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中学校武道
■シリーズ■
全日本銃剣道連盟
年度まで、残念ながら総合
学習を除いては保健体育の授業として銃剣道の採用実現には至
て、残念ながら、平成 年度まで
平成 年度から完全実施された
中学校保健体育の武道授業におい
9
○○○○○○
8
(教本p
○○○○○○
〜)
複数種目での採択だが、神奈川県
内の中学校において、銃剣道授業
7
が実施される運びとなった。
終わりに
当 連 盟 で は、 銃 剣 道 採 択 に 備
え、本誌7月号にて紹介させてい
ただいた銃剣道が採択されるため
6道連盟の取組」)のほか、平
銃剣
の取組(鈴木健「特別寄稿 銃剣
道を中学校武道授業に――全日本
銃剣道の授業が行われた事例はな
成
から(公財)日本武道館と
少年林
寺拳法の有用性
い。埼玉県の中学校にて、総合学
習として銃剣道の体験授業が行わ
授業実践を通して
の 共 催 で 中 学 校 武 道 授 業( 銃 剣
業内容についての研究に取り組ん
――
道)指
導法研究事業において、授
る。
でい
5る。
れているのみというのが現状であ
しかしながら、平成 年度から
少林寺拳法の
有用性
銃剣道は、過去、授業での実践
例がなく、中学校での部活動実施
仰ぎ、実際の中学生に対する模擬
葉県勝浦市内の中学校のご協力を
在は、新たな研究者とともに、千
さらなる認知・理解を求めたい。
物の形で出版する。銃剣道授業の
剣道指導の手引」を本年
う形をとっていた「中学校授業銃
4
もなかったことから、同研究事業
授業を実施して、指導法の研究を
月に書
初年度(平成 年)は、高等学校
今後に対する期待
現在中学校教員となっている者を
めて過去に銃剣道を行っており、
道府県連盟を通じ、少年時代を含
ことが急務となった。そこで各都
り多くの研究者に参加してもらう
る指導法の研究が必要となり、よ
同研究事業を実施していく過程
で、授業内容の一つひとつに対す
業内容を確立していった。
しく学ばせるかを念頭に置き、授
をいかに飽きさせずに、安全に楽
究事業では、この単純な動きの技
ると非常に単純である。よって研
銃剣道は、突き技のみで行う武
道であるため、技の動きだけを見
始めた。
るかの内容を確立させることから
施。授業で何を行い、何を学ばせ
研究員として参加してもらい実
で部活動指導を行っている教員を
道を採択しやすい環境・方法につ
事業では、実際の学校現場で銃剣
できるようになった。指導法研究
たちから見た中学校の状況を把握
また、中学校教員を研究員に入
れたことで、学校現場にいる教員
り入れた。
中学校体育教員の意見を参考に取
果がある。この指導法は、実際の
を視覚的により解りやすくする効
で相手の木銃のどこを打ち払うか
ることで、自分の木銃のどの部分
払うようにさせる。このようにす
の「赤色」のテープの位置を打ち
色」のテープの位置で相手の木銃
の 打 ち 払 い 技 の 学 習 で は、 木 銃
が 挙 げ ら れ る。 例 え ば、 応 じ 技
指導法の特徴の一つに、視覚的
効果を存分に取り入れていること
行っている。
れているが、各地域での銃剣道採
本誌7月号の当連盟副会長兼専
務理事・鈴木健の特別寄稿でも触
⑴銃剣道に関する理解と認識
の課題を具体的に述べてみたい。
い。
武道
現他 状でも共通の検討事項で
項、また採択に向けての課題は多
中学校保健体育授業において、
1道を行うにあたっての検討事
銃剣
道の採択しやすい環境を整えた。
る。
校側
対学 策の負担を軽減し、銃剣
必要本数を贈呈することにしてい
授業で使用する銃剣道の木銃に
3ては、実施校には当連盟から
関し
調査。そして、銃剣道の経験のあ
いても検討している。
に 様 々 な 色 の テ ー プ を 巻 き、
「赤
る中学校教諭、経験はないが銃剣
択 の た め の 交 渉 に お い て、「 銃 剣
あるかと思うが、銃剣道において
課 題
2
道を知っているという中学校教諭
道 そ の も の を ま ず 知 ら な い 」「 現
を新たに研究員として加えた。現
104
4
今後に対する期待
課 題
1
現 状
年度、複数種目の一
っていない。そのような中で迎えた平成
00
10
取組を行ってきた。しかし、平成
げ、関係団体のご指導・ご支援・ご協力を仰ぎながら、様々な
学校保健体育の授業に銃剣道が採用されることを悲願として掲
中学校の保健体育授業において、武道必修化が平成 年度よ
り 完 全 実 施 さ れ、 本 年 で 3 年 が 経 っ た。 当 連 盟 で は、 こ の 中
公益社団法人 中学校武道授業の現状と課題、その対策 銃剣道
2
対 策
授業の充3実に向けて 粳
○○○○○○
10
さらに、今年度からの銃剣道授
業実施に向け、これまで資料とい
22
2015.9 月刊「武道」
24
24
つではあるが、銃剣道の採択が実現される運びとなった。
27
本稿執筆時は銃剣道授業実施前であるため、今回は銃剣道採
択に備えた当連盟の取組及び授業内容研究の現状、また、学校
26
27
22
26
現場からみた銃剣道採択の課題とその対策を述べてみたい。
中学校武道授業(銃剣道)指導法研究事業の模擬授業
木銃にテープを巻き、視覚的効果を取り入れた
月刊「武道」 2015.9
105
中学校武道 授業の充実に向けて粳
シリーズ
どである。国体種目となり、高等
今日まで普及してきた例がほとん
域の道場等で子供たちを育成し、
てきている。
い」という報告が主として上がっ
いることを学校関係者が知らな
校保健体育授業の選択肢に入って
ジを持っている」
「銃剣道が中学
代武道というよりも戦前のイメー
ようになった例がほとんどであ
活動などを通して銃剣道に携わる
専攻であり、教員になってから部
現在、銃剣道に携わる体育教員
は、元々他武道もしくは他種目の
る。
教員数の少ない現状に直結してい
い。それが銃剣道経験のある体育
行っている体育大学は極めて少な
れるであろう。中でも、銃剣道を
が少ないことが理由として挙げら
これは、銃剣道を行っている大学
先して考慮している。一方、当連
用具(防具)を装着しない授業
の中で指導する技は、安全面を優
がいる。
の授業を混同してとらえている者
の中には、平素身についている選
部指導者となりうる地域の指導者
術面で補佐するものであるが、外
学校の授業において、外部指導
者は、銃剣道授業を行う教員を技
で複数確保しなければならない。
者を、不測の事態に備え、各地域
学習指導要領解説保健体育編に
学ぶこととしている。これは、新
め 技 」、 2 学 年 時 は「 応 じ 技 」 を
銃剣道の授業での技術的な学習
内容は、大まかに1学年時は「攻
⑷授業内容での課題
る。
修会等で理解してもらう必要があ
このような安全に配慮した授業
用の指導内容を地域指導者にも研
ど、受ける側の身体に木銃が触れ
は後方に下がりながら受けるな
なく、銃剣道という武道が学校関
られる。しかし、外部指導者とな
員不足を補えることになると考え
術指導の負担軽減につながり、教
銃剣道において、外部指導者の
活用は銃剣道経験がない教員の技
⑶外部指導者の確保と育成
ていない生徒たちである。その生
心者であり、手の内も出来上がっ
校授業の受講者は、ほとんどが初
止めで突くように示している。学
かずに受け、仕方(突く方)は寸
示す形は、打方(受ける方)は動
あ る。 例 え ば、 当 連 盟 が 教 則 で
に授業用の指導とは異なる部分が
は、間合いや技の出し方、受け方
ろ 」「 難 し か っ た と こ ろ 」 を 感 想
中学生に「わかりやすかったとこ
での模擬授業において、参加した
践例がないため、指導法研究事業
にしている。銃剣道では授業の実
などの攻防を展開すること」を基
技を用いて突いたり受けたりする
応じた基本動作から、基本となる
の「技能」の内容「相手の動きに
示される第1学年及び第2学年
ないように配慮している。
学校では、徐々に部活動として銃
る。将来に向け、体育大学での銃
盟が教則で示している銃剣道の技
係者にも浸透していない。
9る地域指導者の確保が課題と
りう
徒たちに、教則で示す形の指導を
として具体的に記してもらい参考
手を養成するための指導と、学校
剣道を取り入れている学校が増え
剣道の普及も必要になってくる。
部活動での活動誘致も含めて、
中学校、各地の教育機関に対し、
なっている。
行えば、
怪我をする可能性は高い。
銃剣道は、過去の歴史から見る
と学校関係との関わりが薄い。地
てきた。しかし、中学校において
銃剣道自体の認知度をもっと高め
の授
は、
日の日中に行
○校○
○業○
○平○
学
われるため、武道授業を行う一定
は、部活動で行っている学校は少
⑵教員の不足と養成
期間、外部指導者は学校に通うこ
(教本p
○○○○○○
8
開き、相手の突きに対し受ける側
過去3回行った模擬授業の中で
2学年時に行う「応じ技」の左の
を合
6わせ、打ち払われる側が払い
るため、突いてくる相手との呼吸
くる木銃を打ち払うという技であ
などの機会を設けてもらい、学校
剣道体験教室」や「銃剣道の演武」
現在も各地で行っているが、ま
ずは、学校や地域の行事等で「銃
⑴銃剣道に関する理解と認識
域学習」での銃剣道授業から保健
らった。この意見も参考にし、「地
あるかもしれない」との助言をも
せるというアプローチは可能性が
してもらい、
総合学習の時間で『地
4ところでもある。
たい
り、銃剣道を通して学んでもらい
が武道を学ぶ上で重要なことであ
る。同研修会に参加した中学校教
道指導者研修会」を実施してい
また、平成 年度から(公財)
日本武道館との共催で「全国銃剣
続的に行っていきたい。
活動を地道に諦めずに段階的・継
ことを謙虚に受け止め、これらの
要がある。銃剣道の認知度が低い
と等を説明し、理解してもらう必
単純で習得しやすい武道であるこ
に行える武道であること、動きが
間形成であること、銃剣道は安全
剣道の目的は他の武道と同様に人
ができる武道種目であること、銃
いかなければならない。将来教員
学への銃剣道参入にも力を入れて
大学生に対する普及、特に体育大
体感してほしいと考える。また、
そして一人でも多くの教員に銃
剣道を体験、授業の内容を理解し
への参加呼び掛けをしてもらう。
学校の体育科教員に対し、研修会
がある他教科の教員には、自身の
呼びかけるとともに、銃剣道経験
銃剣道指導者研修会」への参加を
銃剣道未経験の中学校体育教員
に対し、関係機関を通して「全国
⑵教員の不足と養成
対 策
106
2015.9 月刊「武道」
ていかなければならない。
教員の不足は他武道においても
挙がる課題であるが、銃剣道も例
とが可能でなければならない。そ
にしている。
外ではない。他武道と比べ銃剣道
の時間的条件を満たした地域指導
そこで、授業での指導では、礼
をする時点から相手との間合いを
経験者または銃剣道に係わる教員
〜)
数は、高等学校を含めて少ない。
○○○○○○
7
立している。銃剣道連盟会員の多
やすいように突き出してあげなけ
関係者に銃剣道を見てもらうこと
体育授業の採択への可能性も検討
の対策を図っていきたい。
ればならないなど、相手のことを
が第一である。その上で、中学校
していきたい。
払い突きが特に難しいとの感想が
実が践
しなて
思いや
る授
気業
持ち
おを
互通
いに
いと
――
保健体育における武道授業の種目
くを占める自衛隊員を学校へ派遣
成功しない技である。短時間の模
として、銃剣道も履修させること
5
今年度より始まる実際の授業で
の実
例も
まえ
、今
この部
今践後
に踏対
すてる
期後待
員より「中学校は外部の団体と協
を目指す学生たちが銃剣道を経験
と少
は難
しい
あろ
。しかし、こ
林
寺で拳
法うの
の「相手を思いやる」という部分
有用性
分の指導法研究を重ねたい。
力して授業や体験学習を行うこと
したことのある教員となるよう、
てもらい、銃剣道の特性、魅力を
前項にて、銃剣道授業を行う上
2課題を述べたが、それぞれの
での
に抵抗はなく、そのシステムが成
3
課題について今後、以下のとおり
域学習』として、銃剣道を体験さ
擬授業で、初めて銃剣道を体験す
少林寺拳法の有用性
る中学生が呼吸をあわせて行うこ
終っわ
り応に
多か
た。
じ技は相手が突いて
00
10
課 題
26
相手の突きが当たらないように、間合いを開けて行わせる
応じ技の指導法研究
月刊「武道」 2015.9
107
中学校武道 授業の充実に向けて粳
シリーズ
中学校武道 授業の充実に向けて粳
シリーズ
教員の養成と併せて行っていきた
い。また、同研修会に体育大学学
生の参加も促し、将来も見据えた
教員養成を行いたい。
有用性
4
った。未経験の教員でも、研修会
や外部指導者の活用によって、銃
剣道の授業をできることが今回の
授業実施によって証明されれば、
各都道府県から外部指導者となり
いて、教員以外の参加者として、
「全国銃剣道指導者研修会」にお
導法研究事業の模擬授業では気付
待を
せて
対寄 策いる。これにより、指
実践例が生まれることに大きな期
今年度から実際に中学校で銃剣
3業が行われ、今までなかった
道授
今後も採用されないのではないか
まで採用されていない武道種目は
聞く。従って、銃剣道のような今
ため、積極的ではないという声を
また、各学校では、武道種目を
変更することは、手続きが繁雑な
今後に対する期待
うる地域指導者にも加わってもら
かなかった生徒数による指導隊
という思いになる。
更に採用校の増加が期待できる。
う。そして、銃剣道授業での学習
形、授業の理解度、時間など新た
⑶外部指導者の確保と育成
内容及び学習目標と、銃剣道教則
な課題も生まれるであろう。しか
な ど を 地 域 指 導 者 に 理 解 さ せ、
必要なものであり、
参考にしたい。
しそれは、今後の研究においても
の拡大を明記し、全会一致で採択
しかし、平成 年の武道振興大
会の決議文では、複数種目実施校
2
で示している指導法との相違点
外部指導者の役割を認識するよう
た。今年度から銃剣道を実施する
課 題
図りたい。当連盟が主催する全国
平成 年度に行った指導法研究
事業では、TT方式であるが、初
る、まずは、授業採択に向けた総
ステムを構築したいと考えてい
地域の外部指導者を紹介できるシ
また、外部指導者バンクを作り
学校側の要請などに応じて、その
きたい。
け、授業での指導法を普及してい
修会でも、それらを学ぶ時間を設
共催)とブロック単位で行う各研
ら始められる。逆に取り組みやす
がスタートラインに立った状態か
うので、経験値に差がなく、全員
経験者として行うことになると思
する時には、ほとんどの生徒が未
のでやりやすかった。授業で採用
ら「銃剣道は、動き自体は単純な
現模 状業後、その体育教員か
た。
擬授
教員に模擬授業を行ってもらっ
1銃剣道経験のない中学校体育
めて
たい。
地域指導者の育成に邁進していき
に触れることができるよう教員・
経験し、授業を通じて武道の魅力
一人でも多くの中学生が銃剣道を
協力して様々な課題に取り組み、
択されるよう、各都道府県連盟と
つでも多くの中学校で銃剣道が採
の可能性に期待をかけて、今後一
実施校である。この複数種目実施
中学校も剣道と銃剣道の複数種目
さ れ、 文 部 科 学 大 臣 に 手 渡 さ れ
合学習や体験教室などで指導を行
い教材だと思う」との感想をもら
まいしん
う場合などに役立てていきたい。
青少年指導者講習会(日本武道館
27
+税
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2015.9 月刊「武道」
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