清掃契約の実情等調査について (まとめ) 平成 27 年 2 月

清掃契約の実情等調査について
(まとめ)
平成 27 年 2 月
※ 本調査は、会員の皆様のご協力を得て、平成26年12月に実施したものです。
1 民間清掃契約(主要3契約)の契約金額の状況について
(コストアップにより、「契約時と比し増額」となった契約は、全体の3.7%)
回答会員企業41社の民間との主要3契約について、コストアップにより、「契約時と
比し、(契約金額の)増額」となった契約は、全体の3.7%を占めるに留まる。
(「契約時と比し減額」は47.2%、「契約金額に変更なし」は49.1%)
「契約時と比し減額」となった契約が47.2%、「(契約時と比し)契約金額に変更
なし」となった契約が49.1%で、合わせて96.3%となり、昨今の人件費の引上げ
などのコスト高が続くなか、厳しい契約環境にあることが伺える。
表1 民間清掃契約(主要3契約)の契約金額の状況
区 分
契約数
構成比
注1
注2
注3
契約時と比し増額
4
件
3.7
%
契約時と比し減額
51
件
47.2
%
契約金額に変更なし
53
件
49.1
%
計
108 件
100 %
調査の回答をいただいた41会員企業の状況をまとめたものである。
(回答割合 63.1%(41/65))
民間との清掃契約のうち、各社で主要と思われる3契約の状況について、
報告いただいたものである。
仕様変更に伴う「増額」が7件あるが、上表には含めていない。
2 「契約時と比し減額」となった契約への対応について
(「人件費の縮減など自社負担で対応」は14.3%)
平成18年度の売上を100として、平成23年度の売上の対比指数をみると、半数の
「契約時と比し減額」となった契約について、「人件費の縮減など自社負担で対応」は
14.3%で、85.7%は、自社負担を含め「発注者との調整」により対応している。
表2
「契約時と比し減額」となった契約への対応
区 分
人件費の縮減など「自社負担」
仕様変更など「発注者と調整」
「自社負担」と「発注者と調整」
計
企業数
3 社
5
13
21
構成比
14.3 %
23.8
61.9
100
3 契約金額の引上げ要求について
(引上げ要求した企業は28.6%)
「契約時と比し減額」となった契約について、引上げ要求した企業は、28.6%に留
まっている。
表3
引上げ要求の有無
引上げ要求の有無
有
無
計
企業数
6 社
15
21
構成比
28.6 %
71.4
100
(「引上げ要求」6社のうち、「引上げ」は1社)
・ 引上げ要求をした6社のうち、1社で「最低賃金の引上げ」を理由に引上げを認め
られている。
・ 「引上げを認められなかった」理由は、次のとおりである。
① 経営状態がよくない。
② 予算がない。
③ 競合他社への契約変更を示唆された。
④ 美観の向上など説得力に欠ける。
⑤ 仕様変更等がないと難しい。
4 設問1で「契約時と比し増額」となった契約について
設問1で「契約時と比し増額」となった契約4件の増額の理由・要因は次のとおりである。
① 人件費の高騰(2件)
② (仕様変更を機に諸物価高騰を加味し、気持ち程度の)単価アップ
③ 丁寧な仕事を評価
5 契約の現状認識について
(契約の現状認識について、92.7%が「採算割れを危惧」「採算割れ」)
契約の現状認識について、「特に問題ない」とする企業は7.3%で、残り92.7%
の企業が「採算割れを危惧」「採算割れ」としている。
表4
区 分
特に問題なし
採算割れを危惧
現状、採算割れ
その他 ※
計
契約の現状認識
企業数
3 社
35
2
1
41
構成比
7.3 %
85.4
4.9
2.4
100
摘 要
※本社経費を考慮すると厳しい。
6 契約環境の厳しさが見込まれるなか、考えておられる今後の対応策について
(仕様見直しなど発注者との調整)
・ 顧客の理解を得て、仕様変更し、「据え置き」「増額」を提案する。
・ 一定の粗利益が確保できない案件は撤退も視野に仕様見直しを含め、値上げ交渉し
たい。
(作業の効率化、品質確保)
・ 作業内容を見直し、効率化を図る。
・ 高品質のサービスを提供し、最賃アップ、物価高騰に合わせ契約金額の改定をお願
いする。
・ 外注から自社施行へウエイトを移し、外注員の削減を図る。
・ 発注金額に対して最大限のサービス提供する。
・ ひとつひとつの現場を丁寧にやる。
・ 省力化や人員配置を幅広く検討し、今後に備える。
・ 人件費を縮減する。
(人材育成)
・ 従業員のレベルアップと作業の合理化を進め、従業員満足を向上させ、従業員の定
着率を上げる。
・ 技術・マナー等顧客から信頼される人材を育成し、付加価値をつける。
(新規事業、業務縮小)
・ 省エネなど新分野を開発する。
・ 利益の上がる案件に重点化する。
・ 業務の特化を目指し、テリトリーの拡大を図る。
(その他)
・ 提案営業に取り組む。
・ 現場・得意先との信頼関係を強化し、経営力の維持に努める。
・ 現状の契約価格の維持に努める。
・ 消費税、最賃引上げの際には、理解を求める。
・ 付加サービス提供による受注金額の維持及びアップを図る。
7 協会への要望、意見について
・ 人材の確保(日常物件の人材、繁忙期の応援人材など)
・ 全協講習会の広島開催
・ 「日常清掃」に関する資格の創設
・ 契約金額に係る発注者の認識を変える取組みの推進
・ 情報提供
① 業種別単価表(清掃)
② 研修スケジュール(年間計画)
③ 契約金額引上げのための交渉マニュアル
④ さまざまの情報発信
・ 官公庁への働きかけ
① 適正な積算基準に基づく基準価格の設定
② 最低価格を下回る落札の防止(低価格での入札禁止)
③ 民間価格の動向に影響力をもつ官公庁入札価格の引上げ
・ 協会員のメリットを実感できる取組み
・ ビルメン業の地位向上
・ 業界生き残り策の検討
・ 協会調査依頼の電子化