ICTを活用した消防・防災まちづくりの推進(京都府宮津与謝消防組合)

地域情
報
化
特集5 あなたが住む街の人の繋がりによる地域情報化への取組
2.
5 I
CTを活用した消防・防災まちづくりの推進
(京都府宮津与謝消防組合)
分 野
ICT 活用による住民参加型の消防・防災まちづくり サービス・事業概要
ICT 技術を活用し、住民側からの情報提供を積極的に受け入れ、時々刻々と変化する情勢を住民と共有
し、メール等を活用した情報伝達ルートを確保する事で、住民と消防・防災機関等が緊密な連携を図るこ
とを支援する。このように、地域住民が主体となった住民参加型の防災まちづくりを推進する事業で、以
下の 3 システムを用いる。
①地域防災システム:
住民や行政が連携して防災活動をするためのソーシャルネットワーク型電子掲示板システム
②まちなか防災カメラシステム:
住民に対して災害発生地域のリアルタイム映像をインターネット経由で提供する
③無線 IP 電話システム:
IP 電話を用いることにより消防署の無線通信システムの代替を図る
サービス・事業の背景
宮津与謝消防組合が管轄する宮津市、与謝野町、伊根町では、平成16年の台風23号の直撃を受け人命、
家屋に大きな被害が出たため、河川の改修工事を行うなどして「災害に強いまちづくり」を進めてきた。
また火災について見てみると、本来火災発生件数が多い地域ではないが、平成 17 年に起きた大火災によ
り自衛消防隊を結成するなど住民の火災・災害に対する意識が高まってきていた。
一方、消防組合においては、各市町の消防団と情報を共有するための共通プラットホームがない、そし
て平成 28 年に控えた消防無線のディジタル化に向けて、設備投資の費用軽減が期待できる代替手段の検
討が必要などの課題を抱えていた。
取り組みイメージ図
サービス・事業の成果
▶地域防災システム(電子掲示板)登録人数
588 人(消防組合員・団員・住民・報道)
実施運営体制
▶総務省地域 ICT 利活用広域連携事業
(平成 22 年度)を活用
▶まちなか防災カメラ設置台数
宮津与謝地方 ICT 利活用連携事業
消防防災連絡会
60 台(公共施設屋上、サイレン塔、交差
点 等)
▶無線 IP 電話システム配布台数
320 台 ( 消 防・ 自 治 体 関 係 者、 車 両 搭 載
等)
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宮津市
伊根町
与謝野町
宮津与謝消防組合
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2 先進的な事例紹介
成功要因の整理 (1/2)
行政の特色/役割
▶広域消防組合と構成自治体、近隣消防団との連携が緊密であった
消防組合と構成自治体の担当原課とは情報交換、協議など日頃から連携し業務を遂行してい
た。
消防組合幹部と構成自治体の首長とは緊密で信頼関係が築かれていた。
消防組合と構成自治体の消防団との連携は緊密であったが、情報共有するためのプラット
フォームがなく、不便さを感じていた。
▶構成自治体の中に総務省の地域 ICT 関連事業に関心を持っていた自治体があった
構成自治体の中には、これまでに総務省の地域 ICT 関連事業を実施した経験があり、同関連
事業に対する関心が高く、関連ノウハウを持っていた。
▶構成自治体の担当原課からの提案打診に広域消防組合が対応した
日頃から連携が緊密のため、広域消防組合が提案元となり構成自治体のノウハウ提供、支援
の下で総務省 地域 ICT 利活用広域連携事業に提案申請を行った。
関連部署との連携は欠かせないが、更に地域 ICT 関連事業への提案・実施経験があ
り、ノウハウを持った部署との連携は提案を取り纏める上で大変有効である。
現状調査・サービス企画プロセス
▶限られた検討時間の中で必要なサービス機能を抽出し纏めた
地域住民の防災意識向上と、住民と行政との間で情報共有を行うための情報基盤が必要であ
る。
⇒ 地域で防災関連情報を共有するためには、防災掲示板と防災映像提供が有効である。
円滑に広域で消防活動をするためには連絡手段の確保が必要である。
⇒ 将来の消防無線のディジタル化対応に向けた有効連絡手段の検討を行う。
必ずしも企画検討時間が充分取れると限らないので、関係部署に聞き取りを行った
内容や取り纏めリーダが日頃考えている事を基に早めに提案内容の素案を作り上げ、
関連部署の意見を聞き調整することが有効である。
計画プロセス
▶技術に精通したリーダによる計画纏め
提案取り纏めリーダが ICT 関連技術に精通しており、必要なサービス機能を実現する方法を
検討しながら計画を取り纏めた。
▶首長へのトップダウン交渉
事業計画の構成自治体への説明、承認取りは各自治体の首長に対して行った。
広域連携の事業提案に関する承認取りは、首長に説明しトップダウンで行うことが
有効である。
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特集5 あなたが住む街の人の繋がりによる地域情報化への取組
成功要因の整理 (2/2)
開発プロセス
▶短時間で纏めた企画・事業計画プロセスの結果の評価・検証
短時間で纏めざるを得なかった企画・事業計画プロセスの結果の評価・検証に留意した。そ
の結果、当初計画で予定していた民生委員への端末配布は、情報収集・入力の頻度、機器操
作の習熟を勘案して開発段階で評価を行った結果、費用対効果に於いて有効性が期待できな
いことから配布を中止した。
前のプロセスで検討した結果に対しても、検証しながら進めていくことが重要であ
る。
そして、計画段階で決め提案申請した内容であっても、開発段階での具体化検討で
有効性が確認できない場合は計画修正を英断することも重要である。
運営・評価プロセス
▶情報共有のための仕組みを構築するだけでなく、使いこなすためのスキル向上を図った
地域防災の情報共有のための情報プラットフォームが構築され、消防組合、各自治体消防団、
各自治体の担当原課との間で情報収集・情報発信が出来る仕組みが整備された。
整備されたこの仕組みを使って関係者が真に情報共有するためには、構築した情報プラット
- フォームを関係者各自が使いこなすことが必要であり、そのためには ICT スキルの向上が
望まれることから、多くの関係者を対象に広範な ICT 研修を実施した。
▶事業評価は本事業の運営組織である消防防災連絡会において構成自治体により行われる
計画段階から担当者が変わった自治体の評価は必ずしも高くない。
導入システムの直接的評価に加え、将来導入が予定されている設備(ディジタル消防無線)
の代替が可能かの評価を行う。
システムを導入するだけでは地域課題は解決せず、システムを使いこなして初めて
課題が解決する。そのためには関係者がシステムを使いこなすための環境整備が重要
である。
事業を継続させるためには、構成自治体の担当原課との継続的なコミュニケーショ
ンが重要になってくる。
導入経費及び維持経費
導入経費:9,764 万円
維持経費:1,285 万円/年(通信事業者と詳細調整中)
問合せ先
宮津与謝消防組合
住 所:〒629-2251 京都府宮津市字須津 413 番地の 26
電 話:0772-46-6119
E-mail:[email protected]
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2 先進的な事例紹介
現状調査
地域の課題/
問題意識を把
握するため資
料や情報等を
収集・分析す
る
企 画
事業
計画
地域の課題/
地域情報化
問 題 意 識 を (活 性 化)計
「現 状 調 査」 画内容に基づ
プロセスにて
く具体的な地
明確化した上
域情報化サー
で、地域情報
ビス(システ
化を企画する
ム)の実現に
向けた事業計
画を策定する
事業
開発
運営/
評価
事業計画内容
に基づき、具
体的なサービ
スを開発する
事業開発によ
り完成した
サービス(事
業)を運営し、
サービス(事
業)の評価を
行う
行
政
宮 津 与 謝 地 方 I C T利 活 用 広 域 連 携 事 業 消 防 防 災 連 絡 会
・連絡会事務局として調査・企画から事業運営まで全面的に行う
宮津与謝
消防組合
・消 防 無 線
ディジタル
化への対応
検討
・関連部署へ
のヒアリン
グ
・構成自治体
への説明・
交渉
・素案作成・
まとめ・調
整
・予算計上
・国の補助事
業を活用
・事務局とし
ての調整
・情報システ
ム 構 築 マ
ネージメン
ト
・有効性を考
慮した当初
計画の修正
・事務局を補佐し、各団体と
の調整
・市内での推進と調整
宮津市
・消防組合との緊密な連携
伊根町
・町内での推進と調整
与謝野町
公
共
住 民
利用者
・システムの
評価
・ディジタル
消防無線の
代替が可能
かどうかの
検討
・消防団員へ
の 指 導・展
開
・研修の受講
によるスキ
ルアップ
・情報提供・
収集
各自治体
消防団
民間企業
(ベンダー)
・データの全
体管理運営
・システムを
使いこなせ
る人材育成
・環境整備
・システムの
開発
・通報
・情報提供
(掲示板への
情報投稿)
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