平成27年2月19日 函館財務事務所 ◆世界の「離島」である日本。その “30年後の姿” が、現在の離島にあるといわれている。 ◆離島では、過疎化や少子高齢化が全国を上回るスピードで進んでおり、地域経済の衰退が危惧されている。 ◆奥尻町は、この難題解決のため、企業や町民等と連携し「観光基盤強化」、「奥尻ブランド商標化・特産品販売の強化」を柱とした 「2つの礎事業」を展開。“交流人口の増大”と“奥尻のブランド化”がもたらす資金循環により、地域の活性化を目指している。 ①スポーツイベントの誘致 ①6次産業化推進及び高付加価値商品の開発 ・沖縄県伊平屋島で20回の実績がある「ムーンライトマラソン」(夕方から 夜間にかけて行うマラソン)を誘致し、「第1回奥尻ムーンライトマラソン (26.6.14)」を開催 →誘致に際しては、奥尻町が伊平屋村に商標使用料(ロイヤリティ)を 支払い、運営ノウハウ等を享受 【地域成功事例の水平展開】 ・農林水産業と観光業の連携強化 →離島最北限の米で「奥尻米」としてブランド化(土産として販売) →アワビ狩りなど地域資源の活用と体験型観光の商品化 ・第1回奥尻ムーンライトマラソン(参加者約500名)の経済波及効果は、およそ1,400万円 →参加者の大半が島外客であり、宿泊費や土産品売上等が“直接効果”となっている。 また、参加料に前夜祭(6/13)・後夜祭(6/14)の食事代を含めることで、後泊に加えて 前泊の誘因となるほか、ウニ・アワビ等の提供も可能となり、 特産品のPRにも繋がっている ※第2回奥尻ムーンライトマラソンは、27.6.27開催決定 ②観光人材の育成 ・奥尻高校の課外授業について、講師の斡旋・調整及びアドバイス →将来の奥尻町を担う観光人材育成のため、企業経営者を招き、 ビジネスの成功の秘訣などについて授業を実施 ③防災教育プログラム・視察プログラムの受入体制強化及びその有料化 ②チーム奥尻の立上げ及び企業連携商品の開発・販売 ・奥尻島の“島外応援団”として、行政・観光協会・企業等を主体 とした「チーム奥尻(約50名)」を設立 →多様な主体が関与することによって、奥尻町だけでは気づき にくい部分についてアドバイスを享受 →奥尻高校デザインビーチサンダル、日本ハムファイターズとの コラボレーション商品等の開発・販売 ③奥尻島観光協会のミニ商社機能構築 ・観光協会が窓口となり、絵葉書等の商品をインターネットで販売 →販売チャネルとしてネットの重要性が広まり、事業者独自で ネット販売を始める動きもみられる ④奥尻ブランドロゴマークの商標化 ・奥尻島の特産品にロゴマークを付けることによって、他商品との 差別化を図り、顧客獲得につなげる ・北海道南西沖地震からの復興防災対策を活用した教育旅行の受入れ →防災ロールプレイ(避難訓練・救難救護訓練)のほかに、「見る」(津波館等 の見学)、「聞く」(震災体験談)、「話す」(島民・島の文化とのふれあい)、 「食す」(炊き出し体験)などのプログラムを実施(約2,000名が参加) ・島民がガイドとなり、北海道南西沖地震で甚大な被害を受けた青苗岬を 巡る「防災フットパス・津波語り部隊」を有料(500円/人)にて実施 →これまでに、全国の自治体、議会、研究機関、報道機関等から約1,000名が視察。 有料化により観光財源の確保につながっている ・青苗小学校、宮津小学校に木質バイオマスボイラを導入 【財政融資資金(※)の活用】 →教育旅行の行程に組み入れるなど、“エコアイランド”として島外からの視察者を受入れ (※)函館財務事務所は、管内地方公共団体が、学校、病院、道路等の建設や上・下水道、廃棄物 処理施設等を整備するために必要とする場合に「財政融資資金」(国が国債の一種である財投債を 発行して調達した資金)の融資を実施している ④観光協会及び観光施設の情報発信力強化 ・島内宿泊施設等のホームページ(HP)保有率向上のため、観光協会が作成を支援 →宿泊施設の約8割がHPを保有。情報発信力・商品販売力を強化につながっている 今後の課題 ①冬季観光商品の開発 ・冬季(11~3月)は観光の目玉となるものが少なく、観光客の入込は 夏季(6~8月)の4分の1程度となっている →冬季の奥尻島の魅力(温泉、アワビなどの特産品、 国の天然記念物であるオオワシの観察など)を 巡る観光メニューを企画(27.1月) ②観光収入の安定化 ・ふるさと納税の取組みを強化し、観光予算に充当 →5,000円以上の納税を対象に特産品を送付。クレジットカード決済の開始や 奥尻町ホームページのふるさと納税コーナーをリニューアルした結果、 26年度は前年の3倍程度の税収増を実現 →北海道初の入島税(法定外目的税)導入を検討
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