20
ヵ月
15
ヵ月
ヵ月
雇用増
ヵ月
ヵ月
ヵ月
ヵ月
ヵ月
ヵ月
2010年3月
~2016年2月
出所)米商務省、米労働省、NBERより当社経済調査部作成
米国 各種調査における雇用計画 (雇用増加-減少、%)
100
NFIB調査
Manpower調査
(次四半期、左軸) (今後3ヵ月、左軸)
<3ヵ月先行>
<3ヵ月先行>
80
60
10
40
5
20
0
0
-5
ヵ月
注)A.景気拡大期間(第1~11期)はNBER (全米経済研究所)に基づく。B.雇用拡大期間(同)は非農業部門雇用者
数の(各局面での)底値からピークまでの期間とした。右表の第11期は直近2016年2月まで継続していると仮定。
直近値は実質GDPが2015年10-12月期、非農業部門雇用者数が2016年2月時点。
巻末の留意事項等を必ずご覧ください。
3.5
125
2014
【図5】 今般の米国景気・雇用拡大期は過去平均を上回る長さに
米国の景気・雇用循環(1950年以降)
135
130
出所)FRB、米商務省より当社経済調査部作成
(%)
4.0
12,000
注)米ドル名目実効相場はFRB公表のBroad指数(対26通貨)。
直近値は米ドル名目実効相場が2016年3月、出荷・在庫バランスが同年1月時点。
15
10
5
0
-5
-10
-15
140
NYダウ(左軸)
13,000
30
2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016
(%)
120
25
-20
米国金利見通しとドル円相場
(円/米ドル)
18,000
-5
在庫
15
調整圧力
10
低下
上昇
(米ドル)
雇用減
-10
-15
雇用増
-20
-40 雇用減
BRT調査(今後6ヵ月、右軸)
<(図内では)6ヵ月先行>
-20
2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016
-60
(年)
-80
注)Manpower調査は18,000超の雇用主、NFIB(全米独立事業者協会)調査は10,000超の中小企業、
BRT(米経済団体ビジネス・ラウンド・テーブル)調査は約200の企業CEOを対象。
直近値はNFIB(月次)が2016年2月、BRT調査・Manpower調査が2016年1-3月期(四半期)調査時点。
出所)NFIB、Business Roundtable、Manpower社より当社経済調査部作成
12
M
投資環境マンスリー 2016年4月号
Ⅱ.国際金融市場の動向
M
(すべて2005年初=100)
180
日本
140
120
100
80
60
40
20
0
2005
2008
2014
2017 (年)
中国
450
新
興
国
2011
米国
200
180
160
140
120
100
80
60
40
20
0
160
先
進
国
①株式: 世界的に反発基調強まる
150
100
50
0
2008
350
350
300
300
250
250
200
200
150
150
100
100
50
50
0
2014
2017 (年)
インド
450
400
2011
2008
2011
2014
2017 (年)
メキシコ
350
250
200
150
100
50
0
2005
2008
2011
2014
2017 (年)
2011
2014
2017 (年)
2008
2011
2014
2017 (年)
2014
2017 (年)
2014
2017 (年)
トルコ
300
250
400
200
300
150
200
100
100
50
0
2005
2008
2011
2014
2017 (年)
ブラジル
2005
2008
2011
0
2005
2008
2017 (年)
2014
2017 (年)
ポーランド
200
180
160
140
120
100
80
60
40
20
0
2014
2011
2005
2008
2011
南アフリカ
450
400
350
300
250
200
150
100
50
0
2005
2008
2011
2014
2017 (年)
注1)2005年初=100として当社経済調査部が指数化。直近値は2016年3月30日、注2)先進国はMSCI WORLD、新興国はMSCI EMの国別指数に基づく(現地通貨ベース、配当後)。
巻末の留意事項等を必ずご覧ください。
2005
350
500
500
450
400
350
300
250
200
150
100
50
0
300
2008
インドネシア
600
0
2005
2005
オーストラリア
200
180
160
140
120
100
80
60
40
20
0
200
2005
400
ドイツ
250
2005
2008
2011
出所) MSCI、Bloombergより当社経済調査部作成
13
M
投資環境マンスリー 2016年4月号
②金利: FRBの政策金利見通し引き下げ、ECBの追加金融緩和で欧米金利に低下圧力
M
(単位はすべて%)
先
進
国
8
日本
ユーロ圏
8
6
6
6
4
4
4
4
2
2
2
0
0
0
利回り(10年物国債)
2
0
政策金利
-2
2006
2008
2010
2012
2014
2016
中国
18
16
14
12
10
8
6
4
2
0
2006
2008
2010
2012
2008
2014
2016
2006
(年)
2008
2012
2014
2016
2010
2012
2014
2016
8
4
3
0
0
2006
2008
2010
2012
2014
2016
(年)
2008
2012
2014
2016
2010
2012
2014
2008
2010
2012
2014
2016
(年)
2008
2016
2006
(年)
2008
15
12
12
9
9
6
6
3
3
2012
2014
2016
(年)
2010
2012
2014
2016
(年)
2016
(年)
南アフリカ
18
15
2010
トルコ
27
24
21
18
15
12
9
6
3
0
0
2006
2006
(年)
ポーランド
18
9
2010
インドネシア
2006
(年)
12
6
2008
27
24
21
18
15
12
9
6
3
0
16
12
-2
2006
(年)
ブラジル
20
15
2010
インド
18
16
14
12
10
8
6
4
2
0
メキシコ
18
-2
2006
(年)
オーストラリア
8
6
-2
新
興
国
米国
8
0
2006
2008
2010
2012
2014
2016
(年)
2006
2008
2010
2012
2014
注1) 政策金利は、日本:無担保コールレート(翌日物)、米国:FFターゲットレート、ユーロ圏:リファイナンス・レート、オーストラリア:キャッシュレートを使用。中国: 1年もの最優遇銀行貸付金利、インド:RBIレポ金利、
インドネシア:BI金利、トルコ:2010年5月18日まで翌日物借入金利、以降は1週間レポ金利、メキシコ:翌日物金利、ブラジル:SELIC金利誘導目標、ポーランド:2週間物レポ金利、南アフリカ:レポ金利を使用。
注2)国債利回りは、ユーロ圏:ドイツの10年国債利回り、トルコ:2年国債利回り、ブラジル:2年国債利回り、南アフリカ:10年国債利回り(2011年10月5日~2012年6月26日は9年国債で代用)を使用。
注3)直近の米国の政策金利(FF金利誘導目標)は0.25~0.50%だがグラフ上は0.50%で表示、なお、日本では政策目標を無担保コールレート(翌日物)とする措置を2013年4月4日で終了。
注4)直近値は2016年3月30日。注5)一部データの欠損あり。
出所)Bloombergより当社経済調査部作成
巻末の留意事項等を必ずご覧ください。
14
M
投資環境マンスリー 2016年4月号
③為替: 原油価格持ち直しに伴い、資源・新興国通貨は反発基調に
(円/米ドル)
M
70
各国・地域通貨高
米ドル(日本円)安
先
進
国
日本・円
(米ドル/ユーロ)
1.8
80
100
円高
110
各国・地域通貨安
米ドル(日本円)高
中国・人民元
(円/元)
22
6.0
20
18
7.0
16
7.5
14
8.0
12
円安
8.5
(INR/米ドル)
30
インド・ルピー
0.9
1.2
120
0.8
10
(MXN/米ドル)
8
メキシコ・ペソ
3.2
3.0
2.8
2.6
2.4
2.2
2.0
1.8
1.6
1.4
1.2
45
50
55
65
70
10
12
14
16
(BRL/米ドル)
12
1.0
11
1.5
10
2.0
9
2.5
8
3.0
7
ブラジル・レアル
120
100
80
(IDR/米ドル)
インドネシア・ルピア
(円/BRL)
1.5
1.3
10000
12000
0.9
14000
16000
0.7
(PLN/米ドル)
80
1.5
70
2.0
60
2.5
50
3.0
40
3.5
4.0
4.5
6
4.0
20
5
4.5
20
2006 2008 2010 2012 2014 2016 (年)
(TRY/米ドル)
1.0
トルコ・リラ
(円/TRY)
120
1.5
100
2.0
80
2.5
60
3.0
40
3.5
ポーランド・ズロチ
(円/PLN)
60
40
20
2006 2008 2010 2012 2014 2016 (年)
20
2006 2008 2010 2012 2014 2016 (年)
30
30
40
(年)
1.1
50
3.5
0.5
2006 2008 2010 2012 2014 2016
(円/IDR)
8000
60
0.6
2006 2008 2010 2012 2014 2016 (年)
18
2006 2008 2010 2012 2014 2016 (年)
80
6000
2006 2008 2010 2012 2014 2016 (年)
(円/MXN)
100
対日本円
(右軸)
2006 2008 2010 2012 2014 2016 (年)
(円/INR)
35
2006 2008 2010 2012 2014 2016 (年)
(円/豪ドル)
1.0
0.8
60
新
興
国
オーストラリア・ドル
1.1
140
1.0
40
6.5
160
(米ドル/豪ドル)
1.2
1.4
2006 2008 2010 2012 2014 2016 (年)
(元/米ドル)
180
0.7
120
130
5.5
(円/ユーロ)
対米ドル
(左軸)
1.6
90
ユーロ
(ZAR米ドル)
4
南アフリカ・ランド
(円/ZAR)
20
6
18
8
16
10
14
12
12
14
10
16
8
18
6
2006 2008 2010 2012 2014 2016 (年)
注)上段右図:豪ドル=オーストラリアドル。直近値は2016年3月30日。
出所) Bloombergより当社経済調査部作成
巻末の留意事項等を必ずご覧ください。
15
M
投資環境マンスリー 2016年4月号
Ⅲ.金融・商品市場のパフォーマンス
期間別 各資産の投資収益率(%)
M
基準日: 2016年3月30日
現地通貨ベース
1ヵ 月
地域別
株式
業種別
国債
社債
転換社債
3ヵ 月
円換算ベース
1ヵ 月
1年
3ヵ 月
1年
2011年
2012年
2013年
2014年
2015年
2016年
日本
5.0
▲ 12.0
▲ 13.1
5.0
▲ 12.0
▲ 13.1
▲ 18.6
21.8
54.8
9.8
10.3
▲ 12.0
海外先進国
5.7
▲ 1.1
▲ 3.6
7.3
▲ 0.2
▲ 3.2
7.1
▲ 6.9
▲ 9.5
▲ 9.2
30.2
48.8
20.1
▲ 0.8
▲ 5.8
新興国
8.4
3.1
▲ 6.8
12.9
5.7
▲ 11.5
12.6
▲ 1.0
▲ 17.8
▲ 23.4
31.4
19.1
11.9
▲ 14.2
▲ 1.1
素材(景気敏感)
7.4
1.9
▲ 14.4
10.1
4.5
▲ 13.1
9.8
▲ 2.3
▲ 19.5
▲ 24.8
24.6
25.3
9.1
▲ 14.5
▲ 1.3
エネルギー
7.4
4.6
▲ 15.4
9.2
5.6
▲ 15.3
8.9
▲ 1.1
▲ 21.7
▲ 4.5
15.3
40.2
2.7
▲ 21.8
▲ 0.8
IT(情報技術)
8.5
▲ 0.8
2.8
8.9
▲ 0.1
3.5
8.6
▲ 6.8
▲ 2.8
▲ 7.4
26.6
50.7
30.4
5.6
▲ 5.3
ヘルスケア
1.5
▲ 8.3
▲ 9.7
2.7
▲ 7.3
▲ 9.0
2.4
▲ 14.0
▲ 15.4
5.0
31.2
58.5
32.4
7.5
▲ 13.0
日本
1.3
4.6
6.3
1.3
4.6
6.3
2.2
1.8
2.1
4.5
1.2
4.6
海外先進国
0.0
3.5
1.9
2.2
5.0
3.4
2.0
▲ 1.5
▲ 3.0
1.2
19.8
21.7
17.1
▲ 3.4
▲ 1.5
新興国(現地通貨建て)
2.0
3.6
6.8
6.2
6.6
▲ 0.7
6.0
▲ 0.1
▲ 7.1
▲ 5.2
24.1
15.0
13.9
▲ 9.0
▲ 0.0
3.0
4.8
4.0
海外先進国
新興国(米ドル建て)
2.8
▲ 1.9
▲ 2.4
0.8
30.2
16.1
21.2
1.6
▲ 1.7
▲ 0.1
3.2
1.3
6.8
4.9
▲ 1.5
9.4
0.6
3.1
2.9
4.5
3.3
6.9
17.2
▲ 5.7
7.0
0.8
4.5
投資適格
3.5
4.4
1.8
3.2
▲ 2.0
▲ 4.6
▲ 0.7
23.9
21.4
17.0
▲ 3.4
▲ 2.0
ハイイールド
5.0
3.7
▲ 1.0
4.8
▲ 2.8
▲ 7.4
▲ 2.6
32.1
29.3
13.7
▲ 3.8
▲ 2.8
投資適格
新興国
(米ドル建て) ハイイールド
2.3
3.3
1.0
2.1
▲ 3.4
▲ 5.4
0.5
26.0
19.5
19.3
0.2
▲ 3.2
4.6
5.1
5.7
4.4
▲ 1.6
▲ 0.6
▲ 8.7
33.9
21.9
12.9
3.8
▲ 1.4
1.6
▲ 6.3
世界
その他
1ヵ 月
1年
新興国(米ドル建て)
ヘッジ有
その他
債券
3ヵ 月
米ドルベース
先進国
3.9
▲ 1.5
▲ 2.5
4.9
0.2
▲ 0.6
4.7
▲ 6.3
▲ 7.0
▲ 10.4
25.1
38.5
17.6
新興国
3.1
1.7
0.4
4.9
2.2
0.6
4.7
▲ 4.2
▲ 5.9
▲ 17.0
28.6
33.8
15.6
4.3
▲ 4.2
物価連動 先進国
国債
新興国
3.3
4.6
0.5
3.1
▲ 2.2
▲ 5.9
5.5
19.7
16.6
17.8
▲ 4.3
▲ 2.0
10.9
13.8
0.9
10.7
7.1
▲ 5.4
▲ 8.1
30.6
6.3
15.6
▲ 18.8
6.5
先進国
8.5
5.1
2.5
8.3
▲ 1.6
▲ 3.9
▲ 3.4
36.3
24.6
37.1
1.6
▲ 0.4
新興国
9.6
11.2
▲ 9.7
9.3
4.5
▲ 16.1
▲ 13.1
49.5
9.4
22.8
▲ 17.2
4.0
4.0
1.2
▲ 20.4
3.7
▲ 5.6
▲ 26.8
▲ 18.5
11.7
11.9
▲ 3.3
▲ 24.3
▲ 5.9
リート
商品
注)株式は、日本、海外先進国、業種別がMSCI WORLDにおける当該地域・業種別の各指数、新興国がMSCI EM、
債券は、国債(日本、海外先進国、海外先進国ヘッジ有り)、社債(世界)、転換社債がBofA メリルリンチ債券インデックスにおける当該市場の各指数、国債(新興国《現地通貨建て》は
J.P. Morgan GBI - EM Broad、国債(新興国《米ドル建て》、新興国《米ドル建て》ヘッジ有)はJ.P. Morgan EMBI Global Diversified、社債(新興国《米ドル建て、投資適格》) は
J.P. Morgan CEMBI High Grade、社債(新興国《米ドル建て、ハイイールド》) はJ.P. Morgan CEMBI High Yield、物価連動国債(先進国)がバークレイズ世界物価連動国債インデックス、物価連動債(新興国)が
バークレイズ新興市場物価連動国債インデックス、リート(先進国)はS&P先進国REIT指数、 リート(新興国)はS&P新興国REIT指数、商品はブルームバーグ商品指数に基づく。
2015年は2014年末から基準日までの数字。
上記分析は作成時点のものであり、将来の市場環境等を示唆・保証するものではありません。
巻末の留意事項等を必ずご覧ください。
出所)J.P. Morgan、Bloomberg、S&P、MSCI、バークレイズ、BofA メリルリンチより当社経済調査部作成
16
M
投資環境マンスリー 2016年4月号
Ⅳ.2016年4月の主要な政治・経済日程
月
3/28
火
29
M
(日)
(日)
(日)
2月 商業販売統計
2月 労働関連統計
2月 家計調査
1月 S&P/ケース・シラー
住宅価格指数
3月 消費者信頼感指数
(カンファレンス・ボード)
(米)
(米)
2月 個人所得・消費
2月 中古住宅販売仮契約指数
(米)
(豪)
復活祭月曜日(祝日)
(米)
4
(米)
(米)
水
30
(米)
5
2月 製造業新規受注
2月 耐久財新規受注
(日)
(日)
2月 機械受注統計
(伊)
2月 鉱工業生産
(中)
(中)
3月 消費者物価指数
3月 生産者物価指数
18
(米)
25
(日)
(日)
2月 景気動向指数
(米)
(米)
2月 貿易収支
3月 ISM(米供給管理協会)
非製造業景気指数
(米)
FOMC議事録(3/15-16開催分)
(日)
3月 銀行貸出
(米)
(米)
(英)
(英)
3月 輸出入物価指数
3月 月次財政収支
3月 消費者物価指数
3月 生産者物価指数
(日)
(日)
(米)
(米)
(米)
(米)
(豪)
(他)
3月 NAB企業景況感指数
ブラジル 2月 小売売上高
(欧)
(豪)
(独)
4月 ZEW景況感指数
26
3月 新築住宅販売件数
(独)
4月 ifo景況感指数
(豪)
アンザック・デー(祝日)
(米)
3月 マネーストック
3月 企業物価指数
2月 企業売上高・在庫
3月 小売売上高
3月 生産者物価
ベージュブック
(地区連銀経済報告)
2月 鉱工業生産
4月 消費者信頼感指数
3月 貿易統計
(米)
3月 中古住宅販売件数
27
2月 S&P/ケース・シラー住宅価格指数
4月 消費者信頼感指数
(カンファレンス・ボード)
連邦公開市場委員会(FOMC)
(~27日)
3月 消費者物価(速報)
10-12月期 実質GDP(確報)
(他)
(中)
ブラジル 2月 鉱工業生産
3月 製造業PMI(国家統計局)
(日)
(日)
(米)
(米)
(米)
(米)
(独)
(英)
(米)
3月 中古住宅販売仮契約指数
5月 GfK消費者信頼感指数
1-3月期 実質GDP(1次速報)
(日)
(日)
(日)
2月 経常収支
3月 消費者態度指数
3月 景気ウォッチャー
(米)
(仏)
(英)
2月 卸売売上高
2月 鉱工業生産
2月 鉱工業生産
(他)
ブラジル 3月消費者物価(IPCA)
15
(米)
3月 消費者物価
(豪)
3月 雇用統計
(日)
2月 製造工業 稼働率指数
(米)
(米)
(米)
3月 鉱工業生産
4月 ニューヨーク連銀景気指数
4月 ミシガン大学
消費者信頼感指数(速報)
(中)
(中)
1-3月期 実質GDP
3月 鉱工業生産
22
(日)
(米)
4月 フィラデルフィア連銀景気指数
(欧)
欧州中央銀行(ECB)理事会
(日)
(日)
(日)
(日)
(日)
(日)
(日)
日銀短観(3月調査)
3月 新車登録台数
2月 建設支出
3月 雇用統計
3月 ISM(米供給管理協会)
製造業景気指数
3月 ミシガン大学
消費者信頼感指数(確報)
3月 新車販売台数
2月 消費者信用残高
28
日銀金融政策決定会合(~28日)
(米)
発表日未定経済指標など
8
21
(日)
(日)
(米)
(米)
(欧)
(英)
14
20
3月 住宅着工・許可件数
3月 シカゴ購買部協会景気指数
2月 鉱工業生産
13
(米)
(米)
7
2月 毎月勤労統計
3月 企業向けサービス価格
(米)
3月 ADP雇用統計
(日)
19
4月 全米住宅建築業協会
(NAHB)住宅市場指数
2月 鉱工業生産
6
12
金
4/1
(米)
(独)
11
木
31
2月 第3次産業活動指数
29
黒田日銀総裁定例記者会見
経済・物価情勢の展望
(基本的見解)
3月 鉱工業生産
3月 商業販売統計
3月 家計調査
3月 労働関連統計
3月 消費者物価指数(全国)
4月 消費者物価指数(東京都)
(米)
(米)
(欧)
(欧)
(仏)
(他)
(米)
4月 シカゴ購買部協会景気指数
4月 ミシガン大学
消費者信頼感指数(確報)
1-3月期 実質GDP(1次速報)
4月 消費者物価(速報)
1-3月期 実質GDP(1次速報)
ブラジル 3月 失業率
1-3月期 実質GDP(1次速報)
注)(日)は日本、(米)は米国、(欧)はユーロ圏、(英)は英国、(独)はドイツ、(仏)はフランス、(伊)はイタリア、(豪)はオーストラリア、(中)は中国、を指します。
日程は変更になる可能性があります。
巻末の留意事項等を必ずご覧ください。
出所)Bloomberg等より当社経済調査部作成
17
M
投資環境マンスリー 2016年4月号
留意事項
◎投資信託に係るリスクについて
投資信託は、主に国内外の株式や公社債等の値動きのある証券を投資対象としているため、当該資産の市場における取引価格の変動や
為替の変動等により基準価額が変動します。したがって、投資者のみなさまの投資元金が保証されているものではなく、基準価額の下落
により損失を被り、投資元金を割り込むことがあります。運用により信託財産に生じた損益はすべて投資者のみなさまに帰属します。
投資信託は預貯金と異なります。また、投資信託は、個別の投資信託毎に投資対象資産の種類や投資制限、取引市場、投資対象国等が
異なることから、リスクの内容や性質が異なりますので、ご投資にあたっては投資信託説明書(交付目論見書)、目論見書補完書面等を
よくご覧ください。
M
◎投資信託に係る費用について
ご投資いただくお客さまには以下の費用をご負担いただきます。
■購入時(ファンドによっては換金時)に直接ご負担いただく費用
・購入時(換金時)手数料 … 上限 3.24%(税込)
※一部のファンドについては、
購入時(換金時)手数料額(上限 37,800円(税込))を定めているものがあります。
■購入時・換金時に直接ご負担いただく費用
・信託財産留保額 … ファンドにより変動するものがあるため、事前に金額もしくはその上限額またはこれらの計算
方法を表示することができません。
■投資信託の保有期間中に間接的にご負担いただく費用
・運用管理費用(信託報酬) … 上限 年3.348%(税込)
※一部のファンドについては、運用実績に応じて成功報酬をご負担いただく場合があります。
■その他の費用・手数料
上記以外に保有期間等に応じてご負担いただく費用があります。投資信託説明書(交付目論見書)、目論見書補完
書面等でご確認ください。
※その他の費用・手数料については、運用状況等により変動するものであり、事前に金額もしくはその上限額ま
たはこれらの計算方法を表示することができません。
お客さまにご負担いただく費用の合計額もしくはその上限額またはこれらの計算方法は、購入金額や保有期間等に
応じて異なりますので、表示することができません。
《ご注意》
上記に記載しているリスクや費用項目につきましては、一般的な投資信託を想定しております。費用の料率につきましては、三菱UFJ
国際投信が運用するすべての公募投資信託のうち、ご負担いただくそれぞれの費用における最高の料率を記載しております。投資信託に
係るリスクや費用は、それぞれの投資信託により異なりますので、ご投資をされる際には、事前によく投資信託説明書(交付目論見書)、
目論見書補完書面等をご覧ください。
各資産のリスク
◎株式の投資に係る価格変動リスク
:株式への投資には価格変動リスクを伴います。一般に、株式の価格は個々の企業の
活動や業績、市場・経済の状況等を反映して変動するため、株式の価格の下落により損失を被り、投資元金を割り込むことがあります。
◎公社債の投資に係る価格変動リスク
:公社債への投資には価格変動リスクを伴います。一般に、公社債の価格は市場金
利の変動等を受けて変動するため、公社債の価格の下落により損失を被り、投資元金を割り込むことがあります。
◎REIT(不動産投資信託証券、以下REIT)の投資に係る価格変動リスク
:REITへの投資には価
格変動リスクを伴います。一般にREITの価格は保有不動産等の価値やそこから得られる収益の増減等により変動するため、REIT
の価格の下落により損失を被り、投資元金を割り込むことがあります。
◎オルタナティブ(代替投資手段、以下オルタナティブ)の投資に係る価格変動リスク
:オルタナティブ
への投資には価格変動リスクを伴います。オルタナティブは各種有価証券、商品、ならびに関連する派生商品(デリバティブ)等に投資
するため、各種有価証券、商品、ならびに関連する派生商品(デリバティブ)の価格の変動により損失を被り、投資元金を割り込むこと
があります。
◎信用リスク
:信用リスクとは、有価証券等の発行者や取引先等の経営・財務状況が悪化した場合またはそれが予想された場合も
しくはこれらに関する外部評価の悪化があった場合等に、当該有価証券等の価格が下落することやその価値がなくなること、または利払
いや償還金の支払いが滞る等の債務が不履行となること等をいいます。この場合、有価証券等の価格の下落により損失を被り、投資元金
を割り込むことがあります。
◎カントリーリスク
:新興国への投資は、先進国への投資を行う場合に比べ、投資対象国におけるクーデターや重大な政治体制
の変更、資産凍結を含む重大な規制の導入、政府のデフォルト等の発生による影響を受けることにより、市場・信用・流動性の各リスク
が大きくなる可能性があります。この場合、有価証券等の価格の下落により損失を被り、投資元金を割り込む可能性が高まることがあり
ます。
本資料に関してご留意頂きたい事項
■本資料は、投資環境等に関する情報提供のために三菱UFJ国際投信が作成した資料であり、金融商品取引法に基づく開示資料ではあり
ません。本資料は投資勧誘を目的とするものではありません。
■投資信託は、預金等や保険契約とは異なり、預金保険機構、保険契約者保護機構の保護の対象ではありません。銀行等の登録金融機関
でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の補償の対象ではありません。
■投資信託は、販売会社がお申込みの取扱いを行い委託会社が運用を行います。
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◎流動性リスク
:有価証券等を売却あるいは取得しようとする際に、市場に十分な需要や供給がない場合や取引規制等により十
分な流動性の下での取引を行えない場合または取引が不可能となる場合、市場実勢から期待される価格より不利な価格での取引となる可
能性があります。この場合、有価証券等の価格の下落により損失を被り、投資元金を割り込むことがあります。
国内株式・国内債券への投資は上記のリスクを伴います。海外株式・海外債券への投資は上記リスクに加えて以下の為替変動リスクを伴
います。
◎為替変動リスク
:海外の株式や公社債、REIT、オルタナティブ資産は外貨建資産ですので、為替変動の影響を受けます。
そのため、為替相場が円高方向に進んだ場合には、投資元金を割り込むことがあります。
新興国への投資は上記リスクに加えて以下のカントリーリスクを伴います。
巻末の留意事項等を必ずご覧ください。
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