地域医療のための公衆衛生シリーズ 第2回 地域保健と医療 2015.7.14更新 表1 行政の流れ 1.一般衛生行政(家庭・地域社会の生活) [内容] 保健医療従事者関係: 業務、免許 保健行政: 疾病予防活動、健康増進活動 医療行政: 医療制度、医療機関の統轄、薬事関係 環境衛生行政: 人の健康をとりまく環境 [流れ] 国(厚生労働省)→都道府県(衛生主管部局→保健所)→市町村(衛生主管部署→保健センターなど) 2.産業保健行政 [内容] 職場の環境: 労働条件、女子・年少者保護 職場の安全衛生: 安心して働ける快適な職場 労働衛生行政: 事業所の健康管理、産業保健に関する監督指導 [流れ] 国(厚生労働省労働基準局→都道府県労働局→労働基準監督署) 3.環境保全行政 [内容] 公害: 大気汚染、水質汚染、土壌汚染、騒音、震動、地盤沈下 地球環境: 地球温暖化、酸性雨、オゾン層破壊、砂漠化 [流れ] 国(環境省)→都道府県(環境保全担当部局→保健所)→市町村(環境保全担当部署) 4.学校保健行政 [内容] 保健教育: 保健学習、保健指導 保健管理: 健康診断、健康相談、環境管理、感染症予防 学校安全: 安全教育、安全管理 学校体育: 保健体育、クラブ活動 学校給食: 食事の理解、食料生産・流通・消費の理解、豊かな学校生活、栄養改善 [流れ]国(文部科学省)→都道府県(公立学校:教育委員会学校保健主管課、私立学校:私立学校担当課) →市町村(学校保健担当部署) 表2 保健所の必須事業 地域保健に関する思想の普及、向上 地域保健に係わる統計 栄養改善と食品衛生 環境衛生(住宅、水道、下水道、廃棄物処理、清掃、その他) 医事、薬事 保健師 公共医療事業の向上、増進 母性、乳幼児、老人の保健 歯科保健 精神保健 長期療養を必要とする者の保健 伝染病、その他の疾病予防 衛生上の試験・検査 その他(住民の健康保持、増進) 表3 保健所の任意事業、保健所の援助 保健所の任意事業 地域保健に関する情報収集、整理、活用 地域保健に関する調査研究 疾病の治療(歯科疾患、その他厚生労働大臣が指定 するもの) 試験・検査の施設利用 保健所の援助(都道府県が設置する保健所の任務) 市町村相互の連絡調整、技術的助言、教育・研修 表4 市町村保健センターの設置数 と運営の基本方針 設置数 2650か所(2012.11現在) 運営の基本方針 地域保健に関する計画、実践 健康相談、保健指導、健康診査など 保健福祉の総合機能 老人介護支援センター、社会福祉施設との連携 総合相談窓口、保健婦・ホームヘルパーの活動拠点 専門職能団体、医療機関との連携 健康づくり推進協議会設置、医師会、歯科医師会などの協力 身近な保健サービス 精神障害者の社会復帰、老人認知症対策、歯科保健対策など 表5 市町村保健センターの意義と事業の概要 意義 市町村レベルの健康づくり活動を効率的に実施するための拠点 住民の自主的な保健活動の場 市町村が設置、国が施設・設備費の補助 事業の概要 老人保健 特定健康診査、特定保健指導 健康増進 健康手帳の交付、健康教育、健康相談、 がん検診、 歯周疾患検診、骨粗鬆症検診、肝炎ウイルス検診、 機能訓練 母子保健 妊産婦・乳幼児保健指導、母子保健訪問指導、 健康診査(乳幼児、1歳6か月児、3歳児) 予防接種 結核予防 乳幼児(ツ反応、BCG接種)、住民検診 表6 病院、診療所、助産所の定義 病院、診療所、助産所 病院、診療所: 医師、歯科医師が公衆または特定多数人のために医業また は歯科医業を行う場所 病院: 20人以上の入院施設 診療所: 19人以下の入院施設または入院施設なし 助産所: 助産師が公衆または特定多数人のためにその業務を行う場所 (10人未満の入所施設) 地域医療支援病院(都道府県知事の承認) 200人以上の入院施設 紹介患者への医療提供、他の医療従事者に施設・設備の利用体制(診療、研 究、研修) 救急医療 地域の医療従事者の資質向上 特定機能病院(厚生労働大臣の承認) 400人以上の入院施設、10以上の診療科 高度医療提供能力 高度医療技術の開発・評価能力 高度医療の研修能力 通常の病院以上の人員確保 表7 医療計画の単位(医療圏) 一次医療圏: 市町村ごと(プライマリー・ケア) 通常の外来診療、治療、健康管理、紹介など 初期医療(一次医療)を担う施設 二次医療圏: 日常生活圏ごと344(2013.4) 一般の医療需要(入院医療)、特殊外来医療 病院の病床整備の基本単位 広域市町村単位(保健所所轄区域を考慮) 三次医療圏: 都道府県ごと(北海道のみ6か所) 特殊な医療、先進的・高度専門医療、特殊医療機器の整備 表8 医療計画に掲げる事項 生活習慣病、医療確保に必要な事業の目標と医療連携体制 医療機能に関する情報提供 生活習慣病、その他の必要疾患に対する治療、予防事業 救急医療等の確保 救急医療 災害時医療 へき地医療 周産期医療 小児医療 その他必要と認める医療 居宅医療の確保 医療従事者の確保 医療安全の確保 地域医療支援病院、その他の医療供給施設の整備目標 医療圏の設定(二次医療圏、三次医療圏) 基準病床数の設定 表9 基準病床数に関する概要 二次医療圏ごとに一般病床と療養病床の基準数を定める。精神病 床、結核病床、感染症病床は都道府県単位。(5年ごとに見直し) 地域の病床整備目標、過剰病床の抑制の性格 基準病床数は二次医療圏内の人口、入院率、圏域内外の患者の流 出・流入を考慮して算定 病床過剰圏では、病院の開設、病床の増設を制限 都道府県知事は開設、増床、病床種別の変更について勧告 2013.4現在の病床整備状況 – 療養病床+一般病床: 18万5千床の過剰 – 精神病床: 3万床の過剰 – 結核病床: 2千4百床の過剰 表10 救急医療 初期救急医療機関 (休日夜間急患センター在宅当番医) [市町村が整備] 外来診療ですむ軽症患者 二次救急医療機関 (中規模救急病院、輪番制当番病院、共同利用病院) [二次医療圏ごとに整備] 入院治療を必要とする重症患者 三次救急医療機関 (救命救急センター、高度救急救命センター) [都道府県単位で整備] 複数診療科領域の重症患者 表11 へき地医療 へき地保健医療対策 へき地住民の治療、健康増進、疾病予防、リハビリテーション などを一体化した医療の確保のために、医療水準の向上、 医師確保、無医地区解消を目的とした対策 医療計画 → へき地医療の確保 無医地区 中心的な場所(例:役場)から平均4キロの区域内に50人以 上の人が居住し、容易に医療機関を利用することができない 地域(年々減少1966年:2920か所、2009年:705か所) へき地医療拠点病院 無医地区を対象に巡回診療、医師派遣、代診医派遣などの へき地医療活動を継続的に実施する病院 (都道府県知事が指定)
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