053-473-6222

2015 年 7 月 第 63 号
遠州大念仏
「ふるさとのかるた」浜松より でんでんむしの会
相談電話
LINHA da VIDA HAMAMATSU
053-473-6222
日∼火・祝
水∼土
第 2・4 土曜日
外 国 語 相 談 080-3068-0333(softbank)
( ポルトガル語 ) 053-474-0333
10 : 00∼21 : 30
10 : 00∼24 : 00
24 時間
毎週金曜日 19:30∼21:30
Terças e sextas-feiras das 19:30 às 21:30
ccccccccccccccccccccccccccccccccccccccccccccccccccc
巻頭文 浜松「いのちの電話」に関わって 2∼3
市民公開講座開催報告………………………… 5
相談員の窓………………………………… 3 お知らせ………………………………………… 6
シリーズ「心の裏にも耳を傾ける」…… 4
ccccccccccccccccccccccccccccccccccccccccccccccccccc
1
浜松「いのちの電話」に関わって
浜松いのちの電話 前理事
前・遠州教会牧師 小林 眞
言 う ま で も な く、「い の ち の 電 話」相 談 は、
責任が加わり、出張が多く、理事会にも出席でき
1953 年にロンドンで始まった。きっかけは、キ
なくなった。その時のK事務局長が、県からの指
リスト教牧師で、カウンセラーでもあったチャッ
摘で「欠席の多い理事には辞めてもらったらどう
ド・バラー氏が、受けた相談の中で、身体の成長
か」と言われたと聞いたが、「聖書からの問い掛
の変化を病気と誤解し、生きていけないと判断し
けで始まったボランティア(奉仕)」の故に、交
て自ら生命を絶ってしまった少女の痛みを正しく
替する牧師が居ない間、形だけでも牧師として加
受け止められなかったことを反省し、これ以上、
わっている意味もあるだろうと続けてきた。
相談相手もなく自ら生命を断つ人を出さないため
正直なところ、事務局や相談員の方々の日常業
に「サマリタンズ…良きサマリア人」という組織
務は、報告では聞いているが、何かの折りに事務
を作ったことによる。
所に行って垣間見る程度で、すべてを十分に知っ
「良きサマリア人」とは、聖書にあるイエス・
ているとは言い難い。
キリストご自身が語られた例え話の一つ。即ち、
けれども、この運動の必要性は十分に分かって
追い剥ぎ強盗に襲われ、半殺しにされた旅人(ユ
いるつもりである。なぜなら、教会にもさまざま
ダヤ人)の側を何人かのユダヤ人が、見て見ぬふ
な理由で、人生に関する質問や、どう生きれば良
りをして通って行った。けれども、傷ついた旅人
いかなど、真夜中にも電話がかかってくることが
を手当てして助け、宿屋まで運んだのは、ユダヤ
あり、実際上、いのちの電話相談員と同じような
人が蔑んでいるサマリア人だったという内容。
ことをせざるを得ないからである。時には、いの
勿論、傷ついた旅人を見たにも拘わらず、通り
ちの電話に相談して意見を聞いたけれども、教会
過ぎたのは、それなりの理由があった。つまり、
にも相談して決めたい、という二股をかけた電話
今の私たちも、周りにおられる様々な弱さにある
も何回か寄せられた。それだけ、切実さがあるの
人、傷ついた人を見た時、「お世話をしたいが、
だろう。けれども牧師は楽なのである。理由は、
今は自分のことで精一杯。出来るときになったら
明確にキリスト教の立場から、聖書から答えれば
お手伝いします…」と考えることが多い中で、隣
良いからである。しかし、いのちの電話の相談員
人の弱さなどを、聞くことを通して、少しでも今
はそうではない。
の自分のことと受け止め、共に生きようとするこ
そんな中で、いま願っていることは、特に相談
とをキリストが求めたと理解し「サマリタンズ」
員の数と姿勢の充実である。
が組織されたのである。
前者の数のことは、すぐお分かりの通り、常に
浜松「いのちの電話」に関わって 30 年近くなっ
24 時間体制…「眠らぬダイヤル」…を実施して
た。途中で、遠州教会の牧師だけでなく、多くの
頂きたいと願っていること、そして、相談員がゆ
2
とりを持って働きをして頂きたいからである。
準に答えるのか」が問われるように考えている。
後者の姿勢の充実は、ボランティアとして、世
そしてそれは「独りよがりの我(が)」であっ
のため・人のためにという心は大切で尊いもので
てはならないし、余りに常識過ぎても失望される
あることは言うまでもない。しかし相談員は、時
かもしれない。かと言って、宗教的真理を以て答
折り街の中で見られるような早朝の道路掃除など
えることや、自分の人生観を押しつけることも慎
の具体的奉仕ではなく、見えない相手は、相談員
まねばならないであろう。そう考えると、相談員
と同じ「人」である。しかも、楽しい相手でなく、
は如何に大きな責任を担っていることかと改めて
多種の悩み・苦しみを抱えた人である。
感じざるをえない。
それ故、相談員の方々は長い期間の訓練を受け
けれども、この働きに使命を感じられた相談員
る。それは「聞くことを通して関係を造る訓練」や、
の方々が、受けた訓練を基礎とし、経験を積まれ
「相手の課題に没頭しないための訓練」など多岐
ることによって、自分の人生観を大切にしながら
にわたるはず。つまり、プロ的なカウンセラーに
尚、前面に出すことなく、柔軟に対応することに
なるためのテクニックを身につけて相談者に対応
よって、相手が自分と同じ「人」であることを自
するのであるが、私は、相談内容に流されないた
然に考えながら関係を造ることができるのではな
めにも、自分の人生観をきちんと持つことが、一
いかと思うのである。
番重要であるように思っている。それは相談員は、
いのちの電話に課せられた期待とつとめは大き
聞くことがまず中心になることは当然であるが、
い。皆さんの働きが、これまで以上に個人に、社
聞いて受け入れるだけでなく、常に明確な答を求
会に用いられることを、少し離れた埼玉の地から
められることもあるだろうが、その時に「何を基
願っている。
相談員の窓
相談員がどんな思いで活動を続けているのか、シリーズで紹介しています。
思い起こせば随分前になる。「いのちの電話」の
壁にぶつかったとき、仲間が悩みを聞いてくれ、
ことは新聞等で知っており興味はあったが、当時、
雪どけのように心が楽になった。くじけそうになっ
義母の介護で参加できる状態ではなかった自分に
たとき、仲間の一声がどんなに力になり嬉しかった
とって遠い存在だった。義母が入院することになり、
ことか。人との心の交流が、よみがえる力になるす
「始めても何時やめることになるかわからない」と
ばらしさを感じている。電話をとっているのは自分
思いながら、一歩を踏み出すつもりで研修に参加し
だけではない。自分のできる範囲でかかわって、後は
た。研修の行き帰りに義母を見舞ったことも懐かし
仲間に託せばよいと考えるようになり気が楽になった。
く思い出される。
心、人に興味があり、さまざまな悲しさや悔しさ、
電話をとるようになり、おこがましくも相談者に
社会と共に生きたい思いを聴かせていただき、十人
よい解決策をと熱がこもるあまり口数が多くなって
十色の人生を理解することを学ばせていただいた。
いた。解決策を示すのではなく、心を理解すること
自分自身の社会観が広がり、少しは成長させていた
が本意であることに気付き、相談者の心の裏側に寄
だいたと感じている。
り添って共感できるよう自然体で聞くように努力し
家族の協力に感謝し、また、仲間のことを尊敬し
た。聞いていく内に自分が共感しやすい人、共感し
ている。一人の力は微力だが、仲間の力で大きく貢
にくい人がいることに気づいた。対話していると、
献していると信じている。健康に気をつけて続けて
こんなに軽い気持ちになったのは初めてと言われる
いきたい。気がつけば「いのちの電話」は私の人生
こともあれば、怒られてやめてしまおうかと考える
の大きな部分を支えてくれている。すばらしい仲間
こともあった。うまく聞けなかったと恥ずかしく思
と、今、この人生を生きていることに感謝する。
うことは多々ある。
S.H.(女性 ボランティア歴 25 年)
3
「心の裏にも耳を傾ける」
2.本音をわかりやすく伝える能力
聖隷三方原病院 カウンセリング外来 臨床心理士
浜松いのちの電話 研修委員
岡田 光夫
私たちの心の中には、自分を観察したり操作する「騎
反射的に怒りを感じてしまいます。
手」の立場の自分と、「馬」の立場の自分がいて、手綱
研修の浅い相談員の場合、怒りをそのまま怒りで返
さばきがとても大切です。騎手のコントロールが「強す
してしまうという応答も、望ましくはありませんが、起っ
ぎる」と、馬の自分は萎縮して、生き生きしたところ
てしまいがちなのが現実です。その場合はその相談員
もなくなってしまいます。また、コントロールが「弱す
の「本音の変換能力」も、そのかけ手の方と同じ段階
ぎる」と、勝手な動きが多くなり、統制がとれなくなっ
でしかないのです。上級生や大人だと「やんわり」と
てしまいます。
返せるはずでも、子ども同士だと喧嘩になってしまう
いのちの電話の相談員が、聴くのが難しく長期の研修
のと同じです。
が必要な難しいかけ手には、この手綱が強すぎたり弱
本音の変換が難しい段階のかけ手にとっては、怒り
すぎたりすることが関係していることも多くあります。
で返されると「仕返し」としか感じられず、ご自分の中
公的な場面では的確に動けて、その直後に幼馴染みに
で消化して行くことが難しく、いのちの電話で仕返しさ
出会うとスッと子供時代の自分に戻れて打ち解けられ
れたことも、また周りの誰かにぶつけて八つ当たりを
るなど、緊張したりリラックスしたりが、場面や状況に
繰り返すだけになってしまいます。
あわせて、自由に調節できるような「柔軟性」がある
難しいことなので長い研修が必要なのですが、怒り
ことが健康さです。
をぶつけられて感じた反射的な自分の怒りを、相手の
コントロールが強すぎると、自分の感情や身体の感
苦しさや悲しさの「理解」という形に相談員自身の心
覚などが感じられなくなり、ロボットやコンピューター
の中で変換できて、「毒の部分を取り除いて」から相手
のように「考え」だけになります。お腹が空いている
に返すということができたとしたら、相手の方もご自
のか、楽しいのか、疲れているのか、寒いのかもわか
分の「感情の扱い方」を少しだけでも学ぶことができ
らなくなります。神経質で人にも馴染みにくく、考え方
ます。
も硬くなります。電話相談でも、頭だけで考えてしまっ
電話をかけてきた方も「感情の扱い方」を学べると
て、堂々巡りになりやすくなってしまいます。
いうことは、その前に相談員が自分の「感情の扱い方」
逆にコントロールが弱すぎると、計画性・努力・我
を学び、身につけておく必要があるのです。しかし、こ
慢が少なくなり、感覚や感情は過敏で豊かになり「情
れは単純な応答パターンのテクニックでできるようなこ
緒が不安定」になります。相談電話の中でも、些細な
とではありません。
ことで怒りだしたり、妙に人懐っこく馴れ馴れしく、ま
私たち自身が、私たちの感情や感覚・気持ちと、客
だ聞いていないことでも、その方のことをこちらがす
観的な説明能力とを有機的に連動できた上で、私たち
でに知っているかのように喋って来られる方もおられま
の思いを伝わりやすいように説明できるようにならな
す。礼儀や社会性には欠けてはいますが、自分の感情
ければならないのです。
をそのまま生きておられて、余分な「防衛」がなく、
自分が感じている曖昧なさまざまな思いにまず気づ
本音だけを生きているともいえます。
く必要があります。そしてその気づいたものを、組み立
ただ、自分の本音や苦しさを、相手にわかりやすく伝
てて、どういう表現が伝わりやすいかを考えることも
わるように、客観的に説明に変換していくことが難しい
必要です。そういう能力を身につけていくということは
のです。こういう方はときに、剥き出しの感情をその
たやすいことではなく、どうしても長い研修期間が必
ままぶつけて来られることもあります。研修を受けて
要になってしまうのです。
いても、こちらも人間ですので、怒りをぶつけられると、
4
浜松いのちの電話主催の「市民公開講演会」が開催されました。
多様な講師陣で、老若男女、さまざまな市民の方にご聴講いただき、いのちの電話の活
動を知っていただくよい機会となりました。聴講した相談員が講演の一端をご紹介します。
「家族の食事の考え方と作り方」∼食育はなぜ大切なのか∼
講師 土井善晴氏
料理研究家 おいしいもの研究所代表
平成 26 年 12 月 13 日 静岡新聞社プレスタワー 17 階ホール 聴講者 176 名
「テレビで見るより男前。」会場から、そんな言葉が聞こえてきた。眼鏡をかけた土
井善晴さんは、テレビで拝見する以上にダンディーだった。和食が世界無形文化遺産
に登録されて以来、関心が高まる昨今、和食に関する専門的でわかりやすい話が、大
変興味深く、やさしい語り口が心地よく響いた。
「心に響くいのちの言葉」
講師 葉祥明氏
絵本作家 画家 詩人
平成 27 年 1 月 12 日 静岡新聞社プレスタワー 17 階ホール 聴講者 198 名
痛みも苦しみもつまずきも悲しみもすべて必要なこと。傷つくこと、失うこと、敗
れること、奪われること、それらを通して私たちは学び、成長する。そして「全て神
様におまかせします」という言葉と心あたたまる映像は、とても大きな癒しと慰めを
与えてくれました。
「自分に無理をさせない生き方」∼「今のあなた」で大丈夫!∼
講師 香山リカ氏
精神科医 立教大学現代心理学部教授
平成 27 年 2 月 1 日 浜松市勤労会館 U ホール 聴講者 346 名
大変な状況下では、慌てず、結論を棚上げにすること。そんな状況下でも、嬉しい
ことを見つけ、ささやかな幸せに気づいたら大げさに喜ぶこと等、生きるうえでのヒ
ントを頂きました。また、
「いのちの相談員」は、お金以上に喜びを大切にする人たちで、
それは、電話のかけ手に「価値ある心の栄養」をもたらしていると言われ、勇気をも
らいました。
「こころが軽くなる気分転換のコツ」
∼認知行動療法を活用したこころのエクササイズ∼
講師 大野裕氏
国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター長
平成 27 年 4 月 18 日 静岡新聞社プレスタワー 17 階ホール 聴講者 250 名
認知行動療法ってむずかしいことでなく、いつも私たちがやっていること、たとえ
ば、今日は忙しかったからコーヒーを飲んでのんびり、昨夜は遅くなったから今夜早
く寝て。もっと重く感じたら、自分を責めない。今、私はストレスを受けているんだ、
と気づくこと。誰かに話す、そして忘れることも大事。
講演会終了後、第 31 期電話相談ボランティア募集説明会を同時開催しました。興味深く話を聞いてくださり資料
を持ち帰る多くの方々がいらっしゃいました。
5
あなたも相談員になりませんか
第 31 期電話相談ボランティア募集
人生の途上で、色々な人がさまざまな悩みを抱えて
皆さんの応募を
ひとりで苦しんでいます。その支えになって下さい。
申込締切
お待ちしています。
2015 年 7 月 31 日(金)
募 集 人 数 35 名
対 象 年齢 20 歳∼ 67 歳(経験・学歴不問)
募集説明会を開きます
お問い合わせは浜松いのちの電話事務局まで
TEL 053-471-9715
(月∼金 10 時∼19 時
土 10 時∼16 時)
浜松いのちの電話 検 索
場 所 アクトシティ楽器博物館研修交流センター 6F61研修室
事 務 局 日 誌
ご支援ありがとうございます。
赤い羽根共同募金街頭キャンペーン
30期 開講式
相談員全体研修会(浜松市の中学生は、今)
中央犯罪者連絡協議会
自殺対策官民連携ブロック会議(名古屋)
静岡県電話相談機関連絡協議会研修会
いのちの電話東海ブロック研修会(静岡)
相談員全体研修会(自殺予防と危機介入)
研修スタッフ研修(PCAGIP)
相談員全体研修会(自殺予防フリーダイヤルへ
の理解と対応)
相談員募集説明会(磐田、浜松市中区、浜北区)
今まで本誌に掲載させていただいていた資金ボラ
10/1
7
18
27
11/13
1/28
31
2/21
2/28・3/1
4/25
5/16・23・30
日 時 2015 年 7 月 18 日(土)
午前の部 10:00∼、午後の部 13:00∼
ンティア、寄付、協力者のお名前は事業報告に掲載さ
せていただいております。
赤い羽根共同募金会より交付金と
して140万円をいただきました。
有効活用させていただきます。
ありがとうございました。
第29期 電話相談員認定式
若い世代への相談の呼びかけを目的として共同募
4月12日、1年半の養成研修を終え、新たに電話
金会の「使途選択募金」に参加しました。
相談員となった4人と在住外国人向けポルトガル語の
1 月から 3 月にかけて 57 件 250,053 円が寄せら
相談員2人が認定されました。息の長い活躍を期待し
れました。ご協力、ありがとうございました。
ています。
フリーダイヤル
募 金 を 活 用 し て、
今年も市内の中学生
コ コ ロ
0120-738-556
に電話カードを配布
予定です。
毎月10日 8:00∼翌 8:00(24 時間・無料)
ナビダイヤル
編集後記
コ コ ロ
表紙の遠州大念仏は遠州地方の郷土芸能です。初盆を
0570-783-556
迎えた家から依頼されると、その家を訪れて庭先で大念
毎日 10:00∼22:00
仏が行われます。笛、太鼓、鉦の音でにぎやかな念仏を
(通話可能なセンターに順次おつなぎします。有料)
社会福祉法人
浜松いのちの電話事務局
聞くと遠州の夏の始まりを感じます。 Y.I.
浜松郵便局私書箱 125 号 TEL(053)471-9715
FAX(053)543 9020
発行人 • 福永博文 編集 • 広報委員会
http://www.jona.or.jp/∼wbs60252/
6