みごと日大文理学部合格

2008 年3月№ 26
不登校の子どもを応援します
発行
フリースペースやすらぎの森
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みごと日大文理学部合格
2005 年9月高校1年生のときに不登校になり2学期で退学し、2006 年の1月
から「NPO 法人フリースペースやすらぎの森」に来るようになったDくんがみご
とにセンター試験受験で日大文理学部に合格しました。2年間を振り返って報告
したいと思います。
初めて来たときは「人に会うのもいや、特に同世代と会いたくない。自分はだ
めな人間だ。何の勝ちもない人間だ。
」と大変ネガティブでした。そんな彼が唯一
もくじ
1. みごと日大文理合格
2. 高円寺教育懇談会
3. 高南中学補習
4. NPO支援基金応募へ
5. 数楽教室生徒募集
6. 編集後記
「大学には行きたい」との細々としたかすかな
希望がありました。そこで、それを実現するた
めのいくつかの方法について話しをした結果、
高校卒業程度認定試験(以下高認試験という)を
受け、大学受験の資格をとる道を選びました。
しばらくは来るのがやっとという感じでした。
でも自分で決めた週2回は何とか休まずにきち
んと同じ時間にやってきました。
やすらぎの森では、基本的には来たときに何をするかは自分で決めてもらい実
行します。高認試験は8科目受験するのですが、まずは、高校で学習していた科
目の国語・数学・英語の3教科から始めました。模擬試験も受けました。そして
2006 年度第1回で国語・数学・英語の2教科合格しました。つぎに生物と物理、
さらに日本史の学習を始め、2006 年度第2回で合格しました。このあとはまっ
たく高校でも学習していない世界史と現代社会の2科目が残りました。
その頃は、通って来るようになってからちょうど1年が経った頃、大分落ち着
いてきていました。そんな時、私の教え子でやはり不登校だった卒業生から電話
があり、単位制の高校に行っているが無事大学に入ったとの連絡があったので、
「色々経験談を話してもらいたい」と言ったところ、快く引き受けてくれて、や
ってきて話しをしてくれました。その話しを聞いてから特に大きく変わり、かな
り積極的に前向きになりました。来る回数も週3日と1日増え、先輩がやってい
たアルバイトもやりたいと言い、知人から紹介されて面接にまで行くようになり
ました。こちらはうまく条件があわず、やれませんでしたが、大きな変化でした。
さらに一人暮らしがしたいとも言うようになりました。自立への大きな一歩にな
りました。
2007 年度第1回高認試験で残りの世界史と現代社会も合格しました。これで
大学受験の資格がもらえることになりました。実に結果が出たのは 2007 年の9
月になったときでした。
それから、大学受験に向けての学習が始まりました。ここで相談した結果、受
験はセンター試験だけに絞り、科目も英語と数学としました。それからは、セン
ター試験の過去問を徹底的にやりました。数学は私が基本的な指導をしてきてい
ましたが、受験問題はまったく扱ってきていませんでした。英語は1人でやって
いましたが、幸い息子が春まで大学受験をしていましたので、ボランティアで見
てくれました。始めの模擬試験、英語はある程度とれましたが、数学はⅠAもⅡ
Bも点数になりませんでした。でも焦らず過去問をやったら、何度もやり直すよ
うにしました。英語は最低限の英単語の暗記等毎日時間があったらやることの指
示をしました。
そして、いよいよセンター試験です。普段通り落ち着いて受けられたとの報告
で安心しました。翌日自己採点をしました。英語 122 点・リスニング 38 点・数
学ⅠA57 点・数学ⅡB49 点・国語近現代 84 点・国語古文漢文 27 点の結果でし
た。たった4ヶ月でよくここまでできたと思います。河合塾に登録をして事前に
出した明星大学は何と1番の成績。しかし本命の日大はボーダー以下でした。さ
っそくこのあと出願できて、合格可能な大学に3校出しました。
受けた大学につぎつぎ合格が分かり、いよいよ日大文理学部の発表です。本人
からメールが来て「受かっているとは思っていなかったので信じられない」との
ことでした。募集5名のところ 365 名も応募があったのですから本当に奇跡とし
かいいようがありませんでした。
とは言っても、やはり彼が自分の意思で決め「何とか大学に入りたい」と言う
強い思いがあったからで、本当に一生懸命に自学自習して獲得した勲章だと思い
ます。改めて子どもの持っている力はすごいなって思いました。これで、はれて
「フリースペースやすらぎの森」を卒業します。おめでとう!!
高円寺教育懇談会 第 32 回高円寺教育懇談会は2月 15 日(金)にセシオン杉並で行われました。今
回もいつも来てくださる牧師さんが来てくださいました。
まず、私が高南中学で始めた補習の話しをしました。そのときに話題になった
のは、先生に言われてしかたなく来ている子どもたちですが、何といても来てい
るのだから、やはりきちんと評価をしてあげることは大切なことであるとのこと
でした。さっそく学年末前に行った3回の補習についてのコメントを書いて学校
に持って行きました。先生方用と父母生徒用です。
つぎに牧師さんから今回も以前教師をしていたときの話しをしてくださいまし
た。生活保護や準保護の家庭が大変で、雑費が払えない親が夜逃げをした子ども
がクラスにいて、その子はひと言もしゃべらなくなっていたそうです。ところが
クラスの大変わがままな子がいて突然その子に「親がいるのに何言っているんだ」
とどなったとき、クラスのリーダー格の子がその子につき、その後わがままな子
も変わってクラスがとてもまとまったのだそうです。
この問題は2つのことがあると思いました。一つは、現在学力試験が行われて
いますが、学力が低いのは、生活保護や準保護の子どもたちであるという問題で
す。勉強ができる状況ではないということです。また、何かのきっかけで子ども
たちもクラスも変わり得ると言うことだと思いました。
次回は3月 21 日(金)セシオン杉並第4集会室 19 時 21 時です。みな様の参
加をお待ちしております。当日参加も歓迎です。
高南中補習
2月から始めた高南中学校での補習ですが、あと1回を残し5回が終了しまし
た。参加者は1年生3名でしたが、2年生も2名参加してくれました。
1回目は「テープを輪にして中央を切ることをやりました。」第2回は「正多
面体が5種類であることを実際に作りながら確かめました」第3回からは「2種
類のキャラメルの重さを当てると言うことで連立方程式の考え」を始めました。
箱の重さから入り、箱の中に入っている数を当てることを考え、箱の名前を文字
x、yで表すことで文字の導入をしていく予定です。
杉並区NPO支援基金助成制度応募へ
杉並区は全国に先駆けて、寄付金を元に NPO 法人に対する助成制度がありま
す。そこで先日来年度の募集についての説明会がありました。総額 300 万円、1
団体最大 30 万円の補助が出ると言うことでした。
したがって、
「高南中学校での補習の取り組み」の事業を申請しようと思ってい
ます。これがうまくいけば他の学校へも広げられ、コスモでやっている三鷹市教
育委員会との取り組みの事業のように、官民一体の教育への取り組みが実現しそ
うです。
数楽教室生徒募集 やすらぎの森では、進学塾とは違い算数・数学の楽しさを教えることをめざして
います。今問われている考える力がつきます。入会はいつでも受け付けています。
どうぞ一度体験入学してみてください。
編集後記
指導要領の改正で、算数・数学では大きく3つの点が上げられていま
す。第1は反復による指導で、より高い観点から見直すことです。第
2は内容の充実で、これは削られた内容の復活です。第3は新たに実
際の場面で活用する活動の充実です。つまり計算ドリルだけではだめ
だということです。いずれも私が実践してきたことです。